共通テスト世界史の勉強法!失点原因を見直して7〜9割を狙う5ステップ
「世界史は暗記すれば点が取れるはずなのに、共通テスト形式になると史料や地図、グラフを見た瞬間に迷ってしまう」。そんな悩みを抱えている受験生は少なくありません。
この記事では、「共通テスト世界史」2026年度の平均点や出題傾向をもとに、点が取れない原因、5ステップの勉強法、問題タイプ別の攻略法、参考書・過去問の使い方までを解説します。読み終えたころには、自分に何が足りていないのか、そして次に何を勉強すればいいのかが見えてくるはずです。
なお、本記事は現役東大生でカルペ・ディエムに所属し、『ドラゴン桜』公式noteなどを担当する教育ライター・光永帆希さんの監修のもとで作成しています。
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者
光永帆希
東京大学前期教養学部文科2類2年生在籍。ドラゴン桜公式noteライターとして毎週記事を連載。通信制高校の探究学習講座の設計を担当。 2006年生まれ。奈良県の高校から予備校なしで東京大学に現役合格。受験のための勉強というよりも好奇心による学びを重視し、高校時代は文系ながらSSH(スーパーサイエンスハイスクール)活動に参加。現在はアカデミックマインド講座(探究系講座)に加え、ドラゴン桜公式noteで学際的な視点や、勉強の楽しさを軸に記事の執筆を担当している。
目次
共通テスト世界史とは?2026年度の平均点・出題傾向

まずは、現在の「歴史総合,世界史探究」がどのような試験なのかを確認していきます。
2026年度の実際の問題をもとに、平均点や大問構成、資料問題の特徴、歴史総合への対応を整理します。年度ごとの数字を眺めるだけで終わらせず、そこからどのような対策が必要になるのかまでつなげていきます。
2026年度の平均点は60.88点
大学入試センターの発表によると、2026年度(令和8年度)本試験における「歴史総合,世界史探究」の平均点は60.88点でした。前年の2025年度は66.12点だったため、5点以上下がったことになります。
ただし、平均点だけを見て「今年は難しかった」と単純に判断するのは危険です。問題の分量や資料の読み取り量、選択肢の作り方によって、体感的な難易度は大きく変わります。
過去数年の推移を見ても、年度によって得点状況は変化しています。まずは自分の得点を、直近の平均点と照らし合わせて現在地を把握することから始めましょう。
参考:共通テスト 受験者数・平均点の推移(本試験)|大学入試センター
光永先生のアドバイス
共通テスト世界史では、平均点についてそこまで気にする必要はありません。むしろ模試や過去問で自分の点数が安定しているかどうかの方を気にするべきです。
世界史では難しい語句が出題されるときというよりも、概念理解や抽象的な理解が問われるときに平均点が下がりやすくなるため、自分の理解が深ければ点数は安定しやすいです。
偶然解答が当たることも少なくないので、普段の演習では、結果と平均点がどれだけ近いかではなく、手ごたえが悪かったときや明確な知識不足を感じたときを一つの目安にするのが良いでしょう。
2026年度は大問5題・32マーク
2026年度本試験の「歴史総合,世界史探究」は、大問5題・解答番号32個(32マーク)という構成でした。
特に押さえておきたいのが、第1問が「歴史総合」、第2問以降が「世界史探究」という構成になっている点です。つまり、世界史の知識だけを固めても、歴史総合の範囲を無視していては得点が伸びにくい試験だといえます。
下の表は、2026年度本試験における大問ごとのテーマとマーク数をまとめたものです。
| 大問 | 主なテーマ | マーク数 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 第1問(歴史総合) | 近現代における都市の変容(パリ・東京・植民地都市など) | 1〜8(8問) | 25点 |
| 第2問 | 世界史上における様々な法のあり方とその運用 | 9〜15(7問) | 21点 |
| 第3問 | 歴史に触れるきっかけや歴史を伝える手段 | 16〜21(6問) | 18点 |
| 第4問 | 歴史上に見られたさまざまな「帝国」のあり方 | 22〜27(6問) | 18点 |
| 第5問 | 税制度と社会変容 | 28〜32(5問) | 18点 |
