中学数学の三平方の定理の解き方!一瞬で解ける裏技も紹介
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塾選ジャーナル編集部
本記事では中学数学の三平方の定理の解き方について解説をしていきます。図解で分かりやすく解説しており、さらに三平方の定理が一瞬で解ける裏技についてご紹介をしていきます。ぜひこちらの記事を参考にして三平方の定理の解き方をマスターしてください。
「三平方の定理だけどうしてもよく分からない。」
「高校受験でも頻出問題なので、ぜったいに押さえておきたい。」
中学3年生の秋ごろに習う三平方の定理。中学数学の集大成として習う単元であり、ここでつまずいてしまう中学生もいるのではないでしょうか?
三平方の定理は「直角三角形の辺の長さ」がわかる数学のきまりです。
三平方の定理は直角三角形で、直角と隣り合う辺aとbそれぞれの二乗の和と、斜辺の二乗が同じになるという三角形を扱う問題では頻出の定理です。
ピタゴラスの定理としても有名ですね。
三平方の定理は平面図形、空間図形でも扱われる中学数学の切り札のような定理で、三角形や多角形の問題はもちろん、四角錐や円錐といった問題にまで幅広く出題されます。
今回はこの三平方の定理の使い方や、計算方法、そしてこの定理を使った応用問題の解き方などを解説。
三平方の定理がわかると図形の問題に強くなります。高校受験で使う機会が多い定理の1つでもあります。
この記事でわかるポイント
・三平方の定理とは?理解を深める完全ガイド
・三平方の定理の計算方法
・三平方の定理を使った証明問題の解き方
・三平方の定理の応用
・効率的に数学を勉強するコツ
三平方の定理とは?理解を深める完全ガイド
三平方の定理を理解するために、この章では以下について説明します。
・三平方の定理の基本概念
・中学数学における三平方の定理とは
・三平方の定理を理解するポイント
この3つを理解すれば、基本的な練習問題は解けるようになります。
三平方の定理の基本概念
直角三角形の直角をはさむ2つの辺の長さをa、bとします。
図にしてみると次のようになります。
そして直角の向かい側にある辺(斜辺)をcとすると次の式が成り立ちます。
図のような性質を三平方の定理といいます。
「直角三角形の辺をそれぞれ1辺とする正方形の和になっている」と考えることもできるため、よく辺に正方形をつけた図が使われます。
「斜辺の二乗は、他の2辺の二乗の和」と式だけでなく意味で覚えておくと計算するときも便利です。
中学数学における三平方の定理とは
三平方の定理は中学数学の最後に登場します。この定理は次のような問題で使います。
①平面図形の辺の長さを求める問題
三角形や四角形といった図形の辺の長さを求める問題です。
2辺の長さがわかっている時や、図形の角度などがわかっている場合に三平方の定理を使って求めます。
②空間図形の辺の長さを求める問題
空間図形の「対角線や高さにあたる辺」などを求める問題です。
空間図形のなかで「求めたい辺を含む平面」を見つけて三平方の定理を使います。
③多面体・円錐・角錐などの体積や表面積などを求める問題
面積や体積を求めたいのに必要な辺の長さがわからない場合には、三平方の定理を使うと求められることがあります。今回は簡単なものですが、高校入試では「気づかないと解けない」ようになっていたりします。
①、②は定期テストでもよく出題され、③などは高校入試では正答率が低い問題、難関高での差がつく問題として扱われます。
