ポモドーロ勉強法とは？受験生に効果的な使い方と、保護者ができるサポートをわかりやすく解説！

ポモドーロ勉強法とは？

ポモドーロ勉強法とは、25分の集中と5分の休憩を1セットとしてくり返す学習方法です。1980年代にイタリアの起業家フランチェスコ・シリロ氏が考案した時間管理術で、実験を行う際にトマト型のキッチンタイマー（ポモドーロ）を使ったことが語源になっています。短い集中時間を区切りとして使うことで、作業を始めやすく、気が散りにくくなる点が特徴です。

「長時間勉強しているのに身につかない」「すぐスマホを触ってしまう」と悩む受験生にとっても、25分の区切りは取り入れやすく、効率的な勉強法として注目されています。

ポモドーロの基本ルール

ポモドーロ勉強法のリズムは非常にシンプルです。

1. 25分間集中する（参考書や問題集など、決めたタスクのみを行う）
2. 5分間休憩する（脳を休める）
3. これを4回くり返す
4. 4セット終了後に、15〜30分の長めの休憩をとる

このサイクルを一つの単位（ブロック）として、1日の学習スケジュールを組み立てます。

最初の25分はひとつの勉強だけに集中する時間です。参考書を開いたら、途中で別の科目に移ったり、机の上を片付け始めたりしないようにします。しっかり集中し切ったら5分休憩し、次の25分に備えます。

なぜ短時間集中が効果的なのか

短時間集中が効果的とされる理由の一つは、人の集中力には持続できる時間に限界があるためです。多くの研究では、集中力は20〜30分ほどで低下し始めるとされています。

イリノイ大学の研究では、50分間の作業中に短い休憩を2回入れたグループだけが、集中力の低下を防げたと報告されています。

参照：イリノイ大学・News Bureau「Brief diversions vastly improve focus, researchers find」

また、学習中に使われる「作業記憶（ワーキングメモリ）※」は長時間の連続使用に弱く、一定時間で負荷が高まることも知られています。25分で区切り、5分の休憩で脳をリセットすることは、こうした仕組みに適した合理的な学習法といえます。

※短い時間だけ情報を頭の中で保ち、同時に処理していく脳の働きのこと。

記憶の定着が良くなる仕組み

ポモドーロ勉強法が記憶の定着に役立つといわれる理由は、学習と休憩をくり返すことで、脳が情報を整理しやすくなるためです。人の記憶は、学んだ直後に「短期記憶」として保持され、休憩の間に必要な情報が長期記憶へ移されやすくなります。

参照：RIKEN NEWS August 2011「学習の記憶を長持ちさせるには適度な休憩が必要」

ポモドーロ勉強法のルールに重ねて考えるなら、25分という短い集中時間は英単語や古文の暗記など、細かいインプットと相性が良い点も特徴です。短いサイクルで復習を挟めるため、忘れにくい形で記憶が積み重なります。

受験勉強と相性が良い理由

ポモドーロ勉強法が受験勉強と相性が良いのは、科目ごとのタスクを細かく区切りやすいためです。受験勉強では、英単語、数学の問題演習、古文文法など、種類の異なる作業が多く発生します。作業内容を25分単位で分けることで、学習の切り替えがしやすくなります。

また、短い集中サイクルは疲れをためにくく、長時間学習にも応用できます。25分を積み重ねると、4セットで合計100分になります。細かく計画を立てられることから、模試や過去問演習の前後に使いやすいのも特徴です。

ポモドーロ勉強法のメリット：集中力UP・勉強が始めやすい

ポモドーロ勉強法の大きなメリットは、勉強の始めやすさです。25分という短くて明確な目標があるため、「とりあえず始める」という行動につながりやすくなります。取りかかった後も、「25分だけ集中すればよい」という心理的な負担の軽さから、勉強のリズムをつくりやすくなります。

