高校受験と大学受験は何が違う?今から知っておきたい4つの違いを現役塾講師が解説!


編集部
塾選ジャーナル編集部

ひのき進学教室 三軒茶屋校講師
大山雅司
高校受験を経験したから「大学受験も同じように進めれば大丈夫だろう」と思っている方はいませんか?実は、この2つにはさまざまな違いがあります。今回は、これから大学受験を目指す新高1生に向けて、高校受験と大学受験の違いについて解説。その違いを理解して、高1のうちから大学受験に向けて準備をしていきましょう。
高校受験と大学受験の違い
高校受験と大学受験は、試験科目の数やライバルの範囲、入試方式など、さまざまな点で異なります。まずは以下の図で、それぞれの違いを具体的に比較してみましょう。
高校受験 | 大学受験 | |
---|---|---|
① 勉強量 | 定期試験:9科目 受験科目:5教科5科目 |
定期試験:およそ13科目 受験科目:6教科8科目 (一般的な国公立大学の場合) |
② ライバル | 都道府県内と近隣地区の同年代 | 全国の現役生と浪人生、その他大人 |
③ 入試方式 | ・一般入試 ・推薦入試 |
・一般選抜学校 ・学校推薦型選抜 ・総合型選抜 |
④ 受験参考書 | ほとんどない | ラインナップが豊富 |
①科目数が増えて勉強量・難易度が上がる
定期試験科目は9科目からおよそ13科目へ
高校の定期試験は、中学校の9科目からおよそ13科目に増え、難易度も格段に上がります。科目数が増えたことで、試験直前の2週間だけ勉強しても間に合わなくなるのが高校のテストです。
中学校では「2週間しっかり勉強すれば何とかなった」「試験前の一夜漬けで乗り切れた」という人も、高校では同じやり方が通用しないケースがほとんどです。授業でわからないことがあっても、「試験前にまとめて復習すれば何とかなる」と後回しにするのは危険。高校の定期試験対策は中学校とは別物だと心得て、日々の学習を積み重ねることが重要になります。
受験科目は5教科5科目から6教科8科目へ
高校受験では5教科5科目だった受験科目が、大学受験では6教科8科目(一般的な国公立大学の場合)に増えます。さらに、1科目あたりの出題範囲も大幅に広くなるため、求められる知識量は高校入試の約3倍とも言われています。
受験科目
高校受験 | 大学受験(一般的な国公立大学) |
---|---|
5教科5科目 | 6教科8科目 |
大学受験の科目イメージ(国公立大学 文系の場合)
共通テストの科目 | 外国語/数学ⅠA/数学ⅡBC/国語/地歴公民(2科目選択)/理科/情報 |
---|---|
二次試験の科目 | 以下より2~3科目を選択 外国語/数学ⅠA・ⅡBC/国語/地理歴史 |
大学受験の科目イメージ(国公立大学 理系の場合)
共通テストの科目 | 外国語/数学ⅠA/数学ⅡBC/国語/地歴公民/理科(2科目)/情報 |
---|---|
二次試験の科目 | 以下より2~3科目を選択 外国語/数学ⅠA・ⅡBC・Ⅲ/国語/理科 |
高校スタート時点での勉強のポイント
大学受験を見据えると、高校3年生になった時点で英語・数学・国語の大学入試の過去問に取り組める状態を目指すのが理想です。そこで、高校1年生(高校スタート時点)での英語・数学・国語(古典)の勉強のポイントを紹介します。
高校スタート時点での学習のポイント | |
---|---|
英語 | 英単語の暗記を早めに進める |
数学 | 授業の内容を確実に理解、先取り学習を進める |
国語(古典) | 活用法を早めに暗記する |
英語は、英単語だけを見ると、大学受験に必要な英単語は高校受験より3倍以上に増えます。英単語の暗記は自分のペースで前倒しできるため、早めに取り組むのがポイントです。
数学は、中学の数学が基礎となり、より難易度が上がるうえ、授業の進度も速くなります。授業で習った内容を分からないまませず、確実に理解しながら基礎を積み上げていくことが大切です。塾や映像コンテンツを活用し、先取り学習ができるものは積極的に進めましょう。
古典は、高校1年生の早い段階で「活用法」が登場します。ここでしっかりと活用法を覚えておかないと、その後の学習に影響するため、早めに覚えて身につけておくのがおすすめです。
勉強についていけない人はいない
高校の勉強についていけるか不安に感じる人もいるかもしれません。特に、高校受験時に「ギリギリで合格した」と思っている人は、「授業についていけるだろうか…」と心配になることもあるでしょう。
しかし、安心してください。一般入試でも推薦入試でも、高校に合格した時点で十分な実力を持っています。勉強についていけなくなる原因の多くは、学力不足ではなく、部活動などに夢中になり、勉強を後回しにしてしまうことです。
授業についていけなくなり、試験前の復習だけで何とかしようとすると、取り戻すのが難しくなります。高校では、日々の授業をしっかり理解し、コツコツと学習を積み重ねることが何より大切です。
②ライバルが増える
ライバルは全国、中高一貫の高校生や、大人たちまで
高校受験は基本的には地元公立中学校に通ってる人たちのみがライバルでした。一方の大学受験は、全国の高校生たちがライバルになり、その中には中高一貫校の生徒も入ってきます。さらに、受験勉強に専念している浪人生や一般の社会人も加わるため、競争は激化します。