この表からわかるのは、第1問の歴史総合パートだけで25点分の配点があるという点です。世界史探究の対策に偏りすぎると、歴史総合パートで思わぬ失点につながりかねません。大問によってマーク数や配点が異なるため、過去問演習を通じて時間配分を調整しておくことも大切です。
光永先生のアドバイス
共通テスト世界史では、一問ずつ知識をあてはめていく能力は実はそこまで求められていません。大問にはそれぞれテーマがあり、複数の資料や設問がその周囲に配置されています。
普段の演習から、解き始める前に問題全体を一度眺める習慣を持つとよいでしょう。どこに時間がかかりそうか、どの資料が重要そうかを把握してから入るだけでも、処理の仕方は変わります。
一問に詰まると視野が狭くなるため、共通テストでは、目の前の問題を解く力と同じくらい、問題全体を俯瞰する力が必要です。
史料・地図・グラフの読み取りが多い
共通テスト世界史では、教科書で身につけた知識に加えて、史料、地図、統計、図版、会話文などを読み取り、知識と組み合わせて判断する問題が多く出題されます。
大切なのは、資料を読む力だけでも、世界史の知識だけでもありません。資料から読み取った情報と、自分が持っている知識を組み合わせて判断する力が求められています。
だからこそ、一問一答を覚えるだけでは点数が安定しにくいのです。この点については、次の章で詳しく見ていきます。
光永先生のアドバイス
資料問題が苦手な人ほど、資料を知らない情報として見てしまいがちです。しかし、資料では教科書で学んだことが別の形式で現れています。例えば香港の経済発展を題材にしているものの、実際は冷戦期に起こった戦争の時期について聞いているといった具合です。
普段から、ある出来事を学んだら資料集で地図や図版を見る。人物を覚えたら史料に触れる。こうした往復をしておくと、資料が初見でも完全な未知にはならなくなります。
単語として個別的に知識を覚えるというより、周辺知識・関連知識をまとまりで覚えることで、資料が指す世界史の出来事を連想しやすくなります。
歴史総合では日本史の知識も問われる
正式な科目名は「歴史総合,世界史探究」です。歴史総合では、日本と世界の近現代のつながりが扱われるため、世界史選択だからといって日本の歴史を完全に無視することはできません。
とはいえ、日本史探究の全範囲を一から学び直す必要はありませんが、「歴史総合」の教科書範囲はきちんと押さえておく必要があります。2026年度の第1問では、江戸時代の海運や文化住宅、田中角栄内閣など、世界史中心で学習してきた受験生には対応しづらい日本史の知識も問われました。
日本と世界の政治・社会・経済の変化を、同じ時代の出来事として関連づけながら確認しておきましょう。
光永先生のアドバイス
世界史選択者が歴史総合の日本史に取り組む際、日本史をもう一科目増やしたような勉強をする必要はありません。細部まで覚え始めると、学習時間の配分が崩れます。
押さえるべきなのは、日本史の単語知識そのものより、近現代の日本が世界の中でどこに位置していたかという歴史の流れでしょう。開国、帝国主義、世界大戦、冷戦。こうした世界史上の転換点に日本史を重ねれば、二つを別々に暗記する必要はなくなります。
歴史総合対策は知識の追加というより、既存の世界史に日本を接続する作業として捉えれば、効率もよく、世界史の理解にも好影響なはずです。
共通テスト世界史で点が取れない4つの原因

ここからは、この記事の中心的なテーマに入ります。すぐに勉強法を提示するのではなく、まずは自分がどのタイプで失点しているのかを判断してみましょう。
同じ60点でも、知識不足で落としている人と、資料問題で時間切れになっている人とでは、やるべき対策がまったく異なります。以下の表は、失点しやすい問題のタイプと、その背景にある原因の対応関係を示したものです。
| 失点しやすい問題 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 正誤問題で選択肢を絞れない | 用語の暗記だけで終わっている |
| 年代整序で順番を間違える | 時代・地域のつながりが曖昧 |
| 史料・地図問題で時間がかかる | 資料と知識を結びつけられていない |
| 模試で急に点が下がる | 共通テスト形式の演習が足りない |
この表からわかるのは、失点のパターンごとに、優先して鍛えるべき力が異なるという点です。自分がどの列に近いかを確認しながら、次の項目を読み進めてみてください。
