【2026年版】特待生とは?選ばれる基準・免除額の目安を中学・高校・大学別に解説!
「私立に通わせたいけれど、学費が心配……」「うちの子の成績で、学費の免除なんて本当に狙えるの?」——そんな保護者の方にこそ知ってほしいのが、特待生制度です。
特待生制度とは、学校が定める基準を満たした生徒に対して、入学金や授業料の全額・一部を免除する仕組みのこと。選ばれるルートは学力だけではありません。スポーツや文化・芸術活動、英検などの資格、家庭の経済状況まで、入り口は想像以上に幅広く、「うちの子にもチャンスがあるかも」と思える制度です。
この記事では、まず制度の基本の仕組みと「実際にいくら浮くのか」という免除額の目安を整理します。そのうえで、中学受験・高校受験・大学受験それぞれで選ばれる成績・内申点の基準、特待生の5つの種類、利用するメリット・デメリット、合格に向けた申請の流れまでをまるごと解説。読み終えるころには、わが子に合った「狙い方」がきっと見えてくるはずです。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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目次
特待生制度とは?【仕組みと免除内容の基本】

特待生制度とは、学校が定める基準を満たした生徒に対して、入学金や授業料の全額・一部を免除したり、奨学金を支給したりする制度のことです。「成績優秀者だけの優遇措置」というイメージを持たれがちですが、実際にはスポーツ・文化活動の実績や家庭の経済状況など、さまざまな基準で選ばれます。
免除の対象となるのは、主に入学金・授業料・施設設備費の3つ。どこまでが対象になるかは学校や特待生のランクによって異なり、「授業料は全額免除だが入学金は対象外」「3年間すべて免除」といったように、内容は一律ではありません。
また、免除が受けられる期間もさまざまです。入学初年度のみ対象となるケースもあれば、入学から卒業までの全期間がカバーされるケースもあります。なお、多くの学校は「1年ごとの更新制」を採用している点も押さえておきましょう(詳しくは後述します)。
学校がこうした制度を設ける最大の理由は、優秀な生徒を集めることにあります。特に私立校では、進学実績の高さが学校の評判や生徒募集に直結するため、学力やスポーツに秀でた生徒を特待生として迎え入れ、実績の向上につなげたいという狙いがあるのです。
特待生になると、学費はどれくらい浮く?
では、特待生に選ばれると実際にどれくらいの負担が軽くなるのでしょうか。私立校(高校)を例に、年間の費用の目安を整理しました。
免除後の負担額例
| 費用項目 | 一般的な費用の目安(年間) | 特待生の場合 (免除後の負担額) |
|---|---|---|
| 入学金 | 約20万〜30万円 | 0円 |
| 授業料 | 約50万〜80万円 | 0円 |
| 施設設備費 | 約10万〜20万円 | 0円~約20万円 |
| 合計負担額 | 約80万〜130万円 | 0円〜約20万円 |
※金額は私立高校を想定した目安です。学校・地域によって幅があり、首都圏や難関私立では合計100万円を超えるケースもあります(参考:文部科学省「令和6年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果」では、私立高校の初年度納付金の全国平均は約78万円)。
※施設設備費は対象に含まれない場合があります。その際は自己負担として残ります。
あくまで一例ですが、入学金・授業料が免除される特待生になれれば、年間で約70万〜110万円もの負担が軽くなる計算です。施設設備費まで免除されれば、自己負担はほぼゼロに近づきます。 これが3年間(高校)、あるいは4年間(大学)続けば、トータルの差は数百万円規模にもなります。「私立は学費が高いから」と最初からあきらめていたご家庭にとっても、進路の選択肢を大きく広げてくれる制度だといえるでしょう。
ただし、授業料まで含めた「全額免除」は手厚い一部のケース。実際には入学金などの免除を中心とする特待生も多くあります。
【2026年最新】「特待生」「奨学生」「推薦入試」の違いと公的無償化

特待生制度を調べていると、「奨学生」「推薦入試」といった似た言葉が次々と出てきて、混乱してしまう方も多いはずです。これらは目的も仕組みも別物なので、まずは違いを整理しておきましょう。
「特待生」「奨学生」「推薦入試」は何が違う?
