慶應義塾大学法学部FIT入試。合格のカギは「経験の言語化」と「教授陣との共鳴」

慶應義塾大学法学部のFIT入試では、学力や功績以上に「自分の経験」をどう言語化し、教授陣との相性をどう見いだすかが評価のポイントとなります。今回は、FIT入試に合格し、現在は総合型選抜専門塾「洋々」で後輩を支援する古城朱音さんにインタビュー。自身の体験をもとに、受験生とどのように伴走するか、FIT入試で求められる受験生像や書類・面接準備の実践的なアドバイスを紹介します。

編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
洋々
洋々は将来に亘って社会で活躍できる人材を育てる、総合型選抜専門塾。総合型選抜の塾の総本山として、特に慶應義塾大学、早稲田大学をはじめ、数多くの名門大学への合格実績を誇る。

<お話を伺った人>
総合型選抜の個別指導塾 洋々メンター
古城 朱音 (こじょう あかね)さん
大学:慶應義塾大学
学部学科:法学部政治学科
入学年月日:2024年4月(現役合格)※現2年生
合格した受験方式:FIT入試A方式
その他合格校:青山学院大学地球社会共生学部(自己推薦入試)
出身高校:白百合学園高等学校
受験生時代は【総合型選抜の個別指導塾 洋々】に通塾し、個別指導の受講はもちろん、授業外イベントなど、洋々のシステムを積極的に活用。慶應義塾大学法学部政治学科にFIT入試A方式で合格し、同大学に入学後はメンターとして洋々のスタッフに。個別指導はもちろん、「洋トピア(メンター在中型自習室)」の幹部としても活躍中。
FIT入試は“何を評価する入試”なのか?
慶應義塾大学法学部の“FIT入試”とは?
—まず最初に、慶應義塾大学法学部の“FIT入試”とはどんなものなのでしょうか?
古城朱音さん(以下、古城):慶應義塾大学法学部のFIT入試は、学力よりも「経験」と「思考力」を重視する総合型選抜の一種です。
何よりも慶應義塾大学法学部法律学科・政治学科で学びたい学生と、この学生に教えたいと思う法学部教員の「良好な相性(FIT)」を軸に学生を選抜するスタイルをとっています。
受験生は自分の経験をどう言語化し、社会との接点をどう設定するかが評価されます。書類審査や面接を通じて自己表現能力や思考過程が問われ、特別な功績がなくても自分の経験を深く整理し伝える力が重要です。
多様な経験を積んだ受験生はもちろんですが、日常の些細なことから“気づき”や“社会問題”をキャッチアップできる人にもチャンスがあります。
同学部の教授陣に「この学生なら、我が学部で学ぶ意義がある」と感じてもらえたら、合格の可能性はかなり高いと思います。
参考:慶應義塾大学法学部FIT入試の概要
【募集人員】
法律学科 | A方式・B方式合計 最大80名 |
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政治学科 | A方式・B方式合計 最大80名 |
【A方式・B方式の違い】
項目 | A方式 | B方式 |
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求められる出願資格 (一部抜粋) |
学業を含めたさまざまな活動実績 | 指定の各教科および全体の学習成績の状況が4.0以上 |
重視される点 | 課外活動、社会貢献活動など | 高レベルの学業成績 |
提出書類概要 | 志願者調書、志望理由書、自己推薦書 (課外活動報告、自己PR) |
志願者調書、志望理由書、評価書 (在学校からの推薦) |
2次選考概要 | 模擬講義及び論述試験、口頭試問 | 総合考査、面接試験 |
【出願・選考日程】
出願登録・出願書類受付期間 | 次の①および②を行うことにより出願が完了 ①「出願登録(インターネット)」および「入学検定料の支払」 2025年8月1日(金)10:00~9月3日(水)17:00 ②「出願書類の郵送」 2025年9月1日(月)~9月3日(水) ※締切日消印有効 (速達・簡易書留。海外からの出願は締切日必着) |
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第1次選考合格発表 | 2025年9月16日(火)10:00 インターネット |