用語の暗記だけで終わっている
人物名や事件名、制度名を覚えていても、それがいつ起きたのか、なぜ起きたのか、その後どうなったのかまで説明できなければ、共通テストでは得点になりにくいです。
正誤問題や資料問題では、単語を知っているかどうかではなく、その背景や因果関係を理解しているかどうかが問われます。
「覚えている」と「共通テストで解ける」は、まったく別の状態だと考えてください。この違いに気づけるかどうかが、最初の分かれ道になります。
光永先生のアドバイス
用語を覚えているのに問題になると解けないのは、その知識が孤立しているからです。
ある用語を見た瞬間に、その時代や地域、関連する人物や出来事まで広がる状態になっているのかどうか。ここには大きな差があります。
一問一答で答えられることは、知識の入口にすぎません。共通テストでは、その知識をどの文脈で使うかが問われます。
とはいえ、膨大な流れ全体をすべて把握しにいこうとするのは大変なので、覚えた出来事について、なぜそれが起きたのか、そしてなにに影響を及ぼしたのかを個別的に言えるようにする意識で取り組みましょう。
時代・地域のつながりが曖昧
国や王朝ごとにバラバラに覚えてしまい、同じ時代に他の地域で何が起きていたかを整理できていないケースもよく見られます。
世界史の学習では、時代の流れという縦のつながりと、同時代の地域間の関係という横のつながりの両方を意識する必要があります。
年代整序問題や正誤問題でつまずきやすい人は、この横のつながりが弱い可能性があります。教科書の年表を眺めるときも、複数の地域を同時に見る習慣をつけてみましょう。
光永先生のアドバイス
世界史を理解するうえで、「タテ」と「ヨコ」は分けて考えるべきですが、その際に起点になるのは各地域・国家です。
まずは一つの地域の歴史を時間軸に沿って追う。王朝の交代や制度の変化など、大きな流れをつかむ。その後で、同じ時代に他地域では何が起きていたかを重ねるようにしましょう。
例えば近代のイギリスでは国内では資本主義社会の成長と議会政治を展開していた。と学んだのなら、そのころフランスやドイツ、ロシアや中国はどうなっていたのかを確認するというように進めます。
地域間のつながりや因果関係まで見えると一気に問題に取り組みやすくなります。
資料と知識を結びつけられていない
史料や地図を見た瞬間に、すべてを読み込まなければと考えて時間を使いすぎたり、逆に知識だけで答えようとしたりするケースがあります。
資料問題では、資料の読み取りと知識の両方を組み合わせて考えることが重要です。資料そのものから得られる情報と、すでに持っている世界史の知識をつなげる意識を持ちましょう。
まずは資料から読み取れる事実を整理し、そのうえで関連する知識を当てはめるという順番を意識してみてください。
光永先生のアドバイス
資料問題では、最初から「これは何についての資料か」を決めつけない方がよいでしょう。
まず、そこに何が書かれているか、何が示されているかを見る。人名、地名、制度、数値など、手がかりになる部分を拾います。その後で、自分の知識と結びつければ十分です。資料に答えがなければ、必ず自分が今まで学んできた中に答えがあります。
前漢の経済の史料なら武帝→塩鉄酒の専売、均輸・平準法→その具体的な内容といった具合に知識を結び付けていけば答えに必ずたどり着けます。
共通テスト形式の演習が足りない
一問一答や学校の定期テストでは得点できるのに、模試や過去問になると点数が下がるケースもあります。
これは単純な知識不足というより、長い問題文や複数資料、選択肢の比較、時間制限に慣れていないことが原因である場合が多いです。
基礎知識を身につけたあとは、知識を実際の問題で使いこなす練習へと移る必要があります。次の章では、その具体的な学習順序を紹介します。
光永先生のアドバイス
知識は身についているのに点数が伸びない場合は、演習を始めない限り、自分に何が足りないかわからない状態のままです。
もちろんその人の相性にもよりますが、通史がある程度進んだら、完成を待たずに多少問題にも触れるべきです。知識を覚えることと、それを問題の中で使えることは別だからです。
演習で失点したら、再びインプットに戻る。この往復の中で知識は整理されます。問題を解く量を増やす際には、復習を教科書の該当箇所を読むことで行うことも共テ対策にとても有効です。
共通テスト世界史の勉強法|5ステップ

