私立大学の学費はいくら?卒業までの総額や国立との差、支援制度・無償化・生活費まで解説

子どもの進学を考える保護者や、進路を検討する高校生にとって、私立大学の学費に関する正しい情報は、進路選択において非常に重要です。
「私立大学の学費は高いと聞くけど、実際はいくら?」「国立大学と比べてどれくらい違うの?」といったことが気になると思います。私立大学に4年間通った場合の学費は約500万円、国立大学の場合は約250万円です。
このページでは、私立大学の入学金や授業料の平均額から、学部別の費用差、国立大学との比較、さらには利用できる奨学金や支援制度まで詳しく解説します。

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私立大学の学費はいくら?
私立大学へ進学するためには、入学金や授業料といった学費が必要です。具体的な金額は大学・学部・学科ごとに異なりますが、ある程度まとまった額が求められます。
これから私立大学への進学を検討する際は、学費の目安を正しく理解しておくことが欠かせません。目安を知ることで、余裕を持った資金計画を立てられるようになります。
まずは私立大学の入学金や授業料の平均額、4年間でかかる学費の総額などを見ていきましょう。
私立大学の入学金・授業料の平均額
2023年における私立大学の年間学費の平均額は、次のとおりです。
出典:文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」から情報を抜粋し作成。
私立大学によっては施設設備費や実験実習料といった費用もかかり、初年度の合計は147万7,339円となります。
文系と理系で学費はどれくらい違う?
私立大学は文系と理系で、学費の目安が異なります。
具体的な金額の目安は後で解説しますが、理系は文系よりも年間で約30万円も授業料が高いです。
理系の大学や学部では、実験・実習といった授業科目が多く、設備・器具・材料などに費用がかかります。また実験・実習で生徒一人ひとりに指導するには、教員やスタッフ数を多く確保する必要があるため、人件費が高くなるのが理由です。
4年間でかかる学費の総額は?
私立大学に4年間通った場合の学費の総額目安は、518万6,942円です。
文系・理系・医歯系など、さまざまなジャンルの学部の平均額のため、実際の金額目安はそれぞれで変わってきます。
参考:文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
私立大学の学費は大学・学部で大きく違う
私立大学における初年度学費の平均額は147万7,339円ですが、実際の金額は大学や学部で異なります。
続いては文系・理系・医歯系など、大学や学部ごとに変わってくる私立大学の学費を見ていきましょう。
文系・理系学部の学費相場
文系・理系学部の学費相場は、次のとおりです。
●内訳
項目 | 文科系学部 | 理科系学部 |
---|---|---|
入学金(初年度のみ) | 223,867円 | 234,756円 |
授業料(年間) | 827,135円 | 1,162,738円 |
施設設備費(年間) | 143,838円 | 132,956円 |
初年度の学費合計 | 1,194,840円 | 1,530,450円 |
2年以降の学費(年間) | 970,973円 | 1,295,694円 |
出典:文部科学省:「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」から情報を抜粋し作成。
初年度の学費相場は文科系学部で119万4,840円、理科系学部で153万450円でした。理科系学部は文科系学部よりも、33万5,610円高くなっていることがわかります。
4年間では理科系学部は文科系学部よりも、134万2,440円高くなります。
医学部・歯学部・薬学部の学費は特に高額
医学部や歯学部、薬学部といった医科系の学費は特に高額です。初年度の学費相場は、次のようになっています。
●内訳
項目 | 医学 | 歯学 | 薬学 |
---|---|---|---|
入学金(初年度のみ) | 1,360,098円 | 594,849円 | 332,681円 |
授業料(年間) | 2,656,053円 | 3,218,227円 | 1,433,292円 |
施設設備費(年間) | 1,063,284円 | 568,631円 | 310,097円 |
初年度の学費合計 | 5,079,435円 | 4,381,708円 | 2,076,070円 |
2年以降の学費(年間) | 3,719,337円 | 3,786,858円 | 1,743,389円 |
出典:文部科学省:「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」から情報を抜粋し作成。
医学部・歯学部・薬学部の修業年限は6年間のため、必然的に学費が高くなりがちです。特に医学部と歯学部では年間の合計金額も高く、6年間で2,300万円以上かかります。
芸術・スポーツ系の学費相場は?
