指定校推薦とは?公募推薦との違いから校内選考の対策・注意点まで徹底解説

「指定校推薦ってどういう仕組み?」「公募推薦や総合型選抜とはどう違うの?」― そんな疑問を持つ受験生や保護者の方も多いのではないでしょうか。
指定校推薦とは、大学が特定の高校に「推薦枠」を設け、その高校の生徒のみが応募できる推薦入試制度。学校内で選考されたうえで推薦されるため、合格率が非常に高いのが特徴です。ただし、校内選考や評定平均、進路の制約など、理解しておきたいポイントも多くあります。
本記事では、指定校推薦の制度の基本から公募推薦・総合型選抜との違い、校内選考に向けた対策、メリット・デメリットや注意点までわかりやすく解説します。
指定校推薦を検討している方はもちろん、迷っている方も、ぜひ進路選択の参考にしてください。

編集部
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指定校推薦とは?まずは制度の基本から
指定校推薦とは、大学があらかじめ指定した高校に推薦枠(いわゆる「指定校枠」)を設け、その枠の中で推薦された生徒だけが出願できる学校推薦型選抜の一種です。このほかにも、学校推薦型選抜にはもう一つ「公募推薦」と呼ばれる選抜方法があります。
この制度では、高校の校長による推薦書が必須となるため、成績や出席状況、学校生活の態度など、総合的な評価をもとに校内選考が行われます。
指定校推薦の大きな特徴は、自分の高校が推薦枠のある「指定校」でなければ応募できないという点です。これは、大学が過去の進学実績や教育内容などをもとに高校を選定しているためで、仮に学力が優秀であっても、指定校に含まれていなければ出願はできません。
さらに、推薦枠は1校あたり1〜3名程度と限られていることが多く、人気大学・人気学部ほど校内競争が激しくなります。
つまり、指定校推薦を狙うには、まず在籍高校内での選抜を勝ち抜くことが第一関門となるのです。
指定校推薦がもつ3つの特徴
指定校推薦には、一般入試や総合型選抜とは異なる独自の仕組みと注意点があります。特に以下の3点は、出願前に必ず理解しておきたい重要な特徴です。
- 合格したら入学が必ず求められる「専願受験」
- 出願する前に校内選考を通過する必要がある
- 高い合格率を誇る
合格したら入学が必ず求められる「専願受験」
指定校推薦は、大学と高校の間に築かれた信頼関係に基づいて運用されている制度です。そのため、合格した場合は必ずその大学に入学する「専願」が前提条件となります。
受験できるのは基本的に1校のみで、合格後の辞退は不可。辞退や他大学への進学は、高校の信用にかかわる重大な問題とみなされ、翌年度以降の指定校推薦枠に影響を及ぼす可能性もあります。
このため、指定校推薦を受けるには「その大学に絶対に進学したい」という強い志望動機が必要です。単に「受かりやすいから」「評定が足りているから」といった理由だけで安易に選ぶことは避けましょう。
出願前には、学部・学科の内容やキャンパスの雰囲気、将来のキャリアとの相性などを総合的に確認し、心から第一志望といえる大学かどうかをしっかり見極めることが大切です。
出願する前に校内選考を通過する必要がある
指定校推薦では、出願前に在籍高校内で行われる「校内選考」に通過することが必須条件となります。たとえ志望大学に指定校推薦枠があったとしても、自動的に出願できるわけではありません。
各高校には大学からあらかじめ決められた推薦枠(例:◯大学△学部に1名)があります。もしその枠に複数の希望者が集まった場合、高校内で選抜が行われ、最終的に出願できるのは1人のみとなります。
校内選考の主な基準には、以下のような要素があります。それぞれについては、後ほど詳しく解説していきます。
- 評定平均のスコア
- 外部検定や課外活動
- 欠席日数
校内選考では「評定の高さ」だけでなく、日頃の生活全体が評価に直結するのがポイントです。指定校推薦を目指すなら、高1のうちから定期テストに力を入れるのはもちろん、欠席や遅刻を避け、真面目に学校生活に取り組む姿勢が大切になります。
高い合格率を誇る
指定校推薦は、校内選考を通過すれば合格できる可能性が非常に高い入試方式です。実際、大学側が指定校として推薦枠を出す時点で、その高校の推薦を信頼しているため、合格率はほぼ100%に近いともいわれています。
そのため、指定校推薦入試において最大の関門は、出願前の校内選考です。大学の合格通知をもらえるかどうかは、すでに高校内の選考段階でほぼ決まるといっても過言ではありません。
その分、しっかりと準備をして校内選考に通過すれば、合格への道は一気に近づくのが指定校推薦の大きな魅力といえるでしょう。
国公立大学と私立大学での違いは?
指定校推薦は、私立大学が独自に設けている推薦入試制度であり、基本的に国公立大学では実施されていません。
国公立大学で行われる推薦入試は、同じ「学校推薦型選抜」に分類されるものの、公募推薦が中心であり、すべての高校にチャンスがある開かれた制度となっています。つまり、「指定校」という形で高校を限定して推薦枠を設ける方式は、原則として私立大学のみに見られる特徴です。
そのため、「国立大学の○○に指定校推薦で入りたい」といった希望は叶わない仕組みになっており、指定校推薦で進学したい場合は、私立大学を第一に検討する必要があります。
公募推薦との違いは?
