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総合型選抜(旧AO入試)の志望理由書の書き方をプロが解説【例文つき】

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大学受験
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塾選ジャーナル編集部

編集部

塾選ジャーナル編集部

福井悠紀

総合型選抜専門塾AOI 進学情報研究部

福井悠紀

「総合型選抜で評価される志望理由書がどのようなものかわからない......」「志望理由書の書き方がわからない……」そのような悩みを抱えていませんか?

志望理由書は、合否を左右する重要な書類です。本記事では、総合型選抜で重要な志望理由書の書き方を、具体的な例文とともに解説します。

併せて大学側から評価される志望理由書の共通点や、受験生から寄せられることが多い質問への回答も掲載しています。合格に近づく志望理由書を作るために、ぜひご活用ください。

目次

総合型選抜で重要な志望理由書とは?【選考における役割】

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総合型選抜において、志望理由書は合否を左右する重要な書類です。ここでは選考における志望理由書の役割と、その重要性について解説します。

志望理由書は“合格の鍵”になる最重要書類

総合型選抜において志望理由書は、合格を左右する最も重要な書類です。学力のみを一番に重視する試験ではないため、大学側は受験生の人物面や将来への意欲も重視して選考を行います。

高校からの調査書や成績証明書も参考にはされますが、これまでの実績をまとめたものに過ぎません。一方で志望理由書は、受験生が描く未来や目標、考え方を直接伝える重要な役割を担っています。

どれほど成績や活動実績が優れていても、志望理由書の内容が不十分では、合格の可能性は低くなるでしょう。大学側は過去の実績だけで評価するのではなく、本人が自らの言葉でまとめた志望理由書も合わせて総合的に評価をします。大学で何を学び、将来どのように生かしたいかを志望理由書で示すことが、総合型選抜における合格の鍵です。

面接での質問は志望理由書から深掘りされる

総合型選抜の面接では、主に志望理由書に記載された内容を中心に深掘りする質問が投げかけられます。志望理由書は、面接で受験生に質問する内容を検討するための重要な書類です。同時に面接官が受験生に興味を持つきっかけにもなります。

そのため志望理由書には、自分の言葉で正直に記載することが欠かせません。人の言うとおりに書いたり背伸びした内容を書いたりしてしまうと、面接で深掘りされたときにうまく答えられない可能性があります。

志望理由書は、単なる提出物ではなく、面接に直結する情報源でもあることを意識することが大切です。自信を持って語れる内容を盛り込み、質問にも対応することを見据えたうえで、丁寧に作成しましょう。

活動報告書とは何が違う?

総合型選抜では、出願時に活動報告書の提出が求められることがあります。活動報告書とは、これまでの経験や実績を整理して伝える書類です。具体的には、部活動での表彰歴、学外活動で得た成果、取得した資格など、自分が積み重ねてきた努力や取り組みを記載します。

一方で志望理由書は、将来の目標や大学でどのように学びたいかを伝えるためのものです。活動報告書が「これまでの実績=過去」を証明する書類であるのに対し、志望理由書は「これからの目標=未来」を描く書類と位置づけられます。

このように、活動報告書と志望理由書は目的も内容も大きく異なります。総合型選抜で合格を目指すには、両方の書類の役割を理解し、バランスよく準備することが重要です。

総合型選抜の志望理由書のプロが語る「志望理由書の役割」

志望理由書の役割は以下の2点があることを押さえておきましょう。

  • 一番の役割は大学とのマッチ度(アドミッション・ポリシーとの一致度)を測る
  • 文章から論理的思考力を間接的に評価する

(福井先生)

総合型選抜で大学側に評価される志望理由書の共通点とは?

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大学側に高く評価される志望理由書には、いくつか共通する特徴があります。ここでは、総合型選抜で求められるポイントを整理し、4つの共通点を紹介します。

大学のアドミッション・ポリシーに一致している

総合型選抜で大学側に評価される志望理由書を作成するためには、アドミッション・ポリシーに一致した内容を盛り込むことが欠かせません。大学や学部は「求める学生像」を明確に定めており、その指針に沿って受験生を選考しています。

例えば「主体的に学びに取り組む学生」や「国際社会で活躍できる人材」など、重視するポイントは大学ごとに異なります。そのため、まずは志望大学や学部のアドミッション・ポリシーを丁寧に読み解くことが重要です。

そのうえで志望理由書には、大学が求める学生像に沿ったエピソードや思いを具体的に記載します。大学の期待に応える内容が伝われば、合格への可能性は一気に高まるでしょう。