ライバルの増加に伴い、受験の倍率も高くなります。大学入試では倍率が5倍、人気大学では10倍以上になることも珍しくありません。
高校受験組の強みは「英語」、要注意は「理数系」
ライバルが増えて入試の倍率も上がって…と紹介してきましたが、ここでは高校受験を経験した方たちの強みをお伝えします。都立高校では令和4年度に新学習指導要領が実施されて以降、英語の難易度が年々上がっています。それを乗り越えた受験生たちは英語のレベルが上がっていることが考えられます。その知識を元に高校でも確実に勉強を積み重ねれば、実力がさらに上がって得意教科にもなり得る可能性がありますので、そのまま実力を伸ばしていくといいでしょう。
一方で注意が必要なのが、理数系の科目です。中高一貫校の生徒は進度の速いカリキュラムで学習しており、高校受験組と比べて先に進んでいるケースが多いです。そのため、高校入学後は理数系の学習を意識的に強化し、必要に応じて先取り学習を進め、差分を埋めることが重要になります。
③入試方式や志望校の選び方が違う
大学入試方式の種類
大学入試には、大きく分けて以下の3つの方式があります。
一般選抜入試 | 学校推薦型選抜入試 (指定校推薦/公募推薦) |
総合型選抜入試 | |
---|---|---|---|
内容 |
入試問題を解いて合否が決まる |
【指定校推薦】高校1年の1学期~高校3年の1学期までの成績の平均が、大学の学部・学科の定めた平均をクリアすること。高校内で学内選抜がある。 | 大学によって選考方法は異なるが、一般的に志望理由書・調査書などの書類選考、面接、小論文によって選抜 |
【公募推薦】大学が定めた評定平均などの出願条件を満たす「公募制一般推薦」と、スポーツ・文化活動・取得資格などが条件となる「公募制特別推薦選抜」がある。いずれも校長推薦が必要で、高校ごとに出願数制限がある場合は学内選抜が行われることもある。 |
文部科学省の令和4年度大学入学者選抜実態調査によると、一般選抜入試以外で入学する生徒が半数以上にのぼりますが、中堅以上の普通科の高校に通っている場合、主流となる受験方式は一般選抜入試だと考えていいでしょう。
学校推薦型選抜入試は、高校一年次の一学期の成績から含まれるので、最初の学校の成績から意識を向けておく必要があります。
総合型選抜入試は、学力試験だけでなく、志望理由書・面接・小論文などを通じて受験生の適性や意欲を評価する入試方式です。学力以外の能力や個性が重視され、大学ごとに選考基準が異なります。
志望校の選び方の違い
高校入試では偏差値や内申点を見ながら志望校選びをしたと思いますが、大学選びは基本的に学部選びから始めます。どんな分野を学びたいか、就きたい職業のための必要な資格が取得できる学部はどこか、などを踏まえて大学を絞り込んでいきます。高校1年生のうちから「自分が何を学びたいのか」を意識し始めることで、志望校選びがスムーズになり、将来の選択肢も広がります。
④受験参考書の種類が圧倒的に多い
参考書を「買って満足」に要注意
高校受験では塾用教材が中心でしたが、大学受験では膨大な種類の参考書が揃っています。新しい参考書を選んで買うと、それだけで勉強が進んだ気になりますが、「買って満足」になりがちなので注意が必要 です。
高校1年生のうちは、「どの参考書を買えばいいのか」と迷うこともあると思いますが、まずは学校で配られた教材を活用する習慣をつけることが大切です。
具体的には、
・学校で配られた単語帳や問題集をしっかり活用し、確実に身につける
・先取り学習も、まずは学校の教材を活用する
その上で、学校の教材だけでは補えない部分が出てきたときに、用途や目的を明確にして追加の参考書を選ぶのがおすすめです。
参考書を買う場合は目的、機能性、期間を明確に
参考書を購入することは、お金と時間を投資すること です。そのため、やみくもに買うのではなく、学校で配られた教材では代用できない場合に限って購入する ようにしましょう。
参考書を選ぶ際には、以下の3点を明確にすることが大切です。
✓ 目的:何のために使うのか(基礎固め?応用力強化?)
✓ 機能性:どのような特徴があり、自分にとって使いやすいか
✓ 期間:どの時期までに終わらせるのか
例えば、
・古文の単語帳だけでは覚えにくい場合
➡ 解説が豊富でイメージしやすい参考書を選ぶ
・日本史を先取り学習したいが、教科書だけでは覚えにくい場合
➡ 全体像をつかみやすい参考書を使い、大枠を理解しながら教科書と並行して学習する
このように、必要な用途を明確にし、目的に合った参考書を選ぶことが重要です。
大学受験の準備は高校1年生から始まる!
大学受験は高校受験とは異なり、より難しく大変な部分が多いのは事実です。しかし、高校受験を経験した人は、すでに受験を乗り越えた知識や学習習慣を持っています。
その強みを活かしながら、高校の授業をしっかり積み重ね、自主学習を進めていくことが、大学受験の準備につながります。
高校1年生のうちから高校受験と大学受験の違いを理解し、少しずつ準備を始めていきましょう。
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール

塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。