協働性とは?総合型選抜や推薦入試、面接や書類で問われたときの答え方を解説
学習指導要領でも重視され、高校での評価の一つにもなっている「協働性」。言葉は知っていても、「協調性とどう違うの?」「具体的にはどんな力?」と疑問に感じている方は多いのではないでしょうか。
大学受験で問われる「協働性」とは、受験生がこれまでの学校生活の中で、他者とどう関わり、どんな工夫をしてきたかを自分の言葉で説明できる力のことです。特別な実績がなくても、日々の部活や行事、授業での経験を整理できていれば十分に対応できます。
この記事では、協働性の基本的な意味から、大学が見ているポイント、作文や面接での伝え方までをわかりやすく整理します。読み終える頃には「これなら大丈夫」と、次の一歩が見えてくるはずです。
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目次
協働性とは? 大学受験に向けて押さえておきたいその意味

協働性とは、他者と関わりながら共通の目標に向けて成果を出そうとする姿勢のことです。大学受験では、部活動や委員会、グループ活動などで「自分がどう考え、どう動いたか」を説明できる力として評価されます。推薦・総合型選抜の出願書類や面接で、この協働性の有無が問われることがあります。
まずは協働性の具体的な意味、似た言葉との違い、大学が実際に見ているポイントを整理しておきましょう。
協働性が問われる具体的な場面
例えば、文化祭の実行委員として活動した場合を考えてみましょう。
- クラス全員の意見をまとめるために、事前にアンケートを取って選択肢を絞り、話し合いの時間を短縮した。
このように「状況を見て、自分で考えて動いた」プロセスが協働性です。大学側が知りたいのは、「あなたが他者とどう関わり、何を工夫したか」という具体的な行動です。部活のレギュラーや生徒会長といった肩書きがなくても、日常の学校生活の中で十分に示すことができます。
似ているようで違う、協働性と協調性の違い
協働性と協調性の違いは、「自分の考えや工夫があるかどうか」にあります。

協調性は、周囲と歩調を合わせ、円滑に物事を進める姿勢を指します。例えば、部活の練習メニューに文句を言わず取り組む、クラスの決定に従って行動する、といった場面で発揮されます。
一方で協働性は、協調性を土台としながらも「自分なりの役割や工夫」が加わります。同じ部活の練習でも、「後輩が理解しやすいよう、動きを図に描いて共有した」など、目標達成のために自分で考えて行動した経験が協働性です。
「みんなで頑張りました」だけでは協調性の説明にとどまります。協働性として評価されるには、「その中で自分は何をしたか」まで言葉にする必要があります。
協働性と協同性の違い
協働性と協同性は、ほぼ同じ意味で使われることが多い言葉ですが、微妙なニュアンスの違いがあります。

協同性は、共通の目標に向けてみんなで力を合わせる、集団全体の動きを指します。例えば、体育祭でクラス全員がリレーの練習に参加する、文化祭の準備を分担して進める、といった場面です。
一方で協働性は、その集団の中で「自分がどう考え、どう動いたか」という個人の姿勢に焦点が当たります。同じ体育祭の準備でも、「走るのが苦手な子も参加しやすいよう、応援係を提案した」など、個人の工夫や視点が加わると協働性の説明になります。
大学受験の文脈では、協同性と協働性はほぼ同じ意味で扱われますが、面接や作文では「協働性」という言葉で統一されることが一般的です。
協働性と同じ意図で使われる語彙をチェック
大学受験の出願書類や面接では、協働性と同じ意図を持つ言葉がいくつか使われます。代表的なものを整理しておきましょう。
- チームワーク
協働性とほぼ同じ意味で使われます。部活動や委員会活動での経験を問う際に「チームで取り組んだ経験を教えてください」という形で登場します。
- 協働力(協働する力)
協働性と同じ内容を指します。「他者と協働する力をどう身につけましたか」といった質問で見かけることがあります。
- 主体性・多様性・協働性
この表現も重要です。これは文部科学省が示す「学力の三要素」の一つで、大学入試改革以降、推薦・総合型選抜で頻繁に問われるようになりました。
これらのように言葉が違っても、大学が知りたいのは「他者と関わる中で、あなたがどう考え、どう行動したか」という点で共通しています。
なぜ大学受験で協働性を問われるのか?

