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工学部では何を学ぶ?就職事情や向いている人も徹底解説

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大学受験
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「工学部って理系の学部だけど、何を学ぶの?就職には強いの?」 そんな疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。工学部とは、数学や物理を基盤に「社会に役立つ技術」を学ぶ学部です。メーカーや建設、ITの就職に直結する専門性を身につけたい学生が多く集まります。

工学部では、機械や電気、情報、化学、建築など幅広い分野で「社会に役立つ技術」を探究。授業では基礎科学を応用した設計・実験・開発を行い、実習や研究室での活動を通じて、課題を発見し解決策を考える力を養えるのが魅力です。

そのため、卒業後の進路も技術者に限らず、コンサルティング、金融、官公庁などの選択肢も選べます。

この記事では、工学部で学ぶ内容、卒業後の仕事、女子の就職事情、そしてやめとけと言われる理由まで、わかりやすく解説します。

塾選ジャーナル編集部

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目次

工学部とは?

工学部とは、科学の理論を社会の課題解決や新しい技術・産業の創出へとつなげる学部です。物理学や数学、化学といった基礎科学をもとに、機械、電気、情報、建築、化学工学など多様な分野を実践で学びます。

特徴的なのは、実験・演習・設計といった「手を動かす学び」が多い点。座学で理論を学ぶだけでなく、実際に装置やプログラムを設計・開発し、試行錯誤を重ねます。学年が進むと専門を選び、研究室に所属。卒業研究を通じて課題発見力と解決力を磨けるのも工学部ならではの経験です。

工学部にはどんな学科がある?

工学部は、大学によって複数の学科が置かれることもあります。代表的な4学科と、大学独自の特色を打ち出した学科例を紹介します。

機械工学科

機械の設計・製作・運転に関わる基盤を学ぶ学科。力学や材料学、熱エネルギー、制御工学などを幅広く学び、自動車やロボット、航空機など、機械の製造に必要な技術を身につけます。

電気電子工学科

電気や電子の原理を学びます。エネルギー・通信・回路設計など幅広い分野に応用できる学びが特徴。発電・送電やスマートグリッド、半導体の研究に加え、AIやIoTといった最先端技術にもつながります。

情報工学科

コンピュータサイエンスを軸に、プログラミング・アルゴリズム・データ処理などを学ぶ学科。AI、ネットワーク、サイバーセキュリティなどIT社会を支える技術を習得できます。

建築学科

建築物の設計や構造を学び、都市計画や環境デザインなどに関わる力を養成。デザインの発想力に加え、耐震構造や建築材料など理工学的な専門知識を実践的に学びます。

応用化学科

化学を応用し、材料・医薬・エネルギー・環境分野に展開する学科。分子設計から機能性材料の開発まで、社会に活かせる研究が中心となります。

その他の学科の例

大学によっては、特色ある学科を設けて独自性を打ち出しています。

たとえば、室蘭工業大学 工学部には「機械航空創造系学科」があり、従来の機械工学に加えて航空宇宙分野を横断的に学べます。飛行機や人工衛星の設計に必要な流体力学や材料科学などを幅広く扱うのが特色です。

また、芝浦工業大学 工学部は「情報工学科」と「通信工学科」を設置。コンピュータサイエンスとネットワーク技術を専門的に学べます。光通信・無線通信・AI・IoTなど最先端分野を学べる教育が魅力的です。

さらに、北見工業大学 工学部の「地域未来デザイン工学科」では、寒冷地という地域特性を背景に、雪害対策や寒地建築を研究。再生可能エネルギー活用などをテーマに、地域課題の解決に直結する教育・研究が進められています。

このように、工学部は基幹分野から先端分野、さらに地域に特化した学びまで幅広く展開されています。どの学科を選ぶかによって学ぶ内容や将来のキャリアは大きく変わるため、自分の興味に合った分野を見極めることが大切です。

工学部で学ぶ内容

工学部で学ぶ内容の図

工学部では、複数の学問領域を横断的に学びながら、自分の専門分野を深めていきます。代表的な分野を以下に紹介します。

主な学問分野

機械工学
自動車、航空機、ロボットなどの仕組みを学びます。エネルギー変換の方法や、建物や部品が壊れないように強さを考える「材料力学」、機械を思い通りに動かす「制御工学」などを扱います。製品設計や生産技術に直結し、ものづくり全般を支える基幹領域です。