ここからは、実際にどのような順番で勉強を進めればいいのかを解説します。
目指す得点によって、重視すべきステップの完成度は変わってきます。7割を目指す場合は基礎知識の取りこぼしを減らすことが中心になり、8割を目指す場合は正誤問題や資料問題の安定が鍵になります。9割を目指す場合は、判断の精度と時間配分まで仕上げる必要があります。
以下の表は、目標点ごとに特に重視したいポイントを整理したものです。
| 目標点 | 特に重視したいこと |
|---|---|
| 7割 | 基礎知識の取りこぼしを減らす |
| 8割 | 正誤・資料問題を安定させる |
| 9割 | 判断精度と時間配分まで仕上げる |
この表が示しているのは、7割なら途中のステップだけで十分という意味ではありません。5つのステップはすべての目標点に共通して必要ですが、どこまで完成度を高めるかが目標によって変わってくるということです。
STEP1|まず通史を一通り学ぶ
最初の段階では、細かい用語をすべて暗記しようとする必要はありません。古代から現代までの大きな流れを、まずざっくりとつかむことを優先します。
どの時代に、どの地域で、どのような変化が起きたのか。この大枠が頭に入っているだけで、後の学習効率は大きく変わってきます。
一周目で完璧を目指す必要はなく、まずは全体像を作ることを意識してみてください。細部は次のステップ以降で補っていけば問題ありません。
光永先生のアドバイス
この段階で重要なのは、すべてを覚えることではなく、歴史の骨格をつかむことです。どの地域で何が起き、それが次に何につながったのか。細部が曖昧でも、この流れが見えていれば先へ進んで構いません。
むしろ、全体像がないまま用語だけを増やす方が危険です。具体的には教科書の各単元において各時代、例えば古代インドがどのような時代だったのか、を自分の言葉で表現できるようになれば大枠は理解した状態だといえるでしょう。
STEP2|基本用語を定着させる
通史の全体像をつかんだら、教科書レベルの人物や出来事、制度などを覚えていきます。このとき、単語だけを単独で覚えるのではなく、用語と時代、地域、意味をセットで覚えることがポイントです。
一問一答は便利なツールですが、単純な暗記だけに使うのではなく、自分の知識の穴を見つけるために活用すると効果的です。
間違えた問題があれば、その場で答えを覚え直すだけでなく、教科書に戻って周辺の流れまで確認する習慣をつけましょう。
光永先生のアドバイス
世界史の用語は、単語として覚えた瞬間から忘却が始まります。
重要なのは、一つの用語にどれだけ多くの情報を結びつけられるかです。人物なら時代や地域、対立相手や政策まで、出来事なら原因と結果まで引き出せる状態が理想でしょう。
すべてをノートに書き込む必要はありません。むしろ、用語を見た瞬間に周辺知識が連鎖的に浮かぶかを確認する方が重要です。暗記とは情報を増やす作業ではなく、すでにある知識同士の結びつきを強くする作業でもあります。
かけた時間ではなく復習の頻度を重視し、初めて覚えた単語は翌朝にはもう一回チェックするなど習慣化することがポイントです。
STEP3|時代・地域・因果関係をつなげる
このステップは、共通テスト対策のなかでも特に重要な段階です。「Aが起きたことでBにつながった」といった因果関係や、同じ時代に別の地域で何が起きていたかを整理していきます。
年表や地図を活用しながら、時代の流れという縦の軸と、地域間のつながりという横の軸の両方を意識して学習を進めます。
このタテとヨコのつながりを作れるかどうかが、正誤問題や年代問題の得点力に直結します。焦らず、丁寧に整理していきましょう。
光永先生のアドバイス
ある地域の出来事を確認したら、同じ時期に他地域で何が起きていたかを見る。その比較によって、初めて世界史の全体的な理解が可能になります。地図も同じです。国名や都市名を確認するだけでは不十分でしょう。
なぜそこに国家が生まれたのか、なぜその地域で交易が発達したのかを考える必要があります。時間軸と空間軸の両軸を考えることが知識の体系化につながるため、個人的なおすすめは、何も見ない状態でノートに関連する単語を書き、その単語同士を矢印など記号を使ってまとめるやり方です。
自分で一からまとめることで理解していない論理構造や、不足する知識がわかるようになります。
STEP4|史料・地図・グラフに慣れる
資料集などを活用して、教科書で覚えた内容を史料や地図、図版、統計と結びつけていきます。
