高校受験の勉強法、“無駄なやり方”に要注意!現役塾講師が改善策を解説

「一生懸命に勉強しているけど、成績が上がらない」「時間をかけてまとめノートを作ったのに、要点を覚えられない」などと悩んでいる高校受験生は多いのではないでしょうか。
自分では必死に工夫をして勉強しているつもりでも、実は効果が薄い無駄な勉強法になっている可能性があります。
今回は、高校受験勉強の効率を下げる無駄な勉強法を全部で4つピックアップ。学習効率&成績アップにつながる勉強法も一緒に紹介しますので、ぜひ、高校受験対策の参考としてください。

編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

監修者
大山雅司
塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。

高校受験生が「無駄な勉強法」を見直すべき理由
そもそも、なぜ「無駄な勉強法」を見直す必要があるのでしょうか。
無駄な勉強法とは、効率性が悪く、成績アップへつながりにくい勉強法といえます。高校受験生は学校の授業や部活動などをこなしながら、同時に志望校合格へ向けた受験勉強にも取り組まなければいけません。
限られた時間の中で学力を上げるためには、効率的な勉強が必須です。もし無駄な勉強法を続けてしまうと、思ったように学力は上がらないでしょう。
そして「もう勉強したくない」とモチベーションが下がり、高校受験本番までの勉強が難しくなるかもしれません。
もしかしてやってる?!高校受験の効率を下げる無駄な勉強法4つをチェック!
それでは、どのような場合に無駄が生じやすく、どのように改善をすれば良いのでしょうか。
無駄が生じやすい | 改善ポイント |
---|---|
目的と手段が合っていないことや、手段が目的となってしまっている場合に無駄は生じやすい。 | 「何ができるようになればよいのか」という勉強の目的をまずはっきりさせる。 |
具体例:英語の綴りを書きとることができるようになりたいなら手を動かして実際に書くことが最も有効ですが、単語の意味を日本語で答えることが目的であれば、何度も繰り返し英単語を見ながら日本語訳を思い出すことが有効。
大山先生が、塾講師としての経験とご自身の受験体験から見出した、無駄な勉強法は次の4つです。
① まとめノートへの過剰なこだわり
② 暗記し直せばいい問題で5秒以上考え込む
③ 分厚い参考書を端から全部暗記
④ すべてをひたすら書いて丸暗記しようとする
無駄な勉強法を見直し、改善策をとることで、学習効率と成績アップが図れます。部活動などで忙しい中学生も、限られた時間の中で学習効率を上げて、志望校合格に必要な実力を身につけられるでしょう。
学校の授業やテスト勉強で「ノート作り」に熱中したり、暗記したもののチェックに時間を掛けすぎると、以下のように効率低下につながります。
- 大事な授業内容を聞き逃してしまう
- 暗記のための反復回数が不足する
- 試験本番での時間配分に慣れない
次の章では、無駄な勉強法と改善策を詳しく解説していきます。
無駄な勉強法① ノート作りへの過剰なこだわり
ノート作りへ過剰なこだわりを持っていると、勉強の効率が悪くなります。
授業中の内容を後で見返すため、もしくは自学用で教科書の内容をまとめるためにノートを使用している高校受験生は多いのではないでしょうか。
しかし「ノートは華やかだけど、成績は良くない」といった高校受験生は、決して少なくありません。特に色使いまで含めて「きれいなノートを作ること」自体が目的になってしまうと、勉強の効率性は一気に低下します。
ノート作りへのこだわりが無駄な理由
授業でノートをとる際、蛍光ペンや定規を使っている高校受験生も多いのではないでしょうか。その場合、次のように無駄な手順がかかってしまいます。