志望する大学だけのアドミッション・ポリシーを見ても、どこがその大学の重視するポイントかがわかりにくいため、何校か見比べてみることをおすすめします。

活動実績と大学で学びたいことが結びついている

説得力を持つ志望理由書にするためには、これまでの活動実績と大学で学びたい内容が、自然に結びついていることが重要です。過去の経験と将来の目標に一貫性があると、説得力のある志望理由書になります。

例えば留学先で実際に差別を受けた経験があり、「いまだに根付く海外の差別について学びたい→海外の国際情勢や状況について学びたい」と書かれていれば、説得力が高まります。一方で過去の経験とまったく関連性のない志望理由を述べると、説得力に欠け、評価が下がる可能性が高いです。

志望理由書では活動したことをもとに何を考え、なぜそのテーマに興味を持ったかを記述できると、一貫性が強調されて大学側にアピールできるでしょう。

自分の言葉で説明できていて、一貫性がある

大学側に評価される志望理由書には、自分の言葉で説明できていて、一貫性のある内容が求められます。志望理由書はペーパーテストとは異なり、誰が書いたのかを直接確認できるわけではありません。

しかし、文章全体に一貫性があり、経験や思いが自然に表現されていれば、面接官にも真実味が伝わります。一方で過度に大げさな表現や、知識を誇示するだけの文章は不自然さが際立ち、かえって信頼を損なう結果となりかねません。

大切なのは、自身の体験や考えを素直な言葉でまとめ、将来の目標と結びつけることです。誠実な文章は読み手に安心感を与え、良い評価につながります。志望理由書では自分の言葉を使い、経験と志望動機に一貫性を持たせることを意識しましょう。

面接で深掘りされた際に、具体的に返答ができることが書いてある

大学側に評価される志望理由書には、面接で深掘りしやすい「材料」が盛り込まれていることが重要です。面接官は志望理由書をもとに質問を検討するため、話の広げやすさを意識して記載する必要があります。

例えば、過去の経験や努力してきたことを具体的に盛り込み、それが志望理由や将来の目標とどのようにつながっているのかを、わかりやすく説明しましょう。単なる実績の羅列ではなく、自分の強みや考え方を伝えるエピソードを用意しておくと、面接時に深いコミュニケーションが生まれます。

志望理由書は面接のための「設計図」と考え、自信を持って話せるテーマを意識的に組み込むことが大切です。

総合型選抜の志望理由書のプロが語る「志望理由書作成時のポイント」

志望理由書を書くときは、以下のポイントについてチェックしておきましょう。

  • 読み手の視点に立って文章が書けている。
  • その大学でなければいけない理由が書かれている。
  • 自分の考えが発展したプロセスを上手に表現できている。
  • 「なぜ? 例えば? ほかには?」と聞かれたときに答えられるよう、自分で構造を整理したり、咀嚼したりできている。

(福井先生)

総合型選抜の志望理由書を書くためのステップ

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志望理由書を効果的に仕上げるためには、正しい手順を踏むことが大切です。ここでは、総合型選抜の志望理由書作成について、5つのステップに分けてわかりやすく解説します。

ステップ①:自己分析

志望理由書作成の第一歩は、自己分析をしっかりと行うことです。自己分析とは、自分がどのような人間かを理解するための作業であり、具体的なエピソードや長所・短所、価値観などを洗い出していきます。

例えば、「部活動で優勝した経験」や「苦手を克服するための努力」など、自分の体験を細かく整理し、自分がとった行動とその理由、得られた結果をまとめることです。特に深掘りされた具体的なエピソードは、読み手の印象にも残りやすいです。

また、自己分析は面接対策にも有効です。志望理由書の内容と面接で話すことに一貫性が生まれ、自然な受け答えができるようになります。自分自身を深く理解することこそが、合格への基盤となるのです。

ステップ②:大学・学部のリサーチ

志望理由書を作成する際には、志望する大学や学部について、徹底的にリサーチすることが欠かせません。自己分析だけでは、志望動機に説得力を持たせることは難しいです。大学や学部のアドミッションポリシーに自分が合致しているか、学部の授業内容や取得できる資格が自分の目標に合っているかを確認する必要があります。

リサーチ不足だと「ほかの大学でもいいのではないか」という印象を与えかねません。志望する大学でなければならない理由を、自分の言葉で説明できるように準備してください。