ただ資料を眺めるのではなく、この地図はどの出来事と関係しているのか、このグラフが変化した背景には何があるのかまで、自分の頭で考えることが重要です。
この作業を繰り返すことで、初めて見る資料に対しても、知識をもとに推測する力が身についていきます。
光永先生のアドバイス
資料集を漫然と眺めても、知識はほとんど定着しません。
資料を見るときは、自分から問いをつくる必要があります。この史料は誰が書いたのか。この地図では何が偏在しているのか。このグラフはどこで変化しているのか。問いがあることで、資料は初めて情報になります。
そして、その答えを教科書の知識と結びつけます。共通テストの資料問題も、結局はこの作業の延長です。資料集は鑑賞するものではなく、自分の知識に疑問を投げ返すための教材として使う方がよいでしょう。
STEP5|共通テスト形式で演習する
最後の段階では、これまで身につけた知識を実際の問題で使える状態に仕上げていきます。共通テスト型の問題集や過去問を活用し、資料を読み、選択肢を比較し、根拠を持って答え、制限時間内に解く練習を重ねます。
点数の良し悪しだけを見て一喜一憂するのではなく、なぜ間違えたのかを分析することが、得点アップへの近道になります。
光永先生のアドバイス
演習後に点数だけを確認して終わるのは、最ももったいない勉強法の一つです。見るべきなのは正答率ではなく、なぜ間違えたのかという失点の質でしょう。知識がなかったのか、資料を誤読したのか、二択で判断を誤ったのか。同じ不正解でも処理すべき課題は異なります。
特に「分からなかった」と一括りにするのは危険です。失点を分類できなければ、次の勉強も漠然としてしまいます。問題演習は実力を測るためだけではなく、自分の思考の欠陥を発見するために行うものです。
共通テスト世界史の問題タイプ別攻略法

前の章では勉強の進め方を紹介しましたが、ここからは本番でどう解くかという視点で見ていきます。共通テストで頻出する問題タイプごとに、再現性のある解き方を整理していきます。
正誤問題は「どこが違うか」を見抜く
正誤問題では、選択肢全体の雰囲気だけで判断してしまうと、正答率が安定しません。人物、時代、地域、出来事、因果関係のどこに誤りがあるのかを、一つひとつ確認していく姿勢が必要です。
正解を選ぶだけでなく、なぜその選択肢が誤りなのかを自分の言葉で説明できる状態を目指しましょう。
この習慣が身につくと、初めて見る組み合わせの選択肢に対しても、落ち着いて対応できるようになります。
光永先生のアドバイス
正誤問題の基本的な考え方は、選択肢を分解し、どこか一か所でも否定できないかを探すことです。
共通テストの誤答は、文章全体が荒唐無稽なわけではありません。大部分は正しく、一部だけが巧妙にずらされています。だからこそ、選択肢を全体の印象で処理しないことが重要です。正解の根拠を探すより、誤りの根拠を特定する。この視点を持つだけで、二択での判断はかなり変わります。
特に、本当にその時代なのかで迷うことが多いと思いますが、年号がわからなければ同時代の出来事や、周辺知識にまで視野を広げ、矛盾点を探すようにしてみましょう。
年代問題は基準となる出来事から考える
年代問題は、すべての出来事の西暦を丸暗記しなければ解けないわけではありません。世紀や王朝、重要な戦争や革命など、基準となる出来事をいくつか押さえておき、そこから前後関係を判断する方法が有効です。
重要な年代を覚える意味は、その前後に何が起きたのかを整理するための目印を作ることにあります。
年号だけを単体で覚えるのではなく、周辺の出来事とセットで押さえておくと、年代整序問題への対応力が高まります。
光永先生のアドバイス
年代整序問題のために、すべての出来事の年号を暗記する必要はありません。むしろ重要なのは、歴史を区切る大きな転換点を基準として持つことです。
特にフランス革命やウェストファリア条約など国際的に影響を及ぼした出来事や黄巣の乱などその国・地域にとって変化を引き起こした出来事を時代の目印にし、その前後に出来事を配置していく。そうすれば、細かな年号を知らなくても世界史全体での相対的な位置関係は判断できます。
「何年だったか」より「何の前後だったか」。この感覚で判断すれば年号を覚えていなくても戦うことはできます。ただし、因果関係や歴史の流れが頭に入っていることは前提になります。
史料問題は設問を先に確認する
