公募推薦とは?指定校推薦と何が違う?出願条件から対策方法まで徹底解説


編集部
塾選ジャーナル編集部
「公募推薦ってよく聞くけど、実際どんな入試?」「指定校推薦や総合型選抜とは何が違うの?」
そのような疑問を持つ受験生や保護者も少なくありません。
公募推薦とは、高校の推薦を受けて出願する大学入試の一種です。主に学業成績を基準とする「一般推薦」と、スポーツ・文化活動などを重視する「特別推薦」の2種類に分かれます。
本記事では、公募推薦の基本から制度の特徴までを丁寧に解説します。一般推薦と特別推薦の違いや、国公立・私立大学による選抜方式の差異も取り上げました。
さらに、他の入試方式との比較、出願手順、推薦を得るために意識すべき点も紹介。選抜スケジュールやメリット・デメリットも網羅しています。
進路選択の一助として、ぜひ参考にしてください。
公募推薦とは?まずは制度の基本から
ここでは、公募推薦という入試制度の基本を確認します。大学の種類によって仕組みに違いがあるのか、他方式との違いは何かを見ていきましょう。
公募推薦とは「高校の推薦が必要」な入試形式の一つ
公募推薦とは、「学校推薦型選抜」の一種であり、高校の校長による推薦書が求められる入試方式です。なお、学校推薦型選抜にはもう一つ「指定校推薦」と呼ばれる選抜方法があります。
公募推薦は、大学の出願条件を満たせば、どの高校の生徒でも応募可能です。この制度は多くの大学で導入されており、国公立大学でも実施例があります。対象が全国の受験生となるため、指定校推薦に比べて競争は激しくなりやすいでしょう。
出願には、推薦書に加えて大学ごとに定められた基準をクリアしなければなりません。評定平均や取得資格などが条件となるケースが一般的です。
また、大学によっては高校ごとの出願人数に制限を設けることもあります。その場合、校内で推薦希望者の選抜が行われ、希望者全員が出願できるとは限らない点に注意が必要です。
公募推薦は「一般推薦」と「特別推薦」の2種類がある
公募推薦には、「一般推薦」と「特別推薦」の2つのタイプがあります。それぞれの特徴や違いを確認しておきましょう。
一般推薦|学業成績を重視
公募推薦の中でも、一般推薦は特に学力を重視する入試方式です。大学が指定する評定平均や出願条件をクリアし、高校の推薦を受けることで出願資格を得られます。
この一般推薦は、学力の安定性や学習習慣が評価対象となるのが特徴です。特に、高校1年生から3年1学期までの評定平均(内申点)が重要視されます。
出願基準は大学によって異なりますが、評定平均4.0以上を目安にしておくと、多くの大学に対応可能です。。基準に満たない場合は、出願自体が認められないこともあります。
また、人気の大学や学部では一般推薦の志願者が集中しやすく、倍率が高くなる傾向にあるので注意しておきましょう。
特別推薦|スポーツや文化活動などを重視
公募推薦の中でも、スポーツや文化活動の実績、各種検定や資格の取得などが評価対象となる入試方式は「特別推薦」と呼ばれます。大学によっては「ユニーク入試」などの独自の名称を用いることもあります。
特別推薦は、学業成績よりも個別の活動実績や能力を重視する点が特徴です。評定平均を出願要件に含めない大学もあり、一般推薦とは異なる選考基準が設けられています。
この特別推薦では、全国大会出場歴や生徒会活動、英語検定・漢字検定などの取得資格が評価されるケースも見られます。ただし、評価基準や条件は大学や学部によって大きく異なります。
出願を検討する際は、各大学の募集要項を事前によく確認しましょう。条件に合っているかどうかを把握し、自身の活動実績や得意分野が活かせる入試かどうかを見極めることが大切です。
国公立大学と私立大学での違いは?