オープンキャンパスの情報や、在学生・卒業生のインタビュー記事も参考になります。入念なリサーチによって、志望理由書の説得力と具体性を高めておきましょう。

ステップ③:書く材料をそろえる

総合型選抜の志望理由書を書くうえで説得力のある内容に仕上げるには、まず「材料」をそろえることが重要です。以下の4つの要素を意識して情報を整理していきましょう。

1.学部・学科の学修内容に興味を持ったきっかけ

「なぜこの学部・学科に関心を持ったのか」という原点を明確にすることが重要です。そのテーマに対してどのように熱意を持っているか、どのような取り組みをしてきたかを書きましょう。高校での学びや日常の出来事から関心を持つようになった経験でもかまいません。

2.大学卒業後の将来像

その学部での学びが、将来の夢や目標とどうつながっているかを説明しましょう。明確なビジョンがあると、入学後の姿がイメージしやすくなり、志望理由としての完成度が上がります。職業だけでなく、「社会にどう貢献したいか」などの視点も含められると理想的です。

3.大学で学びたいこと

単に「○○に興味があります」ではなく、「どのような授業に関心があり、それを通して何を学びたいのか」を具体的に書きましょう。オープンキャンパスなどを活用して、リアルな情報を盛り込むことで、志望度の高さを伝えることができます。

4.学びたいことについて自分なりに調べたこと

関心のある分野について自発的に調べた経験や、関連する本・ニュース・論文などに触れた内容を記載することで、主体的な学びへの姿勢をアピールできます。自分の言葉で要約したり、感じたことを交えて書いたりすると、熱意がより伝わります。

ステップ④:文章構成を整える

ステップ③でそろえた材料をもとに、志望理由書の構成を論理的かつ魅力的に組み立てていきましょう。以下のポイントを意識して整理すると、読み手にとってわかりやすく、納得感のある内容になります。

1.興味を持ったきっかけを明確にする

まずは「どのような体験や出来事がきっかけで、この学問分野やテーマに興味を持ったのか」を冒頭で示しましょう。これは読み手の関心を引き、志望動機に自然な流れを生み出す重要な部分です。できるだけ具体的なエピソードや背景を交えて伝えると、説得力が増します。

2.テーマについて自分なりに調べたこと・気づいた課題

次に関心を持ったテーマに対して、自ら調べたことや深掘りした内容を記述します。その過程で見つけた課題や疑問点などを盛り込むと、主体的な学びへの意欲が伝わります。これは、単なる興味で終わらず、次の行動につながっていることを示すためのステップです。

3.描いている将来像とその背景

テーマの延長線上に、どのような将来像を描いているのかを述べましょう。職業や研究活動など、できるだけ具体的なビジョンを示すとともに「なぜその将来像を目指したいのか」という理由も伝えると、志望理由書としての一貫性が生まれます。

4.その実現に向けて大学でどう学びたいか

最後に目標を実現するために大学でどのように学びたいかを具体的に書きます。興味のある講義やゼミ、研究室、学びたいスキルや知識を挙げ、それが将来像とどう結びついているかを説明するとよいでしょう。ここでは大学ごとの特色を反映させることもポイントです。

経験から得た学びが明確な志望理由書に仕上がります。表現だけに頼らず、構成から丁寧に整えましょう。

ステップ⑤:書いた後の見直し

志望理由書を書き終えた後は、必ず丁寧に見直しを行いましょう。特に注意したいことは、誤字や脱字、不自然な日本語表現です。

志望理由書は、学力テストや小論文とは異なり、時間をかけて作成できる書類です。そのため誤字や脱字が残ったまま提出すると「丁寧さに欠ける」「本気度が低い」と判断され、マイナス評価につながるおそれがあります。

また、「食べれる」「受けれる」などの「ら抜き言葉」は、使用は避けましょう。自分自身で繰り返し確認するのはもちろん、保護者や先生など、第三者に見てもらうことで、より客観的なチェックが可能になります。細部まで注意を払い、完成度を高めることが、志望理由書で合格をつかむために重要なポイントです。

総合型選抜の志望理由書のプロが語る「志望理由書作成時の3ステップ」 

自己分析

「自分には活動実績なんてない」と思う人も多いかもしれませんが、普段の授業のほか高校生活の行事や部活動など、日々の生活も自己分析の材料になります。自分の考え方の癖を言葉にしてみましょう!

大学のリサーチ

自分が進学する大学の4年間(6年間)が具体的にイメージできるようになるとベストです。公式サイトや大学パンフレットなどを活用して、調べてみましょう。

書いた後の見直し

志望理由書を自分で改めて構造的に理解するために重要なプロセスです!くれぐれも最後に生成AIに送って整えて終わり、なんてことのないように!

