高校数学Ⅰとは?単元内容からつまずきやすいポイントまでわかりやすく解説
高校数学の最初の科目、「数学Ⅰ」。「なんとなく難しそう…」「中学の数学とどう違うの?」と感じている人も多いのではないでしょうか。
数学Ⅰは、すべての高校生が学ぶ必修科目です。文系・理系を問わず、高校数学の出発点として位置づけられており、「数と式」「集合と論理」「図形と計量」「2次関数」「データの分析」の5つの単元で構成されています。
中学数学の延長線上にある内容も多く、いきなり別世界に放り込まれるわけではありません。ただ、扱う文字や概念が少しずつ広がっていくため、最初の取り組み方が大切になります。
この記事では、高校2年生のときに数学オリンピック本選に出場、学習塾に入らずに東大へ現役合格し、現在はカルぺ・ディエムでさまざまな講演活動を行っている永田耕作さん監修のもと、数学Ⅰがどんな科目なのかわかりやすく解説します。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
永田耕作
2001年生まれ 東京大学教育学部卒 公立高校から学習塾に入らずに東大へ現役合格。中学・高校は野球部に所属、部活動と勉強を並行し 「練習で自分の苦手を潰して、試合で自分の力を最大限に発揮する準備をする」という努力の「型」を 勉強にも活かして受験勉強を乗り切る。得意科目は数学で、高校2年生のときに数学オリンピック本選に出場した経験がある。現在は(株)カルぺ・ディエムに所属し全国各地で年間100回以上の講演活動を行い、勉強モチベーションや計画の立て方などを伝えている。自著に、「東大生の考え型(2022,日本能率協会マネジメントセンター)」「東大式 数値化の強化書(2024,彩図社)」などがある。 X公式アカウント:https://twitter.com/nagatakosaku08
目次
高校「数学Ⅰ」とは?どんな科目?

数学Ⅰは、高校数学における必修科目です。文系・理系を問わず、すべての高校生が学びます。「数と式」「集合と論理」「図形と計量」「2次関数」「データの分析」の5つの単元で構成されており、標準的な授業時間数は週3時間(3単位)です。
内容は中学数学の延長線上にあるものが多く、「方程式」「関数」「データの活用」などの知識がベースになっています。まったく新しい世界が始まるわけではありませんが、扱う文字や概念の幅が少しずつ広がるため、慣れるまでに時間がかかる単元もあります。数学Ⅰでの学びは、文系・理系を問わず高校3年間を通じて活用される内容です。
数学Ⅰは高校数学のスタート科目
数学Ⅰは、高校数学の出発点として設計された科目です。高校に進学した全員が、まずここから数学を始めます。得意な人も、あまり自信がない人も、スタートラインは同じです。
「数学Ⅰでつまずいたら終わり」ではなく、「数学Ⅰをていねいに学ぶことが、この先の数学をラクにする」という科目だと理解しておくと気持ちが楽になります。
中学数学との大きな違いは扱う文字や記号の種類が増えること
中学数学と高校数学の最も大きな違いは、扱う文字や記号の種類が増えることです。中学では「x」や「y」を使った計算が中心でしたが、高校では「a」「b」「k」「n」など複数の文字が同時に登場し、それらを組み合わせて考える場面が増えます。
また、「なぜそうなるのか」を筋道立てて説明する力、つまり論理的に考える姿勢がより求められるようになります。答えを出すだけでなく、式の意味を理解しながら進めることが大切になってきます。
ただし、中学で学んだ「1次方程式」「2次方程式」「比例・反比例」の考え方は、数学Ⅰの各単元に直接つながっています。急にレベルが跳ね上がるのではなく、中学で身につけた考え方を少しずつ広げていくイメージです。
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東大卒教育ライター・永田さん「中学数学との大きな違い」 論理的に考えることが求められる問題ばかりになるので、公式の丸暗記が通用しなくなっていきます。また、単元の根底にある知識や概念を正しく理解することも求められるので、丁寧に教科書を読み込むことが大切になってくるのです。さらには、進度が早いのもあり、適宜復習しないと追いつけなくなっていきます。 |
数学Ⅰと数学Aの違いは?どちらを優先すべき?