先述のとおり、学校推薦型選抜には「公募推薦」と「指定校推薦」の2種類があります。このうち、国公立大学で実施されているのは公募推薦のみです。指定校推薦は原則として私立大学に限られます。
国公立大学の公募推薦は、私立大学に比べて難易度が高めです。選考方法も多様で、面接やプレゼンテーション、口頭試問、実技試験など、学力以外の力が問われる場面も多く見られます。
また、国公立の公募推薦は「専願」であることが一般的です。これは、合格した場合にその大学へ必ず入学することを前提とする制度です。
一方、私立大学の公募推薦は「併願可」が多く、他大学と並行して受験できます。合格しても必ずしも入学する義務はないため、選択肢を残したまま受験できます。
このように、国公立と私立では、公募推薦の制度設計や受験の柔軟性に明確な違いがある点を理解しておきましょう。
指定校推薦との違いは?
公募推薦と指定校推薦には、大きく分けて3つの違いがあります。
- 出願資格が限定されているかどうかの違い
- 推薦枠の数の違い
- 合格率の違い
ここでは、それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
出願資格が限定されているかどうかの違い
出願資格の面では、公募推薦と指定校推薦に明確な違いがあります。
指定校推薦は、大学があらかじめ指定した高校の生徒のみが対象です。指定された高校に通っていなければ、そもそも出願することができません。
一方、公募推薦は、学校長の推薦さえあれば出願が可能です。高校がどこであっても、大学が定める条件を満たしていれば受験できます。全国の高校生に開かれた入試方式といえるでしょう。
また、公募推薦は私立大学に加え、国公立大学でも導入されています。対して、指定校推薦は私立大学が中心で、国公立ではほとんど実施されていません。
推薦枠の数の違い
推薦枠の数も、公募推薦と指定校推薦の大きな違いの一つです。
指定校推薦では、大学から各高校に対して推薦人数の上限が設定されています。例えば「〇〇高校からは2名まで」といった形でオファーが届くため、校内での選考を経た生徒のみが推薦を受けられます。
特に人気の大学や学部では、この校内選考の倍率が高くなる傾向があります。高校内で推薦を獲得するだけでも、ある程度の成績や人物評価が必要となるでしょう。
一方、公募推薦には、基本的に高校ごとの推薦枠の上限は設けられていません。大学が定めた出願条件を満たしていれば、原則として誰でも出願資格を得られます。
このため、指定校推薦では枠から外れた場合でも、公募推薦で再び挑戦できるケースもあります。複数の進路の選択肢を持ちたい方には、公募推薦の柔軟さがメリットといえるでしょう。
合格率の違い
指定校推薦と公募推薦では、受験時の合格率に大きな違いがあります。
指定校推薦は、各高校での校内選考を通過した生徒のみが出願するため、大学が指定した募集人数と受験者数が基本的に一致します。この仕組みにより、合格率は非常に高く、ほぼ100%に近い結果となるのが一般的です。
よほどの不備や態度不良がない限り、不合格になるケースはまれです。
一方、公募推薦は、大学ごとに定められた出願条件を満たせば多くの生徒が出願できます。そのため、試験には倍率が発生し、必ずしも合格できるとは限りません。
特に、国公立大学や人気のある私立大学・学部では倍率が高くなる傾向にあります。公募推薦とはいえ、競争の厳しさは一般選抜に近いと考えておくべきでしょう。
総合型選抜との違いは?