(福井先生)

総合型選抜の志望理由書を書くときの注意点は?

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志望理由書を書くときには、押さえておきたい重要な注意点があります。ここでは総合型選抜でよりよい評価を得るために、意識しておきたいポイントを解説します。

文字数制限に応じた取捨選択力が鍵

総合型選抜の志望理由書では、文字数制限に合わせた取捨選択力が重要です。多くの場合、用紙サイズや字数が決まっており、ルールを守らないと減点対象になる可能性もあります。

限られた文字数内で伝えたいことを的確に盛り込むためには、不要な情報を削る判断が求められます。文脈に支障がなければ、部活動や学校行事を紹介する際の詳細な名前は思い切って削り、志望理由に直結する要素を優先しましょう。無駄を省き、要点を絞った志望理由書が、読み手の印象に残りやすいです。

大学ごとの出題形式に注意

総合型選抜の志望理由書を書くときは、大学ごとの出題形式に十分注意する必要があります。志望理由書には、大学によって聞きたい内容が異なるため、特定の設問や条件が設けられていることが多いからです。

そのため、設問に対して明確かつ具体的に回答し、求められている情報を的確に盛り込むことが大切です。どれだけ内容が優れていても、設問に沿っていなければ評価は上がりません。

各大学の入試要項や公式ホームページをしっかりと確認し、設問の意図を正確に理解したうえで文章を作成しましょう。大学側が重視するポイントに的確に応えることが、合格への一歩へつながります。

総合型選抜を突破するために|合格を狙える志望理由書のパターン【例文付き】

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ここでは、大学や学部の特色に即した、志望理由書のパターンを例文付きで紹介します。学部ジャンル別に具体例を掲載しているため、実際の出願時に迷ったときの参考として、ぜひ活用してください。

ただし、こちらにある例文は、あくまで設問に指示がない場合の一般的な書き方の例です。実際には大学ごとのアドミッション・ポリシー、自分が今までやってきたことや考えたことが大事であるということを忘れないようにしてください。

例文①:国際関係を学びたい文系学生

私がやりたいことは、異なる文化や価値観を持つ人々と協働し、国際的な課題の解決に貢献することである。そのため、大学で国際関係学を専門的に学び、実践的な経験を積みたいと考えている。

そのきっかけは、高校で英語ディベート部に所属し、国際紛争や環境問題について議論を重ねたことである。この経験を通じて、国際社会が直面する課題には一つの正解がなく、多様な視点を理解し合う姿勢が不可欠であることに気づいた。

そこで私は、地域の国際交流イベントに参加し、留学生のサポートボランティアとして活動した。活動の中で、言語や文化の違いにより思いがうまく伝わらない場面に直面しながらも、対話を重ねて理解し合えたときの達成感は大きなものであった。この経験から、国際協働には語学力だけでなく、相手の立場や背景を尊重する姿勢が必要であると実感した。

私は、多文化共生と国際協力が自然に行われる社会の実現を目指している。現在の国際社会は、文化や価値観の違いによる摩擦が多発している状態にあり、その根底には相互理解や共感の不足があると考えている。だからこそ、対話と実践を通じて相互理解を深める教育や活動が重要である。そのために私は、将来的に国際機関職員となり、教育や協働プロジェクトを通じてこの課題に取り組みたいと考えている。

大学入学後は、1年次に国際関係論基礎などの導入科目を履修し、理論的な基盤を固めたいと考えている。2年次には海外フィールドスタディなどの実地プログラムに参加し、現地の課題を体感しながら自分の視野を広げたいと考えている。3年次からは異文化間協力のゼミに所属し、4年次の卒業論文では「国際協力における教育支援と共感形成の関係」というテーマを探究したいと考えている。

貴学での学びは、理論と実践を融合しながら国際課題に主体的に向き合う力を育むことができるため、〇〇大学を志望する。

 

総合型選抜の志望理由書のプロが語る「例文①の良いポイント」 

実際に国際交流イベントに参加し、そこから得た学びを自分なりに言葉にできているのが良いですね。

(福井先生)

例文②:情報分野を学びたい理系学生

私がやりたいことは、テクノロジーを活用し、高齢者と社会をつなぐ情報サービスを開発することである。そのため、〇〇大学で情報分野を学びたいと考えている。

そのきっかけは、祖母がスマートフォンの操作に苦労しており、オンラインでの行政手続きや医療予約ができずに困っていた姿を見たことである。その経験から、情報技術は人々の生活を便利にする一方で、すべての人にとって使いやすいわけではないという格差が存在することに気づいた。

