ICT教育とは?メリット・デメリット、学力への影響から家庭でできる対策まで解説!
「学校からタブレットを持ち帰ってきたけれど、正直、遊んでいるようにしか見えない」 「YouTubeばかり見ていて、漢字が書けなくなるんじゃないか?」
急速にデジタル化が進むなかで、こうした不安を感じている保護者は少なくありません。
ICT教育とは、タブレットやパソコンなどの情報通信機器(ICT)を使った学習法のことです。 動画や図解で理解しやすくなる一方、視力への影響や書く力の低下などを心配する保護者もいるでしょう。
ここで大切なのは、ICT教育を「良し・悪し」だけで判断するのではなく、「家庭でどうコントロールするか」という視点です。
本記事では、保護者が一番知りたい「学力への本当の影響」や「デメリットへの具体的な対策」について解説します。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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目次
ICT教育とは? 子どもの学習へ導入が進む理由

ICT教育とは、タブレットやパソコンなどの情報通信機器(ICT=Information and Communication Technolog)を使って学ぶ方法のことです。動画・図解・学習アプリを活用できるため、理解を深めたり、自分で調べて考える力を身につけたりしやすい点が特徴です。
一方で、長時間の利用による視力への負担、気が散りやすいといった注意点もあります。
ここで押さえておきたいのが、ICT教育の目的が「機器操作を覚える」ではなく、「自分で調べ・考え・表現する力を育てる」であることです。ツールはあくまで手段にすぎず、魔法のように成績を上げてくれるものではありません。そして使い方を間違えなければ、子どもの「わからない」の解消を有効にサポートしてくれます。
ICTのスキルが子どもの将来に役立つ
ICT教育が急速に広がっている背景には、社会全体で求められる力の変化があります。調べる、まとめる、発表するといった学習スキルは、将来の仕事でも欠かせません。
さらに「GIGAスクール構想 ※」によって全国の学校に端末とネット環境の整備が進み、授業でICTを使える土台ができつつあります。タブレットを使えば理解度の確認がしやすく、デジタル教材で個別に学習を進められる場面も増えています。
※GIGAスクール構想:全国の子どもに「1人1台の端末」と高速ネットワークを提供する国の取り組み。
ICT教育3つのメリット、子どもの学習にどう生かす?
ICT教育には、デジタルならではの学習効果があります。特に次の3つは、保護者の方が違いを感じやすいポイントです。

「本当に理解が深まるの?」「タブレットに頼りすぎない?」と不安に思う場面もありますが、使い方次第で「理解の助けになる瞬間」を確実に増やしてくれます。
① 「イメージできない」壁を動画で突破できる
写真・動画・図解を使うことで、子どもが「イメージできないまま進んでしまう」場面が減ります。理科の実験を動画で確認したり、地形を3Dで見たりと、紙では再現しにくい学び方ができるため、抽象的な内容も理解しやすくなります。
② 「置いてきぼり」と「退屈」のリスクを防げる
AI型教材は、子ども一人ひとりの理解度を自動で分析し、合った問題を提示します。得意な単元はテンポ良く進み、苦手な部分は繰り返せるため、授業についていけない・簡単すぎるといったギャップが起きにくくなります。
先生も理解度を一覧で把握できるため、「つまずきの早期発見」につながります。
③ 「ゲーム感覚」で反復学習できる
正解表示やアニメーションで結果がすぐわかるため、「できた!」という感覚が得やすくなります。漢字や計算などの反復が必要な学習では、ゲーム感覚で続けられることから、学習のハードルを下げることもできます。
ICT教育のメリット、どう学習につなげたらいい?
ICT教育の効果を生かすには、「どの場面で使うか」をはっきりさせることが大切です。次のような工夫を取り入れると、学びに結びつきやすくなります。
- 理解が難しい単元:動画や図解を視聴して、わかりやすさを補う
- 反復が必要な内容:アプリを使って、効率よく反復練習する
- 苦手な科目・単元:ゲーム感覚の仕組みを利用して、取っ付きにくさをなくす
ICTを正しく位置づけることで、「情報を見るための道具」から「考える力を伸ばすためのツール」へ変わります。授業でも家庭学習でも、使う目的を決めることが学びの質を高める近道です。
ICT教育の4つのデメリット、どうフォローする?
ICT教育は便利な一方で、「視力は大丈夫?」「集中できるの?」と不安を感じる保護者の方もいます。実際、使い方や環境によって注意したい点がいくつかあります。
主な課題は次の4つです。

