成長ホルモンと睡眠の切り離せない関係-入眠後90分がカギ【睡眠コンサルタント監修】
「成長ホルモンと睡眠って、本当に関係あるの?」
「勉強時間を増やすために、少しくらい睡眠を削っても大丈夫?」
睡眠は単なる休息ではなく、脳の回復、記憶の定着にも直結する“成長の時間”です。
本記事では、医学博士で睡眠コンサルタントの友野なお先生監修のもと、厚生労働省の睡眠ガイドも踏まえながら、睡眠と成長ホルモンの関係を整理。睡眠を削ってはいけない理由や、家庭でできる睡眠の質をあげる具体的な方法までわかりやすく解説します。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
友野なお
日本公衆衛生学会、睡眠学会 正会員 自身が睡眠を改善したことから重度のパニック障害とアトピー性皮膚炎を含む体質改善に成功したことを機に、睡眠の研究に没頭。 予防医学の中でも睡眠と心理学を専門とし、科学的エビデンスに基づく情報の発信や企業コンサルテーション、商品開発、全国での講演などを行い、これまで10万人以上を睡眠改善へと誘う。
目次
成長ホルモンと睡眠の関係-入眠後90分の“深い眠り”が分泌のピーク
睡眠中に分泌される「成長ホルモン」は、脳や身体の回復、そして子どもの身長の伸びにも深く関わっています。ただし、単に睡眠時間を長くすればよいというわけではありません。では、何が成長ホルモンの分泌量を左右するのでしょうか。
成長ホルモンは「睡眠中」に多く分泌される
子どもの成長や日々の疲労回復に欠かせない「成長ホルモン」は、日中ではなく、夜間の「睡眠中」に最も多く分泌されます。私たちの脳内には体内時計が備わっており、睡眠状態に入ると、脳から成長ホルモンが全身に向けて一気に放出される仕組みです。
つまり、眠っている時間はただ脳と体が休息しているわけではなく、細胞を修復し、骨や筋肉を育て、明日の活動に向けたエネルギーを蓄えるための“自分回復工場”が稼働している時間といえます。
とくに重要なのは“眠り始めの深い睡眠”
最も重要なポイントは、睡眠中、均等に成長ホルモンが分泌されるわけではないということ。成長ホルモンの分泌がピークに達するのは、入眠後最初に訪れる「ノンレム睡眠(深い睡眠)」、特に「徐波睡眠」と呼ばれる最も深い眠りの段階です。
眠りについてからの約90分間に、一晩で分泌される成長ホルモンの大半(約70〜80%)が集中して放出されることが分かっています。眠り始めの90分間で深く質の高い睡眠を得られるかが、子どもの成長を左右するカギとなります。
睡眠不足が続くと成長ホルモンの分泌はどうなる?
もし受験勉強や夜更かしなどで睡眠不足が続いた場合、どうなるでしょうか。睡眠時間が削られると、成長ホルモンが十分に分泌されるための「深いノンレム睡眠」の時間が減少したり、睡眠が浅くなって途中で目が覚めてしまうことも。これにより、成長ホルモンの総分泌量が低下してしまいます。
成長ホルモンが不足すると、身体的な成長が阻害されるだけでなく、日中の強い疲労感が抜けず、脳の疲労も回復しません。結果として、「頑張って起きて勉強しているのに、まったく集中できず成果が出ない」という悪循環に陥ってしまうのです。
受験や部活動で忙しい時期ですが、「眠ることも体づくりの一部」と考えてあげられると良いですね。
「寝る子は伸びる」は本当?子どもが睡眠を削ってはいけない理由
「寝る子は育つ」という昔からのことわざは、最新の睡眠医学においても正しいと証明されています。

成長期に必要な3要素-睡眠・栄養・運動が欠かせない
子どもの健やかな成長には「睡眠・栄養・運動」の3つの要素が不可欠。
日中にしっかりと運動をして骨や筋肉に適切な刺激を与え、バランスの良い食事(特にタンパク質やカルシウムなどの栄養素)を摂り、そして夜に十分な睡眠をとることで成長ホルモンを分泌させる。これら三位一体のサイクルが回って初めて、身体の成長は最大化されます。
どれか一つでも欠けると、スムーズな成長は望めません。
睡眠と学力の関係-特に受験期は睡眠を削ってはいけない
「睡眠時間を削ってでも、少しでも多く覚えたい」。受験生なら自然な気持ちです。しかし、脳科学の観点では、睡眠を削ることは学習効率を下げる行動といえます。
事実、文部科学省が全国の小中学生を対象に行った大規模な調査では、毎日同じくらいの時間に「寝る」「起きる」という基本的な習慣が、テストの正答率に直結していることが明らかになりました。
Q:毎日同じくらいの時間に寝ていますか?
