非認知能力とは?探究学習塾取材から見えた、家庭で伸ばす方法と親の関わり方

今、教育や子育ての現場で急速に注目が高まっているのが「非認知能力」という言葉です。
それは、学力やIQのようにテストで測れない、人としての“こころの力”を指します。なぜこの力が、今これほどまでに重視されているのでしょうか?
背景にあるのは、「正解が一つではない」「予測通りにいかない」「テクノロジーが仕事を変える」、先の見えない激変の社会環境です。
本記事では、「非認知能力の意味」「なぜ重要なのか」に加え、これまでの探究学習塾取材事例から見えてきた、家庭や教育現場で実践できる「非認知能力を育てるためのヒント」を解説していきます。

編集部
塾選ジャーナル編集部
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非認知能力とは?
「非認知能力(ひにんちのうりょく)」とは、テストの点数やIQのように数値化できない、人間の内面に関わる力のことを指します。
簡単に言えば、「人としてどう生きていくか」を支える“こころの力”や“人間力”です。
文部科学省の資料では、非認知能力を次のように示しています。
項目 | 内容 |
構成要素 | 意欲・意志・情動・社会性に関わる以下3つの要素から成る ・自分の目標を目指して粘り強く取り組む ・目標のためにやり方を調整し工夫する ・友達と同じ目標に向けて協力し合う |
主な特徴 | ・幼児期(満4~5歳)に顕著な発達が見られる ・学童期や思春期の発達を経て大人に近づく ・気質差や個人差が大きい ・自己をコントロールすることが基礎にあるが、認知と非認知の両面が必要 ・教育をとおして育成できる可能性がある |
参照元:「中央教育審議会 初等中等教育分科会 幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会―第2回会議までの主な意見等の整理―」
非認知能力が注目される4つの理由
非認知能力は現在、日本国内のみならず国際的にも大きな注目を集めています。その背景には、次のような理由があります。
理由① 21世紀を生き抜くために不可欠だから
今、私たちは変化が激しく予測が難しい社会を生きています。こうした時代では、「たくさん知っている」ことよりも、どう考えて行動するか・どう人と関われるかといった、非認知能力が求められるようになってきました。
OECD(経済協力開発機構)は「21世紀型学力」について、単なる知識や技能(認知能力)だけでは社会で活躍できず、社会性・感情調整・協調性・粘り強さといった非認知能力が不可欠であると報告しています。
OECDの国際的提言を受け、日本の新学習指導要領でも「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)」が導入され、非認知能力の育成が学校教育の柱の一つとなっています。
出典:OECD (2015)「Skills for Social Progress The Power of Social and Emotional Skills」
理由②「非認知能力が学力を支える」ことが分かってきたから
国立教育政策研究所の調査では、非認知能力が高い子どもほど学力が伸びやすい傾向が明らかに。さらに学力が高まることで、感情調整力や協調性も育ちやすくなることが示され、両者が相乗効果を持つことが分かってきました。
出典:国立教育政策研究所「学力と生活習慣・意識等の関係に関する調査」
理由③ 将来の収入や社会的成功に影響するから
ノーベル経済学賞を受賞したヘックマン博士らの研究によれば、非認知能力の高い子どもは、将来の収入や学歴が高く、社会的にも安定しやすいとされています。認知能力とのバランスが重要であり、どちらも人生の基盤となる力です。
出典:Heckman, J.J. & Kautz, T「Hard Evidence on Soft Skills」
理由④ 非認知能力が入試や進路で評価されるようになったから
