指定国立大学とは? 旧帝大との違いや、進学後・就職時のメリットについて解説
指定国立大学という言葉を、塾の面談やニュースで耳にする機会が増えてきました。
なんとなく「レベルが高い大学らしい」とはわかっても、「旧帝大と何が違うの?」「進学すると何か有利なの?」と、判断に迷う保護者も多いのではないでしょうか。
指定国立大学法人(通称、指定国立大学)とは、文部科学大臣が「世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる」と認めた国立大学を指定し、支援を行う制度です。
2026年1月時点で全国に9大学あり、ほかの国立大学とは、期待されている役割が異なります。
この記事では、制度の仕組みから最新の大学一覧、旧帝大との違い、そして「保護者が知っておくべき進路選択のポイント」をわかりやすく解説します。
編集部
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目次
指定国立大学とは?

指定国立大学とは、文部科学大臣が「世界最高水準の教育研究活動の展開が相当程度見込まれる」ことを理由に、経営面での規制緩和を認められた国立大学のことです。
指定国立大学に選ばれると、経営面で国の規制が緩和され、資産運用や企業との事業連携の自由度が広がり、世界と戦える体制を自分たちの判断で構築できる裁量が広がります。
2026年1月現在、指定国立大学法人に指定されているのは、東北大学、筑波大学、東京大学、東京科学大学、一橋大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学、九州大学の9校です。

指定国立大学に共通する特徴は、研究力・社会連携・国際協働の面で国内トップクラスの実績を有している点です。経営の自由度を拡大により、企業との連携や寄付集めが容易になり、世界の大学と戦える競争力をさらに養えるようになります。

指定国立大学、制度誕生の背景
指定国立大学法人制度は、2016年の国立大学法人法改正で誕生しました。背景には、日本の大学が世界ランキングで苦戦し、国際的な競争力を失いつつあるという危機感があります。
中国やシンガポールの大学が順位を上げる一方で、日本の大学は順位を落としています。そこで国は、特に優れた大学に規制緩和などの特例を認めました。
このように制度を設計することで、指定国立大学が世界のトップレベルの大学と戦える土壌を整えようとしたのです。
ほかの国立大学との違い
一般的な国立大学法人と指定国立大学法人の主な違いは「経営の自由度」です。
一般的な国立大学法人は、国が定めたルールに基づいて運営されており、資金(主に国からの補助金)の使い方や事業展開には一定の制約があります。
一方、指定国立大学法人は、世界トップレベルの研究力を高めることを目的に、大学経営に関する一部の規制が緩和されています。具体的には、次のような特例が認められます。
- 研究成果を活用する企業への出資範囲の拡大
- 余裕資金の運用方法の柔軟化
- 中期目標に関する特例措置
大学経営の自由度が増すことで、一般的な国立大学よりも大学の教育力や研究力の強化がしやすくなります。
指定国立大学一覧【2026年最新】