- 鉛筆やシャーペンを机に置く
- 蛍光ペンを取り出す
- 定規を取り出す
- 蛍光ペンのキャップを外す
- 蛍光ペンと定規を使って線を引く
- 蛍光ペンのキャップをはめる
- 鉛筆やシャーペンに持ち換える
上記のような一連の流れをしているあいだに、先生が話している内容を聞き漏らしてしまう可能性があります。また美しさを追求するあまり、理解や暗記が二の次になってしまいます。
なかには「でも学校でノート提出があるから、やっぱりきれいにまとめないと!」と思う高校受験生もいるかもしれません。しかし、どれだけノートがきれいに完成されていても、定期テストの点数が悪ければ、内申点は上がりません。
優先するべきことは「きれいなノートづくり」ではなく「定期テストの点数アップ」です。
改善策:2色以下+余白メモで十分
まとめノートづくりで無駄な時間を費やしている高校受験生は、シンプルなノートづくりを意識しましょう。
筆記用具の色は2色以下、本当は黒1色だけで十分です。大事なところへ線を引く場合、別に黒でも問題はありません。「どの色にしようかな?」と、無駄に迷う時間をなくせます。
無駄に迷う時間をなくした分、先生の話をしっかり聞いて、授業内容を理解した方が効果的です。
授業中にとる理想的なノートは、余白を多めにとったスタイルです。板書をノートに写した後、先生が話したことや自分で気づいたことを、すき間にどんどん書きこんでいきましょう。
- 先生の板書をノートに写す
- 余白に先生の口頭指示や自分の気づきをメモする
- 後から強調したいところだけ、蛍光ペンで色づけする
上記の方法なら「書く→聞く→理解」に集中でき、復習するときも要点をすぐ把握できます。
注意点は、後で行うノートの見返しを意識しすぎないことです。
どれだけ見やすくてきれいなノートでも、授業中に何も話を聞いていなければ、後で見返しても内容がわかりません。
本来のノートの役割は、手を動かして、その場で授業内容を理解することを助けることです。「後で見返して復習するためのもの」ではなく「その場の理解を助けるもの」と考えるとよいでしょう。
また、蛍光ペンは装飾目的(自分が書いた文字に線を引くetc..)ではなく、以下の場面で使用するのがオススメです。
○ 単語帳で使用した単語をチェックする
○ ワークなどで復習すべき問題に印をつける
○ 教科書など、すでに書かれている記述を強調したい部分にラインを引く
無駄な勉強法② 暗記問題で5秒以上考え込む
暗記問題で5秒以上考え込むのも、代表的な無駄な勉強法です。
当然、数学の問題や読解問題など、じっくり時間をかけて頭を使うことが有効な勉強は当然ありますが、一問一答などのシンプルな暗記問題に取り組んでいるときに「うーん、何だったかな?」と、5秒以上考え込んでしまうのは、時間の無駄といえます。
暗記問題で5秒以上考えるのが無駄な理由
漢字や英単語、理科・社会の用語といった暗記問題で5秒以上悩むのは、覚えていない証拠です。
ワークや一問一答形式の問題で、1つの空欄に5秒以上考える時間があるなら、その時間を覚える時間に充てましょう。
反対に「どうやったら解けるのかな?」といった思考系の問題は、一つひとつにじっくりと取り組みます。
改善策:制限時間を設定して周回重視
どうしても暗記問題で考え込んでしまう高校受験生は、制限時間を設けてみるのが有効です。
「〇分で〇ページまで暗記する」「〇時までに、暗記問題を終わらせる」など、具体的な制限時間や終わらせるページ数などを設定してみましょう。手元にタイマーを置いておくのもおすすめです。
どのくらいの時間をかければよいのかわからない場合は、とりあえずの時間を設定します。少しずつやっていくうちに、費やすべき時間がわかってきます。
大山先生からのアドバイス:

