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古文の助動詞の覚え方!意味と活用パターンを語呂ストーリーで秒速暗記

更新日:
大学受験
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「古文の助動詞がわからない……」と悩んでいませんか?古文の勉強を頑張っているけれど、助動詞が理解できなくて悩んでいる人もいるのではないでしょうか?

この記事では、オリジナルの「お金も時間も節約する自習術」を編み出して東大へ合格し、現在はカルぺ・ディエムで勉強法をはじめとした講演活動を行っている布施川天馬さん監修のもと、古文の助動詞についての覚え方や考え方を、基本からわかりやすく解説します。

塾選ジャーナル編集部

編集部

塾選ジャーナル編集部

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

布施川天馬

監修者

布施川天馬

1997年生まれ。東京大学文学部卒。世帯年収300万円台の家庭に生まれ、幼少期から貧しい生活を送る。金銭的、地理的な事情から、無理のない進学先が東京大学のみに絞られ、東大進学を志す。 塾に通う金銭的余裕がなく、勉強の傍ら週3日フルタイムのアルバイトで学費を稼ぐ。受験生活を通してオリジナルの「お金も時間も節約する自習術」を編み出し、一浪の末、東大に合格。 在学中から、自身の勉強法や学習法を、執筆活動や、全国の学校での講演を通して広める。著書に『東大式節約勉強法』『東大式時間術』(扶桑社)『東大合格はいくらで買えるか?』(星海社)など。

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目次

古文の助動詞学習の3ステップ

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古文の助動詞を覚えるときに大切なのは、「順番」を意識することです。いきなり意味や活用を暗記しようとすると、かえって混乱しやすくなります。
まずは 「どの形にくっつくか(接続)」→「どう変化するか(活用)」→「どんな意味になるか(文脈)」 の順で進めましょう。
この3ステップを意識するだけで、助動詞の理解がぐっとラクになります。

ステップ1:接続を理解する

助動詞の勉強で最初に押さえたいポイントが「接続」です。接続とは、助動詞がどの形の動詞につくかを指します。ここを理解していないと意味や活用も混乱が生じやすくなります。

助動詞の主な接続パターン(これだけは覚えよう)

接続の種類 代表的な助動詞 ざっくりした意味
未然形 に接続 る・らる・す・さす・しむ・む・ず・むず・じ・まし・まほし 意志・打消・受身 など
連用形 に接続 き・けり・つ・ぬ・たり・けむ・たし 過去・完了 など
終止形 に接続 らむ・べし・まじ・らし・めり・なり 推定・断定 など
連体形 に接続 なり・ごとし 断定・比況(〜のようだ)
サ変未然/四段已然 に接続 存続・完了
体言・助詞・副詞 に接続 なり・たり・ごとし 断定(〜である)

 

東大卒教育ライター・布施川さん「接続とは『助動詞の交通ルール』」

接続は「助動詞の交通ルール」のようなもの。これを押さえるだけで、助動詞がどんな意味で使われているかが大まかに見えてきます。直前の動詞の活用形ごとに、助動詞をグループ分けして、セットで覚えるようにしましょう。

ステップ2:活用を整理する

助動詞も動詞と同じように、「形が変化する=活用」があります。ただし、すべてを細かく覚える必要はありません。
よく出る助動詞の活用パターンだけ押さえれば、テストや入試の基礎問題には十分対応できます。

よく出る助動詞の活用表(まずはここだけ!)

助動詞 活用の種類 活用形の例(語尾) 覚えるポイント
特殊型 せ/○/き/し/しか/○ 「過去」の助動詞。語尾が独特。
けり ラ変型 ○/けら/けり/ける/けれ/○ 「過去・詠嘆」。リズムで覚える。
たり・り ラ変型 たり/たり/たり/たる/たれ/たれ 「完了・存続」。語尾が似ている。
む・らむ・けむ 四段型 ○/○/む/む/め/○ 「推量・意志」など。文末によく出る。
特殊型 ず/ず/ぬ/ね/○/○ 打消。形が短いので覚えやすい。
べし 形容詞型 べから/べく/べし/べき/べけれ/○ 「推量・当然」。語尾が柔軟に変化。

