総合型選抜とは?学校推薦型選抜との違いや仕組みや流れを徹底解説!【2025年入試】
編集部
塾選(ジュクセン)編集部
大学受験の選択肢として「総合型選抜」による入試方式に興味をもっている方も多いと思います。しかし、具体的な内容やほかの選抜方法との違いがよくわからず、悩んでいるのではないでしょうか。 総合型選抜は、大学入試において注目を集めている選抜方法です。子どもの受験の選択肢を増やす意味でも、早めに総合型選抜の内容や仕組みについて理解を深めておくことをおすすめします。 この記事では、総合型選抜と学校推薦型選抜との違いを紹介しながら、総合型選抜の仕組みや流れを徹底的に解説します。
総合型選抜とは?AO入試とはどう違う?
総合型選抜(旧AO入試)とは、知識・技能、思考力・判断力・表現力から、学びへの意欲や人間性までを総合的に判断して合否を決める大学入試方法の一つです。学力試験ではなく「大学のアドミッション・ポリシーに合う人物を選抜する方式」として実施されていたAO入試が、2021年度から名称変更され誕生した入試形態です。
総合型選抜の志願者数・入学者数は年々増えている
大学入試における主な選抜方法としては、一般入試・総合型選抜・学校推薦型選抜の3種類があります。
文部科学省の調査によると、2020年度と2023年度の志願者数の比較では、一般選抜志願者数は約69万人減少しているのに対し、総合型選抜(旧AO入試)志願者数は約4万8千人増加しています。
総合型選抜による入学者数も志願者数と比例して増加しており、2020年度が6万5,041名だったのに対し、2023年度では9万2,993名と、約2万8,000名も増加しました。
※文部科学省「入学者選抜実施状況」を加工して作成
※文部科学省「入学者選抜実施状況」を加工して作成
今後も総合型選抜入試の志願者数・入学者数が増加していくことが予想されます。
これまでのAO入試とは何が違う?
これまで同じような入試方法はAO入試と呼ばれていました。総合型選抜とAO入試との主な違いはどこにあるのでしょうか。その大きな違いは、学力試験の有無と評価基準の明確さです。
AO入試と総合型選抜の主な違い | |
---|---|
AO入試 | 学力よりも個性や特長を重視 |
総合型選抜 | 学力試験を課す大学が増えており、 志望理由書、小論文、面接、 活動実績などを総合的に評価 |
総合型選抜では、小論文や面接に加えて、大学や学部によってはプレゼンテーションや口頭試問、実技試験なども行われます。入試方法は学校によって異なるため、志望校や志望学部に合わせた入試対策が必要です。
総合型選抜と他の選抜方法との違い
大学入試には「一般入試」「総合型選抜」「学校推薦型選抜」の3種類があります。さらに、大学入試の仕組みや流れは、国立・公立・私立で異なります。
まずは大学入試の基本から抑えていきましょう。
大学入試の基本
大学入試には、設置別と選抜方式別を掛け合わせると、9つの受験パターンが存在します。
大学入試の9つの受験パターン | |
---|---|
国立大学 | 一般入試 |
総合型選抜 | |
学校推薦型選抜 | |
公立大学 | 一般入試 |
総合型選抜 | |
学校推薦型選抜 | |
私立大学 | 一般入試 |
総合型選抜 | |
学校推薦型選抜 |
このように、設置別と選抜方式別を組み合わせることで、大学入試には9つのパターンがあることがわかりました。それぞれのパターンの特徴を理解し、自身に最適な選抜方法を見つけることが重要です。
選抜日程の違い
各パターンの選抜日程には、どのような違いがあるのでしょうか?