推薦・総合型選抜、出願のための書類で協働性が重視される理由は、大学が「入学後に他者と学ぶ姿勢を持っているか」を確認したいからです。
大学では、ゼミやグループワーク、実験など、ほかの学生と協力しながら学ぶ場面が数多くあります。そうした環境で主体的に関わり、学びを深められる学生を大学は求めています。
また協働性は社会に出てからも必要とされる力です。企業や組織で働く際、異なる立場の人と意見を調整し、共通の目標に向けて動く力が欠かせません。大学は、その土台となる姿勢を高校時代にどう培ってきたかを見ています。
協働性は成果よりもプロセスを重視
大学が協働性を評価する際、重視するのは「大会で優勝した」「生徒会長を務めた」といった成果そのものではありません。むしろ、その過程でどう考えどう行動したかというプロセスが重要です。
その理由は、成果は運や環境に左右されることが多いから。
例えば、部活動で全国大会に出場できるかどうかは、学校の規模や指導体制、メンバー構成にも影響されます。一方で「練習メニューを工夫した」「後輩の悩みを聞いて改善策を提案した」といった行動には、どんな環境でも生きる効果が見込めます。
大学が知りたいのは、入学後に同じような姿勢で学べるかどうかです。そのため華々しい実績がなくても、日常の学校生活の中で「自分なりに工夫した経験」を具体的に説明できれば十分に評価されます。
高校生活のたくさんの場面が評価対象になる
協働性は、特別な活動でなくても、日常的な学校生活のさまざまな場面で示すことができます。

- 部活動
協働性について話せる最も代表的なシーンです。運動部でレギュラーでなくても、練習の準備や後輩の指導、チームの雰囲気づくりなど、自分なりの役割を見つけた経験が説明できれば評価されます。
- 委員会活動や係活動
文化祭実行委員、学級委員、清掃当番など、クラスや学年全体で取り組む場面で工夫したことがあれば十分です。
- グループワーク・探究学習
学校学習も協働性を示せるシーンです。発表の役割分担を決める際に意見をまとめた、調査結果をわかりやすく図にまとめた、ファシリテーターとして工夫したなど、授業内の工夫も含まれます。
大学が見たいのは活動の規模ではなく、あなたが何を考え、どう動いたかです。日常の経験を丁寧に振り返り、説明の材料をピックアップしておきましょう。
協働性を上手く伝えるために意識したい視点

協働性を作文や面接で上手く伝えられる受験生には、ある共通点があります。それは、経験を「役割・関係性・工夫」という3つの視点で整理できていることです。
同じ部活動や委員会活動の経験でも、「みんなで頑張りました」で終わる人と、「仲間が練習についていけず悩んでいたので、基礎メニューを図解したプリントを作りました」と具体的に説明できる人では、評価が大きく変わります。
違いは、特別な実績の有無ではありません。自分の経験を、大学が知りたい形に翻訳できているかどうかです。
部活・委員会・行事のどこに焦点を当てるか?
協働性の伝え方は、活動の種類によって少しずつ切り口が変わります。同じ「役割・関係性・工夫」の視点でも、どこに焦点を当てるかが異なるのです。
- 部活動の場合
継続的な関わりの中での工夫が焦点になります。例えば「後輩の技術向上のために、週1回ミーティングを設けて課題を共有した」など、日々の積み重ねが見える表現が効果的です。
- 委員会活動の場合
異なる意見をまとめたり、限られた時間で成果を出したりする調整力が焦点になります。「文化祭の企画で意見が割れた際、全員の希望を取り入れた折衷案を提示した」といった具合です。
- 学校行事の場合
単発のイベントでも役割分担や工夫が明確に示せます。「体育祭の応援団で、参加に消極的なクラスメイトも楽しめるよう、簡単な振り付けを考案した」など、短期間での工夫が焦点になります。
どの活動でも、「状況>自分の役割>工夫>学び」という流れで整理すると、協働性が明確に伝わります。