近年、大学の総合型選抜(旧AO入試)や共通テストでは、単なる知識の暗記だけでなく、それを活用して応用する力に加え、表現力・協調性・課題解決力といった非認知能力が重視されるようになっています。こうした潮流を背景に、教育現場や保護者の関心も高まり続けています。
認知能力と非認知能力の違い
認知能力と非認知能力は、どちらも子どもの将来や社会的な行動に大きく関わる重要な力です。ただ「違いがよく分からない」という声も少なくありません。
以下に主な違いを整理しました。
認知能力の特徴 | 非認知能力の特徴 |
知識・技能・思考力・記憶力(読み書きや計算、英語力など) | 自己管理・協調性・粘り強さ・感情調整力・挑戦心 |
数値化できる | 数値化しにくい |
勉強や練習で短期的に伸ばせる | 経験や関わりを通して長期的に育てる |
学校の教科学習が中心 | 家庭・地域・体験で育つ |
認知能力はテストで測れる力で、学校や塾での勉強で伸びやすいのが特徴です。一方、非認知能力は行動や感情の力で、体験や人との関わりの中で少しずつ育ちます。
どちらが優れているというわけではなく、両方をバランスよく育てることが大切です。
認知・非認知能力の区別は、ノーベル賞経済学者ジェームズ・J・ヘックマンの研究で注目されました。彼は2006年の論文で「非認知能力が将来の仕事や社会的成功に大きな影響を与える」と報告しています。 出典:James J. Heckman, Jora Stixrud, Sergio Urzua「The Effects of Cognitive and Noncognitive Abilities on Labor Market Outcomes and Social Behavior」
非認知能力の具体例【年齢別・場面別】
非認知能力は子どもの年齢や場面ごとに育ち方・表れ方が異なります。以下の表と詳細解説で整理していきましょう。
幼児期・小学生
幼児期・小学生で大切なのは、基本的な生活習慣と社会性を身につけながら、同時に好奇心や探究心を育むことです。
能力 | 具体的な行動例 | 能力が育つ主な場面 |
---|---|---|
自立心 | 自分で支度や片付けをしようとする | 朝の準備や帰宅後の片付け、皿洗いなどのお手伝い |
協調性・コミュニケーション力 | 友だちとの遊びでルールを守る | 公園遊びや学校での集団活動 |
粘り強さ | 転んでも泣かずに挑戦を続ける | 自転車練習や縄跳び |
挑戦心・探究心 | 新しいことに積極的に取り組む | 初めての習い事や冒険的な遊び |
自立心
保育園・幼稚園や小学校へ行く前の「朝の準備」や「帰宅後の片付け」などは、子どもにやらせてみましょう。自分で支度をしたり、片付けようとしたりすることで、自立心を育めます。また皿洗いといったお手伝いも、家族の一員としての自覚につながります。
協調性・コミュニケーション力
友達との公園遊びや学校での集団活動は、協調性・コミュニケーション力の成長に役立つでしょう。特に外遊びは自然の中で自由に遊べることから、体力や五感、創造力なども身につきます。
粘り強さ
粘り強さにつながるのが、自転車練習や縄跳びなどです。どちらも短期間でできるようになるものではなく、転んだり、足が痛くなったりしながら、少しずつ「やればできる!」と成果を感じられるようになります。
挑戦心・探究心
新しいことにも積極的に取り組む挑戦心や探究心を育てるためには、初めての習い事や冒険的な遊びが大切です。子どもが自らやりたいことがあれば、積極的にチャレンジさせてあげましょう。
例えば、興味がある習い事には「もっと上手くなりたい!」とモチベーションが上がり、前向きに取り組むことから成長しやすいサイクルとなります。
この時期は「できた!」「挑戦した!」の小さな積み重ね、そして自己肯定感(自分の存在そのものを認める力)の育成が大切。大人が「失敗しても大丈夫」という安心感を与えることで、挑戦心や粘り強さを育てます。
中学生・高校生
中学生になると自我が芽生え、これまで以上に複雑な社会的な関係をつくり始めます。そして高校生では将来の進路を考えて、一人の自立した人間として成長していきます。
能力 | 能力の具体的な行動例 | 能力が育つ場面 |
---|---|---|
