保護者が知っておきたい受験・進路情報まるわかり!

お気に入り
メニュー
  1. 塾選(ジュクセン)
  2. 進学
  3. 塾選ジャーナル
  4. 新宿高校と戸山高校を徹底比較!高校受験のプロが本音で解説【2025年最新】

新宿高校と戸山高校を徹底比較!高校受験のプロが本音で解説【2025年最新】

更新日:
高校受験
アイキャッチ画像

2025年6月5日、第69回戸山・新宿対抗戦(スポーツの祭典)が両校および駒澤オリンピック公園で開催されたのをご存じでしょうか。多くの高校3年生にとっては部活動の集大成ともなる伝統行事で、会場は大きな声援と熱気に包まれました。

このように、互いに深い縁をもつ都立の上位校が新宿高校と戸山高校。それぞれ異なる校風や教育方針を持ちながら、2校ともに毎年多くの受験生から注目を集めています。

本記事では、そんな2校の共通点と違いを徹底解説。大学合格実績だけでは見えてこない“学校の姿”を紹介します。

塾選ジャーナル編集部

編集部

塾選ジャーナル編集部

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

大山雅司

監修者

大山雅司

塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。

目的や性格について回答するだけ!簡単10秒!ぴったりの塾を診断

目次

新宿高校・戸山高校の3つの共通点

新宿高校・戸山高校の3つの共通点

はじめに2校の共通点から見ていきましょう。

共通点① 入試では独自作成問題が課され難易度が高い

戸山高校は進学指導重点校、新宿高校は進学指導特別推進校にあたります。また、両校ともに一般選抜では英数国の3科目で独自作成問題を課しており、共通試験よりも難易度が高い問題に取り組む必要があります。

進学指導重点校/進学指導特別推進校とは
東京都教育委員会から「進学対策に組織的、計画的に取り組む学校」として、「進学指導重点校」「進学指導特別推進校」「進学指導推進校」が指定されます。

進学指導重点校:日比谷、西、国立、八王子東、戸山、青山、立川
進学指導特別推進校:小山台、駒場、新宿、町田、国分寺、国際、小松川

指定期間は5年であり、その間の進学実績や取組みにより、その後の指定が定められます。 進学指導特別推進校が「進学指導重点校に次ぐ大学合格実績をあげる学校」として、 進学指導推進校は「進学指導特別推進校に次ぐ大学合格実績をあげる学校の中から」指定されるため、単純に考えれば、進学実績は

進学指導重点校>進学指導特別推進校>進学指導推進校

の順であると考えられますが、新宿高校に関しては特別推進校でありながら例年、進学指導重点校と遜色ない実績を出しています。

共通点② どちらも新宿区にある

共に旧第2学区内の新宿区に位置し、両者の間は都営副都心線で二駅ほど(戸山高校⇔西早稲田駅⇔新宿三丁目駅⇔新宿高校)なので、かなり狭い範囲に都立上位校が隣接していることになります。

前述した「戸山・新宿対抗戦」が伝統的に受け継がれてきたことにも、そのような背景があります。

共通点③ 校風の自由度が高い

どちらも校風は自由さを感じさせます。

新宿高校は行事などで着用が定められた標準服はありますが、普段は私服通学も可能。校則も自転車通学が不可(駐輪場がないため)であることや、エレベータ・サンダルの使用、髪染めがNGである程度であり、比較的自由度の高い高校であると言えるでしょう。

戸山高校においては「学校による校則はなく、制服もありません。」と高校ホームページで明言しています(2025年7月時点)。

大学合格実績を比較

新宿高校と戸山高校の最新の合格実績比較

次に新宿高校と戸山高校の最新の合格実績から傾向に違いがあるのかを見ていきましょう。

  新宿高校 戸山高校
東京一科 13名 43名
旧帝大 15名 19名
国公立医学部 4名 5名
国公立全体 116名 149名
早慶上理 182名 290名
GMARCH 386名 237名
私大医学部 5名 7名