2026年1月時点での最新情報をもとに、指定国立大学とその特徴を一覧にしました。志望校選びの参考として、まずは「どのような大学が選ばれているのか」を確認しましょう。
<指定国立大学の特徴一覧>
| 大学名 | 偏差値帯 | 主な学部系統 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 東北大学 | 52.5~67.5 | 文・教育・法・経済・理・工・医・歯・薬・農 | 研究重視/工学部、理学部 |
| 筑波大学 | 55.0〜67.5 | 人文・社会・理工・情報・医・体育・芸術 | 文理融合。体育・教育・情報分野が有名 |
| 東京大学 | 67.5〜72.5 | 文・法・経済・教養・理・工・医・薬・農 | 教養重視・進学選択制度・日本最高峰/文科一類・理科三類 |
| 東京科学大学 | 50.0〜70.0 | 理工・医歯・情報・生命 | 理工医融合・研究重視・高度専門教育/工学院・医学部 |
| 一橋大学 | 65.0〜72.5 | 商・経済・法・社会 | 社会科学特化・ゼミ中心・少人数精鋭/商学部・法学部 |
| 名古屋大学 | 50.0~67.5 | 文・法・経済・理・工・医・農 | 理系・研究強み/工学部、情報学部 |
| 京都大学 | 62.5〜72.5 | 文・法・経済・教育・理・工・医・薬・農 | 自由な学風・独創性・研究力/理学部・法学部 |
| 大阪大学 | 57.5~70.0 | 文・人間・法・経済・理・工・医・歯・薬 | 実学重視・関西トップクラス/医学部、工学部 |
| 九州大学 | 55.0~67.5 | 文・法・経済・教育・理・工・医・歯・薬・農 | 総合力・国際性/工学部、農学部 |
引用:東北大学偏差値(ボーダーライン)|河合塾Kei-Net/筑波大学偏差値(ボーダーライン)|河合塾Kei-Net/東京大学偏差値(ボーダーライン)|河合塾Kei-Net/東京科学大学偏差値(ボーダーライン)|河合塾Kei-Net/一橋大学偏差値(ボーダーライン)|河合塾Kei-Net/名古屋大学偏差値(ボーダーライン)|河合塾Kei-Net/京都大学偏差値(ボーダーライン)|河合塾Kei-Net/大阪大学偏差値(ボーダーライン)|河合塾Kei-Net/九州大学偏差値(ボーダーライン)|河合塾Kei-Net
参照:旧帝大とは?7校の偏差値・序列・特徴を徹底比較!合格者の声も紹介/東京一工の序列・偏差値を徹底解説!特徴や合格者の声も
旧帝大7校の内、北海道大学のみが指定されていません。一橋大学は文系特化で唯一の指定校です。各大学の特徴をもっと知りたい場合は、こちらの記事がおすすめです。
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指定国立大学と旧帝大は何が違う?
指定国立大学と旧帝大では、該当する大学に重複が多いことから「その違いは何?」と感じている受験生や保護者もいるはずです。。しかし、この2つは、定義の異なる大学群で、優劣を比較する必要はありません。

・旧帝大
明治から昭和初期に、日本列島に7校、朝鮮半島と台湾に1校ずつ設置されたのが帝国大学。戦後日本国内に残った7つの大学を指す。
・指定国立大学
文部科学省が「世界最高水準の教育研究活動が期待できる」と認め、、経営の規制緩和をした国立大学法人のこと。
前者は戦前の大学制度に基づいた枠組み、後者は現在の教育や研究を評価した制度上の枠組みです。「どちらが上」という評価もできそうではありますが、基本的には異なる切り口の大学群だと理解しましょう。
指定国立大学に進学するメリット

「指定国立大学に進学すると、何か得することはあるの?」
これは受験生や保護者が特に気になるポイントだと思います。結論から言うと、メリットを実感できるかどうかは「卒業後の進路」によって大きく変わります。
メリットを実感しやすい学生
以下のような進路を考えている学生にとって、指定国立大学に進学するメリットは大きいと言えます。
- 大学院に進学して研究を深めたい
- 将来研究職に就きたい
- 在学中に研究プロジェクトに積極的に参加したい
これに当てはまる学生にとって、指定国立大学の具体的なメリットは次の3つです。
- 最先端の研究設備を使える可能性が高い
- 国際的な研究プロジェクトに参加するチャンスがある
- 優秀な研究者から直接指導を受けられる機会が増える
学生からすると、指定国立大学は、研究面で大きなメリットがあります。大学で研究をしっかりやりたい人にはおすすめです
メリットを実感しにくい学生
一方で、4年間で卒業して就職する予定の学部生にとっては、指定の有無による違いはあまり感じられません。理由は以下のとおりです。
- 学部の授業内容は従来通り
- 学費も変わらない
- 就職活動では「指定かどうか」より大学名そのもので評価される
受験産業や就職活動における学歴フィルターは、国が定めた枠組みとは別の評価軸です。「旧帝大」「東京一科」という枠組みで感じられるメリットに比べ、「指定国立大学だから」という理由では影響を感じにくいのが実情です。
受験生や伴走する保護者が押さえておくポイント
「指定国立大学だから良い」ではなく、以下の視点で判断しましょう。
- 大学院進学を考えているか?
研究環境の充実は、主に大学院以降で恩恵を受けられます
- 学びたい分野でその大学は強みがあるか?
例えば、北海道大学は指定されていませんが、農学分野では高い評価を受けています
- 研究環境以外の要素も含めて魅力を感じるか?
立地、校風、就職支援、通学条件なども総合的に考慮することが大切です
この場合、指定の有無は進路選択における「一つの参考情報」として捉えるのが適切です。
興味や将来の目標に合った大学を選ぶことが大切です。
指定国立大学について、よくある質問