責任感・リーダーシップ | 部活でキャプテンやリーダーを務める | 部活動や文化祭、生徒会 |
計画性・時間管理 | テスト勉強を計画的に進める | 定期テストや受験の準備 |
共感力・問題発見力 | 他者の意見や気持ちを汲み取る | ディスカッションや友人間の相談 |
レジリエンス | 挫折を乗り越えて再挑戦する | 部活の敗北や受験の失敗からの立て直し |
責任感・リーダーシップ
中学生や高校生になると部活動や文化祭、生徒会といった他の同級生や先輩・後輩と関わる場面が多くなります。子どもや場面によっては、リーダーシップを取る必要性も出てくるでしょう。メンバーの意欲を引き出し、まとめる役割をとおして、責任感やリーダーシップが培われます。
計画性・時間管理
また学習内容がより難しくなり、定期テストや高校受験・大学受験に向けた準備にも時間を使わなければいけません。忙しい中でも計画的に進めることで、計画性や時間管理の力が身につきます。
共感力・問題発見力
他者の意見を気持ちをくみ取る共感力は、ディスカッションや友人間の相談などを通じて高まります。共感力が育つと相手の状況や思っていることをイメージしやすくなり、事前に問題を見つける力も伸びていくでしょう。
レジリエンス
レジリエンスとは、困難な状況を乗り越えていく力のことです。「部活動の試合で負けた」「受験で失敗した」といった困難な経験は、誰にとっても辛いもの。しかし、挫折や失敗を乗り越えて再挑戦することで、レジリエンスが鍛えられます。
思春期は人間関係のなかで非認知能力が伸びていきます。親は「結果でなく努力や姿勢を認める」姿勢が重要です。
探究学習塾に学ぶ!非認知能力を家庭で伸ばすための親の関わり方とヒント
非認知能力は、親のちょっとした姿勢や言葉がけでもグンと伸びます。塾選ジャーナルが非認知能力育成のプロである探究学習の専門塾を取材するなかで見えた、学童期において日常的に心がけておきたい姿勢や言葉がけを紹介してきます。
探究学習塾直伝!非認知能力を伸ばすための親の姿勢と言葉がけ
① 子どもの興味を広げ思考を促すコミュニケーションをとる
子どもが自分で考えて答えを出す機会を意図的に増やすことで、興味の幅を広げ、主体的な思考や柔軟な発想を育てます。
「このニュースをどう思う?」「これって1カ月後、どうなってると思う?」といった“正解のない問い”に向き合う時間を通して「今、何に興味があるのか」「自分はどんなことが好きなのか」に気づける環境を用意することが、本当に大切だと思っています。(知窓学舎への取材より一部引用)
②子どもの「好き」に親も興味を持って寄り添う
子どもが興味を持ったことに対して、親も一緒に楽しんで取り組む姿勢が、興味関心を持続し、さらに主体的に学びを深めるサポートになります。
子どもが興味を持っていそうな場合には、授業に関連した書籍やマンガ、動画、テレビなどを親子で一緒に楽しんだり、関連スポットやイベントに一緒に参加するのも良い方法ですね。子どもが興味を持っているものに保護者の方も面白がって参加するのはとてもパワフルなサポートになると思います。(探究学舎への取材より一部引用)
③ 子どもの発想を否定しない
今後ますます重要とされる「正解のない問いに取り組む力」を育むためには、発想力が必要となります。子どもの自由な発想に対して、大人の尺度で「それは違う」と不正解を出してしまうことで、子どもにも固定概念ができ、発想力の妨げとなる可能性があります。
「子どもたちを否定しない」ことをものすごく意識しているんです。正解することはもちろん素晴らしいですけれど、ジャッジはせずに、どんな角度の答えであっても受け入れます。
突飛な角度から答えが出た時は、「なんでそう思ったの?」とか「面白いね、その答え」というふうに承認します。子どもたちは、時にはふざけたりボケたりすることがあります。それを一緒に笑って楽しむ雰囲気を意図的に作っています。そうすることで、「正解しないと答えてはいけない」という既成概念を外せるような関係性を作っています。(探究学舎への取材より一部引用)
④ 子どものペースを尊重する・比較しない
