エビングハウスの忘却曲線とは? 効率的な4つの復習タイミング、誤解と真実を解説!
エビングハウスの忘却曲線は、覚え直しにかかる手間(=節約率)が時間とともに急激に増えることを示したグラフです。つまり、「時間の経過とともに、再び覚え直すために必要な手間(節約率)がどのように変化するか」を示したグラフです。あることを示したグラフです。
この記事では、忘却曲線の誤解と真実、習慣にしやすい復習サイクル、学校や塾の授業を生かすコツを、忙しいご家庭でも実践しやすい形で解説します。忘却曲線を学習習慣づくりにどう活用すべきか、自信を持って向き合えるようになります
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目次
エビングハウスの忘却曲線とは?
エビングハウスの忘却曲線(Ebbinghaus's forgetting curve)とは、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが発表した、「時間の経過とともに、再び覚え直すために必要な手間(節約率)がどのように変化するか」を示したグラフです。
勉強して覚えた内容は、記憶直後はまだ不安定な状態にあり、復習しないまま放っておくとどんどん消えていきます。この忘却曲線は、学んだ直後から多くの記憶が薄れていき、時間の経過とともに減少していくことを示したものです。

エビングハウスの忘却曲線を見る際に重視すべきは、
- 何時間後に、何%を忘れるか?
といった細かい数値ではありません。むしろ次のような点です。
- 復習しないと、どんどん忘れる
- タイミングよく復習すれば、無駄なく記憶が定着する
たとえば、英単語を10個覚えたとしても、翌日にはその半分以上を忘れてしまうことがあります。これは個人の能力の問題ではなく、人の脳が持つ自然な働きです。
こうした記憶の仕組みを理解しておくと、「いつ復習すれば、効率よく覚えられるのか」が明確になり、自宅での学習習慣をつくるうえで大きな助けになります。
忘れにくくなる復習タイミングとは?忘却曲線に沿った4つのタイミング
忘却曲線を学習に生かすうえで最も大切なのが「復習するタイミング」です。人の記憶は、覚えた直後から時間が経つほど思い出しにくくなるため、適切な間隔で復習すると定着率が向上します。ここでは、日常の学習に取り入れやすい4つの復習タイミングを紹介します。

注:表の復習のタイミングは、あくまで例(目安)。
自分の勉強リズムに合わせてタイミングや回数を調整してOK。
忘れないように復習する機会をつくることが大切。
① 24時間以内:復習で記憶が強くなる最初のタイミング
新しく学んだ内容は、覚えた直後から24時間以内が最も忘れやすい時間帯です。そのため、授業や塾の学習をしてから24時間以内に一度復習することが、記憶を定着させるうえで効果的です。
覚えた直後の記憶は「短期記憶」という不安定な状態にあります。何もしなければ新しい情報に押し流されてしまいます。そのため、忘却が急速に進む24時間以内に、軽い復習が不可欠です。この復習は、記憶の流出を防ぐストッパーとして働き、覚え直しにかかる手間(節約率)」を大きく減らします。
復習といっても、長時間取り組む必要はありません。
- ノートを5分見返す
- プリントの要点(赤字部分など)を確認する
といった短い復習で十分です。この最初の1回の復習ができるかどうかで、その後の定着度合いが変わります。
② 3日後:再定着のタイミングで記憶の流出を抑える
学習してから3日ほど経つと、多くの内容が「なんとなく覚えているけれど、何だか曖昧」という状態になりやすくなります。このタイミングで復習すると、脳が内容を思い出そうと頑張るため、記憶定着が強化されます。つまり、3日後は記憶をもう一段階深くする効果的なタイミングです。
3日後の復習で、すべてを覚え直す必要はありません。
- プリントの赤ペン部分だけ確認する
- 間違えた問題だけ解き直す
- 3日前の内容を自力で思い出せるかを確認する
少しでも「思い出す練習」をすることで、忘却の度合いを大きく抑えられます。
③ 1週間後:「短期記憶」を「長期記憶」に変える
学習してから1週間ほど経つと、内容の多くは思い出しにくい状態になります。
このタイミングで復習を行うと、一時的に覚えた知識を思い出す機会が増え、「長期記憶」として定着しやすくなります。
1週間後に行う復習は、記憶をしっかり固定するための大切なチェックポイントです。
次の方法で、自力で思い出す作業をしてみましょう。
- 1週間前の単元テストを解き直す
- 重要語句を紙に書いて再現する
- 単元の要点を自分の言葉でまとめる
間違えたり抜けたりした部分が、そのとき復習すべきポイントです。
④ 1か月後:最終チェック
学習してから1か月経つと、その内容が本当に身についているかどうかがはっきりわかります。この段階では、「覚えた知識がどれだけ残っているか」を確認しましょう。
細かく振り返る必要はありません。テスト形式で1か月前に勉強した単元をサッと解いてみましょう。
- 1か月前に習った単元テストをもう一度解く
- 教科書の太字を見ずに、重要語句を言えるか試す
- 自分で「覚えていることリスト」を書き出す
この段階で抜けたり忘れていたりする部分は、記憶が定着していない部分です。もう一度復習することで、記憶がさらに安定します。
家庭で実践できる、“忘れにくくなる”学習習慣