公募推薦と総合型選抜の主な選抜方法は、共通しています。
公募推薦における具体的な選抜方法は、書類審査、小論文、面接、学科試験などです。総合型選抜では上記の選抜方法に加えて、下記のような実践的な課題を課す大学が一般的です。
- 口頭試問
- プレゼンテーション
- グループディスカッション
- フィールドワーク
- 講義レポート など
また、出願資格にも違いがあります。公募推薦では高校の推薦が必須ですが、総合型選抜では基本的に推薦は必要ありません。
スケジュールにも違いがあります。学校推薦型選抜は11月〜12月にかけて選考が行われ、共通テストを課す大学では1月まで続くことも珍しくありません。一方で、総合型選抜は9月に出願が始まり、選考は9〜10月に実施される大学が多いのが特徴です。
総合型選抜について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
公募推薦の出願条件は?評定平均や資格・活動実績も確認しよう
公募推薦を利用するには、各大学が定める出願条件を満たしている必要があります。ここでは、押さえておくべき出願条件について解説します。
評定平均のスコア
公募推薦入試では、評定平均が重要な評価指標となります。これは出願資格として最も重視される項目の一つです。
評定平均とは、高校で履修した全科目の評定(5段階評価)の合計を、科目数で割って算出される数値です。多くの大学では、高校1年生から高校3年生1学期までの成績が対象となります。
国公立大学では、4.0以上の評定平均を求めるケースが多く見られます。例えば、大阪大学医学部の推薦要件には「評定平均4.3以上」と明記されています。
一方で、私立大学では「評定平均3.5以上」など、比較的ハードルが緩やかな場合もあります。ただし、途中で志望校を変更する可能性も考えると、4.0以上をキープしておくのが望ましいでしょう。
外部検定・課外活動の実績が評価されることも
学校推薦型選抜では、学業成績に加え、外部検定や課外活動の実績も評価される場合があります。
例えば、英検ⓇやTOEFL、簿記、情報処理などの検定資格が評価されることもあるのです。大学によっては、これらの取得が出願条件に含まれているケースもあります。
さらに、生徒会やボランティア活動、部活動のリーダー経験なども、調査書や志望理由書に評価ポイントとして反映されます。
大学側のアドミッション・ポリシーも重要
公募推薦の出願条件として、評定平均や資格に加えて、大学が掲げるアドミッション・ポリシーへの理解と適合も重要です。
アドミッション・ポリシーとは、「その大学・学部が求める学生像」を示す方針のことで、大学はこのポリシーに合った志願者を評価します。自己PRや志望理由書の内容とも密接に関係しています。
例えば、上智大学の公募制推薦入試要項では、1ページ目に「大学全体のアドミッション・ポリシー」が明記されています。志望理由を書く際には、これに沿った表現や姿勢が求められることになるでしょう。
参考:2025年度上智大学 入学試験要項推薦入学試験(公募制)
出願前には、希望する大学・学部のアドミッション・ポリシーをしっかり読み込み、自分の経験や価値観がどのように合致しているかを言語化しておくことが大切です。
公募推薦のスケジュールは?出願・試験・合格発表までの流れ
公募推薦入試は、一般選抜とはスケジュールが異なります。準備を始める時期を見誤らないように、全体の流れを把握しておきましょう。
ここでは、高校3年生を基準にした一般的なスケジュールを紹介します。
高3の6月下旬~7月下旬に募集要項発表
公募推薦のスケジュールは、夏前から本格的に動き出します。例年、6月下旬〜7月下旬にかけて、各大学が推薦入試の募集要項を公表します。一般的に、私立大学のほうが国公立よりも発表時期が早い傾向です。
募集要項には、出願条件、選考方法、アドミッション・ポリシー、必要書類などの重要な情報が詳細に記載されています。特に「評定平均の基準」や「出願資格の有無」は早めに確認しておくべき項目です。
