中学受験の過去問、周りはもう始めてる?小6の焦りに受験のプロが答える
「周りはもう過去問を始めているのに、うちはまだ手をつけていない……」 SNSや先輩保護者の体験談を目にするたびに、そんな焦りがよぎる小6の夏前。塾からは「過去問は夏以降で十分」と言われているのに、「GWには着手すべき」という声を見ると、本当にこのペースでいいのか不安になることもあるのではないでしょうか。
まだ算数に苦手単元が残る今、無理に過去問を解かせて「全然できなかった」という経験だけが残ってしまったら。かといって、対策が遅れて志望校への準備が間に合わなくなったら。どちらに転んでも後悔しそうで、踏み出すタイミングが決められない悩みです。
今回は、早稲田アカデミーや駿台で25年以上受験指導に携わる西村創先生に、過去問が果たす本来の役割と、焦らなくていい理由、そして始めるべきタイミングの具体的な目安を伺いました。
編集部
塾選ジャーナル編集部
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者
西村 創先生
早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wingsなどで指導歴25年以上。新卒入社の早稲田アカデミーでは、入社初年度に生徒授業満足度全講師中1位に輝く。駿台ではシンガポール校講師を経て、当時初の20代校長として香港校校長を務め、過去最高の合格実績を出す。河合塾Wingsでは講師、教室長、エリアマネージャーを務める。現在は、セミナー講演や書籍執筆、「にしむら先生 受験指導専門家」としてYouTube配信(チャンネル登録13万人超)などを中心に活動。著書は『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)など多数。 http://www.youtube.com/@nishimurasensei
目次

【CASE】小学6年生・男子
まじめでコツコツ取り組むタイプですが、少し慎重すぎるところがあります。初めて見る問題や難しい問題に対して「解けないかもしれない」と思い込むと、手が止まってしまうことも。
負けず嫌いな一面から、模試の結果が悪いと数日間引きずってしまうこともあります。
【今回のお悩み】
ペンネーム:ミライさん(小学6年生 保護者)
過去問をいつから始めるべきか悩んでいます。現在はSAPIXに通っており、塾の先生からは「夏休み以降でよい」と言われています。一方でSNSや先輩保護者のブログでは「GW頃から一度は解くべき」という意見もあり、判断がつきません。
特に不安なのは、まだ算数に苦手単元が残っている今の段階で過去問に取り組ませて、点数が取れなかった場合です。「全然できなかった」という印象だけが残り、志望校への苦手意識につながってしまわないかと心配しています。
かといって、始めるのが遅すぎて対策が間に合わなくなるのも怖い。いつ始めるのが正解なのか、親として判断しきれずにいます。
過去問に取り組むのは、小6夏以降でOK
小6の夏前は、苦手克服に時間をかけられる貴重な時期
SAPIXの講師の方がおっしゃるように、過去問を解くのは6年生の夏以降でかまいません。夏休み前の時期は、過去問を解くよりも、自分の苦手単元の復習に時間をかけることのほうが大切です。
中学受験の課題は、とにかく時間が足りないことにあります。時間がない中でやりくりするには、優先順位をつけるしかありません。何かに時間を割くということは、ほかの勉強をする時間を捨てるということです。シンプルに、「過去問」と「苦手単元の復習」を天秤にかけた場合、入試本番で点数を取るためには、後者のほうが有効といえるでしょう。
過去問=勉強ではなくアンケートに答えるようなもの
過去問は、いわばアンケートに答えるようなものです。わかる問題には答えを書き、わからない問題には答えを書かない(書けない)というだけの作業であって、勉強ではないんですよね。そのために、1科目1時間×4科目で計4時間の時間が割かれてしまうわけです。
同じ4時間であれば、今解けない問題を学び直し類題を解くことに時間を使うほうが、着実に理解が深まり問題を解くスキルも上がっていきますよ。
過去問はいつから本格化する?偏差値差と時期で見る2つの目安
目安① 志望校との偏差値差が5以内になったら
苦手の克服から過去問での本格演習に切り替えるのに適切な時期は、志望校と現在の学力にどれだけ開きがあるかによって変わります。
例えば、偏差値40の子が偏差値50の学校を目指すなら、過去問に入る前にまず基礎を一つずつ固めることが先決。一方で偏差値60台後半の子が偏差値70の学校を目指すなら、早めに過去問を始めて志望校に合わせた勉強を進めるほうが効率的です。