※1 東京一科 東大・京大・一橋・東京科学大(旧東工大+旧医科歯科大)の合計
※2 旧帝大 北海道大・東北大・名古屋大・大阪大・九州大の合計

参照元:東京都立新宿高等学校 公式ホームページ/東京都立戸山高等学校 公式ホームページ

戸山高校は進学実績の公表はありませんが、合格者数で見る限りでは、学年に対する国公立、早慶上理進学者の割合は新宿高校を上回っているでしょう。

新宿高校は上位国公立を目指す気運あり

東京一科、旧帝大、国公立全体、国公立合格者の指標では過去3年の中で最も高く、上位国公立を目指す気運を高めつつも確かな合格実績の伸びを感じさせます。また進学準備が16.9%と比較的低く、現役志向の高さも感じられます。

新宿高校では合格実績だけでなく、進学実績まで公表しています。

新宿高校の進学実績:

国公立全体:108名 (うち難関4国立(東大・京大・一橋・東京科学大(理工系)):13名)
早慶上理:65名
GMARCH: 49名
その他:39名
進学準備:53名

参照元:東京都立新宿高等学校 進路資料「2025年度入試 77回生進学状況」

学年の半数以上が国公立+早慶上理に進学していることが分かります。合格者数ではGMARCHが多く見えますが、実際の進学者数は15%程度ではあるので、多くが滑り止めとして受けていることが考えられます。

戸山高校は理系合格率が突出

特筆すべきは東京一科のうち東京科学大現役20名(旧医科歯科3名/旧東工大17名)出ていることでしょう。さらに私立大学では東京理科大学が現役で112名合格。これは、都立トップ校の中でも特に多く、理系志望の学生が非常に多いことが伺えます。

特に2025年の大学合格実績の伸びは大きく、東京科学大学と東京理科大学への合格者が急上昇していることからも、今年は理系での成果が大きかったと言えます。

都立合格ドットコム内での口コミからの一部抜粋して紹介します。

戸山は理系のイメージが強いと思いますが、事実、私の学年だと7割弱は理系への進学を希望しているようです。

厳密には学年によっても変わるでしょうが、全体に対する理系進学者の割合は普通科の中でも突出していて、それが最終的な大学進学実績にもつながっていると考えられるでしょう。

教育の特色を比較

新宿高校と戸山高校の教育特色を比較

新宿高校は“大家族主義”で教育が手厚い

特色① 大家族主義を指導システムとして確立

新宿高校は指定こそ重点校ではありませんが、進学実績は重点校クラスとほぼ同等。毎年難関大学への進学実績をあげています。「大家族主義」「進路は補欠なき団体戦」「全員指導者たれ」などのフレーズが象徴するように‟チーム感・手厚さ”を売りにしています。

ただのスローガンではなく、指導システムとして確立されている点も特筆すべきでしょう。

大山先生

「探究」を主な看板として掲げているのが戸山高校だとすれば、「チームとしての団結感」を重視しているのが新宿高校です。

「大学受験は学校行事」

この言葉に象徴されるように、実際に手厚さという点においての評価が高く、この点に重きを置いていることが23区内トップ校の中でも印象的です。

特色② 進学重視型単位制の導入で手厚さを実現

他の23区内の都立トップ校と大きく異なる点は「進学重視型単位制」であるということです。高校の括りとしては大きく分けて「学年制」と「単位制」があり、単位制の中でも「進学重視型」と銘打たれている高校は、都立高校では「新宿高校・国分寺高校・墨田川高校」の3校です。

単位制とは、学年による教育課程の区分を設けず、決められた単位を修得すれば卒業が認められる高等学校のこと。主に定時制・通信制課程において導入された制度で、平成5年度からは全日制でも導入されるようになりました。

単位制というと、

  • 自分でカリキュラムを組み立てる
  • 学年によらず自分のペースで履修を進められる

というイメージが先行しますが、都立全日制の単位制高校に関しては「自分でカリキュラムを組み立てる」「自分のペースで進める」という側面は薄く、単位制のメリットを活かして高校ごとの特色を出すという側面が強いです。

特に進学重視型単位制の3校(新宿・国分寺・墨田川)に関しては、大学受験での生徒の進路実現を目的にカリキュラムが設計されるため、構成自体は学年制とほとんど変わりません。

1年次 2年次 3年次
現代の国語 1 文学国語 1 文学国語 1
2 2 2
言語文化 3 古典探究 3 体育 3
4 4 4
5 5 英語コミュニケーションⅢ 5
地理総合 6 日本史探究 6 6
7 7 7
歴史総合 8 世界史探究 8 8
9 9 論理・表現Ⅲ 9
公共 10 数学Ⅱ 10 10
11 11 3年次必修選択科目枠の主な科目から14単位を選択 11
数学I 12 12 12
13 数学B 13 13
14 14 14
数学A 15 数学C基礎 15 15
16 物理基礎 16 16
化学基礎 17 17 17
18 18 18
19 生物基礎 19 19
体育 20 20 20
21 21 21
22 体育 22 22
保健 23 23 23
芸術 (音楽I, 美術I, 工芸I, 書道Iから選択)

