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偏差値23UPで雙葉中学校に合格!「なぜ?」を問い、父も勉強し続けた2年半|親たちの中学受験体験記 Vol.24

更新日:
中学受験
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「なぜそう思ったの?」——小学1年生のころから、大村さんは娘さんにそう問いかけ続けてきました。感想が見当違いでも訂正はしない。理由を自分の言葉で説明できるよう働きかける。その積み重ねが、やがて中学受験における国語力、そして面接対策にまでつながっていきます。

偏差値45からの中学受験スタートで、SAPIXと個別教室のトライも併用しながら試行錯誤した2年半。大村さん自身も隣に座って予習し、娘さんと一緒に問題を解きながらサポートし続けました。

苦手な社会を克服するために実際に三陸や金閣寺へ足を運んだ経験。直前期に「もう嫌だ」とストライキが起きたときの対応。そして夫婦で交代しながら限られた時間と体力をやりくりした日々——受験期間における伴走のリアルを語っていただきました。

塾選ジャーナル編集部

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目次

【保護者プロフィール】

お名前 大村 裕司(仮名)
お住まい 東京都
年齢 38歳
職業 会社員
性格 好奇心旺盛、温厚
家族構成 3人家族(父・母・長女)

【中学受験を行った子どものプロフィール】

子どもの名前 大村 仁美(仮名)
性別 女子
現在通っている学校名 雙葉中学校
現在の学年 中学1年生(2025年2月受験)
受験時に通っていた塾 SAPIX、個別教室のトライ
受験時にしていた習い事 ピアノ(小学3年まで)
得意科目 国語
苦手科目 社会
性格 内向的、活動的、アウトドア好き
偏差値 受験開始期:45
受験直前期:68
受験結果 雙葉中学校:合格
吉祥女子中学校:合格
香蘭女学校中等科:不合格

「多様性」と「品性」を軸に8校以上を見学。雙葉中学校を第一志望に

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―まずは、中学受験をしようと決めたきっかけから教えてください。

妻と話をしていて、地元の中学の環境面が少し気になっていたこともあり、受験させたいねと。娘が小学3年生か4年生ぐらいの時でしたね。

娘はおしゃべりが好きで、すぐ行動に移すところもある子なので、それでも伸び伸びと過ごせるような、“多様性”に富んだ環境がいいなという想いが出発点でした。

―「多様性」のほかに、学校選びで重視されていたことはありましたか?

人としての常識も含めて、“品性”を高められる環境かどうかです。あとは、人間関係の問題で貴重な時間を取られてしまうのはもったいないので、そういうことが起きにくい環境であること。

こうした点を見極めるために、学校説明会や文化祭にも積極的に参加しました。偏差値や口コミ、先輩のご両親からの情報を手がかりに実際足を運んだ学校は8校以上になります。

―実際に見学されて、その時点で志望を検討していた雙葉中学校や桜蔭中学校には、どんな印象を持たれましたか?

雙葉は茶道や華道など、一般的な5教科にとどまらない授業がいくつもあって。いろいろな学びの経験ができるという点で、多様性に富んでいるなと感じました。

桜蔭は、自分で研究テーマを選んで発表する取り組みが定期的にあり、取り上げているテーマも本当に自由な印象でした。知的好奇心を尊重してくれる学校なんだなと感じましたね。

一方で、学校によっては校則や身だしなみのルールがかなり厳格で、娘がちょっと窮屈さを感じていた学校も中にはありました。

―最終的に、雙葉中学校を第一志望に決めた理由は何でしたか?

最終的な理由は受験日程の兼ね合いと、受かるかどうかの現実的な見極めです。桜蔭にはちょっと届かないかなと思い、雙葉に集中することを選びました。

\志望校・受験校選びのポイント/

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SAPIXと個別教室のトライを併用。父も隣で勉強して臨んだ受験生活

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―SAPIXを選ばれた理由と、入塾のタイミングについて教えてください。

志望校の対策に特化したコースがあるのが大きく、迷いなくSAPIXを選びました。ちょうど新しい講座が始まるタイミングだった小学4年生の4月に入塾しました。

―入塾時の偏差値は45とのことですが、そこからのスタートについてはどうお感じでしたか?