 

東大卒教育ライター・布施川さん「助動詞の活用は何度も何度も唱えよう」

助動詞の活用は何度も何度も唱えることで「音のリズム」で体に染み込ませるのが一番です。書くよりも、声に出して覚えたほうがすぐに定着します。

ステップ3:意味を文脈で判断する

助動詞の最後のポイントは、「意味を文脈で判断すること」です。古文の助動詞には、1つの助動詞にいくつも意味があるものがたくさんあります。
例えば「む」には「意志」「推量」「仮定」「婉曲」などの意味があり、単純に「この助動詞=この意味」とは決まっていません。

文脈判断でまず見るべきポイントは「主語」と「文末の形」の2つです。

文脈判断でまず見るべきポイント

見るポイント 考え方のコツ
主語 主語が「自分」なら意志、「他人」なら推量 「我行かむ」→行こう(意志)
「人行かむ」→行くだろう(推量)
文末の形 終止形で終わっていれば推量、連体形なら婉曲 「〜む」→推量、「〜む人」→婉曲

こうした視点で読むと、意味を自然に選べるようになります。助動詞の意味は、全て覚えようとすると大変です。最初は「主な意味を1つ」だけ覚えれば十分。慣れてきたら、同じ助動詞が違う意味で使われる例を少しずつ増やしていきましょう。

東大卒教育ライター・布施川さん「文脈を読む力が重要になる」

助動詞の意味はある程度ルールを覚えたら、あとは「文脈を読む力」を使って判断することが必要になってきます。まずは、「この文はどんなことが言いたいのか」を考えてみましょう。その「言いたいこと」と助動詞の意味(推量や婉曲など)を照らし合わせて、それぞれの細かい差異を少しずつ理解していくのです。

接続ごとに覚える古文の助動詞

古典の助動詞

助動詞を覚えるときに大切なのは、「直前の動詞のどの形にくっつくか(=接続)」で分けて覚えることです。
古文の助動詞は、接続によって働きや意味が変わるため、ここでは 未然形・連用形・終止形・連体形・特殊接続の順に整理していきます。

未然形接続

まず覚えたいのが「未然形接続」の助動詞です。「未然形」とは、まだ起こっていないこと(=これからの動作)を表す形です。

現代語でいえば「行かない」「行こう」などの「〜ない」「〜う」にあたります。そのため、未然形に接続する助動詞の多くは「これからのこと」「起こっていないこと」に関わる意味を持ちます。

未然形接続の主な助動詞一覧

助動詞 主な意味 現代語訳イメージ 覚え方のコツ
む(ん) 意志・推量・仮定・婉曲 〜しよう/〜だろう 主語が自分なら意志、他人なら推量
打消 〜ない 「ぬ」と活用する形もある(例:行かぬ)
る・らる 受身・可能・尊敬・自発 〜れる/〜られる 「る」は一音節、四段動詞につく。「らる」はそれ以外
す・さす・しむ 使役・尊敬 〜せる/〜させる/〜させなさる 何かを“させる”イメージで覚える

 

東大卒教育ライター・布施川さん「未然形接続の助動詞のイメージ」

未然形接続の助動詞は、「まだ起こっていない動作」を表すグループです。「これからすること」「これから起こること」というイメージを持ちましょう。

連用形接続

「連用形」に接続する助動詞は、すでに起こったこと・動作のつながりを表すのが特徴です。現代語でいえば「〜た」「〜ている」「〜てしまう」などにあたるイメージ。つまり、「未然形がこれから」なのに対して、連用形は過去や結果に関係します。

連用形接続の主な助動詞一覧

助動詞 主な意味 現代語訳イメージ 覚え方のヒント
過去 〜た 話し手が“直接経験”した過去を表す
けり 過去・詠嘆 〜た/〜だなあ 物語や和歌で“気づき”を表す
つ・ぬ 完了・強意・並列 〜た/〜てしまった 「つ」は他動的、「ぬ」は自動的な完了のイメージ
たり 完了・存続 〜ている/〜た 連用形接続の「たり」は動作の結果が残っている感じ
たし 希望 〜たい 「したい」「食べたい」のような“希望”を表す助動詞