計算問題というよりも、平面図形や空間図形の問題のなかに取り入れられることが多い定理です。
三平方の定理を活用した問題を解く3つのポイント
まずは定理の特徴でもある「直角三角形」を見つけましょう。
直角三角形を見つけたら次のポイントを確認すれば解くための準備はOKです。
①直角三角形の辺の長さを見つける
②直角三角形の角の大きさを見つける
③補助線を引いて直角を作る
直角三角形の2つの辺、もしくは1つの辺と角度がわかるように出てきます。図形の問題で三角形が出てくる際には直角三角形ではないかを必ず確認するようにしましょう。
直角三角形がないのであれば三平方の定理は使えないため、三角形の合同や相似といった別な方法で長さを求める必要があります。
三平方の定理の問題については、次の章でとりあげる計算方法とテストでよく出るパターンを使えれば心配はありません。
三平方の定理の計算方法
それでは問題を実際に解いてみて、三平方の定理を使って解く問題を練習してみましょう。
まずは直角三角形を見つけて、その2つの辺がわかっているか確かめるところからです。
基本的な計算手順
①直角三角形を見つけ、わかっている辺の長さを書きこみましょう
今回は2つの辺の長さが3cmと4cm、求めたい辺の長さがxの場合を考えます。
②三平方の定理を使って立てた式から辺の二乗を求めましょう
三平方の定理の式を使うと求めたい辺の長さは次のように表すことができます。
つまりとなります。
③平方根をかけて、辺の長さを求める
よってとなり求めたい辺の長さがxcmになることがわかります。
直角三角形の辺の求め方
辺の求め方は2通りあります。求めたい辺によって使い分けましょう。
・斜辺を求めたいとき
・斜辺以外を求めたいとき
・斜辺を求めたいとき
辺の長さは三平方の定理を使って辺の二乗を考えたあと、平方根をかけて求めます。
基本的な計算手順の①〜③をまとめて一気に求めます。
直角を挟む2つ辺の辺の長さが8cmと15cmの場合を考えます。
斜辺を求める場合は8cmと15cmの二乗の和に平方根をかけて考えます。
を利用しましょう。
答え 17cm
・斜辺以外を求めたいとき
斜辺がわかる場合は斜辺の二乗から残りの1辺の二乗を引いて考えましょう。
を使って考えましょう。
答え 8cm
覚えておくと便利なテストでよく出る7パターン
三平方の定理のなかにはわかりやすい数になる直角三角形の辺の比があります。よく使われるものから7つを紹介しておきましょう。
①辺の比 3:4:5
②辺の比 1:2:
③辺の比 1:1:
④辺の比 1:2:
⑤辺の比 5:12:13
⑥辺の比 7:25:24
⑦辺の比 8:15:17
定期テストの定番は①〜⑤までです。特に①〜③は誰もが見たことがある形で、教科書にも出てくるものです。
このなかで気をつけておくとよいのが、倍数になったものです。
①なら「3:4:5」を2倍した数が「6:8:10」というようにすぐに気づくことができるとよいですね。
三平方の定理を簡単に解く裏技
三平方の定理を使うとき計算を簡単にして解きやすくする方法を伝授します。
直角三角形の斜辺ともう1辺がわかっているときは
「ルート 和ー差」
をするとすぐに答えになります。例を出してやってみましょう。
例:直角三角形の斜辺の長さが37、そして直角に接する辺の長さが35だったとします。普通は
という計算をします。
いつものようにやればちゃんと答えは出るのですが、二乗の計算が続くと大変ですよね。
ここでは、因数分解を使います。すると
「 」で簡単に計算ができます!
一発で簡単にできました!
