中学生の国語勉強法-すぐに点数が伸びる実践トレーニング5選【現役塾講師監修】
国語のテストの点数がなかなか伸びず、「自分は国語が苦手だ…」と感じている中学生は意外と多いでしょう。しかし、本当の理由は「才能」や「センスの有無」ではなく、勉強の“やり方”が身についていないだけということがほとんどです。
国語はすべての教科の基礎となります。なぜなら、どの教科でも「問題文を読む」「問いを理解する」「条件を整理する」「必要なら内容を自分の言葉で表現する」という「言語的な読み書き」の力は必須だから。
そこで本記事では、都立入試の国語指導において定評があり、数多くの受験生を指導してきた現役塾講師・大山先生監修のもと、国語の成績を確実に上げるためのノウハウを徹底解説。今日から実践できる「成績を上げるトレーニング方法5選」や、定期テストや高校受験の効果的な対策方法を具体的に紹介していきます。
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者
大山雅司
塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。
目次
国語が苦手な中学生に共通する4つの特徴

① 読んでも内容が頭に入ってこない
多くの中学生に見られるのが、「文章を読んでも、頭にほとんど残らない・何を言いたいのかわからない」というパターンです。これは単に “読む速度が遅い” からではなく、文章の構造や文脈のつながりを意識せずに読んでいるために起こります。教科書や参考書をただ黙読して終わり、という方法では、内容の理解も記憶も浅くなりがちです。
② 記述問題で何を書けばいいかわからない
「問題を読んではいるはずなのに、いざ記述問題になると手が止まる」という悩みも多いでしょう。これは、“答え方の型(どんな問いにはどのように答えるか)”を知らない、あるいは問いで求められていることを正確に読み取れていない状態です。つまり、文章を読む力と、「問いを解体・理解する力」の両方が不足しているのです。
③ 語彙や漢字の意味があいまい
文章の理解には、「語彙」が大前提となります。語彙力が乏しいと、文章の意味を正しく読み取れず、設問の意図も把握できません。また、漢字についても「読み書き」だけでなく、「意味」や「使い方」まで押さえていないと得点にはつながりません。
語彙や漢字を「なんとなく」覚えているだけでは、実際の読解や記述に活かせません。
④ 古典・漢文の学習が不十分
古典や漢文に苦手意識を持つ生徒も多く、「とりあえず現代文だけやればいい」と後回しにしがちです。古典や漢文は、単語・文法・句法などの基礎知識が得点に直結する分野。正しく学べば、点数源に変わるのが古典・漢文です。
中学生が国語の点数を伸ばすための勉強法・実践トレーニング5選【大山先生直伝!】
中学国語の成績を上げるには、ただ「読む」だけでなく、“どう読んでどう解くか”を訓練する必要があります。この章では、現代文・語彙・古典・記述まで、得点力を上げる実践トレーニングの方法を分野別に紹介します。

① 読解力UP!現代文の骨格を見抜く「マーク読み」
現代文の得点に伸び悩む生徒の多くは、「ただ文字を追っている」だけで、文章の論理や構造を捉えられていません。文章は“静的な文章”ではなく、“議論や説明の設計図”。接続詞・指示語・段落構成をマークして読むことで、内容の理解度がぐっと上がります。
■ 実践トレーニング :接続詞・指示語マークで構造を把握しよう!