電気電子工学
電力システム、半導体、通信技術などを扱い、電気を効率よく安全に使う方法を扱います。再生可能エネルギーや次世代通信(5G/6G)などにもつながる、社会のインフラを支える学問分野です。

情報工学
プログラミングやAI、データサイエンスを中心に、ソフトウェア開発やネットワーク、セキュリティを学ぶ分野です。IT業界での需要が高く、多様な分野で活躍できる領域です。

土木・建築学
道路や橋梁、都市計画、建築設計などを通じて、安全で快適な社会基盤を整える方法を学びます。防災や環境に配慮した街づくりに直結する、社会的意義の高い分野です。

化学工学・応用化学
新素材、エネルギー、食品、医薬品など幅広い産業に関わる化学的プロセスが」テーマ。環境保全や再生可能資源の利用にも関わる産業横断の要です。

バイオ工学・環境工学
生命や環境の仕組みを技術に応用する方法を学びます。医療や農業、環境保全などに活かされる、将来性の大きい領域です。

こうした学びを通じて、工学部の学生は観察力、分析力、論理的思考力を磨いていきます。これらは技術系職種に限らず、社会のあらゆる場面で活かせる「一生ものの力」となるでしょう。

工学部での勉強のおもしろさは?

工学部の学びには、他の学部にはない「理論を社会に応用する実践性」と「ものづくりの楽しさ」があります。ここでは、工学部ならではのおもしろさをいくつかの視点から紹介します。

実験・研究が形になるおもしろさ

授業で学んだ理論を、すぐに実験や設計に応用できるのは工学部ならでは。機械工学では設計した部品を3Dプリンタで出力し、実際に動かすことができます。情報工学ではプログラムでアプリやシステムを動かし、「自分のアイデアが形になる瞬間」を体験できます。

日常生活と結びつく発見の多さ

工学を学ぶと、普段の生活にあるモノや仕組みを新しい視点で見ることができます。建築学では街並みに込められた設計思想や耐震構造に気づき、電気電子工学ではスマートフォンや家電の裏側の仕組みが理解できるようになります。身近な「当たり前」が学びを通じて違った姿に見えてくるのは、知的好奇心を大きく刺激するでしょう。

正解のない課題に挑む楽しさ

工学の世界には、必ずしも一つの正解があるわけではありません。自動車の燃費をどう改善するか、通信速度をどう高めるか、環境にやさしい素材をどう開発するか──課題の数だけ解決策があります。課題に挑み、試行錯誤を重ねながら答えを導いていく。そのプロセスこそが、ものづくりの醍醐味です。

多様な現場や人と関われる魅力

工学部の学びは実験室や研究室にとどまりません。企業との共同研究やインターンシップ、自治体とのプロジェクトなど、現実社会の課題に触れる機会も豊富にあります。異なる専門分野の学生や研究者と協働しながら、新しい技術や製品を生み出していく経験は、将来のキャリアに直結する貴重な経験値になります。

工学部で学ぶメリットや役に立つ場面

工学部での学びは、技術職への就職に役立つだけではなく、社会のさまざまな場面で応用できる汎用的な力を育てます。ここでは工学部ならではのメリットと実際の活用シーンを紹介します。

技術力と問題解決力がキャリアの強みになる

工学部で身につける設計力・分析力・開発力といったスキルは、メーカーや建設、IT業界の基盤を支える力になります。数値やデータをもとに課題を整理し、解決策を提案できる力は、製品開発だけでなくコンサルティングや行政の分野でも活かせる強みです。

チームで成果を出す協働力が身につく

工学部の実験や卒業研究は、グループワークで進めることが多くあります。役割分担や進行管理を経験することで、他者と協力しながら成果を出す、協働力が自然と育ちます。こうした経験は、社会人になってからのプロジェクト業務や組織運営に活かせる強みとなるでしょう。

日常の「ものの見方」が変わる

工学を学ぶと、日常のモノや仕組みを別の視点で捉えられるようになります。道路の舗装やビルの耐震構造、スマートフォンの動作原理など、身近な「当たり前」に潜む技術に気づけるようになります。「なぜこうなっているのか」を常に考える習慣が身につき、社会を広い視野で見る力が養われるのが利点です。