数学Ⅰと数学Aは、高校1年生のうちに並行して学ぶ学校が多く、「どちらをどう優先すればいいのか」と迷う人もいます。2つの科目は役割がはっきり異なるため、その違いを理解しておくと学習の見通しが立てやすくなります。
【役割の違い】代数・関数の「Ⅰ」と、独立した分野の「A」
一言でいえば、数学Ⅰは「高校数学の縦の流れを作る科目」、数学Aは「横に広がる独立したテーマを扱う科目」です。
| 数学Ⅰ | 数学A | |
|---|---|---|
| 位置づけ | 必修科目 | 選択科目 |
| 主な内容 | 数と式・2次関数・図形と計量・データの分析 | 図形の性質・場合の数と確率・数学と人間の活動 |
| 特徴 | 計算・関数・データ中心。数学Ⅱ以降に直結する縦の流れ | 論理・証明・確率中心。数学Ⅰとは独立したテーマ |
| 他科目との関係 | 数学Ⅱ・Ⅲの土台になる | 数学Ⅰを補完する位置づけ |
数学Ⅰで学ぶ内容はこの後の数学Ⅱ・Ⅲに直接つながりますが、数学Aの内容は比較的独立しているため、どちらが欠けても困るものの、役割がはっきり異なります。
【優先度】日常の授業と入試における重要度
授業段階では数学Ⅰの定着を優先するのが基本です。数学Ⅰは数学Ⅱ以降すべての土台になるため、ここでのつまずきを放置すると後の単元にも影響が出ます。数学Aは比較的独立した内容が多いので、授業で扱った範囲をその都度押さえていく進め方で十分です。
入試(共通テスト)では数学Ⅰ・Aが1つの試験として出題されるため、最終的には両方の仕上げが必要です。まずは数学Ⅰ、並行して数学Aという順序を意識しながら進めましょう。
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東大卒教育ライター・永田さん「数学Ⅰはほかの単元の基礎となる単元が多い」 数学Ⅰはほかの単元の基礎となる単元が多いです。高校に入学したばかりで、浮かれて授業の復習を全然していなかった結果、数Aや数Ⅱでつまずく人を何人も見てきました。高校生活を謳歌することも大切ですが、勉強も疎かにしないようにしましょう。 |
数学Ⅰで学ぶ5つの単元

数学Ⅰは、以下の5つの単元で構成されています。
- ①数と式
- ②集合と論理
- ③図形と計量
- ④2次関数
- ⑤データの分析
それぞれどんな内容なのか、ざっくりとしたイメージをつかんでおきましょう。
① 数と式(展開、因数分解、実数、不等式)
数と式は、最初に学ぶ単元です。中学で扱った展開・因数分解がベースになっており、「知ってる!」と感じる場面も多いはずです。
高校では、扱う式の形が少し複雑になります。たとえば、中学では「x²+5x+6」のように数字だけで構成されていた式が、高校では「ax²+bx+c」のように係数も文字になります。この「文字が増える」変化が、最初の壁になることがあります。
また、整数・小数・分数だけでなく、√(ルート)を含む実数の計算や、方程式に不等号を使った不等式の扱い方も学びます。この単元の計算力が、この先のすべての単元を支える土台になります。
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東大卒教育ライター・永田さん「『数と式』は計算の難易度が幅広い」 初歩的な計算から、複雑な計算まで幅広く扱う単元です。間違えてしまったら、解説を読み込んで、なぜその変形をするのかという必然性を追いかけるようにしましょう。 |
② 集合と論理(必要・十分条件、逆・裏・対偶)
高校数学Ⅰの「集合と論理」は、数学の基礎となる概念や「必要・十分条件」「逆・裏・対偶」を学ぶ単元です。要素の属・不属、共通部分、和集合、否定などの記号を使い、論理的に命題の真偽を判断します。
聞き慣れない用語がたくさん出てきますが、複雑な図形や計算は出てきません。じっくり意味を考えれば意外とすんなりと答えが出るものが多いです。
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東大卒教育ライター・永田さん「『集合と論理』は丁寧に意味を追いかけることが大切」 数Aの「場合の数と確率」の単元でも同様の内容を習いますが、数学Ⅰで扱う学校も多いでしょう。この単元では、丁寧に意味を追いかけることが大切です。 |
③2次関数(グラフ、最大最小、2次方程式)
