不登校の子どもの高校受験はどうなる?焦らないための合格ガイド【2025年】


編集部
塾選ジャーナル編集部
「中学校で不登校だと、高校はどうなるんだろう……」
「不登校だと公立高校には行けないのかな……?」
不登校の子どもを持つ保護者の中には、高校受験に対してこのような不安や疑問を持っている方が少なくないでしょう。しかし、中学時代不登校でも行きたい高校を目指し、受験に成功した生徒はたくさんいます。
この記事では、不登校からの高校受験で気をつけたいポイントや知っておくべき高校の種類と入試方法などについて解説します。
不登校でも高校受験はできるの?
不登校でも高校受験はできる!
不登校であっても、高校受験は可能です。不登校を理由に自動的に不合格になることはありません。
例えば、自分に合った定時制高校や通信制高校を選ぶ、またはしっかりと対策をしたうえで全日制の公立高校を受験するなど、さまざまな選択肢があります。そのため、不登校だからといって高校受験ができなくなるということはありません。
ただし「出席日数が足りていない」などの理由で、不登校が影響して受験に不利になるケースは考えられます。出席日数や内申点が評価基準となる学校もあるため、志望校の受験条件を事前に確認し、必要な対策を講じることが重要です。
不登校枠とは?
地域によっては「不登校の生徒などを対象とした特別な選抜」といった名称で、自己申告書を提出する受験生を不登校枠として審査することもあります。
不登校枠を利用すれば、調査書の審査において、「欠席日数を審査対象としない」「自己申告書の内容を考慮する」といった配慮を受けることが可能です。枠といっても、特別な枠があるというわけではなく、不登校枠の定員は一般募集に含まれ、一般の受験生と同じように審査されます。
不登校からの高校受験で注意したい2つの調査書項目
中学で不登校だったとしても、高校受験は可能ですし、不登校だからといって必ずしも不合格になるわけではありません。
ただし、一般的な高校受験とは異なる点に注意が必要です。不登校から高校受験を目指す際には、調査書項目の「欠席日数」と「内申点」が大きな影響を与えるため、しっかりと対策を考えておくことが重要です。
以下は、調査書を審査の「対象とする高校」と「対象としない高校」を大まかに整理した表になります。
調査書を審査の対象とする高校 | ・公立の全日制高校(エンカレッジスクールなどを除く) ・私立の全日制高校(一部を除く) |
---|---|
調査書を審査の対象としない高校 | ・通信制高校 ・定時制高校 ・チャレンジスクールやエンカレッジスクールなど ・一部の私立高校 |
「欠席日数」と「内申点」について、それぞれどのような対策方法があるかも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
欠席日数
気をつけるべき点の1つ目は、欠席日数です。調査書が審査に含まれる高校では、内申点とともに欠席日数もチェックされます。
「○日以上欠席していると出願できない」ということはありませんが、一般的に3年間で30日以上、つまり年間10日以上欠席していると「審議の対象」となるといわれています。
「審議の対象」とは、試験結果が合格基準を上回っている生徒が年間10日以上欠席していた場合、合格させるかどうか学校側で審議するということです。
「審議対象=不合格」というわけではないものの、欠席日数によって不利になることは否めません。
公立の場合
公立高校では、欠席日数が多い場合は「審議の対象とする」、つまり「合格が難しくなる」として、募集要項などに明記されていることがあります。
審議の対象となる例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 病気による長期入院のため、一定期間学校に通えなかった。
- 中学1年生のときは休みがちだったが、その後の2年間は問題なく出席できた。
「中学校では欠席が多かったが、高校では問題なく通える見込みがある」という場合、中学校の先生がその旨を調査書の「特記事項」に記載することがあります。ただし、欠席の理由を記載するかどうかは学校の判断によるため、必ず書いてもらえるとは限りません。そのため、事前に学校に確認しておくことが重要です。
また、学校によっては、欠席日数が多い場合に自己申告書を提出し、その事情を説明することで、評価の際に配慮してもらえるケースもあります。受験校の募集要項をよく確認し、不安な点があれば直接問い合わせるなど、しっかり準備をしておきましょう。
私立の場合
私立高校の場合は、出席日数の基準は高校ごとです。そのため、入学試験の点が高ければ、欠席が多くても合格になる学校もあります。また、調査書の提出を必要としていない学校もあります。
学力検査を行わない通信制の高校もあるため、自分の志望する学校の入試要項をよく確認しておくことが重要です。
出席日数が足りない場合はどうすればいい?
