都立高校の志望校はどう探す?内申点からの見つけ方を現役塾講師が解説!


編集部
塾選ジャーナル編集部

ひのき進学教室 三軒茶屋校講師
大山雅司
「目標とする高校をどうするかそろそろ考えたほうがいいかな」と思っているけど、どう探したらいいかわからない方もいるでしょう。今回は都立高校の志望校(目標校)を、中学校の内申点から見つける方法をご紹介します。内申点の仕組みから、内申点に合わせた志望校(目標校)の目安、内申点アップのポイントをわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。
都立高校入試のための内申点の仕組み
都立高校入試で大事だと言われる内申点とは、受験をする高校に提出される内申書の点数(「調査書点」や「調査書素点」とも呼ばれます)のことです。一般入試では、内申点と当日の学力検査、そしてスピーキングテストの合計点で高校の合否が決定されます。
都立高校入試での内申点の影響度は?
都立高校の入試では、内申点がどう影響するのかは「一般入試」か「推薦入試」によって異なります。
評価基準 | |
---|---|
一般入試 | 学力検査+内申点(割合7:3) |
推薦入試 | 内申点+面接や小論文など(割合は学校により異なる) |
都立高校 一般入試の評価基準
都立高校の一般入試では、当日の学力検査と内申点の割合は7:3で合否が判定されます。内申点が高ければ有利になり、内申点が低いと学力検査で高い点数をとらなければなりません。
都立高校 推薦入試の評価基準
推薦入試は、内申点のほかに面接や小論文などで合否が判定されます。各学校によって配点は異なりますが、一般入試と比べて内申点の割合が高い傾向があり、内申点が配点の5割を占める学校も多くあります。
都立高校 推薦入試 調査書の配点(活用割合)例:
高校名 | 調査書 点数 | 個人面接 点数 | 小論文 点数 | 調査書の活用割合 |
---|---|---|---|---|
日比谷高校 | 450点 | 200点 | 250点 | 50% |
駒場高校 | 360点 | 180点 | 360点 | 40% |
三田高校 | 100点 | 250点 | 250点 | 17% |
※東京都教育委員会 令和6年度東京都立高等学校募集案内及び令和6年度東京都立高等学校応募資格審査取扱要項 入試実施方法一覧 を抜粋・加工して作成
内申点の計算方法
①主要5教科(国語・数学・社会・理科・英語)の通知表の評定(5段階評価)を合計
例)すべて5だった場合は、5点×5教科=25点
②実技4教科(音楽・美術・保健体育・技術家庭)の通知表の評定(5段階評価)を足してから2倍する
例)すべて5だった場合は、(5点+5点+5点+5点)×2倍=40点
③5教科と4教科の点数を足す(=換算内申点)
例の場合は、65点となる
④換算内申点÷65×300で「調査書点(300点満点)」を出す
→調査書点が高校入試の合否判定で使用される
【推薦入試の場合】
①9科目の通知表の評定(5段階評価)を合計
例)すべて5だった場合は、5点×9教科=45点
②内申点の合計÷45×各高校の調査書点の満点
東京都の内申点は、9教科(主要5教科:英語・数学・国語・理科・社会+実技4教科:音楽、美術、保健体育、技術家庭)が対象になります。計算方法は上記のとおりで、中学3年生の二学期末に出される成績が対象です。
内申点の仕組みについてもっと詳しく知りたい方は以下も参考にしてください。
都立高校の志望校を内申点から見つける方法と学習アドバイス
ここからは、内申点ごとに中2の3学期~中3の1学期までの成績時点での都立高校の目標校の目安を紹介します。なかに出てくる内申点とは「換算内申点」のことです。通知表の評定の数字と換算内申点は下の表を参考にしてください。
通知表の評定 | 換算内申点 |
---|---|
オール5 | 65 |
4と5が半々 | 57~61 |
オール4 | 52 |
3と4が半々 | 44~48 |
オール3 | 39 |
オール3未満 | 39未満 |
換算内申点別の目標校 ※中2 3学期~中3 1学期までの成績
〈換算内申点61以上〉実力次第で好きな学校を受験できる!