2次関数は、数学Ⅰの中でもボリュームが大きい単元です。「y=ax²+bx+c」という形の式を扱い、そのグラフを読んだり描いたりすることが学習の中心になります。
このグラフは放物線と呼ばれるU字型(またはn字型)の曲線です。「aの値が変わると形が変わる」「頂点の位置がどこにくるか」といったことを、式とグラフを行き来しながら理解していきます。
また、グラフの形を利用して関数の最大値・最小値を求める問題も登場します。2次方程式・2次不等式の解き方も、この単元でまとめて学びます。
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東大卒教育ライター・永田さん「『2次関数』は問題演習を積むことが大事」 2次関数でつまずく高校生は非常に多いです。この単元は、とにかく問題演習を積むことが大事。わからない問題があったら友達や先生に積極的に質問して、何度も繰り返し問題を解きましょう。 |
④ 図形と計量(三角比、正弦定理、余弦定理)
図形と計量のメインテーマは三角比です。sin(サイン)・cos(コサイン)・tan(タンジェント)という記号が初めて登場し、「なんか急に別の教科みたいになった……」と感じる人が多い単元でもあります。
三角比とは、直角三角形の辺の長さの比を表したものです。角度がわかれば辺の比が決まり、辺の比がわかれば角度が求められる、というシンプルなルールが基本になっています。記号の見た目に最初は戸惑いますが、やっていることは「比を使って三角形の辺や角を求める」という一点に尽きます。
さらに、三角比を応用して三角形の辺の長さや面積を求めるための正弦定理・余弦定理も学びます。どちらも公式の使い方さえ覚えてしまえば、あとはルールに従って計算を進めるだけです。「難しそう」という第一印象ほど、実際にはとっつきにくい単元ではありません。
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東大卒教育ライター・永田さん「『図形と軽量』は数Ⅱなどのほかの単元にもつながる」 この単元は、数Ⅱなどのほかの単元にもつながる知識と概念を扱うため、しっかり復習しましょう。用語の定義や定理、そしてそれらを何に利用するのかまで理解できたら十分です。 |
⑤ データの分析(平均、分散、標準偏差)
データの分析は、5つの単元の中で、最も「日常生活に近い」といえる内容です。平均値・中央値・最頻値といった基本的な統計の概念から始まり、データのばらつきを表す分散・標準偏差、2つのデータの関係を読み取る相関係数などを学びます。また、現行の学習指導要領では仮説検定の考え方も扱います。
たとえば「テストの平均点が同じ2クラスでも、得点のばらつきが大きいクラスと小さいクラスでは、中身がまったく違う」というような話です。こうした見方は、ニュースの統計データを読んだり、将来仕事でデータを扱ったりする場面でそのまま役に立ちます。
数式よりも「データをどう読むか」という思考力が問われる単元なので、数学が得意でなくても取り組みやすい面があります。ほかの単元と比べて計算量が少ないぶん、しっかり理解しておくと定期テストでの得点源にもなります。
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東大卒教育ライター・永田さん「『データの分析』は共通テストに必ず出題される」 共通テストに必ず出題される単元。逆にいえば、共通テストやそれに準ずる模試でしか見かけないので、定期的に復習して忘れないようにする意識が大切です。 |
数学Ⅰは難しい?つまずきやすいポイント

数学Ⅰは「きちんと取り組めばついていける科目」です。ただし、単元ごとに乗り越えやすいところとそうでないところがあります。あらかじめつまずきやすいポイントを知っておくだけで、対策が立てやすくなります。
文字式の処理で差がつく
数学Ⅰの最初の単元「数と式」では、中学で学んだ展開・因数分解をベースに、より複雑な文字式を扱うようになります。ここでつまずく原因の多くは、中学の文字式の処理が曖昧なまま高校に進んでしまったケースです。
たとえば、中学では「x²+5x+6を因数分解する」という問題でしたが、高校では係数も文字になり「ax²+(a+b)x+bを因数分解する」といった形が登場します。式の構造を見抜く力がないと、どこから手をつければよいかわからなくなります。
計算ミスを防ぐ丁寧さと、式の形を見てパターンを判断する経験の積み重ねが、この単元を乗り越えるカギです。入学直後に中学の因数分解・展開をざっと復習しておくだけで、スタートがずいぶん楽になります。