高校受験に向けて出席日数を増やすには、一般的な出席以外のやり方もいくつかあります。
高校受験に向けて出席日数を増やす方法
・ 別室登校する
・ 教育支援センターなどの支援機関に通う
・ フリースクールや学習塾などに通う
・ オンライン学習に取り組む
学校に登校できる場合は、別室登校(保健室登校)で出席扱いになるか学校の先生に相談してみましょう。出席を認めてもらえるなら、できる限り別室登校することで出席日数を増やせます。
また教育支援センターやフリースクール、学習塾に通うこと、自宅などでオンライン学習に取り組むことでも出席扱いとなる場合があります。
これらは、文部科学省が令和元年に設けた不登校生向けの出席扱い制度に該当するものです。
▶︎参考:文部科学省「不登校児童生徒への支援の在り方について(通知)」令和元年10月25日
「保護者と学校が十分に連携・協力していること」「民間機関の場合は学校長が個々の生徒に適切かどうか判断すること」などを条件としていますが、学校長が出席扱いを認めればこれらの機関に通うことで学校の出席日数を増やすことができます。
またもう一つの方法として「自己申告書」を提出するやり方があります。
自己申告書とは、欠席日数が多い事情を自分で説明するための書類です。東京・神奈川・埼玉・千葉などの首都圏や一部道府県で制度が設けられています。
内申点
不登校から高校受験をする際に気をつけたいのが内申点の取り扱いです。
一般的に高校受験では、学力試験の成績と調査書の内容を総合的に判断して合否を決定します。そのため、内申点の高さは受験の合否に直接影響を与える重要な要素となります。
ただし、調査書の評価基準や取り扱いは、高校の種類や都道府県によって異なるため、志望校の選考方法を事前に確認しておくことが大切です。
公立の場合
公立高校では、内申点の比重が高く設定されていることが多く、欠席日数や評定が合否に大きく影響する場合があります。特に、調査書(内申書)に記載される出席状況や成績が、学力試験とともに重要な評価基準となるため、不登校の影響を受けやすい傾向があることに注意しておきましょう。
ただし、都道府県によっては不登校生に配慮した評価基準を設けている学校もあります。例えば、調査書の評価において「特別な事情がある場合は面接や作文を重視する」といった措置を取る学校や、学力試験の成績を重視する選抜方法を採用している学校も存在します。
そのため、受験前に各都道府県の教育委員会や志望校の募集要項を確認し、不登校生への対応を把握しておくことが重要です。学校説明会や進路相談会に参加し、具体的な受験の可否や評価方法について直接確認することをおすすめします。
私立の場合
私立高校では、公立高校と比べて学校ごとに選考基準が異なり、内申点の影響が少ない場合もあります。
特に、学力試験の成績を重視する学校では、内申点が合否に与える影響が小さい傾向にあります。推薦入試を活用する場合は、一定の内申点基準を満たしていることが条件となることが多いため、注意が必要です。
また、私立高校では、面接や作文を重視する学校もあり、不登校の経緯や今後の学習意欲をしっかり伝えることで、内申点が不足していても合格の可能性があるケースもあります。そのため、志望校の募集要項や過去の合格実績を確認し、自分に合った受験方法を選ぶことが大切です。
内申点が低い場合はどうすればいい?