| 選択肢 | 生徒数 | 割合 | 平均正答率(%) | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 国語 | 数学 | 英語 | |||
| 寝ている | 318,557 | 34.8 | 70.7 | 52.6 | 47.0 |
| どちらかといえば、寝ている | 396,232 | 43.3 | 71.4 | 52.7 | 47.1 |
| あまり寝ていない | 160,873 | 17.6 | 68.4 | 49.1 | 44.5 |
| 全く寝ていない | 37,870 | 4.1 | 61.1 | 41.8 | 38.7 |
毎日同じくらいの時間に起きていますか?
| 選択肢 | 生徒数 | 割合 | 平均正答率(%) | ||
|---|---|---|---|---|---|
| 国語 | 数学 | 英語 | |||
| 起きている | 503,904 | 55.1 | 70.3 | 51.6 | 46.2 |
| どちらかといえば、起きている | 332,856 | 36.4 | 71.0 | 52.3 | 46.8 |
| あまり起きていない | 63,168 | 6.9 | 67.7 | 49.5 | 45.1 |
| 全く起きていない | 12,055 | 1.3 | 58.9 | 41.6 | 39.0 |
参照元:文部科学省「令和5年度 全国学力・学習状況調査 調査結果資料」
どの教科でも、睡眠リズムが整っている層とそうでない層では、約10ポイントの差。
特に受験期ほど睡眠を削るべきではない理由は、大きく分けて2つあります。
■ 記憶が定着するのは「睡眠中」だから
起きているあいだに得た情報は、いったん脳の海馬に保管されます。そして睡眠中、とくにノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返す過程で、その情報が大脳皮質へ整理・統合され、長期記憶として定着。睡眠中には学習内容が再活性化され、記憶が強化される現象も確認されています。
■ 日中の「集中力・判断力」に影響するから
睡眠を削った翌日は、脳の前頭前野(論理的思考や判断力を司る部分)の働きが著しく低下します。これにより、授業中の居眠りやぼんやりする時間が増えるだけでなく、テストでのケアレスミスを頻発してしまう可能性も。
文章を読んでも頭に入ってこない、簡単な計算で間違えるといった現象は、脳が「マイクロスリープ(数秒間の無意識の眠り)」を起こしているサインです。睡眠を削って確保した数時間の勉強時間よりも、翌日の集中力低下による学習効率の損失のほうがはるかに大きく、結果として学業成績の低下を招きます。
夜遅くまで起きて勉強し、朝はぎりぎりまで寝る生活が続くと、体内時計が乱れて様々な不定愁訴(※)に悩まされる原因となってしまい、いざという時に本来の力を発揮できなくなってしまいます。
入試は多くの場合、朝から始まりますよね。試験本番で力を出し切るためにも、普段からできるだけ朝型のリズムに整えておくのがオススメ。早く寝て、十分な睡眠時間をとって頭がすっきりした状態で勉強するほうが、結果的に効率も上がりやすいですよ。
※不定愁訴=身体がだるいなど「なんとなく体調が悪い」という自覚症状があるものの、医療機関では異常が見つからないこと
睡眠とメンタルの関係-不足すると“ストレス耐性”が下がる
特に子どもの受験期は、ただでさえプレッシャーや不安が大きい時期。睡眠不足はこれらのネガティブな感情をさらに増幅させてしまう可能性も。人間の脳には、恐怖や不安などの感情を生み出す「扁桃体(へんとうたい)」という部分と、その感情を理性でコントロールする「前頭前野(ぜんとうぜんや)」があります。
わずか数日間の睡眠不足であっても、脳が危険を過大評価し、ストレスに対して非常に弱くなってしまうのです。