 

東大卒教育ライター・布施川さん「連用形接続の助動詞のイメージ」

連用形接続の助動詞は「終わったこと」を語るグループ。過去と完了の意味を持つ助動詞が多くてわかりにくいですが、「自分の経験=き」「物語=けり」「すでに終わったこと=つ・ぬ・たり」と整理すると覚えやすいです。

 

終止形接続

「終止形」に接続する助動詞は、話し手の判断や推定を表すグループです。 つまり、実際に起きたことを語るのではなく、「今どうなっているのだろう」「〜だろう」「〜にちがいない」 といった推測や断定の気持ちを表します。

終止形接続の主な助動詞一覧

助動詞 主な意味 現代語訳イメージ 覚え方のコツ
らむ(らん) 現在の推量・原因の推量・伝聞・婉曲 〜のだろう/〜だからだろう 「今」について推量する(現在推量)
けむ(けん) 過去の推量・原因の推量・伝聞・婉曲 〜だったのだろう/〜だからだったのだろう 「らむ」の“過去バージョン”と覚える
べし 推量・意志・可能・当然・命令・適当 〜だろう/〜すべきだ 助動詞界の万能選手。「む」の強化版
めり 推定・婉曲 〜ようだ/〜らしい 視覚情報をもとに“見た感じ”で判断する
なり 伝聞・推定 〜そうだ/〜であるようだ 聴覚情報(聞いた話)から判断する

 

東大卒教育ライター・布施川さん「終止形接続の助動詞のイメージ」

終止形接続の助動詞は「判断」や「推測」を表すグループです。全体的に真面目なイメージを持っておくと理解しやすいでしょう。何かしらの出来事や見聞きしたことについて、考えや意見を述べるときに使われます。

 

連体形接続

「連体形」に接続する助動詞は数が少ないですが、どれも文の意味をまとめたり、たとえたりする重要な助動詞です。

代表的なのは 「なり」「たり」「ごとし」の3つ。連体形とは「〜すること」「〜した人」のように名詞を修飾する形のことをいいます。この接続をとる助動詞は、断定・比況・例示など、文全体を説明する役割を持っています。

連体形接続の主な助動詞

助動詞 主な意味 現代語訳イメージ 覚え方のコツ
なり(断定) 断定・存在 〜である/〜にある 「体言」や「連体形」につく。体言接続=断定、連体形接続=伝聞。
たり(断定) 断定 〜である 「なり」とほぼ同じ意味。文体がやや堅く、書き言葉に多い。
ごとし 比況・例示 〜のようだ/〜のような 「Aのようだ」と訳せばOK。比喩表現で頻出。

 

東大卒教育ライター・布施川さん「連体形接続の助動詞のイメージ」

連体形接続の助動詞は数が少ないので、まとめて一気に覚えてしまいましょう。「なり」と「たり」の違いは最初は気にしなくて大丈夫です。「ごとし」は現代語でも「風のごとく」のように登場しますね。意味は今も昔も変わっていないので、覚えやすいと思います。

 

サ変未然・四段已然接続

このグループには、たったひとつ 「り」だけが登場します。「り」は少し特殊で、サ変動詞の未然形または四段動詞の已然形にだけくっつきます。他の助動詞とは違って、接続できる範囲が限られている点がポイントです。

「り」の基本情報

助動詞 接続 主な意味 現代語訳イメージ
サ変未然形・四段已然形 完了・存続 〜た/〜ている

 

東大卒教育ライター・布施川さん「助動詞の『り』」

助動詞の「り」は他のどのグループにも属さない、孤独で特殊な助動詞です。「さみしいの『り』」と覚えましょう。「サ」変動詞の「未(み)」然形と「四(し)」段活用動詞の「已(い)」然形にだけつく助動詞なので、「さみしい」という語呂合わせで覚えればよいのです。

 

古文助動詞の活用パターンと覚え方

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助動詞は、動詞と同じように形が変化(=活用)します。ただし全部を完璧に暗記する必要はありません。よく出てくる助動詞のパターンをまとめて覚えておけば、定期テストでも入試でも十分対応できます。