芸術系やスポーツ系の学費相場は、以下のとおりです。
●内訳
項目 | 芸術系 | スポーツ系 |
---|---|---|
入学金(初年度のみ) | 239,945円 | 240,072円 |
授業料(年間) | 1,131,010円 | 870,889円 |
施設設備費(年間) | 270,491円 | 194,664円 |
初年度の学費合計 | 1,641,446円 | 1,305,625円 |
2年以降の学費(年間) | 1,401,501円 | 1,065,553円 |
出典:文部科学省:「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」から情報を抜粋し作成。
芸術系の年間合計(初年度)は164万1,146円で、4年間では584万5,949円。設備費や材料費、個別指導による人件費などがかかるため、理系と同じように学費は高くなりがちです。
スポーツ系の年間合計(初年度)は130万5,625円で、4年間では450万2,284円となります。
学費が高い私立大学の傾向と系統
これまで見てきたように、私立大学では理系や医科系、芸術系などで学費が高くなることがわかります。文系と比べて実験・実習科目が多いほか、設備や材料費などがかかること、個別指導が多いことなどが理由と考えられるでしょう。
また神戸大学の「日本の私立大学学費の決定要因の分析:社会科学系学部を対象として」では、偏差値の高い有名大学ほど学費が高くなっていると述べています。
学費が安い私立大学ランキング10
「できるだけ学費を抑えたい」といった方向けに、学費が安い私立大学ランキングTOP10を紹介します。
●学費が安い私立大学ランキングTOP10
順位 | 大学 | 学部 | 初年度の学費 |
---|---|---|---|
1 | 東京電機大学 | 工学部第二部 | 444,860円~ ※学費単位従量制 |
2 | 福岡大学 | 商学部第二部 | 472,370円 |
3 | 大阪経済大学 | 経営学部第2部 | 613,000円 |
4 | 北海学園大学 | 経済学部2部・経営学部2部・法学部2部・人文学部2部 | 639,000円 |
5 | 熊本学園大学 | 社会福祉学部第二部 | 687,000円 |
6 | 東洋大学 | 第2部・イブニングコース | 710,000円 |
7 | 日本大学 | 法学部法律学科(第二部) | 740,000円 |
8 | 駒沢大学 | 法学部法律学科フレックスB | 797,500円 |
9 | 東京理科大学 | 理学部第二部 | 980,000円 |
10 | 聖徳大学 | 児童学科(夜間主)・教育学科(夜間主) | 990,000円 |
※通信教育をメインとした大学・学部は含みません
出典:各大学のHPより抜粋して作表。
第二部やイブニングコースとは、夜間部のことです。夜間部は昼間部と比べて、授業料などが安く設定されている傾向があります。
例えば、昼間はアルバイトをして生活費や学費を稼ぎ、夕方から夜間部の大学へ行って勉強する方法もあるでしょう。
学費が安い東京の私立大学ランキング10
東京は住居費といった物価が高いことから、何かと生活費も高くなりがちです。そのため「東京の私立大学がいいけど、学費を抑えたい」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
次の表は、学費が安い東京の私立大学ランキングTOP10です。
●学費が安い東京の私立大学ランキングTOP10
順位 | 大学 | 学部 | 初年度の学費 |
---|---|---|---|
1 | 東京電機大学 | 工学部第二部 | 444,860円~ ※学費単位従量制 |
2 | 東洋大学 | 第2部・イブニングコース | 710,000円 |
3 | 日本大学 | 法学部法律学科(第二部) | 740,000円 |
4 | 駒沢大学 | 法学部法律学科フレックスB | 797,500円 |
5 | 東京理科大学 | 理学部第二部 | 980,000円 |
6 | 日本社会事業大学 | 社会福祉学部 | 1,031,800円 |
7 | 国際医療福祉大学 | 1,060,000円 | |
8 | 東京神学大学 | 神学部 | 1,076,950 円 |
9 | 日本経済大学 | 経済学部・経営学部 | 1,093,300円 |
10 | 創価大学 | 経済学部・経営学部・法学部 | 1,150,000円 |
※通信教育をメインとした大学・学部は含みません
出典:各大学のHPより抜粋して作表。
上位を占めているのは、やはり夜間部です。初年度100万円を超えずに、東京の私立大学へ通えるのは魅力といえるでしょう。
また昼間部でも、比較的リーズナブルな学費を設定しているところもあります。
