【2026最新】小論文の書き方完全ガイド|型・例文・構成を『オキテ55』著者が解説
「小論文って結局、何を書けばいいのかわからない」「自分の意見を書いたつもりが、感想文になってしまう」。そんな悩みを抱えていませんか。
小論文とは、自由に意見を述べる作文ではなく「社会の問題を解決するための文章」です。
この記事では、シリーズ27万部のベストセラー「小論文のオキテ55」の著者であり、大手企業の社員研修も手掛けるロジカルライティング講師・鈴木鋭智が、小論文の正しい定義から、テーマ別の構成の型、出題形式ごとの対策、書く手順まで、悩みを解消できるように詳しく解説します。
監修者
鈴木 鋭智
合同会社ロジカルライティング研究室代表。ベストセラー参考書「何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55」シリーズ著者。元・代々木ゼミナール講師。小論文を「文章表現ではなく問題解決の科目」と再定義し、合格率を倍増させる。NHK Eテレ「テストの花道」出演、朝日中高生新聞の連載などメディアでも活躍。現在は全国の高校で小論文講習会を開催するほか、企業からも講演、研修のオファー多数。東北大学大学院文学研究科修士課程修了(認知心理学専攻)
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
目次
小論文の本質は「感想」ではなく「社会課題の解決策」
小論文とは何なのでしょうか。答えはシンプルです。小論文とは「社会課題を解決する文章」です。自由に意見を書く作文とは異なります。

「小論文は自分の意見を自由に書くもの」「文章が上手な人が有利」「理系だから苦手」。このようなイメージを持っている受験生や保護者は少なくありません。しかし、総合型選抜で大学が見ているのは、実はそうした能力ではありません。
いまや総合型選抜は、国立大学でも約2割、私立大学では約6割の学生が利用する主要な入試方式となりました。一次選考では志望理由書や活動報告書(自己PR書)、二次選考では小論文と面接という組み合わせが定番です。
だからこそ、小論文を正しく理解して書いているかどうかが合否を左右します。
作文やエッセイとの違いは、課題解決策の提案できているかどうか
これについては、「作文」「エッセイ」「小論文」の違いを実際に見くらべていきましょう。
問題:日本では1年間に約2万3千匹の犬や猫が殺処分されている。これについて、あなたの意見を述べよ。
(解答例1:NG)
私は動物が好きだ。小学生の頃から犬、猫、ハムスター、ミドリガメなどいろんなペットを飼っていた。そんな私だからこそ、たくさんのペットが捨てられ殺処分されているというニュースは本当に胸が痛む。犬も猫も人間も生命の重さに変わりはないはずなのに、人間のエゴのせいでかわいい動物たちが犠牲になっている。これ以上、ペットたちが殺処分されることなく、最後まで飼い主とともに過ごせる社会になることを心から願っている。
解答例1は感想文です。この人が動物好きでやさしい心の持ち主であることは伝わりますが、「心から願っている」だけでは犬や猫の殺処分という問題は解決できません。
(解答例2:NG)
イギリスの古いことわざに「子どもが生まれたら犬を飼いなさい」というのがあるそうだ。赤ん坊のときは子どもの良き守り手になり、幼年期には良き遊び相手になり、少年期には良き理解者となる。そして青年になったとき、自らの死をもって子どもに命の尊さを教える、というものだ。私も飼っていた犬を失ったときペットロス症候群になったが、そこから命の大切さを学んだ気がする。このようにペットを失った飼い主への心のケアも必要である。
解答例2はエッセイです。一見知的な文章に見えますが、後半はペットロス症候群の話になってしまいました。犬や猫の殺処分という問題からは大きく外れてしまっています。
(解答例3:OK)
多くの犬や猫が殺処分されている背景には、安易にペットを購入できる仕組みがある。「かわいい」という一時的な気分で飼い始めるものの、実際は世話が大変だったり飼い主に懐かなかったり飽きてしまったりという理由で簡単に捨ててしまうのである。 そこで、ペットを購入するまでのハードルを上げることが考えられる。たとえばレンタルのペットによる飼育体験をすれば、実際の大変さも知ることができる。また一時的にペットに憧れただけの人は、レンタルの体験だけで満足するため購入する必要がなくなると考えられる。
解答例3が小論文です。ペットが捨てられてしまう原因を考え、安易に飼えないようにするためのアイデアを提案しています。これなら実際に殺処分を減らすことができるかもしれません。