選抜方式別の選抜日程の違い | |
---|---|
総合型選抜 | 主に秋頃に始まります。 |
学校推薦型選抜 | 主に冬に実施されます。 |
一般入試 | 主に年明けから春にかけて実施されます。 |
選抜日程の違いを踏まえたうえで、準備をすることが必要です。
各選抜日程のイメージは、次のとおりです。
総合型選抜の出願は、国公立大学も私立大学も9月に開始されます。総合型選抜は、ほかの選抜方法よりも動き出しが早いため、注意が必要です。大学によっては、出願前に「エントリー」が必要となることがあります。エントリーは、6月頃から始まる場合があるため、早めに情報収集をしておきましょう。
エントリーとは、総合型選抜を受験するための前段階の手続きのことです。エントリー時点で、志望理由書や活動報告書を提出し、それに基づいて面談を行う大学もあります。さらに、エントリーシートの提出と同時に課題を提出することが求められる場合もあるため、早め早めの対策が重要です。
総合型選抜においては、オープンキャンパスへの参加が出願条件となっている大学もあります。
この場合、受験生は夏休み前には志望校を決定し、出願に向けて必要な手続きを開始する必要があります。
総合型選抜は、ほかの選抜方法と比べて動き出すのが早いため、出願準備をしっかりと計画的に進めることが求められます。
総合型選抜の動き出しの早さを理解し、エントリーから出願までの一連の流れを把握しましょう。
また、総合型選抜の出願開始は、学校推薦型選抜や一般選抜ほど入試日程が特定の時期に集中していません。大学によっては、9月から年明けの2月頃まで、複数回の入試日程を設けていることもあります。
受験生は、自身のスケジュールや準備状況に応じて、総合型選抜に挑むチャンスを得られるのです。選抜日程の確認をしっかりと行い、計画的に準備を進めることが成功への鍵となります。
出願条件や選抜方法の違い
総合型選抜は、ほかの選抜方法よりも早く開始されることを説明しました。次に、出願条件や選抜方法の違いについて見ていきましょう。
総合型選抜には、ほかの選抜方法にはない特徴がありますが、共通点もあります。ここでは、学校推薦型選抜と比較しながら、それぞれの出願条件や選抜方法の違いを詳しく解説します。
自身に合う選抜方法を見つけるために、総合型選抜と学校型選抜の違いをしっかりと理解しましょう。
💡出願条件の違い
まず、出願条件の違いについてです。
総合型選抜の出願条件では、学校長の推薦が不要です。代わりに、受験生は志望理由書に加え、学修計画書や学びの設計書など、大学入学後に何を学びたいかを具体的に記述する必要があります。
これにより、大学側は、受験生の意欲や将来の学びに対する計画性を評価します。受験生にとっても、自分の学びたいことを明確にし、自己理解を深める機会となるでしょう。
一方、学校推薦型選抜では、学校長の推薦が必須です。特に公立大学では「県内・市内の高校に限る」など、出身地に基づく指定がある場合もあります。出願条件については、志望校・志望学部・志望学科について詳細を確認してください。
また、総合型選抜と学校推薦型選抜には、共通の出願条件も存在します。
たとえば「学校の成績」は、重要な評価基準です。評定平均が一定以上であることや、高校での履修科目が指定されている場合もあるため、出願前にしっかりと確認する必要があります。
一部の大学では語学検定の級やスコアを出願条件としていることもあります。さらに、卒業年度(現役生か高卒生か)や、併願の可否についても出願条件に含まれているか確認しましょう。
💡選抜方法の違い
次に、選抜方法についてです。総合型選抜と学校推薦型選抜の主な選抜方法は、共通しています。
具体的な選抜方法は、書類審査、小論文、面接、学科試験などです。総合型選抜では、上記の選抜方法に加えて、下記のような実践的な課題を課す大学が一般的です。
・口頭試問 ・プレゼンテーション ・グループディスカッション ・フィールドワーク ・講義レポート など
学校推薦型選抜ではなく、総合型選抜を選ぶ際には、実践的な課題にも取り組む必要があります。
以上のように、総合型選抜と学校推薦型選抜の出願条件や選抜方法の違いを把握することで、受験生はより効果的な準備が可能になります。
それぞれの出願条件や選抜方法の特徴を理解し、合格への適切な戦略を立てましょう。
総合型選抜の選抜方法
次に、総合型選抜の選抜方法について詳しく見ていきましょう。選抜方法は、各大学によって特色が異なるため、一律な対策では通用しないこともあります。自身の志望する大学について、しっかりと情報を集めることが成功への鍵です。
それでは、総合型選抜の具体的な選抜方法について掘り下げていきましょう。
総合型選抜の選抜方法 主な3パターン | |
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選抜型 | 国公立大学や難関大学でよく見られる形式。 小論文やレポートの提出が求められ、 長文の志望理由書や自己推薦書を基に面接が行われる。 受験生には大きな負担がかかりやすい。 |
対話型 | 私立大学で多く採用されている形式。 エントリーや正式出願を通じて、 複数回の面談や面接が行われる。 学力よりも人物評価や意欲、志望動機が重視される。 |
実技・体験型 | 入試プログラムには模擬授業やセミナー、 実験などが含まれ、それらへの参加が出願条件となる。 参加に加え、レポートや課題の提出が必要。 |
総合型選抜で重要視される点
ここでは、総合型選抜で重視されるポイントについて考えてみましょう。
選抜内容は、大学ごとに異なりますが、共通して重要視されるのがアドミッションポリシーです。各大学は独自のアドミッションポリシーを持ち、それに基づいて受験生を評価します。
志望大学のアドミッションポリシーを理解し、それに合った準備をすることが、総合型選抜を突破するためには必要です。
アドミッションポリシーとは?
