志望理由書の書き方|ゼロからでも書ける3ステップ【専門家監修】

「志望理由書の書き方がわからない」「そもそも文章を書くのが苦手」と悩みを抱えていませんか?大学受験の志望理由書では、自分の想いを限られた文字数で伝える力が求められます。しかし、何から書き始めればよいか、迷ってしまう方も多いです。
本記事では、志望理由書に関する著書も持つ専門家・福井先生の監修のもと、志望理由書を書くためのステップや、心がけたいポイントなどを、具体例とともにわかりやすく解説します。正しいステップで準備を進め、想いが伝わる志望理由書を目指しましょう。

編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
福井悠紀
1995年、大阪府生まれ。京都大学経済学部経済経営学科卒業。大学3年生次にAOIの創業に参画し創業当時から志望理由、面接、小論文の指導を行う。塾内の教材開発にも長年にわたり携わってきた。

志望理由書を書く前に!そもそも志望理由書とは?
志望理由書とは、「なぜその大学・学部・学科を志望するのか」を受験生本人の言葉で伝える書類です。
高校から提出される調査書や成績証明書が「これまでの実績」を示すものであるのに対し、志望理由書は「これからの学びや将来への意欲」を大学にアピールするものだといえます。
総合型選抜(旧AO入試)や学校推薦型選抜では、学力だけでなく志望動機や将来ビジョン、学習意欲などが重視される傾向が強いため、志望理由書の質が合否を大きく左右することになります。
大学側は、「この受験生は本当に本学で学びたいのか」「自分の考えを持って学びに向かえる人材かどうか」を、志望理由書から読み取ろうとしています。そのため、表面的な志望動機ではなく、自分の体験や価値観、将来像を交えた具体的な内容にすることが重要です。
つまり、「大学で何を学びたいのか」「なぜその分野に関心があるのか」「学んだ知識を将来どのように活かしたいのか」というストーリーを、論理的かつ説得力をのある形で伝えることが、総合型選抜・推薦入試の合格につながるカギとなります。
志望理由書の書き方!ステップその1
志望理由書を効果的に仕上げるためには、正しい手順を踏むことが大切です。ここでは、志望理由書作成のための準備についてわかりやすく解説します。
ステップ①:自己分析
志望理由書作成の第一歩は、自己分析を行うことです。自己分析とは、自分がどのような人間かを理解するための作業です。具体的なエピソードや長所・短所、価値観などを洗い出していきます。
例えば、「部活動で優勝した経験」や「苦手を克服するための努力」など、自分の体験を細かく整理し、自分がとった行動とその理由、得られた結果をまとめます。特に深掘りされた具体的なエピソードは、読み手の印象にも残りやすいです。
また、自己分析は面接対策にも有効です。志望理由書の内容と面接で話すことに一貫性が生まれ、自然な受け答えができるようになります。自分自身を深く理解することこそが、合格への基盤となります。

福井先生
「自己分析の方法のひとつとして、「自分史(ライフラインチャート)」「モチベーショングラフ」を作成するのも非常に有効です。これは、人生の中で起こった出来事とそのときの感情の浮き沈みを可視化し、自分の価値観やモチベーションの源を理解するためのツールです。
具体的には、まず横軸に年齢、縦軸に幸福度・モチベーション(例えば−10から+10まで)を設定し、自分の印象に残っている出来事をグラフにプロットしていきます。そのグラフの波形を見ながら、幸福度が上がった場面にはどんな要因があったのか、逆に下がった場面では何があったのかを付箋などに書き出して整理していきます。
次に、その付箋から共通点を探してみましょう。「自分が大切にしてきたこと」や「自分が避けたいと感じていること」が見えてくるはずです。これらは、志望理由書の核となる「自分の価値観」や「目指す方向性」を言語化する手がかりになります。
