子どものアンガーマネジメントとは?受験生のイライラ爆発を防ぐ方法【専門家監修】
勉強中に癇癪を起こして鉛筆を投げる、思いどおりにいかないと泣き叫ぶ、ゲームを止めるよう言うと暴言を吐く。小学生の子どもが見せる激しい怒りへの対応に悩む保護者は少なくありません。
特に高学年になると、学習内容の難化や友人関係の複雑化、反抗期の訪れなどから、子どもの感情が不安定になりやすいです。保護者自身もつい感情的に怒鳴り返してしまい、親子喧嘩が繰り返される悪循環に疲れ果てている人もいるのではないでしょうか。
そんな親子を救うのが、怒りの感情と上手に付き合う心理トレーニングである、アンガーマネジメントです。単なる精神論ではなく、誰でも習得可能です。
本記事では、一般社団法人日本アンガーマネジメント協会代表理事の戸田久実さん監修のもと、アンガーマネジメントについて解説。今日からできる6秒ルールや勉強・生活でのイライラ対処法など、小学生の子どもと保護者が実践できる方法をお教えします。
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者
戸田久実(とだくみ)
立教大学卒業後、服部セイコー株式会社(現セイコーグループ株式会社)にて営業を経て、音楽企業にて社⻑秘書として勤務。 その後、研修講師として ⺠間企業、官公庁の研修・講演の講師の仕事を歴任し、講師歴は約30年。登壇数は5,000を超え、指導人数は25万人に及び、著書は20冊。
目次
小学生はなぜ怒りっぽくなるのか?子どもに試したいアンガーマネジメントとは

ギャングエイジや受験ストレス…小学生特有のストレス要因
小学生の子どもがイライラしやすくなる背景には、この時期特有の発達段階とストレス要因が関係しています。
小学3〜4年生頃から始まるギャングエイジは、子どもが保護者よりも友人関係を重視し始める時期です。仲間との結束を大切にする一方、グループ内での人間関係に悩むことも増えてきます。学校でのストレスを家庭に持ち帰り、些細なことで怒りを爆発させるケースも珍しくありません。
また学年が上がると学習内容も難しくなり、宿題や習い事に追われる子どもも増加します。うまくできない焦りや遊ぶ時間がないストレスは大きな負担となり、怒りの引き金になりやすいでしょう。
そもそも小学生の脳は、感情をコントロールする前頭前野がまだ発達途上にあります。大人なら抑えられる衝動を制御できないのは、脳の仕組み上自然なことだと理解しておくことが大切です。
怒りが生まれる心理メカニズム 防衛感情とべきの衝突
怒りは防衛感情、つまり心と体の安心・安全を守るための感情といえます。階段を降りているときに後ろから押されて危険な思いをしたり、誰かに馬鹿にされて自尊心を傷つけられたりしたとき、怒りを覚えるのは自然な反応です。
また怒りは自身の「べき」が裏切られたときにも生まれます。「べき」とは、理想や願望、期待、または譲れない価値観を象徴するものです。例えば保護者が子どもに対して、「勉強は言われなくてもするべき」「ゲームは1時間でやめるべき」と考えている場合、そのとおりにならないと怒りが湧いてきます。
親子喧嘩の多くは、保護者と子どもそれぞれの「べき」がぶつかり合うことで起こります。自分自身の「べき」に気づくことが、怒りをコントロールする第一歩となるでしょう。
怒りと上手に付き合うアンガーマネジメントが必要な理由
アンガーマネジメントとは、怒りの感情と上手に付き合うための心理トレーニングです。1970年代にアメリカで生まれ、現在では教育現場やビジネスシーンなど幅広い分野で活用されています。
重要なのは、怒りをなくすことが目的ではない点です。前述のとおり、怒りは身を守るために必要な感情であり、問題は怒りに振り回されて後悔するような言動をとってしまうことにあります。それを防ぐスキルの習得を目指すのがアンガーマネジメントです。
子どもにとっては、癇癪を起こさず気持ちを伝える方法を学ぶことで、勉強への集中力向上や友人関係の円滑化につながります。保護者にとっても、子どもの癇癪に冷静に対応できるようになり、売り言葉に買い言葉の悪循環を断ち切れるでしょう。家庭全体の雰囲気が安定し、子どもの情緒も落ち着きやすくなります。
【今日からできる】小学生におすすめアンガーマネジメント実践法7選
怒りを感じでも、6秒も経てば理性が働きます。怒りに任せた衝動的な行動をしないよう、6秒やり過ごせるトレーニングをしましょう。
