新中3必見!都立高校入試2026分析から見えた出題傾向と2027年度に必要な対策【現役塾講師監修】
2026年の都立高校入試が実施され、今年の出題傾向や難易度が見えてきました。
英語は長文化が進み、「読み切れたかどうか」で差がつきやすい試験に。一方で、理科・社会は問題自体の難易度は高くないものの、思うように点が伸びなかった受検生も少なくありません。
こうした結果から見えてくるのは、「難しい問題が出たかどうか」ではなく、「どの教科でどう差がついたのか」というポイントです。
本記事では、2026年都立入試を科目別に振り返りながら、平均点の傾向やつまずきやすいポイントを整理。都立入試指導に定評のある現役塾講師・大山先生の視点から、2027年受検に向けて押さえておくべき対策をわかりやすく解説します。
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者
大山雅司
塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。
目次
2026年度都立入試を総括|倍率低下と私立無償化の影響
2026年都立高校の一般入試が2月21日に実施され、3月2日に合格発表が行われました。
今年は全日制全体の実質倍率は昨年度1.27から1.26と微減し、過去最低の水準となりました。全日制のうち普通科全体では1.30→1.29、専門学科は1.14→1.12へと減少しています。
よく入試倍率の低下の話になると「少子化の影響」が言われますが、東京に関して言えばもう少し事情は複雑です。多摩地区ではすでに中学生の生徒数は減少が見られますが、23区内で言えば少子化の影響が本格化するのはまだ先の話。私立高校授業料実質無償化の影響が、倍率低下の一因と考えられます。ただし東京のなかでも地域ごとに様相が異なる面もあり、一概に全体が低下しているわけではありません。
以下の記事では2026年都立入試の倍率について詳しく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。
2026年都立入試問題の総評(難易度、予想平均点)
実際に問題を解いてみたり、受検生の皆様からいただいた反応を踏まえた上で、今年度の入試の難易度を考察しました。
難易度
国語:標準
英語:難化
数学:やや易
理科:易化
社会:やや易
例年と比較すると、英語はやや難化し、それ以外は標準~やや易でした。
予想平均点
まず、国語は例年並み。英語は長文化に伴い平均点が下がる可能性があります。一方、数学・理科・社会は得点がしやすい構成だったため、平均点が上がる可能性が高いでしょう。
2026年都立入試問題 科目別の問題分析
ここからは科目別の問題を見ていきます。
国語の問題分析
国語の問題は例年通りの構成でした。
1. 漢字(読み取り)
2. 漢字(書き取り)
3. 物語文
4. 論説文
5. 古文
「漢字(読み取り・書き取り)」
読みの問題が「臨(のぞ)む」「均衡(きんこう)」「遵守(じゅんしゅ)」「憧(あこが)れる」「謹(つつし)んで」。書きの問題が「熟した」「借りた」「栄えた」「観覧」「戦略」でした。「遵守」の読みが少々難易度が高かったように思えますが、それ以外はおよそ例年通りの難易度と言えるでしょう。
「物語文」
小川洋子氏の『長すぎた幕間』で、主人公である小学生の視点から日比谷公園での写生大会での父とのやりとりが描かれた物語でした。舞台が現代であり、主人公の年齢も受検生と大きく離れていない点から比較的読みやすい文章でした。表現の特徴を捉える問題がやや難しい印象がありましたが、それ以外は物語の展開を踏まえれば、悩むことが少ない印象です。
「論説文」
納富信留氏の『対話の技法』で、「対話」について哲学的な視点から考察した文章でした。やや抽象度の高い文章ではありましたが、「対話」というのは現行の学習指導要領下での主要テーマのひとつであり、折に触れて考える機会があった内容かと思います。
「古文」
東儀俊美氏・河竹登志夫氏による対談、山崎正和氏の『リズムの哲学ノート』、そして『風姿花伝』の原文および日本語訳で、能や世阿弥に関しての文章を3つ、複合的に読み取る内容でした。口語文法の問題や仮名遣いの問題など、知識問題を含む出題でした。
■ 国語の難易度は標準的
文章量は例年と変わらず、文章の難易度、設問の難易度も昨年と大きな変化はありませんでした。例年、国語は平均点が高めで、昨年度の平均点は75.0点です。今年も大きな変化はないだろうと考えられます。
■ 作文のテーマは「対話による創造」
今回の作文のテーマは「対話による創造」でした。本文の内容を踏まえると、「対話を通して考え方が変わった経験」や「対話を経て新しい考え方を得た」という経験が想定されていると考えられます。部活動・委員会・行事・友人関係など、学校生活の様々な場面に当てはまる内容であり、比較的書きやすいテーマだったでしょう。
また、現行の学習指導要領においては「主体的・対話的で深い学び」が重視されていることから、推薦の面接問答や作文などで考えたテーマがそのまま活かせたというケースもありそうです。
大山先生
2027年度の受検生へのアドバイス