私立大学と国立大学の学費を比較
特に「学費をできるだけ抑えたい」と思っている場合、国立大学も検討するか迷っている方が多いのではないでしょうか。
以下で私立大学と国立大学の学費を比較するため、大学選びの参考としてください。
私立・国立の学費4年間の比較表【文系・理系】
私立大学と国立大学、4年間の学費相場は次のとおりです。
●内訳
項目 | 私立大学 | 国立大学 | ||
---|---|---|---|---|
文系 | 理系 | 医歯系 | ||
入学金 | 223,867円 | 234,756円 | 1,077,425円 | 282,000円 |
授業料 (年間) |
827,135円 | 1,162,738円 | 2,863,713円 | 535,800円 |
施設設備費 (年間) |
143,838円 | 132,956円 | 880,566円 | - |
出典:文部科学省「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」から抜粋して計算し作成。
国立大学の入学金と授業料は文部科学省が標準額を定めており、社会の経済情勢に応じて適時見直されます。入学金は2002年以降、授業料は2005年以降は改定されていません。
ただし標準額はあくまでも文部科学省が示したモデル金額で、実際には各国立大学で標準額の120%を上限に、入学金と授業料を改定できます。
私立大学の文系は国立大学よりも150万円以上プラス、理系では300万円近くもプラスとなっています。
私立大学のメリット&デメリット
国立大学ではなく私立大学へ通うメリットは、受験勉強の負担を減らせることです。
国立大学では基本的に大学入学共通テストで6教科8科目、二次試験でも1~4教科ほどが課されます。しかし、私立大学の場合は文系学部と理系学部で3教科受験が一般的です。中には2教科で受験できるところもあるでしょう。
また入試回数が多いことから、受験できるチャンスが増えるのも私立大学ならではのメリットです。私立大学は学校数が多く、大学によっては個別学部入試や全学部入試、共通テスト利用方式など複数の入試方式を受けられます。
デメリットは、学費が高くつくことです。先で述べたように私立大学の学費相場は、文系で国立大学よりも150万円以上プラス、理系では300万円近くもプラスとなっています。
学費以外にかかる費用と生活費
大学生活に必要なのは学費だけではありません。自宅から通う場合、一人暮らしをする場合のどちらでも、生活費がかかってきます。
学費以外にかかる費用や生活費の目安を見ていきましょう。
入学初年度にかかる費用(生活費等)
例えばアパートやマンションなどで一人暮らしをする場合は、次のような初期費用が必要です。
●入学初年度にかかる初期費用項目
項目 | 内容 | 費用の目安 |
---|---|---|
敷金 | 大家といった貸主に預けるもので、 退去時にクリーニング代や修理代などが差し引かれる |
家賃1カ月分 |
礼金 | 部屋を貸してくれたお礼として貸主に払うもの | 家賃1カ月分 |
仲介手数料 | 賃貸契約の仲介をした不動産会社へ、 報酬として支払うもの |
家賃1カ月分+税 |
前家賃 | 翌月分の家賃 | 家賃1カ月分 |
火災保険料 | 多くの賃貸住宅で加入が求められる | 年1万5,000~2万円 |
出典:日本FP協会公式サイト「学生の暮らしには、どのくらいお金がかかる?」
物件によっては敷金が1カ月分以上だったり、礼金がなかったりします。敷金は退去時にクリーニング代や修理代が差し引かれて戻ってきますが、トラブルになりやすいため、契約前に規定を確認しておきましょう。
まだパソコンを持っていない場合は、パソコンの購入が必要となるかもしれません。多くの大学生が自分のパソコンを持っており、課題作成やリサーチなどに活用しています。
パソコンのスペックにもよりますが、7万~10万円くらいを準備しておけば大丈夫です。
自宅生・一人暮らしでの年間生活費の内訳
次の表は私立大学生の1年間にかかる生活費の目安です。
●大学生の主な生活費
項目 | 金額 | |
---|---|---|
下宿やアパートから通学 | 自宅から通学 | |
食費 | 260,000円 | 88,400円 |
住居・光熱費 | 446,600円 | - |
保健衛生費 | 55,100円 | 50,800円 |
娯楽・し好費 | 126,700円 | 137,400円 |
そのほかの日常費 | 177,300円 | 149,500円 |
合計 | 1,065,700円 | 426,100円 |
出典:独立行政法人 日本学生支援機構「令和4年度 学生生活調査結果」
一人暮らしをしている大学生の1年間の支出合計は106万5,700円。自宅から通っている大学生では、1年間の支出合計が42万6,100円でした。両者には2倍以上の差があることがわかります。