ここでは、まず6秒間怒りをやり過ごす「6秒ルール」のテクニックを4つ、続いてそれ以外の方法を3つ取り上げます。

① 【6秒ルール】怒りに点数をつける
怒りは目に見えないため、振り回されやすい感情です。しかし、0〜10点で数値化すると気持ちを客観的に観察でき、クールダウンの時間が生まれます。
癇癪が始まりそうなときは、「今の怒りは何点?」と聞き、子どもが答えた点数をそのまま受け止めましょう。正解はありません。言葉が出にくい子は、指で点数を示すだけでもかまいません。
点数の目安は以下のとおりです。

点数に応じた行動を親子で決めておくと実践しやすくなります。例えば7点以上なら一度その場を離れて水を飲む、4〜6点なら深呼吸をするなど、天気予報を見て服装を決めるように怒りの強さに合わせて対処法を選びましょう。
②【6秒ルール】数を数えて気持ちをしずめる
怒りを感じたときに、頭の中で数を数えることで衝動的な言動を抑える方法です。数を数えることに意識が向くため、怒りの気持ちから少し離れて落ち着くことができます。
ポイントは、少し考えないと数えられないような数え方を選ぶこと。単純に「1、2、3」と数えるより、100から3ずつ引いて「100、97、94…」と数えるほうが、怒りに引っぱられにくくなります。同じ数え方を続けると無意識でも数えられるようになってしまうため、たまに変えるのがおすすめです。
怒りを感じた瞬間にすぐ実践できるよう、普段から遊び感覚で練習しておくと本番でも使いやすくなるでしょう。
③ 【6秒ルール】気持ちが落ち着く言葉を唱える
怒りや焦りで頭がいっぱいになったときに備え、心を落ち着かせる言葉を事前に決めておき、怒りを感じたら心の中で唱える方法です。言葉は気持ちがしずまるものなら何でもかまいません。
例えば「大丈夫、大丈夫」「たいしたことないかな」「一回休んでまたやる」など、短くて言いやすいフレーズがおすすめです。好きな食べ物や、かわいがっているペットの名前を思い浮かべるのも効果的。「おっぺけぺー」のような意味のない言葉でも問題ありません。
ポイントは、保護者が押しつけるのではなく、子ども自身がしっくりくる言葉を選ぶこと。イライラしたら小声で唱えるなど、使うタイミングも一緒に決めておくと定着しやすくなるでしょう。
④ 【6秒ルール】頭の中で「ストップ」という
怒りが爆発しそうな瞬間は、言葉や行動が先に出てしまいがちです。カチンときて言い返した後、あんなこと言わなければよかったと後悔した経験がある子も多いでしょう。
そんなときに役立つのが、心の中で「ストップ!」と唱える方法です。考えるのをやめて頭の中を真っ白にし、気持ちをリセットできます。声に出さなくていいため、学校や塾でも使えるのがメリットです。
ポイントは、「ストップ」と思った後にやる動作をセットで決めておくことです。例えば鉛筆を置く、両手を机の下で握って開く、目線を一点に向けるなどの簡単な動作でかまいません。止まる、動作、深呼吸という流れをつくると、怒りに引っぱられにくくなります。保護者も「今、ストップできたね」と声をかけると、成功体験として積み重なっていきます。
⑤ 怒りを日記のように記録する
怒りを感じたことを日記のように書き出すのは、アンガーマネジメントの基本です。書くことで気持ちが落ち着き、自分が何に怒りやすいのか、どんな考え方の癖があるのかが見えてきます。
記録する内容は短くてかまいません。「むかつく」「ばかやろう」で終わらせず、何に腹が立ったのかを具体的に書くのがポイントです。
例えば「家でおかあさんにテストの点数が悪いって怒られた。そんなふうに怒らなくたって…難しかったのに…」「ゲームをしているとき、お母さんに電源を切られた。いいところだったのに。そんなふうに急に切らなくてもいいじゃないか」のように、1〜2文で大丈夫です。
記録を続けると怒りの傾向がわかり、予防策を立てやすくなります。
また怒りを感じたことだけでなく「うれしかったこと」や「うまくいったこと」も書き出すのがおすすめです。よかったことを記録する習慣がつくと、小さなことにも幸せを感じられるようになり、怒りを感じにくくなる効果も期待できるでしょう。
⑥ 深呼吸をする
怒りを感じたときにゆっくり腹式呼吸をして、気持ちを落ち着かせる方法です。イラッとして感情的になりやすい子や、夜寝る前に嫌なことを思い出して眠れなくなる子に向いています。
やり方は簡単で、鼻から4秒かけて息を吸い、口から8秒かけて静かに吐きます。これを2〜3回繰り返すだけで、体の緊張がほぐれて気持ちがリラックスし、怒りも収まってきます。