必要以上に心配する必要はありませんが、特徴を知っておくことで正しい向き合い方が見えてきます。
① 視力と姿勢の悪化、タブレットへの依存が心配
タブレットを長く使い続けると、目の疲れや視力低下のリスクが指摘されています。姿勢が崩れやすく、首や肩に負担がかかりやすい点も無視できません。さらに、動画やゲームに気持ちが向きやすいことから、使い方次第で依存傾向が強まるおそれもあります。
② 機能や刺激が多くて、集中して勉強できるか心配
タブレットは操作性が高く、通知や画面の切り替えが頻繁にあるため注意がそれやすいです。特に低学年では、学習と関係のない画面へ移動してしまうこともあります。これは子どもの性格ではなく、端末そのものの特性と理解しておくと対応しやすくなります。
③ 先生のICTスキルと学校の設備にばらつきがある
ICTの効果は、先生の経験や学校の設備環境に大きく左右されます。スムーズに授業が進むクラスがある一方で、操作ばかりに時間が取られてしまうケースもあります。Wi-Fiの安定性やICT支援員の配置など、学校による差が大きい点も実情です。
④ 書く量が減って、漢字や途中式を覚えにくくなる
タブレット中心の学習では、鉛筆で書く機会が減ります。その結果、漢字の形を覚えにくくなる、途中式を書かなくなるなど、「書くことで身につく力」が弱まりやすい点が課題として挙げられています。
ICT教育のデメリット、どうフォローしてあげたらいい?
ICTのデメリットは、次のようなシンプルな工夫で十分カバーできます。
- 利用時間を区切る(休憩ルールをつくる)
- 姿勢を保ちやすい環境を整える(机・椅子・端末角度)
- 使う場面を絞る(調べ学習/反復学習など)
- 書くべき内容は紙で行う(漢字、計算の途中式など)
これらを取り入れるだけで、ICTの弱点を押さえつつメリットだけをしっかり生かせます。
完璧を目指す必要はなく、できる範囲から少しずつ整えるだけで十分期待できます。
ICT教育で学力は上がる?下がる?