大学入試で出題されるテーマといえば、地球温暖化、地方経済の衰退、少子化、格差社会、グローバル化による摩擦など、「世の中で問題になっているテーマ」ばかりです。
こうした社会問題に対して「あなたの考えを述べなさい」と書かれていたら、問われているのは、「あなたならこの問題をどう解決しますか」という提案なのです。
小論文に表現力、言葉のセンスはいらない
もう一つ、多くの受験生が誤解していることがあります。それは、「語彙力や表現力が必要」という思い込みです。
- 「もっと本を読んで表現力を身につけよう」
- 「文系じゃないから文章は苦手」
そんな声もよく聞きます。しかし、小論文で評価されるのは文学作品のような美しい文章ではありません。むしろ、「〇〇が問題である。したがって行政や企業は△△すべきである」というような、簡潔でわかりやすい文章の方が高く評価されます。
比喩や凝った表現 を多用した美文は、小論文では必要ありません。出題者である大学教授は文学作品を読もうとしているのではなく、受験生が問題を正しく分析し、現実的な解決策を考えられるかを見ています。文章はその考えを正確に伝える道具でしかありません。
大学が小論文で求めている人物像は「博士」や「専門家」
小論文を採点するのは国語の先生ではありません。
医学部なら医学、経済学部なら経済、教育学部なら教育を専門とする大学教授です。教授自身も日々、社会問題や学術上の課題を研究し、解決しようとしている人たちです。
だから大学が求めている学生も、全教科で満点を取る優等生とは限りません。一つの分野に強い興味を持ち、自分で調べ、考え、新しい解決策を探そうとする人です。たとえるなら、テレビ番組に登場する「博士ちゃん」のような存在でしょう。
好きなことをとことん追究し、「どうしたらもっとよくなるだろう」と考え続ける姿勢こそ、大学が高く評価する資質です。総合型選抜の場合でも、小論文でも求められるのは「何が問題なのか」を敏感に見つけ、「どう解決するか」という提案を積極的に示せる力です。
小論文の出題テーマに応じて型を使い分ける

小論文が「問題を解決する文章」だとわかっても、いざ書こうとすると手が止まってしまう人は少なくありません。
「小論文は起承転結で書きなさい」「序論・本論・結論でまとめましょう」。小論文の書き方を調べると、さまざまな「型」が紹介されています。もちろん、それらが間違いというわけではありません。しかし、その多くは、すでに自分の意見を持っている人が、それをどう文章にまとめるかという構成です。
大学入試の小論文は少し違います。受験生は与えられた社会問題について初めて考え、解決策を導き出すことが求められます。つまり、もともと持っている意見をどう書くかではなく、与えられたテーマに対して意見をどう作るかが問われているのです。
そのため、一つの型だけを覚えていても対応できない場面が出てきます。理由は、出題されるテーマによって、必要な構成が異なるからです。
大学入試で扱われる社会問題は大きく2種類ある
小論文で取り上げられるテーマは、「賛成・反対に意見が分かれるテーマ」と「誰が見ても問題であるテーマ」の2種類です。
例えば集団討論でも、賛成派と反対派に分かれて議論する「ディベート」と、参加者全員で解決策を考える「ディスカッション」の2種類があります。小論文も同じように、テーマの種類に応じて「ディベート型」と「ディスカッション型」を使い分けます。
賛成・反対に分かれるテーマは、ディベート型で書く
例えば、「外国人観光客をさらに増やすべきか」「子どものSNS利用を制限すべきか」といったテーマ。
観光客が増えれば地域経済は活性化しますが、混雑や騒音など住民生活への影響もあります。SNSにも便利さがある一方で、依存やトラブルのリスクがあります。つまり、これらのケースでは賛成派にも反対派にも理由があります。
このようなテーマでは、小論文は次の三段落構成が基本になります。
- メリット(賛成意見)
- デメリット(反対意見)
- 解決策
ポイントは、最初の二つの段落をほぼ同じ分量で書くことです。
賛成派にも反対派にも一理あるからこそ、社会で議論になっています。片方だけを詳しく書き、もう一方を一文で済ませてしまうと、公平な視点を欠いた答案になってしまいます。
例えば、「外国人観光客をさらに増やすべきか」というテーマなら、地域経済への効果と、オーバーツーリズムによる住民生活への影響をどちらも整理した上で、「観光客を地方へ分散させる」「観光税を活用して地域環境を整備する」といった、双方が納得できる解決策を提案します。