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東大卒教育ライター・永田さん「慣れるまでは、一つひとつの変形を丁寧にノートに書こう」 慣れるまでは、一つひとつの変形を丁寧にノートに書きましょう。省略したり暗算したりするのではなく、まずはミスなく丁寧に文字式を扱うのに慣れることを優先してください。慣れてきたら、少しずつ変形をカットして頭の中でやれるようにしていきましょう。 |
2次関数のグラフが壁になりやすい
数学Ⅰの中で「最初の大きな壁」と感じる生徒が多いのが、この2次関数です。グラフの形を把握するだけでなく、「軸・頂点の座標を求める」「xの範囲が変わったときの最大・最小を求める」といった問題が重なって登場するため、一度つまずくと連鎖的に苦しくなりやすい単元です。
特に難しいと感じやすいのが、「定義域(xの範囲)が変化するときの最大・最小」の問題です。グラフの頂点が定義域の内側にあるか外側にあるかによって答えが変わるため、場合分けをしながら考える必要があります。このような「状況によって解き方が変わる」問題に、多くの生徒が戸惑います。
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東大卒教育ライター・永田さん「克服するには問題演習が一番の鍵」 克服するには問題演習が一番の鍵です。そして、それぞれの問題で必ず手を動かして図を描く。これを意識することで、少しずつ特徴をつかめるようになっていきます。 |
三角比で急に抽象度が上がる
「図形と計量」の単元に入ると、sin・cos・tanという見慣れない記号が突然登場します。それまでの「式を計算する」流れとは雰囲気ががらりと変わるため、「急に別の教科になった」と感じる生徒が少なくありません。
特につまずきやすいのが、鈍角(90°を超える角)の三角比です。中学までの感覚では「三角形の角は90°以下」というイメージが強いため、90°を超える角にも sin・cos・tan が定義されるといわれると混乱しやすくなります。また、正弦定理・余弦定理は公式そのものは覚えられても、「どの場面でどちらを使うか」の判断に慣れるまでに時間がかかります。
ただし、三角比は「覚えるべきルールが明確」な単元でもあります。定義と代表的な角度の値(30°・45°・60°)をしっかり頭に入れ、公式の使いどころをパターンで押さえていけば、確実に点数につながります。最初の印象ほど手ごわい単元ではありません。
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東大卒教育ライター・永田さん「とにかくたくさん問題を解いて慣れていく」 新しい概念が入ってくる単元なので、どうしても壁を感じてしまうかもしれません。でも、とにかくたくさん問題を解いて慣れていくしかないのです。また、どの問題を解くときも、慣れるまでは必ず単位円を描いて考えるようにしましょう。 |
データの分析は用語と定義をしっかり確認
「データの分析」は、ほかの3単元と比べて計算量が少なく、式の変形も多くありません。その分、用語の意味と定義を正確に理解しているかどうかが、そのまま得点に直結する単元です。
例えば「平均値・中央値・最頻値の違い」「分散と標準偏差の関係」「相関係数が何を表すか」といった問いに、自分の言葉できちんと説明できるかどうかが問われます。なんとなく計算できても、用語の意味があやふやなままだと、少し問い方が変わっただけで対応できなくなります。
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東大卒教育ライター・永田さん「自分の言葉で説明できるようになるまで学習」 教科書を読み込んで定義をしっかり頭に入れ、自分の言葉で説明できるようになるまで繰り返し覚えましょう。友達同士で説明し合うのもいいかもしれません。 |
苦手な場合は数学に強い塾を活用するのも一つの手
独学でも取り組める科目ですが、数学Ⅰは「わからないまま放置する」と後の単元に影響が出やすい科目でもあります。つまずきを早めに解消したい場合は、数学に強い塾を活用することも有効な選択肢です。
塾を活用する主なメリットは次のとおりです。
- わからない箇所をその場で質問できる
- 自分の理解度に合わせた指導が受けられる
