大学受験|「高校英語で急にわからなくなった…」よくあるつまずき原因と対策、勉強法で克服!
「英語が急に難しくなったみたいで……」
高校進学後、そんな相談を受けることが増えています。
長文読解、複雑な文法、そして膨大な単語量。まじめに勉強している子ほど、壁にぶつかりやすいのが高校英語です。こうした悩みは多くの生徒に共通しています。
今回は、東大卒プロ家庭教師で『ドラゴン桜』公式note編集長の青戸一之先生に、“つまずき”をどう乗り越え、親がどう寄り添えばよいのかを伺いました。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
青戸一之先生
1983年生まれ、鳥取県出身。地元の進学校の高校を卒業後、フリーター生活を経て25歳で塾講師に転身。26歳から塾の教室長としてマネジメント業を行う傍ら、学習指導にも並行して携わる。29歳の時に入塾してきた東大志望の子を不合格にしてしまったことで、自身の学力不足と、大学受験の経験が欠如していることによる影響を痛感し、30歳で東大受験決意。塾講師の仕事をしながら1日3時間の勉強により33歳で合格。在学中も学習指導の仕事に携わり、現在は卒業してキャリア15年目のプロ家庭教師・塾講師を行う傍ら、ドラゴン桜noteマガジンの編集長を務める。 著書に『あなたの人生をダメにする勉強法 「ドラゴン桜」式最強タイパ勉強法で結果が変わる』(日本能率協会マネジメントセンター)、『家庭教師の技術』(星海社)がある。
高校英語でつまずく原因は?授業が急に難しくなる高1の壁

【CASE 042】高校1年生・男子
性格:
まじめで責任感が強く、周囲の期待に応えようと頑張るタイプ。
完璧主義ゆえに、失敗を恐れる一面もある。
【今回のお悩み】
ペンネーム:みかんの花さん(高校1年生 保護者)
息子はまじめで責任感が強く、コツコツ努力するタイプ。高校に入ってから英語の授業が急に難しくなり、文章の構造や専門用語がわからず、授業中に手が止まってしまうように。
秋頃には「自分だけが置いていかれている気がする」とつぶやき、模試の成績も下がってしまいました。
それまで毎日机に向かっていたのに、「今日は疲れたからいいや」と勉強を後回しにするようになり、塾の宿題もため込んでしまう状態です。親として、どう支えてあげればよいのでしょうか。
なぜ高校英語はこんなに難しい?つまずく子が多い理由とは
特に公立中学から高校受験で進学した場合は、「急に難しくなった」と感じる子が多いでしょう。これは、単語の数やレベル、文の構造が複雑になるからです。
中学で学んだ基礎を使いつつも、高校ではより高度な理解力や応用力が求められます。
具体的にどんな「壁」があるのか、次で見ていきましょう。
高校英語の壁① 単語の量が急増&扱う単語のレベルも高くなる
大学入試を見据え、論述的な長文読解に取り組む高校英語では、中学英語と比較して単語の量が増え、扱う単語のレベルも上がっていきます。英単語の語彙不足が長文理解に直結するのが、高校英語の1つ目の壁です。
大学受験で求められる単語数は目指す志望校のレベルによって変わってきますが、一般的には、共通テストレベルで5,000語程度、最難関校であれば7,000語以上の語彙力が求められるともいわれています。
高校英語の壁② 文法が複雑になる
2つ目の高校英語の壁は文法の複雑化です。
長文読解で苦しむ原因となるのは、主に接続詞、関係詞、分詞の3つの単元です。
これらは文と文、または文中の要素をつなぐ役割を持ち、文の構造を大きく変化させます。一見シンプルな文でも、これらの使い方ひとつで意味が複雑になり、読み解くのが難しくなるのです。
このように高校英語は文構造が複雑で、どこをどう訳せばよいか迷いやすくなります。さらに、単語が難しくなるので読むのが難しく感じることでしょう。
高校英語の壁③ 書かれている内容になじみがない
高校英語の長文では、最初は環境問題や少子高齢化の進行といった身近なテーマから始まります。
しかし、学年が進むにつれて、哲学や政治・経済など、より抽象的で答えのないテーマへと広がっていきます。例えば「人間の死とは何か?」「貧富の格差をどう是正すべきか?」「多様性はどこまで認めるべきか?」といった問いが登場します。
そもそも高校英語で扱うテーマは、日本語でも考えるのが難しい内容ばかりです。
ですから、理解に時間がかかったり、途中でつまずいたりするのは決して努力不足ではありません。
お子さんの自己肯定感が下がっているようなら、まずは「大人が読んでも難しい内容なんだから、戸惑うのは当たり前だよ」と伝えてあげることが大切です。
長文読解に有効な英語の勉強方法は?