調査は全国の大学生を対象としているため、住んでいる地域によって費用に差があるでしょう。
4年間でかかる「学費+生活費」の総額
私立大学の4年間でかかる学費と生活費の総額は、次のとおりです。
●4年間でかかる学費と生活費
項目 | 金額 | |
---|---|---|
下宿やアパートから通学 | 自宅から通学 | |
学費 | 5,186,938円 | 5,186,938円 |
生活費 | 4,262,800円 | 1,704,400円 |
4年間の総額 | 9,449,738円 | 6,891,338円 |
一人暮らしでは944万9,738円、自宅生では689万1,338円となりました。250万円以上も差があることがわかります。
私立大学で利用できる学費支援制度
私立大学への進学でも、条件をクリアすればさまざまな学費支援制度を利用できます。
以下で主な学費支援制度を紹介するので、参考にしてください。
奨学金制度【給付型・貸与型】
奨学金には返済義務がない給付型と、卒業後に返済が必要な貸与型の2種類があります。国・私立大学・自治体・企業といったさまざまな団体が独自に実施しており、学生の学びを経済面から支援しています。
国の奨学金として有名なのが、JASSO(日本学生支援機構)。文部科学省が管轄する独立行政法人で、給付型と貸与型のどちらもあります。
また私立大学の場合、学内の奨学金制度が充実していることも多くあるでしょう。成績優秀者や特定分野での活動の実績を持つ学生を対象とした奨学金があります。
高等教育の修学支援新制度
高等教育の修学支援新制度は、大学・短大・専門学校といった高等教育機関への進学時に利用できる制度です。
大学の種別は問わないため、私立大学への進学にも活用できます。
住民税非課税世帯〜年収460万円の世帯を対象に、大学の入学金と授業料を減免するほか、返済不要の給付型奨学金もセットで支給されます(所得制限額は家族構成や支援額などによって変動)。
各大学独自の奨学金(支援)制度
私立大学によっては、独自の奨学金(支援)制度があります。
例えば早稲田大学では、入学前に申請できる「めざせ! 都の西北奨学金」があります。一都三県(東京都(島しょ部除く)・埼玉県・千葉県・神奈川県)以外の高校出身で、学業成績が優秀な生徒が対象です。年45万~70万円の奨学金を、最大4年間受けられます。
また順天堂大学の医学部では、学費減免特待生制度を設置。一般選抜A方式における、二次試験合格者の成績上位10名を対象とし、6年間で合計1,380万円もの減免を受けられます。
私立大学の学費に関するよくある質問(FAQ)
最後に私立大学の学費に関する、よくある質問を紹介します。
私立大学の学費は分割払いができますか?
分割払いに対応しているかどうかは、私立大学ごとに異なります。
通常は前期・後期の2回に分けて学費を納めますが、大学によってはさらに細かく分納できるところもあるでしょう。
私立大学の授業料無償化はいつからですか?
2025年度より高等教育の修学支援新制度が拡充し、扶養する子どもが3人以上いる世帯では、所得基準なしで授業料70万円、入学金26万円が無償になります。
ただし対象となる大学は一定の要件を満たした私立大学のみです。対象大学は文部科学省 「高等教育の修学支援新制度の対象機関(確認大学等)」で確認できます。
大学無償化で私立大学はいくらまで無料になりますか?
高等教育の修学支援新制度を活用すると、対象となる私立大学へ通っており、扶養する子どもが3人以上いる世帯では所得基準なしで授業料70万円、入学金26万円が無償になります。
大学無償化の年収600万はいつからですか?
高等教育の修学支援新制度では年収600万円ほどまでで、子どもが3人以上いる世帯が対象でした。しかし2025年に制度が拡充し、所得制限が撤廃されています。
まとめ:私立大学の学費を理解して、後悔のない進路選びを
私立大学の年間学費の平均額は147万7,400円。そのうち、入学金は240,806円、授業料は年間で959,205円(いずれも平均)です。
理系や医系の学部では設備費や器具費、材料費などがよりかかるため、文系よりも学費が高くなる傾向があります。「できるだけ学費を抑えたい」といった場合は、夜間部を検討するのも一つの方法です。昼間部と比べて学費が安く、昼はアルバイトをして生活費を稼ぐこともできます。
私立大学の学費は国立大学に比べて割高ですが、充実した設備や独自の運営方針が魅力的な大学がたくさんあります。将来の夢や家庭の経済状況、学費以外にかかる費用も考慮しながら、納得できる進路を選びましょう。
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