定時制高校とは?全日制・通信制との違いや学費、進路をわかりやすく解説
「全日制高校に通うのは難しいかもしれない。でも、高校卒業や、その先の進学はあきらめたくない」。そんな思いから、定時制高校について調べている人もいるでしょう。
定時制高校は、夜間や昼間など、学校ごとに定められた時間帯に通い、高校卒業を目指す課程です。全日制とは授業時間や通い方が異なりますが、卒業すれば全日制と同じく、高校卒業として扱われます。
この記事では、定時制高校の仕組み、全日制・通信制との違い、卒業までの年数、学費をわかりやすく解説します。メリット・デメリットや大学進学、就職への影響も紹介するので、自分に合う進路を考える材料にしてください。
編集部
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目次
定時制高校とは? わかりやすく解説
定時制高校とは、学校ごとに定められた時間帯に通学し、高校卒業を目指す高等学校の課程です。全日制・通信制と並ぶ課程として制度上に位置づけられており、通学する時間帯は学校によって異なります。

夜間だけでなく「昼間」や「三部制」で学べる学校が増えている
定時制高校というと、夜間に通う学校のイメージを持つ人も多いかもしれません。しかし実際には、昼間に通学する定時制や、午前・午後・夜間の3つの時間帯から選べる「三部制」の学校も増えています。
三部制の高校のなかには、午前の部に在籍しながら午後の授業も一部履修するなど、柔軟な通い方ができる仕組みを取り入れている学校もあります。
参照:文部科学省「定時制・通信制課程について」
卒業すれば全日制とまったく同じ「高校卒業資格」が得られる
定時制高校を卒業すると、全日制高校と同じ「高等学校卒業」の資格が得られます。文部科学省も、定時制の課程は全日制の課程と同等の教育を施し、同一の資格を与えるものと位置づけています。通う時間帯や学び方は異なっても、卒業後の学歴としての扱いに差はありません。
参照:文部科学省「三 新制高等学校の発足」
もともとは働く人のための学校!現在はさまざまな背景の生徒が通っている
定時制高校は、1948年度の新制高等学校発足にともなって整備されました。就業などの事情で全日制高校に通えない青少年へ、教育を受ける機会を提供する目的で設けられた経緯があります。
当時は勤労青少年が中心でしたが、現在は中学校までに不登校を経験した人や、高校を中途退学したあとに学び直したい人など、通う生徒の背景は多様化しています。
参照:文部科学省「三 新制高等学校の発足」「定時制・通信制課程について」
定時制高校と全日制・通信制高校の違い

定時制高校・全日制高校・通信制高校は、いずれも高等学校の課程です。卒業に必要な単位数(74単位以上)や在籍年数(3年以上)といった基本ルールは共通していますが、通学スタイルや学び方には違いがあります。
定時制高校と全日制高校の違い
全日制高校は、平日は毎日、朝から夕方までクラス単位で授業を受けるのが基本です。
一方、定時制高校は学校が定めた時間帯(昼間・夜間・三部制など)に通学し、学校によっては午前や午後に自分の時間を確保しながら学べます。
授業を受ける時間帯や1日あたりの授業時間数は異なりますが、教育課程の基準や卒業要件は、全日制・定時制で共通しています。
定時制高校と通信制高校の違い
定時制高校は、決められた時間帯に登校して授業を受けるのが基本です。一方、通信制高校は、レポート提出(添削指導)を中心に学習を進め、決められた回数だけ登校して面接指導(スクーリング)を受ける仕組みです。
日々の登校が前提の定時制に対し、通信制は自宅学習の比重が大きく、登校の頻度は学校ごとの設定によって差があります。
<全日制・定時制・通信制の比較>
| 比較項目 | 全日制 | 定時制 | 通信制 |
|---|---|---|---|
| 通学スタイル | 平日、朝〜夕方に毎日登校 | 学校が定める時間帯(昼間・夜間・三部制など)に登校 | 自宅学習中心。決められた回数の面接指導(スクーリング)で登校 |
| 卒業に必要な在籍年数 | 3年 | 3年以上(4年が目安の学校も) | 3年以上 |
| 卒業に必要な単位数 | 74単位以上 | 74単位以上 | 74単位以上 |
| 授業料(公立・年額目安) | 118,800円 | 32,400円(神奈川県)/1,740円×履修単位数(千葉県) | 350円×履修単位数(神奈川県)/330円×履修単位数(千葉県) |
※就学支援金制度の利用により、授業料は実質無償となる場合があります。2026年度からは所得制限が撤廃され、世帯の年収にかかわらず対象となります。(詳細は後述「就学支援金など利用できる支援制度」を参照)
参照:文部科学省「高等学校学習指導要領 第1章総則」/神奈川県「県立高校授業料」/千葉県「県立高校の入学料・授業料等」(授業料)
自分に合うのはどっち?定時制と通信制の選び方
定時制と通信制は、どちらも柔軟に学べる課程ですが、向いているタイプには違いがあります。
- 毎日決まった時間に登校するリズムがある方が続けやすい人は、定時制向き
- 自分のペースで自宅中心に学びたい人、通学の負担を減らしたい人は、通信制向き
- 仕事や体調など、決まった時間帯に通うこと自体が難しい人も、通信制の方が両立しやすい
どちらが合うかは、生活リズムや性格、通学にかけられる時間によって変わります。学校見学や説明会に参加し、実際の学習スタイルを確認したうえで判断することをおすすめします。
定時制高校の通い方と卒業までの流れ

