単位制高校とは?自由度が高いって本当?その実態を高校受験のプロが解説

単位制高校とは、学校教育法施行規則に基づき、「学年による教育課程の区分を定めなくてよい」制度を採用している高校のことです。
単位制と聞くと、「自由度が高い」「自分でカリキュラムを組める」といったイメージを持つ方も多いでしょう。しかし実際には、学校ごとに運用の仕方が異なり、すべての学校で“自由な時間割”を組めるわけではありません。例えば、東京都立高校では、単位制を制度として導入していても、実際の履修は学年制に近いかたちで進められることがあります。
こうした実態を知らずに「自由な高校生活」を期待して選んでしまうと入学後にミスマッチが起こることも。自分に合った高校を見つけるには、単位制という制度の仕組みを正しく理解し、各校の教育方針やカリキュラムの実態をよく確認することが欠かせません。
本記事では、単位制高校の特徴や仕組み、学年制高校との違い、メリット・デメリット、そして向いている生徒のタイプまでを高校受験のプロがわかりやすく解説します。あわせて、東京都立の単位制高校一覧も紹介していますので、ぜひ最後までご覧ください。

編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
大山雅司
塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。

単位制高校とは?基本の仕組みを解説
単位制高校とは、学校教育法施行規則に基づき、「学年による教育課程の区分を定めなくてよい」制度を採用した高校です。
全日制・定時制・通信制のいずれの課程でも単位制を導入している学校がありますが、単位制の仕組みの導入の仕方は学校により様々。通信制高校のように生徒が必要な単位を自分のペースで積み上げる場合もあれば、全日制高校の場合、学年制に近い形で単位制高校の仕組みを導入していることもあります。
単位制高校なら自由は誤解?単位制高校と学年制高校の違い
単位制高校と学年制高校の主な違いを見ていきましょう。両者は、進級の仕組みや学び方、時間割の決め方などにおいて異なる特徴を持っています。
単位制高校は、比較的柔軟な履修が可能とされています。ただし、実際の運用は学年制に近いケースも。自由度には学校差がありますので、「単位制高校ならどの高校でも完全に自由にカリキュラムを組める」というのは誤解です。
「自由にカリキュラムを組める」というのは多くの場合、単位制というよりも通信制高校としての特徴であることには注意が必要です。
一方、学年制高校では、1年ごとに定められた課程を全員で同じペースで学習し、進級・卒業していく仕組みです。時間割や学習内容は学校があらかじめ設定しており、計画的に学びたい生徒には安心感があります。
項目 | 単位制高校(※主に通信制高校などの場合) | 学年制高校 |
---|---|---|
進級の仕組み | 単位の積み上げで卒業を目指す | 学年課程ごとに進級・卒業する |
時間割の決め方 | 自分で履修計画を立てて時間割を組む | 学校が定めた学年ごとの時間割に従う |
学びの自由度 | 自由度が高く、自分のペースで学べる ※自由度には学校差があります。 |
クラス単位で同じペースで学ぶ |
卒業までの条件 | 必要単位数(74単位以上など)を修得する必要がある | 学年ごとの修了認定+3年間で卒業するのが一般的 |
留年リスク | 必要単位が不足した場合、卒業が遅れることがある | 学年ごとの進級条件を満たせないと留年する |
単位制高校が増加する背景とは
▼単位制高校数の推移
参照元:文部科学省「高等学校教育の現状について」P.9の表を加工して作成
近年、単位制高校は全国で着実に増加しています。その主な要因は、教育制度改革の一環として学年制から単位制への転換が進んでいることにあります。
制度改革と多様な教育ニーズへの対応
- 学年制の硬直性を解消する意図
これまでの学年制では、全員が同じペースで学び、進級や留年の仕組みに依存していました。単位制は、「学年による教育課程の区分を定めなくてよい」制度で、生徒一人ひとりの能力や進度に寄り添う設計です。文部科学省によると、2004年度には全国で約600校の単位制高校が設置され、当時の公立全日制高校において9校が学年制から全日制単位制へ移行していた旨が報告されています。