1セット終わるごとに小さな達成感を得られる点も特徴。可視化できる単位が積み重なることで学習量を実感しやすく、モチベーションの維持にも役立ちます。

ポモドーロ勉強法のデメリット：内容によって向き不向きがある

ポモドーロ勉強法のデメリットは25分で作業を区切るため、じっくり考えたい問題や時間がかかる演習には向いていません。

＜向いている学習タスク＞

＜向いていない学習タスク＞

また、タスクを細かく分けることが苦手な人は、25分で何をするかを決める段階で負担を感じることもあるでしょう。

ポモドーロ勉強法が向いている人・向かない人の特徴

ポモドーロ勉強法が向いているのは、次のような人です。

• 短時間なら集中しやすい人
• やるべき科目や単元が多い人
• 学習リズムを安定させたい人

25分という区切りが明確なため、「今だけ集中しよう」と気持ちを切り替えやすく、小さな達成感が積み重なる点が特長です。一方で、

• タスクを細かく整理するのが苦手な人
• 自分のペースで進めたい人
• じっくり考える作業が得意な人
• 集中すると時間を忘れるタイプの人

こうした人にとっては、時間の区切りが窮屈に感じられることがあります。すでに自分に合う学習サイクルがある場合は、無理に取り入れる必要はありません。

今日から始められるポモドーロ勉強法

「やってみたいけれど、何から始めればいい？」という受験生でも、ポモドーロ勉強法は今日から始められます。このセクションでは、タイマーの準備や25分タスクの決め方、休憩の過ごし方など、最初に迷いやすいポイントをわかりやすく紹介します。

タイマーを準備する

ポモドーロ勉強法は、25分と5分を計れるタイマーがあればすぐに始められます。スマートフォンの標準タイマーでも使えますが、通知が気になる人は機内モードにするのがおすすめです。

スマートフォンを遠くに置きたい場合は、代わりにキッチンタイマーを使うという手もあります。

25分勉強の内容の決め方

25分で取り組むタスク勉強は、区切りがつく小さな単位にしておくと続けやすくなります。

科目別の例としては、次のようなイメージです。

• 英語：英単語50個／文法問題3ページ
• 数学：基礎問題を5〜10問
• 国語：現代文の設問だけ解く／古文の文法をまとめる
• 理科・社会：一問一答／用語チェック／資料の読み取り

25分以上かかる内容を設定すると、1セット内で勉強が終わらず達成感が得られません。終えられる量を基準にして調整するのがポイントです。

5分休憩で何をする？NG行動とOK行動

5分休憩は、脳と体をリセットするための時間です。短い休憩でも過ごし方によって効果が大きく変わります。

＜休憩中のおすすめ行動＞

＜休憩中は避けたい行動＞

特にスマートフォンは集中を妨げやすいので、長い休憩をとるときだけ触れるようにルールを設定するのがおすすめです。5分休憩では脳を休ませたいので、刺激の強いものよりも、リラックスできる休憩がおすすめです。

4セット後の長めの休憩の取り方

25分×4セット（合計100分）を終えたら、15〜30分ほどの長めの休憩を取ります。この休憩は、脳の疲労をまとめて回復させるための重要な時間です。おすすめの過ごし方は、

• 軽い散歩
• 軽食をとる
• 音楽を聞く
• 体を動かす

など、リラックスできる行動です。頑張って勉強を続けた後なので、ご褒美のつもりでスマートフォンで好きな動画を少しだけ見たり、音楽を聴いたりするのもいいでしょう。オンとオフのメリハリをつけることで、学習を継続しやすくなります。

50分サイクル・10時間勉強は可能？アレンジした使い方

ポモドーロ勉強法は25分を基本としていますが、慣れてきた受験生のなかには「もっと長く集中したい」「10時間勉強に使えるの？」と感じる人もいます。ここでは、50分サイクルの応用版や、長時間勉強に活用するための使い方を具体的に紹介します。

50分＋10分の応用バージョン

25分では短く感じる人には、50分集中＋10分休憩の「拡張版ポモドーロ」もおすすめです。学校の授業時間に近く、1コマ分の作業に取り組みやすいため、まとまった学習がしやすい点が特徴です。