小論文で評価されるのは、相手を論破することではありません。双方の立場に耳を傾けながら、よりよい解決策を探す姿勢です。
例題と解答例
問題:外国人観光客をさらに増やすべきか
解答例: (1.メリット)
外国人観光客が増えることは、日本経済にとって大きなメリットがある。観光客が宿泊施設や飲食店、土産物店などを利用すれば地域にお金が落ち、雇用の創出にもつながるからである。特に人口減少が進む地方では、観光産業が地域を支える重要な存在となっている。
(2.デメリット)
しかし、人気の観光地では混雑やごみの増加、騒音などにより、本来その地域に暮らす人々の生活に支障が生じることがある。観光客も景観や快適さが損なわれることでその土地や日本に対し悪い印象を持って帰ることになる。これでは観光産業にとって逆効果である。
(3.解決策)
そこで、観光客を一部の有名観光地に集中させるのではなく、地方へ分散させる取り組みを進めるべきである。あわせて観光税などを活用し、交通やごみ処理などの環境整備を進めれば、地域経済を活性化しながら住民の負担も軽減できると考える。
誰が見ても問題であるテーマは、ディスカッション型で書く
「誰が見ても問題」というのは、例えば「地方の過疎化」「異常気象による水害の増加」「闇バイトによる凶悪犯罪」などです。これらに「賛成」という人はいません。大問題であることを前提として、「どう解決するか」を考えて書きます。

このような場合では、構成は次のような順番になります。
- 問題提起
- 原因分析
- 解決策
この型で最も重要なのは、原因分析にしっかり字数を使うことです。解決策だけを急いで考えると、「もっとPRする」「補助金を出す」といった思いつきの提案になりやすいからです。
例えば地方の過疎化なら、「若者が都市部へ流出する理由は何か」「なぜ地元に戻らないのか」を分析して初めて、「地方に新たな雇用を生み出す」「テレワーク環境を整備する」といった、原因に対応した解決策が導き出せます。
例題と解答例
問題:地方の過疎化について
解答例: (1.問題提起)
地方の過疎化が進むと、商店や医療機関、公共交通機関の維持が難しくなり、住民の日常生活に大きな支障が生じる。また、地域の産業や文化を受け継ぐ人材も減少し、地域全体の活力が失われてしまう。
(2.原因分析)
こうした状況が続く背景には、若者が進学や就職を機に都市部へ流出し、そのまま地元へ戻らないことがある。地方で働きたいと思っても、希望する職種や収入を得られる仕事が少ないため、定住を選びにくいのである。
(3.解決策) そこで、地方に新たな雇用を生み出す取り組みを進めるべきである。企業のサテライトオフィスやIT企業の誘致を進めれば、都市部と同じような仕事に就ける人が増える。また、テレワークを活用できる環境を整備すれば、地方に住みながら都市部の企業で働くことも可能になる。若者が働き続けられる地域をつくることが、過疎化の改善につながると考える。
鈴木先生
「起承転結」「序論・本論・結論」といった構成を一つ覚えれば、どんな問題にも対応できるわけではありません。出題が「賛成・反対に分かれるテーマ」なのか、それとも「誰が見ても問題であるテーマ」なのかによって、臨機応変に型を選ぶことが重要です。
よくある小論文の出題形式と攻略のヒント
大学入試の小論文では、長い課題文を読ませる出題や、グラフや表などのデータを使った出題が全体の約95%を占めています。近年は複数の資料を組み合わせた問題も増え、以前より難化傾向にあります。
「◯◯について、あなたの意見を」というシンプルな例題だけで準備していると、本番で戸惑ってしまいます。だからこそ、「どんな問題が出るのか」を知ることが、小論文対策の第一歩になります。
最も多く出題される「課題文形式」は後半に注目
課題文形式とは、数百字から数ページにわたる文章を読んで設問に答える形式です。特に文系学部では、課題文だけで数ページに及ぶことも珍しくありません。
問題
問1 次の文章を200字以内で要約しなさい。
問2 筆者のいう「新たな付加価値を生み出し続ける力」について、あなたが考えることを800字以内で述べなさい。
日本経済は長い間、「失われた30年」と呼ばれる停滞を経験してきた。1990年代初めにバブル経済が崩壊して以降、景気は何度か回復の兆しを見せたものの、社会全体が力強い成長を実感するまでには至らなかった。企業は将来の需要に確信を持てず、設備投資や新規事業への挑戦に慎重になった。家計も、雇用や老後への不安から消費を控え、貯蓄を優先するようになった。その結果、企業が投資を控えるために賃金が上がらず、賃金が上がらないために消費も増えないという循環が続いてきたのである。
