高校受験|三者面談で「志望校は厳しい」と言われたら?後悔しないために親がするべき準備と判断
「志望校は厳しいですね」――先生から三者面談でそう告げられ、涙を浮かべるわが子。そんな姿を目の当たりにしたら、どう声をかけてあげればいいのか戸惑う方も多いでしょう。
高校受験を控えた中学3年生にとって、三者面談は現実と向き合う大きな節目です。第一志望への思いを強く持ち続ける子どもに寄り添いながら、どう現実的な進路へ舵を切るか。
今回は、高校受験指導のプロ・大山雅司先生に、「親の関わり方」や「志望校を貫くか切り替えるかの判断ポイント」について伺いました。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
大山雅司
塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。
中3の三者面談で「第一志望は厳しい」と言われたら、親はどうフォローする?

【CASE 039】中学3年生・男子
性格:
控えめで負けず嫌いな性格。人前ではあまり強く主張はしないが、内心では強い意志を持っており、一度決めた目標には真剣に取り組むタイプ。
【今回のお悩み】
ペンネーム:ニコルさん(中学3年生 保護者)
中3の三者面談で担任の先生から「第一志望は厳しい。現実的な選択肢も検討しては」と告げられ、息子は努力を否定されたように感じたのか、涙を浮かべていました。悔しさを受け止めつつ、今後どうするかを話し合いましたが、本人はまだ志望校を諦めきれない様子です。このまま志望校を貫かせるべきか、それとも現実的なラインで再検討したほうがいいのか。親としてどう関わるのが正解なのか悩んでいます。
志望校を貫かせる?切り替える?迷ったときに親がすること
こうしたご相談は、特に三者面談の後によく伺います。お子さんの気持ちを大切にしたい一方で、現実的な準備も考えておきたい。ここでまず押さえておきたいのは、三者面談が夏に行われたのか、冬に行われたのかによって、親の関わり方が大きく変わるということです。
- 夏の面談で「第一志望は厳しい」と言われた場合は、まだ数か月の伸び代を期待できる段階です。この時期は「挑戦したい」という子どもの意欲を尊重しながら、親が併願校の情報収集を水面下で進めておくのが有効です。
- 一方で冬の面談で同じことを告げられた場合は、出願や併願校決定が目前に迫っています。安全校を確保しつつ、子どもが納得して切り替えられるような準備を優先することが重要です。
そのうえで親がすべきことは、お子さんには第一志望校に向けて前向きに努力させ、親は併願校の準備を進めるという役割分担です。
目標に向かって努力するお子さんの姿勢を尊重しながら、親は冷静に合格圏内の学校や併願校について情報を集めておく。そうしたサポートが、受験期にはとても大切です。
この状況で第一志望校に据えたほうがいい学校は、子どもが高いモチベーションを保ちながら最後まで勉強を続けられる学校です。受験勉強では、ある時期を越えると一気に成績が伸びることがあります。これは、バラバラだった基礎知識が一つにつながり、学力が指数関数的に向上するからです。その伸びを引き出せるかどうかは、最後までモチベーションを保てるかにかかっています。
第一志望を目指しつつ、現実的な別の選択肢も並行して考えるのは、大人にはできても15歳には簡単ではありません。
子どもが前向きに第一志望を目指して、飛躍的に成績を上げるためにも、「別の選択肢を考える」というもしもの備えについては、「親がフォローする!」と覚悟を決めましょう。親子で違う備えをするという観点が大切です。
第一志望にこだわる子どもを支える、親の3つの準備
第一志望を目指す子どもを支えるうえで、親ができる準備は「いつの三者面談で言われたか」 によって大きく変わります。ここでは「7月に言われた場合」と「11月末〜12月に言われた場合」に分けて解説します。
7月に「第一志望は厳しい」と言われた場合に親がすべき準備
夏休みは成績を大きく伸ばせる時期です。まだ挑戦の余地がある段階なので、子どもには第一志望を追わせながら、親は裏で“もしも”の準備を進めておきましょう。
- 課題の把握と学習計画の立て直し
模試や内申から弱点を明確にし、夏休みの学習計画に反映。特に苦手科目を重点的に強化する。 - 併願候補の情報収集をスタート
学校説明会やオープンスクールに参加し、幅広く候補を集める。あくまで子どもの挑戦を尊重しつつ、水面下で進めておくのがポイント。 - 安心材料を用意する
いざというときのために「こういう学校もある」とリストアップしておく。まだ本格的に親子で相談はできなくてもよいが、秋以降見学会など参加できるように日程を事前把握しておくと、親の安心につながる。
👉 ゴールは「子どもの挑戦を全力で支えると同時に、親が幅広く備えておく」ことです。
11月末〜12月に「第一志望は厳しい」と言われた場合に親がすべき準備
出願が目前に迫るこの時期は、時間との勝負です。親が現実的な目線を持ちながら、併願校を確実に固めていく必要があります。
- 第一志望校の見極め
直近の模試判定や内申をもとに、合格圏内の学校を客観的に確認。D判定以下が続けば、切り替えも真剣に検討する。
「次の模試での到達ライン(例:目標判定)を親子で共有し、届かなかった場合の切り替え先を事前に決めておく」と迷いが減ります。 - 併願校の確定とスケジュール調整
複数の併願校を絞り込み、出願・試験の日程を整理。塾や学校と相談しながら、実際に受けられる現実的な受験プランをつくる。 - 子どもに安心感を与えるフォロー
併願校の学校見学や相談会に一緒に参加し、「ここなら通える」と子どもが実感できるようにする。気持ちの切り替えをスムーズにする大切な一歩。
👉 ゴールは「安全策を具体化し、子どもが安心して受験に臨める状態を整える」ことです。
「やりきった」と思える受験にするために
中学3年生の三者面談で「第一志望が厳しい」と言われたら、親も子もショックを受ける気持ちはよくわかります。一度は子どもの気持ちを優先しようと決めても、いつまでに志望校を切り替えるべきか再び悩むこともあるでしょう。
まず知っておきたいのは、押さえ校や私立の推薦入試は12月初頭までに確定する必要がありますが、第一志望(一般入試)については年明け以降でも変更が可能です。焦って12月の段階で結論を出す必要はありません。
そして、志望校の判断としては客観的な指標をもとにすることが大切です。
例えば、11月の模試で判定が上昇していること、併願優遇制度などを活用して安心して第一志望校への挑戦を続けられる押さえ校が確保できていること、そして本人の意欲が維持できていること——この3つの条件がそろっている場合は、第一志望へのチャレンジを続ける選択も現実的です。
逆に、11月末の時点で判定がD判定以下のままであり、押さえ校にも納得できず、本人の意欲が低下気味であるようなら、この時点が第一志望の切り替えを検討するタイミングです。
第一志望校を継続するか、変更するかの判断は、判定上の可能性だけではなく、「納得のいく押さえ校がつくれているか」「本人の意欲が続いているか」も重要な要素になります。
悔いのない高校受験にするために大事なのは、「子どもの決断を最優先に考えている」というメッセージをちゃんと伝えることです。途中で「やっぱり志望校を変えたい」と言える環境、仮に合格に届かなくても「やりきった」と思える環境を整えてあげましょう。お子さんの選択に寄り添い、全力で応援してあげてください。
成功へ導く賢者からの金言!

志望校への思いを後押ししながら、
親は”もしも”に備えて行動する!
※塾選調べ:
対象:高校受験に関してお悩みを持っていた保護者50名にアンケートを実施
期間:2025年6月20日~25日実施
執筆者プロフィール
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監修者プロフィール
塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。