指定校推薦と公募推薦には、大きく分けて3つの違いがあります。
- 出願資格が限定されているかどうかの違い
- 推薦枠の数の違い
- 合格率の違い
ここでは、それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
出願資格が限定されているかどうかの違い
出願資格の面では、指定校推薦と公募推薦に明確な違いがあります。
公募推薦は、学校長の推薦さえあれば出願が可能です。高校がどこであっても、大学が定める条件を満たしていれば受験できます。全国の高校生に開かれた入試方式といえるでしょう。
一方、指定校推薦は、大学があらかじめ指定した高校の生徒のみが対象です。指定された高校に通っていなければ、そもそも出願することができません。
また、公募推薦は私立大学に加え、国公立大学でも導入されています。対して、指定校推薦は私立大学が中心で、国公立ではほとんど実施されていません。
推薦枠の数の違い
推薦枠の数も、指定校推薦と公募推薦の大きな違いの一つです。
指定校推薦では、大学から各高校に対して推薦人数の上限が設定されています。例えば「◯◯高校からは2名まで」といった形でオファーが届くため、校内での選考を経た生徒のみが推薦を受けられます。
特に人気の大学や学部では、この校内選考の倍率が高くなる傾向があります。高校内で推薦を獲得するだけでも、ある程度の成績や人物評価が必要となるでしょう。
一方、公募推薦には、基本的に高校ごとの推薦枠の上限は設けられていません。大学が定めた出願条件を満たしていれば、原則として誰でも出願資格を得られます。
このため、指定校推薦では枠から外れた場合でも、公募推薦で再び挑戦できるケースもあります。複数の進路の選択肢を持ちたい人には、公募推薦の柔軟さがメリットといえるでしょう。
合格率の違い
指定校推薦と公募推薦では、受験時の合格率に大きな違いがあります。
指定校推薦は、各高校での校内選考を通過した生徒のみが出願するため、大学が指定した募集人数と受験者数が基本的に一致します。この仕組みにより、合格率は非常に高く、実質的にはほぼ100%に近い結果となるのが一般的です。
よほどの不備や態度不良がない限り、不合格になるケースはまれです。
一方、公募推薦は、大学ごとに定められた出願条件を満たせば多くの生徒が出願できます。そのため、試験には倍率が発生し、必ずしも合格できるとは限りません。
特に、国公立大学や人気のある私立大学・学部では倍率が高くなる傾向にあります。公募推薦とはいえ、競争の厳しさは一般選抜に近いと考えておくべきでしょう。
公募推薦については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
総合型選抜との違いは?
指定校推薦と混同されがちな入試方式に「総合型選抜(旧AO入試)」がありますが、この2つは出願資格・選考方法・評価基準のすべてが大きく異なります。
総合型選抜は、学校からの推薦が不要で、基本的には誰でも出願できる「自己推薦型」の入試です。評価の中心は、志望理由書や課外活動の実績、小論文、面接、プレゼンテーションなど。大学が求める人物像(アドミッション・ポリシー)にどれだけ合致しているかが合否を左右します。
一方、指定校推薦は「高校の推薦」が出願の必須条件です。校内選考を通過したうえで、大学が指定した高校の生徒しか受験できない点が大きな違いです。また、指定校推薦では学力(評定平均)や生活態度などの学校での評価が重視されます。
総合型選抜については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
指定校推薦の出願条件は?
ここでは、指定校推薦の出願条件を解説します。
評定平均のスコアが重要!
指定校推薦では、出願資格の第一条件として「評定平均◯以上」といった明確な学力基準が設けられているのが一般的です。
評定平均とは、高校で履修した全科目の評定(5段階評価)の合計を、科目数で割って算出される数値です。多くの大学では、高校1年生から高校3年生1学期までの成績が対象となります。
また、出願の前段階である校内選考に進むにも評定平均は重要な判断材料となるため、高校1年生からの積み重ねがものをいいます。一部の高校では、学年順位や各学年の評定の推移も加味されることがあるため、早い段階から定期テスト対策や提出物管理にしっかり取り組むことが大切です。
評定平均は指定校推薦における「足切りライン」にもなりうるため、高校生活を通じて安定した成績を維持する意識が重要といえるでしょう。
外部検定・課外活動の実績が評価されることも
指定校推薦では、評定平均などの成績条件が最も重視されますが、大学や学部によっては外部検定や課外活動の実績が加点対象になることもあります。
- 英検®(実用英語技能検定)やTOEIC、GTECなどの語学系検定
- 簿記、情報処理技能検定などの資格
- ボランティア活動、部活動の実績、コンクール受賞歴
課外活動の経験は「主体性」や「協調性」などの人物評価にプラス材料として働くこともあり、志望理由書や面接でのアピール材料として有効です。
出願条件や評価項目は大学・学部ごとに異なるため、指定校推薦を希望する場合は高校を通じて早めに詳細を確認しておくことが重要です。
欠席日数には十分注意
指定校推薦の出願条件や校内選考では、欠席日数や遅刻・早退の回数が重要な評価項目になることがあります。
多くの高校や大学では、学力だけでなく「生活態度」や「継続的な出席状況」も評価基準として重視されており、出席率の低さは信頼性に欠けると判断される可能性があります。
なお、体調不良ややむを得ない事情による欠席の場合でも、出席停止や忌引き扱いかどうかでカウント方法が変わる場合があるため、日頃から担任や進路指導の先生と情報を共有し、正しく記録を残しておくことが大切です。
指定校推薦のスケジュールは?