就職活動で武器になる経験が多い

工学部では研究や実験を通じて具体的な成果を残せるため、就職活動の自己PRで語れるエピソードが豊富になります。研究室での開発経験、学会発表、インターンシップでの実務経験などは、面接で説得力のあるアピール材料になります。

工学部で学んだことが実際に役立った体験談

工学部出身者の皆さんにご協力いただいたアンケート調査の結果をもとに、「工学部で学んだ知識やスキルが実際に役立った場面」についてご紹介します。

実験や実習で身につけた知識と経験が役立った

「工学部では四力学や制御工学を中心に学びましたが、これらはメーカーでの設計業務の基礎知識として欠かせない内容でした。3年生後半から研究室でさまざまな分析機器を扱った経験は、就職活動でも強みになりました。さらに機械加工や溶接、CAD操作といった実習経験は、生産技術や試作作業の現場でそのまま役立っています。」(室蘭工業大学工学部卒・男性)

プログラミングスキルが就職後の強みになった

「在学中にC言語やJavaなど複数のプログラミング言語を学んだことで、就職後すぐにシステム開発の現場で役立ちました。大学時代に取得した関連資格は面接でも好印象につながり、新人ながら基幹システム管理プロジェクトに参加させてもらえたのも大きな経験です。」(九州大学 工学部卒・男性)

論理的な説明力が職場で評価された

「工学部で培った基礎的な素養のおかげで、異なる専門分野の人ともスムーズにやり取りができました。新しい知識を学ぶときにも、大学で身につけた考え方が役立っています。技術的な内容をわかりやすく伝える力は、社会人になってから会議や説明の場で強みになっています。」(芝浦工業大学工学部卒・女性)

幅広い求人の中から柔軟に進路を選べた

「大学でプログラミングを中心に学びましたが、多様な知識を得られたことで就職活動の選択肢が多くありました。前職では機器の動作検証、現職ではC++やC#を使ったアプリ開発に携わるなど、異なる職場でも工学部で培った論理的思考が役立っています。キャリアの幅を広げられたのは大きなメリットです。」(名古屋工業大学工学部卒・男性)

工学部で取得できる資格

工学部で取得できる資格

工学部では、将来のキャリアに役立つ多様な資格取得が可能です。大学によっては、資格取得を支援する専門科目や実習が用意されている場合もあります。

技術士補

国家資格「技術士」への第一歩となる資格です。工学部を卒業することで受験資格を得られ、建設・機械・電気・情報など幅広い分野で技術者としての専門性を証明できます。

教職(中学・高校:数学・理科・工業 など)

工学部のカリキュラムと教職課程を組み合わせることで、中高の数学や理科、工業科などの教員免許を取得できる大学もあります。工学の知識を教育現場で活かしたい人に有利です。

建築士(一級・二級)

建築学科や建築関連のコースで所定の科目を履修すれば、建築士試験の受験資格を得られます。設計事務所やゼネコンなど、建築分野でのキャリアにつながる資格です。

電気主任技術者(電験三種など)

電気系学科を卒業すると、一部の試験科目が免除される場合も。発電所や工場、ビル管理など、電気設備の安全管理に関わる仕事で評価されます。

施工管理技士

土木・建築系学科の学生にとって代表的な資格で、工事現場の監理技術者として活躍する道が開かれます。施工計画や安全管理の知識を証明できるため、就職活動でも有利です。

このほかにも、大学の専攻やカリキュラムによっては、情報処理技術者試験や環境関連資格などを目指せる場合があります。資格取得の可否は大学ごとに異なるため、志望校の公式サイトやパンフレットで必ず確認しておきましょう。

工学部の卒業生の就職事情!何になれる?