睡眠が足りない状態が続くと、気持ちをコントロールする力も弱まりやすくなります。不安が強くなったり、気分が落ち込みやすくなったりすることも。もちろん原因は一つではありませんが、睡眠は心の安定を支える大切な土台です。
子どもの感情の波が大きいと感じたときは、まず『最近きちんと眠れているかな?』と振り返ってみてください。睡眠時間を整えることが、結果的にいちばんシンプルで効果的なメンタルケアにつながることもありますよ。
受験が不安なときの心の整え方は以下の記事でも詳しく解説しています。併せてご覧ください。
厚生労働省が示す「良い睡眠のための5原則」
成長ホルモンの分泌には「睡眠の質が大事」と言われても、そもそも“良い睡眠”とはどんな状態で、何を整えればよいのか迷う家庭も多いでしょう。厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、良い睡眠を支える基本原則が整理されています。ここではまず、家庭で押さえるべき土台を確認しましょう。
原則① 年齢に合った睡眠時間を確保する
小学生は9〜12時間、中高生は8〜10時間が目安です。目安より短い状態が続くと、集中力の低下やイライラが増えやすくなります。受験期ほど「睡眠時間を中心に予定を組む」発想が重要です。
原則② 寝室環境を整える(光・音・温度)
良い睡眠の基本は、「暗い・静か・適温」。就寝前は照明を落とし、寝室は“休むための場所”に切り替えます。スマホやタブレットを寝室に持ち込まないことも、入眠を妨げる刺激を減らすうえで大切です。
原則③ 朝の光で体内時計を整える
体内時計は朝の光でリセットされるので、起きたらカーテンを開ける、登校時に日光を浴びるなど、朝に光を入れる習慣が夜の眠気を整えます。休日も起床時刻を大きくずらさないことがポイントです。
原則④ 朝食を欠かさず、夕方以降のカフェインは控える
朝食は「内臓の体内時計」を起こすスイッチになります。忙しくても、朝食を抜かないことが基本。また夕方以降のカフェインは入眠を遅らせやすいため、コーヒー・エナジードリンク・コーラ類・濃い緑茶や紅茶は控えるのが無難です。
原則⑤ 困ったら専門機関へ
強い入眠困難や日中の著しい眠気が続く場合は、睡眠障害の可能性もあります。生活改善で解決しないときは、医療機関への相談が推奨されています。
睡眠改善の土台をしっかり固めたうえで、習慣やメンタルケアを取り入れて睡眠の質を安定させていきましょう。
成長ホルモンの分泌を高める!睡眠の質をあげる方法を睡眠コンサルタントが解説
厚生労働省の原則もふまえたご家庭のなかで無理なく続けられる「睡眠の質を上げる」具体的な方法を、睡眠コンサルタントの友野先生に教えていただきました。
まずは睡眠リズムを整えること。そのうえで、寝具や室内環境といった“眠りの土台”を見直します。
睡眠リズムを整えるための行動ポイント

① 朝:起床時刻を固定し、光を入れる
眠れなかった翌朝に長く寝てしまうと、体内時計はさらに後ろにずれます。体内時計は“朝起きた時刻”を基準に動いているからです。多少寝不足でも、起きる時刻を一定に保つほうが、結果的に夜の眠りは整いやすくなります。
✓ 起床時刻を固定する(例:6:30)
✓ 起きたらすぐにカーテンを開け、朝の光を浴びる
✓ 休日も平日との差を2時間以内にする
夜を調整するより、朝で整える。この視点が大切です。
② 朝:朝食で「体の時計」を起こす
朝食は、眠っていた胃腸を動かし、体を活動モードに切り替える合図になります。朝が整うと、夜の眠気も出やすくなります。
✓ 忙しい朝でも、まず口に入れる(おにぎり・ヨーグルトなどでOK)
✓ 朝食を抜かない日を増やす
③ 夕方:カフェインを切る
厚生労働省の原則にもあったとおり、カフェインは眠気を感じにくくしますが、疲労回復そのものを進めるわけではありません。夕方以降に摂ると、寝つきや睡眠の深さに影響しやすくなります。