希望する大学が複数ある場合は、比較しながら出願先を検討できるように、最新の要項を必ず入手し、内容を読み込んでおきましょう。
高3の11月に出願
公募推薦の出願は、例年11月1日以降です。願書の配布は8月〜10月ごろに行われるため、それまでに準備を進めておく必要があります。
出願に必要な書類には、調査書、推薦書、志望理由書、自己PR文などが一般的に含まれます。これらは高校側の協力が必要となるため、早めに担任や進路指導の先生と相談しながら整えておきましょう。
出願書類は、大学ごとに様式や提出方法が異なることがあります。不備があると受理されない場合もあるため、提出直前ではなく、10月中には一度すべてを確認しておくのが安心です。
高3の11〜12月にかけて試験実施
公募推薦の選考試験は、例年11月から12月にかけて行われます。大学によって日程が異なるため、複数校への出願を検討している場合は、日程の重なりに注意が必要です。
試験内容は、書類審査だけでなく、面接、小論文・、プレゼンテーション、口頭試問など、大学ごとにさまざまな形式が採用されています。実技や集団討論を課す学部もあり、早めの対策が欠かせません。
当日しっかりと実力を発揮するためには、志望理由の整理や模擬面接の練習など、事前の準備が重要です。自信を持って本番に臨めるように、計画的に取り組みましょう。
なお、具体的な選考方法については、後ほど詳しく紹介しています。
高3の12月に合格発表
公募推薦の合格発表は、多くの大学で12月中に行われます。発表方法は、大学の公式サイトや郵送による通知など、大学によって異なります。
また、一部の大学では、定員に満たなかった場合に2次募集を実施することもあります。そのため、第一志望以外の大学を検討する際も、募集状況を継続的に確認しておくことが重要です。
合格発表や再募集の情報は早い者勝ちになることもあるため、志望校が決まり次第、出願締切、試験日程、結果発表日などを大学公式サイトで確認し、スケジュール管理を徹底しておきましょう。
公募推薦の選考方法と評価ポイントとは?
公募推薦では、選考方法として主に書類審査、小論文、面接・、学力試験、実技などが課されます。
それぞれの選考でどのような力が見られているのか、形式ごとに整理して見ていきましょう。
書類選考(調査書・推薦書・志望理由書など)
多くの大学で、公募推薦の一次選考として書類審査が実施されます。提出する主な書類は以下のとおりです。
公募推薦で必要な書類 | 内容・ポイント |
---|---|
調査書 | 高校の成績(評定平均)や出欠状況、生活態度などをまとめた公式文書です。高校が作成し、大学へ提出します。 |
推薦書 | 高校の先生が記載するもので、推薦理由や生徒の人柄・適性などが記されています。 |
志望理由書 | なぜその大学・学部を志望するのか、自分の将来像と結びつけながら記述する必要があります。 |
自己推薦書 | 特別な活動実績や強み、自主的な学びの姿勢などを自らアピールする文書です。大学によって提出が必須の場合と任意の場合があります。 |
これらの書類は、単なる形式的なものではなく、合否に大きく影響します。内容の説得力や一貫性が重視されるため、丁寧に仕上げておくことが求められます。
小論文・面接
公募推薦の選考では、書類審査に加えて小論文や面接が課されることが一般的です。
小論文では、大学側が提示したテーマに対して、自分の意見や考察を論理的にまとめる力が求められます。時事問題や志望学部に関連するテーマが出題されるケースも少なくありません。
面接では、志望理由や大学での学びの目標、高校生活で力を入れたことなどについて質問されます。個人面接のほか、グループ面接や集団討論を採用している大学もあります。
どちらの試験も、単なる暗記ではなく、自分の言葉で表現する力や論理性、思考の深さが評価対象です。事前に想定質問や過去問に取り組み、しっかりと準備しておきましょう。
学科試験や共通テストを課す大学もある
公募推薦では、書類や面接・小論文に加えて、学科試験や適性検査を実施する大学もあります。これは、学力をより正確に評価する目的で行われるものです。