何気ない学校生活・探究活動も協働性の好材料
部活動や委員会の経験がない場合でも、日常の学校生活や授業内の活動で協働性を示すことは十分に可能です。
- 授業でのグループワーク
協働性を伝えやすいシーンの一つです。「英語のプレゼンテーション準備で、意見がまとまらなかったため、各自の得意分野を生かした役割分担を提案した」など、短時間の活動でも工夫は示せます。
- 探究学習や総合的な学習
調査活動やフィールドワークで「インタビュー先への依頼文を、相手の立場を考えて丁寧に書き直した」といった配慮や工夫が、協働性として評価されます。
- 日常の係活動
日常的過ぎて見落としがちなのが係活動です。「保健委員として、欠席者への配布物を確実に届けるため、クラス内で連絡網を整備した」など、地味に見える活動でも、工夫があれば十分に伝わります。
大学が見ているのは華やかさではなく、状況を見て、自分で考えて動いた経験です。日常の小さな場面こそ、協働性を具体的に語れる材料がたくさんあります。
面接でも作文でも使える協働性の伝え方
協働性を伝える際には、「状況>自分の役割>工夫>学び」という4つのステップで整理すると、作文でも面接でも一貫した説明ができます。エピソードの規模に関わらず、大学が知りたい内容を過不足なく伝えられるはずです。
例えば、部活動での経験なら
- 状況:後輩が基礎練習についていけない状況で、
- 役割:先輩として教える立場だった私は、
- 工夫:動きを図解したプリントを作成し、
- 学び:相手の理解度に合わせた説明の大切さを学んだ。
という形になります。次にこの4ステップを作文と面接、それぞれの場面でどう使うかを具体的に解説します。
作文は「どこまで詳しく書くか」がポイント
作文で協働性を伝える際は、字数に応じて「①状況>②自分の役割>③工夫>④学び」の4要素をどこまで詳しく書くかを調整します。
▶ 100〜200字の場合
工夫に焦点を絞ります。
文化祭実行委員として、意見がまとまらなかったクラスで、事前アンケートを取って選択肢を3つに絞り、話し合いの時間を短縮しました。限られた時間で合意を形成する工夫を学びました
という具合です。
▶ 300〜400字の場合
状況と工夫を具体的に書きます。
後輩10名が基礎練習についていけず、チーム全体の士気が下がっていました。先輩として、動きを図解したプリントを作成し、週1回の個別指導の時間を設けました。3か月後には後輩の技術が向上し、相手の理解度に合わせた説明の重要性を実感しました
といった形です。
▶ 500字程度の場合
学びまで丁寧に展開できます。
状況の背景、自分が感じた課題、工夫の具体的な内容、その結果と学びを、順を追って説明しましょう。
面接は相手が質問しやすいよう調整する
面接では、作文と違って対話の中で協働性を伝えることになります。最初から詳しく話しすぎず、面接官の反応を見ながら説明を調整することが大切です。
最初の回答は1分以内を目安にします。
部活動で後輩の指導を担当した際、理解度に差があったため、図解資料を作成して個別に対応しました。その結果、チーム全体の技術が向上し、相手に合わせた伝え方の大切さを学びました
という具合に、4ステップを簡潔にまとめます。
追加質問に備えて詳細を用意しておくことも重要です。「具体的にどんな工夫をしましたか?」と聞かれたら、図解の内容や個別指導の頻度など、工夫した部分を掘り下げて答えられるようにしておきます。
あとは数字を入れると説得力が増すためおすすめです。「後輩10名」「週1回」「3か月後」「7割を目標に」など、具体的な数値があると、面接官がイメージしやすくなります。
緊張すると早口になりがちですが、ゆっくり落ち着いて話すことを意識しましょう。聞き取りやすさも、評価の一つです。
要注意!評価につながりにくい協働性の伝え方とは