古文助動詞の活用パターン

ここでは、よく出る古文助動詞の活用パターンをまとめました。

助動詞 活用の種類 主な意味 活用の形
特殊型 過去 「せ/○/き/し/しか/○」
けり ラ変型 過去・詠嘆 「けら/けり/ける/けれ」
たり・り ラ変型 完了・存続 「たり/たり/たり/たる/たれ/たれ」
む・らむ・けむ 四段型 推量・意志・推定 「○/○/む/む/め/○」
特殊型 打消 「ず/ず/ぬ/ね/○/○」
べし 形容詞型 推量・当然・意志など 「べから/べく/べし/べき/べけれ/○」

 

東大卒教育ライター・布施川さん「助動詞の活用表の覚え方」

自分は受験生のとき、助動詞の活用表を教科書から書き写して、自分の部屋やリビング、トイレの壁など、あちらこちらに貼っていました。こうして、活用表を目に入れる頻度を増やし、自然と活用が頭に入るようにするのです。それでも覚えられない助動詞については、語呂合わせを使って覚えていました。

 

語呂合わせ・リズムでの暗記法

助動詞の活用は、書いて覚えるよりも声に出して語呂合わせで覚えるほうが効率的なこともあります。

語呂合わせで覚える!定番の助動詞

き、けり、ず

べし、む

助動詞 活用 語呂ストーリー
せ・○・き・し・しか・○ せっかくきのうしたのにしかたない。
けり ○・けら・けり・ける・けれ・○ けらいが、けりを入れ、けるっと勝ち、けれど誇らず。
ず(否定) ず・ず・ぬ・ね・○・○ ずっとやらず、手もぬれねえ…
べし べから・べく・べし・べき・べけれ・○ 諦めるべからず。勝つべくして努力し、やるべしと決め、やるべき事をこなし、つまづくこともあるべけれど後悔しない。
む(ん) ○・○・む・む・め・○ むと考え、むりせず、めざす道へ進む。

 

東大卒教育ライター・布施川さん「助動詞の暗記は『テンポと反復』」

助動詞の暗記は「テンポと反復」。声に出す習慣をつけること。短時間でもいいから、とにかく毎日繰り返して少しずつ定着させるようにしましょう。最初は活用表を見ながら、慣れてきたら何も見ずに唱えてみる。そのうち、カンペなしですらすらと言えるようになります。

 

まとめて確認しよう!古文助動詞の使い分け

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ここでは、助動詞を意味に分けて分類しました。助動詞の使い分けを感覚的に身につけることを目指しましょう。

推量系(む・らむ・けむ・べし)

推量系の助動詞は、古文の中でも頻出のグループです。どれも「〜だろう」「〜だと思う」など、話し手が推測・予想している気持ちを表します。現代語でも自然に置き換えられるので、感覚的に覚えましょう。

推量系の主な助動詞と意味

助動詞 主な意味 現代語訳イメージ 接続 ポイント
む(ん) 意志・推量・仮定・婉曲 〜しよう/〜だろう 未然形 主語が自分なら意志、他人なら推量
らむ(らん) 現在推量・原因推量・伝聞・婉曲 〜のだろう/〜だからだろう 終止形 「今どうなっているのだろう」と考える助動詞
けむ(けん) 過去推量・原因推量・伝聞・婉曲 〜だったのだろう/〜だからだったのだろう 連用形 「らむ」の過去版。過去のことを推測するときに使う
べし 推量・意志・可能・当然・命令・適当 〜だろう/〜すべき/〜できる 終止形 状況に応じて意味が変わる“万能助動詞”

このように「む」は未来、「らむ」は今、「けむ」は過去、「べし」は強い判断・当然の意味に位置づけると整理しやすいでしょう。

東大卒教育ライター・布施川さん「推量系の助動詞のイメージ」

推量系の助動詞は「時制」で整理するのがコツ。「む=未来」「らむ=現在」「けむ=過去」と覚えれば迷いません。「べし」はこれらとは少し毛色が違い、判断を強めるイメージです。

 

