高校受験の不安がピークな君へー合格を引き寄せる“心の整え方”【現役塾講師監修】
「志望校の倍率を見て、目の前が真っ暗になった」「第一志望校の模試判定が低くて不安」「高校受験に落ちたらと思うと眠れない」
今、この画面を見ているあなたは、押しつぶされそうなプレッシャーと一人で戦っているのではないでしょうか。 まず、はっきりとお伝えしたいことがあります。 その「不安」は、決してあなたの心が弱いから生まれるものではありません。不安は、あなたがこれまで本気で努力し、「絶対に合格したい」と強く願っているからこそ生まれるものです。
しかし、過度な不安は受験勉強のパフォーマンスを低下させてしまいます。
この記事では多くの高校受験生を指導してきた現役塾講師の大山先生監修のもと、高校受験生の不安の原因を分解し、ポジティブな力に変える方法を解説します。心を整えてラストスパートをかけましょう!
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者
大山雅司
塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。
目次
高校受験の不安の原因を分解!合格を引き寄せる“心の整え方”
ここでは、受験直前期に多くの受験生を悩ませる「倍率」「模試の判定」「合否」という3つの不安要素を解明します。それぞれの対処法を知り、冷静さを取り戻してラストスパートを走り抜けましょう。
倍率が高くて不安-仕組みを知れば怖くない
受験直前期に受験生のメンタルを最も大きく揺さぶるのは「倍率発表」ではないでしょうか。 ニュースやネットで発表される数字を見て、「うわ、倍率が上がった!もう無理だ」と焦ってしまう受験生も多いかもしれません。
実は、多くの受験生が焦るのは、単に「倍率の動き」を知らないだけ。これを知れば、一時的な倍率の変動に惑わされず、冷静さを保ったまま本番を迎えることができるでしょう。

■ 倍率は「一度上がって、落ち着く」のがセオリー
まず、多くの地域で当てはまる「倍率の動きのパターン」を知っておきましょう。それは、「最初の倍率は高く出て、最終的には下がる(落ち着く)ことが多い」という傾向です。
多くの公立高校(特に志望校の変更期間がある地域や、都立高校など)では、「志望校予定調査」から「第一次応募(出願)」の段階で、一時的に倍率が跳ね上がる(0.4〜0.5倍ほど上昇する)ことがよくあります。 しかし、その後の「実質倍率(実際に受験する人の倍率)」では、数字は落ち着きます。
例:東京都立高校の倍率推移(2025年度)

※第一次応募倍率で2倍を超える高校のみをピックアップ
※参照元:東京都教育委員会 令和7年度 都立高校全日制等志望予定(第1志望)調査の結果について、令和7年度東京都立高等学校入学者選抜受検状況をもとに計算
なぜなら、一時的な上昇分には、「私立高校が第一志望だけれど、とりあえず公立高校にも出願しておく」という層が含まれているからです。 その後、こうした層が辞退したり志望校を変更したりすることで、最終的には当初の予定調査に近い数値、あるいは第一次応募より低い数値まで戻るケースが大半です。
つまり、出願時の一時的な高倍率を見て「終わった」と絶望するのは、「一時的に膨らんだ数字」に驚いているだけなのです。「あ、例年通り上がったな。ここから本番までにまた移動するんだな」と割り切って考えましょう。それだけで、過度な焦りは防げるでしょう。
■ 高倍率の正体は「不安な人の集合体」
もう一つ、倍率について知っておいてほしいことがあります。 「倍率が高い」と聞くと、強敵だらけのように感じるかもしれません。しかし、それは錯覚です。
倍率が高いということは、単に「人数が多い」というだけのこと。 つまり、「自分と同じように不安を抱えている人」が、そこに大量にいるというだけなのです。
ライバルたちも、決して余裕ではありません。画面の向こうで、あなたと同じように「倍率が高い、どうしよう」と不安になっているかもしれません。「不安なのは自分だけじゃない」と思えば、孤独感や過度なプレッシャーからは解放されるはずです。