正直なところ、志望校には遠い数字でした。ただ、そこから伸ばしていくために何が必要かを考えて、まずはSAPIXの授業についていける土台をつくることに集中しました。

―SAPIXでの学習は実際いかがでしたか?

進度が速く、一度扱った内容には触れずに次へ進む前提で、授業が進行していく印象でした。

たとえば算数では、解法の途中にある考え方や計算の過程を、自分で理解しなければならない場面があります。ですが、基本的な部分はすでに習得済みとして先へ進んでいく。そのため、クラスが変わったばかりの子は、ついていくのが大変なこともあり、娘も最初は苦労していました。

対策として、「とにかくわからないところは色をつけて飛ばして、先生の話をしっかり聞いてメモしなさい」と伝えていましたね。

―小学5年生から個別教室のトライも併用されていますが、その理由は?

SAPIXでわからなかったところをトライで復習して、さらに先生に別の問題を出してもらって演習を重ねる、という使い方をしていました。トライの先生が御三家出身の大学生で、つまずきやすいポイントをよくわかっていたんです。

トライで復習してもまだ理解が薄い問題は、私や妻が自宅で一緒に対応するという流れでした。

SAPIXで生まれた「わからない」をトライで潰し、それでも残ったものを家庭で拾う。この三段構えが回り始めてからは、単元ごとの理解が安定するようになり、少しずつ成績も上向いていった実感がありました。

―大村さんご自身も一緒に問題を解かれていたんですよね。

はい、娘が勉強している間に私も一生懸命勉強するような感じでした。前もって教材を読んで予習しておくこともありましたね。大人でも解けない問題もありましたが、よく娘に言っていたのは「大人も間違えるし、できないことは別に恥じることじゃないよ」ということです。みんな同じなんだから、と。そうやってプレッシャーをかけずに、辛抱強くやっていました。

振り返ると、あと1年前倒して、小学3年生からSAPIXに入れて、4年生から個別指導もつけてあげたほうがよかったかなとは思います。メンター的な存在が早い段階からいれば、本人の学習がもっと安定したのではないかなと。でもそこはやってみないとわからなかった部分なので、なかなか難しいですけどね。

\塾選び・併塾のポイント/

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「なぜそう思ったの?」——感想を訂正しない問いかけが国語力を伸ばした

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―一番伸びた科目として国語を挙げていただきましたが、具体的にどんな工夫をされましたか?

小学1年生のころから簡単な本を読ませて、わからない単語が出てきたら調べ方を教えるところからスタートしました。まず「自分で勉強する方法」をつかんでもらうのを大切にしたんです。

そこから「この本、どういうことなんだろうね」と、娘とお互いに話をするようになって。意識したのは、娘が話す感想を訂正したり、何かを指摘したりしないことでした。「間違えた」と感じると、自分の考えを言葉にしづらくなってしまうと考えたからです。

「なぜそう思ったの?」と、自分の言葉で説明できるように促していきました。

―国語以外の教科でも「なぜ?」のアプローチは使われていましたか?

はい。「以前習ったところとつながっている」と気づいてほしいと思い、「なぜ間違えたのか」を一緒に考えるようにしました。

この積み重ねが、雙葉中学校の面接対策にもそのまま活きました。特別な準備はほとんどしておらず、娘に伝えたのは「なぜ自分がそう思ったのかをちゃんと説明できるようにしよう」ということだけです。普段からやっていたことの延長線上に面接があったので、娘もしっかり対応できていました。

\家庭学習・国語力を伸ばすポイント/

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隣にいることが集中のスイッチに。夫婦それぞれが状況に応じて動くサポート法

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―社会が特に苦手だったとのことですが、どう対応されましたか?