この気づきをもとに、私は情報格差を埋めるためのアプリ設計について調査し、自主的にUI/UXやアクセシビリティに関する学修を始めた。その中で、単に技術を学ぶだけではなく、人間中心の視点を取り入れた設計が社会に定着するためには重要であると感じるようになった。

私は、誰もが使いやすい情報サービスが当たり前に存在する社会を実現したいと考えている。現在は、高齢者やITに不慣れな人々が情報社会から取り残されている状況にあり、その原因はユーザーの多様性を十分に考慮していないシステム設計にあると考えている。そのため、「ユニバーサルデザインやアクセシビリティを重視した情報サービスの設計」が有効であると私は考える。将来的にはUXデザイナーとして、誰もが安心して使える情報技術の開発と普及に取り組んでいきたいと考えている。

大学入学後は、1年次に情報倫理とプログラミング基礎などの基礎科目を履修し、2年次には「ヒューマンインタフェース実践ワークショップ」に参加して、現実社会の課題に即したUI設計プロジェクトに取り組みたいと考えている。3年次からは、〇〇教授のゼミに所属し、アクセシビリティ技術と人間中心設計について研究したいと考えている。そして、4年次には「高齢者向け健康管理アプリにおける操作性と継続利用に関するデザイン戦略」というテーマで卒業論文を執筆したいと考えている。

貴学での学びは、人とテクノロジーの共生を目指す実践的かつ社会的応用を重視したカリキュラムが整っているため、〇〇大学を志望する。

 

総合型選抜の志望理由書のプロが語る「例文②の良いポイント」 

具体的な学修テーマを設定できているのが良いですね。AIの登場により、今後情報系の学部で学ぶことも変化していくことが予想されますが、入学後、学修テーマの再設定をするとしても今回リサーチした経験が生かせると思います。

(福井先生)

例文③:芸術・デザイン系を志望している学生

私がやりたいことは、人の感情に寄り添い、社会との関係性を考えさせるようなアートやデザインを生み出すことである。そのため、〇〇大学で芸術やデザインを学びたいと考えている。

そのきっかけは、中学生のときに訪れた美術館で、震災をテーマにしたインスタレーション作品に出会い、強く心を揺さぶられたことである。その経験から、芸術には言葉ではうまく表現できない気持ちや記憶を、視覚や空間を通じて伝える力があることに気づいた。この気づきをきっかけに、自分でも伝える表現を模索しようと、イラストや写真を用いて人に何かを感じてもらう作品づくりを始めた。そこから、表現にはメッセージ性と構成力、そして受け取り手の多様性を意識した工夫が必要であるという新たな学びを得た。

私は、多様な人が自分の感情や経験に共鳴できるアートやデザインを世の中に送り出したいと考えている。現状は、どちらかといえば商業的・即物的な表現が優先されやすい時代にあり、その背景には表現の意味や意図が軽視される風潮があると感じている。だからこそ、鑑賞者が自身の記憶や価値観を重ねて受け取れる余白を意識した表現が大切であると考えている。将来的にはアートディレクターとして、人々の心に残る体験をデザインし続けたいと考えている。

大学入学後は、1年次に「芸術表現基礎」と「デザイン論概説」を受講し、2年次には「地域と協働するアートプロジェクト」に参加して、社会とつながることができるような表現活動に取り組みたいと考えている。3年次からは〇〇教授のゼミに所属し、「空間と感情の関係性をテーマとしたメディアアート」について研究し、4年次には「記憶を呼び起こすアートインスタレーションの制作と考察」というテーマで卒業制作に取り組みたいと考えている。

貴学での学びは、「個人の表現力を高めるだけでなく、社会とつながるアートのあり方を実践的に探求できる環境が整っている」と感じたため、〇〇大学を志望する。

 

総合型選抜の「志望理由書のプロが語る「例文③の良いポイント」 

芸術やデザインに関することを言葉で表現するのは、難しさを感じる部分もあると思います。そうした中で、自分なりのテーマを見つけて言語化できた経験は、今後大学で学んでいくうえでも大いに生かされるはずです。

(福井先生)

例文④:教育系を志望している学生

私がやりたいことは、すべての子どもが自分に自信を持って学び、生きていける教育環境をつくることである。そのため、〇〇大学で教育学を学びたいと考えている。

そのきっかけは、小学校のボランティア活動で不登校の児童と関わった経験である。その経験から、子どもが教室に来られなくなる背景には、学力だけでなく、人間関係や自己肯定感の問題が深く関係していることに気づいた。この気づきから、教育とは単に知識を教えることではなく、その子自身を理解し支える営みであるということを学び、より深く教育について知りたいと思うようになった。そこから、一人ひとりに応じた学びの支援には、発達心理や教育制度、学校現場の実態を理解することが欠かせないと感じた。