子どもにはそれぞれの学び方やペースがあります。すぐに発言したり積極的に行動したりしなくても、その子なりに多くのことを感じ、考えている場合もあるのです。
大人が一律の「正しい学び方」を押しつけるのではなく、子ども自身のペースを尊重する姿勢が、安心して思考を深める土台になります。
また、子どものペースを無視して、他の子どもと比較してしまうのは絶対に避けたいこと。「○○ちゃんはもっとできてるのに」「○○君はテストの点数が良かったよ」といった言葉は、子どもの自己肯定感を深く傷つけます。
子どもたちにはそれぞれ自分のペースがありますから、無理に積極的な行動を促すことはしていません。「自分なりの学び方で授業に参加していい」というスタンスです。発言や挙手をしていなくても、その子の中ではいろいろなことに思いを巡らせていたり、しっかり考えている最中だったりしますしね。(探究学舎への取材より一部引用)
⑤ 結果より努力・工夫を褒める
テストでの点数や目に見える成果だけでなく、子どもが頑張った過程や工夫した点に目を向けることが大切です。
例えば「100点でえらいね」ではなく、「毎日コツコツ勉強したのが、成果につながったね」と声をかけることで、子どもは「努力は報われる」「頑張ること自体に価値がある」と学び、粘り強さや自己効力感が育ちます。
上記のアプローチは、Perry Preschool Study(Schweinhart et al., 2005) の追跡調査でも、幼少期に努力や工夫を肯定的に認められた子どもが成人後に安定した仕事に就き、犯罪歴が少なく、経済的にも自立できた事例として示されています。
私たちの教育理念としては、「学びというのは、自己肯定感や自信を与えてくれる喜びに満ちたものである」と知ってほしい、という想いの方が強いですね。学ぶことが楽しくなると、生きるのがもっと楽しくなるはずなんです。(探究学習塾エイスクールへの取材より一部引用)
⑥ 失敗したら「次どうする?」と考える時間を持つ
子どもが失敗したときこそ、成長のチャンス。大人が正解を与えるのではなく、「次はどうしてみようか?」と問いかけ、一緒に振り返る時間をつくることで、自分の行動を見直し、次に活かす力が育まれます。
また、親自身が新しいことに挑戦したり、失敗をオープンに話したりする姿を見せることも大切。子どもは、大人の姿を通して「失敗しても大丈夫」「挑戦していいんだ」と自然に学びます。
小学1年生でも「失敗を恐れる子」は沢山います。真面目な子ほど、失敗への恐怖心が早く芽生えるんですよね。間違えることが怖くて行動することを躊躇するようになる前に、「とにかくやってみようよ」「失敗してもいい。トライすることが大事だよ」「君の良いところはたくさんあるよ」という自己肯定感につながる小さな成功体験を、小さなうちからたくさん経験させてあげたいですね。(探究学習塾エイスクールへの取材より一部引用)
探究学習は、正解のない問いに向き合いながら自ら考え、他者と協働して答えを導くプロセスを通じて、非認知能力の育成に大きく貢献します。自分の興味から問いを立てることで主体性や自発性が育ち、調査や発表を進める中で粘り強さ・計画性・協調性・表現力などが自然と身につきます。
知識の習得だけでなく、感情や思考、社会性をバランスよく育てる探究学習は、まさに非認知能力を高める実践的な学びの場です。
日常生活で非認知能力を育むための実践例
非認知能力と聞くと、なかには「幼少期から特別なトレーニングや、高い教材が必要なのでは?」と思う人もいるのではないでしょうか。
しかし、非認知能力を鍛えるためには、特別なトレーニングや高価な教材などは必要ありません。実は日常の小さな関わりや体験、親の関わり方などで伸ばすことができます。
普段の生活の中で無理なく取り入れられるものが多いため、できるものから実践してみましょう。
① 簡単なお手伝いや役割を任せる
簡単なお手伝いや家庭内での役割を持つことで、非認知能力を無理なく育めます。
食事の準備や洗濯物たたみをお願いしたり、ペットの世話といった家庭の中で小さな役割を持たせたりすることは「自分が家族の一員として貢献できる」という自信を育てます。子どもの年齢や性格に合った仕事を任せ、手順や順番を守りながら達成することで、責任感・計画性・感情と行動のコントロール力も身につくでしょう。