なお、良かった出来事だけでなく、つらかった経験や挫折も正直に書き出すことが重要です。マイナスの経験の中にこそ、あなたの成長や志望の動機が隠れている可能性があるからです。
ただ、自己分析は自分を深く理解する上で重要ですが、必ずしも明確な答えが見つかるわけではありません。そのため、必要以上に時間をかけすぎないよう、あらかじめ「◯時間まで」と時間の上限を決めて取り組むことをおすすめします。
「自分史(ライフラインチャート)」「モチベーショングラフ」の例としては、以下のようなものがあります。
ステップ②:大学・学部のリサーチ
志望理由書を作成する際には、志望する大学や学部について、徹底的にリサーチすることが欠かせません。
自己分析だけでは、志望動機に説得力を持たせることは困難です。大学や学部のアドミッション・ポリシー(※)に自分が合致しているか、学部の授業内容や取得できる資格が自分の目標に合っているかを確認する必要があります。
(※)大学が「どのような生徒に入学してほしいか」を記したもの。ホームページや学校案内のパンフレット、入試ガイド、入試要項などに掲げられている。
リサーチ不足だと「ほかの大学でも良いのではないか」という印象を与えかねません。志望する大学でなければならない理由を、自分の言葉で説明するようにしてください。
オープンキャンパスの情報や、在学生・卒業生のインタビュー記事も参考になります。入念なリサーチによって、志望理由書の説得力と具体性を高めておきましょう。

福井先生
大学・学部のリサーチをするときは、大学案内の冊子や、シラバス(大学の講義内容がまとめられた資料)、大学サイトの情報を読み込んで、できるだけ具体的にシミュレーションしてみましょう。
ステップ③:書く材料をそろえる
総合型選抜の志望理由書を書くうえで説得力のある内容に仕上げるには、まず「材料」をそろえることが重要です。以下の4つの要素を意識して情報を整理していきましょう。
1.学部・学科の学修内容に興味を持ったきっかけ
「なぜこの学部・学科に関心を持ったのか」という原点を明確にすることが重要です。そのテーマに対してどのように熱意を持っているか、どのような取り組みをしてきたかを書きましょう。高校での学びや日常の出来事を通じて関心を持つようになった経験でも構いません。
2.大学卒業後の将来像
学部での学びが、将来の夢や目標とどのようにつながっているかを説明しましょう。明確なビジョンがあると、入学後の姿がイメージしやすくなり、志望理由としての説得力が上がります。職業に限らず「社会にどう貢献したいか」などの視点も含められると理想的です。
3.大学で学びたいこと
単に「○○に興味があります」ではなく、「どのようなテーマに関心があり、それを通して何を学びたいのか」を具体的に書きましょう。オープンキャンパスなどを活用して、リアルな情報を盛り込むことで、志望度の高さを伝えられます。
4.学びたいことについて自分なりに調べたこと
関心のある分野について自発的に調べた経験や、関連する本・ニュース・論文などに触れた内容を記載することで、主体的な学びへの姿勢をアピールできます。自分の言葉で要約したり、感じたことを交えて書いたりすると、熱意がより伝わります。

福井先生
志望理由書の書き方に絶対的な正解はないですが、自分がその大学・学部で学びたい理由と、アドミッション・ポリシーが合致していることを同時に示すためには、将来のビジョンと大学での学び、今まで自分が取り組んできたことを論理的に繋げて示すことが効果的です。
志望理由書の書き方!ステップその2
「志望理由書の書き方ステップその1」でそろえた材料をもとに、志望理由書の構成を論理的かつ魅力的に組み立てていきましょう。以下のポイントを意識して整理すると、読み手にとってわかりやすく、納得感のある内容になります。
1.興味を持ったきっかけを明確にする
まずは「どのような体験や出来事がきっかけで、この学問分野やテーマに興味を持ったのか」を冒頭で示しましょう。これは読み手の関心を引き、志望動機に自然な流れを生み出す重要な部分です。できるだけ具体的なエピソードや背景を交えて伝えると、説得力が増します。