ただし、50分は途中で集中が落ちやすくなるため、休憩は必ず10分しっかり取りましょう。立ち上がって体をほぐしたり、軽く目を休めたりすることで、次の50分の質が安定します。25分サイクルが物足りない、作業を途中で区切りたくない人におすすめです。

長時間勉強（10時間）の組み立て方

ポモドーロ勉強法は、10時間など長時間学習のペースづくりに使えます。

基本は「25分×4セット＋長めの休憩」を1ブロックにし、これを1日に3〜4ブロック行うイメージです。

長時間続ける際のコツは、早めに疲れを取ること・休憩を削らないこと・立ち止まる瞬間を用意することです。集中力が落ちる前に回復させることで、1日の学習効率が大きく変わります。

科目別の向き・不向き

ポモドーロ勉強法は科目によって相性が異なります。暗記科目（英単語・古文単語・社会の用語など）は、25分の反復学習と非常に相性が良く、短いサイクルで定着しやすいのが特徴です。

一方、数学の難問や物理・化学の複雑な計算は、思考が連続するため25分で区切ると流れが途切れやすいことがあります。こうした科目は、50分サイクルに切り替えるなど工夫が必要です。

スマートフォンの誘惑を防ぐ！集中しやすい学習環境づくり

勉強中についスマートフォンを触ってしまう。多くの受験生が抱える悩みです。ポモドーロ勉強法の効果を高めるためには、学習環境を整え、気が散る要因を減らすことが欠かせません。

スマホ制限アプリの活用

スマートフォンは集中を妨げやすい要因の一つです。勉強中は、スマホ制限アプリを使って通知やSNSを一時的にブロックするのがおすすめです。代表的なアプリには、

• Forest
• Flipd
• Study Bunny

などがあり、時間を設定するとアプリが自動でスマートフォン操作を制限してくれます。

集中が切れたときの対処法

集中が切れるのは誰にでも起こる自然な現象です。大切なのは、途切れてしまったあとにどう立て直すかです。おすすめの対処法は次のとおりです。

• 姿勢を変える・立ち上がる（身体を動かして血流を改善）
• 深呼吸を数回する（脳の緊張をリセット）
• 作業内容をより小さく分割する（負担を減らす）
• 次にやることを書き出す（頭の切り替えをしやすくする）

ポイントは集中できない自分を責めないこと。短い区切りだからこそ、「何度でもやり直せる」と考えることが大切です。

ポモドーロ勉強法を生かす環境づくり

学習環境の整え方一つで、ポモドーロ勉強法の効果は大きく変わります。取り入れやすい環境づくりのポイントは次のとおりです。

• 机の上に余計な物を置かない
• スマートフォンは別の部屋に置く
• 水筒や軽食など、勉強が途切れない準備をしておく

ほかにも「こういう環境だと勉強がはかどるな」という準備があれば、取り入れていきましょう。

ポモドーロ勉強法を効果的にする保護者のサポート

子どもの勉強を応援したい保護者の方ほど、「どこまで関わればいい？」と悩みやすいものです。

ポモドーロ勉強法を長く続けるために大切なのは、保護者が勉強を管理することではなく、子どもが自分で計画し、実行し、振り返る力を育てることです。ここでは自律的な学習を後押しする具体的なサポート方法を紹介します。

やる気を削がない声かけの工夫

受験生がポモドーロ勉強法を続ける大きな原動力は、保護者の前向きな声かけです。ポイントは、結果ではなく行動を認めること。

• 「さっきの25分、しっかり集中できてたね。いいペース！」
• 「もう1セット続ける？それとも休憩を挟む？無理しすぎないでね」

行動を具体的に認め、選択権を本人に返すことで、「自分で決めて進めている」感覚が生まれ、自律的な継続につながります。

保護者がしてはいけない具体的な言動

応援しているつもりでも、次のような行動は子どもの自律性を弱めてしまいます。

• 結果だけを評価する（例：模試の点・順位の話ばかりする）
• やる時間を保護者が細かく決めすぎる
• 休憩時間に勉強の話題を持ち込む
• スマートフォンの使用を頭ごなしに禁止する