- 定期テスト・受験に向けた対策が体系的に組まれている
- 勉強する習慣と環境が整う
以下の記事では、数学に強いおすすめ塾をまとめていますので、ぜひご覧ください。
数学Ⅰはなぜ学ぶの?身につく3つの力

「数学って将来使うの?」と思ったことがある人は少なくないはずです。数学Ⅰで学ぶのは計算の手順だけではありません。式を扱いながら身につく「考え方」そのものが、数学を離れた場面でも長く役に立ちます。
①数式を使って考える力(論理的思考力)
数学の学習では、答えを出すだけでなく「なぜそうなるのか」を筋道立てて説明することが求められます。「条件を整理する→式に表す→順番に処理する」という流れを繰り返すことで、論理的に考える習慣が自然と身についていきます。
これは数学の問題を解く力にとどまりません。文部科学省の学習指導要領解説でも、数学教育の意義として「客観的かつ論理的に自分の考えなどを説明する力」の育成が挙げられており、この力はほかの教科の学習や、将来の仕事・日常生活においても広く活用できるものとされています。
「筋道を立てて考え、根拠を示しながら説明する」という姿勢は、レポートを書くときも、仕事で企画を通すときも、変わらず求められるものです。数学Iはその練習の場でもあります。
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東大卒教育ライター・永田さん「論理的思考力は、ほかの科目でも必ず活きてくる」 論理的思考力は、ほかの科目でも必ず活きてきます。国語の評論文や英語の長文などは、論理的に展開されていることがほとんどですから。だからこそ、数学で因果関係を正しく読み取ったり説明したりする能力を身につけることは大切なのです。 |
②関数で物事の変化をとらえる力
2次関数の単元では、「xが変化するとyがどう変わるか」をグラフや式で表す練習を繰り返します。この「変化をとらえる」という見方は、数学の問題を解くためだけでなく、現実のさまざまな場面でも使われています。
例えば、商品の価格と売上の関係、気温とエネルギー消費量の変化など、世の中には「一方が変わるともう一方も変わる」関係があふれています。グラフを見て「どこで最大になるか」「どの時点から増え始めるか」を読み取る力は、データを扱うあらゆる場面で活きてきます。
文部科学省の学習指導要領解説でも、関数の学習を通じて「事象の本質や他の事象との関係を認識し統合的・発展的に考察する力」を養うことが目標として示されています。数式やグラフを通じて身につくる「変化を読む目」は、数学Iの大きな収穫のひとつです。
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東大卒教育ライター・永田さん「グラフの読み取り方はほかの科目でも重要になる」 グラフの読み取り方を知っておけば、理科の実験結果や社会の資料を読み取るのが格段にやりやすくなります。日常のさまざまなデータを1次関数や2次関数などの見知った関数に見立てて分析することで、何か新しいことが見えてくるかもしれません。 |
③データを読み取る力(統計的リテラシー)
「データの分析」の単元で身につくのは、数字の羅列をただ計算する力ではなく、データの意味を読み取る力です。ニュースで「○○の平均年収は△△万円」という数字を見たとき、その数字が実態をどこまで反映しているかを考えられるかどうか。アンケート結果や調査データを鵜呑みにせず、根拠をもって読み解けるかどうか。そういった統計的なものの見方の基礎が、この単元で培われます。
文部科学省の学習指導要領解説でも、データを収集・分析し「その傾向を踏まえて課題を解決したり意思決定をしたりする」資質・能力の育成が、数学教育の重要な柱のひとつとして挙げられています。データが溢れる時代だからこそ、高校1年生のうちに基礎をしっかり押さえておく意味があります。
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東大卒教育ライター・永田さん「データを統計的に読み取る力は大学入学後も重要に」 大学に入ってから、それぞれ学問を究めていく中で、データを統計的に読み取る機会は必ずやってきます。心理学、経済学などの分野は特にそうでしょう。この単元をしっかり理解しておけば、一から勉強する必要がなくなるため、後々楽になります。 |
数学Ⅰは「その後の数学」や「大学入試」にどうつながる?

