「情報Ⅰ」とは?何を学ぶ?単元内容からつまずきやすいポイントまで解説【西岡壱誠氏監修】
「情報Ⅰって、パソコンの授業?」「プログラミングって難しそう……」と感じている人は多いのではないでしょうか。
情報Ⅰは、2022年度から高校で必修化された、情報技術の使い方を学ぶだけでなく、情報を活用して問題を解決する力を育てる科目です。プログラミングやデータ分析、情報デザインなど幅広いテーマを扱いながら、「情報とどう向き合い、どう活かすか」を考えていきます。知識を覚えることより、実際に手を動かして考える場面が多いのが特徴です。ほとんどの高校で1年次に学ぶ必修科目となっています。
この記事では、偏差値35から独自の「暗記術」「読書術」「作文術」を生み出し、東大に合格した西岡壱誠さん(カルぺ・ディエム所属・講演家)の監修の下、情報Ⅰがどんな科目かを、導入の経緯や学習内容からわかりやすく説明します。
授業で何をするのか、どんな力が身につくのかも具体的に紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
西岡壱誠
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。 そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。
目次
高校「情報Ⅰ(情報1)」とは?どんな科目?

情報Ⅰは、高校の教科「情報」の中の科目のひとつです。プログラミングやデータ分析、情報デザインなど、現代社会に欠かせない情報技術を幅広く学びます。知識を覚えることより、情報技術を活用して問題を発見・解決する力を育てることが、この科目の核心です。
2022年度から全高校で必修になった科目
情報Ⅰは、2022年度(令和4年度)から新学習指導要領の下で全高校に導入された科目です。それまでの「社会と情報」「情報の科学」のいずれかを選択する形から改められ、すべての高校生が情報Ⅰを学ぶことになりました。
履修する学年は学校によって異なりますが、多くの高校では1年次に履修します。標準の授業時間数は2単位(週2コマ程度)です。
これまでの情報教育との大きな違いのひとつは、文系・理系を問わず、全員が同じ科目を学ぶという点。「自分は文系だから関係ない」という科目ではなく、高校生全員にとっての共通の学びとして位置づけられています。
参考:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編」
「情報Ⅰ」が導入された背景
背景にあるのは、社会の急速な変化です。AIの普及やデータ活用の広がりによって、私たちの生活や仕事のあり方は大きく変わりつつあります。文部科学省の学習指導要領で定められている情報Ⅰの目的は「情報活用能力を育てること」。
情報活用能力とは、情報を集めて使いこなす技術だけでなく、情報をもとに問題を見つけ、自分の頭で考えて解決策を導き出す力のことを意味しています。
そうした時代を生きていくために必要なのは、特定のソフトの操作方法ではなく、情報と主体的に向き合い、課題を解決できる力です。情報Ⅰは、その力を高校段階から育てることを目的として新設されました。
参考:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編」
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東大卒教育ライター・西岡さん「情報という科目はこれからの時代を生き抜くために必要」 高校までは自力で解くテストが評価基準の大半を占めており、自分で情報活用する経験はあまりないかもしれません。 しかし大学では、何を使ってもよい課題で評価されることが多くなります。本やインターネットから必要な情報を手に入れ、それらを活用する能力も大事な能力の一つとなります。またテストであっても、自分のノートを持ち込めるテストがたくさんあります。 ただ情報を集めて活用するだけでなく、調べた結果を分かりやすい形に自分で整理することも必要になるのです。 自分の知識だけでわかることには限りがありますが、今はネットを駆使すれば膨大な知識を簡単に手に入れられる時代です。これからの時代を生き抜くために必要だからこそ、高校の授業に新設された科目と言えるでしょう。 |
情報Ⅰで学ぶ4つの領域

情報Ⅰの学習内容は、次の4つの領域で構成されています。
① 情報社会の問題解決
② コミュニケーションと情報デザイン
③ コンピュータとプログラミング
④ 情報通信ネットワークとデータの活用
どれか一つの分野を深掘りするのではなく、4つをバランスよく学ぶのが情報Ⅰ科目の特徴です。以下、それぞれの内容を見ていきましょう。
① 情報社会の問題解決
「情報社会の問題解決」では、情報社会の中で起きる問題をどう発見し、どう解決するかを学びます。