工学部卒業生の就職事情

工学部を卒業した人の就職先は、メーカーや建設・インフラ、IT業界といった技術職が中心です。一方で、コンサルティングや金融、官公庁など、技術職以外の幅広い業界へ進む人も少なくありません。

また、工学部卒業生の多くは大学院に進学し、専門性をさらに高めています。修士課程を経ることで研究職や高度な技術職への道が開かれ、大手企業や研究開発職など、より有利な就職につながるケースも数多く見られます。

ここでは、実際のアンケートデータをもとに、工学部卒業生の就職先や、学び・大学院での経験がどのように活かされているのかを詳しく見ていきましょう。

工学部の主な就職先

工学部の主な就職先

メーカー

工学部卒の進路として多く見られるのがメーカーです。自動車、電機、化学、食品、精密機器など幅広い業界で、製品設計や研究開発、生産管理といった職種に携わります。大学で学ぶ機械設計や材料工学は自動車や飛行機の部品設計に、電気回路は家電やスマホ開発に役立ちます。

ソフトウェア・通信(IT業界)

情報工学や電気電子工学を学んだ学生の活躍の場は、システム開発、ネットワーク構築、データ分析、AI関連業務など実に多彩。大学でのプログラミング演習や卒業研究での開発経験は、そのまま就職活動で強みになります。

建設・不動産

建築学科や土木工学科の出身者は、建設会社や設計事務所、不動産デベロッパーに進むケースも。大学で学ぶ耐震設計や都市計画の知識を、社会インフラ整備の現場でそのまま活かせるのが利点。工事やプロジェクトの進行では、多くの関係者と協力して合意形成を行う力も求められ、工学部で培った論理性や調整力が役立つでしょう。

官公庁・公社・団体

工学部で学んだ技術や知識は、公共分野でも広く必要とされています。道路や橋梁の維持管理、防災対策、エネルギー政策など、住民生活を支える行政の現場で活かされています。

コンサルティング・サービス

工学部卒の強みは、理系分野に限りません。データを整理・分析し、論理的に説明する力は、経営コンサルや人材サービス業界などでも高評価。工学部での学びは「技術を理解する力」だけでなく、「数字を根拠に考え、解決策を導く力」として、幅広い業界で活用できます。

工学部卒業の女子の就職先は?

工学部出身の女子は、理系の専門知識を活かしながら、多様な分野で活躍しています。かつては男性が多いイメージのあった工学部ですが、近年は女性の進学も増えています。特に「将来に役立つ技術を身につけたい」と考える女性から選ばれており、就職の強みになる専門性を求めて工学部を選ぶケースも多いのです。

ここでは女子の進路として多く見られる就職先を紹介します。

メーカー

メーカーは女子の進路としても多い業界。製品開発や品質管理、営業技術など多様な職種で、工学部で培った専門知識が役立ちます。近年は産休・育休制度や研究職としてのキャリア継続支援が整った企業も多く、安心して働ける環境が広がっています。

ソフトウェア・通信(IT業界)

IT業界はリモートワークや柔軟な働き方が普及しており、女性にとって働きやすい業界のひとつです。プログラミングや情報処理の知識を活かして、システム開発やユーザーサポート、データ分析などに携わるケースが見られます。ユーザー目線を重視した提案力やきめ細やかな対応力が評価される場面もあり、性別を問わずキャリアを築きやすい環境です。

建設・不動産

建設や不動産分野でも、設計や都市計画といった専門知識を活かして働く女性がいます。特に建築学科出身者は設計職やインテリア関連に進む人が多く、生活者視点を活かした提案が評価されるのが利点。現場業務は近年はICT施工やマネジメント業務など体力に依存しない働き方も広がっており、女性の活躍の場が着実に広がっています。

工学部の就職体験談

工学部での学びは、就職活動の自己PRだけでなく、実際の業務の場面でも強みとして活かされています。アンケートに寄せられた実際の声をご紹介します。

【メーカーに就職した室蘭工業大学工学部卒・男性の体験談】

就職活動でのメリット
「3年次後半から研究室で多くの分析機器を扱った経験は、面接で具体的に説明できました。メーカーの担当者も実務に応用できるとイメージしやすかったようで、高く評価されました。機械加工やCADの実習経験も自己PRに活かせました。」

実際の業務での活用
「大学で学んだ四力学や制御工学の知識は、設計業務に欠かせない基礎となっています。また、在学中に経験した旋盤や溶接などの加工実習、CAD操作は、生産技術や試作作業の現場でそのまま役立っています。」

