くもんと塾の違いは?特徴や費用、どっちに通うべきかなど解説
編集部
塾選(ジュクセン)編集部
本記事ではくもんと塾の違いについて徹底解説しています。それぞれの特徴や費用、メリット・デメリットも紹介。また現在くもんに通っている場合、学習塾への切り替えるタイミングや併用するのはありかどうかについてもまとめています。
全国に教室を展開していて、小学生でも通いやすい公文式。一方で、小学生向けの塾には様々な種類があり、くもんと塾のどちらに通わせるべきか迷っている保護者も多いでしょう。
くもんと塾のどちらが良いかは、通う目的や子どもの学年などによって異なります。
本記事では、くもんと塾の特徴や費用の違い、メリット・デメリットなどについて、ポイント別にわかりやすく解説します。
くもんと塾の違いを正しく理解して、どのように使い分けるべきか、自分の子どもがどちらに通うべきかを判断しましょう。
くもんと塾の大きな違いとは?
まずは、くもんと塾で、どんなところが大きく違うか見てみましょう。
くもん | 塾 |
---|---|
・幼児や低学年から始められる ・計算や漢字、英語の単語など基礎学力育成がメイン ・自習が中心 ・月謝制で比較的リーズナブルに始められる |
・学力向上や受験対策向け ・子どものタイプに合わせて授業や形式を選べる ・講師が授業をしてくれる ・教材費や特別講習などで費用が高くなりがち |
くもんではプリントなどを使った自学自習で、計算力や語彙力などの基礎学力を伸ばすことができます。
一方、塾では講師が授業をしてくれるので、学校の学習内容に沿った着実な学力アップや専門的な中学受験対策が期待できる点に違いがあります。
くもんと塾はどっちがいいのか
くもんと塾のどちらがいいのかは、通わせる目的や子どもの学年・タイプなどによって異なるので一概にはいえません。住んでいる地域にくもんの教室や塾があるか、また費用面でどこまで許容できるかなどによっても違ってくるでしょう。
くもんと塾の特徴や費用の違い、メリット・デメリットなどを正しく理解して、家庭の事情や通わせる目的などを考慮して総合的に判断することが大切です。
くもんとは?費用やメリット・デメリット
くもんとは、全国に約15,000教室を展開する子ども向けの学習教室です。
独自の学習方式「公文式」は算数・英語・国語、すなわち「読み・書き、計算、英語力」の基礎学力を、プリントなどの教材を使って自学自習形式で個人別に伸ばしていく方法です。
日本では60年以上の歴史があり、英語圏からスペイン語圏・中国語圏と幅広く海外でも教室を展開しており、全世界の学習者数は400万人を超えています。(※引用元:公文教育研究会-企業情報世界へ広がった経緯)
また、くもんでは教室学習に加えてオンライン学習を組み合わせることも可能です。教室学習時に受け取ったプリントなどの教材を使い、自宅のパソコンでZOOMにログインして、教室の講師にわからないところを聞いたり相談したりすることができます。
くもんの特徴や費用相場
くもんの主な特徴を挙げると以下のようになります。
・公文式の独自教材
・基本的に自学自習で教室数が多い
くもんの大きな特徴は、公文式の独自教材で子どもが自学自習するスタイルをとっているところです。「スモールステップ」と呼ばれる方法で、やさしい問題から高度な問題へと子どもの学習レベルにきめ細かく合わせた教材により、子どもが問題を解いていくだけで自然と基礎学力がアップするように工夫されています。
公文式の教材は、学校の学習フォローや受験対策ではなく、「読み・書き、計算、英語力」の基礎学力を伸ばすことを目標としているのもポイントです。基本的にプリントなどの学習教材による課題が与えられ、子どもがそれを自分で解いて提出します。
また、くもんの講師は課題の管理や採点、わからない問題の指導などはしてくれますが、授業は行いません。授業がないので小規模の教室でも学年関係なく通うことができ、全国で15,000を超える教室があります。
費用相場については、入会金や年会費は不要で、幼児・小学生の月謝については東京都・神奈川県とそれ以外の地域で以下のように分かれています。
東京都・神奈川県の教室 | 7,700円 |
---|---|
それ以外の教室 | 7,150円 |
英語の学習開始時のみ専用リスニング機器(6,600円)の支払いが必要ですが、それ以外は月謝に教材費なども全て含まれています。
月謝以外は基本的に費用がかからないので料金体系がわかりやすく、年度途中の開始や中断もしやすいのがくもんの特徴です。
