信州大学教育学部附属長野中学校に合格!飽きっぽい子が苦手科目を乗り越えた工夫|親たちの中学受験体験記Vol.27
人気校の傾向や塾の活用法など、地域ごとに特色があるのが中学受験。
今回は、私立よりも国公立への中学受験が盛んな長野で、信州大学教育学部附属長野中学校(以下、信大附属長野中学校)へ進んだご家庭にお話を伺いました。
志望校選びの視点から、苦手科目の克服法、子どものやる気を引き出す家庭学習の工夫まで、実践的なヒントが詰まった体験記です。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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目次
【保護者プロフィール】
| お名前 | 田中 由紀(仮名) |
|---|---|
| お住まい | 長野県長野市 |
| 年齢 | 45歳 |
| 職業 | 会社員 |
| 性格 | どちらかというとネガティブ |
| 家族構成 | 3人家族(父・母・長男) |
【中学受験を行った子どものプロフィール】
| 子どもの名前 | 田中 凌(仮名) |
|---|---|
| 性別 | 男子 |
| 現在通っている学校名 | 信州大学教育学部附属長野中学校 |
| 現在の学年 | 中学3年(2023年11月受験) |
| 受験当時に通っていた塾 | 信学会ゼミナール |
| 受験時にしていた習い事 | なし |
| 得意科目 | 算数・理科 |
| 苦手科目 | 国語・社会 |
| 性格 | 興味のあることについては探求心が非常に強いが、飽きっぽい一面も。 |
| 偏差値 | 学習開始時期の偏差値 60 受験時期の偏差値 64 |
| 受験結果 | 信州大学教育学部附属長野中学校 合格(第一志望) 某私立中学校 合格 |
探究型の学習環境に惹かれて、中学受験を決意
―最初に、お子さんの中学受験を考え始めた理由・きっかけを聞かせてください。
息子が小学3、4年生のときに友人関係で悩んでいたことがあり、「中学受験をして環境を変えるという解決策もあるんだよ」という話をしたことがあります。でも小学4年生の後半には仲の良い友人もできて楽しくしていましたので、私はてっきり、地元の公立中学校に進むのだろうなと思っていたんです。
それが小学5年生になって突然、「中学受験がしたい」と。長野は私立中学の選択肢が少なく、東京のように中学受験が盛んではないのでとても驚きました。ただ私も夫も中学受験の経験があり、そのメリットはよく理解していたので、息子が本気なら全面的にバックアップしようということになりました。
―中学受験の経験者であるご両親の期待を感じて、中学受験を希望されたのでしょうか?
いえいえ。親としてはまったく期待していなくて、どちらかというと消極的でした。私自身は親のプレッシャーを強く感じて中学受験をしたので、無理強いはもちろん、親から勧めることもしたくないと思っていました。
もしかすると小学校で息子が慕っていた理科の先生、その方が掛けてくれた言葉が中学受験に興味をもったきっかけかもしれません。息子は探究心が強く、興味のある事柄にのめり込む一面があり、理科の先生が息子の疑問に寄り添ってくれていました。
いつものように質問攻めにしていたら、「そんなに考えることが好きなら、信大附属長野中学校に行ったらどうだ。 探究型の学習が多いから、お腹いっぱい考えることができるかもしれないぞ」と先生に言われたという話をしていたことがありました。
―通っていた小学校では中学受験を選ぶ家庭は少なかったのでしょうか?
首都圏や関西圏のように選択肢がたくさんあるわけではないので、希望者も少ないです。自宅から通学可能な範囲で考えると、選択肢は国公立が3校、私立が2校くらいでしょうか。
しかも国公立は受験日が一緒になる年が多いので、1校しか受けられません。だから、中学受験を見据えて低学年から塾通いをするという家庭はあまりいないんですよ。
―地元の公立中学校に進む子が大半でも流されず、信大附属長野中学校を目指したのですね。もともと勉強は得意でしたか?
小学校の成績は良いほうでしたが、文系科目にはそれほど興味がなく、どの教科も優秀なわけではありません。探究心は強いですが、飽きっぽくもあります。
家庭学習も小学3、4年生はZ会のタブレットコースを受講していた程度。そのため1日20〜30分、家庭でも机に向かう習慣はできていましたが、中学受験の勉強はゼロでしたので、小学校5年生からで間に合うのか、親としては心配なスタートでした。
\長野県の中学受験の特徴/