協働性を伝える際、内容はよくても伝え方によって評価が弱まってしまうケースがあります。ここでは、よくあるNG例を3つ紹介します。
NG例①「みんなで頑張った」で終わる
「文化祭の準備をクラス全員で協力して頑張りました」という説明では、協調性は伝わっても、あなた自身が何をしたかが見えません。大学が知りたいのは、集団の中で実行したあなたの工夫です。
NG例② 指示に従った話だけになる
「顧問の先生に言われた練習メニューを毎日こなしました」では、協働性ではなくまじめさの説明になります。指示を受けたうえで、自分なりに工夫した点を加える必要があります。
NG例③ 自分の成果だけを強調してしまう
「私の提案で得点が2倍になりました」と個人の成果だけを語ると、協働性ではなく個人プレーの印象を与えます。「メンバーの意見を取り入れながら改善した結果」という視点が必要です。
同じ経験でも、「みんなで」だけでなく「その中で私は」という視点を加えることで、協働性として伝わりやすくなります。
今日から意識したい、協働性を伝えるための準備

大学受験のシーンで協働性を上手く伝えるには、今ある経験を整理し、言葉にする練習をすれば十分です。
ここでは、受験生本人ができること2つと、保護者としてサポートできること1つを紹介します。どれも今日から始められる内容ですので、焦らず一つずつ進めていきましょう。
① 協働性の視点で経験を整理しておく
まずは高校生活を振り返り、「他者と関わった場面」をリストアップします。部活、委員会、行事、授業でのグループワークなど、どんな小さな経験でも構いません。
次に、それぞれの経験を「①状況>②自分の役割>③工夫>④学び」の4つの視点で整理します。箇条書きで十分です。ノートやスマホのメモに書き出してみましょう。
この作業をしておくと、出願書類を書く際や面接練習の際に、すぐに引き出せる材料ができます。「何を話せばいいかわからない」という不安が、大きく軽減されるはずです。
② 作文・面接どちらにも使えるエピソードをメモする
整理した経験の中から、作文でも面接でも使える、軸となるエピソードを2〜3個に絞り込みます。
選ぶ基準は、「①状況>②自分の役割>③工夫>④学び」の4要素がすべて明確に説明できるかどうかです。例えば、「部活で後輩指導をした経験」と「文化祭で意見をまとめた経験」など、異なる場面のエピソードを用意しておくと、質問の幅に対応しやすくなります。
メモには、具体的な数字や固有名詞も一緒に書いておきましょう。「後輩10名」「週1回のミーティング」「3か月後に技術が向上」といった情報があると、作文を書くときも面接で話すときも、説得力が増します。
このエピソードメモを作っておけば、受験する大学ごとに一から考え直す必要がなくなり、準備の効率が上がります。
③ 保護者ができる、言語化を助ける問い
保護者としてできるサポートは、子どもが経験を言葉にする手助けをすること。直接的なアドバイスよりも、間接的な問いかけが効果的です。
例えば、「部活で大変だったことは?」と聞くのではなく、「部活で、あなたが工夫したことは何?」と尋ねてみましょう。この問いかけが、協働性の③工夫を引き出すきっかけになります。
- 「そのとき、周りの人はどう反応した?」
- 「それをやってみて、何か気づいたことはある?」
こうした質問も有効です。子ども自身が気づいていない工夫や学びを、対話を通じて言葉にする練習になります。
答えを押し付けないように注意しましょう。子どもが自分の言葉で説明できるよう、じっくり話を待つ姿勢が大切です。この対話の積み重ねが、面接本番での自然な受け答えにつながります。
まとめ 協働性は「聞かれ方」に振り回されず、同じ軸で伝えればいい

協働性は、「状況>自分の役割>工夫>学び」という軸で整理すれば、一貫して伝えることができます。
「協働性について述べなさい」「チームで取り組んだ経験を教えてください」「他者と関わる中で学んだことは?」など、質問の形はさまざま。でも大学が知りたいのは結局「あなたが他者とどう関わり、何を工夫したか」ということです。
特別な実績や肩書きは必要ありません。部活、委員会、授業、日常の係活動など、どんな場面でも協働性は示せます。大切なのは、経験を「大学が知りたい形」に翻訳できているかどうかです。
高校生活での経験を、協働性を意識して振り返ってみてください。「これなら話せそう」というエピソードが見つかるはずです。
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