2024/04/30
公開

退塾する理由1位は「子どもが嫌がるようになったから」。1年以内で塾をやめるのはリサーチ不足が原因かも

塾選びは子どもの学習環境を大きく左右します。なかには、塾選びがうまくいかなかった結果、短期間で塾をやめることになるケースも見られます。入塾してすぐに塾をやめるのは、保護者の経済的な負担が大きくなるだけではなく、子どもの学習にとっても無駄な遠回りをさせてしまいかねません。できることであれば、お子さまにあった環境で長く学び続けられるのが理想です。今回、『塾選』編集部では「退塾に関する調査(※)」を実施。なぜ退塾することになったのか、すぐに塾をやめた人にはどのような傾向があるのかを調べました。「せっかく塾に通い始めたのにすぐやめてしまった」とならないように、塾選びで注意すべきポイントについても解説します。

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退塾理由1位は「子どもが嫌がるようになったから」。1年以内にやめる人ほど塾に不満を感じている

今回は、中学受験・高校受験・大学受験それぞれで、受験を終える前に塾をやめた経験がある子どもの保護者を対象に退塾についてのアンケートを実施しました。

まず退塾した理由の第1位は「子どもが嫌がるようになったから」で、全体の約27%を占めました。次いで「習い事や部活、学校行事と両立できなくなったから」が約14%、「進路を変更したから(受験をやめた、志望校が変わったなど)」と「学校のテストの点数が上がらなかったから」の2つが各10%で同率3位という結果に。

2位の物理的に両立が難しくなったケースや、3位の目標が変化したり成果が出なかったりというケースは退塾理由としてわかりやすいですが、「子どもが嫌がるようになったから」が1位になったのは意外な結果でした。塾はあくまでも勉強をしにいく場所ですが、通い続ける上では学習の成果面だけではなく、子どもが感情的に「嫌がらない」塾を選ぶことの重要性も浮き彫りになりました。

また、入塾後1年以内でやめた人にはさまざまな傾向が見受けられました。「入塾後の満足度」の質問では、1年以内にやめた人は入塾後に不満を感じている割合が多く、約39%に上ります。一方、1年以上通っていた人では不満を感じている人の割合は約14%と、明らかな差が出ていました。

上記の結果からは、1年以内に退塾した人は入塾後早い段階から不満を抱いている割合が多く、子ども自身も塾を嫌がっている可能性があるといえます。

1年以内で退塾する人は「仲の良い友人が通っているから」で塾を選びがち。入塾前のリサーチ不足も顕著に

ではなぜ、1年以内で退塾した人は入塾前と後でギャップを感じやすく、子どもも塾を嫌がる傾向があるのでしょうか?入塾理由に対する回答を細かく見ていくと、その原因が見えてきました。

1年以内で退塾した人と、1年以上通い続けた人の入塾理由を比較すると大きな違いがあります。どちらも「近くて通いやすそうだったから」が多く、それ以外の理由もまんべんなく挙がっているなかで、1年以内に退塾した人では第1位が「子どもの仲の良い友人が通っていたから」で約26%を占めていました。1年以上通い続けた人では、同じ理由が約3%であることと比べると大きな開きが見られます。

また、1年以内で退塾した人には、事前に十分なリサーチをしていない傾向があることもわかりました。1年以内に退塾した人の約43%は、入塾前に十分なリサーチをしていません。これに対して、1年以上塾に通っている人の中では、入塾前にリサーチをしていない人の割合が約14%に留まっています。

リサーチした人の情報源についても興味深い傾向が見受けられました。1年以内に退塾した人のなかで、事前にリサーチをしていた人が参考にしている情報源は「友人知人の口コミ」を重視する傾向に。一方、1年以上塾に通い続けた人は、友人知人の口コミよりも、塾のホームページや塾の情報サイトなど、さまざまな情報源を活用して塾選びを行なっています。1年以内に退塾した人は事前のリサーチが不足しているほか、情報源も友人知人の口コミに依存していることがわかりました。

これらのアンケートの結果から、「仲の良い友人が通っている」という理由で塾を選び、事前のリサーチが甘いと、結果的に入塾後に「こんなはずではなかった」と不満が大きくなり、子どもも相性があわずに通うのを嫌がるようになっていく背景が見えてきます。