忘却曲線に沿って復習するには、「毎回きっちり覚える」よりも、日常の中で続けられる仕組みを作ることが大切です。家庭での学習は短い時間でも工夫しやすく、継続できれば記憶の定着に大きく影響します。ここでは、忙しいご家庭でも取り入れやすい3つの学習習慣を紹介します。
付箋・カレンダーでつくる「復習リマインダー」
忘却曲線に沿って復習するには、「どの日に何を復習するか」を目で見て分かる仕組みが大切です。付箋とカレンダーを使うと、子どもでも管理しやすい「復習リマインダー」を簡単につくれます。
<例えば、英語の学習で応用する場合>
▼ Step1:付箋に復習する内容を書く
例:英語 Unit3(不規則動詞)(英単語)(イディオム)など。
▼ Step2:その付箋を4枚コピーする
同じ内容の付箋を4枚つくり、「24時間後・3日後・1週間後・1か月後」のカレンダーの日付に貼ります。
▼ Step3:復習した付箋を外す 付箋が減っていくことで達成感が生まれ、復習習慣が続きやすくなります。
紙の付箋はリビングでも目に入りやすく、保護者が声かけしやすい点もメリットです。
忙しくても続けられる「5分チェック」という習慣
忘却曲線に沿った復習を続けるには、「短い時間でできる仕組み」を作ることが大切です。おすすめは、寝る前や帰宅後に行う「5分チェック」。ノートやプリントを開き、その日のポイントだけを5分だけ見返すだけです。
勉強へのハードルが低いため、習慣化しやすいのがメリットです。内容を完璧に覚える必要はなく、「あ、これやったな」と思い出せれば十分です。
授業を最大限に活かすための復習サイクル

学校や塾の授業は「理解する場」ですが、成績の伸びは授業後の復習で大きく変わります。忘却曲線に沿って復習することで、学んだ内容を短期間で定着させることができます。ここでは、記憶定着の効率を引き出すための3つの復習サイクルを紹介します。
帰宅後の「即時復習」は15分でOK
帰宅後は、机に向かうハードルを下げるために「15分だけ」と決めましょう。やることは、その日の授業ノートやプリントの太字をざっと確認するだけです。 「問題を解く」のではなく「今日やったことを思い出す」だけでも記憶の定着に十分効果が期待できます。
お風呂や夕食の前のスキマ時間を活用しましょう。例えば次のような軽い振り返りで構いません。
- ノートの図をざっと見返す
- 解説の太字部分だけ読み直す
- 今日できなかった問題を1問だけやり直す
帰宅直後は疲れているように思えますが、実は最も記憶が残りやすい時間帯です。たった15分の習慣で、その成績の伸びも変わってきます。
宿題を「忘却曲線に沿って」進めると定着率が上がる
学校や塾では、授業内容を定着させるために宿題が出されます。しかし、宿題を「まとめて週末にやる」よりも、忘却曲線に合わせて分割するほうが記憶に残りやすくなります。
- 授業翌日(24時間以内)に半分だけやる
- 3日後に残りの部分に取り組む
- 1週間後に軽く解き直す
このサイクルで取り組むと、授業内容の復習・定着・確認が自然とでき、記憶の抜け落ちが少なくなります。まとめてやるより負担も少ないです。
テスト対策は、詰め込みよりも「分散学習」が有利
テスト前になると、一気に詰め込む勉強をしがちです。しかし、短期間で大量に覚える勉強法は、その場では覚えられても、翌日には多くを忘れてしまうことがあります。そこで役立つのが、少しずつ復習する「分散学習」です。
- 1日10分の単語チェックを毎日続ける
- 前回の模試の間違いだけを3日ごとに確認する
- 1週間前から範囲を小分けにして復習する
分散学習は忘却曲線の仕組みと相性がよく、記憶の流出を押さえ、定着の効率を高めます。
忘却曲線にまつわる誤解と正しい考え方