不登校の影響で内申点が低い場合は、主にこの3つの方法で受験対策するとよいでしょう。
内申点が低い場合の受験対策 主な3つの方法
1. 調査書を審査の対象としない高校を受験する
2. 審査対象が3年のみなら調査書を審査に含む高校の受験も検討する
3. 自主的に英検・漢検やコンクール参加といった課外活動の実績を積む
どうしても調査書が審査に含まれる高校を受験したい場合は、3年から頑張って学校の授業や提出物に取り組むか、課外活動に力を入れて学習への主体性やスキルの高さをアピールするという手があります。
ただ、不登校から確実に高校に合格したいなら、調査書が審査対象外の高校を選ぶのが無難です。
不登校からの高校受験に対応している高校は?
不登校から本人に合う高校を見つけて入学するには、高校にどのような種類があるか知っておくことが大切です。
高校には以下のような種類があり、入試方法もそれぞれ特徴が異なります。
高校の種類
・ 全日制高校
・ 通信制高校
・ 定時制高校
・ チャレンジスクール
・ 高等専修学校
全日制高校・通信制高校・定時制高校は、卒業すると「高校卒業資格」が得られる学校です。
そして不登校経験のある生徒でも比較的通いやすい高校として、チャレンジスクールなどの特別な学校や高等専修学校があります。
ここでは不登校からの高校受験でおすすめかどうかに焦点を当てて解説しているので、どのような高校を選べばよいかざっくり知りたい場合は目を通してみてください。
全日制高校
全日制高校は、月曜から金曜の日中に通う高校を指します。
学年制の学校が多く、部活動や学校行事など世間一般がイメージする高校生活を送れるのが魅力です。
公立高校は多くの場合、調査書が審査対象となるため難易度が高いですが、私立高校は学校により調査書の扱いがさまざまであるため、不登校経験があっても合格できる可能性があります。
「高校から切り替えて新生活を送りたい!」「部活や学校行事も楽しみたい!」という気持ちが強いなら、調査書が審査対象外の私立高校を選んで学力試験に挑戦しましょう。
私立高校は、合格後の入学を確約することで優遇を受けられる「単願(専願)推薦」もあり、学校の選び方や戦略次第で合格の可能性をグッと上げられます。
通信制高校
通信制高校は、自宅に届く教材やオンライン学習ツールを利用した自主学習がメインとなる学校です。
基本的に自分のペースで学習を進め、決まった日に通学すること(=スクーリング)で単位を取得できます。
スクーリングの頻度は学校によってさまざまで、週に数回通うところもあれば、年数回のみでOKというところもあります。学校行事の種類や実施頻度もさまざまです。そのため、不登校からでも無理なく通いやすい高校として人気があります。
また通信制高校の入試は、書類審査や面接、作文などがメインで、学力検査を実施しているところはほとんどありません。中学までの学力に自信がなくても合格しやすい入試内容となっています。
ただし、通信制高校は自主学習メインで学校にもほぼ行かないため、高校卒業後を考えると最適な選択肢でないケースもあります。特にこの先大学に進学したいと考えているなら、通信制高校とは別に受験対策ができる塾などに通う必要があるので注意しましょう。
定時制高校
定時制高校は、全日制高校よりも短い時間で授業を受ける学校です。
定時制高校といえば夜間の学校というイメージがありますが、現在は主にこの3つの時間帯に分かれています。
定時制高校の3つの時間帯
1. 夜のみの「夜間定時制」
2. 朝・昼の「昼間二部定時制」
3. 朝・昼・夜の「三部制」
昼間二部定時制と三部制については自分の通いやすい時間帯を選んで通学できるのが大きな特徴です。
定時制高校も通信制高校と同様に不登校経験のある生徒を積極的に受け入れていますが、学習スタイルと学校生活の過ごし方が異なります。
学習スタイル | 学校生活の過ごし方 | |
---|---|---|
定時制高校 | 決まった時間帯に毎日通学する | ・クラスメイトとの交流が多い ・部活動や学校行事がある |
通信制高校 | 基本的に自主学習で、月/年数回通学する | ・学校の友人はできにくい ・部活動や学校行事があるところは少ない |
定時制高校の学校生活は、時間帯が異なる点を除けば全日制高校とほぼ同じです。