時期 | やっておきたいこと |
---|---|
高校2年生の冬 | 指定校推薦を受験するかどうか決める |
高3の7月頃まで | 志望校や出願学部を最終決定し、必要書類や検定試験の準備を進める |
高3の10月頃まで | 学校活動に取り組み、校内選考を突破する |
高3の11〜12月 | 大学に出願し、合格 |
指定校推薦を目指すうえで、スケジュール管理は合格への第一歩です。指定校推薦は一般入試よりも早い時期から準備と選考が進むため、高2の段階から動き始める必要があります。
ここでは、高校2年生の冬から高校3年生の秋・冬まで、どのような流れで校内選考や出願、試験が行われるのか、時期ごとの具体的なステップをわかりやすく解説します。
高2の冬までに指定校推薦を受験するかどうか決めておく
指定校推薦を目指すなら、高校2年生の冬までに受験の意思を固めておくことが非常に重要です。
というのも、指定校推薦では多くの高校で高2の秋から冬にかけて「進路希望調査」などが行われます。この段階で推薦枠の希望者が把握され、校内選考に向けた準備が始まるためです。
そのため、指定校推薦を検討している場合は、
- 高校2年生のうちに進学希望先をある程度絞っておくこと
- 自分の高校がどの大学の指定校になっているか調べること
- 定期テストの成績や出席状況を見直し、評定平均を意識した学習を行うこと
が必要です。
また、指定校推薦は「専願」のため、ほかの入試方式と比較検討しつつ、最終的に第一志望として受験できるかをよく考えて判断することが求められます。
迷った場合は、担任や進路指導の先生に早めに相談しておくと、推薦枠の傾向や注意点をアドバイスしてもらえるでしょう。
高3の8月頃までに募集要項発表
指定校推薦の出願準備は、高校3年生の春から本格化します。
まずは、高3の7月頃までに志望校や出願学部を最終決定し、必要書類や検定試験の準備を進めておくことが大切です。
そして、毎年8月頃までに、各大学から指定校となっている高校へ募集要項(推薦依頼書)が通知されます。この書類には、「募集する学部・学科」「推薦枠の人数」「評定平均などの出願条件」「出願スケジュール」「選考方法(書類・面接・小論文の有無など)」が書かれています。
この段階で、高校は推薦枠の数に応じて校内選考のスケジュールや手順の準備に入ります。つまり、8月の時点で学校全体の推薦に向けた動きが一気に加速するのです。
指定校推薦は、一般入試に比べてスケジュールが早いのが特徴です。そのため、高3の夏までに「どの大学を志望するか」「推薦枠が自分の高校にあるか」「必要な評定平均や資格を満たしているか」などを確実に確認しておくことが合格への第一歩となります。
高3の10月頃までに校内選考
指定校推薦では、大学への出願に先立って、高校内での「校内選考」を通過することが必須となります。出願者の募集は、例年9月下旬から10月上旬にかけて締め切られ、その後すぐに校内選考が行われます。
校内選考では、高校1年生から高校3年生の1学期までの評定平均が大きな判断材料になります。特に指定校推薦は、評定基準が高めに設定されている大学も多いため、一部の教科に苦手があると推薦枠の基準を満たせない場合もある点に注意が必要です。
また、選考基準は成績だけではありません。出席状況など、高校生活全体の取り組み姿勢も総合的に評価されます。
校内選考は、指定校推薦の合格を左右する最大の関門ともいえる重要なステップです。高校生活の積み重ねがここで評価されるため、日頃から真摯に学業や学校活動に取り組む姿勢が問われるといえるでしょう。
高3の11〜12月にかけて実施・合格発表
指定校推薦における校内選考を通過した受験生は、11月以降に大学へ正式出願を行います。出願時期や選考方法は大学ごとに異なりますが、おおよそ11月上旬に出願締切、11月中旬〜下旬に試験、12月上旬に合格発表という流れが一般的です。
大学が実施する選考内容は、小論文、面接、口頭試問などさまざま。これらの試験内容は、大学・学部ごとに大きく異なるため、必ず事前に「募集要項」や「受験案内」を確認し、十分な対策を講じることが重要です。
また、大学側は高校から推薦された生徒に対して信頼を置いているため、選考は形式的なものにとどまる場合も少なくありません。そのため、一度校内選考に通過すれば、大学の試験で不合格になるケースは極めてまれといわれています。
さらに、12月上旬には合否結果が出るため、年内に進路が確定する点も指定校推薦の大きなメリットです。受験のストレスや不安を早期に解消し、高校生活の残りを充実させられるという利点があります。
指定校推薦の選考方法は?