【ソフトウェア・通信業界に就職した九州大学工学部卒・男性の体験談】

就職活動でのメリット
「在学中に取得したプログラミング関連資格を自己PRで示せたことで、面接時に注目してもらえました。担当官から質問が多く、話を広げやすかったのは大きなメリットでした。」

実際の業務での活用
「入社後は基幹システム管理のプロジェクトに新人ながら参加することができました。C言語やJavaなど大学で習った基礎が土台になり、実務にスムーズに入ることができ、即戦力として評価されたと感じています。」

【官公庁に就職した芝浦工業大学 工学部卒・女性の体験談】

就職活動でのメリット
「工学部卒のみを対象とする求人に応募できたのは大きな強みでした。就職氷河期で厳しい時期でしたが、理系女性という点も注目されやすく、研究内容を説明する機会を得やすかったです。」

実際の業務での活用
「研究発表で培った論理的な説明力が、住民対応や行政文書作成の場面で活きています。異なる専門の人ともやり取りがスムーズにでき、専門的な内容をわかりやすく説明する力が評価され、職場での信頼にもつながっています」

【メーカーに就職した名古屋工業大学工学部卒・男性の体験談】

就職活動でのメリット
「求人の数が多く、就職活動の選択肢が豊富でした。機械工学を中心に学びつつ、情報や電気にも触れていたことで、複数の業界で自分の強みをアピールできたのは大きなメリットでした。」

実際の業務での活用
「現在は機械工学の知識を土台に、C++やC#を用いたアプリ開発にも携わっています。前職でもツール検証や論理的思考が役立ちました。幅広い学びがあったからこそ、異なる部署やプロジェクトでも柔軟に対応できています。」

工学部に向いているのはどんな人?

工学部に向いている人

工学部の学びは、「数学や物理をひたすら勉強するだけ」ではありません。数理的な知識をもとに社会の課題を技術で解決することをめざす学部です。

ここでは、工学部に向いている人の特徴や考え方の傾向をわかりやすくご紹介します。「もしかして自分に合っているかも?」と感じたら、進路選びの参考にしてください。

工学部に向いている?を簡単診断

以下のチェックリストで、あなたが工学部に向いているかどうかを診断してみましょう。
当てはまる項目が多いほど、工学部での学びと相性が良いかもしれません。

工学部に向いているか簡単診断リスト

判定結果

  • 15〜20個該当
    工学部に非常に向いています。専門性を深めながら社会に貢献できる技術者としての素養が十分に備わっているでしょう。
  • 10〜14個該当
    工学部に向いています。特に関心のある分野を選んで学べば、充実した大学生活とキャリア形成につながります。
  • 5〜9個該当
    一定の適性はあります。他学部と比較しながら、自分がどの分野で力を発揮できそうかを検討するとよいでしょう。
  • 0〜4個該当
    工学部以外の学部も含めて幅広く検討するのがおすすめです。自分が最も関心を持てる分野を大切にしてください。

診断のポイント

工学部で特に大切なのは、「論理的に考える力」「課題を解決するための粘り強さ」「ものづくりや仕組みに対する好奇心」 の3つです。

「なぜこの機械は動くのか?」「もっと効率的な仕組みは作れないか?」といった疑問を持ち、答えを探し続けられる姿勢も大きな強みになります。

こうしたポイントに多く当てはまる人は、工学部での学びを通じて確かな成長とキャリアの広がりを実感できるでしょう。少しでも興味を感じたら、オープンキャンパスや模擬授業などで実際の雰囲気を体験してみるのもおすすめです。

工学部によくある志望理由

アンケート調査をもとに、実際に工学部に進学した先輩たちのリアルな志望理由をご紹介します。どのようなきっかけで工学部を選んだのか、参考にしてみてください。

ものづくりや機械に興味があったから

「昔から車や飛行機などの機械に関心があり、その仕組みをもっと深く理解したいと思っていました。工学部なら理論だけでなく実験や加工の実習もあり、興味を実際に形にできると考えて進学を決めました。」 (室蘭工業大学 工学部卒・男性)

社会の課題を技術で解決したいと思ったから

「地元のインフラやエネルギー問題を身近に感じる機会があり、工学を学べばそれを解決できると考えました。在学中には地域防災やエネルギー関連の研究にも関わり、学びが社会と直結していると実感できました。」 (北見工業大学 工学部卒・男性)