くもんのメリットやデメリット
「やってて良かったくもんしき」のCMでお馴染みのくもんは、子ども4人を東大に合格させたことで有名な「佐藤ママ」もおすすめしていると評判です。
一方で、ネットで検索すると「やらなきゃよかった公文式」などと、批判的なコメントや評判も多く出てくるので、「くもんって本当にいいの?」と混乱してしまう人もいるかもしれません。
くもんにはメリットもあれば、反対にデメリットもあります。まずは、くもんのメリットとデメリットを理解しましょう。
くもんのメリット
くもんの主なメリットには以下のようなものがあります。
・計算力など基礎学力がつく
・教室が多数あり通いやすい
・先取り学習がしやすい
・自習ベースなので学習習慣が身につく
・入会金や年間教材費などが不要
公文式の学習方法は、計算や漢字・語彙など基礎学力がつくように工夫されています。特に算数では、同じような問題を繰り返し解かせるので、計算スピードや正確性がアップすると評判です。
また小規模の教室を多数展開しているので、住宅街にまで教室があり、小学生の子どもでも通いやすい点もくもんの大きなメリットです。
低学年のうちは、学校以外の場所に子どもだけで通わせるのは不安があっても、くもんなら居住する場所のすぐ近くに教室があるので安心です。くもんの教室は全国に15,000校以上あり、公式HPで住所や郵便番号から近くの教室を探すことができるので、興味がある人は確認してみましょう。
くもんは基本的に全学年共通で教室や教材を使用しており、課題をこなせばどんどん先に進むことができるのもポイントです。早く始めれば始めるほど先取り学習ができ、学校の授業の理解度が高まり、子どもが自信を持つことにつながります。
また基本的に自分でプリントを解いて自学自習するスタイルなので、学習習慣が身につきやすいというのも、くもんの人気の理由の一つです。
月謝は教材費込で、入会金や年間教材費などが不要なので学費がリーズナブルな点や、1科目から費用を抑えて手軽に始めることができる点などもメリットといえるでしょう。
くもんのデメリット
一方、くもんのデメリットを挙げてみると以下のようなものがあります。
・必ずしも学校の成績アップにはつながらない
・中学受験には不十分なケースもある
・教室や講師によってクオリティに差がある
・宿題が多く、場合によっては家庭でのフォローが必要
・時間ベースや科目数によっては割高になる
くもんの学習方法は、計算力や漢字の読み書きの力などはつきますが、必ずしも学校の成績アップにはつながらないことがあります。
小学校の成績は、普段の授業の参加意欲や理解力など、テストの点数だけでなく総合的に判断されます。計算スピードが速いことや漢字が正確に書けることは、部分的な加点にしかならないので注意が必要です。
同じ理由で、くもんは中学受験対策としても不十分な場合があります。中学受験の算数では機械的な計算問題よりも、発展的な文章問題や図形問題など応用力が問われる問題が多く出題されます。国語も漢字や語彙力だけでなく、深い読解力が試されるような問題が出題される学校の受験では、塾などで専門的な指導や演習を受けた方が良いでしょう。
また、わからない問題は教室の講師に教えてもらうこともできますが、フランチャイズ形式なので、教室や講師によって指導のクオリティにかなり差があります。くもんの講師は、主婦などのパートの人が採点を中心に行っている場合が多く、専門的な指導を行う塾の講師とは違うことを理解しておきましょう。
さらに、くもんのメリットは学習習慣が身につくことですが、幼児や小学校低学年のうちは宿題を自分一人でやるのは難しいので、家庭でのフォローが必要になります。くもんは宿題が多いので、家庭で保護者が声掛けをしたり解き方を教えたりする必要が出てきて、意外と家庭でのフォローの負担が大きくなりがちなこともデメリットの一つです。
最後に、シンプルでリーズナブルな料金体系が魅力のくもんですが、時間ベースで考えたり科目数が増えたりした場合は、塾と比べて割高になるケースもあるので注意してください。
例えば、くもんの公式HPを見ると小学校低学年の場合の勉強時間は、開始直後では30分程度が限界とあります。塾の1コマあたりは60分を超えるケースが多いので、時間ベースで比較すると、くもんの月額料金が際立ってリーズナブルとはいえない可能性もあります。
塾とは?費用やメリット・デメリット