数学Ⅰは高校1年生で学ぶ科目ですが、その内容はこの先の数学や大学入試に深く関わっています。「今なぜ学ぶのか」という視点で整理しておきましょう。
数学Ⅱ・Ⅲへの発展(より高度な関数へ)
数学Ⅰで学ぶ内容は、そのまま数学Ⅱ・Ⅲへとつながっています。
例えば「2次関数」は数学Ⅱで「指数関数・対数関数」「微分・積分」へ、「図形と計量」の三角比は「三角関数」へと発展します。
文部科学省の学習指導要領解説でも、数学Ⅱは数学Ⅰの内容を「発展・拡充させた科目」と位置づけられており、数学Ⅰの理解が曖昧なままでは数学Ⅱ以降で繰り返しつまずくことになるので注意が必要です。
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東大卒教育ライター・永田さん「基礎的な数学Ⅰを丁寧に演習することがまずは大切」 大学に入ってから、それぞれ学問を究めていく中で、データを統計的に読み取る機会は必ずやってきます。心理学、経済学などの分野は特にそうでしょう。この単元をしっかり理解しておけば、一から勉強する必要がなくなるため、後々楽になります。 |
文系・理系を問わず「共通テスト」の必須科目
共通テストでは「数学Ⅰ・A」が1つの試験として出題され、文系・理系を問わずすべての受験生が対象です。
数学Ⅰの全単元が出題範囲になるため、苦手な単元を残したまま受験期を迎えることは避けたいところです。
特に「データの分析」は毎回出題されますが、授業での扱いが少なくなりがちな単元でもあるため、定期的に復習して知識を維持しておくことが重要になります。
まとめ 数学Ⅰは「高校数学の土台」を作る科目

数学Ⅰは、中学数学の延長線上にある内容を、少しずつ広げながら学んでいく科目です。
この科目でていねいに積み上げた理解は、2次関数が三角関数へ、三角比が正弦・余弦定理へと発展するように、この先の数学すべての土台になっていきます。逆にいえば、今ここで基礎をしっかり固めておくことが、高校3年間の数学を通じて最も効いてくる投資です。
「なんとなく難しそう」という最初の印象は、内容を知れば少し変わるはずです。まずは文字式の復習から始めて、授業を一歩ずつ丁寧に進めていきましょう。
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東大卒教育ライター・永田さん「数学Ⅰをしっかり理解して後の勉強をリードしよう」 高校に入学したばかりで、高校生活に慣れるのに精一杯かもしれませんが、数学Ⅰをしっかり復習しておかないと、後々数学でつまずく要因になってしまいます。問題演習の時間を取ること、グラフや図を自分の手で描くことを意識して頑張ってください。 |
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
2001年生まれ 東京大学教育学部卒 公立高校から学習塾に入らずに東大へ現役合格。中学・高校は野球部に所属、部活動と勉強を並行し 「練習で自分の苦手を潰して、試合で自分の力を最大限に発揮する準備をする」という努力の「型」を 勉強にも活かして受験勉強を乗り切る。得意科目は数学で、高校2年生のときに数学オリンピック本選に出場した経験がある。現在は(株)カルぺ・ディエムに所属し全国各地で年間100回以上の講演活動を行い、勉強モチベーションや計画の立て方などを伝えている。自著に、「東大生の考え型(2022,日本能率協会マネジメントセンター)」「東大式 数値化の強化書(2024,彩図社)」などがある。 X公式アカウント:https://twitter.com/nagatakosaku08