たとえば、「SNSに投稿した写真が無断で転載されていた」「ネット上でのやりとりがトラブルに発展した」といった身近な出来事も、この授業のテーマになります。
こうした問題に対して、「なぜ起きたのか」「どうすれば防げるか」を順序立てて考えるのが、この領域の学習の核心です。
具体的には、問題を発見・整理し、解決策を考えて実行し、結果を振り返るという一連のプロセスを学びます。また、著作権や個人情報の保護、情報モラルといった、情報社会のルールやマナーについても扱います。
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東大卒教育ライター・西岡さん「自分の身を守る知識をつけておくことはこれからの時代で重要」 現代ではSNSが普及し、誰もが情報を発信できる時代です。自分が問題を起こさないように気をつけることも当然ですが、トラブルに巻き込まれたり、誰かから被害を受けたりすることも十分考えられます。自分の身を守るだけの知識をつけておくことはこれからの時代にとても重要なことです。 |
② コミュニケーションと情報デザイン
「コミュニケーションと情報デザイン」では、情報を「相手に伝わるかたち」に整えることを学びます。
ここでいう「デザイン」とは、見た目をきれいにすることではありません。伝えたい内容を、誰に・何の目的で・どのように届けるかを考え、情報を構造的に整理することが、この領域の中心です。
たとえば、調べたことをクラスに発表するスライドをつくる、地域のイベントを紹介するポスターをデザインする、Webページの構成を考えて制作するといった活動が該当します。また、テキスト・図・音・動画など、目的や受け手に応じてメディアを使い分けることも学びます。
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東大卒教育ライター・西岡さん「無意識のうちに情報を入手できていることに気がつけるとよい」 情報デザインについて、日頃あまり意識をしたことがないという人もいるのではないでしょうか? しかし、それは情報デザインがうまくできていることの証拠でもあるのです。 情報デザインとは情報をうまく伝えるための方法であり、デザインが悪くてイライラしてしまうことはあっても、デザインが良いことにはなかなか気づけません。 「言葉で説明されていないのに手順がわかるな」「一目見ただけで要点がわかるな」といった、無意識のうちに情報を入手できていることに気がつけると、もっと情報という科目を楽しめるはずです。 |
③ コンピュータとプログラミング
「コンピュータとプログラミング」では、コンピュータの仕組みとプログラミングの基礎を学びます。
中心に置かれているのは、アルゴリズム的な思考力、つまり「問題をどういう手順で解くか」を論理的に考える力です。
たとえば、「成績の平均を自動で計算する」「条件に合うデータだけを抽出する」といった課題に対して、処理の流れを順序立てて設計し、それをプログラムとして表現します。
授業で使用するプログラミング言語は学校によって異なりますが、特定の言語の習得以上に「どう考えるか」という思考プロセスを重視しています。
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東大卒教育ライター・西岡さん「段取り力を身につけられるのがプログラミング」 プログラミングというと、暗い画面にキーボードをカタカタと打っている様子を想像する人もいるでしょう。 しかし、この領域ではもっと身近な論理的思考力、分かりやすく言うと「段取り力」を身につけることができます。 段取りの良し悪しは、日常生活の豊かさに直結する能力でもあります。 たとえば料理をするとき、「何時ごろに準備を始めれば晩御飯の時間に間に合うか」「何から作り始めれば全部の料理を温かいうちに食べられるか」など、調理技術以前に段取りが肝心な場面はたくさんあります。 目的に向かって最適な手順を組み立てるこの『段取り力』は、パソコンの中にとどまらず、皆さんが将来どのような道に進んでも一生使える強力な武器になるはずです。 |
④ 情報通信ネットワークとデータの活用
「情報通信ネットワークとデータの活用」では、インターネットの仕組みとデータの扱い方を学びます。
前半はネットワークの基礎です。インターネットがどのような仕組みでデータをやり取りしているか、セキュリティ上のリスクにはどう対処するかを学びます。普段何気なく使っているWebやメールの裏側にある仕組みを理解することで、情報を安全に扱う視点が身につきます。
後半はデータの収集・整理・分析です。集めたデータをグラフや表に整理し、そこから傾向や課題を読み取る活動が中心になります。「このグラフから何が言えるか」「この数値の変化はなぜ起きているか」を考える力は、大学入学共通テスト「情報」でも問われる思考力と直結しています。