ITや情報分野に関心があったから

「高校時代にプログラミングを学んだことでコンピュータの仕組みに興味を持ちました。工学部では情報工学を専門的に学び、ネットワークやAIといった最先端の分野にも触れられると思い選びました。」 (九州大学 工学部卒・男性)

安定した専門職につながるから

「就職の強さを考えたとき、工学部なら専門性を活かして幅広い分野で働けると知りました。実際に研究室やインターンを通じて企業とのつながりが生まれ、進路の選択肢が広がったと感じています。」 (芝浦工業大学 工学部卒・女性)

「やめとけ」と言われる理由!工学部をおすすめしない人は?

工学部は就職に強いと言われる一方で、「合わなかった」「やめとけ」という声もあります。アンケートの回答からは、学びのスタイルや将来像によっては向いていないと感じる人もいるようです。ここでは代表的な理由を紹介します。

1. 数学や物理が苦手だと厳しい

「物理や数学が基盤になるので、苦手意識があると講義についていくのが大変でした。」 (名古屋工業大学 工学部卒・男性)

工学部は数理的な思考が必須です。実験や設計は理論を土台に進むため、基礎が苦手だと負担が大きくなります。

2. 実験やレポートの量が多い

「毎週のように実験があり、レポートも長文で大変でした。徹夜することも多かったです。」(大阪公立大学 工学部卒・女性)

工学部の学びは実践的である分、実験や課題が多いのが特徴です。計画的に取り組めないと負担に感じやすいでしょう。

3. 専門性が強く他分野に進みにくいと感じることも

「機械工学を学んできたので、就活で他業界を受けると『なぜ文系就職なのか』と聞かれることが多かったです。」(室蘭工業大学 工学部卒・男性)

工学部の学びは専門性が高いため、技術職以外の道を選ぶ場合には説明力が求められるケースもあります。

おすすめしない人の特徴

これらの声から考えると、次のような人には工学部はあまりおすすめできないかもしれません。

数学や物理を避けたい人
工学部の授業や研究は数理的な考え方を基盤にしています。基礎に苦手意識があると、講義や実験についていくのが大変になります。

実験やレポートを計画的にこなすのが苦手な人
毎週のように実験があり、長文のレポートも多いのが工学部です。計画的に取り組めないと、課題に追われてしまうこともあります。

文系の学びや抽象的な思考を好む人
工学部は理論を「実際に使うこと」に重点を置くため、抽象的な議論を深めたい人や、人文・社会系の学びを中心に考えている人には合わない可能性があります。

自分の興味を大切に

これらの声はあくまで個人の経験や意見に基づくものです。工学部での学びを活かし、メーカーやIT、官公庁など様々な分野の就職先で活躍している卒業生も数多くいます。

大切なのは、「なぜ工学を学びたいのか」という動機を持てるかどうかです。ものづくりや仕組みへの好奇心、社会課題を技術で解決したいという思いがあれば、厳しい学びも充実した経験に変わります。関心や目標を早めに見つけ、研究やインターンを通じて経験を積めば、工学部での学びを将来につなげることができます。

「やめとけ」という意見も、工学部の特徴を踏まえた一つのアドバイスとして受け止めつつ、最終的には自分の気持ちを大切に、納得のいく進路を選ぶことが何より大事です。

おすすめの工学部がある大学ランキングTOP3

おすすめの工学部がある大学ランキングTOP3

工学部への進学を検討している方に向けて、学習レベル・研究実績・進路実績・出願方法の豊富さなどを総合的に評価し、おすすめの大学を国公立・私立に分けてご紹介します。

工学部が強い!おすすめの私立大学TOP3

1位:早稲田大学 理工学術院(基幹理工学部・創造理工学部・先進理工学部)

早稲田大学のキャンパス風景

早稲田大学理工学術院は、先進的な研究分野と実践的な学びの機会が豊富なのが大きな魅力です。宇宙航空学を専門とする「機械科学・航空宇宙学科」や、生命科学と医学を融合する「生命医科学科」など、独自性の高い学科を擁しています。