私は、子どもが安心して自分らしく学べる環境を実現したいと考えている。しかし現状は、多くの子どもが集団の中で“できない自分”に悩み、自信をなくしている状況にある。その背景には、画一的な評価や支援の不足があると考えている。そのため、個人に応じた学びと支援の仕組みをつくることが重要であると考えている。将来的には小学校教員として、子どもの気持ちに寄り添いながら、柔軟な教育の実現に取り組みたいと考えている。

大学入学後は、1年次に「教育原理」や「発達心理学基礎」を受講し、2年次には「教育現場での実地観察プログラム」に参加して、実際の教室での子どもの姿を見つめたいと考えている。3年次からは〇〇教授のゼミに所属し、卒業論文を執筆したいと考えている。

貴学での学びは、理論と実践の両面から教育を多角的に探求できるカリキュラムが整っていると感じたため、〇〇大学を志望する。

 

総合型選抜の志望理由書のプロが語る「例文④の良いポイント」 

卒論のテーマまで考えられているのは、とても良いことですね。実際には、大学生活の中でテーマが変わることも多く、必ずしも志望理由書に卒論テーマを明記する必要はありません。それでも、そこまでリサーチを重ねて学修内容を具体的にイメージできている点が評価できます。

(福井先生)

これはNG!落ちる志望理由書の共通点【改善例付き】

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いくら志望理由書に熱意がこもっていても、評価されにくい内容には共通点があります。

ここでは、選考で不利になりがちなNGパターンとその改善例を紹介します。

志望理由書を書く前に、避けるべき落とし穴を確認しておきましょう。

NG例文①:活動実績と大学で学びたいことに一貫性がない

高校では3年間サッカー部に所属し、県大会出場を目指して日々練習に励んできた。部活動を通じて体力や忍耐力が身につき、仲間と協力する大切さを学んだ。大学では心理学を学び、人の心の仕組みやカウンセリングについて深く理解したいと考えている。将来は臨床心理士として多くの人を支えたい。

高校時代の活動と大学で学びたい分野の間に関連性がない場合、説得力を欠く印象になりやすいです。

「なぜこの学びを志すのか」が伝わらず、評価者に動機の弱さを感じさせてしまいます。

改善例は以下のようになります。高校で取り組んできた活動と、大学で学びたい内容の間に明確な接点を設けましょう。

【改善例】

高校では3年間サッカー部に所属し、県大会出場を目指して日々練習に励んできた。部活動の中で、試合前に極度の緊張から本来の力を発揮できない仲間や、自信を失いかけている後輩の姿を目の当たりにしたことがある。その際、声かけや相談に乗ることで仲間の気持ちが前向きに変化し、チーム全体の雰囲気が良くなるという経験をした。この体験から、人の心の動きやメンタルサポートの重要性に強い関心を持つようになった。大学では心理学を学び、スポーツや日常生活の中で人を支えられるカウンセリング技術や知識を身につけ、将来は臨床心理士として多くの人を支えたいと考えている。

NG例文②:抽象的な話が多く、具体的な内容になっていない

「人の役に立ちたい」「社会に貢献したい」といった表現だけでは、志望理由としての説得力に欠けます。
抽象的な言葉ばかりが並ぶと、評価者はその人ならではの背景や考えを感じ取れません。結果として、ほかの志望理由書と差がつかない状態になってしまいます。

私は昔から人と関わることが好きで、誰かの役に立ちたいと考えてきた。高校生活ではさまざまなことに挑戦し、多くの経験を積むことができた。大学では自分の可能性を広げ、社会に貢献できる人間になりたい。将来は人の役に立つ仕事に就きたいと考えており、そのために貴学で幅広い知識を身につけたい。

改善例は以下のようになります。抽象的な表現を避け、具体的な体験や気づきを盛り込むことで、内容に説得力を持たせましょう。

【改善例】

私は高校時代、地域の高齢者施設でボランティア活動を続けてきた。利用者の方々と一緒にレクリエーションを企画・運営する中で、コミュニケーションの大切さや、人に寄り添う姿勢の重要性を強く感じた。特に、認知症の方が私の声かけをきっかけに自分の名前を思い出し、笑顔を見せてくださった瞬間は、今でも忘れられない経験である。この体験から、福祉や心理の分野に強い関心を持つようになった。大学では福祉心理学を専門的に学び、高齢者やそのご家族を支える具体的な支援方法を身につけたい。将来は、地域に根差した福祉の現場で、一人ひとりに寄り添える専門職を目指したい。