ここでいう塾とは、受験対策や学校の授業のフォロー、また学力アップのための指導や授業を行うところをいいます。中学受験者数の増加などの影響により、小学生から学習塾に通う人の割合は年々増加しています。
小学生向けの学習塾は、主に二つのタイプに分かれます。
・集団授業方式
・個別指導方式
集団授業方式は、講師1人につき複数の生徒で授業を行い、カリキュラムやテキストも塾が用意したものを共通で使用します。
個別指導方式は、講師1人につき生徒が1~2人(多くて3人)で指導を行い、生徒の学習習熟度やタイプに合わせて柔軟にカリキュラムを組めるのが特徴です。
塾の特徴や費用相場について、集団授業方式と個別指導方式に分けて詳しく見ていきましょう。
塾の特徴や費用相場
塾の主な特徴を、集団授業方式と個別指導方式に分けて整理してみると以下のようになります。
集団授業 | 個別指導 |
---|---|
・プロの講師による質の高い授業 ・同学年の友達から刺激を受けられる ・コミュニケーションが苦手な子どもには不向き ・授業についていけないケースもある ・振替などが大変 |
・講師によるきめ細かい指導 ・子どもの性格や学習レベルに応じた指導 ・振替やスケジュール調整がしやすい ・自学自習の習慣がつきにくい |
費用相場については、塾や地域によって大きく異なりますが、一般的には集団式の方が授業料が安く、個別式の方が講師の数なども必要なため、授業料が高くなる傾向にあります。
ここでは、小学生向けの塾で最もメジャーな集団授業方式の日能研と、個別指導方式の明光義塾の授業料を紹介します。
日能研の授業料
学年 | 2科目 |
---|---|
小学3年生(70分×週2コマ) | 11,440円 |
小学4年生(70分×週3コマ) | 17,160円 |
小学5年生(70分×週4コマ) | 21,340円 |
小学6年生(70分×週5コマ) | 26,400円 |
その他、入会金(11,000~22,000円)、教材費(14,740~24,541円)、副教材費・テスト代などが別途必要です。
明光義塾の授業料(東京都の場合)
学年 | 週2コマ(90分) | 週3コマ(90分) |
---|---|---|
小学1~4年生 | 22,000円 | 30,800円 |
小学5年生 | 24,200円 | 34,100円 |
小学6年生 | 26,400円 | 37,400円 |
授業料以外に諸経費、教材費などが別途必要です。
塾のメリットやデメリット
小学生向けの塾には、集団授業方式と個別指導方式だけでなく、様々な種類があります。
中には、5名以下の少人数制集団授業方式をとっているところや、時間によって集団授業と個別指導の両方を受けられるところなどもあり、ニーズや目的に合わせていろいろな選択が可能です。
塾の目的は学校の成績アップや受験対策にあり、くもんとは目的や性格が根本から違っています。塾のメリットとデメリットを、くもんとの比較の観点から、見ていきましょう。
塾のメリット
塾のメリットを挙げると以下のような点が考えられます。
・確実な学力アップにつながる
・中学受験のための専門的な対策ができる
・理科や社会、英語検定や漢字検定などの対応が可能なところもある
・集団授業の場合、競争心や周囲からの刺激でモチベーションが上がる
・個別指導の場合、子どもの理解度に合わせたきめ細かな指導が受けられる
・授業以外のフォローが充実している
塾のメリットは、学校での成績や受験対策につながるような学力アップを図れる点です。学年とは関係なく基礎学力を伸ばすくもんとは違い、学校の教科書や学年・子どもの学習レベルに応じたカリキュラムで指導が受けられます。
中学受験を考えている家庭にとっては、中学受験のための専門的な対策を行ってもらえる点は塾の大きなメリットといえるでしょう。また、くもんの対応教科は算数・国語・英語のみですが、塾の場合は5教科対応、さらに英検や漢検など検定試験対応を行っているところも多くあります。
集団授業方式の塾の場合、同学年の友達と授業を受けるので、競争心や周囲からの刺激でモチベーションアップにつながります。一方、個別指導の場合には、生徒の性格やタイプに合わせて講師を選び、学習レベルや習熟度に合わせて講師がきめ細かな指導をしてくれる点が魅力です。
さらに受験に関する情報を教えてくれたり、家庭学習や自主学習のための指導を受けられるなど、授業以外のフォローが充実している点も塾のメリットです。塾の中には、講師とは別にチューターや社員が生徒の自習をフォローしてくれたり、自習室や休憩室のスペースが充実しているところも多くあります。