コロナ禍でも学校見学は外せない。志望校の決定は小学校6年生の6月
―志望校選びは、親子でどのように進めましたか? 最初から信大附属長野中学校の一択でしたか?
いえ、最初から信大附属長野中学校に決めていたわけではありません。受験が可能な中学校はすべて同じように検討してから、選びたいと。特に息子は学校見学を重視していましたが、コロナ禍もあって志望校選びを進めるのが大変でした。
親子で一緒にネットで情報収集はしていましたが、現地での学校見学が再開されたのは小学校6年生になってから。志望校によって大きく入試形式が違うため、早く決めてくれないと間に合わないと塾からは心配されました。
―それは大変でしたね。学校見学はいつ再開されたのですか?
学校見学が再開されたのは、小学6年生の6月です。長野県屋代高等学校附属中学校(以下、屋代中学校)、長野市立長野中学校、信大附属長野中学校の国公立3校と併願校にした私立1校に伺うことができました。
親子で心待ちにしていた学校見学でしたから、それぞれ授業参観や校内見学にもしっかり参加して、授業の様子や生徒たちの雰囲気などを肌で感じてきましたね。
―学校見学後、どのような点を重視して、信大附属長野中学校を第一志望に決めたのですか?
カリキュラムや校風などから、息子は信大附属長野中学校か屋代中学校のどちらかを選ぶのではないかなと思っていました。
授業参観では、信大附属長野中学校の生徒たちは静かで落ち着きがあり、優等生タイプに見えました。屋代中学校の生徒たちは活気があって明るく、小学生にも声を掛けてくれるなどフレンドリーな印象を受けましたね。
4校の見学を終えたとき、息子が「俺は真面目に勉強したいから信大附属長野中学校にする」と志望校を決めました。親から見ると、校風でいえば屋代中学校のほうが向いてるように感じましたが、入試形式は信大附属長野中学校のほうが相性良く、親も塾もホッとしたのを覚えています。何しろ、志望校対策を半年でしなければいけないわけですから。
―県立の屋代中学校と国立の信大附属長野中学校とでは、かなり入試形式が違うのですね?
屋代中学校は面接と小学校の評定、筆記テスト。信大附属長野中学校は面接と作文、筆記テストという内容です。※
屋代中学校は筆記テストが適性検査型になっています。算数、国語、理科、社会の4教科を組み合わせた筆記テストは、文章や資料を正確に読み解く力が大前提になります。
それに対して、信大附属長野中学校は4科目毎の筆記テストです。 国語が苦手な息子には適性検査型の問題はあまり向いていなくて、そういう意味で信大附属長野中学校を本命にしたのは良い判断だったと思います。
―併願校は、どのような基準で選びましたか?
併願校も同じように、学校見学後に息子が選びました。私立は選択肢が2つしかありませんが、カリキュラムや校風が気に入った学校を選んでいましたね。※
―地域の公立中学校への進学は考えていませんでしたか?
もし息子が中学受験を辞めたくなったら、いつでも辞めようと夫婦で話していたので、地域の公立中学校の学校説明会や保護者会にもすべて出席しました。
先程も少しお話しましたが、私が中学受験をしたときは親が主体で、自分のために勉強しているのか親を喜ばせるために勉強しているのか、わからなかったんです。第一志望に合格したので、中学校生活は友人にも学習環境にも恵まれていたとは思いますが、受験期は辛かった。だから頑張ったうえでやめたくなったのなら、いつでも「やめていいよ」って言ってあげようと思っていました。
\志望校選びのポイント/

過去問が入手できない志望校は長年のノウハウがある塾が頼り
―塾は何年生から、どのように決められましたか?
息子が中学受験をしたいと言い出してすぐ、小学5年生の4月から信学会ゼミナールに通い始めました。うちは共働きで私もフルタイム勤務なので、送迎がなく息子だけで通える塾をいくつか選び、説明会や体験授業を経て決めました。
息子がマイペースで好きなことだけに集中しがちなので、強制的に授業が進む集団塾のほうが適していたのと、信学会ゼミナールの算数の授業が面白かったのが決め手でした。
あとは近所のママ友が紹介してくれたのも大きいですね。ママ友の子が小学校4年生から入塾していて息子とも仲良しだったので、行き帰りが一緒というのも安心でした。
―通塾は週に何回? 何科目を受講しましたか?
小学5年生のときは国語と算数を週3回、小学6年生のときは理科と社会も加え、4科目で週2回です。小学5年生のときは志望校が決まっていなかったので、適性検査コースも受講していました。
首都圏の難関中学校のように特殊算や発展問題が出題されることはないので、通塾は少なめだと思います。塾の授業が終わるのも19時で、帰宅してから夕食が食べられますからお弁当を持たせることもないです。ワーキングマザーとしては負担が少ないのがうれしいです。
―それくらいの通塾頻度であれば、塾に通わず家庭学習だけで挑むご家庭もいそうですが、実際はどうなのでしょうか?
長野でも、塾ありきで中学受験に挑むご家庭の方が多いですね。信大附属長野中学校などは過去問も販売されていないので、個人では入試対策が難しくて。
塾なら生徒たちからの「〇〇が出題された」という報告による情報の蓄積があり、頼りになると思います。
それでもやはり、入学後の保護者会などで、塾なしで受かったっていうケースもまれに聞きます。小学6年生の一学期までが試験範囲という情報だけでも合格できるお子さんもいるみたいです。
\塾選びのポイント/