例文
そのきっかけは、高校で英語ディベート部に所属し、国際紛争や環境問題について議論を重ねたことである。この経験を通じて、国際社会が直面する課題には一つの正解がなく、多様な視点を理解し合う姿勢が不可欠であることに気づいた。
2.テーマについて自分なりに調べたこと・気づいた課題を記述
次に、関心を持ったテーマに対して、自ら調べたことや深掘りした内容を記述します。その過程で見つけた課題や疑問点などを盛り込むと、主体的な学びへの意欲が伝わります。これは、単なる興味で終わらず、自分なりに学びを深めていることを示すためのステップです。
例文
3.描いている将来像とその背景を記述
テーマの延長線上に、どのような将来像を描いているのかを述べましょう。職業や研究活動など、できるだけ具体的なビジョンを示すとともに「なぜその将来像を目指したいのか」という理由も伝えると、志望理由書としての一貫性が生まれます。
例文
だからこそ、対話と実践を通じて相互理解を深める教育や活動が重要である。そのために私は、将来的に国際機関職員となり、教育や協働プロジェクトを通じてこの課題に取り組みたいと考えている。
4.その実現に向けて大学でどう学びたいかを記述
最後に、目標を実現するために大学でどのように学びたいかを具体的に書きます。興味のある講義やゼミ、研究室、学びたいスキルや知識を挙げ、それが将来像とどう結びついているかを説明するとよいでしょう。ここでは大学ごとの特色を反映させることもポイントです。
経験から得た学びが明確な志望理由書に仕上がります。表現だけに頼らず、構成から丁寧に整えましょう。
例文
5.書いた後に見直しをするのを忘れずに
志望理由書を書き終えたら、必ず丁寧に見直しましょう。初めて読む人が理解できるか、不足している情報がないかを確認することが大切です。推敲を重ねるうちに、かえって構成が分かりにくくなることもあるため、全体の流れも忘れずにチェックしましょう。
誤字や脱字、不自然な日本語表現にも注意が必要です。
志望理由書は、学力テストや小論文とは異なり、時間をかけて完成させる書類です。そのため誤字や脱字が残ったまま提出すると「丁寧さに欠ける」「本気度が低い」と判断され、マイナス評価につながるおそれがあります。
また、「食べれる」「受けれる」などの「ら抜き言葉」は、使用は避けましょう。加えて、「主語と述語がねじれていないのか」「同じ助詞が連続していないか」といった、基本的な点についても留意してください。
自分自身で繰り返し確認するのはもちろん、保護者や先生など、第三者に見てもらうことで、より客観的なチェックが可能になります。細部まで注意を払い、完成度を高めることが、志望理由書で合格をつかむために重要なポイントです。

福井先生
論理が飛躍したり、矛盾が発生したりしないように順序に気をつけながら書きましょう。自分で見直すことはもちろん、先生や友人など他の人に読んでもらい客観的な意見をもらうことも効果的です。
志望理由書の書き方!ステップその3
志望理由書をスムーズに書き進めるには、押さえておくべき基本のコツがあります。ここでは、「志望理由書の書き方ステップその3」として、心がけておきたい6つのポイントを紹介します。
最初から完璧な文章を目指すのはNG
志望理由書の作成に取りかかる際「最初から完璧に書かなければ」と身構えてしまう方は少なくありません。しかし、完璧な文章をいきなり書くことは難しく、かえって手が止まってしまう原因にもなります。大切なのは、思いつくことを自由に書き出してみることです。
最初の段階では、言葉選びや細かな文法を気にしすぎず、自分の気持ちや経験を率直に書きましょう。文字にすることで、ぼんやりしていた考えが整理されていきます。書き出した内容をもとに、後から削ったり言い換えたりしながら、徐々に形を整えていく方法が有効です。
文章は、何度か見直しを重ねる中で洗練され、表現も磨かれていきます。「とにかく書いてみる」という第一歩を踏み出すことが、良い志望理由書を完成させる近道です。