例えば、大学が独自に作成した筆記試験や、特定の教科・科目に関する問題を課すケースがあります。理系学部では数学や理科、文系では国語や英語など、志望分野に応じた出題が一般的です。
また、一部の国公立大学では、大学入学共通テストのスコア提出を求められる場合もあります。推薦入試であっても学力が問われることを前提に、早めに準備しておくことが重要です。
プレゼンや実技がある場合も
公募推薦では、大学によってプレゼンテーションや実技試験が選考に含まれることもあります。
プレゼンは、大学が指定したテーマや高校生活での学び・経験などをもとに、資料を作成し、制限時間内で発表する形式が一般的です。発表内容の論理性や構成力、表現力などが評価対象となります。
また、芸術系や体育系の学部・学科では、実技試験や課題作品の提出、体力テストが課されることもあります。音楽、美術、デザイン、スポーツなど、専門分野に応じた技能が重視されます。
このような試験形式は、事前準備や練習が結果を大きく左右します。過去の課題傾向や評価基準をよく確認し、しっかり対策を進めておくことが重要です。
公募推薦で対策すべきポイントは?評定・書類・面接の対策ポイント
公募推薦で合格を目指すためには、早めの準備と計画的な対策が欠かせません。ここでは、特に意識して取り組むべき5つのポイントを紹介します。
- 定期テストに取り組み、評定平均を上げる
- 自己推薦書・志望理由書などの書類対策
- 小論文・面接は第三者の視点で準備
- 学科試験や共通テストの対策も忘れずに
- 特別推薦の場合は資格取得・課外活動にも取り組む
定期テストに取り組んで評定平均を上げる
公募推薦では、評定平均が出願条件として最も重視されます。評定は高校1〜2年の成績も反映されるため、できるだけ早い時期から意識して対策することが重要です。
評定平均に大きな影響を与えるのは、定期テストの点数です。学習内容をしっかり定着させるために、日頃から予習・復習を習慣づけましょう。わからない部分は放置せず、先生や友人に質問して早めに解決することが得点アップにつながります。
また、授業への取り組み姿勢も内申点に影響します。いくらテストの点数が高くても、提出物を出さない・授業態度が悪いと評価が下がることがあります。
提出物は期限を守って提出し、すべての授業に真剣に取り組む姿勢を保つことが、評定平均アップへの近道です。
自己推薦書・志望理由書などの書類対策
公募推薦では、小論文や面接に加えて、自己推薦書や志望理由書の提出が求められることがあります。
自己推薦書は、自分の強みや経験、価値観などをもとに、志望大学にふさわしい人物であることを伝える書類です。説得力を持たせるには、自己分析を通して「なぜそう思うのか」「どんな経験があったのか」といった背景を具体的に掘り下げることが求められます。
志望理由書では、その大学・学部を志望する理由、将来の目標や入学後に取り組みたいことを明確に記述します。アドミッション・ポリシーとの整合性も意識して構成しましょう。
いずれの書類も、書き終えたら必ず第三者に見てもらうことが大切です。学校や塾の先生に添削を依頼し、内容だけでなく文法・言葉遣い・論理展開など客観的な視点からフィードバックを受けましょう。
自分では気づきにくい誤字脱字や曖昧な表現を修正することで、より伝わりやすく読みやすい文章に仕上がります。
小論文・面接も第三者の視点で準備
小論文や面接の対策についても、第三者からのフィードバックを受けながら、繰り返し練習して慣れることが重要です。自己流だけで完結せず、他人の目を通すことで内容の精度が高まります。
小論文では、与えられた課題やテーマに対して自分の意見を述べるだけでなく、その根拠や具体例を添えて論理的に説明する力が求められます。主張と理由の一貫性、文章構成の明瞭さが評価ポイントです。
さまざまなテーマで練習を重ねることで、構成力・語彙力・論理的思考力が身についていきます。模範解答を読んだり、添削指導を受けたりすることで、自分の弱点にも気づけるようになります。