塾のデメリット
一方、塾のデメリットにはどんなものがあるでしょうか。
・場所が駅前や中心地に限定されていることが多い
・保護者の送迎の負担が大きい
・月額の受講料以外にも費用が発生
・子どもの自習については家庭でのフォローが必要
・曜日や時間枠の制限が発生
塾は多くの生徒を集める必要があるため、どうしても場所が駅前や繁華街などにあることが多いです。そのため、特に小学校低学年のうちは子どもだけで通塾するのは難しいケースが多いでしょう。
中学年以上になっても、授業の終了時間が遅くなるので帰りは迎えに行く必要があるなど、住宅街に多く教室があるくもんと比べて、保護者の送迎の負担が大きくなりがちなのが塾のデメリットです。
また、くもんは月謝制のシンプルな料金体系ですが、塾の場合は月額の授業料とは別に、入会金や年会費・教材費などが別途かかることが多いので注意しましょう。特に受験専門の集団塾は、追加の季節講習や模試などの費用がかさむ傾向にあります。事前に授業料以外の費用がどれくらいになるのかよく確認してください。
塾は質の高い授業が受けられる代わりに、子どもが受け身の体勢になってしまい、宿題や自習については家庭のフォローが必要になる可能性があります。
最後に、くもんは学年など関係なく好きな時間に通うことができますが、塾の場合は曜日や時間枠の制限を受けます。振替や他の用事との融通が利きにくいという点も、デメリットといえるでしょう。
くもんと塾を併用するのはあり?
くもんと塾のどちらが良いか悩んでいる方の中には、くもんと塾の併用を考えている方も多いと思います。
先述したように、くもんと塾ではそもそもの目的が違うため、目的がはっきりしている場合はそれぞれのメリットとデメリットを考慮して、片一方を選択すれば良いでしょう。
また、くもんと塾を併用するのが良いケースは、例えば以下のような場合です。
・小学1・2年生で学習習慣がほとんど身についていない場合
・中学受験を考えているが、基礎学力に自信がない場合
・自宅近くにくもんがあり、塾の送迎には負担が大きい場合
小学校低学年で学習習慣がほとんど身についていなかったり、いきなり長時間座って授業を受けるのは難しい場合などは、くもんで自学自習のトレーニングを積みながら、塾は週1コマや短時間の授業から始めると良いでしょう。
中学年以降も、中学受験を考えているが計算スピードなどの基礎学力に自信がない場合は、塾のフォロー的な位置づけで、基礎学力を伸ばすくもんに通わせるという方法が考えられます。
また、くもんは自宅近くにあるため子どもだけで通うことができるが、塾の教室は遠方にあり送迎などの負担が大きくて頻繁には通えないというような場合も、くもんと塾を併用すると良いかもしれません。
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現在くもんに通っている方|塾に切り替えるタイミングは?
現在くもんに通っている方が塾に切り替えるタイミングは、中学受験の受験校の難易度や子どもの学習レベルに応じて判断します。
基本的には、難関中学の受験を考えている場合は、小学3年生、遅くとも4年生までには塾に切り替えた方が良いでしょう。中学受験対応を専門とする塾では、人気の高いクラスは低学年から中学年のうちから入塾しないと定員オーバーで入れなかったり、入塾時の学力テストで振り分けが決まってしまったりするケースがあります。
学校の勉強をフォローしたい場合や、難関校狙いではないが中学受験の予定がある場合などは、勉強の難易度が高くなってくる小学4~5年生あたりで、子どもの成績や学習レベルを見ながら切り替えるタイミングを判断しましょう。
まとめ
くもんと塾、それぞれの特徴や費用の目安、メリット・デメリットなどについて解説しました。
くもんには、長年の実績がある良質な公文教材で子どもが自分で勉強できる、教室がたくさんあって通いやすいなど、たくさんのメリットがあります。一方で、早いうちから中学受験の対策をしたい場合や、きめ細かな個別指導を受けたい場合などは、くもんより塾の方が適しているといえるでしょう。
くもんと塾では目的が異なるので、それぞれの特徴やメリット・デメリットを踏まえたうえで、ニーズや家庭の事情に合わせて最適な方法を選択できると良いですね。
執筆者プロフィール
塾選(ジュクセン)編集部です。実際に学習塾の運営経験がある者や大手メディアの編集経験がある者などで構成されています。塾選びにお悩みの保護者や学生の方に向けて有益な情報をお届けします。