- 総合学科・専門学科との連動で導入加速
進路多様化や専門教育の充実を目的とした総合学科や専門学科を設置する高校では、選択科目の充実や生徒の進度調整が必要になります。そのため単位制との相性がよく、これらの学科拡充とともに単位制を導入するケースが多く見られます。
単位制高校の種類
全日制
平日の日中に授業が行われる一般的なスタイルで、通常の高校生活に近い形で学びます。時間割や登校時間は決まっており、制服や部活動なども他の全日制高校と同様に用意されている場合が多いです。
特徴:
- 一般的な高校生活と同じ。学年制と比較して選択科目の幅が広いケースが多い
- 学校によっては学年制に近い運用をしているところもある
- 都立高校の多くはこのタイプ
定時制
夜間や午前・午後の時間帯に授業が設定されており、働きながら通う生徒や、昼間に他の活動をしている生徒に適しています。授業時間や科目選択が柔軟な場合も多く、少人数制の学校もあります。
特徴:
- 夜間部・午前部・午後部など通学時間が選べることもある
- 幅広い年齢層の生徒が在籍
通信制
主に自宅学習を中心に、定期的に登校(スクーリング)しながら単位を修得します。インターネットや郵送によるレポート提出が中心で、自分のペースで学習できるのが大きな特徴です。
特徴:
- 通学頻度が少なく、自由度が非常に高い
- 自主的な学習習慣と自己管理能力が必要
単位制高校のメリット・デメリット
メリット|自由度と柔軟な学び
1. 自分のペースで学習が進められる
主に通信制などにおける単位制の大きな特徴は、生徒一人ひとりが自分のペースで学習を進められる可能性があること。主に通信制の単位制高校において自由にカリキュラムを組める場合が多いです。柔軟な学び方ができるのは単位制ならではの魅力です。
2. 時間割を柔軟に組めるため、部活や課外活動と両立しやすい
自分で履修科目や時間割を決めることができるタイプの単位制高校の場合、部活動、アルバイト、芸術活動、スポーツ競技、ボランティアなど、学校外での活動と学業を両立しやすくなっています。将来の目標に合わせて、必要な学びと課外活動のバランスをとることができます。
3. 得意分野を集中的に学べる
選択科目の幅が広いため、自分の進路や興味に合わせた履修が可能です。例えば、理系科目や英語を重点的に学びたい場合、その分の選択単位を増やすことができます。これにより、大学進学や資格取得など将来の目標に直結する学びが実現できます。
4.習熟度別授業など手厚い教育を受けられる
こちらは主に大学進学を前提とした全日制高校が単位制を導入している場合のメリットです。学年制高校と比較して教員数を多く配置することで、習熟度別授業の実施など大学進学に向けた手厚いサポートが可能になります。
デメリット|自己管理力が問われる
1. 自己管理能力が求められる
自分でカリキュラムを組み立てるタイプの単位制高校においては、どの科目をどのタイミングで履修するか、自分で計画を立てる必要があります。学習計画の立案や履修登録、進捗管理を怠ると、卒業までに必要な単位が不足する可能性があります。
自分を律し、計画的に学習を進める自己管理能力が求められます。
2. 履修計画を立てないと卒業に必要な単位が不足するリスクがある
単位制高校は自由度が高い分、計画を立てずにその場その場で履修を決めていると、必修科目の単位が不足したり、卒業条件を満たせないケースがあります。特に進路を見据えた選択科目を選ばないと、大学入試に必要な科目が履修できていなかった、ということも起こり得ます。
3. 仲間と一緒に進級する安心感が薄いこともある
通信制や定時制の単位制高校の場合、学年制高校のように「同じクラスの友達と一緒に進級する」という感覚が薄くなることがあります。それぞれが異なる時間割で学んでいるため、友達と顔を合わせる機会が少なく、孤独を感じることもあるかもしれません。
この点は、学校行事や部活動、委員会活動などで積極的に仲間づくりをしていく工夫が必要です。

大山先生
ただし、これはあくまで制度上の主な特徴であり、実際の運用は学校によって異なります。単位制という仕組みをどのように活かしているかは学校次第。
時間割がある程度固定されていたり、履修に制限があったりする場合もあるため、学校ごとの方針を確認することが大切です。
高校の卒業条件は?