過去・完了系(き・けり・たり・つ)

過去・完了系の助動詞は、「すでに起こったこと」「終わった動作」を表します。古文では、出来事の順序や話の流れを理解する上で非常に重要なグループです。現代語の「〜た」「〜ている」「〜てしまった」に近い感覚で読むとわかりやすくなります。

過去・完了系の主な助動詞

助動詞 主な意味 現代語訳イメージ 接続 覚え方のヒント
過去(直接経験) 〜た 連用形 「自分が体験した過去」だけに使う
けり 過去・詠嘆 〜た/〜だなあ 連用形 「物語や和歌」の定番助動詞
完了・強意・並列 〜た/〜てしまった 連用形 「他動的」な完了(人が動作を終える)
完了・強意・並列 〜た/〜てしまった 連用形 「自動的」な完了(自然に終わる)
たり 完了・存続 〜ている/〜た 連用形 結果が残る感じ。「〜てある」に近い

 

東大卒教育ライター・布施川さん「過去・完了系の助動詞のイメージ」

「き・けり」は時間的な過去、「つ・ぬ・たり」は動作の過去。「終わったこと」を表す仲間と整理しておけば、なんとなく文意を理解できるようになります。

 

打消・可能・受身系(ず・る・らる・まし)

このグループは、「できない」「〜れた」「〜られる」「〜であったなら……」のように、否定・受け身・可能・反実仮想などを表す助動詞です。文のトーンをマイナスにしたり、控えめにしたりする働きが多く、読解でも意味の取り違えが起きやすいところです。

打消・可能・受身系の主な助動詞

助動詞 主な意味 現代語訳イメージ 接続 覚え方のヒント
打消 〜ない 未然形 基本の否定。「行かず=行かない」
受身・可能・尊敬・自発 〜れる/〜られる 未然形 四段・ナ変・ラ変に接続する
らる 受身・可能・尊敬・自発 〜れる/〜られる 未然形 「る」がつけられない語(上二・下二・カ・サ変)に接続
まし 反実仮想・ためらいの意志 〜であったなら/〜しようかしら 未然形 「もし〜だったら…」の仮定の世界を表す

 

東大卒教育ライター・布施川さん「打消・可能・受身系の助動詞のイメージ」

「る・らる」は古文で頻出です。最初はすべて「〜れる/〜られる」で訳してOK。慣れてきたら、受け身・可能・自発・尊敬の4つを文脈ごとに見分けるようにしましょう。

 

断定・比況系(なり・たり・ごとし)

このグループは、文の中で「〜である」「〜のようだ」とものごとを断定したり、たとえたりするときに使われる助動詞です。現代語訳がしやすいので、初心者にとって覚えやすいグループでもあります。

断定・比況系の主な助動詞

助動詞 主な意味 現代語訳イメージ 接続 覚え方のヒント
なり(断定) 断定・存在 〜である/〜にある 体言・連体形 名詞につくと「〜である」になる
たり(断定) 断定 〜である 体言 「なり」とほぼ同じ意味。文体が少し堅い
ごとし 比況・例示 〜のようだ/〜のような 連体形 「〜のようだ」と訳せばOK

 

東大卒教育ライター・布施川さん「断定・比況系の助動詞のイメージ」

連用形接続の「なり」「たり」「ごとし」は、「ものごとを説明する助動詞」です。「なり」「たり」は何か特別な意味があるわけではないので、現代語の「〜である」とほとんど変わらないと思って大丈夫。難しいことを考えず、シンプルに覚えましょう。

 

古文助動詞の練習問題【問題編】

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学んだ助動詞を、ここで実際に確認してみましょう。難しく考えずに、「助動詞の前の形(接続)」と「後ろの意味」を手がかりに解くのがコツです。時間を計って挑戦すると、より実戦的な練習になります。

接続を見極める練習問題

以下の文中の助動詞について、「どの活用形に接続しているか」を答えましょう。

  1. 春はあけぼの、やうやう白くなりゆく山ぎは〜
  2. 我、行かむ。
  3. 昔、男ありけり。
  4. 花咲ける庭に立つ。

活用形を答える練習問題

次の助動詞の活用形を答えましょう。
(それぞれ未然・連用・終止・連体・已然・命令のどれにあたるか)