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東大卒教育ライター・西岡さん「データを正しく読み、自分で判断することは情報リテラシーの基礎」 インターネットが普及するとともに、家庭内にルータなどのネットワーク機器が置かれることも多くなりました。それらの機器のトラブルに対処し安全に使うためには、最低限のインターネットに関する知識は不可欠です。 また、データを正しく分析する力も実生活に必要な能力です。コロナ禍では感染者数などのデータが毎日出され、たくさんの情報で溢れかえりました。情報の真偽を判断するためにも、データを正しく読み、自分で判断することは情報リテラシーの基礎となります。 |
情報Ⅰを学ぶときにつまずきやすいポイント

情報Ⅰは幅広いテーマを扱う科目だからこそ、苦手意識を持ちやすい部分もあります。よくあるつまずきのポイントを3つ紹介します。どれも多くの人が感じることなので、事前に知っておくだけでも気持ちが楽になるはずです。
プログラミングの考え方が難しい
情報Ⅰを学ぶときにつまずきやすいポイントとして、まず挙げられるのがプログラミングの「考え方」です。コードの書き方そのものより、「もし〇〇なら△△する(条件分岐)」「〇〇になるまで繰り返す(繰り返し処理)」といった論理の組み立て方に戸惑う人がいます。
これは数学の得意・不得意とは直接関係しません。最初はうまくいかなくて当然なので、授業を通じて少しずつ慣れていくつもりで取り組むのがおすすめです。
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東大卒教育ライター・西岡さん「具体的にどういう操作が行われているのか自分で計算して確認しよう」 プログラミングはいろんな状況に対応するために、変数という形で抽象的な概念をたくさん用いているものが多いです。そのため、コードに用いられている変数が、実際の状況とどう対応しているのかを理解する必要があります。 「コードを読んでもわからない!」という人は、具体的にどういう操作が行われているのか自分で計算して確認してみましょう。具体的に一つの状況から始めて、プログラミング通りに流れを追っていくと、コードの理解が格段に進むはずです。 どういう操作かを実際に確認してみたら、フローチャートなど図を用いて整理してみることも理解の手助けになるでしょう。 |
データ分析や統計に苦手意識を持ちやすい
情報Ⅰを学ぶときにつまずきやすいポイントとして多いのがデータ分析です。平均・中央値といった基礎的な統計や、表計算ソフトを使ったデータ整理、グラフの読み取りなどが主な内容です。
数学の授業のように複雑な計算を求められるわけではなく、情報Ⅰで重視されるのは計算の正確さより「データを根拠に判断する姿勢」です。苦手意識がある人も、まずはグラフを「読む練習」から始めると取り組みやすくなります。
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東大卒教育ライター・西岡さん「それぞれのグラフで注目すべき点を理解しておこう」 データは値を並べる以外にも表示する方法は様々です。情報では、箱ひげ図や散布図、棒グラフなど、さまざまな形でデータを図示する方法を習います。 グラフの形状によって読み取れることや利点は様々です。箱ひげ図は平均値だけではわからないデータの偏りがわかる、散布図は二つのデータの関係が読み取りやすいなど、それぞれのグラフで注目すべき点を理解しておきましょう。 |
専門用語が多く感じる
情報Ⅰを学ぶときにつまずきやすいポイントとして、専門用語が挙げられます。情報モラル、アルゴリズム、プロトコルなど、初めて目にする言葉が授業の序盤から登場します。
ただし、これらの多くは日常の体験と地続きです。
たとえばプロトコルは「通信のルール」、アルゴリズムは「手順の組み立て」と言い換えれば、日頃から無意識に関わっていることがわかります。用語そのものを覚えようとするより、「これは日常のどの場面に対応するか」を考えながら学ぶと、少しずつ定着していきます。
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東大卒教育ライター・西岡さん「身近な例を挙げられるように理解しておく」 情報の専門用語は、他教科に比べても日常に潜んでいるものがたくさんあります。この記事を読んでいる今も、皆さんには情報モラルを持って読むことが期待されています。他にも記事を読み込むために、IPアドレスやプロトコルなどが使われているはずです。 言葉と定義を丸暗記するだけでなく、身近な例を挙げられるように理解しておけばテストでも問題なく答えられることでしょう。 |
情報Ⅰで身につく4つの力

情報Ⅰは、知識を覚える科目というより、力を育てる科目です。授業を通じて身につく力は、学校の勉強にとどまらず、社会に出てからも長く役立つものばかりです。代表的な4つを紹介します。
情報リテラシー