さまざまな年齢・国籍・経歴を持つ生徒が通うため、通常の高校生活では経験できないような出会いもあるでしょう。
入試方法は学校により異なり、英国数の基礎的な学力テストや自己PR、調査書の内容を審査する場合もあれば、面接や作文のみで簡単に合格できるところもあります。
チャレンジスクール
不登校の経験がある生徒に配慮した高校に通いたい場合は、チャレンジスクールやエンカレッジスクール(※東京都の名称)がおすすめです。
これらの学校は、中学まで不登校だった生徒が本来持つ力を発揮していけるような環境が整えられています。
チャレンジスクールの特徴
・ 少人数制のきめ細かい指導で中学基礎から復習
・ ボランティアなどの体験的な学習を重視
・ 社会生活のルールやマナー、言葉遣いなどの学習を通じてコミュニケーション力や社会性を育成
・ ホームルーム活動や相談活動を充実させて生徒が相談しやすい環境を整備
参照元:東京都「令和6年度東京都立高等学校に入学を希望する皆さんへ(日本語版)」7 多様なタイプの学校の紹介
チャレンジスクールやエンカレッジスクールは学力試験や調査書によらない入試を行っており、不登校経験があっても合格しやすくなっています。なお、東京都のチャレンジスクールは昼夜間定時制で単位制の総合学科、エンカレッジスクールは全日制の高校です。
不登校生のサポートが充実している学校は都道府県が独自に設置しており、地域によって名称が異なります。お住まいの地域にあるかどうか調べたい場合は、都道府県の教育委員会ホームページを確認してみましょう。
高等専修学校
高等専修学校は、以下の8つの分野から選択したものを専門的に学び、職業に直結する資格やスキルを身につけられる学校です。
高等専修学校の8つの分野
1. 工業
2. 農業
3. 医療(准看護師)
4. 衛生(理容、美容、調理、製菓)
5. 教育・社会福祉
6. 商業実務
7. 服飾・家政
8. 文化・教養
小中学校のような教科学習よりも専門的な知識や技術を習得する学習が主体で、いわゆる学校の勉強にまったく興味がない場合でもやりたいことを見つけやすくなっています。
高等専修学校は、以下のような特徴に当てはまる方におすすめです。
高等専修学校に向いている生徒
・ 没頭するほど好きなことがある
・ 将来なりたい職業がはっきりしている
・ 興味のあることをとことん探求したい
・ 早いうちに資格を取って手に職をつけたい
また、提携する通信制高校のカリキュラムをこなすことで高校卒業資格を取得でき、大学受験資格を得られる学校もあります。高等専修学校は学校によってかなり特色が異なるため、興味があればお近くの学校から調べてみてください。
不登校からの高校受験 高校の選び方
不登校からの高校受験は、志望校選びが非常に重要です。
十分な知識がない状態でなんとなく志望校を決めると、受験勉強で苦労したり希望する高校に行けなかったりするだけでなく、入学後も思い描いていたような学校生活が送れずに不登校になるおそれがあります。高校選びは慎重に時間をかけて行いましょう。
選ぶときに重要な4つのポイント
不登校からの高校受験は、一般的な高校受験の知識だけで対応することが難しいです。
そのため、受験についてわからないことや悩みが出てきたら、高校受験について専門的な知識を持っている人や不登校からの高校受験に詳しい人に積極的に相談しましょう。
信頼できる先生に相談する
高校受験を考えているなら、まずは信頼できる学校の先生に相談してみましょう。
担任の先生に話せるのが理想ですが。難しい場合は学年の先生でも校長・教頭先生でも問題ありません。第一歩として学校の先生に高校受験をしたいという意思を伝えることが大切です。学校の先生は、高校受験に必要な条件やその地域の高校についてたくさんの情報を持っています。
そのため、不登校から高校受験をする際に何が必要なのか、現在住む地域ではどのような高校がおすすめなのか、といった具体的なアドバイスがもらえるでしょう。
不登校専門の塾などに相談してみる
もう一つ相談先としておすすめなのが、不登校の生徒のための専門塾です。
不登校専門塾は、不登校生の指導実績が豊富で高校受験のための情報もかなり充実しています。実際に中学で不登校の生徒を高校に合格させた実績がある塾なら、現在の状況を見て適切なアドバイスをしてくれるでしょう。
また不登校によって勉強に遅れがある場合にも塾に通うのはおすすめです。