面接においても同様です。志望理由や自己PRに一貫性があるか、受け答えに誤解を生まないかなど、第三者の視点で客観的に確認してもらいましょう。模擬面接は効果的な対策の1つです。
本番で実力を出すには、内容の精度と慣れの両方が必要です。場数を踏むことで、自信を持って臨めるようになります。
学科試験や共通テストの対策も
公募推薦を実施する大学の中には、二次選考で学科試験や大学入学共通テストを課すケースがあります。推薦入試であっても学力を重視する大学では、こうした試験が合否を左右する重要な要素となります。
公募推薦の学科試験では、大学独自の問題が出題されることが多く、一般選抜とは出題傾向が異なる場合もあります。対策としては、志望大学の過去問を分析し、よく出るテーマや出題形式を把握することが有効です。出題傾向に合わせて学習計画を立てましょう。
一方、大学入学共通テストを活用する大学では、教科書レベルの基礎知識をしっかり習得することが第一歩です。そのうえで、共通テスト特有の形式に慣れるための演習が欠かせません。
共通テストは、単なる知識の暗記では対応できない問題が多く出題されます。文章量の多い設問を読み解く力や、図表・グラフを活用して論理的に考える力が求められます。日頃から複合的な問題に慣れておくと安心です。
特別推薦の場合は資格取得・課外活動にも取り組む
特別推薦では、出願条件として部活動の実績や資格の取得が求められることがあります。学力よりも個別の成果や能力が評価対象となるため、一般推薦とは異なる準備が必要です。
全国大会や都道府県大会での入賞歴、部活動での実績、英検®・TOEFL・IELTSといった語学系の資格などは、成果が短期間で得られるものではありません。そのため、早い段階からコツコツ積み上げていく姿勢が必要です。
特別推薦の準備には時間がかかります。自分の活動実績や取得済みの資格が、出願条件と合致しているかどうかを定期的に確認しながら、計画的に取り組むことが大切です。
公募推薦のメリットは?国公立でも受けられる・併願OKな制度も
公募推薦には、指定校推薦などほかの入試方式にはない独自のメリットがあります。ここでは、受験生にとって特に魅力的なポイントを、指定校推薦との違いに注目しながら見ていきましょう。
国公立大学でも実施している大学がある
指定校推薦は、基本的に私立大学が中心となって実施している入試制度です。一方、公募推薦は、国公立大学でも導入されている点が大きな特徴です。
国公立大学を志望する受験生にとって、推薦入試でチャレンジできる機会があるという点は大きなメリットといえるでしょう。一般選抜だけでなく、複数のルートを検討できる点で、進路の選択肢が広がります。
既卒生でも出願が可能な大学がある
指定校推薦は、現役生のみが対象となる入試方式です。そのため、既卒生(いわゆる浪人生)は出願できません。
一方、公募推薦では、大学や学部によっては既卒生の出願を認めている場合があります。評定平均などの出願条件を満たしていれば、現役生と同様に受験資格を得られる可能性があります。
すべての大学が既卒生に対応しているわけではありませんが、浪人しても推薦入試に再チャレンジできるという点は、公募推薦ならではのメリットです。
出願を考えている場合は、必ず最新の募集要項を確認し、既卒生の可否や必要条件を事前に把握しておくようにしましょう。
併願を認めている私立大学がある
私立大学の公募推薦では、併願を認めている大学もあります。この場合、同じ大学内で複数学部を受験できるほか、他大学との併願もできます。専願制の推薦と比べて、受験のチャンスを広げられるのが大きな魅力です。
例えば、「第一志望はA大学だが、念のためB大学の推薦も受けておきたい」といった受験戦略がとれるのは、併願可の制度ならではの利点といえるでしょう。
ただし、すべての大学・学部が併願を認めているわけではありません。専願(合格したら必ず入学する)が条件になっている場合もあります。併願と誤解して出願した結果、合格後に辞退できず進路変更ができなくなるといったトラブルは絶対に避けておきたいところです。