内申点が61以上あると、都立高校の一般入試で内申点が足かせになることはないと考えられます。裏を返せば、その先は一般入試の実力勝負の世界とも言えます。
〈換算内申点57~60〉上位校を目指せる!ただし中3夏までの環境が大事
中2 3学期~中3 1学期までの通知表の評定で4と5が半々の人は、都立高校上位校も十分目指せるでしょう。ただし、独自作成校や共通試験トップ校の受検生はオール5付近の生徒も珍しくないため、トップ校合格を目指すのであれば、中3 2学期までにひとつでも内申点を上げる、もしくは当日点で負けない実力をつける必要があります。
〈換算内申点57~65〉学習アドバイス
都立偏差値ランキング上位校を目指す人は、国立や私立の早稲田高校、慶応義塾高校などを併願受験することが珍しくありません。この人たちは、受験の後半戦になってくると、私立高校の過去問をやって実力をつけながら、都立高校の過去問もやっていくことになり、レベルの高いライバル争いになります。そういった中での学習の進め方は、受験期の春から夏までの勉強環境が重要になります。1人で勉強をするのが難しい場合は、塾などトップを目指せる位置まで周りが引っ張ってくれる環境に身を置くことをおすすめします。
都立高校上位校については以下で詳しく説明していますので、チェックしてみてください。
〈換算内申点52〉都立高校「中上位校」をまず目標に!
通知表の評定がオール4の人は、都立高校中上位校を目指せるレベルです。偏差値でいうとおよそ60程度が適正になってきます。中上位校でも上のほうの小山台高校、駒場高校、竹早高校などは、オール4よりプラス1、2必要だと考えていいでしょう。押さえの学校を選ぶ際にもオール4プラス1、2とれていると、日東駒専(日本大学、東洋大学、駒澤大学、専修大学)の付属高校や 私立の中堅の進学校の併願優遇をとれる可能性も出てきます。
〈換算内申点52〉学習アドバイス
②英検準2級は早めに取得する
都立高校中上位校を目指すなら、内申点は少しでも上げておくのがベストです。というのも、都立高校の一般入試の合否は、当日の学力検査と内申点の割合は7:3で出されます。割合だけ見ると当日点のほうが内申点より2倍以上あるので、それで巻き返せる気になりそうですよね。ただ、自分より内申点の高い人の当日点を超えないといけない、というのは決して簡単なことではありません。偏差値が高めな高校になるほど、その難しさは上がりますので、内申点は1つでも上げられるようにしてください。
また、併願優遇の加点を考慮して、英検準2級は早めに取得することをおすすめします。
都立高校中上位校については以下で詳しく説明していますので、チェックしてみてください。
〈換算内申点44~48〉都立高校「中堅校」を目指せる!
通知表の評定が3と4が半々の人は、中堅校で好きな学校を目標に設定してみてください。都立の中堅校は高倍率になりがちな学校が多いのが特徴です。2025年の男女合同の応募倍率は、 広尾高校1.79、深川高校1.82、石神井高校1.87、豊島高校2.23でした。内申点を1でも上げると併願優遇で出願可能になる高校の候補がどんどん増えるので、諦めずに内申点アップを目指してください。
〈換算内申点44~48〉学習アドバイス
②英検3級はマスト、準2級にも挑戦を
上でも書きましたが、目標校の幅を広げるために、内申点を少しでも上げるよう注力してください。1点上がるだけで、目標校はもちろん、押さえの学校の候補も増えていきます。
また、英検3級はマストで取っておきたいところです。準2級が加点要素になる高校もいくつかありますので、できるなら準2級も取得することをおすすめします。
都立高校中堅校と併願優遇制度については以下で詳しく説明していますので、チェックしてみてください。
〈換算内申点39〉都立高校「中堅校」をまず目標に!
通知表の評定が3の人は、通知表の評定が3と4が半々の人と同じく都立中堅校を目標にする、でいいでしょう。ただし、内申点を上げることは必須だと思ってください。特に人気が高い中堅校の場合、オール3・4半々からオール4付近の受検生が多くなるので、今の成績/実力のままでは合格に届かないことを今のうちから自覚し、通知表に4が一つでも増えるように勉強計画を立てていくとよいでしょう。内申点が1点上がると、目標校の選択肢が増えます。
〈換算内申点39〉学習アドバイス
②英検3級は取得する
上にも書きましたが、目標校の選択肢を増やすために、内申点を上げることはマストです。また、併願優遇校を探す際に有効な英検3級の取得を目指してください。比較的時間に余裕のある春から夏前にかけて取得できるといいでしょう。
〈換算内申点39未満〉選択肢はあるがまず内申点アップを目指す!