大切なのは親が細かく口出しせず、多少の失敗も見守る姿勢です。あれこれ注意したり、失敗をとがめたりすると、非認知能力のベースとなる自己肯定感が損なわれます。
② 家族間で豊かな日常会話を持つ
親子や家族のあいだで、豊かな日常会話を持つのもよいでしょう。
豊かな日常会話を通じて、子どもは自分の感情や思っていることを理解し、相手に伝える力を身につけていきます。
ここでいう会話の豊かさとは、長さではなく質です。子どもが自分で考えて答えられるよう、「はい」「いいえ」では答えられないオープン・クエスチョンを意識します。
以下は「はい」「いいえ」で答えられるクローズド・クエスチョンと、オープン・クエスチョンの一例です。
【クローズド・クエスチョン】
母親「学校は楽しかった?」
子ども「うん、楽しかったよ」
【オープン・クエスチョン】
母親「今日は学校で、何が楽しかった?」
子ども「うーん、お昼休みかな。みんなでグランドで遊んだよ」
母親「何をして遊んだの?」
子ども「最初は縄跳びをして、その後は鬼ごっこ」
オープン・クエスチョンでは、母親からの問いに対して子どもが自分で考えます。また会話がどんどん続いていくのもわかるでしょう。
③ 読書
独立行政法人 国立青少年教育振興機構の調査では「子どもの頃の読書量が多いと、非認知能力が高くなる傾向にある」とされています。
読書によって共感性や視点が広がり、世界の様々な文化や生活を知るきっかけにもなるでしょう。身の回り以外のものに興味を示し、探究心や創造性も育めます。
本を一人では読めない年齢の場合は、読み聞かせがおすすめです。
出典:独立行政法人 国立青少年教育振興機構「子どもの頃の読書活動の効果に関する調査研究」
④ 友達や兄弟・姉妹と遊ぶ
友達や兄弟・姉妹と遊ぶことも、非認知能力の成長に役立ちます。子どものことをよく理解している親以外との関わりも、子どもの世界や社会性を広げます。
友達や兄弟・姉妹と遊んだり、話すなかで、自己表現やコミュニケーション力などが育めるでしょう。
⑤ 習い事・体験
家庭だけでなく、外の世界での体験も非認知能力育成には効果的です。
スポーツ
競技やチームでの活動は、ルールを守る協調性・勝ち負けを乗り越える粘り強さ・目標に向かう努力などを育てます。他のメンバーに合わせて行動したり、対戦相手の動きを予想したりすることで、コミュニケーション力も身につけられるでしょう。
また個人競技であっても、自分に勝つ力が身につきます。
芸術
絵画や音楽、ダンスなどの表現活動は、自己表現力・集中力・創造性などを育みます。「思い通りにできない」「表現が受け止められる」といった経験が、自己肯定感の土台になります。
また子どもの習い事として人気が高い英語と、音楽やダンスといった表現活動を組み合わせた習い事もおすすめです。「英語で歌をうたう」「英語を使ってダンスをする」などがあり、非認知能力と一緒に英語力も伸ばせます。
最近では、非認知能力を伸ばす場として「探究学習」に特化した塾も注目を集めています。探究学習専門塾では正解のない問いに挑み、自分で問いを立て、仲間と議論しながら答えを探す活動を通じて、次のような力が育ちます。
●主体性・自発性:「自分の問い」に取り組む経験で、自ら学ぶ姿勢が身につく
●課題解決力・計画性:調べ方やまとめ方を工夫し、ゴールに向かって計画を立てる力が育つ
●協働力・共感力:他者の意見に耳を傾けて、異なる考えを尊重しながら進める力が身につく
探究学習専門塾は受験のためだけでなく、「自分の軸で考え、他者と協働し、社会で生き抜く力」を育てる場所として価値が高まっています。特に総合型選抜(旧AO入試)や探究型入試が増える中で、こうした非認知能力の重要性がますます高まっています。
塾選ジャーナルでは探究学習専門塾の取り組みや授業風景など、最新の現場を取材・レポートしています。ぜひ参考にしてください。
非認知能力についてのFAQ(よくある質問)
最後に非認知能力に関するよくある質問を紹介します。
非認知能力はどうやって日常で意識して育てればいいですか?