長い史料をいきなり最初から完璧に理解しようとすると、時間がかかりすぎてしまいます。まず設問を先に確認し、何を読み取ればよいのかを把握してから史料に取り組む方法をおすすめします。
誰について書かれた史料なのか、いつの時代のものか、どの地域に関するものか、何について述べられているのか。この4点を意識するだけで、読解の効率は大きく変わります。
設問を先に見る習慣は、限られた時間のなかで正確に得点するための基本テクニックといえます。
光永先生のアドバイス
長い資料を前にすると、最初から全文を理解しようとする受験生がいます。しかし、共通テストで必要なのは精読ではありません。
まず設問を見て、何を探すべきかを把握する。そのうえで人名や地名、制度名などの手がかりを拾い、時代や地域を絞り込んでいくべきです。私が受験生だった時は資料は読まずに設問だけ見て問題を解き、設問だけで答えられない時のみ、傍線部や該当箇所の資料をつまみ読みしていました。
資料を見ないと答えられない問題は実はそこまで多くありません。設問ありきで答えるのが一番早く解答できるはずです。
地図・グラフは知識と資料を組み合わせる
初めて見る地図やグラフだからといって、知らないから解けないと考える必要はありません。
地図であれば場所や国境、交易路など、グラフであれば時期や増減、転換点など、資料から直接読み取れる情報をまず拾い出します。そのうえで、自分が持っている世界史の知識と組み合わせて判断していきます。
この手順を踏むことで、初見の資料であっても、落ち着いて解答にたどり着けるようになります。
光永先生のアドバイス
初見の地図やグラフを見ると、知らないので解けないと考えてしまいがちです。しかし、まず見るべきなのは資料そのものです。
まずどの時代・どの国についてのものなのかを把握して、その知識と照らし合わせながら資料を読んでいきます。どこに集中しているか、どの時期に変化しているか、何と何が対照的なのか。グラフを見れば必ず気になる点があり、それには世界史の要素が関連しているはずです。
世界史の知識は膨大なので、まずは時代と場所で候補を絞り込んだうえで頭の中で関係する知識を整理しましょう。
60分の時間配分を決めておく
共通テスト世界史は試験時間が限られているため、時間配分をあらかじめ決めておくことが重要です。
大問ごとの目安時間を決めるだけでなく、迷った問題に時間をかけすぎない、難しい問題はいったん飛ばす、最後に見直しの時間を残すといった運用面の工夫も欠かせません。
過去問を解きながら、自分に合った時間配分を事前に見つけておくことをおすすめします。本番で焦らないためにも、時間管理は早めに練習しておきましょう。
光永先生のアドバイス
60分という制約の中では、すべての問題に同じだけ時間を使うことはできません。すぐに処理できる問題を確実に回収し、判断に時間がかかる問題は一度保留する。その切り替えが必要です。少しでも迷う、ど忘れしたと思ったときにはあとから戻ってきた方がすぐ思いつく場合も多いです。
一問に執着して全体の時間配分を崩すのはなによりも避けたいため、印をつけて先に進みましょう。追加の時間を5分程度はとって、不安なところは見直せるようにもしましょう。
ついつい本番の時間管理は、その場の感覚で変更してしまいがちなので、まずは完全に予定通りの時間で解く練習が必要です。
参考書・問題集・過去問の使い方

ここでは、具体的な商品を比較するのではなく、教材ごとの役割を理解して正しく使い分けるための考え方を紹介します。参考書を何冊もそろえることより、今持っている教材を何のために使うのかを意識することのほうが重要です。
参考書は通史の理解に使う
教科書や講義系の参考書は、人物名を覚えるためだけのものではありません。出来事の流れや因果関係を理解するために活用するという意識を持ちましょう。
複数の参考書を並行して進めるよりも、一冊を軸に繰り返し読み込むほうが、知識が整理されやすくなります。
通史理解のための一冊を決めたら、迷わずそれを繰り返し使い込むことをおすすめします。
光永先生のアドバイス
教科書・参考書を読むときに重要なのは、文章を追いながら歴史の因果関係を自分で補うことです。「なぜこの出来事が起きたのか」「その結果、何が変わったのか」と考えながら読む。
同じ箇所を繰り返す場合も、単純な反復では意味が薄いでしょう。一周目は流れ、二周目は因果関係、三周目は他地域との接続というように、読む目的を変える必要があります。読み終えた後、何も見ずに歴史を再構成できるか。