【一覧】特待生・奨学生・推薦入学はどう違う?
| 制度・区分 | 位置づけ | 主な選考基準 | 返済義務の有無 |
|---|---|---|---|
| 特待生 | 学費優遇を受ける生徒の区分 | 入試成績、内申点、スポーツ等の実績 | なし(返済不要) |
| 奨学生(奨学金) | 学費などを支援する制度 | 経済状況、学業成績、人物評価 | 給付型はなし/貸与型はあり |
| 推薦入学 | 入試方式の一つ | 中学・高校の成績、出席率、面接など | 優遇はなし(通常の学費が必要) |
※ただし、推薦入試の成績や内申基準を満たした受験生を対象に学費を免除する「推薦特待生制度」を設ける学校もあります。推薦入試と特待生制度は、組み合わせて使えるケースが少なくありません。
特に注意したいのが奨学金との違いです。特待生は基本的に返済不要で、しかも「学費が免除される」形で恩恵を受けます。一方、奨学金には返さなくてよい「給付型」と、卒業後に返済が必要な「貸与型(日本学生支援機構=JASSOなど)」があり、種類によって性質が大きく異なります。「特待生・給付型奨学金 =もらえる」「貸与型奨学金=借りる」とイメージしておくと整理しやすいでしょう。
そしてもう一つ、2026年度の進路選びで必ず知っておきたいのが、国の「高等学校等就学支援金制度」、いわゆる高校授業料の実質無償化です。2026年度からこの制度は大きく広がり、私立高校でも所得制限が撤廃されました。今は世帯年収にかかわらず、私立高校なら授業料に年45万7,200円を上限とした支援が受けられ、公立高校の授業料は実質無料です。
ここで多くの人が誤解しがちなのが、「無償化=学費が全部タダ」ではないということ。国がカバーしてくれるのは、あくまで授業料だけです。入学金や施設設備費は、これまでどおり家庭の負担として残ります。
だからこそ、特待生制度との組み合わせが効いてきます。先ほど触れた「入学金などの免除を中心とする特待生」なら、ちょうど国がカバーしない部分を埋められるからです。両者がカバーする費用は、きれいに住み分けられています。
| 費用項目 | 主にカバーするもの |
|---|---|
| 授業料 | 国の高校無償化(所得制限なし・上限約45.7万円) |
| 入学金・施設設備費 | 特待生制度(学校により免除) |
つまり、授業料は国の無償化、それ以外の入学金・施設費は特待生制度。この二段構えにできれば、私立高校でも自己負担をぐっとゼロに近づけられます。
たとえば年間85万円(授業料50万+入学金20万+施設費15万)かかる私立高校でも、授業料の大半を国の支援でまかない、入学金・施設費を特待生として免除されれば、自己負担は数万円程度まで圧縮できます。「私立は高いから」とあきらめる前に、この"合わせ技"を前提に進路を考えてみる価値は十分にあります。
なお、東京都や大阪府のように、自治体独自の授業料補助を上乗せできる地域もあります。ただし制度は毎年見直されるため、最新の金額や条件は、お住まいの都道府県教育委員会や志望校の募集要項で必ず確認しましょう。
特待生制度の5つの種類と評価基準

「特待生=成績トップの子だけのもの」と思っていませんか。実は特待生に選ばれるルートは学力だけではなく、大きく分けて5種類あります。スポーツや芸術、さらに英検などの資格まで、入り口は意外と幅広いもの。それぞれの特徴と評価基準を見ていけば、「うちの子にも狙えそうな入り口」がきっと見つかるはずです。
①学力特待生(入学試験や在学中の成績)
もっとも一般的で広く知られているのが、学力をもとに選ばれる学力特待生です。
評価の基準は学校によってさまざまですが、 「入試の得点率が総得点の75%以上」「受験者の中で上位◯位以内」といった明確なラインを設けているケースもあります。選ばれるタイミングも、入学試験の成績で認定されるパターンと、入学後の学業成績によって在学中に認定されるパターンの2通りがあります。入学時に届かなかった場合でも、入学後の頑張り次第でチャンスが巡ってくる点は覚えておきたいところです。
②スポーツ特待生(大会実績や競技力)
スポーツに力を入れている学校では、競技の実績をもとに選ばれるスポーツ特待生を設けているところがあります。都道府県大会や全国大会での成績が評価されるほか、大会で直接スカウトされたり、部活動の練習に参加して認められたりするケースもあります。学力試験を課さず、書類審査と面接だけで選考する学校も少なくありません。