定時制高校は、通学スタイルや卒業までの年数、仕事との両立のしやすさが学校によって異なります。「毎日通えるか」「何年で卒業できるのか」「働きながらでも通えるのか」など、進路を考えるうえで気になるポイントを解説します。
基本は平日に登校して授業を受ける
定時制高校の多くは、全日制と同じく平日に登校して授業を受けます。1日の授業時間は、全日制よりも短く設定されている学校が一般的です。
たとえば愛知県の県立高校の例では、昼間定時制課程の1日の授業時間は4時間となっています。
参照:愛知県「定時制・通信制教育」
卒業までの年数は3年または4年
定時制高校の修業年限は、平成元年(1989年)に「4年以上」から「3年以上」へと弾力化されました。そのため、履修上無理がなければ、全日制と同じく3年での卒業も認められています。
ただし、1日あたりの授業時間が短い分、必要な単位を3年間で取り切れず、4年かけて卒業する学校も多くあります。「4年」は必須ではなく、学校の仕組みや履修のペース次第で変わる点をおさえておくと安心です。
参照:文部科学省「定時制・通信制課程について」
進級・卒業の仕組みには、学校が採用する制度によって次のような違いもあります。
<学年制と単位制の違い(進級・卒業の仕組み)>
| 制度 | 進級・卒業の仕組み |
|---|---|
| 学年制 | クラス単位で学び、学年ごとに進級。決められた期間(3年または4年)での卒業が基本 |
| 単位制 | 学年の区分がなく、必要な単位数を修得すれば卒業できる |
参照:神奈川県「定時制の県立高校」
仕事やアルバイトと両立できる学校もある
定時制高校は、もともと働きながら学ぶ青少年のためにつくられた経緯があり、技能連携制度※など、就労と学業を両立しやすくする仕組みを持つ学校もあります。
※技能連携制度:職業訓練施設などでの学習を、卒業に必要な単位数の2分の1以内で高校の授業とみなせる制度のこと
文部科学省の委託調査(平成28年度)にもとづく研究によると、定時制課程の生徒のうち、
- アルバイトも含め、まったく働いていない生徒:約50.8%
- パート・アルバイトをしている生徒:約46.2%
- 正社員として働きながら通う生徒:約2.2%
となっています。アルバイトなど柔軟な働き方と両立している生徒は一定数いる一方、正社員のようなフルタイム就労を前提に通う生徒は少数派です。
参照:東京都立大学子ども・若者貧困研究センター「定時制・通信制高校生の貧困」
定時制高校の学費はいくら?