読解力を短期間で上げた、親子でできる対策とは!?
―塾に通いはじめてから、いちばん伸びた科目は何でしたか?
息子は文系科目がとても苦手で、入塾前は国語と社会が足を引っ張っていました。講師の方々は息子が抱える課題を的確に指摘するだけでなく、具体的なアドバイスもくれたので取り組みやすく、国語の成績は入塾後にかなり伸びました。
―苦手な国語に対して、具体的にはどのようなアドバイスを?
とにかく読解力が足りなかったので、“問題文を読んだ後に要約を書かせるとよい”と指導をいただいて実践しました。息子は要約を書くのを面倒くさがるので、口頭で要約するやり方にアレンジして説明させました。
物語文であれば最初に登場人物を列挙させて、さらにストーリーや関係性などを話す、というように頭の中で整理する訓練をしたら、国語の点数が良くなりました。偏差値でいえば、最初は50〜53くらいだったのが、受験直前には56〜58くらいを安定して出せるようになりました。
―国語の偏差値を短期間でアップさせるのは難しいとよく聞きますが、すごいですね。
家庭学習では取り組みやすい物語文から対策するつもりでしたが、塾では説明文から始めるべきと教えられました。接続詞などで論理構造をつかみやすい説明文のほうが攻略しやすいのだそうです。やはりプロの視点が入ったほうが、早く実力が上げられるのだなと思いました。
\国語の読解力向上のポイント/

入試1か月前のパニック、息子を落ち着かせた母の声掛け
―もうひとつの苦手な科目、社会はどのように対策されましたか?
参考書をいつも傍に置いて、わからない事柄が出てきたら、その場で調べるのを徹底しました。息子は「わからない=やりたくない」に直結してしまうタイプですが、疑問を持ったらすぐに調べる習慣で、つまずいても自走できるようになりました。
―社会の偏差値も順調に上がりましたか?
それが社会の成績は最後までジェットコースター状態でした。算数と理科の成績は偏差値60を切ることはなかったですし、国語も点が取れるようになったのに、社会はテストごとに差が大きいままでした。
塾内の直前模試でも他は合格圏内だったのに、社会だけとんでもなく得点が低かったんです。塾からは合格できるかどうかは社会次第だと言われていました。
―直前の模試でも社会は苦手なまま、息子さんも不安ですよね?
入試の1か月くらい前、息子が社会の勉強をしながらボロボロと泣き出してしまったことがありました。「もうダメだ。わからない。こんなのじゃ受からない」ってパニックになってしまったんです。
―そのときはどのような声掛けをしましたか?
それなら1日3つ、山脈の名前でも歴史上の人物でも何でもいいから覚えることにしよう、とアドバイスしました。「3つを毎日欠かさずに覚えることができたら、今より100個ぐらいたくさんの武器を持って試験会場に行けるもんね」と。
―さすが中学受験の経験者ですね。達成しやすい目標を積み上げるなら、がんばれる気がします。
せめて少しでも下振れを防ごうっていう作戦ですね。
それにこの分野が苦手というだけならまだ対策しやすいのですが、息子は問われ方が違うと答えられなくなってしまうタイプで。読解力は伸びていると思っていましたが、まだ不足している面があったんだと思います。
―最後の1か月は、ほぼ社会の勉強に時間を充てたそうですね。 息子さんは自信を取り戻せましたか?
そうですね、自分で好きに選んだ3つを覚えるようにしていたら落ち着いてきました。他にも親子で一緒に社会を勉強する時間を毎日15分つくって解説したり、一緒に問題を解くようにしていたら自信も戻ってきました。
心から合格したいと思っていたから泣いたのだろうし、受験勉強を投げ出すこともなかった。社会が伸びないという壁にぶつかったことで、息子の本気度を見た気がしました。
\苦手科目でスランプになった時の対処法/