この確認がなければ、学習というより情報の通過に近いものになります。
一問一答は知識の穴を見つける
一問一答は有効な教材ですが、それだけで共通テスト対策を完結させるのは避けたいところです。
間違えた用語があった場合、その用語だけを覚え直すのではなく、教科書に戻って前後の流れまで確認するという使い方を意識してください。
こうすることで、単語の暗記が、時代や因果関係の理解と結びついた知識に変わっていきます。
光永先生のアドバイス
一問一答を何周したか自体は、学習の質をほとんど保証しません。答えられなかった問題を見つけたら、その用語だけを覚え直すのではなく、教科書に戻って前後の文脈を確認する必要があります。
なぜその人物が登場し、何を変えたのか。周辺まで辿ることで、単語同士を体系化して扱えます。また、正解した問題も安心材料にはなりません。その用語から関連事項をどこまで引き出せるかを試すべきでしょう。
一問一答は知識を完成させる教材ではなく、知識の穴がどこにあるのかを確認するものだと考えてください。
資料集は知識と資料を結びつける
資料集を、きれいな写真を眺めるだけの本にしてしまうのはもったいないです。通史学習とセットで、地図や図版、写真、統計、年表を確認していきましょう。
このとき、この地図は何の出来事と関係するのか、このグラフはどの時代のものかまで考えながら見ることが大切です。
共通テストの資料問題対策として、資料集の使い方はとりわけ有効な手段になります。
光永先生のアドバイス
資料集は通史を終えてからまとめて開くものではありません。むしろ、教科書で新しい事項を学んだ瞬間に参照する方が効果的です。
交易を学んだら地図を見る。革命を学んだら図版を見る。抽象的な用語に空間や視覚的なイメージが与えられることで、知識の定着の仕方が変わります。
ただし、資料は細部まで暗記する必要はありません。教科書の内容と資料がどう対応しているかを確認するだけでも十分です。資料集は知識を追加する教材というより、すでに学んだ内容を別の角度から覚えることができる教材と考えるべきでしょう。
過去問は失点原因まで分析する
過去問については、何年分解けばいいかという量の話だけで終わらせず、復習の方法を中心に考えていきましょう。
間違えた問題は、知識不足なのか、時代や地域の混同なのか、資料の読み落としなのか、選択肢の読み違いなのか、それとも時間不足なのかに分類していきます。
そのうえで教科書や資料集に戻り、同じ原因で二度と間違えない状態まで復習することが重要です。解く、採点する、原因を分析する、復習する、解き直すというサイクルを繰り返していきましょう。
光永先生のアドバイス
過去問は、復習の質で価値が決まります。間違えた問題については、まず知識不足なのか、資料の読み違いなのか、設問の条件を落としたのかを分ける必要があります。
そのうえで、知識不足なら該当箇所だけでなく前後の歴史的文脈まで戻り、その単元全体の定着度をもう一度自分ではかりなおしましょう。
解説を読んで納得するだけでは、次に同じ形で問われたとき再び失点します。大切にしたいのは正解を知ることではなく、自分がどこで判断を誤ったのかを再現することです。
共通テスト世界史のよくある質問

ここでは、共通テスト世界史のよくある質問について解説します。
出やすい範囲はある?
特定の時代や地域だけに絞った山張りはおすすめできません。共通テストでは幅広い範囲から出題されるうえ、複数の時代や地域を関連づける問題も多く見られます。
まずは通史全体をまんべんなく押さえることが重要です。出やすい範囲を探すよりも、頻出する問われ方そのものに慣れておくほうが効果的といえます。
光永先生のアドバイス
「出やすい範囲」だけを学習する方法は、一見すると効率的ですが、共通テストではリスクが大きいでしょう。出題頻度の低い知識が思わぬ形で問われるため、知識を組み合わせる問題では、半分はわかるのにもう半分がわからないので点を落とすということにつながります。
もちろん、時間が無限にあるわけではないので優先順位は必要です。しかし、優先順位は苦手分野や、知識が定着していない分野を念頭に決めるべきで、「出やすい範囲」は存在しないと考えてください。
ただ、どうしても時間が足りなければ、個人的なおすすめですが、複雑で、歴史総合ともかぶる近代史から勉強するのが良いのではないでしょうか。
年号まで覚えたほうがいい?