勉強中でも目立たずにできるのがメリット。事前に「イライラしたらこの呼吸」と練習しておくと、いざというときに使いやすくなります。保護者も一緒に呼吸を合わせると、子どもは安心しやすくなり、感情のクールダウンが早まるでしょう。
⑦ 軽い運動をしてリラックスする
怒りがたまっているときは、頭だけで気持ちを切り替えようとしてもうまくいかないことがあります。そんなときは、体を動かしてリラックスするのが効果的です。
おすすめは疲れすぎない程度の軽い運動。肩を回す、背伸びをする、10回だけスクワットをする、廊下を一往復歩くなど、短時間でできるもので十分です。ある程度運動を続けると、ストレスを和らげる効果のあるセロトニンが脳から分泌され、気持ちが安定してイライラしにくくなります。
激しい運動は逆に興奮を高めることがあるため避けましょう。保護者が「一緒にやろう」と声をかけると、怒りを切り替えるハードルが下がります。
怒りにくい心を育てるために親ができるサポート

怒りを感じること、怒ること自体は人間にとって自然なことです。ここで紹介するのは、怒りをなくすためのサポートではなく、子どもが怒りをうまく扱えるようになるためのサポートです。
子どもの怒りを否定せず、気持ちを聴く
子どもが怒りを爆発させたとき、そんなに怒らないで、と感情を抑え込もうとしていませんか? 怒りを否定されると、子どもは自分の気持ちをどう処理してよいかわからなくなります。
まずは「どんな気持ち?」「どうしたい?」と問いかけ、子どもの気持ちや要望を聴く姿勢を持ちましょう。保護者が耳を傾けてくれると感じることで、子どもは少しずつ怒りを言葉で表現できるようになっていきます。
すぐに解決策を示す必要はありません。聴いてもらえたという体験そのものが、感情を落ち着かせる力になります。
保護者自身が怒りとの向き合い方を見せる
子どもは、保護者が「言う」ように育つのではなく、「する」ように育ちます。怒りを感じたときに保護者がどう対応するかを、子どもはよく見ているものです。
イライラしたときに深呼吸して気持ちを整える、感情的にならず自分の考えを伝える。そうした姿を日常の中で見せることが、子どもにとって最も効果的なお手本になります。怒ること自体は悪くない、大切なのは怒りに振り回されないこと。言葉で教えるより、保護者自身の行動で示すほうがずっと伝わるでしょう。
【親のメンタルケア】イライラ連鎖を防ぐ!親自身のアンガーマネジメント
親のイライラを子どもに伝染させない方法
怒りには、身近な対象ほど強くなり周囲に伝染するという性質があります。保護者がイライラしていると、その感情は子どもに伝わり、子どもの怒りをさらに増幅させてしまうでしょう。イライラの連鎖を断ち切るには、まず保護者自身がアンガーマネジメントを実践することが大切です。
とはいえ、保護者も人間です。いつも冷静でいる必要はありません。まずは「あ、今自分はイライラしているな」と気づくだけで十分です。その気づきこそがアンガーマネジメントの第一歩となります。
子どもが怒りを爆発させたときは、その感情を否定せずに受け止めましょう。「どんな気持ち?」「どうしたい?」と問いかけ、気持ちや要望を聴く姿勢が重要です。子どもは保護者が言うように育つのではなく、するように育つもの。「怒ってもいい、でもどう表現するかが大事」という姿勢を、保護者自身の行動で示していきましょう。
シーン別対処法

ここからは、日常生活でよくある3つのシーンごとに具体的な対処法を紹介します。いずれも大切なのは、保護者自身が感情的にならず、子どもの行動に焦点を当てて対応することです。
宿題や勉強がうまくいかず、癇癪を起こしたとき
算数の問題が解けない、漢字が覚えられないといった場面で子どもが癇癪を起こすと、つい「なんで癇癪起こすの」「そんなにイライラしないで」と言いたくなるかもしれません。しかし、こうした声かけは逆効果になりがちです。感情を抑えつけようとすると、子どもはさらに反発してしまいます。
まずは癇癪が収まるのを待ってください。落ち着いてから、どんな気持ちだったのか、何が嫌だったのかを聴いてみましょう。子ども自身も、冷静になれば自分の感情を振り返ることができます。
また「癇癪を起こさないで」と伝えるのではなく「急にテキストを投げられると、どう対応していいかわからなくなるよ」と実際の行動に焦点を当てて伝えるのも効果的です。行動を具体的に指摘することで、子どもは何を改善すべきか理解しやすくなります。