- 塾用教材や市販問題集を読むときに「しかし」「なぜなら」「たとえば」「つまり」などの接続詞に下線を引く
- 「それ」「このように」「その結果」などの指示語に矢印で「どこを指すか」を書き込む
- 各段落ごとに「主張/理由/具体例/結論」など役割をノートにメモ
✓ トレーニングの効果
文章が単なる文字の羅列ではなく、「主張 → 理由 → 補足 → 結論」の構造として見えるようになり、内容理解がクリアになります。とくに、評論文や説明文で論理を追うときに強みになります。
✓ 効果を高めるコツ
- テスト後や復習時に「自分がどのマークを根拠にしたか」を振り返って確認。
- 定期的に「構造読解ノート」を作って、自分の読み方を振り返る習慣をつける。
② 記述力UP!よく出る4パターンの「型」を身につける
記述問題は「センス」ではなく、「型」と「練習」で誰でも得点できるものです。現代文・小説・説明文でよく出る記述パターンをあらかじめ知っておけば、答案の安定性が格段にアップします。
よく出る記述4パターン
- 言い換え型 — 「傍線部は、つまり〜ということだ」
- 理由説明型 — 「なぜなら、〜だからだ」
- 心情説明型 — 「〜という状況だったので、〜という気持ちである」
- 要旨まとめ型 — 「筆者が伝えたいことは、〜である」
■ 実践トレーニング:型にはめて練習をしよう!
| パターン | 書き出し例 | 練習方法 |
| 言い換え | 「〇〇ということ。」 | 傍線部の前後を読み、別の本文表現に言い換える |
| 理由説明 | 「〇〇から。」 | 理由を示す文(〜から/〜ため)を探して根拠にする |
| 心情説明 | 「△△ため、〇〇という気持ち。」 | 出来事 → 心情の流れを本文で確認して書く |
| 要旨まとめ | 「〇〇である。」 | 段落ごとの主張・理由を整理し、無駄を省いてまとめる |
✓ トレーニングの効果
この「型」を使うことで、誰が書いても構成が整いやすく、根拠を明示した論理的な記述になります。
✓ 効果を高めるコツ
- まずは「型を覚えるだけ」の練習 → 慣れたら時間制限をつけて“本番モード”で挑戦
- 回答後は必ず本文に戻り、「根拠が本文にあるか」「本文とずれていないか」を確認
- 書いた答案を模範解答と比べ、「どこが足りなかったか」「どこを改善すべきか」をメモする
③ 語彙力UP!毎日5〜10語ずつ覚える暗記ノート法
語彙力と漢字力、そして古文・漢文の単語力は、国語の“土台”です。これらが不十分だと、どれだけ読解や記述を鍛えても、文章の意味や細かいニュアンスがとれず、得点につながりにくくなります。
■ 実践トレーニング:語彙ノートで毎日少しずつ覚えよう!
- 新しく出会った言葉(漢字語、四字熟語、慣用句など)をノートに書き込む
- 意味・例文・使い方をセットで覚える
✓ トレーニングの効果
語彙は「たくさん一気に覚える」と定着しづらく、「毎日/少しずつ」のほうが記憶に残りやすいです。語彙力が増えると、読解はもちろん、記述や作文の表現の幅も広がります。
✓ 効果を高めるコツ
- 「1日5語」「1週間で35語」など、目標を小さく設定
- 暗記カードの裏に“例文”を書くことで、意味だけでなく使い方も覚える
- 週に1回、「以前覚えた語彙」の復習日を設け、忘れるのを防ぐ
④ 古典力UP!古文・漢文の基礎を“単語+文法+句法”で固める
古典(古文・漢文)は現代文とは文法や語彙、読みにくさが違い、新しいルールと単語の暗記が必要ですが、正しいステップで学べば「得点源」に変えられます。
■ 実践トレーニング:古典単語を覚え、読解に活かそう
- 古文単語の語句を暗記カードで反復
- 漢文の返り点や書き下しは音読して練習
✓ トレーニングの効果
古典の文章は現代文とは構造も語彙も異なり、「単語」「文法」のそれぞれを別に理解することで、読解がスムーズになります。多義語は特に混乱しやすいため、ノートなどにまとめて確実に定着させるのが正攻法です。
✓ 効果を高めるコツ
- 「古文50単語+文法3つずつ」など、少しずつ区切って覚える
