高校受験|仲間外れが怖くて勉強できない中1娘…思春期の人間関係にどう向き合う?
「友だちから仲間外れにされるのが怖い」「LINEの返信や誘いを断れない」——そんな思春期特有の不安に振り回されて、勉強どころではなくなってしまう子どもは少なくありません。親としては「どう支えればいいのか」と悩んでしまいますよね。
今回は、中学1年生の子どもを持つ保護者の声をもとに、思春期の人間関係に揺れる子どもにどう寄り添えばいいのか、高校受験指導のプロ・大山雅司先生がアドバイスします。
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者
大山雅司
塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。
仲間外れが怖くて勉強が手につかない中1女子。親にできる対応は?

【CASE 038】中学1年生・女子
性格:
すごく真面目でおとなしい子。自分にあまり自信がないが、諦めず頑張る力はある。
【今回のお悩み】
ペンネーム:さくらさん(中学1年生 保護者)
小学生の頃は友だちがほとんどいなかった娘。中学生になり明るく元気な女の子達のグループに入れてもらったことが嬉しかったようで、入学当初は毎日のように私に友だちの話をしてきました。でも、夏休みに入った頃から友だちの話をしなくなり、塾をサボったり、夜中にグループLINEや電話をしたりするように。「最近、勉強に集中できていないよね?」と話をしたところ、その子達から少し仲間外れにされていて、必死でLINEの返信や休日の遊びに付き合っていること、勉強どころではないと泣いて相談されました。
思春期の人間関係は「価値軸」を育てる大事な成長過程
娘さんにとってはもちろんのこと、娘さんを見守る親御さんにとってもつらいお悩みですね。思春期は仲間意識が芽生え、互いが成長する過程にいるからこそ、人間関係に悩む中学生は少なくありません。
学校生活は、人との付き合い方や、関係の築き方を学ぶ場所でもあります。いじめなどの重大な事態に発展しそうな場合であれば別ですが、基本的に人間関係に関しては干渉しすぎない姿勢も大切です。
大人であれば「仕事」と「プライベート」を分けて考えることができますが、子どものうちは「友だち付き合い」に重きがあると、それ以外のことが手につかなくなることがあります。その中で、「友だち付き合い」と「勉強」とが「どちらを優先するか」のようなトレードオフの関係に感じられるのでしょう。
「やるべきこと」をこなしながら、「人との関係」にも気を配る。これは大人すらときに悩む課題です。まして中学1年生ですべてをバランスよくこなすのは、とても難しいことでしょう。なぜなら、今は「自分にとって何が重要か」「どのような価値観を大事にするのか」といった、自分なりの価値軸(かちじく)を形成している最中だからです。
今は大人になるために必要な過程の中にいるということを、まずは冷静に受け止めてあげましょう。
同時に「どんな状況でも、あなたの大切さは変わらないよ」と伝えてあげることも忘れずに。親から無条件の信頼を受け取れることが、子どもにとって一番の支えになります。
友だち付き合いで頭がいっぱいの子どもの視野を広げるためにしたい2つのこと
1.まずは「家庭内のルール」を明確にする
お子さんが友だち付き合いのことで頭が一杯になっているときこそ、友人関係のことは一度脇に置いて「家族の中で守るべきルール」を明確にするのが先決。「これだけは最低限守ってほしい」というルールを決めましょう。
「塾をサボらない」
「深夜にスマホを使用しない」
「やるべき宿題を終わらせてから、グループLINEに参加する」
親子で納得できる最低限のルールで構いません。このとき、勉強と友だちのトレードオフには触れない方がいいですね。「夜中に起きていたら体調に影響が出てしまうから」といった根本的な理由を挙げて、“当たり前のこと”として会話するのがおすすめです。
2. 第三者の力を借りて、違う価値軸を見せる
信頼できる第三者の力を借りるのも方法のひとつです。塾の講師であれば事情を説明したうえで「勉強に目が向いていなくて心配なので、声をかけてほしい」とお願いできますし、習い事の先生や部活の顧問、親戚などでも構いません。
親御さんは、子どもの状況を総合的に見て、最後に寄り添ってあげる存在です。泣いて相談された以上、「勉強しなさい」と言いづらい場面もあるでしょう。そこで子どもに共感しつつも、「約束は守ろうね」「塾を休まないでね」と言ってくれる外部の大人の存在は大切です。
学校や友だち関係だけでなく、「努力すれば認められる」「サボれば注意される」といった異なる価値基準に触れることが、子どもにとって「友だち関係だけが自分のすべてではない」と気づくきっかけになります。学校以外に安心して身を置ける居場所を持つことが、救いになる場合もあるのです。
さらに実践的な工夫として、「親に怒られるから連絡できない」「塾をサボると叱られる」といった、安心して口にできる“言い訳”をあらかじめ用意してあげるのもおすすめです。
そして「今日は予定があるから行けない」といった小さな理由で断る練習を積み重ねることで、友だちに振り回されすぎない力が少しずつ育っていきます。何より「断ってもいいんだよ」と親が背中を押してあげることが、子どもにとって一番の安心につながります。
悩みを越えて育つ“ブレない価値軸”が子どもを強くする
何かに悩んでいるときほど、別のことに打ち込む時間が必要です。また、人間関係がうまくいかないときは相手と距離を置いた方が心の整理ができることもあるでしょう。
安心できる言い訳や断る練習は、その場をやり過ごすためだけのものではありません。繰り返すうちに、「自分の時間や体調を優先していい」「約束は守るべきもの」といった基準が自然と心に根づいていきます。
こうして形成された価値軸は、友だち関係に一喜一憂するだけでなく、「自分はどうありたいか」を軸に人との距離をとれる力につながります。結果として、将来の多様な人間関係の中でも振り回されにくく、自分らしく選択できる土台となっていくのです。
成功へ導く賢者からの金言!

悩みの外に目を向けさせることで、
多様でブレない価値観を育む!
※塾選調べ:
対象:高校受験に関してお悩みを持っていた保護者50名にアンケートを実施
期間:2025年6月20日~25日実施
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。