指定校推薦は校内選考を通過した後、大学での本選考へと進みます。この段階では「志望理由書による書類選考」や「小論文・面接」などが実施されるのが一般的です。
このセクションでは、大学側の選考方法がどのように行われるのかを詳しく解説します。
志望理由書をもとにした書類選考
指定校推薦では、多くの大学で志望理由書を中心とした書類審査が選考の第一ステップとなります。
志望理由書では、単に「行きたいから」という動機ではなく、「自分の興味・関心がどこにあるか」「なぜその大学・学部で学びたいのか」「将来のビジョンと大学での学びのつながり」といった点を論理的かつ具体的に記述することが求められます。
また、多くの大学がアドミッション・ポリシー(入学者受け入れ方針)を公開しており、その内容と自分の資質や目標が合致していることを示すと、説得力のある志望理由書になります。
さらに、指定校推薦は原則として合格後の辞退ができない専願制の入試であるため、「なぜこの大学でなければならないのか」という理由も明確にしておく必要があります。
小論文・面接・口頭試問の実施
指定校推薦では、ほとんどの大学で面接試験が実施されます。さらに、大学や学部によっては小論文や口頭試問が課される場合もあります。こうした選考は、学力だけでは測れない人間性や学びに対する姿勢を確認するための重要なプロセスです。
面接の内容と評価ポイント
多くの大学では、志望理由書の内容に基づいた個人面接または集団面接が行われます。主な質問内容には、以下のようなものがあります。
- なぜこの大学・学部を志望したのか(志望理由)
- 入学後に学びたい内容や将来の目標
- 高校生活で力を入れたことや得た学び
面接では、結論を先に述べ、理由や具体例を交えて話す構成力が問われます。また、受け答えの論理性や姿勢、礼儀、表情なども評価の対象となります。単に言葉で説明するだけでなく、「大学で学びたい」という熱意が伝わるように心がけましょう。
小論文・口頭試問を実施する大学も
一部の大学では、面接に加えて小論文や口頭試問を取り入れています。
- 小論文:志望学部に関連するテーマについて自分の考えを論理的に述べる記述試験。論理構成や知識、表現力が求められます。
- 口頭試問:教授との質疑応答を通じて、知識の深さや柔軟な思考力、応答力を見られます。
志望理由書と面接内容に一貫性を持たせることが、信頼感のある受け答えにつながります。また、事前に募集要項や過去の傾向をよく確認し、練習を重ねておくことが安心材料になるでしょう。
指定校推薦で対策すべきポイントは?
では、指定校推薦ではどのようなポイントを対策すべきなのでしょうか。ここでは、指定校推薦を突破するうえで重要なポイントを解説します。
定期テストに取り組んで評定平均を上げる
指定校推薦では、校内選考、大学側の本選考いずれにおいても、評定平均が出願条件として最も重視されます。評定は高校1〜2年の成績も反映されるため、できるだけ早い時期から意識して対策することが重要です。
評定平均に大きな影響を与えるのは、定期テストの点数です。学習内容をしっかり定着させるために、日頃から予習・復習を習慣づけましょう。わからない部分は放置せず、先生や友人に質問して早めに解決することが得点アップにつながります。
指定校推薦では、「テスト前だけ頑張る」だけでは通用しないのが実情です。定期テストで高得点をキープし、提出物を期限内に丁寧に仕上げるなど、日々の積み重ねが校内選考突破のカギとなります。
課外活動や学校活動に全力で取り組む
指定校推薦の選考では、学業成績(評定平均値)に加えて、課外活動や学校生活への取り組みも重視される傾向があります。特に校内選考で応募者が多い場合、学力では差がつかないケースもあるため、日常の活動における「主体性」や「継続力」「リーダーシップ」などが評価対象となります。
例えば、以下のような課外活動は、学校側からの評価につながる可能性があります。
- 生徒会や委員会活動
- 部活動
- 地域ボランティアや社会活動
また、英検®などの外部検定試験や資格の取得も、校内選考や大学の出願条件において評価されるポイントです。大学によっては、特定の級以上の取得を条件とする場合もあるため、志望校の募集要項を早めに確認しておくことが重要です。
このように、課外活動や資格取得は「自分の強み」を形として見せることのできる貴重なアピール材料です。志望校の指定校推薦枠を目指すのであれば、日々の学校生活すべてが評価対象になるという意識を持ち、勉強と並行して積極的に取り組む姿勢が求められます。
志望理由書などの書類対策
指定校推薦では、面接や小論文に加え、多くの大学で志望理由書の提出が必須となっています。志望理由書は、学力だけでは見えない「受験生の人物像」や「大学との相性」を判断する重要な材料です。
この志望理由書には、その大学・学部を選んだ具体的な理由や背景、入学後にどのように学びたいか、そして将来の進路にどうつなげたいかを明確に記述する必要があります。単なる「興味があるから」ではなく、高校生活での体験や学びと志望理由がどう結びついているかまで言及できると説得力が増します。
さらに、各大学が掲げるアドミッション・ポリシー(求める学生像)に自分の強みや将来像がどのように合致しているかも意識しましょう。内容に一貫性があり、「大学にとって必要な人材」と思ってもらえるかが評価のカギとなります。
志望理由書を書き上げたら、必ず第三者に読んでもらいましょう。学校の先生や塾の講師に添削をお願いすることで、内容の深掘りや論理の流れ、言葉遣いの適切さなどを客観的にチェックしてもらえます。
特に誤字脱字や曖昧な表現は自分では気づきにくいため、添削のフィードバックを活用して仕上げの完成度を高めることが合格への近道です。
小論文・面接は第三者の目線で
小論文や面接の対策についても、第三者からのフィードバックを受けながら、繰り返し練習して慣れることが重要です。自己流だけで完結せず、他人の目を通すことで内容の精度が高まります。
小論文では、与えられた課題やテーマに対して自分の意見を述べるだけでなく、その根拠や具体例を添えて論理的に説明する力が求められます。主張と理由の一貫性、文章構成の明瞭さが評価ポイントです。
さまざまなテーマで練習を重ねることで、構成力・語彙力・論理的思考力が身についていきます。模範解答を読んだり、添削指導を受けたりすることで、自分の弱点にも気づけるようになります。
面接においても同様です。志望理由や自己PRに一貫性があるか、受け答えに誤解を生まないかなど、第三者の視点で客観的に確認してもらいましょう。模擬面接は効果的な対策の一つです。
本番で実力を出すには、内容の精度と慣れの両方が必要です。場数を踏むことで、自信を持って臨めるようになります。
指定校推薦のメリットは?公募制とここが違う!