イメージは「多く書いて後から削る」
志望理由書は、限られた文字数の中で、自身の思いを伝える必要があります。そのため、まずは多くの情報を書き出して、後から削る姿勢が大切です。
たとえば、部活動や学校行事について述べる際、詳細な名称や背景をすべて盛り込むと、指定の文字数に収まらない可能性があります。しかし、最初の段階では、細かく書いて構いません。その後、志望理由と直接関係のない部分を取捨選択すればよいのです。
書き出した内容をもとに必要な情報だけを残して整理することで、簡潔かつ説得力のある文章が完成します。最初から文字数に収めようとせず「多く書いて後から削る」方が、結果的に良い仕上がりになることが多いです。
志望理由書は「だ・である調」で書く
志望理由書を書く際は「です・ます調」もしくは「だ・である調」のいずれかに、文体を統一することが大切です。混在していると読みづらくなり、丁寧さに欠ける印象を与えることがあります。まずは、大学から文体の指定があるかを確認しましょう。
指定がない場合は「だ・である調」がおすすめです。小論文でもよく使われる文体であるため、入試全体を通じて一貫性が保てます。また「〜と考える」「〜を学んだ」など簡潔に書けるため、限られた文字数でより多くの情報を伝えられるという利点もあります。
普段からこの文体に慣れておくと、志望理由書もスムーズに作成できるでしょう。読み手に信頼感を与える文章を目指すうえでも「だ・である調」を意識して使ってください。
文章表現にも気を遣う
志望理由書では、文章表現の正確さや丁寧さも重要です。言葉遣いや不自然な表現があると細部への配慮が足りない印象を与えてしまい、評価が下がるおそれもあります。
特に気をつけたいのが、話し言葉の混在です。たとえば「すごい良い」といった話し言葉は、志望理由書にはふさわしくありません。「非常に良い」など、場面に応じた表現を心がけましょう。一度書いてから意識して見返してみると、修正すべき箇所が見つかりやすいです。
また、主語や文末の繰り返しにも注意が必要です。「私は〜」が続くと単調に見えるため、主語を省略したり、接続語を工夫したりして、読みやすさに配慮すると文章の質が高まります。丁寧で整った文章表現は、読み手に誠実さを伝える手段にもなります。
エピソードは具体的に書く
志望理由書の説得力を高めるには、抽象的な表現よりも、具体的なエピソードを用いることが効果的です。例えば、「リーダーシップを発揮した」とだけ書いても、どのような場面で、何を行ったのかが読み手には伝わりにくく印象に残りません。
「文化祭の実行委員長として、メンバーの意見を集約し、全体の進行管理を担った」など、行動や状況を具体的に書いてみましょう。抽象的な表現に頼らず「いつ・どこで・何を・どうしたか」を意識すると、文章に厚みが出ます。
ただし、情報を詰め込みすぎると話の焦点がぼやけてしまうため、志望理由と関連のある経験に絞ることが大切です。印象的な場面をひとつ深掘りすることで、あなたの思いや価値観がより明確になり、読み手の共感を得やすくなります。
1文は長くしすぎない
志望理由書では、1文が長すぎると内容が伝わりにくくなります。文の構造が複雑になることで、主張がぼやけたり、読み手の理解を妨げたりする恐れもあります。
目安として、1文は40~60文字前後に抑えるのが効果的です。例えば、「私のやりたいことは地域医療に貢献することであり、そのために医療の知識を深めたい。」と書いた場合、1文が長いです。「私のやりたいことは地域医療に貢献することだ。そのために、医療の知識を深めたい。」と2文に分けることで、内容がすっきり伝わります。
伝わりやすい文章は、良い評価にもつながります。内容の良さをしっかり届けるためにも、文の長さに注意しましょう。

福井先生
同じ内容のことを違うパートで繰り返していると志望理由書の情報量が減ってしまい、内容が薄くなってしまいます。表現を変えて、同じことを表現してしまっているところは積極的にカットしましょう。
志望理由書の例文は?