2027年度以降の受検生は、記述問題や作文対策を含め、文章を読み取る練習を日頃から行っておくことが重要です。
以下の記事では「文章を読み取る=読解力を高める」ための勉強方法も詳しく解説しています。
数学の問題分析
数学の構成は例年通り変化はありませんでした。
1.小問集合
2.規則性、整数問題
3.関数
4.平面図形
5.空間図形
「小問集合」
計算問題、データの活用、円と角度、作図でした。データの活用では都立入試で初登場となる「累積相対度数」を求める問題や、円を90°回転移動させる作図問題がやや戸惑うかもしれませんが、難易度としては標準的であったでしょう。
「規則性、整数問題」
二桁~三桁の自然数と、その位の数を入れ替えてできる数に関する問題で、整数問題の中では比較的定番になっているタイプの問題でした。類題演習などで手をつけたことのある受験生も多かったはずです。
「関数」
二次関数で、放物線上の点を結んでできる図形に関する問題。変域や直線を求める問題は基本的な難易度で、最後の面積比が絡む問題が高難易度でしたが、立式さえできれば正答に辿り着ける問題でした。
「平面図形」
正方形の辺上の点、辺を延長させた先の点などを結んでできる図形の問題でした。証明問題は基本的な相似条件を利用するもので難易度は標準的でした。最後の問いは、複数の相似を組み合わせて線分の長さを求める必要があり、高難易度でした。ただし、解く過程で補助線が不要であった点から、例年と比較すると解きやすかったかもしれません。
「空間図形」
三角錐を切断した図形に関する問題でした。最後の問題は「三角錐の体積比の公式」さえ利用できれば答えを出すことはできますが、それが思いつかない場合、思うように解答を出すことできない受検生も多かったと考えられます。
■ 数学の難易度はやや易
関数・平面図形・立体図形の最終問題は高難易度の問題が出題されることが定番で、今年も同じでした。それ以外の85点分は例年通り得点しやすい問題が並び、高難易度の3題に関しても、昨年度ほどの難易度はないように見受けられます。昨年度の平均点が60.4とやや低めでしたが、今年は平均点が少し上昇するのではないかと思われます。
大山先生
2027年度の受検生へのアドバイス
都立入試の数学は毎年、高難易度の問題よりも、標準的な問題を取りこぼさずに得点できるかで差がつくため、基本的な計算力や関数・平面図形・空間図形の基礎を疎かにしないことが合格への近道になります。
数学の正しい勉強法については、以下の記事もご覧ください。
英語の問題分析
英語の構成は例年通り、大きな変化はありませんでした。
1.リスニング
2.対話文+図表
3.対話文
4.物語文
「リスニング」
問題A、問題Bの二題構成。問題Aは対話文を聞き取り、あとの質問の答えに合致する選択肢を選ぶ問題、問題Bはスピーチを聞き取り、あとの質問に解答する問題です。形式は例年変化がないため、過去問などで練習をどれだけ積めたかが勝負の分かれ目だったのではないでしょうか。
「対話文+図表」
構成としては例年と同じでした。高校生と留学生との対話文を読み、空所に当てはまる語を図表の内容もふまえて選択する問題、Eメールの内容を読み取る問題、質問に対する返答を英作文で解答する問題が出題されました。
「対話文」
4人の対話文で、美化委員会の活動についての話し合う場面でした。話し合いのなかで登場人物が新たな視点や気づきを得るなど、学習指導要領が重視する”対話的な学び”が意識されたような内容でした。語彙の難易度や設問難易度は標準的でしたが本文の文量が増加しました。
「物語文」
ダンス部に所属する主人公の成長物語。物語の内容も平易で、扱われる語彙もそこまで難しい印象ではありませんが、総語数が増えた上に選択肢の英文もやや長く、全体的にボリュームアップしました。
■ 英語の難易度は長文化により難化
今年は大問2、3、4の全てで語数の増加があり、全体としてテンポよく読み進めないと終わり切らず、「5教科で英語が一番難しかった」と感じた受検生が多かったようです。設問や語彙はそこまで難易度が上がったわけではないため、文量が増えたことで時間切れになったという受検生も少なからずいたでしょう。昨年度の平均点は63.7点でしたが、今年はそれよりも下がる可能性があります。
大山先生
2027年度の受検生へのアドバイス
今後も長文読解の処理速度が合否を分ける可能性が高く、日頃から長文に触れる学習が重要になります。
長文読解のコツなど、英語の具体的な勉強方法は、以下で詳しく解説しています。
理科・社会の問題分析
理科・社会に関しても大枠での構成の変化はありませんでした。
理科
1.小問集合
2.小問集合(レポート)
3.地学
4.生物
5.化学
6.物理
地学は天気の変化と気象観測に関する出題で、気温や湿度などのデータを読み取って考える問題。生物は人体に関する出題で消化に関する実験結果をもとに考える問題。化学はイオンの性質について、電気分解と化学電池に関する問題。物理は物体に働く力について、ばねと浮力に関する実験をもとに考える問題でした。
社会
1.小問集合
2.世界地理
3.日本地理
4.歴史
5.公民
6.地歴公融合問題