遊びの時間を注意されて、逆ギレしたとき
ゲームやスマホの時間を注意したとき「うるさいな」「あと少しだけ」と子どもが逆ギレするのはよくある光景です。ここで保護者も感情的に言い返してしまうと、売り言葉に買い言葉の応酬になり、状況は悪化するばかりでしょう。
ヒートアップしている最中は、冷静な対話が難しいといえます。まずは先ほど紹介した6秒ルールを活用し、気持ちを落ち着かせてください。
落ち着いてから「何時にやめるって約束だったかな?」とルールを振り返らせましょう。またルールは子どもと話し合って決めることが大切です。自分で決めたルールであれば、納得感を持って守りやすくなります。
逆ギレの際にモノを投げたり保護者をたたいたりした場合は「怒ること自体は悪くないけれど、モノに当たったり人をたたいたりするのはダメだよ」と行動の線引きをはっきり示してください。
きょうだいや親に八つ当たりするとき
塾や学校でのストレスを、きょうだいや保護者にぶつけてしまうケースも少なくありません。本人も理由がわからないまま、身近な相手に怒りを向けてしまうのです。
実は、八つ当たりは保護者への信頼、つまり甘えの表れでもあります。外では頑張って感情を抑えているからこそ、安心できる家庭で爆発してしまう。子どもが外で頑張っている証拠だと、少し視点を変えてみてください。
とはいえ、人を傷つける行動は許容できません。「怒ってもいいけど、人を傷つけることはしてはならない」という線引きを日頃から明確に伝えておきましょう。何がOKで何がNGかがはっきりしていれば、子ども自身も自分の行動を振り返りやすくなります。
八つ当たりが起きたときは、まず距離を置くことが先決です。落ち着いてから「何か嫌なことがあった?」と声をかけてみてください。感情は否定せず受け止めつつ、行動の線引きを確認することで、子どもは少しずつ怒りの適切な表現方法を学んでいくはずです。
中学受験直前期の荒れはSOS?本番で力を発揮するためのアンガーマネジメント

過去問が解けない、もう辞めたい…癇癪を起こす子どもと向き合う方法
受験直前期に子どもが荒れるのは、不安の裏返しです。過去問で合格点に届かない、このままでは落ちるかもしれないという恐怖が、もう辞めたい、どうせ無理という言葉になって表れます。
ここで保護者に求められるのは、動じない姿勢を見せることです。内心は不安でもかまいません。子どもの前ではどっしり構えているフリをするだけで十分です。保護者が落ち着いていると、子どもは安心して不安を吐き出せるようになります。
大切なのは、子どものイライラを反射しないこと。売り言葉に買い言葉のような衝動的な反応は、状況を悪化させるだけです。まずは「不安なんだね」「怖いよね」と気持ちを受け止めてください。
合否という結果は、保護者がコントロールできるものではありません。しかし、落ち込んでいる子どもに温かい飲み物を用意したり、頑張っている姿勢を認める声かけをしたりすることはできます。今できることに意識を向けることで、子どもの怒りに振り回されず、冷静に寄り添えるようになるでしょう。
親子喧嘩を回避するコミュニケーション術
受験直前期は、保護者も子どもも神経質になりやすく、些細なことで衝突しがちです。この時期の親子喧嘩は、お互いの心を消耗させ、受験に悪影響を及ぼしかねません。
喧嘩を回避するポイントは、伝え方を工夫することです。「なんでやらないの」「何度も言っているよね?」という言い方は、子どもを責めるニュアンスが強く反発を招きやすくなります。
怒りを感じたときは、リクエストとして伝えることが効果的。例えば「ゲームは1時間というルールを守ってほしい」のように伝えてみてください。怒りのもとになる「べき」は、理想や願望を象徴する言葉。だからこそ、要望という形で伝えるのが適切なのです。
また、直前期こそ勉強以外の話題を大切に。食事中や移動中に受験と無関係な雑談をすることで、子どもの緊張がほぐれます。保護者が常に受験モードでいると、子どもは逃げ場を失ってしまいます。意識的に息抜きの時間をつくることが、結果的によいパフォーマンスにつながるでしょう。
完璧な対応を目指す必要はありません。喧嘩してしまったら「さっきは言いすぎてごめんね」と素直に謝る姿勢を見せてください。その姿が、子どもにとって感情との向き合い方のお手本になります。
子どものアンガーマネジメントに関するよくある質問

うちの子は短気な性格ですが、アンガーマネジメントで変わりますか?