高校の卒業に必要な単位は、必履修科目を含め74単位以上です。学年制のように学年ごとに履修科目が定められていない単位制高校の場合、国語・数学・英語・理科・社会の必修科目に加えて、情報、芸術、体育、商業、工業、外国語などの選択科目を組み合わせ、自分だけのカリキュラムを作ります。
※カリキュラムの自由度は学校差があります。
さらに、次の条件も卒業には必要です。
・特別活動に30単位時間以上参加すること
特別活動とは、学校行事・学級活動・生徒会活動・クラブ活動など、社会性や協調性を育む活動を指します。各学校で行事や活動への参加が求められ、これも卒業要件のひとつです。
・高等学校での在籍が通算3年以上あること
在籍年数は転校前の高校の期間も含まれますが、休学期間は含まれません。単位制高校では在籍期間の要件もあるため注意が必要です。
なお、通信制の単位制高校では、毎日の登校に代わり以下の方法で単位を修得します。これらの条件を満たせば、全日制高校と同等の卒業資格が得られます。
・レポート(課題提出)
・スクーリング(面接指導)
・試験
単位制高校一覧|東京都立の単位制高校をタイプ別に紹介
単位制高校の仕組みや特徴を理解すると、「具体的にどんな学校があるのだろう?」と気になる方も多いのではないでしょうか。全国的にも単位制高校の導入が進んでいる地域のひとつである東京都を例に紹介します。
都立高校の単位制高校の多くは「自由にカリキュラムを組む」よりも、単位制というシステムを活かしながら高校ごとの特色を出す、ニーズを満たす、という側面が強いのが特徴。
①個性や特性、進路希望に対応した特色型 ②進学重視型 ③専門高校型に分類されます。また、定時制や通信制も設置されています。具体的な該当校を紹介します。
タイプ | 該当校 | 特徴 |
---|---|---|
全日制(特色型) | 飛鳥、芦花、上水、美原、大泉桜、翔陽、忍岡(普通科)、板橋有徳 | 多様な学び・探究活動・地域連携・自分で作る時間割 |
全日制(進学重視型) | 新宿、墨田川、国分寺 | 大学進学向け、主要5教科中心、進学講座・補習が充実 |
全日制(専門高校型) | 六郷工科(工業科・デュアルシステム科)、忍岡(生活科学科)、総合芸術高校(音楽科・美術科・舞台表現科) | 専門知識・技術を学ぶ、実習・産業連携・専門講座あり |
定時制 | 新宿山吹、飛鳥、砂川、六郷工科、一橋、浅草、板橋有徳、荻窪、八王子拓真 | 働きながら・柔軟な時間帯で学べる、進路多様対応 |
通信制 | 新宿山吹、砂川、一橋 | 在宅学習中心、スクーリング・レポートで単位修得 |

大山先生
単位制高校と一口にいっても、その形態は様々で、必ずしも単位制=「自分でカリキュラムを組み立てる」ではないことには注意が必要です。
特に進学重視型単位制である新宿・国分寺・墨田川は「単位制高校のメリットを活かして上位大学進学を目指す」ことが意図としてあり、3年次の自由選択科目の幅が広い傾向はあるものの、カリキュラム構成については学年制とほぼ変わりません。
進学重視型単位制の場合の「単位制のメリット」とは主に「学年制高校よりも教員数を多く配置できること」であり、教科ごとの習熟度別クラスの設置がしやすいことなどが挙げられます。
また、全日制特色型の多くにおいても、1年次のカリキュラムはほぼ学年制と同じ(必履修科目を履修する必要があるため)であることが多く、2年次以降の選択科目の幅が広い、高校の特色に応じた選択科目が設置しやすいという点が学年制と異なるポイントとなります。
その点で、「完全に自分でカリキュラムを組み立てる」という点に特化しているのは無学年制を採用している新宿山吹高校で、この高校に関しては、通う形態でありながら自分でカリキュラムを組み立てる単位制高校であると言えるでしょう。
単位制高校選びで失敗しないためのポイント
これまで紹介したように、単位制高校と言っても、学校ごとの方針やカリキュラム、支援体制に大きな違いがあります。そのため、自分に合った学校を選ぶには事前の情報収集と確認がとても重要です。
以下のポイントを押さえることで、入学後の「こんなはずじゃなかった」を防ぐことができます。
① 学校説明会・学校見学などで校風を確認する
単位制高校は、同じ制度を採用していても、校風や先生方の教育方針、カリキュラムの組み方、クラス運営の雰囲気は学校によって大きく異なります。学校説明会や学校見学では、授業の様子や生徒同士・先生と生徒の距離感、学校全体の空気感を実際に肌で感じることができます。
また、個別相談会があれば、自分の希望や悩みを直接相談し、学校側のサポート体制を確認することも大切です。