指定校推薦には、公募推薦などほかの入試方式にはない独自のメリットがあります。ここでは、受験生にとって特に魅力的なポイントを、ほかの入試方式との違いに注目しながら見ていきましょう。
ほかの推薦入試よりも合格率が高い
指定校推薦は、大学と高校の信頼関係のうえに成り立つ入試制度であるため、合格率が非常に高いのが最大のメリットです。
大学が各高校に「推薦枠(募集人数)」をあらかじめ提示し、その枠内で校内選考を通過した生徒を大学側が受け入れるという仕組みであるため、大学側での不合格はほとんど発生しません。
一方、公募推薦や総合型選抜などほかの推薦入試では、出願条件を満たしていても大学独自の選考(小論文、面接、実技試験など)で不合格となる可能性があります。これに対し、指定校推薦は「校内選考さえ通ればほぼ合格」という点で、精神的にも安定して準備ができる入試形式といえます。
自分の学力より高いレベルの大学に合格するチャンス
指定校推薦は、評定平均や校内での評価が重視される入試方式であり、一般選抜(学力試験中心)とは異なる評価軸で選考されるのが大きな特徴です。指定校推薦の試験では、多くの大学で学力試験は課されず、主に面接・小論文・志望理由書などで合否が判断されます。
そのため、普段の定期テストや授業態度などを反映した「評定平均」をしっかりと維持していれば、模試や一般入試では届かないレベルの大学にも合格できる可能性があるのです。これは、指定校推薦ならではの大きな魅力といえるでしょう。
模試での偏差値が足りなくてもあきらめる必要はありません。日々の努力と継続した成績管理が、ワンランク上の進学先を実現する鍵になるのです。
受験費用を抑えられる
指定校推薦の大きなメリットの一つに、受験にかかる費用を抑えられるという点があります。一般入試などほかの選抜方法の場合、1校につき3万円〜3万5,000円程度の受験料が必要です。複数校を受験するケースでは、10万円を超えることも珍しくなく、家計への負担が大きくなるのが現実です。
一方、指定校推薦は基本的に1校専願での出願となるため、受験校が1校に絞られ、受験料の出費が最小限に抑えられます。また、一般選抜に比べて試験対策用の予備校・模試・教材への費用も少なく済むため、全体としてコストを大幅に削減できるのです。
さらに、遠方の大学を複数受験する場合には、交通費・宿泊費といった追加コストも発生しますが、指定校推薦であればそうした移動の手間や経済的負担も避けることができます。
指定校推薦のデメリットや注意点は?
指定校推薦にはメリットもありますが、デメリットもあります。ここでは、受験する前に知っておきたい注意点について解説します。
校内選考を突破するのが難しい
指定校推薦で大学受験を考えるうえで、まず立ちはだかるのが「校内選考の壁」です。指定校推薦は、大学から高校に割り当てられた推薦枠をめぐって校内で選抜が行われる入試方式であり、その枠は通常学年で1〜数名と非常に限られています。
特に人気のある大学・学部になると、校内での倍率が5〜10倍近くに達することも珍しくありません。つまり、同じ高校内でライバルとなる生徒と比較され、成績・出席状況・課外活動・人物評価など、さまざまな観点から総合的に評価されることになります。
このため、高1からの通知表(評定平均)を安定して高水準に保つことはもちろん、部活動や生徒会などでの貢献、学校行事への積極的な参加も重要なアピールポイントとなります。
「大学入試はまだ先だから」と油断していると、気づいたときには校内選考の対象から外れている可能性もあります。指定校推薦を視野に入れるなら、早期から計画的に高校生活を送ることがカギとなるのです。
指定校推薦枠がなければ受験できない
指定校推薦は、「大学が指定した高校に対してのみ与える特別な推薦枠」を使って出願する入試制度です。したがって、自分の通っている高校に志望大学の推薦枠がなければ、そもそも指定校推薦を利用して受験することはできません。
たとえ学力が基準を満たしていても、指定校に選ばれていない高校の生徒は出願資格を得ることすらできない点は大きな注意点です。また、指定校推薦枠は毎年見直される可能性があるため、「前年に指定されていたから安心」と思っていても、自分が受験する年度には枠がなくなっているケースも少なくありません。
このように、指定校推薦の出願には高校の指定状況が大前提となるため、できるだけ早い段階で、進路指導の先生や担任から最新の推薦枠情報を確認しておくことが不可欠です。
もし希望の大学に指定校推薦枠がない場合には、公募推薦や総合型選抜、一般入試といったほかの受験方式への切り替えも検討する必要があります。
専願であることに注意
指定校推薦は、大学と高校との信頼関係によって成り立っている制度です。そのため、合格した場合は必ずその大学に入学する「専願受験」であることが大前提です。合格後に「やっぱり別の大学を受験したい」と辞退することは、大学側・高校側双方に大きな迷惑をかける行為とされ、原則として認められていません。
指定校推薦の合格辞退は、高校の今後の推薦枠に悪影響を与える可能性があるため、進路変更が難しくなるという意味でも注意が必要です。出願できる大学は1校のみなので、受験する大学が本当に第一志望であるかどうかを十分に考えてから出願を決めましょう。
そのためにも、志望大学・学部のカリキュラムや教育方針、キャンパスの雰囲気などを事前によく調べ、自分に合っているかどうかをしっかり見極めておくことが大切です。専願である指定校推薦では、後悔のない進路選択が重要なカギになります。