情報リテラシーとは、情報を正しく読み取り、活用する力のことです。情報Ⅰでは、情報の信頼性をどう判断するかを繰り返し学びます。
インターネット上には、根拠の不確かな情報やフェイクニュースが数多く存在します。「誰が発信しているか」「情報の出所はどこか」「複数の情報源と比べたときに一致しているか」といった視点で情報を見る習慣が自然と身についていきます。
情報があふれる時代だからこそ、受け取った情報をそのまま信じるのではなく、立ち止まって確かめる力が求められます。情報リテラシーは、その土台となる力です。
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東大卒教育ライター・西岡さん「高い情報リテラシーを持つことはより重要になっていく」 近年はAIが格段に発達しており、ディープフェイクと呼ばれる巧妙に作られた偽の写真や動画が出回るようになりました。ただ見ただけでは加工されているか判断が難しいものもたくさんあり、これまで以上に嘘のレベルが高くなっています。「自分は大丈夫」と過信せず、常に情報の真偽を疑う心構えが大事です。 技術が発達すると便利になる一方で、悪用する人がいることは避けられません。常に知識をアップデートして、高い情報リテラシーを持つことはより重要になっていくでしょう。 |
論理的思考力・問題解決力
情報Ⅰでは、問題をどう整理し、どういう手順で解くかを考える力が繰り返し求められます。プログラミングの学習を通じて自然に鍛えられるのが、この論理的思考力・問題解決力です。
プログラムを書くとき、「まず何をして、次に何をするか」を細かく分解して順序立てる必要があり、うまくいかなければ原因と結果のつながりを追いながら修正していきます。こうした思考の積み重ねが、論理的に物事を考える習慣を育てます。
この力はプログラミングだけでなく、レポートをまとめるときや日常の問題を解決するときにも活きます。
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東大卒教育ライター・西岡さん「情報で学べる論理的思考力は、科目・状況を選ばず広く使える」 遊びや部活など高校生活を満喫するため毎日忙しくしている高校生も多いでしょう。そんな中でも、勉強や将来に向けての準備もしなければなりません。 日々を効率よく過ごすためには、やることを過不足なく効率的に実行する段取りはとても重要です。段取りができてしまえば、やることリストやアラームを作成して仕組みに頼ることもできます。 情報で学べる論理的思考力は、科目・状況を選ばず広く使える能力だということを意識しながら、是非とも身につけてください。 |
情報デザインと表現力
情報Ⅰの学習を通じて、「伝わる資料」をつくる力も身についていきます。
資料やプレゼンテーションをまとめるとき、内容をただ並べるだけでは相手に伝わりません。何を優先して見せるか、どういう順序で説明するか、図や表をどこに使うかを考えることが、伝わる表現の土台になります。
「きれいにまとめる」ことではなく、「相手の頭に入る形に整える」力が、情報Ⅰを通じて身についていくといえるでしょう。
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東大卒教育ライター・西岡さん「情報を伝える相手のことを思った表現方法を心がけたい」 高校の課外授業などで、ポスターやスライドなど自分の考えを発表する機会もあるのではないでしょうか? せっかく調べた情報も、うまく整理して相手に伝えなければ正しく評価されず価値も半減してしまいます。 この能力は、大学や社会に出てからも必ず必要になる能力です。簡単に情報が発信できるからこそ、情報を伝える相手のことを思った表現方法を心がけましょう。 |
情報社会に主体的に参画する力
著作権や個人情報の保護、情報セキュリティのルールといった内容は、情報Ⅰの学習全体を通じて繰り返し登場します。ただし「やってはいけない」を覚えるためではなく、なぜそのルールが存在するのか、自分の行動が他者にどのような影響を与えうるかを考えるためです。
情報社会では、受け手であるだけでなく、発信者・利用者としての責任も生じます。知識やスキルと倫理観がそろうことで、情報を使いこなす力が完成すると言えます。
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東大卒教育ライター・西岡さん「自分ごととして、自分を守る方法として情報モラルを身につけよう」 SNSが普及したことにより、自分の考えや作品を簡単に発信できるようになりました。それはつまり、インターネットでのトラブルに巻き込まれやすくなったとも言えます。知らず知らずのうちに人を傷つけてしまっていたり、他人の権利を侵していたりするかもしれません。 権利やセキュリティといった難しい話と思わず、自分ごととして、自分を守る方法として情報モラルを身につけてください。 |
情報Ⅰと他の科目との違いは?