アンガーマネジメントによって性格そのものが変わるかどうかは断定できません。しかし、子どもでも怒りをうまく扱えるようになることは十分に可能です。
アンガーマネジメントが目指すのは、怒りをなくすことではありません。怒りに任せた衝動的な行動をしない、自分の気持ちを適切に表現できる、感情に振り回されず行動を選択できる。こうしたスキルを身につけることがゴールです。
6秒ルールなどのテクニックを練習することで、一呼吸置けるようになるといいですね。
性格を変えるのではなく、怒りとの付き合い方を学ぶと考えてみてください。継続して取り組むことで、少しずつ変化が見えてくるはずです。焦らず、長い目で見守っていきましょう。
癇癪が激しいのですが、発達の特性によるものですか?
癇癪の激しさが発達特性によるものかどうかは、アンガーマネジメントの領域では判断できません。「ただの癇癪だから大丈夫」あるいは「発達の特性があるに違いない」と自己判断で決めつけないことが大切です。
以下のような様子が見られる場合は、早めに専門機関へ相談することをおすすめします。
- 自分や他人を傷つける行動がなくならない
- 夜眠れない日が続いている
- 食欲がなく、体重が減っている
- 学校に行けなくなっている
こうした生活に支障が出ているサインがあれば、迷わず相談しましょう。相談先としては、小児科や児童精神科、地域の発達支援センター、学校のスクールカウンセラーなどの存在も。専門家に話を聞いてもらうことは、子どものためだけでなく、保護者自身の心を守ることにもつながります。
発達特性の有無に関わらず、アンガーマネジメントのスキルは役立ちます。専門機関でのサポートと並行して取り組むことで、より効果的に怒りと向き合えるはずです。
親が勉強を教えるとお互いイライラ…どう関わればよいですか?
保護者が勉強を教えると、どうしても感情的になりやすいものです。「なんでこれがわからないの」「さっき説明したでしょ」とつい口調が厳しくなり、子どもも反発して悪循環に陥ってしまいます。
そんなときは、保護者と塾で役割分担をすることを考えてみてください。教科の指導は塾の先生や家庭教師に任せ、保護者はスケジュール管理や体調面のケア、精神的なサポートに専念する。これは手を抜くことではなく、受験を乗り切るための戦略です。
もし勉強に関わり続けるなら、教える立場から伴走者の立場へ意識を変えてみましょう。わからない問題を一緒に考える、頑張りを認めて声をかける、気持ちの変化に気を配る。そうしたサポートは、保護者だからこそできることです。
大切なのは、この先もずっと続く親子関係です。それぞれの得意分野で子どもを支える体制をつくることが、合格への近道にもなるでしょう。
アンガーマネジメントを実践して、親子の信頼関係を深めよう

アンガーマネジメントは、怒りをなくすことではなく、怒りと上手に付き合うスキルを身につけることです。このスキルは、日々のストレスを乗り越えるためだけでなく、この先の人生を支える力にもなります。
本記事で紹介した6秒ルールやクールダウンの方法は、今日から親子で実践できるものばかりです。最初からうまくいかなくても問題ありません。保護者自身も完璧を目指す必要はなく、イライラしている自分に気づけただけで大きな一歩です。
子育ては長い道のりですが、大切なのは結果だけではありません。困難を乗り越える過程で子どもが成長し、親子の絆が深まること。それこそが本当の成功ではないでしょうか。
怒りに振り回される日々から抜け出し、親子で笑顔の日々を過ごせるよう、できることから少しずつ始めてみてください。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
立教大学卒業後、服部セイコー株式会社(現セイコーグループ株式会社)にて営業を経て、音楽企業にて社⻑秘書として勤務。 その後、研修講師として ⺠間企業、官公庁の研修・講演の講師の仕事を歴任し、講師歴は約30年。登壇数は5,000を超え、指導人数は25万人に及び、著書は20冊。