都立高校の倍率については以下の記事でも詳しく紹介しています。
模試の判定が下がって不安-中3 秋以降の模試はそもそも苦戦するもの
「勉強しているのに判定が下がった」と焦る受験生は多いですが、これは中3秋以降特有の現象。入試直前期は周囲の受験生も猛勉強を始めるため、全体の平均点が上がりやすくなります。つまり、「自分の実力は伸びていても、周りも伸びているため偏差値や判定が出にくい」という状態になりがち。厳しい競争の中で食らいついている自分を信じて、出願ギリギリまで可能性を追求しましょう。
また、ずっと思うような判定に届かない場合、「もう無理かも」と心が折れそうになる気持ちは分かります。ただし、模試はあくまで「現時点での実力」を測る健康診断のようなもの。決して本番の結果ではありません。
「本番で間違えるはずだった問題を、今見つけられた」と前向きに捉えましょう。今の判定が低くても、課題を一つずつ潰してラストスパートで大逆転合格する受験生は、たくさんいます。
高校受験に落ちたらどうしよう-漠然とした不安は勉強に集中するのみ
高校受験は人生の大きなイベントですが、決してゴールではありません。第一志望に合格することが「成功」で、不合格が「失敗」というわけでもありません。どの高校に進むかよりも、進んだ先で「どう過ごすか」の方が、あなたの未来にとっては重要。
もし第一志望に行けなかったとしても、そこで前向きに頑張れる人には必ず次のチャンスが巡ってきます。道は一つではないことを忘れないでください。
そして、今の漠然とした不安を消す方法は「目の前の勉強に集中すること」です。「これだけやったんだから大丈夫!」と思えるまで勉強しましょう。その積み重ねが、本番であなたを支えます。
高校受験の志望校を変えるか迷う-受験直前期の「決断の不安」を消す3つの思考の型
もしかすると倍率や模試の判定を見て、「志望校を変えるべきか、変えずに突き進むべきか」と迷う受験生もいるかもしれません。
「倍率が高い、模試の判定が低いから諦めた」と後悔するのも、「無理して突き進んで落ちた」と後悔するのも、どちらも辛いものです。だからこそ、以下のことを念頭に、最後は「自分がどうしたいか」で決めてください。
✔ S判定・A判定が出ているなら、倍率は気にせず突き進む
✔ 高倍率・高偏差値の学校ほど逆転合格の難易度は上がるが、最後まで粘ればチャンスはある
✔ 模試がD・E判定でも、挑戦するかどうかは自分で決める
大山先生
「自分で決めた」という事実さえあれば、迷いは消え、勉強への集中力が戻ってきます。
ここからは、どちらの道を選んでも自信を持って進めるよう、受験への不安を消し、モチベーションを保つヒントを紹介します。
志望校を変えない場合

① 「今日やる勉強は変わらない」
想像してみてください。もし、志望校の倍率が10人増えようが20人増えても、今の模試結果が思ったような結果でなくても、あなたの目の前に配られる「数学の計算問題」の内容は変わるでしょうか? いいえ、変わりません。あなたが書くべき「英単語」のスペルも変わりません。あなたが合格のためにやるべきことは、1ミリも変わらないのです。
「想定外の事態」や「悪いニュース」が飛び込んできても、「で、やることは変わるの?」と自問してください。答えは常にNOです。この「割り切り」が、あなたの不安を軽くしてくれます。
大山先生
私自身の体験をお話ししましょう。 私は高校入試当日、なんと「時計」を家に忘れてしまいました。会場で時計がないことに気づき、一瞬パニックになりました。ただよく考えてみると「時計があろうがなかろうが、全速力で問題を解くことに変わりはない」んですよね。 すぐに考えを切り替えられたおかげで、無事にその試験を乗り越えられました。
②「こんな高い壁に挑んでいる自分、かっこいい」
真面目な人ほど、「自分はなんてダメなんだ」と減点法で考えがちです。そこでおすすめなのが、あえて自分に酔うことです。
高倍率の学校や、偏差値の高い学校を目指すことは、誰もができることではありません。あなたはあえて「厳しい道」を選び、逃げずに戦っています。 不安を感じた時こそ、鏡の中の自分に向かってこう呟いてください。 「こんな厳しい倍率の中で戦おうとしている私、すごくない?」