学力がアップするのはもちろんですが、不登校でも塾に通うのは、以下のようなメリットがあります。
不登校の生徒が塾に通うメリット
・ 学校の進度に追いつける
・ 塾に通う習慣ができることで生活リズムが整う
・ 高校や大学などの情報を入手しやすくなる
・ 周りの人との交流ができる
不登校専門塾に相談するのは、通っても通わなくても今後の道筋を大まかに把握できるよい機会となるはずです。
学校の先生に相談しづらい場合や相談してもあまり有益な情報が得られなかった場合は、一度不登校専門の塾で不登校指導のプロに相談してみましょう。
学校説明会などに参加する
高校選びに迷った際は、学校説明会やオープンキャンパスに参加することをおすすめします。実際に学校を訪れることで、授業の雰囲気や先生、生徒の様子を確認できるため、パンフレットやウェブサイトだけでは分からない情報を得られます。
また、不登校経験がある場合、学校側がどのようなサポート体制を整えているのかも重要なポイントです。特に、個別相談会では、不登校生の受け入れ状況や、入試で考慮される点について詳しく聞くことができるため、積極的に活用すると良いでしょう。
説明会や体験入学を通じて、「この学校なら安心して通えそうか」「自分に合った環境か」を確認しながら、進学先を検討していくことが大切です。
サポート団体に相談してみる
高校選びに悩んだ際は、不登校や進学支援を行っているサポート団体に相談するのも有効な手段です。例えば、NPO法人や自治体の教育相談機関、フリースクールなどが挙げられます。
また、進学できる学校の選択肢が限られている場合でも、全国的な視点で適した学校を紹介してもらえることもあります。さらに、通信制高校や定時制高校の違い、寮付きの高校の特徴、学費の相談など、進学に関する幅広い情報を得ることが可能です。うまく活用して、進学先選びの助けにしましょう。
不登校になった学年別 高校の選び方
中1~中2で不登校
現在中1や中2で不登校になっていて高校受験をする場合は、この3つのどれかに当てはまる高校を選びましょう。
中1~中2で不登校になった場合の高校選び
1. 調査書が審査対象外である
2. 調査書の審査対象が3年時のみである
3. 欠席日数について配慮を受けられる、または自己申告書を提出できる
不登校の経験によって審査で不利になりたくないなら、調査書が審査されない学校がおすすめです。
調査書が審査対象にならない学校としては、一部の私立高校やチャレンジスクールなどの公立高校、通信制高校、定時制高校が挙げられます。また中3から学校復帰できたり、出席日数や内申点を確保できたりする場合は、2か3の学校も選択肢に入れられます。
ただし高校受験のために無理して学校復帰すること、早く学校復帰するように保護者が促すことは避けましょう。あくまで本人の気持ち的に学校復帰するタイミングが中3だった場合のみです。
中3で不登校
現在中3で不登校の状態から高校受験をするとなると、選択肢となるのは基本的に調査書が審査対象外の学校です。
中3で不登校になった場合の高校選び
・ 一部の私立高校
・ チャレンジスクールなどの公立高校
・ 通信制高校
・ 定時制高校
上記の学校に進学することを視野に、生活パターンや現在の学力、学べる内容などを考慮して志望校を決めましょう。学校説明会やオープンスクールに複数回参加することで、入学する意欲が高いという評価をもらえる学校もあります。
中学に入る前から不登校
小学校から中学にかけて不登校が続いている場合は、まず入学後にしっかり通える高校を選ぶことが重要です。
選択肢としては、通信制高校や定時制高校がメインになってくるでしょう。
中学に入る前から不登校の場合の高校選び
・通信制高校
・定時制高校
全日制高校に通うことも不可能ではありませんが、ずっと不登校だった状態から急に毎日通学するとなると心身の負担は大きいです。せっかく入学できたのにまたすぐ不登校になってしまう可能性も考えられます。
どうしても全日制高校に通いたいなら、今から生活リズムを整えたり一定時間外出する習慣をつけたりすることが大切です。フリースクールや塾を活用するのも一つでしょう。
またまずは1年間通信制高校に通い、スクーリングで学校に慣れてから全日制高校に入り直すという方法もあります。
どのような選択肢を取るにせよ、無理なく通いやすい高校を選ぶことを心がけましょう。