もっとも、日本経済がまったく成長してこなかったわけではない。自動車、機械、素材、電子部品などの分野では、現在も世界的に高い技術力を持つ企業が存在する。安全性や品質の高さ、納期を守る姿勢、きめ細かな接客なども、日本の産業が持つ強みである。また、海外から日本を訪れる観光客の増加によって、地方の文化や自然、食、伝統産業などが新たな経済的価値を持つようになった。半導体や再生可能エネルギー、医療、ロボットなど、今後の成長が期待される産業もある。
しかし、こうした一部の明るい動きだけで、日本経済の復活を判断することはできない。企業の利益が増えても、それが十分な賃上げや国内投資につながらなければ、人々の暮らしは豊かにならない。物価の上昇よりも賃金の伸びが小さければ、収入の額が増えても、実際に購入できる商品やサービスは減ってしまう。また、大企業の業績が改善しても、その恩恵が中小企業や地方にまで広がらなければ、経済全体が回復したとはいえないだろう。
日本経済が抱える最大の課題の一つは、少子高齢化と人口減少である。働く世代が減少すれば、企業は必要な人材を確保しにくくなる。医療や介護、物流、建設、外食、農業など、すでに深刻な人手不足に直面している分野も多い。一方、高齢者の増加によって社会保障に必要な費用は大きくなる。税金や保険料を負担する現役世代が減る中で、社会制度をどのように維持するかは避けて通れない問題である。
これまでの日本では、人口や労働者の増加を前提として、商品を大量に生産し、多くの人に販売することで経済を成長させてきた。しかし、人口が減少する社会では、同じ方法を続けることは難しい。そこで重要になるのが、「付加価値」を生み出す力である。付加価値とは、単に商品を高く売ることではない。利用する人の悩みを解決したり、生活を便利にしたり、これまでになかった体験を提供したりすることで、商品やサービスに新たな価値を加えることである。
例えば、同じ農産物をそのまま販売するだけでなく、加工食品にしたり、地域の観光や文化と組み合わせたりすれば、より高い価値を生み出すことができる。製造業でも、機械そのものを売るだけでなく、点検や修理、データ分析などのサービスを組み合わせれば、継続的な収益につながる。介護や教育の分野でも、デジタル技術を活用することで、少ない人員でも一人ひとりに合った支援を提供できる可能性がある。 付加価値を高めるためには、生産性の向上も欠かせない。ただし、生産性を高めるとは、従業員にこれまで以上の速さや長時間労働を求めることではない。無駄な会議や複雑な手続きを減らし、デジタル技術やAIを活用して、少ない時間と労力でより大きな成果を生み出すことである。人間が繰り返し行ってきた単純作業を機械に任せれば、人は企画、判断、対話、創造など、人間にしかできない仕事に集中できる。
ところが、日本では新しい技術や制度の導入がなかなか進まないことがある。「前例がない」「失敗した場合の責任を取れない」「現在の方法でも仕事はできている」といった理由から、変化を避けようとする組織が少なくないからである。もちろん、新しい技術には誤作動や情報流出などの危険もあり、十分な検討が必要である。しかし、危険を恐れるあまり何も試さなければ、技術を活用して成長する海外の企業との差はさらに広がってしまう。変化の速い時代には、何もしないこともまた一つのリスクなのである。
日本経済の復活には、人材への投資も必要である。技術や産業の変化が速くなれば、学校を卒業するまでに身につけた知識だけで一生働き続けることは難しい。社会人になった後も、新しい知識や技能を学び直す機会が求められる。企業は従業員を単なる人件費として見るのではなく、成長の源となる存在として教育や研修に投資する必要がある。働く側も、自分の経験だけに頼らず、変化に応じて学び続ける姿勢を持たなければならない。
長い文章を見ると、「最初の方を読めばだいたい内容はわかるだろう」と考えて飛ばし読みしたくなりますが、これは最も危険な読み方です。課題文形式の小論文では、筆者が本当に伝えたい結論や問題提起が文章の後半に書かれていることも少なくありません。
上記の問題例でも、冒頭に「失われた30年」「バブル崩壊」といったキーワードが目についたため「過去の経済低迷を振り返る話だろう」と思ったら、中盤では「少子高齢化」という社会問題の話が展開され、後半では「付加価値を生み出す組織づくり」という、経営や人材育成がメインの話になっています。