入学後の学習に苦労するおそれがある
指定校推薦で合格できたとしても、入学後の大学生活が順調に進むとは限りません。特に、自分の現在の学力よりも偏差値の高い大学や学部を指定校推薦で目指す場合は注意が必要です。
ハイレベルな大学では、授業内容が高度かつ専門的であり、受け身の姿勢では学習についていけなくなるケースも多く見られます。入学後に「思っていたより勉強が大変だった」と感じる人も少なくありません。
また、一般入試で入学した学生との学力差や学習習慣の違いにギャップを感じることもあるため、事前にその大学のカリキュラムや求められる学習水準をしっかり確認しておくことが大切です。
指定校推薦で進学する場合も、合格がゴールではなく、入学後の学びに備える姿勢が不可欠です。
人間関係・評判に影響することもある
指定校推薦での合格は、周囲との人間関係に影響を与えることがあります。特に、一般受験組の緊張感が高まる時期に早期合格が決まると、「ずるい」「楽をして受かった」といった誤解や嫉妬を招くこともあります。
また、実力以上の大学に進学できたと見なされた場合には、本人の努力を軽視されるケースもあります。
とはいえ、指定校推薦は大学と高校の信頼関係に基づいた正規の入試制度です。自信を持って進路に向き合いましょう。
国公立大学は基本的に受験できない
指定校推薦は、大学が特定の高校に推薦枠を与える制度であるため、原則として私立大学のみで実施されています。
一方で、公平性や透明性が重視される国公立大学では、特定の高校に推薦枠を設けることが困難なため、指定校推薦は基本的に存在しません。そのため、国公立大学を志望する場合は、公募推薦や総合型選抜(旧AO入試)、あるいは一般選抜での受験が必須になります。
特に、公募推薦や総合型選抜では、学力・志望理由・活動実績・面接・小論文など、多面的な評価が行われるため、対策には十分な準備期間と戦略が必要です。
国公立大学など大学受験に強い塾については、以下の記事をご覧ください。
実際に指定校推薦を受けて合格した人のリアルな声
ここでは、実際に指定校推薦を利用して大学合格を勝ち取った先輩たちの体験談をご紹介します。評定平均の維持、小論文や面接の対策、出願準備の進め方など、合格者ならではのリアルな声から学べることがたくさんあります。
これから指定校推薦を検討している高校生や保護者の方は、合格までの道のりや実際の準備内容を知ることで、より具体的な対策が見えてくるはずです。先輩たちの成功体験を参考に、自分らしい進路選択につなげていきましょう。
小論文は添削に添削を重ねた
2022年度大学受験で明治大学に合格した人の合格体験記には、以下のような記述があります。
指定校推薦であったため、その学部の研究分野について調べたり、そこに在籍する教授の本を読んだりしました。また、小論文があったため、小論文の参考書を中心に練習を重ねた。実際に小論文の過去問を解いて塾の先生に添削してもらった。また、情報に関する先生や進路に関する先生にも添削をしてもらうようにした。
このように、小論文の練習を自己完結せず、第三者からの添削を複数回受けたことが大きな成果につながったポイントといえるでしょう。
指定校推薦の小論文対策では、書いた文章を何度も添削してもらうことが非常に重要です。一人で対策するのではなく、塾の講師や学校の先生に積極的にフィードバックをもらい、改善を繰り返すことで完成度が上がります。
さらに、志望大学や学部の特徴、教授の研究領域などを事前に調査することで、志望理由書や面接の内容にも説得力が生まれます。
合格者の声からもわかるように、「指定校推薦=楽」ではなく、入念な準備と自己分析・情報収集・アウトプットの繰り返しが合格のカギとなるのです。
評定平均や試験の準備に注意
2024年度大学受験で大正大学に合格した人の合格体験記には、以下のような記述があります。
私は指定校推薦で大学を受験し合格しました。指定校目指している子に向けてです。まず、指定校推薦枠自体取りたいのであれば、評定平均は4.0以上を保つことです。どんな偏差値の学校であろうと4.0以上を取っておけば指定校を選ぶ範囲が広くなります。定期テスト、提出物頑張りましょう。
次に、試験準備ですが、私は自己調査書・志望理由書と書くものが多かったので、塾で週1回作文系の講義を受けていました。そして、面接もあったので学校の先生と面接練習をしました。最低3回はしました。自分が心配だったり、先生が「もう少しやろうか / 大丈夫だと思うけどね」とか相談をしてもっとやってもいいと思います。
この体験談からは、指定校推薦の合格には「評定平均」と「対策の継続性」が重要であることがよくわかります。
特に評定平均は校内選考の大きな判断材料となるため、高校1年生のうちから定期テスト・授業態度・提出物などすべてを丁寧に積み重ねる姿勢が必要です。
また、作文や志望理由書、面接といった本番の試験対策も、1人で準備せず先生や塾のサポートを活用して何度も練習することが成功のカギ。実際の入試では「伝える力」や「表現力」が求められる場面も多いため、第三者からのフィードバックをもとに文章や受け答えをブラッシュアップしておくと安心です。
このように、早期の学習習慣+対策の反復+周囲の協力が、指定校推薦を成功させるうえでの重要なポイントとなります。
指定校推薦でよくある質問(FAQ)
ここでは、指定校推薦でよくある質問について解説します。
指定校推薦はどんな人がもらえるのですか?選ばれる人の条件とは?