不登校になった原因別 高校の選び方
本人の無気力・不安が原因
本人の無気力・不安が原因で不登校となっている場合は、「高校受験が迫っている」と焦らずに落ち着いて本人と向き合いましょう。
回復に時間がかかりそう場合は、中学卒業後すぐに高校に行かないという選択肢も持っておくとよいです。向き合う中で不登校になった原因がぼんやり見えてきたら、「こういう高校もある」と本人に合いそうな学校をいくつか提示してみます。
ここで本人が高校に行きたいという気持ちを少しでも持っていれば、高校選びからサポートしていきましょう。本人の意思を尊重し、決して受験を強制しないことが大切です。
高校選びでは、以下のようなポイントに注目して候補を絞っていきましょう。
本人の無気力・不安が原因の場合の高校選び
・学力的に無理のない学校
・先生や職員のサポートが手厚い学校
・通いやすい、または無理なく通える学校
細かい受験校の選び方は、現在何年生で不登校かによって変わってきます。詳しく知りたい場合は『不登校になった学年別 高校選びのポイント』をご参照ください。
学校生活への不安が原因
学校の勉強には遅れていないものの、学校生活への不安によって不登校となっている場合は、以下のような高校がおすすめです。
学校生活への不安が原因の場合の高校選び
・ 自宅で取り組める通信制高校
・ 少人数制の定時制高校やチャレンジスクール
・ 好きなことを専門的に学べる高等専修学校
本人の状況や希望に合わせて、環境的に無理なく楽しく学べそうな学校を選べるとよいでしょう。
なお集団で過ごすことへの不安感が強い場合は、受験までに医療機関やカウンセラーによるサポートも含めて検討することをおすすめします。
学校以外の支援機関をうまく活用して、少しずつ学校生活への不安を払拭し、スムーズに高校生活をスタートさせられる状況に持っていくことが大切です。
不登校から高校受験を目指すためのおすすめ塾
個別教室のトライ
個別教室のトライは完全1対1のマンツーマン指導を特徴とする学習塾です。33万人もの登録講師の中から、子どものニーズや希望にぴったり合った担当を選抜します。
まずは正社員の教室長が、子どもの目標や得意、苦手科目に合わせて一人ひとりに専用のカリキュラムを作成。目標達成に向けてやるべき内容が盛り込まれており、効率的な学力アップを目指せます。カリキュラムの内容は定期的な面談を通じて見直されます。
中学生向けには「公立/私立高校受験対策」「学校の授業サポート」「他塾との併用」など、さまざまな学習プランを提供。それぞれに合った学習プランと講師による個別指導で、結果を出します。
受講形態 | 完全個別指導(1対1) |
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コース | 高校受験対策コース 中学生向けコース |
オンライン対応 | 有り |
展開エリア | 東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城・群馬・栃木 |
坪田塾
坪田塾は1対1のマンツーマン指導を受けられる学習塾です。一人ひとりの学力や学校のスケジュールに合わせて勉強できる、個別カリキュラムを導入しています。必要に応じて前学年の単元に戻るなど、個別指導ならではの柔軟な学習指導が特徴です。
授業を担当するのは、各校舎の正社員講師が中心。教科を横断して講師同士がサポートするなど、チームで生徒の学習を支える体制が整っています。
中学生向けには高校受験対策や定期テスト対策のほか、各種検定試験対策にも対応可能です。「教えない、支える指導」を基本とし、問題の解き方ではなく、わからない部分の考え方や調べ方を丁寧に説明します。
受講形態 | 個別指導(1対2~3) |
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コース | 中学生の個別指導 オンライン個別指導 |
オンライン対応 | 有り |
展開エリア | 東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、兵庫県 |
対話式進学塾1対1ネッツ