✓ 夕方以降はコーヒー、エナジードリンク、コーラ類、濃い緑茶・紅茶を控える
✓ 夜は水・麦茶などに切り替える
④ 夜:眠りをサポートする食べ物・飲み物を取り入れる
睡眠を直接つくる食べ物はありませんが、夕方以降の食事内容を整えることで、入眠しやすい状態をつくることはできます。睡眠ホルモン(メラトニン)の材料となるトリプトファンは、乳製品や大豆製品、バナナなどに含まれています。
また、就寝前に温かいホットミルクや具の少ないスープを少量とると、体の内側から穏やかに温まり、緊張がゆるみやすくなります。ただし、就寝直前の食べ過ぎは胃腸を活発にしてしまうため避けましょう。
✓ 夕食は就寝2〜3時間前までに済ませる
✓ 小腹が空く場合は、バナナやヨーグルトなどで軽く補う
✓ 就寝前にホットミルクや薄味のスープなど温かいものを飲む
⑤ 夜:就寝90分前に入浴する
眠りは体温が下がるタイミングで自然に訪れます。ぬるめの入浴で深部体温をいったん上げると、その後の体温低下がスムーズになり、眠気が出やすくなります。

✓ 就寝時刻を決め、逆算して入浴時間を固定する
✓ 38〜40℃で15分ほど浸かる(熱すぎない)
✓ 湯上がり後は照明を落として過ごす
⑥ 就寝1時間前:デジタル終了で“刺激の強い情報”を止める
スマホの問題は光だけではありません。SNSや動画、受験情報は感情を揺らし、脳を覚醒させます。
✓ 就寝1時間前を「デジタル終了時刻」にする
✓ スマホは寝室に持ち込まず、別室で充電する
✓ 代わりにストレッチなど“静かな過ごし方”に切り替える
睡眠環境(眠りの土台)の整え方
睡眠時間を確保していても、寝具や室内環境が合っていないと眠りは浅くなります。体は寝ているあいだも体温を調整し、姿勢を支え続けています。その負担が大きいと、無意識の覚醒が増え、深い睡眠に入りにくくなります。
見直すポイントは、①寝具(体の支え方)と②温度環境(熱の逃げ方)の2つです。
①寝具(体の支え方)
✓ マットレスは「寝返りが打てる硬さ」か確認する
仰向けで腰だけ沈み込んでいないか、横向きで肩が痛くならないかを確認します。柔らかすぎると寝返りが減り、硬すぎると肩や腰など一部に体重がかかり続けて血流が悪くなり、眠りが浅くなります。目安は「力まず自然に寝返りできること」です。
✓ 枕は首の角度が自然か確認する
横から見て首が折れていないか、朝に肩や首が痛くないかをチェックしましょう。違和感がある場合は、枕の高さが合っていない証拠。低ければタオルで高さを足し、高すぎる場合は中材を抜くか薄い枕に替えるなどして調整しましょう。
②温度環境(熱の逃げ方)
✓ 室温は季節に応じた快適域に保つ
冬は16〜20℃前後、夏は25〜28℃前後を目安にします。暑すぎても寒すぎても、体は温度調整にエネルギーを使い、眠りが浅くなります。
✓ 湿度は40〜60%を数値で管理する
温湿度計を置き、冬は加湿、夏は除湿を意識します。乾燥は喉を刺激し、湿気は寝苦しさにつながります。冬に40%を下回る場合は加湿器や濡れタオルで湿度を補い、夏に60%を超える場合はエアコンの除湿機能や除湿機を使って調整しましょう。
✓ 頭寒足熱を意識する
入眠時は手足から熱が逃げることで眠気が強まります。足先が冷える場合は入浴で温め、エアコンの風を頭に直接当てないようにします。厚い布団を顔まで覆わないことも大切です。
そして日々の会話の中で睡眠の重要性や、睡眠と学力の関係についての会話を増やしていくことで、子供が自発的に睡眠を大事にするための行動変容を起こすようになるので、そういった会話を増やしていきましょう。
どの年代の子どもにおいても睡眠は大切ですが、特に受験期の子どもこそ、睡眠時間を削るのではなく、睡眠時間を確保して生活リズムを安定させる視点を大切にしてください。
成長ホルモンと睡眠についてのよくある誤解
22時に寝ないと成長ホルモンが分泌されないですか?