24

保健

24

24

25 英語コミュニケーションⅡ 25 総合的な探究の時間 25
英語コミュニケーションI 26 26 LHR 26
27 27 3年次自由選択科目枠の主な科目から最大12単位を選択可 27
28 28 28
論理・表現I 29 論理・表現Ⅱ 29 29
30 30 30
情報I 31 家庭基礎 31 31
32 32 32
総合的な探究の時間 33 総合的な探究の時間 33 33
LHR 34 LHR 34 34
英会話
ドイツ語
フランス語
中国語
韓国語
35 芸術Ⅱ
英会話
ドイツ語
フランス語
中国語
韓国語
35 35
36 36 36
37 37
38 38

参照元:新宿高校2026年度パンフレットを基に作成

上記は都立新宿高校のカリキュラムですが、3年次の選択科目の幅が広いことが分かります。その点には「自分で履修を組み立てる」という側面を感じられますが、2年次まではほとんど全科目共通で履修します。

そのため、「履修をカスタマイズする」というイメージで進学すると、思っていたのと違うと感じるかもしれません。

特色③ 習熟度別授業が手厚く、演習科目が幅広い

ではなぜ、新宿高校は「単位制」を貫いているのでしょうか。その理由は、進学指導においてメリットが大きいためです。

単位制を採用する最大のメリットは、教員を多く配置できる点にあります。新宿高校の説明会によると、同じ規模の学年制高校と比べて11名多くの教員が配置されているとのことです。

単位制であることのメリットについて、口コミを紹介します。

単位制のメリットは、教師を多く採用できるのと、在籍生徒数以上に多くの教室を作れることだそうです。

実際、日比谷より教師の数が多く、記述小論文対策など人手が多く必要な指導について結構細かくやってくれます。クラス教室以外に1/2サイズの教室が沢山あって、普段から解放されてます。自習や生徒同士の相談事など色々と便利そうです。

(引用元:都立合格ドットコム)

教員数の多さを活かして新宿高校が推している手厚い指導が実現されます。特に注目すべきなのは習熟度別授業で、国語(古典)・数学・英語・化学においては定期考査ごとに編成替えが行われるそうです。

ここまで広い科目で頻繁に編成替えが行なえることも、教員数が多い新宿高校ならではと言えるでしょう。

また、演習科目の幅広さも教員数の多さを活かしたものであるといえます。

例えば、1~3年次においてドイツ語・フランス語・中国語・韓国語を履修可能です。また、3年次において「小論文演習」が単独で設置されているなど、大学入試に向けた演習科目を揃えやすい印象があります。

戸山高校は理系教育を強く打ち出している

理系教育を主な教育の柱としているのが戸山高校。

都立上位校の中でも自由度が特に高い高校でありながら、西高校のように個の多様性があふれる雰囲気とはまた異なり、落ち着いた空気感を感じます。戸山高校には「探究」というひとつしっかりとした軸が存在し、それを求めて志望する生徒が多いからでしょう。

ここでは、戸山高校の理系教育について深堀していきます。

特色① SSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)の指定校

戸山高校の理系教育を語る上ではずせないのがSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)です。都立高校の中でも最も古くからSSHに指定されており、活動にも年季が入っています。

SSHとは?
文部科学省が指定する「先進的な科学技術、理科・数学教育を通じて」「将来社会を牽引する科学技術人材を育成するための取組」で、指定校には予算が投入される代わりに、毎年の成果報告が求められます。

戸山高校においては、各学年2クラス分のSSHクラスが設置されており、他の学校における「総合的な探究の時間(戸山高校では「知の探究」)」および「情報Ⅰ」に代替する形で行われる「SSⅠ・Ⅱ」がメインの活動となります。