研究活動も盛んで、学生や教員は国内外で成果を発表。社会的に注目されるユニークな研究や、数々の受賞実績を誇っています。さらに、ANAやJAXAとの連携による講座やインターンシップを通じて、研究成果が社会でどのように活かされるのかを体感できるのが特徴です。

都心のキャンパスには最新の研究設備が整い、最前線のテーマに挑戦できる環境も整備されています。こうした環境と実績は社会からも高く評価され、多くの卒業生が有名企業や研究機関で活躍。研究者を志す学生にも、実社会で技術を応用したい学生にも、幅広い可能性を開く学びの場となっています。

2位:慶應義塾大学 理工学部

慶應義塾大学理工学部は、学んだ知識を「社会で使える力」に変えられる場です。AIやデータサイエンスをはじめとする最先端研究に取り組むだけでなく、企業の実データを活用した実習や産業界との共同研究も盛んに行われています。学問と社会を直結させる環境が整っており、学生は研究の価値を実感しながら学びを深めることができます。

また、1・2年次を文系学部と同じ日吉キャンパスで過ごすことで、多様な学部の学生と交流できるのも大きな特徴です。異なる専門領域に触れ、幅広い視点や将来の人脈を築ける点も魅力といえるでしょう。

卒業後は研究職や技術職への進路が多い一方で、金融やコンサルティングなど理系以外の分野で活躍する学生も少なくありません。専門性を基盤に多様なキャリアを描ける柔軟性こそが、慶應理工の強みです。

3位:東京理科大学 工学部・理工学部・創域理工学部・先進工学部

東京理科大学工学部は、厳しい教育環境が学生を大きく成長させる学部です。工学分野を幅広く網羅し、「学べないことはない」と言えるほど充実したカリキュラムを備えています。

昔から実力主義の伝統があり、努力した分だけ成果につながる環境です。単位取得は厳しい一方で、確かな知識と技術を身につけ、自信を持って社会に出られる力を養えます。

その成果は就職実績にも表れており、進路決定率は常に高水準。大手IT・電機メーカーからコンサルティングまで様々な業界で卒業生が活躍しています。厳しさを成長に変えたい受験生にとって理想的な学部です。

工学部が強い!おすすめの国立大学TOP3

1位:東京大学 工学部

東京大学のキャンパス風景

東京大学工学部は、専門分野の深さと幅広さを兼ね備えた研究・ものづくりの場。建築、航空宇宙、電子情報、化学生命から経営工学まで、16の学科で多彩な分野で世界レベルの学びが可能です。

学生と教員はそれぞれの領域で研究成果を積極的に発表し、国内外で高い評価を受けています。さらに産学連携にも力を入れており、工学系研究科では年間500件を超える共同研究・受託研究を推進。企業との協働を通じて研究を社会に還元する取り組みが活発です。

こうした環境で学ぶことで、一つの専門を深めると同時に、他分野や社会の課題を見渡す広い視野を養うことができます。研究者を目指す人はもちろん、技術を軸に多様なキャリアを築きたい人にとっても魅力的な学部です。

2位:京都大学 工学部

京都大学工学部は、基礎研究と応用研究の両面で世界トップレベルの成果を上げてきた学部です。将来の社会を支える新しい技術につながる基礎研究に力を注ぎつつ、環境問題やエネルギー、情報通信など社会的課題に直結する応用研究も幅広く展開しています。これにより、社会に役立つ技術を生み出す力を身につけられるのが大きな特徴です。

学びの舞台となる桂キャンパスには、最先端の研究設備が充実。基礎から応用まで多様な研究に挑戦できます。これまでに数多くのノーベル賞受賞者を輩出してきた伝統は、その研究力と教育の質の高さを物語っています。

研究者として最前線に立つのはもちろん、社会や国際的な舞台で活躍できる技術者として成長できる点が大きな魅力です。

3位:東京科学大学 工学院(旧東京工業大学)

東京科学大学工学院は、社会の未来を切り拓く先端研究に強みを持つ学部です。超スマート社会やバイオテクノロジーといった最先端分野で成果を上げています。また、東京工業大学と東京医科歯科大学の統合した背景から、理工と医歯学を融合した医工連携研究を推進。学内の「国際医工共創研究院」では、工学と医療を結ぶ新しい分野の研究に携われます。