第2次選考 | 法律学科・政治学科 A方式:2025年9月20日(土) B方式:2025年9月21日(日) ※両日とも会場は三田キャンパス |
第2次選考合格発表 | 2025年11月4日(火)10:00 インターネット |
入学手続期間 | 2025年11月28日(金)~12月12日(金) |
【出願書類】
A方式 | ①志願者調書 経歴や自身の問題意識などを記入する。 ②志望理由書 慶應義塾大学法学部を志望した理由と、入学後、慶應義塾大学の法学部で学ぶ学問が自分の人生で持つ意味について、800 字以内で記述する。 ③調査書等 高等学校等の入学以降の成績・卒業に関する証明書類 ④自己推薦書 出願資格3に該当する活動と法学部での学びを経て社会にどのように貢献する人材となり得るかを自由に記述する。 ※実績を証明する書類があれば、所定の量の範囲内で添付。 ※高等学校等の成績証明書以外で、学力を客観的に証明する書類(外国語能力を示す公的機関の証明書など)があれば提出。 ※工作物、ビデオ、CDなどは不可。 |
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B方式 | ①志願者調書 経歴や自身の問題意識などを記入する。 ②志望理由書 慶應義塾大学法学部を志望した理由と、入学後、慶應義塾大学の法学部で学ぶ学問が自分の人生で持つ意味について、800 字以内で記述する。 ③調査書 高等学校等の全期間の成績・卒業見込み者は、第3学年1学期までの成績が記載された調査書。 ④評価書 在学している、もしくは卒業した高等学校等に現在在籍している教員あるいは学校長が記入・厳封した評価書。 |
A 方式・B 方式を併願する場合、①志願者調書・②志望理由書は1 部のみ提出
【選考方法】
A方式 | 第 1 次選考 書類選考 第 2 次選考 ①論述試験 教員が模擬講義を行い、講義後に論述形式の試験を実施。 ②口頭試問 複数の教員と1名の受験生で、口頭で与えられたテーマについて質疑応答を実施。 ※2026年度より、開始前に自己紹介の機会は設けない。 |
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B方式 | 第 1 次選考 書類選考 第 2 次選考 ①総合考査 Ⅰ 与えられたグラフ、表、データ、条文、判例などの資料から読み取れることを400字程度に整理。 Ⅱ 与えられたテーマのもと400 字程度の小論文を記載。 ②面接試験 個人面接を実施。 |
参照:「2026年度FIT入試 募集要項」より抜粋。
詳細および最新情報は募集要項を確認してください。
慶應義塾大学法学部 FIT入試の傾向
-学科試験を課さず、「教授陣が同学部で学ぶ意義がある人材だ」と感じた学生を選抜する慶應義塾大学法学部 FIT入試。実際に受験されて、具体的に何が求められる入試だと感じましたか?
古城: FIT入試の特徴は人物本位の選考であることです。1次選考で提出する「自己推薦書」や「志望理由書」、2次選考となる学部教授との「口頭試問」を通して、 “この学生が慶應義塾大学法学部で学ぶ意味”を問われます。
- 学びたいテーマや実現したいことが、どれだけ大学が提供する学びとマッチするか?
- なぜほかの大学ではなく、慶應義塾大学法学部でなければいけないのか?
を明確に伝えることがポイントです。そのうえで自己分析をしながら、この2点を矛盾なく言語化する力が求められます。 慶應義塾大学法学部教授陣の研究テーマにフィットしているかも大切です。
-ご自身が慶應義塾大学法学部FIT入試に挑戦したとき、どのような経験をどんなテーマに落とし込んでいましたか?
古城:私は、高校時代に1カ月ほどフィリピンのセブ島で地域開発ボランティアに参加したのですが、そのときに目の当たりにした「貧困」をテーマにしました。志望理由書も貧困問題をテーマに作成しています。
現地で目にした光景に衝撃を受けたとともに、自分一人では何もできないという無力さを痛感し、この問題に取り組むために、慶應義塾大学法学部政治学科での学びを生かしたいと考えるようになりました。
ただ、本当に自分が学びたいことが慶應義塾大学法学部での学びにフィットするのか、FIT入試に挑む理由として十分なのかという点は不安でした。
FIT入試に向けて実施した対策
-それを踏まえて、FIT入試に向けてどんなことに時間をかけて準備・対策を進めましたか?