試験時間は十分あるので、文章は最後まで読んで出題者の意図をつかみましょう。
「資料形式(グラフ問題)」は「何を比べているか」を考える
もう一つの代表的な形式が資料形式です。以下がその例題です。
問題
近年、睡眠不足は個人の健康だけでなく、社会全体にも影響を及ぼす課題として注目されている。世界保健機関(WHO)は、十分な睡眠は心身の健康を維持するために重要であり、睡眠不足は生活習慣病や精神的不調、事故のリスクを高める要因になると指摘している。また、厚生労働省も「健康づくりのための睡眠ガイド2023」において、適切な睡眠時間の確保と質の向上を健康づくりの重要な柱として挙げている。しかし、日本では睡眠時間が国際的に見ても短い傾向が続いており、とくに女性は家事や育児、介護などの負担が重なり、十分な睡眠を確保しにくいとの指摘もある。次の資料を参考に、日本人の睡眠時間の現状とその背景について考え、あなたの意見を述べなさい。


こちらはグラフや表、図表などの資料を読み取り、考察して論述する問題です。苦手な人ほど見落としているのが「グラフの周辺の文字情報」です。
「資料形式」攻略のヒントは「グラフ周辺の情報」
上記の図1中、右下にある2つの四角のような情報を「凡例(はんれい)」といいます。この問題で注目したいのは、数字そのものより「男女差の向き」です。日本以外の国はすべて女性の方が睡眠時間が長いのに対し、日本だけ男性より
つまりこのグラフは、「日本の睡眠時間が短い」という単純な話ではなく、「日本だけ、女性の睡眠時間が男性より短いという特殊な傾向がある」ことを示しています。これは問題文の「女性は家事や育児、介護などの負担が重なり、十分な睡眠を確保しにくい」という指摘の裏付けにもなります。
グラフの周辺には、こうしたヒントとなる文字情報が書き込まれています。隅々まで見ることが大事です。
テーマだけが書かれた問題形式は少数派
「地球温暖化について論じなさい」「やさしさについてあなたの考えを述べなさい」。
こうした一行だけのシンプルな出題は「短文テーマ形式」と呼ばれます。地方公務員試験では今でもよく見られますが、大学入試では年々減少しており、現在では全体の5%以下と考えてよいでしょう。初学者が練習問題として取り組むのには向いていますが、実際の大学入試の多くには対応できません。
「 課題文形式」と「短文テーマ形式」の中間
大学・学部によっては200字程度の短い問題形式も出題されます。「課題文形式」と「短文テーマ形式」の中間のような出題です。
(例題)
フードテックの発展により、培養肉や植物由来の食品など、新しい形態の食品が登場している。これにより、食品の生産や消費のあり方が変化しつつある。
一方で、伝統的な食文化を維持しながらフードテックを活用することが求められる場面もあり、両者のバランスをどのように取るかが課題となっている。
フードテックと伝統的な食文化の共存に関する論点を整理し、日本における今後の展望について、あなたの考えを600字以上800字以内(句読点を含む)で論述せよ。
問題文は長くありません。そのため、一見すると簡単そうに見えます。しかし実際には、「フードテック」「伝統的な食文化」「共存」「日本における今後の展望」といった、出題者が考えてほしい論点が短い文章の中に凝縮されています。
(受験生に求められていること)
条件:フードテックと伝統的食文化が両立しにくい理由を整理したうえで、
提案:日本でどう共存させていくべきかを提案すること
読みやすいからといって流し読みすると、大切な条件を見落としてしまいます。長文でも短文でも、「設問が何を求めているのか」を正確に読み取る姿勢は変わりません。
講義を聞いて小論文を書く形式
大学によっては、課題文や資料を読むだけでなく、講義を聞いて内容を要約したり、それについて自分の考えを述べたりする形式もあります。
このタイプでは、「聞き逃さないこと」が何より重要です。話を一言一句書き取ろうとするのではなく、「何が問題なのか」「原因は何か」「講師はどんな解決策を提案しているのか」といった論点を整理しながらメモを取る練習をしておくと、本番でも内容をまとめやすくなります。
ユニークな「図書館入試」
さらにユニークなのが、お茶の水女子大学の新フンボルト入試です。この入試では、受験生は一日かけて図書館内の資料を自由に調べながら小論文を作成します。
通常の小論文は1〜2時間という限られた時間の中で、自分の知識だけを使って論述します。一方、このような入試では、問いを立てる力、必要な情報を集める力、資料を比較・検証しながら根拠を積み上げる力が重視されます。