情報Ⅰは、これまでの情報科目とどう違うのでしょうか。また、発展科目である情報Ⅱとはどう位置づけが異なるのでしょうか。それぞれ整理します。
旧「社会と情報」「情報の科学」との違い
2022年度以前の高校情報科目は、「社会と情報」と「情報の科学」の2つから1つを選択する形でした。「社会と情報」はコミュニケーションや情報モラルを中心とした内容、「情報の科学」はコンピュータの仕組みやプログラミングに比重を置いた内容で、学校によって学ぶことが大きく異なっていました。
情報Ⅰはこの選択制を廃し、全員が共通して学ぶ科目として新設された経緯があります。旧科目では分かれていた「活用・表現」と「科学的理解」の両方を一つに統合し、4領域をバランスよく扱う点が旧科目との大きな違いです。知識を覚えるより実際に手を動かして考える場面が多く設けられており実践重視の設計になっています。
「情報Ⅱ」との違い
情報Ⅱは、情報Ⅰの内容を土台にした発展的な科目です。情報Ⅰが全員必修であるのに対し、情報Ⅱは選択科目で、開設していない学校もあります。
内容の面では、情報Ⅰで学んだプログラミングやデータ分析をさらに深め、より高度なモデル化・シミュレーション、情報システムの設計・開発、大規模なデータの活用などが加わります。
情報系・理系の進路を考えている生徒や、情報Ⅰで学んだ内容をさらに掘り下げたい生徒に向いている科目といえるでしょう。いずれにせよ、情報Ⅱの学習はすべて情報Ⅰの基礎があってこそです。
大学入学共通テスト「情報」との関係

2025年度入試から、大学入学共通テストに「情報」が加わりました。高校で学ぶ情報Ⅰと、この試験はどんな関係にあるのでしょうか。
出題範囲は情報Ⅰがベース
共通テスト「情報」の出題範囲は、情報Ⅰの4領域が中心です。つまり、授業をしっかり受けることが、そのまま試験対策になります。
出題の傾向として、用語の暗記よりも「この状況でどう考えるか」を問う思考型の問題が多いのが特徴です。プログラムの動作を追う問題やグラフを読み取って判断する問題など、授業で繰り返し取り組む活動と直結した内容が出題されます。
1年次の学習からブランクが生まれやすい
注意したいのが、学習時期と受験時期のズレです。情報Ⅰはほとんどの高校で1年次に履修します。しかし共通テストを受けるのは2年後の3年生のときです。他の科目と比べても、学習から試験本番までの期間が長くなりやすい科目です。
1年次に「なんとなく授業を受けただけ」で終わってしまうと、3年次に改めて学び直す必要が出てきます。授業のうちに基礎をしっかり理解しておくことが、受験期の負担を減らすことにもつながります。
入試対策のポイント
対策の基本は、教科書の内容をしっかり理解することです。難しい参考書を別途用意するより、授業で扱った4領域の内容を丁寧に振り返ることが最も効果的です。
用語の意味を押さえたうえで、思考を問う問題に慣れておくと、本番でも落ち着いて対応できます。日頃の授業への取り組みが、入試準備につながる科目です。
共通テスト対策については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
まとめ 情報Ⅰは、これからの情報社会を生き抜くための科目

情報Ⅰは、パソコンの操作を覚える授業ではありません。プログラミング・データ・デザイン・ネットワークという4つの柱を通じて、情報とどう向き合い、どう生かすかを考える力を育てる科目です。
情報Ⅰで問われるのは、知識の量より「考える姿勢」です。問題を発見して整理する、データを基に判断する、相手に伝わる形で表現するといったことは、どれも特定の職業や進路に限らず、これからの社会を生きるすべての人に求められる力です。
「情報が苦手」と感じている人も、授業を通じてその感覚は少しずつ変わっていきます。まずは日頃の授業に丁寧に向き合うことが、情報Ⅰの学びを深める一番の近道です。
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東大卒教育ライター・西岡さん「情報という科目との向き合い方」 インターネットやスマートフォンは、特別な訓練や勉強なしに使えるものです。たくさんのデータや知識も簡単に手に入るようになりました。しかし、それらは決してリスクなしに扱えるものではありません。うまく使いこなすためには、自分で考えながら使うことが必要です。 身近で簡単に使えてしまうからこそ、ただ感覚で使って失敗してしまう前に、背景にはどんな技術があるのか、どのように情報と向き合っていくべきなのかを今一度考える機会として情報という科目と向き合ってみてください。 |
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すも、現役・一浪と、2年連続で不合格。崖っぷちの状況で開発した「独学術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大合格を果たす。 そのノウハウを全国の学生や学校の教師たちに伝えるため、2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教えているほか、教師には指導法のコンサルティングを行っている。著書『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大独学』(いずれも東洋経済新報社)はシリーズ累計40万部のベストセラーになった。