科目自体をすごく嫌っていたので、「じゃあ実際に見に行こうか」と、気分転換も兼ねて旅行に出かけるようにしていました。リアス式海岸を見に三陸にも行きましたし、金閣寺にも行きましたね。新幹線で行ける範囲を中心に、日帰りか1泊2日が多かったです。勉強半分、観光半分で、美味しいものも食べながら過ごしました。

実際に行ってみると、娘も知識の吸収が全然違う印象でした。歴史の年号への苦手意識は最後まで残りましたが、地理については地形的な理解がだいぶ深まったと感じます。

―娘さんの性格を踏まえて、普段の学習で気をつけていたことはありますか?

いろいろなことに関心が分散して飽きやすいタイプなので、「どう気持ちを乗せ続けるか」は、気を配りながら過ごしていました。できないことがあると、やはり落ち込んでしまう。逆にうまくできたときはやる気につながるので、「じゃあ次も行ってみよう」とノリ良く進める。そういうコミュニケーションは常に意識していましたね。

―ご自宅での学習環境はどのように工夫されていましたか?

一人で部屋に籠もって勉強できるタイプではないので、リビングで横に座って、テレビを消して、私もパソコンではなく紙の資料を広げるようにしていました。隣に誰かが同じように机に向かっていることが、娘にとっては集中のスイッチになっていたのだと思います。

勉強時間の確保も工夫の連続でした。朝の時間を活用したり、リモートワークを生かして車で送り迎えをし、移動中に勉強してもらったりしていました。小学6年生のときは1日4〜6時間の家庭学習を確保していましたが、隙間時間を使ってなんとかやりくりした感じですね。

―奥様との役割分担はいかがでしたか?

役割分担というよりは、家事や勉強のサポートをどちらもできるようにしておいて、お互いの仕事の状況に応じて動けるほうが優先的に動く、という形にしていました。

たとえば、私がリモートワークで家にいられる日は家のことを全部やって、妻には塾のお迎えに行ってもらう。逆のパターンもありました。お互いの繁忙期も把握していたので、有給の日数も調整しながらやっていましたね。限られた時間と体力を最大限に生かすための工夫でした。

あと、家族3人で一緒に問題を解いて、あーだこーだ言い合う時間はよかったですね。「この問題、ここが引っかかるよね」なんて話をして。家族みんなで取り組んでいる感覚が、娘にとっても安心材料になっていたのではないかと思います。

\苦手科目の克服・家庭サポートのポイント/

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受験直前期の勉強ストライキを乗り越え、「いつも通り」で送り出した入試当日

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―偏差値が45から68まで大きく伸びたとのことですが、どのような経過をたどったのでしょうか。

一気に跳ね上がったわけではなく、積み重ねの結果です。

小学4年生でSAPIXに入った時点では基礎が追いつかず苦労しましたが、5年生からトライを併用したことで流れが変わり始めました。

国語の土台、社会の現地体験、家庭での伴走——先ほどお話ししたことが、一つずつ噛み合っていった感覚です。5~6年生にかけて、少しずつ数字に表れるようになりました。

どれか一つが決定打というよりは、こうした積み重ねが複合的に効いて伸びていったという感覚ですね。

―その過程でスランプはありましたか?

ありましたね。単元ごとにわかった気になったけど実は定着していない、ということの繰り返しで、小さなスランプが1週間ごとに来るような感じでした。

そのたびに教え直しながら、「スランプは誰でもあるよ」と話したり、成長曲線の話をして「急に伸びるのは最後で、今その手前にいるんだ」と伝えたりしていました。逆に調子がいいときも「まだまだ伸びるよ」と声をかけていましたね。

―本番が近づくと、娘さんが「もう嫌だ」と“勉強ストライキ”をされたそうですが、どう対応されましたか?