鈴木先生
総合型選抜は「学力試験免除?」と思われがちですが、小論文の出題を見ると「形を変えた学力試験」といえます。出題形式はさまざまですが、どの大学も「自ら考え、論理的に問題を解決できる人材」を求めている点は共通しています。
小論文は「いきなり」書かず、「5ステップ」で書く

小論文が苦手な受験生ほど、問題を開いたらすぐに書き始めてしまいます。しかし、大学が評価しているのは「早く書けること」ではありません。課題を正しく理解し、論理的に考え、適切な解決策を導き出せるかどうかです。
スポーツでも準備運動をせずに試合へ入らないように、小論文にも「書く前の準備」があります。
合格答案を書くための流れは、次の5つのステップです。
STEP1 出題形式を確認して条件を把握する
問題用紙を開いたら、最初に確認したいのは出題形式です。
課題文型なのか、資料型なのか。それとも両方が組み合わさっているのか。さらに、設問はいくつあるのか、字数は何字なのかも確認しましょう。大学によっては、「問1で課題文を要約し、問2で自分の考えを述べる」といったように、設問ごとに役割が分かれています。
まずは設問ごとの役割を正しく理解することが出発点です。
STEP2 出題意図を読み取る
設問を確認できたら、いよいよ課題文や資料の内容を読みましょう。
大事なのは「出題者は何を考えさせたいのか」を考えながら読むことです。
例えば資料が複数ある問題では、一見すると矛盾しているデータが並んでいることがあります。資料1ではある政策の効果を示しているのに、資料2ではその限界を示している、といったケースです。
資料同士の関係性や矛盾に気付けると、出題意図を深く理解している答案になります。
STEP3 段落構成を決める
内容が理解できたら、ようやく構成を考えます。
まず、この問題は「ディベート型」なのか、それとも「ディスカッション型」なのかを判断しましょう。その上で、各段落に何を書くかを箇条書きでメモします。ここでよくある失敗は、「問題提起」「原因」「解決策」と見出しだけを書いて満足してしまうことです。それでは本番で内容が膨らみません。
例えば「問題提起」と書くのではなく、「地方で高齢者が買い物や通院に困っている」のように、誰が何に困っているのかまで具体的に書きます。
「原因」も、「若者が都市へ流出する」「働く場所が少ない」など、中身までメモしておくと、本文がスムーズに書けるようになります。
STEP4 本文を書く
構成が決まったら、いよいよ本文を書き始めます。各段落は、まず結論や要点を書き、その後に理由や具体例を説明する流れが基本です。
また、本番では字数配分も意識しましょう。例えば600字以内なら、答案用紙を200字ずつ三等分する位置に小さく印を付けておくと便利です。これだけで、「最初の段落だけ長くなった」「最後が50字しか書けなかった」といった失敗を防ぎやすくなります。段落ごとの分量を目で確認できるので、全体のバランスも整います。
【書き出しのコツや例を詳しく知りたいなら、こちらの記事がおすすめ】
STEP5 答案を見直す
書き終えたら、そのまま提出してはいけません。残った時間で答案を見直しましょう。
もちろん誤字脱字や表現のミスも確認しますが、それよりも大事なのは、「設問に答えているか」です。特に、「原因・デメリット」と「解決策」がきちんと対応しているかは必ず見直しましょう。
もし書いているうちに話がズレてしまっていたら、最後の段落で設問のキーワードに結びつけ、強引にでも辻褄を合わせましょう。多少文章が粗くても、結論で全体の辻褄を合わせることができれば「一貫性のある文章」という印象になります。
【結論の書き方や例文を見たい人は、こちらの記事がおすすめ】
鈴木先生
焦る気持ちでいきなり書き始めてはいけません。書いている途中で「あれ、なんか違う」と書いては消し、書いては消しをくり返して、結局完成せずに時間切れになりがちです。急がば回れ。5つのステップをしっかり守った方が時間内に書き終わります。
【小論文の基本ルールをチェック】記入用紙の使い方や避けたい表現

小論文には、内容の組み立て方以外にも、守るべき基本ルールがあります。採点者に「わかっていない」という印象を与えないよう、ここでチェックしておきましょう。
<用紙形式に関わらず共通するルール>
| チェック項目 | NG例 | OK例 |
|---|---|---|
| 文体は「である調」で統一する | 〜です。〜ます。 | 〜である。 |
| 話し言葉(口語体)を使わない | だから、あと、ギリギリ、イライラ | したがって、また、直前まで、苛立つ |