「合格までの道のりが険しければ険しいほど、受かった時のドラマは盛り上がる」。そうやって自分を主人公に仕立て上げることで、不安を「ワクワク」に変える作戦です。
③ 「不安を感じるのは、当たり前だ」
このスタンスは、不安を無理に消そうとするのではなく、「あって当たり前のもの」として受け入れる方法です。
不安や焦りを感じると「自分は弱い」と思いがちですが、それは間違い。客観的に見れば、高校受験で不安にならない人はいません。つまり、「不安=正常」なのです。
「みんなが焦っているなかで、自分だけが『不安なのは当たり前』と開き直れている」。その冷静さが、本番での強さになります。
志望校を変える場合

一方で、倍率や模試の結果を冷静に分析し、志望校を変更すると決めた受験生もいるでしょう。 「第一志望校から逃げてしまった」と自分を責めてしまうかもしれませんが、その考え方は今日で捨ててください。
志望校の変更は、決して「妥協」ではありません。合格を確実に掴み取るための「戦略的なルートチェンジ」です。ここでは、志望校変更をポジティブな力に変える3つの思考を紹介します。
① 「これは勝つための『選択』だ」
志望校変更を「逃げ」と捉えるのはやめましょう。 あなたは、倍率や自分の持ち点というデータを分析し、「より確実に合格をつかむ」という**賢い判断(戦略)**をしたのです。
登山で例えれば、落石の多い危険なルートを避けて、安全に頂上に着けるルートを選び直しただけのこと。 「自分は感情に流されず、正しい選択ができたんだ」と、自分の決断力に自信を持ってください。
② 「今の『A判定』は、これまでの努力の結晶だ」
もし、変更先の志望校が当初よりワンランク下げた「A判定」や「安全圏」の高校だったとしましょう。なぜ、そこで良い判定が出るのでしょうか?
それは、あなたがこれまで「高い目標」を目指して、必死に努力を積み重ねてきたからです。
今の「余裕」は、あなたがこれまで流した汗と努力が勝ち取った「実力という名の貯金」です。これまでの自分の努力を認めてあげてください。
③ 「この学校で『トップ圏の合格』を目指す!」
志望校を変えると、モチベーションが下がってしまうことがあります。そんな時は、目標を「合格すること」から「トップ圏で合格すること」に書き換えてみましょう。
ギリギリで入るよりも、上位の成績で入った方が、次の大学受験に向けてよいスタートが切れる場合が多いでしょう。「下げて入る」のではなく、「助走をつけて先頭で走り出す」。そう考えれば、変更後の勉強にも熱が入るはずです。
高校受験の不安を増幅させる“意外な敵”を知ろう
「思考の型」や「志望校選び」で悩み抜いても、まだ不安が消えない。そんな時は、身体や環境に原因があるかもしれません。
メンタルを内側から蝕む、受験生の「意外な敵」とその対処法を紹介します。

① 空腹と睡眠不足
人間は、「睡眠不足」と「空腹」の状態だと、必要以上に物事をネガティブに捉えるようにできている生き物です。もし心当たりがあるなら、悩むのを一旦やめて、「何か食べて、寝る」のがオススメです。
血糖値が上がり、脳が休まるだけで、さっきまでの「絶望」が「ただの心配事」レベルまで縮小することは頻繁にあります。 どうしようもなく心が辛い時は、参考書を閉じて、温かいものを食べて布団に入ってください。深刻に悩むのは、回復してからで十分です。
② 友達との比較
「あの子はもう過去問で合格点を取ったらしい」 「友達のインスタ、余裕そうでいいな」
受験期に一番メンタルを削るのは、友達との比較です。特に現代は、SNSがその不安を増幅させています。
勉強の休憩中に、Xやインスタ、LINEを見て落ち込んでいませんか? 「模試でA判定だった!」「今日は10時間勉強した!」 しかし、それは情報の切り抜きに過ぎません。
心がざわつくなら、受験が終わるまでアプリを消すか、スマホをリビングに置いておくこと。「他人の雑音」を物理的に遮断するだけで、驚くほど心は軽くなります。
③ 手が動いていない