忘却曲線はよく知られた概念ですが、インターネットやSNSでは「それって嘘なのでは?」といった疑問や誤解もよく聞かれます。曲線を正しく理解しておくことで、日々の学習に無理なく生かしやすくなります。
ここでは、特に誤解されやすい3つのポイントと、押さえておきたいことを整理します。
誤解①:忘れる割合は「絶対値」ではない
忘却曲線の表に書かれた「20分後に42%忘れる」などの数字を「絶対的な値」と受け取ってしまう誤解があります。実際の記憶の減り方には大きな個人差があり、どのような内容を覚えたかや、どのように学習したかによっても割合は変わってきます。
誤解②:エビングハウスの実験条件は、日常の学習と違う
もう一つの誤解は、忘却曲線の実験条件をそのまま勉強に当てはめてしまうことです。エビングハウスの実験は「無意味綴り(意味のない文字列)」を使って行われました。意味のある単語や授業内容なら、これほど急激に忘れないでしょう。
誤解③:「勉強に使えない」という考え方
①②の理由から、「忘却曲線は勉強に使えない」と言われることがあります。しかし、ここで重要なのは、忘却曲線が示していることは「どれだけ覚えているか」ではなく、「覚え直すための手間が時間とともにどのように変化する」かという点です。
忘却曲線は、記憶量の減少を測定するためのグラフではありません。復習をしないと、再学習に必要な労力が増える傾向があることを示しています。
この性質を理解すれば、復習の必要性やタイミングを考えるきっかけとして、「エビングハウスの忘却曲線」は十分に活用できます。
エビングハウスの忘却曲線について、よくある質問
ここではエビングハウスの忘却曲線について、よくある質問にわかりやすく答えます。
忘却曲線はすべての教科に当てはまりますか?
忘却曲線は、人が情報をどのように記憶し、どのように忘れていくかを示した「記憶の仕組み」です。そのため、基本的にはすべての教科に当てはまると考えて問題ありません。
ただし、教科ごとに「忘れやすさ」には違いがあります。
たとえば、英語や歴史の年代のように暗記要素が強い内容は、忘れやすい傾向があります。一方で、数学の解き方や理科の考え方などは、理解が深まりやすく、忘れるスピードが比較的ゆるやかです。
どの教科でも「時間がたつと記憶は薄れていく」という点は共通しています。だからこそ、教科に関係なく「タイミングよく復習する習慣」が大切になります。
復習タイミングを守れない日はどうすればいいですか?
「24時間以内」「3日後」などの復習タイミングは効果的ですが、毎回ぴったり守る必要はありません。 家庭の予定や子どもの体調によって、復習できない日があるのは自然なことです。
大切なのは「できなかったからゼロ」ではなく、「できる日に取り戻せばOK」 という考え方です。1〜2日ずれても、思い出すための復習をすれば十分意味があります。
復習は続けることに意義があります。完璧を目指すより、続けやすい仕組みを整えるほうが、結果的に大きな効果につながるでしょう。
まとめ エビングハウスの忘却曲線は、効率的な学習習慣のヒント

忘却曲線は、「時間とともに記憶は必ず薄れていく」という、人の脳の仕組みを示したものです。この特徴を理解し、「24時間以内・3日後・1週間後・1か月後」というシンプルな復習サイクルを取り入れるだけで、学習の効率は大きく変わります。
大切なのは、完璧に日数を守ることではなく、思い出す機会を少しずつ増やすことです。付箋やカレンダーで復習の予定を見える化したり、5分だけ振り返る時間をつくったりするだけでも、記憶の定着は着実に進みます。
忘却曲線は、子どもから大人まで参考にできる記憶に関する概念です。無理なく続けられる習慣に落とし込むことで、勉強の成果もより期待できるものになるでしょう。エビングハウスの忘却曲線の仕組み、ぜひ参考にしてください。
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