「こんなはずじゃなかった」と退塾することがないように!塾を選ぶときに注意したい4つのこと

「子どもが塾に行くのを嫌がるようになったから」という理由で早期に退塾することのないように、事前に様々な情報源から情報を集め、塾選びの段階で塾と子どもの相性を見るなど、安心して通える環境かどうかを見極めることが大切です。

では、具体的にどんなことに気をつければいいのでしょうか。塾選びで注意するべき4つのポイントに分けて紹介します。

1.「仲の良い友人が通っているから」だけの理由で選ばない

まず一つ目に挙げるのが、「仲の良い友人が通っているから」という理由だけで塾を選ばないことです。塾に通うときは仲の良い友人がいるほうが子どもにとっては心強いものです。また、先に通っている子であればいろいろと情報も聞けるので安心感があるかもしれません。しかし、仲の良い友人が通っているのも、知り合いから情報を得られるのも、子どもと塾の相性がよいかどうかとは別の問題です。

2.体験授業を通して、授業の進め方やカリキュラムの相性を確認する

塾を選ぶときに大事にしてほしいのは、「塾と子どもの相性」です。特に、授業の進め方やカリキュラムが子どもに合っているかどうかは重視したいポイントです。子ども一人ひとりは理解力や興味、学習ペースなどが違います。その子どもの特性に合わせた授業の進め方やカリキュラムが提供されているかを確認するようにしましょう。授業がわかりやすいか、子どもが興味を持てる教材を使用しているか、子どもが先生とコミュニケーションをとれそうかなどは、塾で説明を聞いただけでは判断が難しいかもしれません。そのため、体験授業が用意されている塾の場合は、まず入塾前に体験授業を受けることをおすすめします。体験授業を受けた子どもから感想を聞き、その様子から相性を判断するとよいでしょう。

3.講師のタイプや塾の雰囲気を確認する

カリキュラムと同じように、「講師と子どもの相性」も重要です。講師の指導スタイルや性格が子どもに合っているかを確認し、子どもが学習に対するモチベーションを保てる環境を選びましょう。こちらも体験授業などを通じて、講師の指導方法や人柄を確認し、子どもが快適に受け入れられるかどうかを見極めてください。ただし、通っているうちに講師が交代することは往々にしてあります。一人の講師だけではなく、ほかの講師や塾長の雰囲気が子どもと合っているかどうかという観点もチェックするようにしましょう。

4.複数の塾を比較して選ぶ

最後にお伝えしておきたいのは、「複数の塾を比較する」ということです。誰かから紹介されたり、家から近かったりという理由だけで一つの塾しか見てないと、その塾の良い点ばかりが目立ってしまいます。気になる点も比較対象がなければ仕方がないと受け入れることにもなりかねません。いくつかの塾を比べることで、それぞれの塾の強みと弱みが際立って見えてくるので、どこが子どもの性格や勉強スタイルにあっているのかを見極めやすくなります。

まとめ

1年以内に退塾する人の約4割が入塾後に塾への不満を感じていたこと、また退塾につながった不満の理由として最も多かったのが「子どもが嫌がるようになったから」でした。また、「仲の良い友人が通っているから」という理由で塾を選んだり、事前のリサーチをおろそかにしたりすることがミスマッチの原因になっていることも見えてきました。子どもが安心して継続的に塾に通えるように、しっかりと情報収集をしたうえで塾選びをすることの重要性が浮き彫りになったといえます。「入塾したのにすぐやめてしまった」とならないように、ご紹介したポイントも参考にしながら塾選びをしてみてください。

※アンケート調査概要 調査対象:子どもが「塾をやめた経験」をもつ保護者(有効回答数65名) 調査時期:2024年2月 調査機関:自社調査 調査方法:インターネットによる任意回答 調査内容:退塾に関する調査 ※掲載しているグラフや内容を引用する場合には、「塾選調べ:退塾に関する調査」と明記してください。

 

▼参照リンク
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塾選(ジュクセン)編集部

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塾選(ジュクセン)編集部です。実際に学習塾の運営経験がある者や大手メディアの編集経験がある者などで構成されています。塾選びにお悩みの保護者や学生の方に向けて有益な情報をお届けします。

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