- 暗記後すぐではなく、数日後にテスト形式で復習
- 漢文は声に出して読むことで、リズムと構造を体で覚える
⑤ 表現力UP!要約と意見文で「伝える力」を鍛える
国語で高得点を狙うには、読む力や暗記力だけでなく、「自分の考えを伝える力」も重要。要約や意見文は、ただ正しく書けるだけでなく、「論理的に/わかりやすく/相手に伝わるように」書く力が身につきます。
また、培った力は国語だけでなく推薦入試にも生かすことができます。
■ 実践トレーニング:要約+意見文 → 書く→見直す習慣をつけよう
- 要約:100〜150字の文章を80字以内で要点だけにまとめる
- 意見文:問いに対して「主張 → 理由 → 結論」の構成で、50〜100字で書く
- 書いたら翌日読み返し、主語と述語の関係・言いたいことが伝わるか・長すぎる言い回しになっていないかをチェック
✓ トレーニングの効果
現代文の記述、高校受験の作文など、あらゆる場面で「自分の考えを表現する力」が問われます。このアウトプット練習は、「ただ書く」ではなく、「考える → 書く → 直す」というサイクルによって、「伝わる文章」を書く力を養います。
✓ 効果を高めるコツ
- 書いた後は声に出して読み返す → 読み手側の視点でチェック
- 親や先生に読んでもらってフィードバックをもらう
- 改善ポイントをノートに書き出し、次回に活かす
定期テストと高校受験で変わる国語対策のコツ
中学生にとって「定期テスト」と「高校受験」では、同じ“国語”でも求められる対策が違います。ここでは、それぞれに合った実践的な学習の工夫を紹介します。
定期テストは「教科書準拠」で点を取りにいく
定期テストでは、基本的に教科書・授業内容から出題されます。つまり、「授業でやったことがそのままテストに出る」のが特徴です。
✅ 対策のポイント:
- 教科書の文章を何度も読み直す(特に設問がついていた部分)
- 授業で使ったノート・プリントを見返す
- 語句・漢字・文法など、教科書で扱った内容はすべて覚える
- ワーク・問題集は“3周”することで完成度を高める
高校受験は「出題傾向」と「記述添削」で差がつく
受験の国語は、“初見の文章”が出題されます。つまり、定期テストのように「知っている内容」は出ません。そのため、どんな文章にも対応できる“読解の地力”と、“記述力の精度”が求められます。
✅ 対策のポイント:
- 過去問や予想問題を使って、“初見の文章を読む練習”を繰り返す
- 記述問題の添削を受ける(自分ではミスに気づけない)
- 時間内に解き終える練習も必須(特に作文問題がある場合)
作文が出題される学校もあるため、「自分の考えを書く力(=意見文の練習)」も重要です。記述の型と、時間配分を意識することが合格への近道になります。
このように、定期テストでは「覚える力」+「教科書対策」、高校受験では「初見対応力」+「記述と時間管理」が大きなポイントとなります。
以下記事では、都立高校の200字作文の攻略法をまとめていますので、ぜひご覧ください。
保護者ができる中学生の国語力を伸ばす仕掛け
中学生になると、保護者の声かけが勉強に与える影響が変化します。「勉強しなさい」と言われれば言われるほど反発したり、やる気をなくしてしまうこともあるでしょう。しかし、保護者ができることは「直接教えること」だけではありません。環境を整え、自然と学びに向かえる“仕掛け”を作ることが、国語力の伸びに大きく影響します。
以下で一例を紹介します。
保護者自身が日常的に読書を楽しむ姿を見せる
子どもに「本を読みなさい」と強制するのは逆効果。まずは保護者が日常的に読書を楽しむ姿を自然に見せることが大切です。親が楽しそうに本や新聞を読んでいる姿勢は、言葉で指示するよりも「読書は身近なもの」というメッセージとして強く伝わります。読んだ本をリビングなど子どもの目につくところに置いておくのも良いでしょう。
また、図書館や本屋へ行くきっかけをさりげなく作ってあげるのも効果的です。
ニュースについて話題に出す