ただし、競技によっては所属する連盟が独自のルールを設けている点には注意が必要です。たとえば高校野球では、「日本学生野球憲章」がかつて野球の技能を理由とした学費援助を原則として禁じていました。その後、2010年の改正でルールが見直され、現在は一定の条件のもとで認められています。このように競技ごとの事情があるため、志望校の部活動が加盟する連盟の規定もあわせて確認しておくと安心です。
③文化・芸術特待生(コンクール、吹奏楽、書道など)
音楽や書道、美術といった芸術分野の実績で選ばれるのが、文化・芸術特待生です。音楽科や書道科などの専門学科を持つ学校を中心に設けられています。
評価の対象となるのは、各種コンクールやコンテストでの受賞歴、吹奏楽部での全国大会出場経験など。在籍校の校長からの推薦を要件とする学校もあり、求められるものは学校ごとに異なります。打ち込んできた活動の成果が、そのまま進路の強みになるルートです。
④資格・検定特待生(英検・数検などの有資格者)
近年とくに注目を集めているのが、英検や数検などの資格・検定を評価する特待生制度です。「英検準2級以上で授業料の一部を免除」「2級以上で特待生として認定」など、取得級に応じて優遇内容を定める学校が増えています。
このルートの大きな魅力は、入試本番の一発勝負ではなく、コツコツ積み重ねた努力で事前に勝ち取れる点にあります。中学・高校在学中に計画的に級を取得しておけば、受験前の段階で特待生の資格を確保できる可能性があるのです。比較的狙いやすい入り口として、人気が高まっています。
⑤経済・社会貢献特待生(家計基準や地域活動の評価)
家庭の経済状況を考慮して学費を優遇するのが、経済特待生です。所定の計算式で世帯収入が一定の基準を下回り、かつ学業成績も優秀である場合に認定されるケースが多く見られます。
また、ボランティアや地域活動への貢献を評価する学校も一部にあります。家計の事情で私立進学をためらっているご家庭にとって、進路の選択肢を広げてくれる制度といえるでしょう。なお、一時的に家計が苦しいだけの場合は、特待生ではなく給付型の奨学金を活用する方法も検討してみてください。
学校独自の「給付型奨学金」との違いは?
どちらも家計支援という点は共通ですが、選考で重視される順番が逆になります。給付型奨学金は「家計の苦しさ」が出発点(成績は標準でも可)なのに対し、経済特待生はまず「成績の優秀さ」があり、その上で家計状況が加味されます。家計支援を主目的にするなら奨学金、成績に自信があるなら経済特待生、と使い分けると考えるとよいでしょう。
【ステージ別】特待生に選ばれる成績・内申点の目安

特待生の基準は学校ごとに異なりますが、「では実際、どのくらいの成績があれば狙えるのか」は誰もが気になるところでしょう。ここでは中学・高校・大学の各ステージごとに、特待生の一つの目安となるラインを紹介します。志望校選びや目標設定の参考にしてください。
①中学受験(私立中高一貫校・適性検査型)
中学受験で学力特待を狙う場合、一般入試では合格ライン(合格に必要な偏差値)よりも、さらに5〜10ポイント高い学力が一つの目安になります。受験者全体の上位3〜5%程度に入るイメージで、その学校の中でもトップ層に位置することが求められます。
近年のトレンドとして注目したいのが、「適性検査型入試」での特待枠です。これは、公立中高一貫校を第一志望とする受験生(併願層)を取り込むために、私立校が公立一貫校の適性検査に似た形式の入試を設けるもの。知識の詰め込みよりも思考力や記述力が問われるため、4教科型の一般入試とは別のルートで特待を狙える可能性があります。公立一貫校との併願を考えているご家庭は、チェックしておく価値があるでしょう。
②高校受験(中学校の内申点・偏差値)
高校受験の特待生選考では、入試当日の得点(当日点)だけでなく、中学校の内申点(調査書)が大きなウエイトを占めます。とくに私立高校では、内申基準を満たすことを特待の条件とするケースが目立ちます。
具体的な目安としては、9教科の内申(45点満点)で36〜40以上、学校によっては主要5教科にオール「5」に近い評価が求められることもあります。内申点は中学3年間の積み重ねで決まるため、当日点で挽回しにくいのが特徴です。特待を視野に入れるなら、できるだけ早い段階から定期テストや提出物、授業態度といった内申に直結する要素を意識しておくことが大切です。