家族そろって勉強タイム、15分×6セットで集中力を維持
―受験時期の家庭でのサポート全般についても教えてください。特に心掛けたことは?
息子が勉強する時間は、家族全員で何かしら一緒に机に向かうようにしました。私は仕事に関係する資格取得の勉強、主人は読書が多かったですね。
息子はいろいろなことに興味が移って集中力に欠けるタイプなので、1セットは15分。朝食後や下校直後、夕食や入浴の前後に設定しました。息子は早起きなので朝に2セットできますし、1日6セットくらい取り組めば十分な勉強時間になりました。
―苦手科目対策以外にも、合格につながった家庭での勉強法はありますか?
息子は解き直しが嫌いなので、代わりに複数の問題集を用意して取り組んだのはよかったです。問われ方が違うと答えられないことの対策にもなりました。
4教科とも4冊ぐらいは取り組んだと思います。ひとつの問題集を何回も解くのがよいと聞きますが、飽きっぽいタイプにはこちらがおすすめです。
―息子さんはゲームが好きだと伺っていますが、受験期は禁止しましたか?
特に禁止はしませんでした。平日は1時間、休日は2時間というルールに沿って気分転換もしたほうがいいと思っていましたから。
ただ入試直前で焦っていたときに、息子本人から「ゲーム隠して」と言われたことがありました。
\集中力を維持するポイント/

中学受験を経て、自分を律し先を見通せるようになった息子

―受験本番はどのような日程だったのでしょうか?
息子が受験した2023年は、第一志望の信大附属長野中学校の入試が11月25日と早めでした。例外的に屋代中学校と入試日が異なり併願も可能でしたが、息子は信大附属長野中学校の対策で精一杯。信大附属長野中学校と私立1校を受験しました。
―入試本番の日は、どのように送り出されましたか?
実は祖母の家から試験会場に向かうことになってしまい、当日は私が送り出してあげることができなかったんです。
本番の1週間前に娘がインフルエンザに罹患してしまったので、夫と息子には祖母宅に避難してもらったんです。
―インフルエンザとは大変でしたね。
入試前は小学校を休ませる家庭も多いですが、わが家はいつもどおりの生活がよいかと思って通わせていました。結果としては、信大附属長野中学校も私立も、無事に合格をいただけたので良かったですが、当時は休ませておけばと後悔しました。
実際、小学校の同級生にはインフルエンザで入試が受けられなかった子もいたんです。
―中学受験を終えて、息子さんの成長を感じることはありますか?
中学受験を通して息子が身に付けたのは「先を見通す力」でしょうか。実は小学6年生の夏に模試の結果が良くて油断してしまい、追い上げてきた子たちに抜かされてしまった苦い経験をしています。
それまで場当たり的な行動が多くて、「なぜ今それをする!? 」と親が頭を抱えることがありました。小学生男子のあるあるだと思いますが、中学受験を経験してからは、夢中になる前に一度立ち止まって、その後の影響を考えるようになりました。
―そうした成長を経て、息子さんの中学校生活はいかがですか?
信大附属長野中学校は、教科書をあまり使わないレポート提出の授業が多く、息子が望んでいた「たくさん考える」ことができる学習環境だと思います。
何ごとにも一生懸命で真面目な生徒ばかりなので、充実した毎日を送っています。修学旅行や学習発表会なども生徒の自主性に任された運営が多いです。
工学や数学、芸術などを横断的に学び、考える力を育成する「STEAM教育」にも熱心なので、生徒たちの発表を見ていても興味の範囲が広くて深いなと感心することが多いです。
\中学受験を経て、息子が成長したポイント/

取材後記
高校や大学受験に比べ、小学生が挑む中学受験はどうしても家庭のサポートが成功の鍵になりがちです。だからこそ親にはプレッシャーがかかるし、巷にはたくさんの家庭学習法が溢れているし、「いったい何が最適解なのか?」とヤキモキすることが多いですよね。
勉強時間の設定から問題集の選び方、苦手科目の克服法、スランプ時の工夫まで、いつも息子さんに寄り添って考え、アレンジしていた田中さん。合格へとつながるのは、こうした子どもにとっての“快適解”を一緒に見つけてあげることなのかもしれません。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
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