世界地理では雨温図や、農産業についての知識が問われる問題。日本地理では県ごとの自然環境や、政令指定都市に関する問題。歴史では仏教や歴史の基本事項に関する並べ替え、生糸の生産に関する資料問題。公民では衆議院の優越やバリアフリーに関する資料問題などが出題されました。
■ 理科・社会の難易度は易しめ、ただし範囲の広さが最大のネック
理科に関しては受検生の声を拾っても「難しかった」という声はほとんど聞かず、難易度は易しめであったと推測できます。社会に関しても、正解までの道筋は、図表や文章などで丁寧に示されており、基本的な知識で解ける問題が多かったため、平均点が大きく下がることは考えにくいでしょう。
昨年度の平均点は理科59.2、社会が59.9でした。受検生の反応を見るに理科の平均点は今年やや上昇する可能性がありますが、社会に関しては、設問の難易度に関わらず中1~2で習う地理・歴史も含めた範囲の広大さに受検生は苦戦しがち。昨年と同水準の平均点になるのではと考えています。
大山先生
2027年度の受検生へのアドバイス
理科・社会は難易度は易しめであるものの、出題範囲が広いです。より早い段階で受験勉強に着手できるかどうかが勝負の分かれ目となります。
2026年都立入試から見える今後の出題傾向
英語の長文・高難易度化は今後も続く見込み
例年との変化が大きかったのは英語で、全体の文量が大きく増加しました。学習指導要領改訂に伴う履修単語数の増加や、東京でのスピーキングテストの入試活用など、昨今変化が大きい教科が英語です。その中で、受検生の英語力に対する要求水準そのものが上昇しているように見受けられます。
また、大学入試がセンターから共通テストに移行してから英文が長文化しています。それを踏まえても、入試英文の長文化は都立高校入試に限らない全体的な傾向として考えるのがよいでしょう。
今回の入試での大幅な平均点の下降などが起こらない限り、英語の長文化路線は続いていくものと考えられます。
問われるのは「読解力」と「思考力」
都立入試では、単純な暗記事項を直接問う問題は少ないです。重視されるのは、「読解力」と「思考力」。ここでいう「読解力」は、国語の文章を読む力だけではありません。設問の意図を正確に捉える力や、資料・データの内容を読み取る力も含まれます。
こうした力を重視する傾向は都立入試では以前から続いており、今後も大きく変わることはないでしょう。大学入試でも共通テストへの移行によって思考力重視の流れが強まっていることを踏まえると、この傾向は続いていくことが考えられます。
2027年度の都立入試はどう対策すれば良い?
では、今回の都立高校入試を受けて、2027年の受検生はどのように勉強をしていけばよいかを解説します。
差がつきやすい「英語の長文読解」に積極的に取り組む
例年、英語は点数分布が広がりやすく、受検生間で差が付きやすい科目。特に今年は英語の長文化が見られ、受検勉強期に長文読解にどれだけ取り組めたかが、本番で解き終わるかどうかの分かれ目であったと言えそうです。
受検勉強期には都立高校入試の過去問だけでなく、私立併願校の過去問なども併用しながら長文問題に積極的に取り組みましょう。
理科・社会は中3の夏休みまでに苦手克服を目指す
都立入試で例年平均点が低くなりやすいのが理科・社会です。2026年度の平均点は未公表ですが、2025年度は以下の通りでした。
国語:75.0
数学:60.4
英語:63.7
社会:59.9
理科:59.2
注目すべきなのは、英数国の3科目は上位校で独自作成問題が出題される一方、理科・社会は上位校でも共通問題が課される点です。つまり、理社の平均点は上位層を含んだ結果であるにもかかわらず、英数国より低くなっています。
その理由として、理科・社会は対策が後回しになりやすいことが挙げられます。私立入試で使う英数国に学習時間が偏りやすく、理社は十分に対策できないまま本番を迎えるケースも少なくありません。さらに、中学1〜2年の内容まで幅広く出題されるため、復習範囲が広くなり、これも平均点が伸びにくい要因となっています。
入試直前期で、中学1年生の勉強からやり直して高得点を狙うのは至難の業。中学1~2年生のあいだに学校の定期試験に向けての勉強をしっかり重ねていき、中学3年生は今習っている範囲+入試演習で「読解力」「思考力」を養成する形が理想です。
もし中学3年生で、過去の単元に不安がある場合は、ゴールデンウイークや夏休みなどの長期休暇を利用して、しっかりと復習する時間を設けることがおすすめです。
まとめ:「読解力」と「思考力」を意識した学習が合格のカギ
今年の都立入試は、英語の長文化が強く印象に残る入試でした。
しかし入試全体を見れば、求められている力は大きく変わっていません。都立入試で問われているのは、特別なテクニックではなく「きちんと読み、考え、判断する力」です。その意味で日々の勉強の積み重ねが最も結果に直結する入試だと言えます。
来年以降に都立入試を目指す皆さんは、過去問演習だけではなく、日頃の学校の勉強も大切にしながら、読解力と思考力を意識した学習を進めていってください。
それが都立合格への一番の近道になるでしょう。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。