一年次の「SSⅠ」から物理・化学・生物・地学・数学・情報の6つのコースに分かれ、「SSⅠ」から「SSⅡ」にかけて探究活動と発表を目指します。

さらに、3年次に選択科目で「SSⅢ」が設置されており、履修者はSSH研究発表会など、様々な場で研究成果を発表します。

活動報告書内の資料や卒業生アンケートによると、SSHを履修してから卒業し、大学生になったかつての在校生の約半数が大学院進学や研究職を視野に入れていると回答しており、卒業後の自己実現において戸山高校のSSHが礎になっていることが伺えます。

設備においても、天文台・実験室・ビオトープ・ラジアン池など、探究活動に必要な設備が多く配置されています。

特色② TM(チームメディカル)の唯一の指定校

もうひとつ特徴的なのが、2016年以降は東京都の指定として医学部志望者の支援にあたる「TM(チームメディカル)」という3年間一貫した教育プログラムを組んでいるという点です。

TM(チーム・メディカル)の指定を受けているのは2025年7月現在、戸山高校1校であり、戸山高校だけが持つ特色として挙げられるでしょう。

具体的な活動としては

  • 小論文・面接指導などの総合的な進路指導
  • 病院の職場見学や医療関係者との交流
  • 医学部の大学教授による模擬授業

などがあげられます。

現在、医学部への進学は都立高校の中では日比谷高校が突出していますが、戸山高校はその次に多く、医学部志望の生徒の目指す高校としても存在感を増しています。

他の高校にはない支援が得られることは、医学部志望者にとっては確かな魅力だと言えるでしょう。ただし注意点もあります。TMは、医学部を目指す人のためのいわゆる‟特進コース”とは性質が異なるものであるということです。

大学受験で医学部という狭き門をくぐるためには、当然、合格するための相当な学力が必要ではあります。TMの活動はあくまで課外活動にあたり、「学習カリキュラムの進度を早める」ことや「医学部入試対策」という類のものとは性質が異なる点には注意が必要でしょう。

事実、2025年度の合格実績においては、いまだ医学部合格者数においては日比谷高校一強の構図は崩れていません。(日比谷高校と比較すること自体、そもそも酷な話ではありますが…。)医学部受験、それ自体のハードルの高さを感じさせます。

2025年度 医学部への合格実績

【国公立医学部医学科】
戸山高校 現役5名 既卒7名
日比谷高校 現役23名 既卒16名

【私立医学部医学科】
戸山高校 現役7名 既卒11名
日比谷高校 現役45名 既卒28名

参照元:東京都立戸山高等学校 進路状況 2025合格者推移表(2025年4月15日更新)/東京都立日比谷高等学校 進路状況 令和7年度入試大学別合格者数一覧

ただ「TMに入っても医学部への合格可能性は上がらない」のかというと、そんなことはないと思います。実際に例年、現役既卒合わせた医学部合格者数は日比谷を除く進学指導重点校を上回る数値をあげていますし、TMの意義は、単に「志を同じくする仲間が多い」以上のものであると考えます。

大山先生

TMは小論文・面接対策として有効

僕自身が毎年、数名程度、医学部もしくは医療・看護系の学部を志す生徒の小論文指導を行っていますが、その経験から照らし合わせるとTMの活動が小論文・面接対策として機能する部分は大きいと思います。

というのも、医学部や医療看護系に向けての小論文対策は他学部と比べると独特で、医療従事者として持つべき医療倫理や、それにまつわる知識が前提として必要となることが多いです。多くの医学部志望者にとっては別途対策が必要となる部分ではあるでしょう。

そのような知識面・必要な倫理観を講演会などを通して学べることは受験対策として有効だと思います。さらに、小論文を書く上での❝自身の体験❞として、TMでの活動を取り上げることができることも受験生にとっては大きいでしょう。

そう考えると、シンプルな入試突破力としてはいまだ日比谷生が勝るものの、必要な小論文対策がやりやすいという点で、日比谷を除く他の進学指導重点校をリードしていると考えることはできます。

特色③ 数学の進度が早い

先述のように、独自性ある教育方針を掲げる戸山高校。当然、入学生の理系志望割合も高く、それが全体のカリキュラムにも反映されています。

1年
一般クラス 単位 SSHクラス 単位
1 現代の国語

2

1 現代の国語

2

2 2
3 言語文化 3 3 言語文化 3
4 4
5 5
6 地理総合 2 6 地理総合 2
7 7
8 歴史総合 2 8 歴史総合 2
9 9
10 公共 2 10 公共 2
11 11
12 数学Ⅰ 2 12 数学Ⅰ 2
13 13
14 数学Ⅱ 1 14 数学Ⅱ 1
15 数学A 2 15 数学A 2
16 16
17 数学探究 1 17 数学探究 1
18 生物基礎 2 18 生物基礎 2
19 19
20 地学基礎 2 20 地学基礎 2
21 21
22 体育