② 卒業後の進路(大学進学・専門学校・就職)の実績を確認する
自分が目指す進路(大学、専門学校、就職など)に合わせ、各校の進学・就職実績を確認しましょう。パンフレットや公式サイトに掲載されているデータだけでなく、学校説明会で「どんな進学支援・就職支援があるのか」「どんな進路が多いのか」などを具体的に質問するのも良い方法です。
進路指導の手厚さや、卒業後のサポート体制を確認することが、安心して学校選びをするポイントです。
③ 履修モデルや時間割例を確認し、学びのイメージを具体化する
単位制を導入する高校では、「自分で時間割を組み、自分で履修計画を立てる」ケースがあります。学校によって選択科目の種類や数、時間割の自由度は大きく異なるため、「どの科目をどのように組み合わせられるのか」「1週間の時間割はどんなイメージか」を事前に確認しておきましょう。
特に、部活動やアルバイト、課外活動と両立を目的に単位制高校を選択する場合は、自分の生活リズムに合った時間割が組めるかどうか、必ず具体例を見て検討することが重要です。
公式パンフレットだけでなく、説明会や在校生の話を聞くことで、リアルな学びのイメージが湧きやすくなります。
単位制高校についてのよくある質問(FAQ)
Q.単位制高校とは何ですか?簡単に教えてください。
単位制高校は、生徒が修得した単位を積み重ねて卒業を目指す制度を採用しています。学年ごとの進級に縛られず、在籍期間3年以上かつ必要単位(74単位以上)を満たすことで卒業できます。全日制・定時制・通信制いずれでも導入されています。
Q. 単位制高校と学年制高校は何が違うのですか?
学年制は学年ごとに決まった課程を全員で進めますが、単位制は履修した単位を積み重ねて卒業を目指します。学年制と比較して時間割や履修科目の選択に自由度が高い傾向はありますが、運用方法は高校ごと異なり、必ずしも完全に自由にカリキュラムが組めるとは限りません。
Q. 単位制高校のメリットは何ですか?
学年制を導入する高校と比較して、メリットは、自分のペースで学習できる柔軟性や、時間割の自由度、興味に応じた選択科目の履修が可能な点です。特に自由に時間割を組めるタイプの単位制高校では部活動やアルバイトと両立しやすいのも特徴です。
また、一部の都立高校では、単位制の仕組みを導入することで学年制高校よりも多くの教員数を配置している場合があります。これにより習熟度別授業など教育体制の手厚さを実現しています。
Q.単位制高校のデメリットは何ですか?
デメリットは、自分で時間割を作成する場合、自己管理力が求められることです。履修計画を立てないと単位が不足する恐れがあり、「みんなと一緒に進級する」安心感が薄いと感じる人もいます。
Q. 単位制高校は自由に時間割を組めるのですか?
学校によって異なりますが、必修科目を満たしたうえで選択科目を自分の希望や進路に応じて組める高校が多いです。ただし、都立高校などでは、時間割やカリキュラムについては学年制に近い運用をしている高校もあります。
Q.単位制高校は大学進学に不利ですか?
いいえ、不利ではありません。特に進学重視型の単位制高校では、大学合格で実績を出すための授業を行うためにあえて単位制の仕組みを導入しています。
定時制や通信制の単位制高校であっても、履修計画次第で主要科目を強化できるなどのメリットがあります。
Q. 転入や編入は可能ですか?
多くの単位制高校で転入・編入を受け入れており、修得済みの単位が認められる場合もあります。学校ごとに受け入れ条件は異なるため確認が必要です。
まとめ:単位制高校は学校ごとに大きく違う。制度より中身を見よう
単位制高校は、「学年による教育課程の区分を定めなくてよい」制度として、柔軟な学びが可能な点が魅力です。しかし、「単位制=自由に時間割を組める」とは限らず、高校ごと特色を活かす目的で単位制の仕組みを導入している場合も多くあります。
特に東京都立高校の多くは、制度として単位制を導入しつつも、実際のカリキュラムは学年制に近い形で運用されている場合があります。単位制のメリットをどのように活かしているかは、学校ごとの方針や仕組みによって異なります。
自分に合った高校を選ぶためには、制度の特徴を正しく理解し、各校の教育方針や履修の実態、進路サポート体制などを事前によく調べることが重要。学校見学や説明会を通じて正確な情報を得たうえで、自分の目的に合った高校を見つけていきましょう。
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール

塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。