ここでは、ステップを踏んで作成した、大学受験で使える志望理由書の例文を紹介します。ぜひ参考にしてください。
ただし、以下の例文は、設問や文字数の指定が特にない場合を想定した一般的なフォーマットです。実際に志望理由書を書く際には、各大学のアドミッション・ポリシーや指定テーマ・設問の有無に注意し、自分の体験や志望動機と結びつけて書くことが大切です。
志望理由書の例文:文系(経済学部)
そう考えたきっかけは、高校の社会見学で、シャッターが閉じたままの商店街や空き家が増える街の様子を目の当たりにしたことだ。地域経済の衰退が人々の暮らしや雇用、コミュニティのつながりにまで深刻な影響を与えていることに気づいた。
この気づきをもとに、地域のイベントにボランティアとして参加した。その中で、ただ「物が売れない」という話にとどまらず、「人が集まらなくなった」といった、構造的な課題が存在していることがわかった。経済活動とは単なる数字のやりとりではなく、人の営みや地域社会の成り立ちと深く結びついていることを実感した
私は、「地方でも若者が希望を持って暮らせる社会」の実現を目指したい。そのためには、地域に眠る観光資源や産業などの強みを再発見し、それらを循環させる仕組みを築く必要がある。たとえば、地域通貨やクラウドファンディングを活用した資金循環などが有効なアプローチだと考えている。将来的には、地域の現場で中小企業の支援や地域起業を推進する公務員として、経済を動かす当事者としての役割を担いたい。
大学入学後は、1年次に「ミクロ経済学基礎」などを通して経済理論とデータリテラシーを身につけ、2年次には、地域フィールドワーク型の実践的な学びに参加して分析力と課題発見力を養いたい。3年次からは〇〇教授のゼミに所属し、「地域政策」に関する研究を深め、4年次の卒業論文では「商店街再生における地域通貨の有効性と住民参加の効果」をテーマに実証的にまとめたい。
貴学での学びは、理論と現場の双方から地域経済に向き合う力を育てるのに最適であり、自分の志を実現するための確かな土台になると確信している。そのため、貴学経済学部を強く志望する。(800字)
志望理由書の例文②:理系(農学部)
そのきっかけは、中学生のときにテレビで見た、気候変動により収穫量が激減した農家の特集だった。気温上昇と降水量の減少によって作物が実らず、生活が立ち行かなくなる様子に衝撃を受けた。そこから、自然環境と食料の安定供給は密接に関わっていること、そしてそれがいかに脆いバランスに支えられているかに気づいた。
この関心から、高校では農業系の課題研究を選び、地域の有機農家を訪問してインタビューを行った。そこで得られたのは、「乾燥気候下では、土壌の水分保持力と栽培作物の選定が、農業の持続可能性に直結する」という学びだった。特に、乾燥ストレスへの耐性を持つ作物の活用や、雨水を保持するための土壌改良がカギになると実感した。
私は「世界中の人が安心して食にアクセスできる社会」を実現したい。私なりに考える解決策は、「水分保持型の土壌構造、耐乾性の高い品種、そしてそれらを活かせる栽培管理技術を組み合わせた包括的な農業モデル」を構築・実証し、地域の事情に応じて展開していくことである。
大学入学後は、1年次に「農業基礎科学」や「植物生理学」を通じて作物の基礎知識を習得したい。2年次には「農業気象学実習」などで観察力と応用力を磨き、3年次からは〇〇教授のゼミで「乾燥地における作物生育」の研究に取り組みたい。4年次には「乾燥地農業における土壌水分と作物収量の関係」をテーマに卒業論文をまとめ、将来的にはアフリカや中央アジアなどの乾燥地域で実践的な農業支援にも関わりたい。
貴学農学部は、理論とフィールドワークの両面から課題に向き合える環境が整っており、私の目標実現に最もふさわしい場である。そのため、貴学農学部を志望する。(785字)
なお、学部・学科によって求められる内容やアプローチは異なります。以下の記事では、理系・医療系・教育系など学部別の志望理由書の例文を多数紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
志望理由書の書き方でよくある質問(FAQ)
いざ書こうと思っても「これで合ってるのかな?」と不安になることも多い志望理由書。ここでは、よくある質問を取り上げて解説します。
志望理由書の書き出しはどのようにすればよいですか?
志望理由書の書き出しは、読み手の関心を引き、その後の内容を読んでもらうための大切な部分です。冒頭で「この人の話をもっと聞いてみたい」と思わせるような構成を意識することで、好印象を与えられます。
最初に書くべきなのは「なぜこの大学を志望するのか」という結論です。例えば、「私は昔から◯◯に関心があり、大学で専門的に学びたいと考えています」といった一文を入れましょう。まず結論を示すことで、読み手はその後の内容に、納得しやすくなります。
一方で、「自己紹介」や「好きな教科」などから始めてしまうと、要点にたどり着くまでに時間がかかり、印象が薄れてしまいます。最初に結論を伝えることで、読みやすく、よい書き出しとなります。
志望理由書のNG例文はありますか?