3

22 体育

3

23 23

24

24

25 保健

1

25 保健

1

26 英語コミュニケーションⅠ

3

26 英語コミュニケーションⅠ

3

27 27
28 28
29 論理・表現Ⅰ 2 29 論理・表現Ⅰ 2
30 30
31 芸術*1 2 31 芸術*1 2
32 32
33 知の探究Ⅰ 2 33 SSI 2
34 34
35 HR 1 35 HR 1
36 人間と社会*2

1

36 人間と社会*2

1

参照元:戸山高校R7年度用パンフレットを基に作成
*1 「音楽Ⅰ」・「美術Ⅰ」・「書道Ⅰ」から選択
*2 「総合的な探究の時間」は「人間と社会」1単位により実施

注目すべきは、一年次の数学。普通は二年次に履修する数学Ⅱを一単位分前倒し、さらに「数学探究」という独自教科を設置しています。全体に占める理系志望者が多い上位校だからこそできる構成だといえるでしょう。

他の高校と異なる点としては必履修科目にあたる「情報Ⅰ」がカリキュラム上、存在していないこと。これは「知の探究」「SSⅠ」の学習内容の中に「情報Ⅰ」の内容が含まれるということで、これらの単位に代替されているそうです。

その点も含めて、他の学校で使われる「総合的な探究の時間」という名称ではなく、「知の探究」という独自教科になっているのですね。

大山先生

文系でも大丈夫?

ここまで理系志向の話が中心でしたが、文系志望の生徒にとっても戸山高校は魅力の多い学校です。都立合格ドットコムには、以下のような口コミがあります。

「文系は不安に感じるかもしれませんが、先生の数は他校と同じなので、むしろ手厚い指導が受けられると感じました。自由でパワフルな校風で、戸山を選んで本当に良かったと思います。」

「自主自律を重んじる学校で、上履き以外はすべて自由。先生方も熱心で、受験前の記述指導もとても丁寧でした。」

SSHやTMといった理系向けの制度が目立つものの、自由な校風や生徒主体の行事に魅力を感じる生徒にも、戸山高校はおすすめできます。

学校行事や校風を比較

新宿高校は行事が多く硬派─全員でゴールを目指す校風

新宿高校の大きな特徴は、年間を通じて多くの行事があること。運動会や文化祭、「新宿・戸山対抗戦」に加え、球技大会や臨海教室、修学旅行など。特に1年次には、ほぼ毎月何かしらの行事があります。

なかでも伝統的な「臨海教室」は、全員で遠泳に挑む新宿高校ならではの行事。100年以上続くこの行事には「臨海教室を経て初めて真の新宿高生になる」との考えもあり、生徒たちはしっかりと練習を重ねます。泳げない生徒にも個別に対応し、毎年全員が泳げるようになるという手厚さが魅力です。

こうした全員参加型の行事や「大家族主義」といった理念は、戦前から受け継がれる“硬派な印象”にも通じています。戦前(当時は府立六中時代)には陸軍士官学校、海軍兵学校へ多く輩出していた高校でもあり、厳格な校風で知られていたそうです。

厳格な歴史を持ちながらも、現在は単位制の柔軟な仕組みと融合し、手厚い進路指導体制を築いているのが新宿高校の強みです。高校に“手厚さ”を求める上位志望生にはおすすめしたい高校です。

戸山高校は“問題提起”を軸に探究─自由な環境に息づく伝統

戸山高校の文化祭も特徴的で、各学年で発表方法が定められています。

1年生:教室展示
2年生:演劇
3年生:映画製作

第71回戸山祭ホームページによると、戸山祭の最大の特徴は、「問題提起の場」であること。この『問題提起』という言葉は、70年以上の歴史が続く伝統的な方向性で、探究を重んじる戸山高校らしさが表れていると言えるでしょう。

吹き抜けの階段広場に象徴されるようなのびやかな環境。校則のない自由な校風。そんな環境でありながらどこか落ち着きを感じさせるのは、生徒それぞれが何かしら探究心を持って日々の活動に打ち込んでいるからでしょう。

特徴をまとめると、大学生のキャンパスライフを先取りしているような印象も受けます。「自由な環境で伸び伸び過ごしたい」かつ「探究心が強い」という方にはベストマッチの高校です。

どんな生徒が向いている?