| カタカナ語を多用しない | リスペクト、インパクト | 尊重する、影響(「ビジネス」等の定着語はOK) |
| 略語を使わない | スマホ、コンビニ、WHO | スマートフォン、コンビニエンスストア、世界保健機関(問題文が略語表記の場合はそのまま可) |
| 重複表現に注意する | 違和感を感じる、すべてを一任する | 違和感を覚える、一任する |
| 同じ言葉の多用に注意する | (同一語を繰り返す) | 類語で言い換え、文章にリズムを持たせる |
<原稿用紙(マス目あり)を使う場合のルール>
| チェック項目 | 内容 |
|---|---|
| 促音・拗音・句読点・かぎかっこの扱い | 「っ」「ゃ」「、」「」もそれぞれ1マス使う |
| 行頭に句読点・閉じかっこが来る場合 | 前の行の最後のマスに書く(行の最初のマスには書かない) |
※罫線のみ(マス目なし)の解答用紙を使う大学の場合、表2のルールは適用されません。
失敗の原因は「知識の不足」ではなく「課題とのすれ違い」

小論文の失敗には、実は共通点があります。知識や熱意が足りないのではなく、課題が求めていることとかみ合っていないのです。ここでは、よくある4つの失敗パターンを見ていきましょう。
自分の「意見」を自由に書く
「あなたの意見を述べなさい」と書かれているからといって、自分の思ったことを自由に書けばよいわけではありません。
小学校では、「夏休みの思い出」や「将来の夢」のように、自分の気持ちや体験を表現する作文を書いてきました。そこでは、何を感じ、何を考えたのかという自己表現そのものが評価の対象でした。
しかし自己表現を学ぶ作文指導と、社会問題を解決する小論文指導は、目的そのものが違います。小論文では、自分自身について語るのではなく、社会をより良くするためのアイデアを論理的に提案することが求められているのです。
課題文や資料の内容を無視してしまう
大学入試では、課題文や資料が与えられる問題が大半を占めます。それにもかかわらず、自分が知っている知識だけで書いてしまう受験生は少なくありません。これは非常にもったいない失敗です。
課題文や資料は、出題者が「この視点で考えてほしい」と用意したものです。特に複数の資料がある場合は、それぞれが異なる視点を示していることもあります。
それを無視してしまうと、どれほど立派な内容を書いても、設問の要求に答えていない答案になってしまいます。課題文や資料は「参考資料」ではなく、「問題の一部」であるという意識を持つことが重要です。
感想文や体験談だけで終わってしまう
「私も部活動で同じ経験をしました。」「祖父母の家で似たような出来事がありました。」
具体例として体験談を書くこと自体は悪くありません。しかし、それだけで終わってしまう答案は評価されません。
大学が知りたいのは、あなたの思い出ではなく、社会の課題を分析し、解決策を考える力だからです。
体験談を書くなら、それを問題提起や原因分析につなげ、最後は必ず社会全体の解決策へ発展させましょう。
「私はこう感じました」で終わる文章は感想文です。「だから社会ではこう改善すべきだ」と提案して初めて小論文になります。
知識を詰め込みすぎて、主張が見えなくなる
ニュースや時事問題を一生懸命勉強すると、覚えた知識を全部書きたくなるものです。しかし、知識が多いほど良い答案になるとは限りません。統計や専門用語を次々と並べても、「結局あなたは何を提案したいのか」が伝わらなければ意味がありません。
知識があれば、課題文や資料を理解しやすくなります。でもどこかで見聞きしてきた知識で原稿用紙を埋めようとしてはいけません。主役は知識ではなく、あなたが考えた解決策です。
鈴木先生
小論文で減点される理由の多くは、文章力ではありません。「何を書く試験なのか」を勘違いしていることです。
練習法は「とにかく書く」より「考えるトレーニング 」

小論文は、自己流で書きまくっても上達しません。過去問で出題の傾向を分析し、実際に書き、添削を受けて見直し、日頃から考える習慣をつける。この一連の「考える」プロセスを繰り返すことで、初めて本番で使える力になります。ここでは、効果的な練習の進め方を3つ紹介します。
過去問チェックで「大学ごとの視点」を知る
小論文対策は、まず志望校の過去問を見ることから始めましょう。
大学によって、課題文型が多いのか、資料型が多いのか、要約問題が出るのかなど、出題の特徴は大きく異なります。「小論文」と一括りに考えるのではなく、「この大学は何を見ようとしているのか」を知ることが対策の第一歩です。志望校の傾向がわかれば、普段の練習でも何を重点的に取り組めばよいかが見えてきます。