古城:一番重視していたのは、自己分析です。自分が高校卒業後、そして大学卒業後、社会に出て何を成したいのか、何に価値を見いだしているのかということを深堀りしていきました。
特に 「なぜこの大学で学びたいのか」を矛盾なく明確にすることが最重要事項であると考えていたので、「貧困問題を学びたいのであれば、ほかの大学で学ぶこともできる。それなのになぜ、慶應義塾大学法学部の政治学科でなければならないのか?」と、何度も何度も自問自答を繰り返しましたね。
私の場合、さまざまな要因が複雑に絡み合って起こる貧困問題に向き合い自分の構想を実現するためには、科目数が多く、さまざまな専門分野の教授が在籍する慶應義塾大学での学びが必要であるという結論につなげていったのですが、自分で納得できる答えにたどり着くことができたのは、洋々でのサポート(活発な対話・議論)があったからこそだと思います。
-準備としては、対面での2次選考よりも1次選考となる書類準備のほうに時間をかけていたのですね。
古城:はい。圧倒的に書類準備のために時間を使っていました。志望理由を掘り下げていく中で、「これ以上は何も書けない!」と挫折しそうになったこともたくさんあります。でも、 行き詰まったときには誰かと話して違う視点を入れてもらうと、「そういう考えもあるな」と気づくことができました。そうやって何度も改善を繰り返して、書類の準備を進めていきました。
私が受験した年は2次選考で「口頭試問」の前に、“2分プレゼン”といわれる自己紹介・自己アピールの時間があったんです(※2026年入試では廃止)。1次選考の書類準備をする中で自分の考えの軸ができていれば、それをもとにして思っていることを話せばいいだけだと考えていたので、対面で話すことは怖くありませんでした。
FIT入試に向けて受験生が取り組むべき自己分析とは?
FIT入試を目指す受験生に多い悩み
-現在、古城さんは洋々で受験生をサポートするメンターとして活躍されています。FIT入試を目指す受験生は、どんな悩みや課題を抱えていることが多いですか?
古城:それでいうと、
- 自分に語れる経験がない
- 自分の志望理由が表面的な気がする
という悩みを持つ子がすごく多いです。私自身、メンターとの対話を通じてたくさんのヒントを得ることができたので、担当する受験生一人ひとりと、じっくり話すということを心がけています。
もし表面的な出来事だと本人が思っていたとしても、その行動を起こした背景や、その出来事を受けて生じた感情を「どうして?」「なぜ?」と問い掘り下げていくことで、自分の思いの核となる部分に近づけると思うんです。
対話の中で自分(メンター)と受験生の考え方が異なっている部分にこそ、その子ならではの個性があるはずなので、そこに焦点を当てて「なんでそうしたの?」とあえて問い直すということは意識して行っています。
対話の中で「思い」を引き出し言語化させるコツ
-最初のうちは上手く話すことができない受験生も多いのでは?
古城:自分から話すのが苦手な子には、 まず自分の情報・体験談を聞いてもらって安心して話せるような空気感をつくるようにしています。そのうえで「なんでそのときにそう思ったの?」「具体的にはどんなことをしたの?」と、その子自身に興味を持って話を聞いていくと、徐々に心を開いて自分から話してくれるようになってくるんですよね。
-受験生との対話で、特に大切にしていることはありますか?
古城:「志望理由書」や「自己推薦書」は、模範解答があるものではありません。受験生と対話する際には、私の意見をうのみにさせないというか、私が正解と思うことを提示して自分の価値観を押しつけるのではなく、その子自身の思いや言葉を引き出して書類に落とし込むという過程はすごく大事にしています。
-自分の思いを書類に落とすうえで、どのような点を意識するとよいのでしょうか?
古城:一貫性を持たせることだと思います。いろいろな話をしていくとどんどん議論がズレていってしまうことも多々あるので、そんなときは“原点に立ち返る”ようにしています。
例えば、 「自分か解決したい社会課題ってなんだろう?」「自分の夢ってなんだろう?」という土台となる問いに立ち戻って、客観的に見ても筋の通った内容になっているかは、自分が受験生のときにも重視していた点ですね。
主張【①問い ②答え ③理由 ④そのために何を学ぶか? ⑤なぜ慶應義塾大学法学部なのか?】に、一貫性のある根拠を持たせることが大切だと思います。
FIT入試を通して「成長」できること
どんな受験生でも、学ぶ意義を自分の言葉で語れるようになる
-対話と問いを重ね自己分析をすることは、合否とは別に、自身の成長にもつながるのですね。古城さんが見てきた受験生の中で、著しく成長したなと印象に残っている生徒はいますか?