教育面では、機械系や経営工学系に加え、「エンジニアリングデザイン」や「人間医療科学技術」など先進的なコースを用意。さらに、英語のみで学位取得が可能な国際プログラムも提供。最先端の研究に触れながら実践的なスキルと広い視野を養い、国内外で活躍できる力を身につけられます。

工学部のその他の注目大学

大阪公立大学 工学部

大阪公立大学工学部は、都市大阪の立地を活かした学びが特徴的。都市学科・情報工学科・航空宇宙工学科など12の学科があり、産業界や自治体と連携し、都市防災や環境エネルギーなど地域課題に直結する教育に強みがあります。さらに附属病院と協力した「医工連携バイオデザイン」で現場発の課題解決力を養える点も特色です。

大阪大学 工学部

大阪大学工学部は、応用化学や機械工学など多彩な専攻を持ち、医理工連携による生命科学と工学の融合研究に強みがあります。附属病院や研究センターと連携した社会実装型プロジェクトが盛んで、海外共同研究や派遣制度も充実。学生は最先端研究と国際経験を通じて、世界で活躍できる力を養えるでしょう。

名古屋大学 工学部

名古屋大学工学部は、自動車産業を背景に機械・材料工学で高い評価を得ており、エネルギー・環境・AI・ロボティクスなど先端分野にも力を注いでいます。基礎理論と産業応用を結ぶ研究が盛んで、指定共同研究やNIC(ナショナル・イノベーション・コンプレックス)を通じた産学官連携も活発。学生は企業と協働しながら実践的な学びを深められる環境が整っています。

上智大学 理工学部

上智大学理工学部は理工融合教育を重視しており、機能創造理工学科では生活を便利にする新しい機能や製品の開発を学びます。科学技術英語や海外研修、留学生との共同研究など国際的な学びも充実。学科横断的なカリキュラムにより、グローバルな視点から工学を探究できるのが特色です。

明治大学 理工学部・総合数理学部

明治大学は、理工学部で機械工学や建築学など多彩な分野を実験・実習中心に学び、総合数理学部ではデータサイエンスやAI研究に強みを持ちます。都市型キャンパスを活かした企業連携も盛んで、実社会に近い学びを得られるのが強みです。

まとめ

工学部は、数理的な基礎を土台にしながら、社会の課題を技術で解決する力を育む学部です。学べる分野は機械、電気電子、情報、建築、材料、化学、環境など多岐にわたり、大学によって研究の特色もさまざまです。

授業や研究室活動では、実験・設計・プログラミングといった実践的な学びが中心です。論理的思考力や課題解決力を自然と磨くことができます。こうした経験は、卒業後にメーカー、IT、建設、エネルギー、官公庁など多様な就職先で活躍できる基盤になります。

一方で、「工学部はやめとけ」と言われることがあるのも事実です。数学や物理を避けたい人や、レポートや実験に苦手意識がある人にとっては負担の大きい学部でもあります。そのため「なぜ工学を学びたいのか」という動機を明確にすることが、大学生活を充実させるカギになります。

工学部に進学すれば、社会に必要とされる技術者・研究者としての専門性を高めることができるでしょう。さらに、論理的に考え、仲間と協働しながら課題に挑む力も養えます。これらはどのような就職先でも活きる「一生ものの力」です。

少しでも関心を持った方は、オープンキャンパスや模擬授業に参加して、研究室や実習の雰囲気を体感してみることをおすすめします。実際の学生や教授との交流を通じて、自分が工学部でどのように学び、どのような未来を描けるのかをイメージできるでしょう。

アンケート調査概要
調査対象:工学部出身の20代~40代(有効回答数32名)
調査時期:2025年7月
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「工学部卒業生の大学時代の学びの活用状況」についての調査

※本調査レポートの内容(グラフ・データ・本文など)の無断転載・改変を禁じます。
掲載しているグラフや内容を引用する場合は、出典「塾選ジャーナル調べ:『工学部卒業生の大学時代の学びの活用状況』についての調査」と明記し、『塾選ジャーナル』の記事(https://bestjuku.com/shingaku/s-article/33942/)へのリンク設置をお願いします。

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塾選ジャーナル編集部
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