すべての出来事の西暦を丸暗記する必要はありません。ただし、年代整序問題を解くためには、時代を判断する基準となる重要な年代を押さえておくと有利になります。
年号そのものを覚えるというよりも、その前後にどのような出来事が起きたのかまでセットで覚えることを意識してみてください。
光永先生のアドバイス
世界史の年号をすべて暗記する必要はありません。ただし、年号を一切覚えなくてもよいという意味でもありません。
重要なのは、歴史の転換点になる出来事です。革命、大戦争、王朝の成立や崩壊、重要な条約などは、時代の位置関係を判断する基準になります。一方、それ以外は何世紀頃か、何の前後かを把握できれば十分な場合も多いでしょう。
ただし、年号を覚えていれば時短になり、有利になるのは間違いありません。100個程度なら1〜2週間あれば覚えられるため、余力があれば語呂合わせなどを駆使して覚えるのも一つの手ではあります。
世界史選択でも日本史の勉強は必要?
「歴史総合,世界史探究」を受験する以上、日本に関する内容もある程度は必要になります。
ただし、日本史探究の全範囲を学ぶ必要があるという意味ではありません。歴史総合で扱われる日本と世界の近現代史、その相互関係を押さえておくことがポイントです。
光永先生のアドバイス
世界史選択者にとって、歴史総合の日本史対策は日本史をどこまで勉強するかという問題ではなく、むしろ、世界史の知識体系の中に日本史をどう配置するかという問題でしょう。
開国から帝国主義、世界大戦、冷戦まで、日本の動きを国際社会から切り離して覚える必要はありません。細かな制度や人物に深入りするより、まず大きな時代の流れを押さえる。
世界史と重なる部分を利用すれば、学習負担はかなり抑えられます。限られた時間では、知識量よりも二つの歴史を統合する視点が重要になります。
まとめ 共通テスト世界史は知識と資料読解の両方を鍛えよう

ここまで、共通テスト世界史の平均点や出題傾向、点が取れない原因、5ステップの勉強法、問題タイプ別の攻略法、教材の使い方を見てきました。
共通テスト世界史で求められているのは、用語を暗記する力だけではありません。時代や地域、因果関係まで整理された知識と、史料や地図、グラフを読み取る力の両方を、同時に鍛えていく必要があります。
大切なのは、今の得点だけを見て一喜一憂しないことです。模試や過去問の結果を振り返り、自分がどのタイプで失点しているのかを確認したうえで、不足しているステップから順番に対策を進めていきましょう。
通史の理解から始め、基本用語を定着させ、時代と地域のつながりを作り、資料に慣れ、最後に共通テスト形式で演習する。この順番を意識するだけで、今の学習が本番の得点にどうつながるのかが見えてくるはずです。まずは自分の過去問を一年分見直し、失点の原因を書き出すところから始めてみてください。
光永先生のアドバイス
共通テストに限らず、世界史の学習では、最後までまだ足りない知識が残るものです。それをすべて埋めようとして焦る必要はありません。
むしろ直前期ほど、新しい知識を増やすことより、すでに覚えた知識を整理し直す作業に意味があります。模試で失点したことも、苦手な資料があったことも、本番の結果を決めるものではありません。
重要なのは、そこで何が足りなかったのかを把握し、次に修正することです。世界史は覚えた量だけでは決まりません。積み重ねた知識を、本番で発揮できるようにしていきましょう。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
東京大学前期教養学部文科2類2年生在籍。ドラゴン桜公式noteライターとして毎週記事を連載。通信制高校の探究学習講座の設計を担当。 2006年生まれ。奈良県の高校から予備校なしで東京大学に現役合格。受験のための勉強というよりも好奇心による学びを重視し、高校時代は文系ながらSSH(スーパーサイエンスハイスクール)活動に参加。現在はアカデミックマインド講座(探究系講座)に加え、ドラゴン桜公式noteで学際的な視点や、勉強の楽しさを軸に記事の執筆を担当している。
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