NG例文③:熱意だけで構成されていて、根拠や裏付けがなく説得力に欠ける

「どうしてもこの大学で学びたい」「強い憧れがある」といった熱意の表現だけでは、選考を通過するには不十分です。

志望の理由に対して、客観的な根拠や体験に基づく裏付けがなければ、説得力を持たせることはできません。

結果として、思いが空回りしてしまう印象を与えてしまうおそれがあります。

私は昔からパソコンやインターネットに興味があり、情報技術の発展に強い魅力を感じている。大学では情報について幅広く学び、将来はIT業界で活躍できる人材になりたいと考えている。貴学の情報学部は最先端の技術を学べる環境が整っていると聞いており、ぜひその中で自分の夢を実現したい。私は誰にも負けない熱意があるため、入学後は積極的に勉学に励み、社会に貢献できるエンジニアを目指す。

改善例は以下のようになります。熱意を伝えるだけでなく、その思いに至った背景や具体的な根拠、裏付けとなる経験を盛り込むことで、説得力のある志望理由書になります。

【改善例】

私はコミュニケーション力や問題解決力を強みとしている。高校では文化祭実行委員としてチームで企画運営を行い、メンバー間の意見調整やスケジュール管理を担当した。その際、Excelを活用して進行表や予算管理表を作成し、効率的な情報共有に努めた。また、部活動ではトラブルが発生した際に原因を整理し、解決策を提案する役割を担い、論理的に物事を考える力を養うことができた。

さらに、情報分野の基礎知識を深めるためにITパスポート試験にも挑戦し、合格している。これまでに培ってきたITリテラシーや資料作成のスキルを生かし、貴学でさらに知識と経験を積み、社会に貢献できる情報技術者を目指したいと考えている。

 

総合型選抜の志望理由書のプロが語る「最初はNG例を書いてしまうこともある」

ここに書いてあるNG例は、多くの受験生が書きがちなものです。今NG例を書いてしまっているからもう受からない、と思うのではなく、添削を受けながら必要な要素を徐々にで良いのでそろえていきましょう。

(福井先生)

併願する際の注意点は?

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ここでは、総合型選抜を併願するときの注意点を紹介します。

志望理由書の内容は自分の言葉で語れるものにしておく

志望理由書は、書類選考だけでなく、面接でも重要な役割を果たします。面接官は志望理由書の内容をもとに質問を組み立てるため、自分の言葉でしっかりと語れる内容にしておくことが大切です。

志望理由書の作成段階で、面接で深掘りされたときに答えにくい内容は避けましょう。等身大の自分を伝えられ、一貫性のある志望理由書を目指すことで、面接での回答の説得力が増し、より信頼感を持ってもらいやすくなります。

大学ごとの特色をどう書き分けるか

総合型選抜で複数の大学を併願する場合は、それぞれの大学の特色に合わせて志望理由書を作成します。大学ごとにアドミッション・ポリシーや重視するポイントは異なるため、同じ内容を流用するのでは不十分です。

自己分析で洗い出したエピソードや強みの中から、志望する大学に合致するものを選び、個別に志望理由書に盛り込みましょう。「なぜこの大学でなければならないのか」を明確に書くことで、入学の意思がより伝わる志望理由書に仕上がります。

併願校ごとに内容をきめ細かくアレンジすることが、合格への大きな一歩となります。

過去の志望理由書をそのまま使うのはNG

併願対策において、過去に作成した志望理由書の要素をほかの大学でも用いることは可能です。ただし、内容をそのまま使うのは避けましょう。大学ごとに求める人物像やアドミッション・ポリシーは異なるため、設問を確認しそれに合った内容かを吟味してから修正を加えてください。

過去の志望理由書を生かす際も、その大学に合った内容にブラッシュアップすることが必須であることを覚えておきましょう。

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総合型選抜の志望理由書でよくある質問

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総合型選抜の志望理由書に関しては、多くの受験生が共通して抱える疑問があります。ここでは総合型選抜の志望理由書でよくある質問を取り上げ、詳しく解説します。

志望理由書は「です・ます調」と「だ・である調」どちらで書くべきですか?