夕食時などにネットニュースなどの話題を出すことも、論理的思考力を育てる絶好の機会。このとき、無理に子どもに意見を求める必要はありません。子どもが聞いている場所で「ニュースの内容と、それに対する親自身の考え」を話す習慣があるだけで十分です。
子どもは親の話を聞きながら、無意識のうちに物事の捉え方や論理の組み立て方を理解し、身につけていきます。
また、反抗期であれば親の意見に違和感を覚え「自分は違う」と考えることもあるでしょう。その違和感こそが、自分の考えを形成する大切なきっかけにもなります。思考のヒントを与えてあげることは、国語力の土台を築く立派なサポートです。
塾選ジャーナルがおすすめする国語に強い塾TOP3
「自分一人で実践トレーニングを続ける自信がない」「プロに記述の添削をしてほしい」という場合は、国語に強い塾の力を借りるのも最短ルートのひとつです。以下に、塾選ジャーナルが厳選した「中学生の国語指導に定評がある塾TOP3」を紹介します。
| 塾名 | お問い合わせ | おすすめポイント |
|---|---|---|
| 野村国語塾 | 国語を専門とするオンライン塾。独自の野村式精読法を用いて、根源の読解力と表現力を鍛えます。 | |
| 個別教室のトライ | 1対1のマンツーマン指導で国語力をアップ。子どもに合った担当をセレクトし、毎回同じ担当講師が授業を行います。 | |
| 創英ゼミナール | 授業は個別指導スタイルで行われ、講師がつきっきりで国語を指導してくれます。 |
集中して国語に取り組みたい場合は冬期講習へ参加するのもおすすめ。冬期講習の情報をもっと見たい方は、以下もご覧ください。
国語の勉強法Q&A-中学生がよく抱える疑問を解決!
Q1. 本を読むのが苦手でも国語が得意になる方法はありますか?
本を読むことが苦手でも、国語の得点力を向上させることは可能です。
もちろん、長い目で見れば本を読む習慣がある方が受験における国語力でも有利ですが、最初から分厚い本や難しい文章に取り組む必要はありません。まずは興味のある分野の短文や漫画、小説の一部など、ハードルの低いものから始めましょう。
読むことを「義務」ではなく「楽しみ」に変えることが、国語力向上の第一歩。読み慣れてくると、自然と難しい文章も理解できるようになっていきます。
Q2. 毎日どのくらい勉強すれば良いですか?
理想は20〜30分程度、集中して国語だけに取り組む時間をつくることです。
・10分:語彙や漢字の復習
・10分:文章読解
・10分:記述問題や作文練習
というように分けて取り組むと、バランスよく力が伸びます。ただし、忙しい日は「10分だけ語彙」などでもOK。大切なのは“継続”です。
Q3. 国語は他の教科の成績にも関係しますか?
非常に関係があります。国語力とは「読み取る力」「考える力」「書く力」であり、これは数学の文章題、理科や社会の長文問題、英語の読解などにも深く関わっています。国語力を鍛えることは、“すべての教科の成績アップの土台”につながります。
Q4. 国語のテスト勉強は最低何日前からはじめたら良いですか?
「他のライバルと大きく差をつけたい!」と思っている生徒は、定期テスト3週間前から勉強を本格的に始めましょう。テスト本番まで時間があるため、余裕を持って対策に臨めます。定期テスト勉強方法のコツは以下の記事も参考にしてください。
まとめ:すぐにはじめよう!国語力UPの勉強法
国語は「センス」ではなく、「方法」と「習慣」で必ず伸びます。今回紹介したように、読むときには構造を意識し、書くときには型を使い、覚えるときには毎日少しずつ積み重ねていく―。こうした正しい勉強法でトレーニングを繰り返すことで、誰でも着実に得点力を高めることができます。
国語はすべての教科の土台。読める力・書ける力がつけば、数学・社会・理科・英語の理解力や記述力にもつながります。小さな一歩を、毎日積み重ねていくことで、あなたの国語力は必ず変わります。さっそく今日から、はじめてみましょう!
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。