詳しく説明すると、実は因数分解を使って簡単に解く方法です。
と計算することができます。
やをするよりも簡単で、早く計算することができます。
三平方の定理を使った計算では「√(平方根)」を使った計算をします。二乗の形にするため、すこし大変ですが、この形なら簡単にわかります。
計算ミスを防ぐ3つのポイント
「√ (平方根)」を使った式を解く時に計算ミスをしやすくなります。
計算途中で次の点を確認するようにしましょう。
①√ の中身だけの計算をしない
②実際の長さを考えて√ をつけ忘れていないか確認する
③三平方の定理が成り立っているか確認する
①√の中身だけを計算すると、そのまま平方根をつけて辺の長さにすることを忘れがちです。平方根をつけ忘れないようにしましょう。
②実際の長さを計算した後に比べる癖をつけましょう。長さを比べれば平方根をつけそびれた時にも気づきます。
③時間に余裕があれば、三平方の定理が成り立っているか計算して確認してみるとミスを減らせます。
ちょっとしたことで計算ミスは防ぐことができます。
普段から意識して取り組んでみましょう。
三平方の定理の証明問題を解く方法
三平方の定理の証明は数多くあり昔から親しまれてきています。
今回は2つ証明の方法を紹介します。
基本的な証明手順
①図形の特徴から考える証明
小さな正方形を求めるためには、大きな正方形から直角三角形を4つ分引きます。このことを使って三平方の定理が成立することを証明します。
直角三角形の直角を挟む2つの辺をとします。大きな正方形の面積はになります。ここから直角三角形4つ分を引きます。
そうするととなり、小さな正方形の面積はになるため、
が成立します。三平方の定理が証明されました。
②計算をして考える証明
三角形の相似を使うと、計算で三平方の定理を証明することができます。
3つの三角形、三角形CBH、三角形ACH、三角形ABCに注目します。
この3つの三角形は相似であるため、斜辺の長さで比較すると相似比は次のようになります。
CBH:ACH:ABC=
相似比はそのまま二乗して面積比にすることができるため、3つの三角形の面積比を表すと
CBH:ACH:ABC=
ここで3つの三角形の面積は次のようになるため、
CBH+ACH=ABC 3つの三角形の面積の関係が
と表すことができます。
面積の和から三平方の定理が証明できました。
三平方の定理の応用
三平方の定理で1辺しか分からない場合の解き方
三平方の定理の問題にもかかわらず、1辺しか長さがわからない問題も出てきます。そのようなときは
「わかることを整理」しましょう。
①角度はわかっているか
②辺の比から長さはわからないか
③四角形や円と三角形が接していないか
このポイントを確認してみてください。
①の場合の例を考えてみましょう。
図のような三角定規と同じ形の直角三角形の場合は、全ての角の大きさがわかっています。
30°、60°、90°の角度になる直角三角形は「1:2:の辺の比」になっているため比で考えます。
今回はわかっている辺の長さはであるため
となり
, と求めることができました。
①②の考え方を使って、1辺しか分からない場合も辺の長さがわかります。
三平方の定理と弦の長さを求める
三平方の定理を使って、円周上の点と点を結んだ線分である弦の長さを求めることもできます。
弦の長さは次のように求めることができます。
円の中心Oから弦ABに垂線をひきます。交点をHとする、三平方の定理を使って弦の半分の長さを求めることができます。半分の長さがわかるため、2倍にすれば、弦ABの長さが求められます。
三平方の定理で立体の対角線を求める
三平方の定理を使って立体の対角線を求める方法は、使えるようにしておくと便利です。
縦a 横b 高さcの直方体であれば、対角線は次のように求められます。
そして一辺がaの立方体であればもっと簡単です。
三平方の定理は平面図形から空間図形まで幅広く使われるため、いざというときにすぐ活用できるように速く計算できるようにしておきましょう。
効率的に数学を勉強するコツ
効果的に数学を勉強するには次の4つを進めてみましょう。
・計算力をつけるため時間を決めて計算練習をする
・思考力をつけるため文章題に定期的に取り組む
・学校力も先取り学習をして授業を復習にする
・プロの力を借りて学習の質を上げる
成績を上げるためにやっておくとよいポイントばかりです。
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計算力をつけるため時間を決めて計算練習をする