志望理由書を書くときは、「だ・である調」で書くことをおすすめします。

前提として、総合型選抜の志望理由書を書く際、文体は「です・ます調」または「だ・である調」のいずれかに統一することが必要です。文体が混在していると、読みづらさを与えるだけでなく、丁寧さや文章力にも疑問を持たれる可能性があります。

特に大学から文体の指定がない場合は、どちらを選んでも問題はありません。しかし「だ・である調」のほうが字数が少なく済むため、文字数あたりの情報量を増やせますし、小論文でも使用する文体のため混乱しにくいでしょう。

普段から文体を意識して文章を書く練習を積んでおくと、志望理由書の作成時にも慌てずに対応できるようになります。細部まで丁寧に仕上げれば、読み手に信頼感を与えるでしょう。

志望理由書で書いてはいけないNGワードはありますか?

志望理由書を書く際には、避けたほうがよいNGワードや表現があります。例えば「さまざまな」「多様な」「いろいろな」といった抽象的な言葉は、具体性に欠け、志望動機の説得力を弱めてしまいます。

また自己評価を下げる表現や、他大学と比較して志望校を持ち上げるような書き方も避けましょう。これらは「やる気がない」「消去法で選んだ」といった誤った印象を与える可能性があります。

志望理由書を書くときには、ポジティブで具体的な言葉を選び、自分の意欲と志望理由を明確に伝えましょう。

志望理由書のエピソードは創作してもよいですか?

志望理由書を書くときに、エピソードを創作することはおすすめできません。万が一、事実と異なる内容が判明すると、合格取り消しや母校への影響など、大きな問題につながる可能性があります。

「実際に経験していないことを書く」「持っていない資格を記載する」といったことは避けましょう。仮に書いたとしても、面接でバレてしまうリスクがあります。志望理由書は、これまでの自分自身の経験をもとに、素直な思いや成長を伝えることが大切です。また倫理的にも創作するのは避けたほうがよいでしょう。

たとえ目立つ実績がなくても、エピソードを深掘りしていけば、十分に魅力を伝えることができます。誠実にそこから自分が学んだことを表現することが、合格への近道です。

志望理由書は何文字くらい書くべきですか?

総合型選抜の志望理由書では、指定された文字数の9割以上を書くことを目指しましょう。例えば1,000文字以内と指示されている場合は、最低でも900文字以上を記載するのが理想です。ただし情報量は多いほうがよいので、実際に書いてみると基本は多めに書いて削ることになります。上限いっぱいまで書きましょう。

文字数が大幅に少ないと、大学側に熱意や準備不足を疑われてしまう可能性があります。また用紙に罫線が引かれている場合は、最終行までしっかりと書き切ることも大切です。

限られた文字数の中で自分の思いを最大限に伝えるためには、内容を厳選し、無駄のない構成を心がけましょう。誠意を持って書き上げた志望理由書は、大学側に好印象を与えるはずです。

総合型選抜の志望理由書のプロが語る「よくある質問」

実際に指導にあたっている中で、上記以外にもよく受ける質問をご紹介しておきます。

合格した先輩の書類の内容をそのまま使うのはNGですか?
⇨一つの例として、構成を参考にするのは良いが、内容やテーマをまねるのは絶対NGです。

生成AIを使って良いですか?
⇨大学ルールでNGなことも多いです。仮に許可されていても使わないことをお勧めします。自分の言葉で思考を組み立てることが面接でも重要なためです。

(福井先生)

まとめ|志望理由書は総合型選抜の“合格の鍵”

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総合型選抜において、志望理由書は“合格の鍵”となる最も重要な書類の一つです。単に志望動機を述べるだけでなく、大学のアドミッション・ポリシーに一致しているか、活動実績と学びたい内容が結びついているかが問われます。

また、志望理由書に書いた内容を、自分の言葉で一貫性を持って説明できることや、面接で深掘りしやすい「材料」が盛り込まれているかどうかも重要なポイントです。

本記事では、総合型選抜で重要な志望理由書の書き方を、具体的な例文とともに解説しました。併せて大学側から評価される志望理由書の共通点も紹介したため、ぜひ参考にしてください。しっかりと準備を整え、合格に向けた第一歩を踏み出しましょう。

執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部
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塾選ジャーナル編集部

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

監修者プロフィール

福井悠紀
総合型選抜専門塾AOI 進学情報研究部
福井悠紀

1995年、大阪府生まれ。京都大学経済学部経済経営学科卒業。大学3年生次にAOIの創業に参画し創業当時から志望理由、面接、小論文の指導を行う。塾内の教材開発にも長年にわたり携わってきた。

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