いいえ。成長ホルモンは「22時だから出る」のではなく、眠りについてから最初の深い睡眠(約90分間)に多く分泌されます。いわゆる「22時〜2時がゴールデンタイム」という考え方は、現在では科学的根拠が十分とはいえません。
ただし、何時に寝てもよいという意味ではありません。小学生は9時間以上、中学生は8時間以上の睡眠が必要です。起床時刻から逆算して、必要な睡眠時間を確保することが大切です。ポイントは「特定の時刻」ではなく、①スムーズに深い眠りに入れる準備と②十分な睡眠時間の確保の2つです。
休日に寝だめすれば、平日の睡眠不足を取り戻せますか?
取り戻せません。睡眠不足や寝だめは、体内時計を狂わせる大きな原因になります。平日の睡眠不足を補おうと、土日に昼過ぎまで寝ている受験生は多いですが、これは逆効果。朝遅く起きることで太陽の光を浴びるタイミングが後ろにズレ込み、体内時計が遅れてしまいます。体内時計が遅れることで、月曜日の朝に「起きられない」「身体がだるい」「学校で集中できない」という悪循環を作り出します 。
休日でも、平日と「同じ時刻(遅くとも+1時間以内)」に起床し、朝日を浴びるリズムを崩さないのが理想です。
朝起きられないのは「起立性調節障害」の可能性がありますか?
「起立性調節障害」は、自律神経の働きが乱れ、朝起きづらくなる疾患です。立ちくらみや頭痛、午前中の強い倦怠感などを伴うことも。生活リズムを整えても改善しない場合や、日常生活に支障が出ている場合は、自己判断をせず、小児科や専門外来への相談を検討しましょう。
6時間睡眠でも平気ですか?
成長期の子どもにとって、6時間睡眠は「明らかに睡眠不足」です。脳と体が著しく成長・変化している小学生〜高校生にとって、6時間では全く足りません。
小学生は9〜12時間、中高生は8〜10時間が厚生労働省による推奨時間です。毎晩6時間睡眠を続けていると、本人は「慣れた」と感じていても、脳機能や記憶力は客観的に見て大きく低下しており、本来のポテンシャルを全く発揮できていない状態(慢性的な睡眠負債)に陥ってしまいます。
寝ても眠いのは成長期だからですか?
一部は関係あります。思春期は体と脳が大きく変化する時期で、成長ホルモンの分泌や脳の再編が活発になります。そのため、大人より多くの睡眠を必要とし、日中に眠気を感じやすい傾向があります。
ただし、「成長期だから仕方ない」と決めつけるのは注意が必要です。
・睡眠時間が不足していないか
・就寝前にスマホやゲームで脳を刺激していないか
・起床時刻が日によって大きくずれていないか
こうした生活リズムの乱れが原因のことも少なくありません。
十分な睡眠時間を確保しても強い眠気が続く場合は、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害や体調不良の可能性もあるため、医療機関への相談も検討しましょう。
まとめ-成長ホルモン分泌には良質な睡眠が必要
成長ホルモンと睡眠は切り離せない関係にあります。
成長ホルモンは、眠りについて最初に訪れる深いノンレム睡眠で最も多く分泌されます。とくに入眠後90分間の睡眠の質が、身長の伸びや身体の回復、そして記憶の定着に大きく関係。睡眠は単なる「休憩時間」ではありません。骨や筋肉を育て、脳に蓄えた情報を整理し、翌日の集中力を準備する―体と脳の成長を同時に進める時間です。
睡眠を削って勉強時間を増やしても、成長ホルモンの分泌が減れば、集中力や判断力は落ち、学習効率はかえって低下します。 “長く起きていること”と“成果が出ること”は、決して同じではありません。
特に受験期の子どもこそ、睡眠は後回しではなく最優先。
・必要な睡眠時間が確保できているか
・入眠前の刺激を減らせているか
・起床時刻が安定しているか
この基本を整えることが何より重要です。
まずは起床時刻を固定することから始めてみましょう。毎日の積み重ねが、成長ホルモンの分泌を守り、学力も身長も伸ばす土台となります。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
日本公衆衛生学会、睡眠学会 正会員 自身が睡眠を改善したことから重度のパニック障害とアトピー性皮膚炎を含む体質改善に成功したことを機に、睡眠の研究に没頭。 予防医学の中でも睡眠と心理学を専門とし、科学的エビデンスに基づく情報の発信や企業コンサルテーション、商品開発、全国での講演などを行い、これまで10万人以上を睡眠改善へと誘う。