ICT教育と学力の関係は、「どのように使うか」で大きく変わります。
国内外の研究を見ると、動画や図解で内容を補ったり、デジタルドリルで苦手な問題を繰り返し練習したりする場面では、成績や理解度が改善したとする報告が少なくありません。
一方で、そうした効果がはっきり見られないという研究もあり、「端末さえあれば学力が上がる」というわけではないことも分かってきています。
参照:北海道教育大学「学校における1人1台端末環境が学力と学習態度の向上にもたらす効果」
また、タブレットの使用時間が長くなると、手書きの量が減る、画面の刺激で注意がそれやすい、家庭でゲームや動画に流れやすい、といった理由から、学習効果が十分に出ないケースも指摘されています。
問題なのはICTそのものではなく、時間の管理や使い方のルールが整っていないことだと言えます。
結論として、ICTは「適切な場面で、適切な量を使う」ことで学力の味方になります。調べ学習や難しい単元の理解にはICTを活用しつつ、漢字や計算のように書いて覚えたい内容は紙で行うなど、きちんと役割を分けて使うことが大切です。
【ICT教育の実践例】 授業での使われ方をチェック!
ICT教育は、学年が上がるにつれて「使い方の目的」が変化していきます。小学校では「基礎の理解補助」、中学校では「調べてまとめる力」、高校では「自分で考え表現する力」が中心になります。
ここでは、保護者が学年ごとの特徴をつかめるよう、代表的な実践例をわかりやすく紹介します。
小学校:タブレットドリルや協働学習で理解をサポート
小学校では、「理解しやすくする」「反復しやすくする」ための活用が中心です。
- タブレットドリル(計算・漢字)
正解がすぐに返ってくるため、テンポよく反復練習ができます。
- 理科の動画教材
実験の様子や観察の手順を動画で見られるため、理解が深まります。
- 協働学習(意見の共有)
児童がタブレット上で意見を書き、クラス全体で共有して比較できます。
「わからないまま進んでしまう」場面を減らせるため、授業の理解につながりやすい点が大きなメリットです。
中学校:プレゼンや探究学習で、発表の表現力をサポート
中学生では、「自分で調べ、まとめ、発表する力」を伸ばす使い方が増えます。
- プレゼン資料の作成(スライドづくり)
課題を調べてまとめる活動で、ICTの利便性が生きます。
- 探究学習での調べ学習
複数の資料の比較、情報の整理、意見づくりなどに活用します。
- 英語・理科の動画教材
発音練習や実験理解に役立つケースが増えています。
情報を整理し、自分の意見を言語化する場面が多く、ICTが深く考えるための補助ツールになります
高校:レポート作成やAI学習で生産的な学びをサポート
高校では、大学・社会につながる「生産的な学び(つくる・表現する)」が増えていきます。
- レポート作成(Word・スライド)
引用整理や構成づくりがしやすく、長文のまとめに活用します。
- AI学習(苦手分析・個別問題)
AIが得意・不得意を判定し、生徒ごとに問題を出題するツールもあります。
- ICT型の模試や確認テスト
タブレットでの即時採点により、弱点の把握が早くなります。
自分で計画を立てて学ぶ「自走力」の育成に直結し、進学にも活かしやすくなります。
「もう動画禁止!」と注意する前に試してほしい3つのこと
ICT教育の効果は、家庭での使わせ方によって大きく変わります。ここでは、今日から無理なく取り入れられる「家庭でのサポート方法」を3つの観点から紹介します。
① 使用時間や使い方など、家庭でのルールをつくる
ICTを学びの道具として生かすには、ルールの明確化が欠かせません。以下の3つだけ決めると、家庭の負担がグッと減ります。
- 使用時間:1回20〜30分・合計1日60分を目安にする
- 使う場所:リビングのみ(ながら利用を防げる)
- 目的を宣言させる:「今日は漢字」「理科のまとめ」など、始める前に一言で言わせる
目的を決めてから使わせるだけで、「気づいたらYouTubeばっかり見ていた」という状況が起きにくくなります。
② SNS・YouTubeなどの危険をフィルタリングする
安全面のトラブルを防ぐには、テクノロジーの仕組みを味方にするのが最も効率的です。
- フィルタリング(有害サイトブロック)
家庭端末:iPhone・Android・Chromebookすべてに標準機能あり。学校端末:学校側で管理・制限。
※YouTubeが見られてしまうなどの不安がある場合は先生に相談。
- アプリの利用制限
家庭端末:YouTube・ゲームは「学習後のみ許可」に自動設定できる。 - 履歴の自動共有
家庭端末:子どもの端末の検索履歴を保護者端末に送る設定も可能。
技術的な管理を取り入れると、親が「ずっと監視する」必要がなくなり負担が減ります。
③ 紙の学習とタブレット学習のバランスを決める
ICTだけに偏ると書く量が減り、反対に紙だけでは効率が落ちることがあります。最も効果的なのは、次のルールに沿って 目的別に使い分けること です。
<タブレットと手書きの使い分けリスト>
| 学習内容 | タブレット(ICT)が向いている理由 | 手書き(アナログ)が向いている理由 |
|---|---|---|
| 理解が難しい単元(理科・社会) | 動画・図解で直感的に理解しやすい | ー |
| 苦手の反復練習(漢字・計算・英単語) | 自動採点・即時フィードバックでテンポよく練習できる | 書く量を確保したい場合は紙が有効 |
| 調べ学習・探究学習 | 情報収集が早い・比較がしやすい | まとめ作業は紙のほうが整理しやすい |
| まとめ・プレゼン作成 | スライド作成・画像整理がしやすい | 原案を手書きすると構成が組み立てやすい |
| 漢字の書き取り | ー | 手書きで形・筆順が身につく |
| 計算の途中式を書く作業 | ー | 思考過程を残しやすく、誤りを見つけやすい |
| 文章読解 | 辞書・資料の併用がしやすい | 線を引く・書き込みで深い理解につながる |
| 作文・意見文の下書き | 清書には便利 | 手書きのほうが発想が出やすい |
| 図や表を書いて考える学習 | デジタルは操作切り替えで思考が分断されがち | 紙に書きながら考える方が整理しやすい |
| テスト対策 | 過去問の検索・時間計測は便利 | 本番と同じ形式で練習できる |
塾とICT教育を上手く組み合わせるコツ