対話式進学塾1対1ネッツは、対話式の個別指導塾です。〇✖だけで学力を判断せず、生徒との対話を通して解答へ至った過程などをチェック。生徒自身の言葉で説明する場面が多く、あいまいな知識が整理されます。講師は常に近くにいるため、わからない箇所はすぐに質問できるのも安心です。
担任コーチはコーチングスキルを持っており、生徒が自ら学習に取り組めるよう導きます。講師と担任コーチがタッグを組み、ダブルサポートで勉強できる学習塾です。
受講形態 | グループ指導(4~10名未満) 完全個別指導(1対1) |
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コース | 中学生の指導 オンライン指導 |
オンライン対応 | 有り |
展開エリア | 福岡県、東京都など |
キズキ共育塾
キズキ共育塾は、発達障害のある子どもの指導実績が豊富な学習塾です。指導スタイルは1対1のマンツーマンのため、子どもの障害特性に合わせて、丁寧できめ細かい対応を受けられます。
授業を担当する講師は、これまでに多くの困難な経験を乗り越えてきた先輩たちです。不登校経験がある講師や先天性の疾患を抱えている講師、社会人になって初めて挫折を経験した講師などが在籍しており、発達障害がある子どもが置かれている状況や気持ちに寄り添います。
受講形態 | グループ指導(4~10名未満) 完全個別指導(1対1) |
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コース | 中学生の個別指導 オンライン個別指導 |
オンライン対応 | 有り |
展開エリア | 東京都、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、オンライン |
不登校で塾に通った方の経験談
ここでは、不登校のときに塾へ通った本人・保護者からの経験談を集めました。
「不登校から塾に通うメリットって何?」「実際に通ってよかったことって?」といった不登校生を持つ保護者の方が気になる点について解説しているので、ぜひ目を通してみてください。
不登校経験のある生徒の保護者に聞いた、塾に通った良い変化 ランキング
実際に不登校時に学習塾へ通っていた生徒の保護者、または本人へ「塾に通った良い変化」について回答していただきました。
第1位 | 学校と同じ進度で 勉強ができるようになった |
29% |
---|---|---|
第1位 | 不登校前よりも集中して 勉強できるようになった |
29% |
第1位 | 不登校が解消した | 29% |
n=7 複数回答可 調査期間:2024年2月3日~2024年2月9日 調査方法:弊社インターネット調査「不登校経験のある小中高生(保護者も含む)の経験談を募集!」
独自アンケートによると「学校と同じ進度で勉強ができるようになった」「不登校前よりも集中して勉強できるようになった」「不登校が解消した」が同率1位で29%でした。
また、具体的に塾に通った変化について、以下の経験談が寄せられています。
元々、通っていた学習塾のため、知り合いや学校の友達がおり、それらの者と接することで、子供は孤独にならずに済んだ。
学習塾に通うことで、学校の授業の進捗状況が分かる。これが分からないと、テスト範囲も分からない。不登校でもテストだけ受けていたから。
進路相談が出来ることで、子供の視野(選択)が広がる。
n=7 複数回答可 調査期間:2024年2月3日~2024年2月9日 調査方法:弊社インターネット調査「不登校経験のある小中高生(保護者も含む)の経験談を募集!」
塾に通うことによって、勉強以外のメリットを生むこともありそうです。
不登校からの高校受験でよくある質問
不登校でも高校受験はできますか?
不登校だったとしても、高校受験をすることは可能です。
ただし、不登校の期間や出席日数、内申点の評価方法によっては受験に不利になることがあるため、事前に志望校の入試要項をしっかり確認することが重要になります。
例えば、公立高校では内申点や出席日数が評価基準の一部となるため、不登校の影響を受けるおそれがあるでしょう。一方、私立高校の中には、学力試験や面接の結果を重視し、内申点の影響が比較的少ない学校もあります。通信制高校や定時制高校など、多様な選択肢もあるため、自分に合った進路を見つけることが大切です。
不登校だとどれくらい受験で不利になりますか?