「もう嫌だ」「受けたくない」「集中できない」と。

テレビも見たがって、勉強から気持ちが離れていきました。そのとき伝えたのは、「今まで2年半も頑張ってきたんだからもったいないよ」ということ。加えて、「雙葉に合格したら、都心のほうで遊べるよ」といった、本人が喜びそうなこともできるだけ多く伝えましたね。

最終的には、2年半しっかりやってきたという自負が、娘の中にもあったのではないかと思います。頑張ってきた分の重みがあったからこそ、最後はもう一度立て直し、軌道修正できました。

―受験期間中は、体調面でも苦労されたそうですね。

気分転換がうまくできない時期が続くと、時々微熱を出すこともありました。幸い、本番の直前期に大きく体調を崩すことはなかったのですが、様子を見ながら休めるときはしっかり休ませるようにしていました。本人も焦る気持ちはあったようですが、無理をさせすぎないバランスは常に意識してよかったと感じます。

―受験本番は、2月1日に雙葉、2日に2校を受けるスケジュールだったそうですね。

はい。第一志望の雙葉に合わせてスケジュールを組みながら、2日に受けられる学校を選びました。

ただ、一日のうちに2校受けるのはかなり体力を使いますし、実際に娘もだいぶ疲れていました。

下見についても一つ反省があって。学校見学は夏に行っていたのですが、冬の受験期はまた雰囲気が違いました。直前期にもう一度、会場を下見しておけばよかったなと。大人ならすぐ慣れますが、子どもにとってはやはり緊張するものなので。

―受験本番当日は、どんなふうに送り出されましたか?

いつも通りです。あまり「頑張れ」と言っても疲れてしまいますし、逆にこちらが張り詰めたら娘が気を遣ってリラックスできなくなってしまうので。特別なことはせず、普段どおりの朝を過ごすことを意識しましたね。

\偏差値45→68 伸びを支えたポイント/

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“国語力”が一番の財産。親子一緒に勉強した時間が尊い

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―合格されたときのお気持ちは?

本人がうれしそうにしていて、自分もうれしかったです。それに私も正直なところ、時間もお金もかかっていた分ホッとしました(笑)。

―入学後の娘さんの様子はいかがですか?

最初はちょっと大変そうでしたが、慣れてきて楽しそうにしています。雙葉は品性や品格をとても大切にしている学校です。誠実であること、自分のことは自分でけじめをつけること。そうした姿勢が日常の中で自然と求められる環境という印象です。

そういう環境の中で過ごすうちに、以前はあまり周囲に気を配るタイプではなかった娘が、思いやりを持つようになりました。ただ優しくするだけではなく、相手の立場に立って物事を考えられるようになった。それは入学してから一番変わったところだと思います。

―中学受験を通じて娘さんが得た一番のものは何だと思われますか?

やはり“国語力”ですね。質問する力、要約する力、自分の考えを言葉にする力。AIが台頭する時代だからこそ、コミュニケーションの力はますます大事になると思っていて、子どもの頃にそれを伸ばせたのはよかったなと感じます。

あとは、多様性を尊重しながら自分の個性を発揮できる環境に身を置けたこと。今見ていてもすごく楽しそうに学校に通っているので、よかったなと思いますね。

―最後に、これから中学受験に挑む親子へメッセージをお願いします。

やはり、親子一緒に勉強する時間を作るのは大切だと思います。今も一緒に勉強しているのですが、子どもがつまずいている問題に大人も歯が立たないことがあるんですよ。そうすると、子どもに対して親も謙虚になれるというか。

子どもにとっても、一人じゃないという安心感が生まれるきっかけになるのではないかと思います。味方が増えたような感覚で、安心して受験勉強はもちろん、学校生活にも向き合えるはずです。

\中学受験を振り返って感じたこと/

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取材後記

偏差値45から68へ。

この数字だけを見れば順調な右肩上がりに思えますが、実際には単元ごとの小さなスランプの連続や、直前期の「もう嫌だ」というストライキなど、決して平坦ではない道のりだったことが大村さんのお話から伝わってきました。

特に印象的だったのは、「なぜそう思ったの?」という問いかけを小学1年生のころから辛抱強く続けてこられたエピソードです。見当違いの感想が返ってきても訂正せず、理由を聞き続ける。子どもの自由な発想を守りながら思考力を育てるという、強い想いが感じられました。

受験期間を通じ、「大人も間違えるし、できないことは恥じることじゃない」と伝え続けたという大村さん。一緒に問題を解き、一緒に間違え、一緒に学ぶ。その姿勢が、娘さんにとって何よりの安心材料になっていたのではないでしょうか。

執筆者プロフィール

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