内申点が足りなくても「英検」でランクアップできる技:
「特待生の基準まで、内申点があと1点だけ足りない……」というとき、あきらめるのはまだ早いかもしれません。多くの私立高校では、英検や数検などの資格を内申点に加算する「加点措置」を設けているからです。
具体的には、私立高校の特待生選考や併願優遇(併願推薦)の場面で、たとえば「英検準2級の取得で内申に1点加点」といった形で評価されることがあります。そのため、内申点があと1点だけ足りないようなケースでも、こうした加点によって基準を満たし、特待生として認定される可能性が出てきます。
つまり、検定資格は内申点の不足を補い、特待生のチャンスをグッと引き寄せる“上乗せカード”として使えるわけです。
③大学受験(共通テスト利用・評定平均)
大学受験では、選考方式によって見られるポイントが変わります。
一般選抜系でわかりやすいのが、共通テスト利用入試を使った特待認定です。多くの私立大学で、共通テストの得点率75〜80%以上を特待生の基準とする制度が見られます。一方、学校推薦型選抜や総合型選抜では、高校での評定平均4.0以上を要件とするケースが一般的です。日々の授業や定期テストの積み重ねが、ここでも効いてきます。
また、私立大学だけでなく国公立大学にも目を向けたいところです。経済的な理由による授業料免除に加えて、入学試験の成績優秀者を対象に授業料を免除する独自制度を設ける大学も出てきています。「特待生=私立」という思い込みを外して、志望校の制度を幅広く調べてみましょう。
特待生制度を利用する4つのメリット

特待生制度のメリットは、学費が安くなることだけではありません。学ぶ環境や、将来にわたる強みまで含めて、その価値は想像以上に大きいものです。ここでは代表的な4つのメリットを紹介します。
①入学金や学費を大幅にセーブできる
もっとも大きなメリットは、やはり入学金や学費を大きくセーブできることです。記事の冒頭で見たとおり、私立高校の学費は年間で約80万〜130万円。全額免除の特待生になれれば、この負担が大きく軽くなります。
しかも、免除が在学中ずっと続けば、その効果は積み上がっていきます。仮に私立大学で4年間の授業料が免除されれば、トータルで数百万円規模の差になることも珍しくありません。浮いた分を大学進学やその先の費用に回せると考えれば、家計にとっての意味は非常に大きいといえるでしょう。
②費用を気にせず「私立の強み(手厚い環境・設備)」を選択できる
私立校の魅力は、充実した設備や手厚い指導、少人数制やコース制といった、整った学習環境にあります。とはいえ「学費が高くて手が届かない」とあきらめてしまうご家庭も少なくありません。
特待生制度は、その壁を越える手段になります。学費の負担を抑えられれば、「公立しか選べない」という前提が外れ、私立ならではの強みを備えた学校を、費用を気にせず進路の候補に入れられます。子どもに合った教育環境を、経済的な理由だけであきらめずに選べる。これは進路の幅を大きく広げてくれるメリットです。
③周囲の学習意欲が高い(特待生クラスなどの環境メリット)
学力で特待生に認定された場合、特待生だけを集めたクラスや、上位コースに在籍することになる学校もあります。こうした環境では、まわりに同じく高い目標を持つ生徒が集まっているため、自然と学習意欲が刺激されます。
「まわりが頑張っているから自分も」という前向きな相乗効果が生まれやすく、質の高い仲間や先生との出会いが、学力の伸びを後押ししてくれます。学費の優遇そのものだけでなく、こうした学習環境に身を置けることも、特待生ならではの見逃せない価値です。
④将来の就職活動(履歴書)や進学での強力な自己PRになる
意外と見落とされがちですが、特待生に選ばれた実績は、将来にわたって効いてくる長期的なメリットを持っています。
特待生という肩書きは、「学力やスポーツ、努力の積み重ねが、第三者である学校から客観的に認められた」という確かな証明です。これは、進学先の出願書類や面接、さらにその先の就職活動の履歴書・エントリーシートにおいて、「目標に向かって努力を継続できる人材」であることを示す強力なアピール材料になります。学費の免除という目の前のメリットだけでなく、子どもの将来にプラスの実績として残り続ける点も、特待生制度の大きな魅力といえるでしょう。