定時制高校の学費は、公立か私立か、また就学支援金を利用するかどうかによって大きく変わります。
公立定時制高校の学費目安
公立の定時制高校の授業料は、全日制よりも低く設定されています。
例)
- 神奈川県立高校の定時制(学年制):年額32,400円
- 千葉県立高校の定時制(単位制):1単位あたり1,740円
なお就学支援金ですが、これは授業料が支給限度額に達しない場合、授業料を上限として支給される仕組みです。公立定時制の授業料は、この支給限度額を下回ることが多いため、条件を満たせば授業料が実質無償になるケースが少なくありません。
たとえば千葉県の場合、就学支援金の支給限度額は1単位あたり4,812円のため、授業料の全額が支援の範囲内におさまります。
参照:神奈川県「県立高校授業料」/千葉県「県立高校の入学料・授業料等」/文部科学省「高校生等への修学支援」
私立定時制高校の学費目安
私立の定時制高校は、全国的にごく少数です(公立595校に対し私立26校)。
学費は学校ごとの差が大きく、東京都の調査によると、都内の私立定時制高校3校の初年度納付金(総額)は30万円台〜100万円超と、学校によって3倍以上の開きがあります。
<都内私立高等学校(定時制)の学費例(令和7年度)>
| 学校名 | 所在地 | 授業料(年額) | 入学金 | 施設費 | 初年度納付金(総額) |
|---|---|---|---|---|---|
| 中央大学高等学校 | 文京区 | 528,000円 | 300,000円 | 0円 | 1,078,000円 |
| 国士舘高等学校 | 世田谷区 | 462,000円 | 250,000円 | 0円 | 866,000円 |
| 駿台学園高等学校 | 北区 | 144,000円 | 80,000円 | 80,000円 | 304,000円 |
参照:東京都「都内私立高等学校の学費一覧(令和7年度)」
また、就学支援金を適用した場合の実質負担額は学校によって案内されていることがあり、たとえば駿台学園高等学校の公式サイトでは、就学支援金の適用後、多くの生徒の授業料が月額0円〜2,100円になるとしています(学校公式サイトの情報のため、金額は年度や制度改正により変わる可能性があります)。
参照:駿台学園高等学校「定時制課程の教育方針」
正確な金額は、就学支援金適用後の見込み額を含めて志望校に直接確認することをおすすめします。
就学支援金など利用できる支援制度
2026年度から、高等学校等就学支援金制度は所得制限が撤廃され、世帯の年収にかかわらず、公立・私立・全日制・定時制・通信制を問わず、授業料に充てる支援金を受け取れるようになりました。単位制の学校では、履修した単位数に応じて支給される仕組みです。
教科書代や教材費など授業料以外の費用については、低所得世帯を対象に「高校生等奨学給付金」という返還不要の給付金制度もあります。
参照:文部科学省「高校生等への修学支援」
定時制高校のメリット・デメリット

定時制高校には、自分のペースで学べる良さがある一方、学べる内容や友人関係の築き方などで留意しておきたい点もあります。
定時制高校に通うメリット
定時制高校のメリットは、主に次の3点です。
- 単位制の学校であれば、自分の履修ペースに合わせて学べる
- 技能連携制度など、仕事や家庭の事情と両立しやすい仕組みを持つ学校がある
- 公立であれば、授業料の負担が全日制より軽く、就学支援金で実質無償になりやすい
いずれも、「全日制のペースについていくのが難しい」「経済的な負担を抑えたい」といった事情がある人にとって、通いやすさにつながる要素です。
定時制高校に通うデメリット
一方で、次のような点はデメリットとして押さえておく必要があります。
- 1日の授業時間が短い分、卒業までに4年かかる学校もある
- 開講科目や部活動の種類が、全日制より限られる学校がある
- 登校する時間帯によっては、同世代の生徒と過ごす時間が全日制より少なくなる場合がある
これらは、全日制のような学校生活を重視する人にとっては気になりやすいポイントです。ただし、開講科目や部活動の充実度は学校差が大きく、「定時制だから一律に少ない」とは限りません。
定時制高校が進路の選択肢になりやすいケース
次のような希望や事情がある場合、定時制高校が選択肢になりやすいといえます。
- 自分のペースで学び直したい
- 仕事やアルバイトと両立しながら高校卒業を目指したい
- 全日制のような毎日フルタイムの通学が難しい事情がある
これらに当てはまるからといって、必ず定時制を選ぶ必要があるわけではありません。全日制や通信制でも同様のニーズに応えられる学校はあるため、自分の希望に合う通い方を、複数の選択肢のなかから比較して決めることが大切です。
学校によって学習環境やサポート体制が異なる
学習環境やサポート体制は、学校によって差があります。
たとえば、東京都立大学の研究(文部科学省委託調査にもとづく)によると、定時制高校でスクールカウンセラーが配置されている割合は81%ですが、常勤はごくわずかで、多くは月1〜8回程度の非常勤です。給食についても、夜間定時制で完全給食を実施しているのは生徒数ベースで24.6%にとどまり、すべての学校で同じ支援が受けられるわけではありません。
定時制の高校を選ぶ際は、学校説明会やホームページなどで、サポート体制の有無も見比べておくとよいでしょう。
参照:東京都立大学子ども・若者貧困研究センター「定時制・通信制高校生の貧困」
定時制高校を選ぶと将来に不利?進学・就職への影響