日常生活の中では「親がどこに目を向け、どう声をかけるか」を意識することが重要です。
例えば、子どもが挑戦した場面では結果だけでなく、頑張ったプロセスにも目を向けましょう。「どう工夫したのか」「どんな努力をしたのか」を質問し、具体的に褒めると、子どもの自己肯定感が育ちます。
また失敗したときは「次どうしたらうまくいくかな?」と一緒に考える時間を持つことで、自己調整力や粘り強さが伸びていきます。
非認知能力は何歳ごろに発達しますか?
非認知能力は特に幼児期(満4~5歳)に顕著な発達が見られますが、年齢を重ねるにつれて、雪だるま式に大きく伸びていくといった研究報告もあります。そのため、幼児期に非認知能力の土台をしっかり築いておくことが重要です。
習い事はどんなものを選ぶと非認知能力が育ちますか?
習い事を選ぶときは「子どもが自分で工夫や挑戦を体験できるか」がポイントです。
スポーツや音楽、ダンス、探究塾、演劇、地域活動などジャンルはどれでも問題ありません。
大切なのは「親が指示してやらせる」のではなく、子どもが自分で課題に向き合う体験になるようサポートすることです。子ども自身の興味・関心に合った習い事を選ぶと、積極的に取り組むようになり、より非認知能力が伸びやすくなります。
非認知能力が高い子どもの特徴はどんなものですか?
非認知能力が高い子どもは、自分の感情や行動をうまくコントロールでき、困ったときにすぐにあきらめず粘り強く挑戦しようとします。友達の気持ちを考えたり、友達と一緒に協力したりすることが自然にできるのも特徴です。
また計画的に物事に取り組む姿勢も見られます。
こうした力は、学力や将来の社会生活にも良い影響を与えるとされています。
非認知能力が低いと将来どんな影響がありますか?
非認知能力が十分に育たないと、次のようなリスクが高まると研究で示されています。
- 挫折したときに立ち直りにくい
- 人間関係での摩擦が増える
- 自分の力を信じられず、挑戦を避ける
- 社会での自立やキャリア形成が不安定になる
逆に幼少期から少しずつ非認知能力を育んでいくことで、将来の学力や進学、職業的安定、幸福感につながることが、ジェームズ・J・ヘックマンなどの研究でも明らかになっています。
まとめ|非認知能力は日常で育てられる
非認知能力は、テストでは測れない「生きる力」であり、これからの時代を切り拓くために欠かせない力です。協調性、粘り強さ、自己調整力、課題解決力―こうした力は学力の土台となり、進学やキャリア、人生の幸福度にも直結します。
本記事では、探究学習専門塾、いわば非認知能力育成のプロへの取材をもとに、親の関わり方、家庭で実践できる具体的なヒントも多数紹介してきました。
特別な教材がなくても、日々の親子の対話や関わり方で、子どもの非認知能力は着実に育っていきます。大人自身が挑戦し、学び続ける姿を見せることも、子どもにとってかけがえのない学びになります。
未来を生きる子どもたちのために、まずはできることから始めてみましょう。
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。