学校のICT教育だけでは補えない力は、塾や家庭学習で十分カバーできます。ポイントは、ICTで伸びる力と、アナログ・対面で伸びる力を分けて考えることです。
以下では、役割分担と、家庭での取り入れ方のポイントを整理して紹介します。
ICT教育で身につきにくい「思考の深さ」を塾で補う
ICTは理解を助けるのが得意ですが、次のような「思考の深さ」や「表現力」を補うなら、塾の活用もおすすめです。
🔳塾で補える力
- 記述力(途中式・作文・意見文の書き方)
ICTは入力が中心のため、論理の組み立てや書き切る力は対面指導が強い。 - 読解力(長文の構造把握)
タブレットでは線引きや書き込みの習慣が薄れやすく、読みが浅くなりがち。 - 学習習慣づくり(ペースとモチベーションの管理)
ICTは反応が早い反面、誘惑もあり、人による管理があると安定する。 - 応用問題への挑戦(思考の壁の突破)
AIドリルでは対応しきれない 「自分で考えるステップ」を補える。
\塾を活用すると安定する子のタイプ/
- 家では学習リズムが整いにくい
- 書く量が明らかに不足している
- わからない問題を質問できずに止まってしまう
- ICTだと遊びに流れやすい
ICTで「理解」と「反復」を進め、紙学習で「思考整理」と「記述力」を補い、塾で応用力や学習習慣を整える—— この3つがそろうと学びが一気に安定します。どの力をどの手段で伸ばすかを意識すると、ムダのない学習サイクルが自然と回り始めます。
ICT学習×紙学習×通塾学習の丁度いい組み合わせ
保護者が迷いやすい「どれをどのくらい活用するか?」を、わかりやすくまとめました。
| 目的 | ICT学習 | 紙学習 | 塾 |
|---|---|---|---|
| 理解を深める | 動画・図解・シミュレーション | 補助的にメモ | 質問・深い解説 |
| 反復練習 | AIドリル・自動採点 | 漢字や計算の書く練習 | 間違いの原因分析 |
| 思考整理 | 情報収集・資料探し | 図・表・構成メモ | 論理の組み立て指導 |
| 定着・受験対策 | 過去問検索 | 本番形式の演習 | 戦略・弱点補強 |
家庭で学習方法を選ぶときは、それぞれの特性に合わせて役割分担することが大切です。
ICTは動画やドリルで理解を深めたり反復練習を進めたりするのが得意で、紙の学習は図を書いたり文章を構成したりする中で思考を整理しやすいという強みがあります。
さらに塾では、学習内容の定着や習慣づくり、応用力の強化といった家庭では補いにくい部分をサポートできます。こうした三つの役割を意識して使い分けることで、学習効率はぐっと高まります。
ICT教育について、よくある質問

ICT教育について保護者から寄せられる疑問を、実践的な視点でまとめました。家庭でどう向き合えばよいか、迷いやすいポイントを分かりやすく解説します。
どの教科にICT教育は効果があるの?
ICTが特に効果を発揮するのは、理解を深めたい教科と反復が必要な教科です。
理科や社会では、動画・実験映像・3D図解などによって「見てわかる」体験ができ、抽象的な内容もつかみやすくなります。また、漢字・計算・英単語のような反復練習が必要な分野では、AIドリルの自動採点や即時フィードバックが効果的です。
家庭でタブレットを持たせたくない場合はどうする?
「家ではタブレットを使わせたくない」という保護者は珍しくありません。結論として、家庭での利用は「必ずしも必須ではない」 ため、無理に使わせる必要はありません。学校で必要な分は授業内で完結します。
一方で、提出物や調べ学習など、家庭でも短時間の利用が求められる場面があります。その場合は次のような方法でコントロールできます。
- 使う場所を固定する(リビングのみ)
- 時間を限定する(15〜20分の短時間)
- 目的が終わったら電源を切るルールを明確にする
「完全に禁止」ではなく、「必要なときだけ、短時間だけ使う」 という形にすると、保護者の不安を和らげ、学校の学習にも支障が出にくくなります。
ICTが苦手な子のフォロー方法は?
ICTが苦手に見える子でも、多くは「操作が不安」「目的がわからない」ことで戸惑っているだけです。少しのフォローで使いこなせるようになります。
- 使う目的を一緒に確認する(「今日は調べ学習のために使うよ」など)
- 操作を細かく教えず「1ステップだけ」伝える(検索欄に言葉を入れる、など)
- 終わったら手書きで簡単にまとめる(理解の抜けを防ぐ)
タブレットだけで学ばせるのではなく、紙と組み合わせて使うことで理解が定着しやすくなります。「苦手だから使わせない」ではなく、「苦手だから、ゆっくり慣れさせる」 という姿勢が大切です。
まとめICT教育は道具であり手段。使い方で子どもの学びは変えられる

ICT教育にはメリットもデメリットもありますが、決め手となるのは家庭でどう使わせるかです。タブレットそのものが学力を上げたり下げたりするわけではなく、適切な場面で・適量使うことで、子どもの理解や学習リズムを大きく助けてくれます。
\明日からできる3つのアクション!/
- ICTを使う目的を決めてから使わせる(調べる/理解する/反復する)
- 書いて身につく学習は紙で行う(漢字・計算の途中式・読解のメモ)
- 使う時間と環境のルールをつくる(利用時間・姿勢・フィルタリング)
大切なのは、ICTを特別視しすぎないことです。「今日は何のために使うのか」を親子で共有し、書く学習と組み合わせながら進めていけば、タブレットは娯楽ではなく「学びを広げる道具」として働きます。
完璧な管理は必要ありません。家庭に合ったペースで整えていくだけで、子どもの学習リズムは安定し、自分で学ぶ力も育っていきます。
執筆者プロフィール
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