定時制高校を検討するとき、「進学や就職で不利にならないか」「恥ずかしいと思われないか」といった不安を感じる人も少なくありません。ここでは、進学・就職の実態と、こうした不安との向き合い方を整理します。
定時制高校から大学・短大・専門学校へ進学できる
定時制高校を卒業すれば、大学・短期大学・専門学校への出願資格は全日制と変わりません。実際に、定時制高校から大学等に進学する生徒もいます。
進学者数や進学率は学校によって差が大きいため、具体的な実績は志望校のパンフレットや説明会で確認するとイメージしやすくなります。
定時制高校卒業だけで就職が不利になるとは限らない
就職活動における応募資格は、多くの場合「高等学校卒業(見込み)」という表記であり、全日制・定時制・通信制の課程を区別していません。定時制の卒業証明書も高等学校卒業として扱われるため、課程の種類だけを理由に応募の機会そのものが制限されるわけではありません。
「恥ずかしい」「人生終わり」と考える必要はない
「定時制」と検索すると、「恥ずかしい」「人生終わり」といった言葉が一緒に出てくることがあり、不安になる人もいるかもしれません。しかし、ここまで見てきたとおり、進学や就職の資格は全日制とまったく変わらず、必ずしも不利になるとは限りません。
むしろ近年は、昼間定時制や三部制など柔軟な仕組みが整い、一人ひとりの体調や生活リズム、目標に合わせて学べる「多様な学びの選択肢」として定着しています。「自分らしく学べる場所」として肯定的に捉え、前向きに選択する生徒や保護者も増えてきました。
通い方の違いは、その後の人生の可能性を狭めるものではなく、自分に合ったペースで高校生活をやり抜くための選択肢のひとつです。不安があるときは一人で抱え込まず、学校の先生やご家族と一緒に、自分にピッタリの学校を探してみてください。
進路支援の内容は学校ごとに確認する
進路指導の体制(進学説明会の開催状況、就職サポートの手厚さなど)は、学校によって差があります。進学や就職への影響を具体的に知りたい場合は、志望校の学校説明会やオープンスクールで、卒業生の進路状況を聞いてみるとよいでしょう。
定時制高校についてよくある質問

定時制高校について、よくある疑問に答えます。入学条件や入試、通える年齢など、気になるポイントを解説します。
定時制高校には誰でも入学できますか?
中学校を卒業した人、または卒業見込みの人であれば、年齢を問わず出願できます。ただし、無条件で入学できるわけではなく、各校が実施する入学者選抜(学力検査や面接など)に合格する必要があります。なお、一度高校を卒業した人が定時制高校に再入学することも、法令上禁止されていません。
参照:文部科学省「高等学校入学資格Q&A」
定時制高校の入試は難しいですか?
多くの定時制高校では、国語・数学・英語を中心とした学力検査と面接が行われます。東京都立高校の場合、成人を対象に、学力検査を行わず面接・作文のみで選考する「成人受検者特別措置」を設けている学校もあります。
入試の内容や難易度は学校によって差があるため、志望校の募集要項もあわせてチェックしておきましょう。
参照:東京都教育委員会「東京都立高等学校 定時制課程 入学案内」
H3 定時制高校は何歳まで通えますか?
年齢の上限はありません。学校教育法上、高校の入学資格に年齢の上限を定める規定はなく、実務上も成人が定時制高校に入学するケースがあります。
参照:文部科学省「高等学校入学資格Q&A」
まとめ 定時制高校の特徴を理解して進路を考えよう

定時制高校は、昼間や夜間など学校が定めた時間帯に通学し、全日制と同じ高校卒業の資格を得られる課程です。全日制・通信制との違いや、卒業までの年数、学費、メリット・デメリットは、学校によって差があります。
「恥ずかしい」「人生終わり」と考える必要はなく、進学や就職の道も同じように開かれています。気になる学校があれば、学校説明会やオープンスクールに参加し、実際の学習環境や進路実績を確認したうえで、自分に合った進路を選んでみてください。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
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