ここまでの2校の特徴をまとめていきます。

高校名 新宿高校 戸山高校
校風 ・行事も含めて一体感重視
・大家族主義
・自由な校風
・のびやかな環境で各々が自分の活動に打ち込む
進学 ・国公立志向が強め ・理系進学者が多め
教育方針 ・単位制を活かした習熟度別指導
・学校一丸となって進路指導に取り組む。
・探究活動に力を入れている
・SSHの活動は伝統的に盛ん。
行事 ・行事・イベント数が多い
・遠泳教室
・行事は生徒主体で行う。
・文化祭「問題提起」が伝統的なテーマ
その他 ・アクセスは都内最強格 ・学問探究の設備が豊富
・大学のような雰囲気

新宿高校に向いている生徒─手厚い進路指導と団結力重視

豊富な教員数を抱え、一丸となって進路指導を行い、かつ行事の多い新宿高校には「進路において手厚いサポートを求める」「高校全体での一体感を求める」生徒に合うでしょう。

戸山高校に向いている生徒─自由な環境で探究したい

都心にありながら自然との調和が意識された環境、自由な校風、探究活動に重きを置く戸山高校には「のびやかな環境で過ごしたい」「探究心が強い」生徒であればうってつけでしょう。

所在地・生徒数・応募倍率

最後に、各高校の所在地など基本情報を紹介します。

高校名 新宿高校 戸山高校
所在地 新宿区内藤町11-4 東京都新宿区戸山3-19-1
最寄り駅(例) JR線「新宿」駅から徒歩4分
東京メトロ副都心線「新宿三丁目」駅から徒歩2分
東京メトロ丸の内線「新宿三丁目」駅から徒歩4分
都営新宿線「新宿三丁目」駅から徒歩4分
都営大江戸線・新宿線「新宿」駅から徒歩7分
京王線「新宿」駅から徒歩10分
小田急線「新宿」駅から徒歩10分
西武新宿線「西武新宿」駅から徒歩11分
東京メトロ副都心線「西早稲田」駅から徒歩1分
JR山手線、西武新宿線、東京メトロ東西線「高田馬場」駅から徒歩12分
高田馬場駅前からバス「学習院女子大学前」下車すぐ
都営大江戸線「東新宿」駅から徒歩13分
生徒数(令和6年度時点) 958名 959名
推薦選抜応募倍率
(2025)
5.31 3.55
一般選抜受検倍率
(2025)
1.72 1.74

まとめ:違いを理解し、自分に合う学校を選ぼう

新宿高校と戸山高校は、いずれも都内トップクラスの実力と人気を誇る都立上位校ですが、その魅力や雰囲気には明確な違いがあります。

新宿高校は「大家族主義」や「全員でゴールを目指す」精神のもと、手厚い進路指導と一体感ある行事が特徴。習熟度別授業や演習科目の豊富さなど、サポート体制の厚さを重視する生徒におすすめです。学力面では国公立大学を中心に、堅実かつ着実な進学実績を誇ります。

一方の戸山高校は、SSHやTM(チームメディカル)といった理系支援に加え、「知の探究」や文化祭での「問題提起」など、自ら考え、行動する探究型の教育が軸。自由な校風と落ち着いた学びの環境の中で、自律的に学びを深めたい生徒に向いています。理系進学の強さも魅力で、医学部を含む難関理系への高い進学実績を持ちます。

どちらの高校も“難関大学を目指せる実力校”であることに違いはありませんが、その中身は大きく異なります。

受験にあたっては、合格実績や偏差値だけでなく、校風・教育方針・行事・指導体制など、自分に合った環境かどうかを重視することが大切です。

この記事が、後悔のない志望校選びの一助となれば幸いです。興味を持った学校には、ぜひ実際に説明会や見学会へ足を運んでみてください。

執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部
編集部
塾選ジャーナル編集部

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

監修者プロフィール

大山雅司
ひのき進学教室 三軒茶屋校講師
大山雅司

塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。

関連記事

が選ばれる 3

掲載をお考えの学習塾様へ

初期費用無料で掲載可能 
お気軽にお問い合わせください

塾選で塾を探す