第三者の添削は、間違い探しではなく「客観的な検証」
小論文は、自分ではうまく書けたと思っていても、設問の要求から外れていたり、解決策が問題点とかみ合っていなかったりすることが少なくありません。そのため、書きっぱなしにせず、第三者に添削してもらうことが大切です。
添削を受けるときは、「文章が変ではありませんか」と聞くよりも、「設問に答えられていますか」「原因分析と解決策はつながっていますか」といった視点で見てもらうと、より効果的です。
また、一度添削して終わりではなく、指摘された内容を踏まえて書き直すことで、本当の意味で力が身につきます。同じ失敗を繰り返さないよう、添削済みの答案は保存しておき、試験前に見返す習慣をつけるとよいでしょう。
日常のニュースは、単なる情報収集ではなく「問題解決の訓練」
小論文の勉強だからといって、毎日何本も時事問題の記事を読んだり、知識を暗記したりする必要はありません。大切なのは、ニュースを見たときに「何が問題なのだろう」「誰が困っているのだろう」「なぜ解決できないのだろう」と考える習慣をつけることです。
例えば、「地方でバス路線の廃止が相次いでいる」というニュースを見たら、「高齢者の移動手段が失われる」という問題提起だけで終わらせず、「なぜ利用者が減っているのか」「行政や企業はどのような対策ができるのか」と一歩踏み込んで考えてみましょう。
ニュースを「知識」として眺めるのではなく、「問題解決の練習問題」として見る習慣をつけることが、小論文対策として最も効果的なトレーニングになります。
鈴木先生
小論文の練習は、「書く」より「考える」時間の方が大切です。問題提起、原因、解決策を考える習慣が、本番で書ける力につながります。
小論文の書き方についてよくある質問

小論文の書き方について、よくある質問に答えます。
小論文では自分の人柄・やる気を書いてもよいですか?
基本的には不要です。評価されるのは分析力と提案力です。「入学後の抱負を交えて述べなさい」のように設問で求められていない限り、決意表明ではなく具体的な解決策を書きましょう。
小論文対策にAIを使ってもよいですか?
まったく書けない人がサンプルを書いてもらう、志望する分野の知識を増やすために利用する、書いた答案を添削してもらう、などの使い方ならOKです。
小論文は独学でも対策できますか?
基本的な考え方や書き方は独学でも身につけられます。
ただし、小論文は「自分では書けているつもり」でも、設問に答えていなかったり、原因分析と解決策がずれていたりすることが少なくありません。
そのため、ある程度書けるようになったら、学校の先生や塾の講師など第三者に添削してもらうことをおすすめします。
書いて終わりではなく、「なぜここが減点されるのか」を知ることが、小論文上達への一番の近道です。
まとめ 小論文を書くときは、問題解決の視点で臨む

小論文は、文章のセンスを競う試験ではありません。自分の意見を自由に述べる作文とは違い、社会の課題を見つけ、その解決策を論理的に提案する文章です。
出題されるテーマが「賛成・反対に分かれる問題」なのか「誰が見ても問題である事柄」なのかを見極め、ディベート型・ディスカッション型を使い分けること。そして、出題形式を確認し、出題意図を読み取ってから構成を考え、書き始めるという順序を守ること。この2つを押さえるだけで、答案の説得力は大きく変わります。
とはいえ、頭で理解しただけでは、本番でとっさに書けるようにはなりません。まずは志望校の過去問を1つ手に取り、「このテーマはディベート型かディスカッション型か」を判断するところから始めてみましょう。書いた答案は、自分だけで抱え込まず、学校の先生や塾の講師に見てもらうことをおすすめします。「設問に答えられているか」という視点でのフィードバックが、上達への近道です。
監修者プロフィール
合同会社ロジカルライティング研究室代表。ベストセラー参考書「何を書けばいいかわからない人のための 小論文のオキテ55」シリーズ著者。元・代々木ゼミナール講師。小論文を「文章表現ではなく問題解決の科目」と再定義し、合格率を倍増させる。NHK Eテレ「テストの花道」出演、朝日中高生新聞の連載などメディアでも活躍。現在は全国の高校で小論文講習会を開催するほか、企業からも講演、研修のオファー多数。東北大学大学院文学研究科修士課程修了(認知心理学専攻)
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
注目の塾
PR