ポモドーロ勉強法は自分で決めて進めるからこそ長続きします。保護者は管理者ではなく、伴走者として関わる方が長期的に見て成功します。

見守りながら習慣化をサポートする方法

受験生の自主性を損なわず、学習習慣を支えるためのポイントは次の4つです。

1.計画と実行の見える化をサポートする

「今日はどれくらいやってみる？」と軽く声をかけ、本人が決めた内容をチェックリストやホワイトボードに書いておくと、目に見える形で進捗を確認できます。保護者がスケジュールを管理するのではなく、あくまで“本人が管理しやすい状態を整える”ことがポイントです。

2.スマートフォンとの付き合い方を一緒に話し合う

使用を禁止するのではなく、向き合い方を一緒に話し合うと子どもの主体性を残したまま運用できます。たとえば

• 25分の間は別の場所に置く
• 短い休憩では触らない
• 通知はアプリで止める

など、いくつかのやり方を提案しつつ、最終的には本人が選ぶ形にすることで、納得感を持って続けられます。

3.集中できる空間を一緒に整えてあげる

机の上には必要な物だけを置き、飲み物や軽食をあらかじめ準備しておくと、余計な中断が減り、リズムを保ちやすくなります。

家族が静かに過ごす時間帯をつくったり、スマートフォンを置くスペースを用意したり、環境面づくりのサポートも重要です。

4.できなかった日を責めず、小さな再スタートを提案

習慣は良い日ばかりでは続きません。調子が出ないときには、「今日は1セットだけやってみる？」と小さな再スタートを提案することで、自己否定を避けながら前に進みやすくなります。

＜見える化を手伝う → 本人とルールをつくる → 環境を整える＞という流れができると、受験生は安心して自分のペースでポモドーロ勉強法を続け、自律的な学習スキルを身につけていきます。

ポモドーロ勉強法について、よくある質問

ポモドーロ勉強法について、受験生や保護者からよく聞く質問に答えます。

ポモドーロ勉強法は1日何回やればいいの？

目安は「25分×4セット＝1ブロック」を、1日に2〜4ブロックです。

受験生の場合、朝・昼・夜に1ブロックずつ取り入れると無理なく続けられます。必要に応じて増減して構いません。ただし、回数にこだわりすぎると負担になり、続けにくくなることがあります。大切なのは、回数より集中できた時間を積み上げることです。

どれくらい続けたら効果が出る？

多くの受験生は、1〜2週間ほど続けると「勉強の始めやすさ」や「集中できる時間の伸び」を実感し始めます。習慣として定着させたい場合は、4〜5週間ほど余裕を持って取り組むのがおすすめです。

勉強習慣に不安がある段階なら、最初から無理にたくさんやる必要はありません。まずは1日1〜2セットから少しずつ始めて、「上手くできた」という手応えを重ねていきましょう。

ポモドーロ勉強法は意味がないといわれるのはなぜ？

ポモドーロ勉強法は意味がないといわれるのは向き不向きがあるからです。もし「自分には合わないかも」と思ったときは、次のような工夫をしてみてください。

• 25分で終えられるように学習内容と量を整理する
• 休憩中にスマートフォンに触れないようにする

終わらない作業を無理に区切ると「できなかった」というストレスが生まれ、勉強がつらく感じられます。また、休憩でスマートフォンに触れると、その刺激が強いため、切り替えが難しくなることがあります。

まとめ 短時間集中で効率的な受験勉強にアプローチする

ポモドーロ勉強法は、25分の短時間集中を積み重ねることで、勉強の始めやすさと集中の質を高める学習法です。長時間机に向かっているのに成果が出ないと感じている受験生でも、小さな区切りを使うことで、勉強のリズムをつくりやすくなります。

また、保護者の見守り方や環境づくりも習慣化を助ける大切な要素です。「続けられる形に調整する」「できた部分を認める」ことで、受験生は安心して努力を積み重ねられます。

最初から完璧にこだわる必要はありません。短い集中を一つずつ積み重ねて、効率的な受験勉強へのアプローチを身につけましょう。