通知表の評定が3以外に2もいくつかある人は、目標校の選択肢はいくつかありますが、都立高校を目指す人が減る傾向があります。理由は、私立高校の併願優遇制度がとれないことが多く、押さえの学校の受験ができないため、受験科目を3科目に絞って私立高校を受ける人や、私立単願推薦で入学を決める人が増えるからです。ただし、それを選ぶ前にまずは内申点アップを目指すことをおすすめします。少しでも内申点を上げて選べる目標校を増やしていきましょう。また、普通科だけではなく、専門学科や総合学科、学習検査や内申点によらないエンカレッジスクールやチャレンジスクールを考慮に入れるのも選択の一つです。
〈換算内申点39未満〉学習アドバイス
苦手科目の克服、というより「何をやったらいいかわからない」という人もいると思います。普段の勉強の向き合い方や学習習慣に原因がある場合が多くなります。そのような人は、まず次の定期試験に向けて学習計画を作ることを最初の目標にしてみてください。1人で難しい場合は、学校の先生や塾に相談するのもおすすめです。
目の前のことを一つひとつクリアすることから始めてみましょう。
都立高校の総合学科については以下で詳しく説明していますので、チェックしてみてください。
内申点をあげる4つのポイント
実際に内申点を上げるために何をすればいいか、4つに絞って紹介します。
①小テストや定期テストで高得点をとる
・日々の予習、復習はマストで小テストでも高得点をとる
・主要5教科はもちろん、実技4教科も手を抜かない
小テストや定期テストは内申点に直結する重要な要素で、対策をしっかり行って高得点をとることが大切です。小テストは、日々の予習、復習をすることで授業内容を確実に理解して得点アップを狙えます。定期テストは、主要5教科(英語・数学・国語・理科・社会)だけでなく、実技4教科(音楽、美術、保健体育、技術家庭)も手を抜かずテスト対策をしましょう。
②授業は集中し積極的に参加する
・主体的な学習態度が大事
・授業中に質問したり自分の意見を述べたり、積極的に参加する
授業中は集中し、主体的な学習態度が大切です。積極的に挙手や質問・発言をして意欲的な姿勢で参加しましょう。グループワークでチームを引っ張ったり、中心となって参加することで、周りの生徒や生徒から信頼を得ることも大切です。
③提出物は期限を厳守!主体的に取り組んでいる姿勢を残す
・宿題や提出物は自分で工夫した内容にする
提出物は必ず期限内に提出することがマストです。また、主体的に取り組んでいることがわかる内容であることも重要です。「問題の解答を写しただけで解きなおしをしていない」「自分なりに工夫した点がない」状態よりも、自分が主体的に取り組んだ跡を残す方が望ましいです。たとえば、問題を解きなおした途中経過を残す、自分なりに気が付いたポイントを書き入れる、などをするといいでしょう。提出物は授業の復習の意味でも大切ですので、真摯に取り組んでください。
④英検を中3 夏前までに取得する
都立高校入試において、英検は内申点に加算されません。ただ、私立高校の推薦入試や併願優遇時の内申点にプラスされる場合があります。志望校選びに十分間に合い、かつ後半期の勉強と重ならない中3 夏前までに取得しておくことが望ましいです。
目標校の選択肢を増やすために内申点アップを!
目標校を探すとき、内申点が判断材料の一つになります。内申点が足りないという理由で目標校を変えたりせず、まずは今からできる内申点対策を始めてください。内申点はすぐには上がるわけではなく、毎日の積み重ねが大切です。
ただ、目標校は内申点だけでは探せません。自分で情報を集めて実際に高校に足を運ぶことで、「この学校に通いたい」と思える学校が見つかるでしょう。目標校の選択肢をできるだけ増やすために、内申点アップのポイントを今日から実践してみることをおすすめします。
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監修者プロフィール

塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。