不登校の場合、内申点や欠席日数によっては受験で不利になるおそれがあります。特に、公立高校では内申点が選考基準の一つとなるため、出席日数が極端に少ないと、評価が下がることは否めません。
ただし、受験する高校の方針や、都道府県ごとの入試制度によって、不登校経験が大きなハンデにならないケースもあります。一部の私立高校や通信制高校、単位制高校では、学力試験や面接を重視し、内申点の影響が少ない場合があります。不登校の理由やその後の取り組みによっては、不利がないように評価されることもあるでしょう。
そのため、不登校経験がある場合は、志望校の入試制度をよく調べ、自分に合った受験方法を選ぶことが大切です。学校や塾、教育相談機関などを活用し、適切な情報を集めながら準備を進めましょう。
中3で不登校でも高校に進学できますか?
中3で不登校だったとしても、高校に進学することは可能です。内申点が大きく影響する公立高校は難しいとしても、学力試験の結果を重視する高校や、不登校生への配慮を行う学校もあるため、受験の選択肢を広げることが大切です。
私立高校の中には、面接や作文を重視し、学習意欲を評価する学校もあります。加えて、通信制高校や定時制高校もあるため、中3で不登校の状態だったとしても、自分に合った学校を選べば、高校に進学することは可能です。
不登校で一番多い学年は?
文部科学省が令和6年に発表した「令和5年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」によれば、中学生における学年別の不登校生徒数で、最も多い学年は中学3年生の80,309人となっています。次に中学2年生の77,768人、最後に中学1年生の58,035人と続いています。
この背景には、受験や進路に対するプレッシャーが大きく影響していると考えられます。また、長期間にわたって不登校だった生徒が、いつ学校に戻ればよいのかわからず、不安を感じてしまう、ということもあるでしょう。
不登校が長期化すると、学業の遅れや対人関係の不安が強まり、復帰のタイミングをつかみにくくなることがあります。そのため、適切なサポートや進路相談を活用しながら、無理のない方法で学びを継続することが重要です。
このままだと公立高校にいけないと言われてしまいましたが、どうすればよいですか?
「このままだと公立高校への進学は難しい」と中学校側に言われたとしても、不登校生を受け入れる制度や特別な選抜枠を設けている公立高校を探すことが重要です。
例えば、各自治体の教育委員会が実施する進路相談会に参加したり、直接問い合わせたりすることで、不登校生向けの受験情報を得ることができます。また、高校受験に詳しい塾の先生や、進学支援を行うNPO・教育機関に相談するのも有効な手段です。
行けそうな高校の選択肢が少ないのですがどうすればよいですか?
住んでいる地域に進学可能な高校の選択肢が少ない場合、スクーリングの際に通いやすい校舎がある通信制高校を検討するのも一つの方法です。通信制高校は自宅学習が基本となりますが、通学日数が少ないため、地域にとらわれず選択肢を広げることができます。
また、寮を完備している高校を選ぶことで、地元を離れて進学するという選択肢も考えられます。全国から生徒を受け入れている私立高校や、特定の専門分野に強い学校など、地方にも魅力的な進学先が存在します。
ただし、進学先を決める際は「子どもが何を学びたいのか」という意思を尊重することが大切です。環境を変えることが子どもにとって良い影響をもたらす場合もあれば、慣れない土地での生活が負担になる可能性もあるため、慎重に話し合いながら最適な選択をしていきましょう。
まとめ
今回は、不登校からの高校受験で気をつけるポイントや高校選びで重要な高校の基礎知識、選び方のポイントなどについて解説してきました。
不登校からの高校受験は、志望校の選び方に注意して本人に合った受験対策をとれば決して不可能なものではありません。全日制高校は調査書が審査対象のため選べる志望校は少なくなってしまうものの、入学できる高校はたくさんあります。
不登校から高校受験を目指しているなら、ぜひこの記事の内容を参考にして志望校選びや受験対策に取り組んでください!
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