指定校推薦に向いている人とは、単に成績が良いだけでなく、日頃の学校生活や人間関係においても安定した信頼を得ている人です。以下のような特徴に当てはまる生徒は、指定校推薦を受けるチャンスが高まります。
- 高1から高い評定平均をキープしている
- 欠席日数や授業態度など生活態度が良い
- 部活動や課外活動で実績がある
- 英検®など資格を持っている
- 先生とコミュニケーションが取れている
指定校推薦はやめた方がいいといわれるのはなぜですか?
指定校推薦は、一部で「やめた方がいい」といわれることがあります。その理由には、以下のようなデメリットがあるからです。
- 校内選考を突破するのが難しい
- 指定校推薦枠がなければ受験できない
- 専願のため、他大学を受験できない
- 入学後の学習に苦労するおそれがある
- 国公立大学は基本的に受験できない
- 人間関係・評判に影響することもある
しかし、指定校推薦にはデメリットだけでなく、メリットもあります。
- ほかの推薦入試よりも合格率が高い
- 自分の学力より高いレベルの大学に合格するチャンス
- 合否の発表時期が早い
- 受験費用を抑えられる
つまり、指定校推薦は「やめた方がいい」と一概にはいえず、自分の性格や進路、学習スタイルに合っているかどうかを見極めることが大切です。しっかりと情報収集をし、納得できる選択をしましょう。
指定校推薦は必ず受かりますか?落ちる確率はどれくらいですか?
指定校推薦は、大学と高校の間で築かれた強固な信頼関係に基づく入試制度です。大学は毎年、信頼できる高校に推薦枠(指定校枠)を提供し、高校側はその枠にふさわしい生徒を校内選考によって厳選します。
このように、大学側の出願基準をクリアし、なおかつ校内での評価を受けた生徒だけが出願を許されるため、実際の合格率は非常に高く、ほぼ100%に近いといわれています。
しかし、それでも不合格になるケースがまったくないわけではありません。以下のような状況では、指定校推薦でも落ちてしまう可能性があります。
- 医学・看護・芸術系の学部に挑戦する
- 高校を留年してしまう
- 試験当日の遅刻・欠席 など
このように、制度上は高い合格率を誇っていても、「指定校推薦だから絶対に安心」と油断するのは禁物です。推薦されたからこそ、万全の準備と誠意ある態度が求められるのが指定校推薦だといえるでしょう。
指定校推薦ではどれくらいの成績が必要ですか?
指定校推薦に必要な成績は、校内選考の基準や大学側の出願条件によって異なるため、一概に「◯◯点以上」と断言することはできません。しかし、一般的には評定平均4.0以上が一つの目安とされています。
特に人気のある大学や学部では、評定平均4.3以上を求めるケースもあります。高校内での競争が激しい学校では、さらに高い評定が必要になる可能性もあるため、できるだけ高水準の成績を維持することが重要です。
評定平均を上げるには、日々の授業態度・提出物・定期テスト対策がカギとなります。科目ごとの得意・不得意を克服し、バランス良く成績を伸ばすよう意識しましょう。
指定校推薦に欠席日数は関係ありますか?
指定校推薦を希望する際、欠席日数は合否に影響を与える重要な要素の一つとされています。一般的には、高校3年間の欠席日数が10日以内であることが一つの目安とされることが多いです。
ただし、これはあくまで参考値であり、大学や高校によって基準は異なります。例えば、体調不良や家庭の事情でやむを得ず欠席した場合でも、理由が正当であり証明できる場合は問題にならないケースもあります。一方で、無断欠席や遅刻・早退が多いと、出席状況が悪いとみなされ、推薦の対象から外されてしまうおそれもあります。
指定校推薦は、成績だけでなく生活態度や出席状況を含めた「高校生活全体の評価」で選考される制度です。そのため、普段から規則正しい生活を心がけ、出席状況にも気を配ることが大切です。
出願基準は高校ごとに異なるため、不安がある場合は必ず担任や進路指導の先生に相談し、最新の推薦条件を確認するようにしましょう。
指定校推薦はクラスで何人まで入れますか?
指定校推薦の推薦枠は、大学の学部・学科ごとに細かく設定されており、1校あたりの推薦人数は1名から多くても5〜6名程度に限られるのが一般的です。特に人気大学や難関学部では1名枠というケースも少なくありません。
校内選考では、以下のような点が総合的に審査されます。
- 評定平均(通知表の成績):高校1年〜3年1学期までの平均値が重視されます
- 生活態度:遅刻や欠席の少なさ、授業中の態度など
- 活動実績:部活動・生徒会・ボランティア・学校行事の実行委員など
- 人物評価:教員からの信頼、クラス内での協調性など
推薦枠に対して希望者が複数名いる場合には、上記の項目をもとに比較検討が行われ、選考が進められます。
指定校推薦はどのように決まりますか?