志望理由書で避けたいことは、誰にでも当てはまりそうな表現や、内容が浅く具体性に欠ける文章を書いてしまうことです。例えば「将来に役立ちそうだから志望しました」と書くと、動機が曖昧になりあなたならではの志望理由が伝わりません。
NG例文に共通するのは「誰でも書けそうな一般的な内容」や、「その人らしさが感じられないこと」です。このような文章は、読み手の印象に残らず「準備不足なのでは」と受け取られる可能性があります。NG例文に共通して見られるのは、以下のような内容です。
- 特にやりたいことはないが……
- 親に勧められたから……
- 家から近いから……
- まだ決まっていないが、なんとなく……
こうした表現は、「その大学でなければならない理由」が見えにくく、面接官や選考担当者に「本気度が足りない」「準備不足では?」という印象を与えてしまいます。
言葉の選び方ひとつで、誠意や熱意が伝わるかどうかが、大きく変わります。
良い志望理由書を書くには「自分の経験」や「大学で学びたい内容とのつながり」を明確に示すことが重要です。自分の視点を大切にしながら、伝えたいことを丁寧に言葉にしていきましょう。
志望理由書で同じ文末表現の連続を避けるコツは?
「〜と思いました」といった表現が続くと、文章が単調になり、読み手にとってわかりづらく感じられます。表現に変化がないと、内容が十分に伝わらないだけでなく、文章全体が幼く見えてしまうことにもつながります。
同じ語尾の繰り返しを避けるには、さまざまな言い換え表現を、意識的に取り入れるのが効果的です。「〜と感じた」「〜を学んだ」などの表現を交えることで、文に抑揚が生まれます。また、「重要性を実感した」「関心を持つようになった」といった言い回しを使えば、内容の具体性も高まります。
書き終えた後には、自分の文章を見直し、表現が単調になっていないか確認することも大切です。こうした小さな工夫が、文章全体の完成度を高めてくれます。

福井先生
「将来の進路や学びたい分野がまだはっきりしていないのですが、どうすればよいでしょうか?」という質問をよくいただきます。
このような場合は、たとえ仮のものであっても、現時点で最も関心のある分野や考えに近いものを選んで書くことをおすすめします。
大学側も、入学後に考えが変わる可能性があることは十分に理解しています。 また、複数のビジョンを盛り込むと書類全体の一貫性が損なわれますし、「まだ決まっていない」とだけ記しても、大学に伝えられる情報は増えませんので推奨しません。迷いがあっても、現時点での仮の方向性で構いませんので、一度言葉にしてみることが大切です。
まとめ 志望理由書の書き方をマスターして志望校合格をつかもう
志望理由書は、自分の想いを大学に伝える、いわば「あなた自身のプレゼンテーション」です。最初から完璧を目指す必要はありません。大切なのは、まず書き出してみること、見直して整えること、そして「自分の経験」と「大学の学び」とをつなげる視点を持つことです。
本記事では、志望理由書を書くためのステップや、心がけたいポイントを解説しました。文章に苦手意識があっても、正しいステップを踏めば大丈夫です。ぜひ本記事を参考にして、自分の想いを形にしていきましょう。
次に、その付箋から共通点を探してみましょう。「自分が大切にしてきたこと」や「自分が避けたいと感じていること」が見えてくるはずです。これらは、志望理由書の核となる「自分の価値観」や「目指す方向性」を言語化する手がかりになります。
なお、良かった出来事だけでなく、つらかった経験や挫折も正直に書き出すことが重要です。マイナスの経験の中にこそ、あなたの成長や志望の動機が隠れている可能性があるからです。
ただ、自己分析は自分を深く理解する上で重要ですが、必ずしも明確な答えが見つかるわけではありません。そのため、必要以上に時間をかけすぎないよう、あらかじめ「◯時間まで」と時間の上限を決めて取り組むことをおすすめします。
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール

1995年、大阪府生まれ。京都大学経済学部経済経営学科卒業。大学3年生次にAOIの創業に参画し創業当時から志望理由、面接、小論文の指導を行う。塾内の教材開発にも長年にわたり携わってきた。