数学に欠かせないのが計算力です。四則計算、方程式や関数の式の変形などが速くできると、計算で間違いが減るほか、思考力を使う問題に時間をかけることができるようになります。
公立高校を受験するのにも、私立高校を受験するのにも必ず必要です。
学校のワークや、問題週などを一回10〜15分程度でもよいので、分野ごとに計算練習をしてみましょう。高校受験でも計算問題はほとんどの高校で出題されます。
特に次のような単元は定期的に練習をしておきましょう。
・正負の数四則問題
・1次方程式
・連立方程式
・因数分解
・平方根の計算
・分数や小数の計算
計算練習は同じことを速く正確にするトレーニング。筋トレなどと同じで継続的に続けて効果が出る学習です。
また反復して力が伸びる学習でもあります。
思考力をつけるため文章題に定期的に取り組む
文章問題は定期的に取り組むのがおすすめ。文章問題を苦手とする生徒は多いですが、自分はできるという得意分野にしてしまいましょう。
たとえば文章題は次のように進めましょう。
・時間を決めて解答する
・採点し、解説をよく読み解き方を理解する
・もう一度できるかどうか解いてみる
特にいくつかの分野が混ざった問題が高校入試では出題されるため、その練習もしておくと数学がどんどんできるようになります。特に取り組んでおいてほしいのが次の問題です。
・連立方程式や2次方程式
・関数とグラフを使う問題
・図形の証明
・空間図形の問題
図形と関数の問題のように、1次関数や2次関数と図形の面積の融合問題などは受験などではよく出題されます。ほかにも空間図形と表面積、体積の問題なども、決まった時間の中で解けるようにするため、練習しておきたいものです。
いくつかの分野が混ざった融合問題などは、解くのにも復習にも時間がかかります。学校の定期テストを中心に、実力テストや模擬試験で得点が取れるように、思考力をつけましょう。
学校よりも先取り学習をして授業で復習にする
数学の効率を上げるためには、先取り学習がおすすめです。
先取り学習をすると、学校の成績も伸びやすくなり、時間的な余裕もできるからです。
家庭学習や塾などで学校の数学よりも先に学習をして、学校の授業に復習として取り組みます。
2〜3週間の先取りを目標に数学を進めましょう。
先取りをした学習をしていると、同じ学習範囲に触れる機会が増えます。成績を上げるコツの一つが学習機会と量を増やすことです。先取り学習なら学校より先に1回、学校で1回、学校の宿題や課題で1回というように学習ができるため、その結果効率よく学習することができます。
プロの力を借りて学習の質を上げる
プロである家庭教師や塾で数学の学習をすることでも学習の質は格段によくなります。
プロは数学が上達するまでのカリキュラムや指導方法を知っていて、自分一人では気づけない最短ルートを示してくれるため効率が上がります。
プロに教わるとよい点には次の3つがあります。
・今やるべきことがわかる
・必要な教材で学習できる
・最短スケジュールでできるようになる
3つとも自分で準備をするには時間も必要で、勉強したいのに準備に時間が取られてしまいます。数学を効率よく学習したいのであれば、プロの手を借りることで、最短時間で効率よく学習できるようになるでしょう。
まとめ
三平方の定理、うまく使えそうな気はしてきましたか?
大切なポイントをまとめておきました。
三平方の定理とは
・が常に成り立つ
・斜辺を求める時にはを利用する
・斜辺以外を求める時にはを利用する
三平方の定理が使えるようになると、平面図形の計算問題や空間図形の体積や表面積を求めるような複雑な問題にもチャレンジできるようになります。
三平方の定理を使う問題を簡単に進めるには
・基本の計算手順通り進める
・直角三角形を見つけ、計算して辺の長さを求める
・便利な辺の比7パターンを活用する
・裏技を使って計算をカンタンにして解く
・計算ミスを防ぐポイントをおさえて解く
素早く三平方の定理を使って計算できるようにしておくと試験の時も安心です。
三平方の定理を上手く使えると
三平方の定理が上手く使えると図形の問題が得意になります。
定期テストはもちろんですが、高校入試でも「三平方を使って解いてください」という指示はありません。自分で見つけて使う必要があります。そのため、三平方の定理が使えることに素早く気づき、計算して辺の長さを求めて問題を時進められるように、しっかりと練習をしておきましょう。
図形の問題が最後まで解けるとやる気にもつながります。ぜひチャレンジしてください!
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