アドミッションポリシーは、大学や学部・学科が「どのような学生に入学してほしいか」を示す指針です。受験生は、アドミッション・ポリシーを理解することで、入試に向けてどのような準備をすればいいのかが明確になります。
特に、総合型選抜や学校推薦型選抜では、アドミッションポリシーに合致するかどうかが、志望理由書や面接での選抜基準となります。そのため、志望大学や学部のアドミッションポリシーをしっかりと読み解き、理解しておくことが重要です。
大学のホームページやパンフレットには「3つのポリシー」としてアドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシーが記載されています。
また、アドミッションポリシーは、総合型選抜や学校推薦型選抜の志望理由書や面接で活用されるため、入試ガイドや入試要項にも詳しく書かれています。
受験生は、自分の志望する大学や学部・学科のアドミッションポリシーを熟読し、それに基づいて準備を進めましょう。
■主なアドミッションポリシーの例
大学名 | 学部・学科名 | アドミッションポリシーの例(抜粋) |
---|---|---|
早稲田大学 | 全学部・全学科 | 【入学前に身につけることを求める能力】 初等・中等教育段階では ・本学の教養教育および専門教育の基礎となる水準の知識・技能 ・本学での学修に必要となる論理的思考力・判断力・表現力 ・これらを身につけるための主体性・協働性 また、本学の理念に沿った ・進取の精神に富んだ旺盛な知的好奇心とそれから導かれる独創性 ・自主独立の精神と他者への共感を育む豊かな感性 ・社会に貢献する強い意志を支える高い勉学意欲 |
東京都立大学 | 全学部・全学科 | 【求める学生像】 (1)知的好奇心にあふれ、未知のものにチャレンジする人 (2)独創的な発想に富み個性豊かな人 (3)人とのかかわりを大切にし、社会に貢献する人 (4)向上心が強く努力を惜しまない人 |
総合型選抜に向いている人
どのような特徴や能力を持っている人が、総合型選抜方法に向いているのでしょうか?
以下は、総合型選抜に向いている人のチェックリストです。各項目を確認して、自身が当てはまるかどうかチェックしてください。
✅ 通知表の5段階評価平均が3.1以上
✅部活動など課外活動を行ない全国レベルの結果がある
✅自分にしかない強みや自己PRを持っている
✅新しい挑戦に対して前向きに取り組む力がある
✅深く考え抜く力や問題解決能力に自信がある
✅チームでの協力やグループ活動に積極的に参加している
✅受験勉強よりも探究的な学びを重視している
✅達成したい夢や具体的な目標が明確にある
✅保護者も受験生自身の強みを活かせる大学に進学してほしいと考えている
このチェックリストを活用して、総合型選抜に向いているかを判断しましょう。チェックが多いほど、総合型選抜に向いているといえます。
総合型選抜の対策内容
総合型選抜 学年別の対策内容
総合型選抜に向けた効果的な準備は、学年ごとに異なります。ここでは、各学年に応じた対策方法をまとめましたこれからの受験勉強に役立つ情報ですので、ぜひ参考にしてください。
学年 | 対策内容 |
---|---|
高校1年生 | ・自己分析を行う ・大学の公式サイトやパンフレットを確認する ・志望する大学や学部、学科の目星をつける ・オープンキャンパスに参加する ・希望する大学や学部の総合型選抜)の詳細を調べる |
高校2年生 | ・課外活動での成果を積み重ねる ・課外活動の活動記録ノートを作成する ・関心のある分野で活躍している人の話を聞く ・大学や学部のアドミッション・ポリシーを詳しく理解する ・定期テストで良い成績を取り、評定をアップさせる |
高校3年生 | ・志望理由書の作成方法を習得する ・小論文を書くための技術を習得する ・面接の練習を繰り返して、自信を高める |
学年別の対策方法は以下の記事でも詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
▶関連記事:総合型選抜(旧AO入試)の対策は何をすればいい?学年別でみる学習法も
まとめ
この記事では、総合型選抜の概要や、ほかの選抜方法との違い、総合型選抜に向いている人の特徴まで幅広く解説しました。総合型選抜についての理解を深め、自身にとって最適な選抜方法を選び対策を行うことが大切です。
学年別の対策内容も参考にして、志望校合格に向けての一歩を踏み出しましょう。
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執筆者プロフィール
塾選(ジュクセン)編集部です。実際に学習塾の運営経験がある者や大手メディアの編集経験がある者などで構成されています。塾選びにお悩みの保護者や学生の方に向けて有益な情報をお届けします。