事前に知っておくべきデメリットと4つのリスク

メリットの大きい特待生制度ですが、出願前に知っておきたい注意点もあります。いずれも「知らずに利用して後で困る」タイプのものなので、あらかじめ押さえておけば回避・対策が可能です。代表的な4つのリスクを見ていきましょう。
①「キープ」のプレッシャー(進級時の取消リスク)
特待生の多くは、一度認定されれば卒業まで安泰というわけではありません。多くの学校が「毎年更新制」を採用しており、一定の成績基準を満たせなくなると、途中で特待が打ち切られることがあります。「免除を維持しなければ」というプレッシャーが、生徒の負担になる場合もあるでしょう。
とくに中学受験で特待生になった場合に注意したいのが、高校進学時の再審査です。中高一貫校でも、高校に上がるタイミングで改めて成績が審査され、基準に届かないと特待が外れるケースがあります。「中学で認定されれば6年間ずっと安心」とは限らない点は、見落としやすい落とし穴です。
②進路・活動の縛り(単願条件・進路変更不可)
特待生としての合格には、入学義務(専願・単願)が条件となっているケースが多く見られます。つまり「合格したら必ず入学する」ことが前提となるため、他校との併願ができなかったり、合格後に進路を変更しにくかったりします。
たとえば「私立の特待生に合格したものの、その後に受けた公立トップ校にも合格した」という場合でも、専願条件があると公立側を選びにくくなります。後悔しないためにも、特待生に出願する前に「本当にこの学校が第一志望でよいか」をよく考えておく必要があります。
③中途辞退による「学費返還義務」
見落とされがちなのが、途中で辞めた場合の学費返還義務です。在学中に退学・転学した場合や、スポーツ特待生が部活動を辞めた場合などに、それまで免除されていた学費の返還を求められる規約を設けている学校があります。
「免除されたお金を、後からまとめて請求される」という事態は、家計にとって大きな打撃になりかねません。とくにスポーツ特待生の場合、ケガで競技を続けられなくなる可能性もゼロではありません。出願前に、こうした返還規定の有無と条件を募集要項でしっかり確認しておくことが重要です。
④他の奨学金と「そのまま両取りできない」ケースがある
特待生制度と他の支援制度は、必ずしもそのまま両取りできるわけではありません。たとえば大学進学後に日本学生支援機構(JASSO)の給付型奨学金(高等教育の修学支援新制度)を利用する場合、この制度には授業料の減免が含まれます。そのため、大学独自の授業料減免と重なる部分は、両方が満額支給されるのではなく、支給額が調整(減額)されることがあります。
「特待生の学費免除と奨学金をダブルで受けて、負担をさらに軽くしよう」と考えていても、想定どおりの満額にはならない可能性があるということです。複数の支援を組み合わせる前提でいると、見込みが崩れてしまうことも。どの制度とどの制度がどう調整されるのか、利用を考えている支援があれば、事前に学校や各制度の窓口に確認しておきましょう。
特待生枠で合格するための申請の流れと対策

特待生として合格するための流れは学校によって異なりますが、大まかなステップは共通しています。ここでは、出願準備から認定結果の確認までを4つのステップに分けて解説します。やるべきことを順番に押さえて、迷わず動けるようにしておきましょう。
①募集要項で特待生制度の条件を確認する
最初にやるべきは、志望校の募集要項を入手し、特待生制度の有無と条件を確認することです。特待生の種類、求められる成績や実績の基準、免除される費用の範囲(入学金・授業料・施設費のどこまでか)、免除期間などをチェックします。
とくに見落とせないのが、「専願(単願)か、併願が可能か」という出願条件です。これは進路全体の方針に直結するため(詳しくはデメリットの章を参照)、募集要項で必ず確認し、家庭で方針を共有しておきましょう。あわせて、募集要項は毎年内容が変わることもあるので、必ず最新版をチェックしてください。
②出願時に特待生制度へ申請する
次に、実際の出願です。特待生の申請方法には、大きく2つのパターンがあります。
ひとつは、一般入試の成績で自動的に判定されるパターン。この場合、特別な手続きは不要で、入試の結果が基準を満たせば特待生として認定されます。もうひとつは、特待生選考に専用の出願や申し込みが必要なパターンです。出願時に「特待生希望」の欄にチェックを入れたり、特待生用の入試区分で出願したりする必要があります。