大山先生
以前、漢字を覚えるのが苦手な生徒に「1日〇分以上は勉強しなさい」ではなく、「1日〇分以上は勉強しないように」と指導した方が、学習効果が上がったことがありました。制限時間があった方が、勉強に集中できるといえます。
高校入試は最終的に時間との戦いです。嫌でも時間に急かされることになるため、今のうちから時間を意識した勉強法を取り入れておくとよいでしょう。急ぐことに慣れて、入試本番の時間配分にも強くなります。
無駄な勉強法③ 分厚い参考書を端から全部暗記
分厚くて、教科書よりもかなり詳しく解説している参考書を、端から全部暗記しようとするのもやめましょう。
分厚い参考書を端から全部暗記が無駄な理由
辞書レベルに分厚い参考書を最初から丸暗記しようとすると、範囲が広すぎて早々に挫折します。
「全部を完璧に覚えたい」「分厚い参考書をやりきったらカッコいい」といった理由から意気揚々と取りかかれても、内容が細かすぎたり、使いにくかったりして、すぐにあきらめてしまう生徒は珍しくありません。
少なくとも高校受験においては、学校で配布される教科書や資料集などで対応できます。詳細すぎる参考書は、辞書的な補助ツールとして活用し、端から暗記するものではないことは理解しておきましょう。
改善策:教科書+ワーク→参考書へ展開
例えば、1・2年生で習った理科と社会の復習をする場合、使用する教材は次の2つに分けられます。
- わからないときの参考用
- 覚え込むための練習用
特に1つ目のわからないときの参考用は、学校で使用しているものでOKです。多くの受験生は最後に教科書へ戻るため、今のうちにわからない箇所があれば、教科書に戻る習慣をつけておくとよいでしょう。
教科書以上に詳しく解説している参考書は、教科書やワーク、問題集でわからない箇所を調べるときにだけ使います。
以下は、教科書や参考書を用いた復習手順の例です。
- 教科書や学校配布の資料で全体像を把握する
- 教科書ワークや問題集などで苦手単元を洗い出す
- 必要な箇所だけを参考書で深掘りする
暗記する範囲が広い場合でも「全体」→「詳細」の順を意識すると効率がアップします。例えば、社会の日本地理を覚えるときは「都道府県→代表的な山や川、平野、工業地帯→各地方」といった流れで勉強を進めていきます。
無駄な勉強法④ ひたすら書いて丸暗記
最後の無駄な勉強法は、すべてのものをとにかく書いて丸暗記しようとすることです。
前提として、書くこと自体は暗記する上で非常に有効な方法になります。特に、漢字の書き取りや、英単語の綴りなどは、最終的に「書くこと」が目的になるため、当然書く練習が一番の近道になります。また、書くことで普段よりも思考速度をあえて落とすことで細部まで注意が向き、結果的に理解の助けになることも多いです。
というわけで、勉強において「書く行為」は否定するものではありません。ただし、問題があるのは「書く」こと自体が目的になってしまうこと。頭が働いていない状態のまま、限度を超えてひたすら書き続けるのはやめましょう。
ひたすら書いて丸暗記が無駄な理由
漢字や英単語などを暗記する際、中学生によっては「書いた方が覚えやすい」と感じる子どももいるでしょう。暗記できるなら「書く」でも「読む」でも問題はありません。
注意してほしいのが、手段が目的になっていないかどうかです。
「ノートに書き続けているだけで、勉強している気になっている」といった場合、時間の無駄になっている可能性があります。
そして、暗記のためにひたすら書く勉強だけをしていても、高校入試で重要な思考力や英語の長文読解力は育ちません。
改善策:長文読解と‟書いて暗記”のバランス
例えば、英語に限った話をすると、ある程度の上位校を目指す場合、英単語や文法暗記だけでなく長文読解に取り組む演習量がどうしても必要になります。
都立高校の独自作成校は長文読解の文章量が多く、また日東駒専レベル以上の私立高校では、長文読解の割合が高まります。そのため、中学3年生の夏休み頃からは、長文読解の練習をスタートさせましょう。そして、長文読解の練習の段階になると、これまでの「単語や構文をひたすら書いて暗記」とは別の勉強法が有効になります。
長文の中で、どうしても訳せなかった文や解けなかった問題の根拠にあたる文はマーカーを引いて、訳文と比較しながら同じくマーカーを引く。そのうえで、英文を書いたり声に出して音読して定着させます。
また、苦手や覚えきれていない文法事項に気付いた時は、その都度おさらいをしましょう。着実に理解をするためには、長文中の熟語・文法問題は「解説」を参考にし、単語や熟語は専用のノートにまとめ、文法問題はその単元の問題集や参考書に戻り確認をするのがおすすめです。
「すべての復習が終わった段階で、繰り返し読み返す」という練習を積み重ねることで、長文も速く正確に読めるようになるでしょう。
まとめ:最初から効率を求めなくていい。大切なのは試行錯誤
限られた時間を最大限に活用し、学習効果をアップさせるためには、効率的・効果的な勉強法を取り入れることが大切です。
今回紹介した4つの無駄な勉強法を見直し、改善することで「授業の理解度がアップする」「定期テストや模試の成績が上がる」「高校受験本番の時間配分がうまくなる」といった効果が見込めます。
とはいえ、最初から完璧にうまく高校受験勉強を進めることはできません。どんなに勉強が上手な人でも、初めは無駄がある勉強を繰り返しつつ、試行錯誤しながら自分に合う勉強を見つけていっているものです。「勉強法がわからないから勉強しない」ことよりも「わからないなりに、まずやってみる」ほうがはるかに前進ができます。
大切なのは勉強の「目的」と「手段」が合っているのか、その都度見直すことです。この記事を参考にしながら、少しずつ自分に合った「無駄のない勉強法」を見つけて、学習の成果につなげていってください。
執筆者プロフィール

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塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。