指定校推薦は、以下のフローで進んでいきます。
- 高2の冬までに指定校推薦を受験するかどうか決めておく
- 高3の8月頃までに募集要項発表
- 高3の10月頃までに校内選考
- 高3の11〜12月にかけて実施・合格発表
各フローごとに、しっかりと対策をしておきましょう。
指定校推薦で合格するのは難しいですか?
指定校推薦は、合格率が非常に高い入試方式ですが、最大の関門は“校内選考”にあります。
何度もいいますが、高校によって推薦枠の数は限られており、特に人気の大学・学部では校内での競争が激しくなる傾向があります。そのため、「指定校推薦=簡単に合格できる」というイメージは正確ではありません。
校内選考を突破するためには、高校1年生からの評定平均を高くキープし、欠席や遅刻を減らすことが必須条件です。さらに、部活動や委員会活動、ボランティアなどへの積極的な取り組みも加点対象になることがあります。
つまり、日頃からの積み重ねが問われる推薦方式といえるでしょう。ライバルの人数や高校の基準によって難易度は異なりますが、「しっかりと準備し対策すれば十分に合格を狙える制度」であるのも事実です。
指定校推薦は嫌われることはありますか?妬まれるって本当ですか?
指定校推薦で早期に合格が決まると、クラス内の人間関係に微妙な空気が生まれることがあります。特に、一般選抜に向けて努力を続けている同級生に対し、「楽をして受かった」「不公平だ」といった誤解や嫉妬を招くケースがあります。
また、本人の実力以上の大学に進学したと見なされると、陰口を言われたり、努力を過小評価されたりする場面も見受けられます。こうした評判は、進路決定後の学校生活に悪影響を及ぼすおそれもあるため注意が必要です。
ただし、指定校推薦は正式な入試制度であり、大学・高校双方の信頼に基づいて成り立っています。選ばれたことに誇りを持ち、周囲に配慮した言動を心がけることで、良好な関係を保つことができます。
指定校推薦で落ちたらどうすればよいですか?
指定校推薦は合格率の高い入試方式ですが、絶対に合格するとは限りません。校内選考を通過しても、大学側の選考で不合格になるケースもまれにあります。その場合、進路の選択肢としては以下の3つが考えられます。
- 一般選抜に切り替える
- 他大学の総合型・推薦型に再挑戦する
- 浪人・進路変更を検討する
いずれの場合も、落ちたからといって選択肢がなくなるわけではありません。早めに気持ちを切り替え、次の行動に移ることが重要です。進路指導の先生や保護者と相談し、自分に合った道を選びましょう。
指定校推薦では、塾に通った方がよいですか?
指定校推薦での合格を目指すうえで、塾を活用することは非常に有効な選択肢となります。特に以下のようなケースでは、塾のサポートが大きな効果を発揮します。
- 定期テスト対策
- 小論文や面接対策
まず、評定平均アップのための定期テスト対策です。指定校推薦では、高1〜高3の成績が大きく影響します。定期テストの点数が内申点(評定平均)に直結するため、学校の進度に合わせたテスト対策を行ってくれる塾に通うことで、安定して高成績を維持しやすくなります。
次に、小論文や面接対策です。指定校推薦では、大学ごとに異なる小論文課題や面接試験が課されることが多く、論理構成・表現力・話し方などをプロの目で添削・指導してもらえる点は大きなメリットです。自分では気づきにくい文章のクセや曖昧な表現も、第三者からのフィードバックで改善しやすくなります。
ただし、すべての受験生が必ずしも塾に通う必要があるわけではありません。学校の先生に質問しやすく、添削や面接練習のサポートが受けられる環境であれば、塾に頼らずとも十分な対策は可能です。
大切なのは、「どこが不安か」「どこを強化したいか」を客観的に把握し、それを補う手段として塾をうまく活用すること。
定期テスト対策・小論文添削・面接練習・志望理由書の指導など、自分にとって必要なサポートを見極めて、最適な準備環境を整えることが、指定校推薦合格への近道です。
おすすめの塾については、以下の記事をご覧ください。
まとめ|ほかの推薦との違いを知り、校内選考を突破する対策を進めよう
指定校推薦は、高校の推薦を受けて特定の大学に出願できる制度であり、合格率が非常に高いことが大きな特徴です。校内選考を通過するハードルは高めですが、評定平均を早くから意識して高成績を維持すれば、自分の学力より上の大学に合格できるチャンスが広がります。
一方で、「専願制で辞退ができない」「推薦枠が高校ごとに限られている」など、注意すべきポイントやデメリットも存在します。出願条件やスケジュール、試験内容を事前にしっかりと確認し、志望校への理解を深めておくことが成功へのカギです。
定期テスト対策や志望理由書・面接の準備も重要な対策項目となるため、必要に応じて学校や塾などのサポートも活用しながら、早めに計画を立てて準備を進めましょう。
指定校推薦をうまく活用すれば、第一志望合格も十分に狙えます。自分の強みを活かせる入試制度として、選択肢に加えてみてください。
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