どちらの方式かを取り違えると、「申請し忘れて対象外になっていた」という事態になりかねません。出願の段階で、申請方法を募集要項で必ず確認しておきましょう。
③必要書類・面接・小論文を準備する
特待生選考では、学力試験以外に追加の選考が課されることがあります。代表的なのが、書類・面接・小論文です。
スポーツや文化・芸術特待であれば、大会の成績やコンクールの受賞を証明する活動実績証明書の提出を求められることが多くあります。また、なぜその学校で学びたいのか、入学後に何を目指すのかを記す志望理由書や、面接・小論文が選考に含まれるケースもあります。これらは出願直前に慌てて用意すると質が下がりがちです。実績を示す書類は早めに準備し、志望理由書や面接対策にも時間をかけて取り組みましょう。
④合格発表とあわせて認定結果を確認する
最後に、合格発表のタイミングで特待生の認定結果を確認します。多くの学校では、合格通知や入学手続きの書類に「特待生として認定されたか」「どのランクの免除が適用されるか」が記載されています。
ここで確認しておきたいのが、免除の具体的な内容と、継続のための条件です。「初年度のみか、卒業まで続くのか」「翌年度も継続するには、どの程度の成績を維持する必要があるのか」を、この段階できちんと把握しておきましょう。あわせて、申請が必要な公的支援(高等学校等就学支援金など)の手続きも、入学手続きと並行して進めておくと安心です。
特待生制度に関するよくある質問

特待生は返済が必要ですか?
特待生制度による入学金や授業料の免除は、基本的に返済不要なケースが多いです。ただし、退学や途中辞退などの場合に返還を求められる制度もあるため、募集要項を確認しましょう。
特待生は入学後に取り消されることがありますか?
取り消されることがあります。成績が基準を下回った場合や、出席・生活態度に問題があった場合などに、特待生資格の取り消しや免除額の変更がおこなわれることがあります。
スポーツ特待生でも学力は必要ですか?
必要になることが多いです。スポーツ実績が重視される制度でも、入学後の授業についていける学力や、生活態度が確認される場合があります。
特待生制度は併願でも利用できますか?
併願で利用できる場合もありますが、専願を条件にしている学校もあります。認定された場合に入学義務があるかどうかもあわせて確認しましょう。
高校無償化が広がった今、特待生を目指すメリットは減ってしまったのでしょうか?
いいえ、メリットは十分にあります。国の無償化がカバーするのは授業料だけで、入学金や施設設備費は家庭の負担として残るためです。特待生制度ならこうした費用まで免除される場合があり、無償化と組み合わせることで自己負担をよりゼロに近づけられます。さらに、学習意欲の高い仲間との環境や、努力が認められた実績という、お金に換算できない価値も得られます。
まとめ

特待生制度は、学校が定める基準を満たした生徒に対して、入学金や授業料などを免除する制度です。選ばれるルートは学力だけでなく、スポーツ・文化芸術・資格・経済状況まで幅広く、「うちの子には無理」と思っていたご家庭にもチャンスは十分にあります。
2026年度からは私立高校の授業料無償化(高等学校等就学支援金)も所得制限なく拡大しました。授業料は国の無償化でまかない、入学金や施設費は特待生制度で免除してもらう。この組み合わせができれば、私立校でも実質的な負担をぐっと抑えられます。学費を理由に進路をあきらめる前に、まずは選択肢として検討する価値は大いにあるでしょう。
一方で、専願条件や毎年の更新制、中途辞退時の返還義務など、出願前に知っておきたい注意点があるのも事実です。だからこそ大切なのが、気になる学校の募集要項を、できるだけ早めに確認しておくこと。特待生の基準や条件は学校によって細かく異なり、年度ごとに内容が変わることもあります。「知っていれば狙えた」「条件を見落としていた」とならないよう、早い段階からの情報収集が、わが子に合った進路を実現する第一歩になります。
特待生を目指すうえでは、日々の学力づくりも欠かせません。受験対策や効率的な勉強法については、以下の関連記事もあわせてご覧ください。
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