出願前には、必ず募集要項や公式サイトで「専願か併願か」を確認しましょう。制度の誤解による後悔を防ぐためにも、情報の見落としには十分注意が必要です。
公募推薦のデメリットや注意点|専願制・出願条件のハードルに注意
公募推薦には、出願の幅が広い・併願できるなど多くのメリットがありますが、その一方で注意しておきたいデメリットも存在します。ここでは、出願前に理解しておくべきポイントを整理しておきましょう。
出願条件のハードルが高い
公募推薦では、大学ごとに設定される出願条件が比較的厳しい傾向にあります。
繰り返しにはなりますが、一般推薦では「評定平均4.0以上」が条件となっているケースが少なくありません。難関大学では、4.3〜4.5程度の高水準を求められることもあります。出願資格を得るだけでも、日頃の学習習慣や定期テストへの取り組みが問われる仕組みです。
特別推薦においても同様です。全国大会への出場歴や英語資格のスコアなど、部活動や課外活動で目に見える実績を求められる大学が多く存在します。
このように、公募推薦の出願条件は一見門戸が広いように見えても、実際にはハードルが高い場合がある点に注意が必要です。志望校を検討する際は、条件を満たせるかどうかを早めに確認しておきましょう。
一般入試と並行して勉強するのが難しい
公募推薦と一般入試を併願する場合、それぞれ異なる対策が必要となります。試験内容や準備方法に大きな違いがあるため、両立は簡単ではありません。
公募推薦では、提出書類の作成や小論文、面接などの対策が中心となります。自己分析や志望理由の言語化、プレゼン練習などにも時間を割く必要があります。
一方、一般入試では、志望校ごとの学力試験に向けた本格的な受験勉強が求められます。国語・英語・数学など主要科目の学習に集中しなければなりません。
このように、公募推薦と一般入試では求められる力が異なるため、同時に準備を進めるには高い自己管理力と計画性が必要です。特に秋以降は時間的な余裕が少なくなることから、無理のないスケジュールを組み、どちらにも対応できるよう効率的に学習を進めましょう。
専願なのか併願なのか必ず確認
専願制の場合、合格した時点でその大学・学部に必ず入学することが条件です。つまり、合格後に辞退することはできません。
そのため、専願制の公募推薦に合格してしまうと、たとえその後に一般入試で他大学や別の学部に合格しても、進学先を変更することはできなくなります。この点を見落として出願してしまうと、希望とは異なる進路を選ばざるを得なくなるおそれがあります。
一方、併願制の公募推薦であれば、合格後に他大学の一般入試を受験し、進学先を後から選ぶことも可能です。柔軟な受験計画を立てたい場合は、併願が許可されているかを必ず確認しましょう。
出願前には、募集要項や大学公式サイトを丁寧に確認し、「専願か併願か」を明確に把握しておくことが大切です。
不合格を引きずってしまうおそれも
公募推薦で不合格となった場合、そのショックを引きずってしまう受験生もいます。特に、公募推薦に重点を置いて準備してきた場合は、、心理的ダメージが大きく、落ち込みから立ち直れない傾向があります。
不合格を受け入れきれずに気持ちの切り替えが遅れる、その後の一般入試対策に集中できなくなる可能性もあるでしょう。実際、推薦で落ちたショックをひきずったまま、学力のピークをうまく持ってこられずに本番を迎えるケースも見られます。
こうしたリスクを防ぐには、あらかじめ「公募推薦は通過点の1つ」と考えておくことが大切です。不合格であっても次の挑戦に切り替えられるように、気持ちの余白を持って受験に臨みましょう。
公募推薦での結果にかかわらず、最終的な目標を見据えた継続的な学習姿勢が合格への鍵になります。
公募推薦でよくある質問(FAQ)
ここでは、公募推薦に関するよくある疑問や不安にお答えします。制度の特徴や出願のコツを理解するうえでの参考にしてください。
公募推薦に向いている人・受かる人の特徴は何ですか?