不安は、何もしていない「空白の時間」に大きく膨らみます。 布団のなかで明日のことを考えたり、机の前でペンを持たずに悩んでいる時が、一番怖いのです。
逆に、手を動かして問題を解いている最中に「不安で震える」ことは、脳の構造上難しいとされています。
(※米国国立衛生研究所(NIH)データベース掲載の研究より)
不安に感じたら、「とりあえず英単語帳を開く。計算問題を1問解く。」を実践してみてください。悩む前に「物理的に動く」ことで、脳を「作業モード」へと切り替えましょう。
高校受験への不安を抱える子どもに、保護者ができるサポート
この記事を読んでいる方のなかには、受験生の保護者の方もいらっしゃるでしょう。子どもが不安で押しつぶされそうになっている姿を見るのは、親としても辛いもの。しかし、ここで子どもと一緒に不安になってはいけません。
子どものメンタルを安定させるために、家庭でできるサポートを紹介します。

保護者の仕事は「コーチング」ではなく「環境作り」
まず、やってはいけないNG行動があります。それは、保護者が不安になって「もっと勉強しなくて大丈夫?」「あと何点足りないの?」と、数字や進捗を細かく確認することです。
子どもは、保護者以上に「やばい」と思っています。そこに追い打ちをかけると、家庭が「やすらげる場所」ではなく「監視される場所」になってしまいます。
親ができる最高のサポートは、何か特別なアドバイスをすることではありません。 「いつも通りの日常」を維持することです。
- いつも通り、ご飯を用意する。
- いつも通り、「おはよう」「おやすみ」と明るく声をかける。
- いつも通り、リビングを暖かくしておく。
子どもが学校や塾から帰ってきた時、家が「安全地帯」であることが、何よりの回復薬になります。
言葉をかけるなら「結果」ではなく「過程」を認める
もし子どもへ声をかけるなら、「受かるといいね」という結果への期待ではなく、「毎日遅くまで頑張ってるね」「あなたが努力しているのは、お母さん(お父さん)が一番知ってるよ」と、プロセス(過程)を肯定するニュアンスの言葉をかけてあげてください。
「結果がどうなっても、あなたの価値は変わらないし、家族はずっと味方だ」。 言葉にしなくても、その態度が家庭にあれば、子どもは安心して最後のラストスパートをかけられます。
以下は塾選ジャーナルが実施した「受験生にかける言葉」の保護者調査です。調査対象は大学受験を経験した家庭ですが、実際に保護者から受験生にかけた実例は参考になります。
ぜひご覧ください。
志望校変更を迷っている場合、決定は本人に委ねる
倍率や模試判定を見て、子どもが「志望校を変えようか」と揺れ動くことがあるかもしれません。親としても将来を心配するあまり、つい「安全圏に変えたら?」などと、大人の視点で意見を言いたくなるでしょう。
しかし、もし保護者主導で進路を決めてしまうと、結果がどうであれ、子どもは将来何かあった時に「自分で選べなかった」「親のせいでこうなった」というしこりを残しかねません。
最も大切なのは、子どもが悩み抜いて、納得して決断すること。「あなたが考え抜いて決めた道なら、全力で応援する」というスタンスで、最終的な判断は本人に委ねて信じましょう。「自分で決めた」という覚悟こそが、本番での底力になります。保護者は決定者ではなく、一番の理解者として寄り添う姿勢が重要です。
まとめ:高校受験の不安は「本気」の証拠。自分を信じて
ここまで、不安を解消するための考え方をお伝えしてきました。 最後に、一つだけ覚えておいてほしいことがあります。
「不安」と「合格」はセットです。 不安がない高校受験などありません。不安は、あなたが本気でその学校に行きたいと願っている証拠。
不安を感じるたびに、「あ、今、自分は本気なんだな」と確認してください。そして、そのエネルギーを「悩むこと」ではなく、「ペンを動かすこと」に使ってください。
あなたが積み上げてきた時間は、あなたを裏切りません。 今日できる一歩を踏み出し、春には笑ってその門をくぐりましょう。応援しています。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。