一つの目安となるのは、志望校偏差値と現在の実力の差分が「5」程度であるかどうか。それくらいの僅差であれば、1点を争う得点差での戦いになります。その数点を取りに行くためには、どの学校にも通用する学力を伸ばすよりも、演習を重ねて志望校に特化した学習方法に切り替えたほうが合格の可能性が高まるでしょう。
目安② 受験の2カ月前になったら過去問は最低3回
もう一つのデッドラインは、受験本番の2カ月前です。第一志望校であれば、直近の過去問を最低3回分は解いておきたいところ。第二・第三志望校も、受験する学校の過去問には必ず目を通しておきましょう。志望度が高ければ、2〜3回分は取り組んでおくと安心です。
この時期になったら、仮に偏差値の差が5以上開いていても過去問に着手すべきです。模試の偏差値が足りていなくても、過去問では意外と点が取れるケースもあります。苦手分野の復習と並行しながら、志望校に特化した対策を進めていきましょう。
過去問の3つの役割を知れば、焦りは減る
過去問に取り組む時期がわかったところで、そもそも過去問は何のために解くのかを整理しておきましょう。「今の実力を測るもの」と思われがちですが、本来の役割はそれだけではありません。点数の良し悪しだけで終わらせてしまうと、せっかくの過去問を生かしきれないので注意が必要です。
①学校の出題傾向を知る
まずは、志望校の出題傾向をつかむこと。記述と選択のどちらが多いのか、毎年出る単元は何か、学校特有の変わった問題があるか。こうした傾向を把握しておけば、残りの時間で何を重点的に対策すべきかが見えてきます。
②問題を解くためのペース配分を知る
2つ目は、「どの問題にどのくらい時間をかけるか・かけないか」のペース配分を知ることです。得点を重ねるためには、決められた時間内に1問でも多くの問題で正解をもらうことが必須になります。
1問あたりにかける時間を短縮するだけでなく、時間がかかる難問を後に回し点が取れる問題を先に解く、といったテクニックも不可欠です。
③合格までの距離を知る
そして、志望校の合格ラインと今の実力にどれだけ開きがあるかを客観的に把握すること。この情報は、受験校の最終決定や残り期間の学習計画を見直すうえで欠かせない判断材料になります。
学校によっては、入試説明会で出題傾向を教えてくれることも
出題傾向を知るには、過去問のほか受験校からの情報を集めるのも一案です。学校によっては、11月~12月頃に入試説明会を開き、該当する年次の入試の類似問題を配布してくれることもあります。説明会では、「このような問題を出しますよ」「過去に出題したこういった問題は出しませんよ」といった入試方針を教えてくれることも。そういった公式な情報は逃さずに活用したいですね。
今は情報過多な時代だけに、「何を信じればいいかわからない」という悩みを持つ保護者の方も少なくありません。SAPIXのような大手進学塾であれば、一定のエビデンスを持って合格させるための道筋を示してくれるはずです。迷ったときは、塾の学習方針を軸にすると決めてしまうのも手ですね。やるべきことを広げすぎず、目の前の優先順位に集中することが、結果的に合格への近道になります。取捨選択を意識しながら、お子さんと一緒に志望校への道のりを一歩ずつ進めていってください。
成功へ導く賢者からの金言!

過去問のデッドラインは受験2カ月前。
焦らずに今は苦手克服を。
※塾選調べ:
対象:中学受験をする予定の子どもをもつ保護者50名にアンケートを実施
期間:2026年1月9日~13日実施
学年表記:掲載時点(2026年4月)に合わせています(回答時は小学5年生/新小6)
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
早稲田アカデミー、駿台、河合塾Wingsなどで指導歴25年以上。新卒入社の早稲田アカデミーでは、入社初年度に生徒授業満足度全講師中1位に輝く。駿台ではシンガポール校講師を経て、当時初の20代校長として香港校校長を務め、過去最高の合格実績を出す。河合塾Wingsでは講師、教室長、エリアマネージャーを務める。現在は、セミナー講演や書籍執筆、「にしむら先生 受験指導専門家」としてYouTube配信(チャンネル登録13万人超)などを中心に活動。著書は『中学受験のはじめ方』(KADOKAWA)など多数。 http://www.youtube.com/@nishimurasensei
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