  1. 「べく」
  2. 「ける」
  3. 「ぬ」
  4. 「しか」

意味を判定する練習問題

次の文の中で、助動詞の意味を選びましょう。

  1. 人もをかしきことを言ふらむ。
     →(A)過去推量 (B)現在推量 (C)伝聞
  2. 花咲きぬ。
     →(A)完了 (B)打消 (C)存続
  3. 行かざりけり。
     →(A)打消+過去 (B)受身+完了 (C)推量+詠嘆
  4. これは花なり。
     →(A)断定 (B)推定 (C)比況

古文助動詞の練習問題【解説編】

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ここでは、先ほどの問題の答えと考え方を解説します。「なぜそうなるのか」を理解しておくと、模試や入試で初見の文が出ても対応できます。

接続を見極める練習問題(解説)

接続を見極める練習問題

問題 答え 解説
1. 「なり」 連用形 「なりゆく」の「なり」は動詞の一部(断定ではない)。
2. 「む」 未然形 「行か(未然形)+む」で「行こう」。
3. 「けり」 連用形 「あり(連用形)+けり」で「過去」。
4. 「る」 已然形 「咲け(已然形)+る」→「完了」。

活用形を答える練習問題(解説)

活用形を答える練習問題

助動詞 活用形 解説
べく 連用形 「べし(形容詞型)」の連用形。
ける 連体形 「けり(ラ変型)」の連体形。
終止形 or 連体形 「完了・強意」。文末なら終止形。
しか 已然形 「き(特殊型)」の已然形。

意味を判定する練習問題(解説)

意味を判定する練習問題

問題 答え 解説
1 B:現在推量 「らむ」は今のことを推量する助動詞。
2 A:完了 「ぬ」は動作が完了したことを表す。
3 A:打消+過去 「ざり(ず)」+「けり(過去)」。
4 A:断定 「なり」は体言接続で断定。

解説を読むときは、「どこを見れば判断できるか」に着目しましょう。直前の動詞の活用形なのか、その文の主語なのか、はたまたなんとなくの文脈なのか。何に注目すればよいかを学習して、次の問題に活かすことが大切です。

まとめ 古文の助動詞は一つひとつつぶしていこう!

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古文の助動詞は、最初は数が多くてややこしく感じるかもしれません。でも実際には、ひとつずつ意味と使い方を整理していけば身につきます。

このページで紹介したように、助動詞は「接続 → 活用 → 意味 → 文脈判断」の順で理解するとスッキリ整理できます。焦らずに、一つずつつぶしていく気持ちで進めましょう。

東大卒教育ライター・布施川さん「古文の助動詞は焦らず落ち着いて覚えていこう」

最初は形を覚えるのが大変でしょう。でも、活用のルールや意味を覚えていけば、文の中で「お、これ知ってる!」と思える瞬間が必ず来ます。そのとき、きっと古文が一気に面白くなるでしょう。その瞬間を迎えるためにも、ここが踏ん張りどころです。語呂合わせなどを使って工夫しながら、今回学習したことを少しずつ頭に入れていきましょう。

 

執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部
編集部
塾選ジャーナル編集部

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

監修者プロフィール

布施川天馬
株式会社カルペ・ディエム所属 東京大学文学部卒ライター
布施川天馬

1997年生まれ。東京大学文学部卒。世帯年収300万円台の家庭に生まれ、幼少期から貧しい生活を送る。金銭的、地理的な事情から、無理のない進学先が東京大学のみに絞られ、東大進学を志す。 塾に通う金銭的余裕がなく、勉強の傍ら週3日フルタイムのアルバイトで学費を稼ぐ。受験生活を通してオリジナルの「お金も時間も節約する自習術」を編み出し、一浪の末、東大に合格。 在学中から、自身の勉強法や学習法を、執筆活動や、全国の学校での講演を通して広める。著書に『東大式節約勉強法』『東大式時間術』(扶桑社)『東大合格はいくらで買えるか?』(星海社)など。

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