公募推薦に合格しやすい人には、いくつかの共通点があります。以下のような特徴を持つ受験生は、公募推薦に向いているといえるでしょう。
- 評定平均が出願基準を大きく上回っている
- 部活動やコンテストなどで顕著な実績がある
- 英検®やTOEFLなどの資格を取得している
- コミュニケーション力が高く、自分の考えを言語化できる
- 大学で学びたいことが明確になっている
- アドミッション・ポリシーをしっかり読み込み、理解している
これらの特徴に自分がどの程度当てはまるかをチェックし、足りない部分は早めに補っていくことが公募推薦合格への近道です。
公募推薦と一般入試はどちらが難しいですか?
公募推薦入試と一般入試のどちらが難しいかは、一概には言えません。なぜなら、それぞれで求められる力や試験内容が大きく異なるからです。
公募推薦では、評定平均や課外活動の実績、志望理由書、小論文、面接といった「人物評価」に重点が置かれます。学力試験よりも表現力や意欲、適性が問われるため、自分の強みを生かせるタイプの入試です。
一方、一般入試は学力試験がメインとなるため、偏差値や得点力が合否を左右します。得意科目が明確で、模試の成績が安定している人には適しています。
つまり、どちらが「難しい」というよりも、自分に合った方式を選ぶことが大切です。推薦と一般、それぞれの特性を理解した上で、自分の実力や準備状況に応じた戦略を立てましょう。
公募推薦で落ちることはありますか?
公募推薦でも不合格になることは十分にあります。倍率が高く、学力・人物・実績すべてを評価対象とする入試方式である以上、誰でも合格できるわけではありません。
例えば、令和7年度における近畿大学(一部学部)の一般公募推薦入試では、以下のような合格率となっています。
学部 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
法学部 | 1,843 | 442 | 約24% |
経済学部 | 7,618 | 1,079 | 約14% |
経営学部 | 9,526 | 1,260 | 約13% |
理工学部 | 7,601 | 2,053 | 約27% |
このデータからもわかるように、公募推薦は決して「受かりやすい入試」ではありません。むしろ、人気大学・人気学部では倍率が高く、合格率は1〜3割程度にとどまることもあります。
「推薦だから安心」と考えず、事前に十分な準備を行い、自分の強みを明確に伝える対策が欠かせません。
公募推薦では、塾に通った方がよいですか?
公募推薦での合格を目指す場合、塾や予備校を活用することは有効な選択肢のひとつです。推薦入試では、調査書・推薦書・志望理由書などの書類に加えて、小論文や面接といった対策が必要になるため、計画的な準備が欠かせません。
特に、小論文や面接対策は、独学だけでは限界を感じる受験生も多くいます。自分では気づきにくい論理の甘さや表現の曖昧さ、話し方のクセなどを、第三者から指摘してもらうことで改善しやすくなります。
また、一部の大学では共通テストや学科試験も課されるため、学力面のサポートも必要になることがあります。塾では志望大学の傾向に合わせた指導が受けられるため、対策の効率化にもつながります。
とはいえ、必ずしもすべての人に塾が必要というわけではありません。学校の先生に相談できる環境が整っていれば、無理に塾に通わなくても合格を目指すことは可能です。重要なのは、自分の弱点や不安な部分を客観的に把握し、それを補える環境を整えることです。
面接指導・小論文対策・書類添削など、必要に応じて学校外の力をうまく取り入れながら、最適な準備方法を選びましょう。
おすすめの塾については、以下の記事をご覧ください。
まとめ|公募推薦をうまく活用して志望校を狙おう!
公募推薦は、学力だけでは測れない「人となり」や「将来性」を評価する入試方式です。評定平均や課外活動の実績、志望理由の明確さなどが合否を左右します。
指定校推薦と異なり、出願枠が限定されていない分、競争率は高めですが、条件を満たせば誰にでもチャンスがあります。国公立大学を含む多くの大学で実施されており、併願や既卒生の出願を認めている場合もあるのが特徴です。
入試形式やスケジュール、出願条件は大学ごとに異なるため、早めの情報収集と対策が重要です。自分に合った入試方式を見極め、公募推薦を戦略的に活用することで、志望校合格の可能性を広げていきましょう。
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