指定国立大学について、よくある質問をまとめました。
今後、指定国立大学は増えますか?
2026年1月時点では、新たな追加指定について明確な方針は示されていません。
一方、指定国立大学とは別に「国際卓越研究大学」という新しい支援制度が始まり、国の大学政策の重点が移行中です。仮に今後追加指定があるとすれば、北海道大学、神戸大学、広島大学などが候補になる可能性がありますが、現時点では方針が出ていません。
指定国立大学と国際卓越研究大学の違いは?
指定国立大学と似た制度に「国際卓越研究大学」という制度があります。 政府が10兆円規模の大学ファンドを創設し、運用益を国際卓越研究大学に助成する仕組みです。
2024年11月に東北大学が国際卓越研究大学第1号に認定され、2025年度中に助成を開始しています。また、2025年12月には東京科学大学が第2期公募で認定候補に選定され、京都大学も認定候補となりました。
指定国立大学が「規制緩和による自主的な強化」を目指すのに対し、国際卓越研究大学は「ファンドからの直接的な資金支援」により世界最高水準の学術・研究機関を目指す点が異なります。
指定国立大学は入試に影響しますか?
入試制度への影響は、ほぼありません。指定された大学は元から難関大学であるため、入試難易度への影響も感じにくいでしょう。
指定国立大学は研究力を高める経営の規制緩和です。国や企業からの予算が優先的に回るので、「実験器具が最新」「研究費が潤沢」「海外留学のチャンスが多い」など、大学院や研究環境への影響のほうが高いと言えます。
北海道大学が指定されていないのはなぜ?
北海道大学が指定されていない理由は、指定の審査基準が「研究」「社会連携」「国際」の3分野すべてで国内10位以内という厳しいものだったためです。
旧帝大のうち北海道大学と九州大学は応募断念に追い込まれました(九州大学はその後、2020年に指定)。特に社会連携(企業からの共同研究費や寄附金)の項目で、基準を満たすことが難しかったと考えられます。
ただし、指定されていないことが大学の価値を下げるわけではありません。北海道大学は旧帝大として高い評価を受け、特に農学・水産学・獣医学の分野では国内トップクラスの実績があります。
制度は今後どうなっていくの?
追加指定については、現時点で明確な方針が示されていません。
筑波大学、九州大学、東京医科歯科大学(現:東京科学大学)が2020年に指定されて以降、新たな追加指定は行われていない状況です。
一方で、「国際卓越研究大学」など別の支援制度が次々と生まれており、大学の評価軸は多様化しています。指定国立大学という制度が今後どう展開するかは流動的です。
まとめ 指定国立大学を正しく知ったうえで志望校を決めよう

指定国立大学は、文部科学大臣が世界最高水準の研究が期待できると認めた9つの国立大学法人です。この制度は「研究環境の評価」であり、受験難易度や就職実績に直接影響するものではありません。
また、旧帝大とは異なる評価軸で選ばれた大学群であり、偏差値的な序列ではなく、役割や制度の違いとして理解すべきです。受験生と保護者の目線で重要なのは、制度の名称に振り回されず、大学そのものの教育内容や研究実績、就職支援などを総合的に見極めることです。
「指定かどうか」より「学びたい分野の強さ」を優先して判断することが、納得感のある進路選択につながります。受験生の興味や将来の目標に合った大学を、保護者も一緒に探していきましょう。
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