高校英語を克服するには、文法と単語をバランスよく学ぶことが大切です。文法と単語は車の両輪のようなもので、どちらか一方が欠けると前に進みにくくなります。長文読解に苦しんでいる場合は、次の3つの方法に取り組んでみてください。
どれも日々の学習で意識することで、早い段階での克服につながります。
① 中学の文法を復習する
中学英語の文法をしっかり復習することが、長文理解の土台になります。
高校英語は中学の内容をより深く掘り下げたものなので、基礎があいまいだとすぐに壁にぶつかります。
特に、長文読解のカギになる接続詞・関係詞・分詞の3つの単元を重点的に見直しましょう。
「もう理解している」と思っていても、あらためて確認してみると忘れていることが多いものです。
今は、YouTubeなどで文法をわかりやすく解説する動画や、図解が豊富な参考書も充実しています。
本人が使いやすいと思えるツールで、無理なく続けられる方法で取り組むのがポイントです。
② 単語の語彙力を増やす
知らない単語が多いと、内容を理解する前に読む手が止まってしまいます。結局のところ、語彙をコツコツと増やすことが苦手克服への最短ルートです。通学の時間や寝る前などのスキマ時間を活用して、少しずつ単語帳を見返す習慣をつけましょう。
単語の暗記は、一度にたくさん覚えようとするよりも「忘れる前提」でコツコツ繰り返すのが効果的です。
紙の単語帳を使う子もいれば、アプリを活用する子もいます。どちらの方法でも、何度も見直して「見た瞬間に意味が出てくる」状態を目指すとよいでしょう。
高1のうちに受験用の単語帳を1冊仕上げるくらいのペースが理想的。例えば、大学入試で頻出する1900語をまとめた『ターゲット1900』(旺文社)が使いやすくておすすめです。
③ 同じ英語の文章を繰り返し読む
一度読んで終わりにせず、同じ英文を何度も読むことで理解が深まります。
1回目は単語の意味を確認しながら、2回目・3回目では文の構造を意識するなど、読むたびに注目するポイントを変えてみましょう。
よく「1冊の参考書を7回解こう」と言われるように、英語も繰り返しが力になります。
読み慣れてくると、単語や構文が自然に頭に入り、日本語と同じ感覚で理解できるようになります。
「理解できた」と感じるまで反復することが、確かな力につながります。
背景知識を増やして読解力を高めよう
高校英語では、長文の内容そのものが難しくなる点にも注意が必要です。テーマが専門的になると、単語や文法を知っていても内容の理解が追いつかないことがあります。英単語や文法の知識だけでなく、そのテーマに関する背景知識や、似た話題の文章を読んだ経験も読解力を支えます。
例えば新聞やニュース、時事問題を扱うYouTubeチャンネルなどで、普段からさまざまな話題に触れておくとよいでしょう。
「自分には関係ない」と思っていた分野でも、知っているだけで英文がぐっと読みやすくなることがあります。
テーマの背景を知っていれば、英文の意味をつかみやすくなるからです。
英語は積み重ねの科目。早めの外部サポートも検討を
英語は短期間で成果を出すのが難しく、毎日の積み重ねが欠かせません。お子さんがつまずいているようなら、早めに対策をとることが大切です。高2以降は応用力が求められる段階に入るため、高1のうちに中学英語を復習して基礎を固めておきたいですね。
「どこから手をつけていいかわからない」と感じたときは、外部のサポートを取り入れるのも効果的です。
例えば塾の先生に相談して、課題の量や難易度を調整してもらうのもよい方法です。
個別指導なら授業の時間を中学内容の復習に充てることもできます。
苦手意識が深まる前に、達成感を得られるペースで学べる環境を整えてあげましょう。
成功へ導く賢者からの金言!

英語の壁は一歩ずつ越える。
基礎の復習と暗記で土台を固めよう!
※塾選調べ:
対象:大学受験をする予定の子どもをもつ保護者50名にアンケートを実施
期間:2025年9月1日~8日実施
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
1983年生まれ、鳥取県出身。地元の進学校の高校を卒業後、フリーター生活を経て25歳で塾講師に転身。26歳から塾の教室長としてマネジメント業を行う傍ら、学習指導にも並行して携わる。29歳の時に入塾してきた東大志望の子を不合格にしてしまったことで、自身の学力不足と、大学受験の経験が欠如していることによる影響を痛感し、30歳で東大受験決意。塾講師の仕事をしながら1日3時間の勉強により33歳で合格。在学中も学習指導の仕事に携わり、現在は卒業してキャリア15年目のプロ家庭教師・塾講師を行う傍ら、ドラゴン桜noteマガジンの編集長を務める。 著書に『あなたの人生をダメにする勉強法 「ドラゴン桜」式最強タイパ勉強法で結果が変わる』(日本能率協会マネジメントセンター)、『家庭教師の技術』(星海社)がある。