古城:実は「親に受けろと言われたから受けるだけだから、本当に何も書くこと・話すことはない」という子も結構いるんです。入塾したばかりのときは、「宿題をやってきてね」と言っても全然やってこなかったり、まったくやる気がなかったり。
それでも、過去に経験してきたことを丁寧に聞いて「自分の本当にやりたいことってなんだろう?」というテーマで議論を重ねるうちに、自分から積極的にしゃべりだすようになってきます。メンターとの対話を通して、そんなポジティブな変化が見られる生徒は珍しくありません。
-1人で考えるのではなく、誰かと話すことで思いが明確になってくることもあるのでしょうか。
古城:親でも兄弟でも友達でもいいので、誰かに自分の経験を話して感想をもらうだけでも、自然と気持ちが整理されていくものだと思います。難しい言葉じゃなく、自分の言葉で話せることが大事ですね。
志望理由を深めていくために大切な3つのSTEP
-もし「志望理由書」を書くにあたって、メンターという存在なしに自分1人で思考を深めていく場合にはどんな順序で考えていくとよいでしょうか。
古城:やはり一番大事になるのは、自己分析です。順序としては、対話しながら次のようなステップを踏み、整理していくのがポイントになると思います。
2026年度から、FIT入試の内容が変わってはいますが、 「なぜ慶應義塾大学法学部なのか」を問われる本質的な部分に変わりはありません。自分の思い描く未来の実現と実際に学ぶ内容に乖離がないこと、その具体性というものは今後も強く求められていくのではないかと考えています。
FIT入試に挑む皆さんへ。押さえておきたい3つのこと
-最後に、これからFIT入試に挑む受験生が押さえておきたいポイントを教えてください。
古城:私が自分の経験やメンターとして受験生と向き合う中で、有効だと考えている入試準備のポイントは次の3つです。入試準備としてだけでなく、自身の成長にも役立つプロセスだと思うので、ぜひトライしてみてください。
①自己分析して言語化するコツは、過去の自分と向き合うこと
自己分析の第一歩は、 自分の経験に対して「なぜその行動したのか」「何を感じたのか」「自分がどう変化したのか」を振り返って考えてみること。本当に心から自分がやりたいと思えることをテーマにすることで、ブレのない志望理由につながります。
②客観的な正解を探すのではなく、自分にとっての最適解を見つける
大学の法学部、ましてや“政治学科”で学ぶテーマには「これ」といった正解がありません。多様な視点や制度、時には歴史を学びながら、実情に即した最適解を自分なりに導き出していくことが大切です。
誰かの言葉を借りるのではなく、 自分の言葉で主張の整理ができると、教授陣へのアピールになるはずです。そこに根拠を明確に持つことで、志望理由が筋の通ったものになるはずです。
③アウトプットだけでなく、インプットも磨く
自信を持って笑顔で本番を迎えるためには、充分に準備をしておく必要があります。自分がこれまでやってきた準備がそのまま自信につながりますし、教授と一対一で話すときの第一印象の良さにも直結します。
だからといって、やみくもに意見をアウトプットする練習ばかりでは、自分の言葉に深みを持たせることができません。 自分が選んだテーマで専門性の高い情報を得ることはもちろん大切ですが、ほかの幅広い分野からも知識やトレンドを吸収してみてください。
例えば講演会やシンポジウム、ワークショップやボランティア、地域行事など、多様な人が集まる、多様なイベントが各地域で開かれていると思います。そうした情報を調べて見つけて、「行こうかな?どうしようかな…」迷うぐらいの興味が持てたら、思い切って参加してみましょう。今まで自分の中になかった新しい考え方や価値をインプットできるはずです。
FIT入試合格に向けた伴走支援のポイント3選
-正解のない問いに向き合い自分で答えを探していかなければならないのが、FIT入試と学科試験の大きな違いだと思います。古城さんは受験生に対してどんなサポートをしていますか?
古城:受験生に伴走するうえで大切なのは、とにかく対話することです。これに尽きると思います。普段私がメンターとして受験生と一緒に取り組んでいること・繰り返し伝えていることは次の3つです。
① 自分の志望理由書を声に出して読んでみる
古城:私が受験生と一緒に取り組んでいるのは、作成した「志望理由書」を自分で声に出して読んでみて「ツッコミを入れたくなるところはどこだろう?」と自分で考えて自ら反論してみること。ゲームのような感覚で一人二役を担い、相手の気持ちになって、自分の言葉を聞くことで矛盾点や足りない部分に気づきやすくなるんです。
私が想定問答を考えてしまうと、どうしてもその答えを暗記して覚えようという心理が働きます。面接や口頭試問で話す相手は教授であり人間です。AIが質問するわけではないですよね。覚えたままを機械的に答えては、相手に違和感を与えてしまいます。答えを暗記しないというのは、意識したいポイントですね。
②楽しんで受験する意識を持つ
古城:私が受験生だった頃、先輩方に言われて印象に残っているのは 「口頭試問は面接じゃなくて議論だからね」という言葉です。その言葉を聞いて緊張がほぐれるというか、教授との議論だと思うと本番でも楽しんで挑むことができたんですよね。
面接だと思うと自分が評価されているように感じてしまいますが、議論は意見の交換です。合否に関わらず、教授と議論をするという経験自体が貴重な体験になるはずなので、メンターとして受験生と向き合うようになってからずっと、私もこの言葉とともに「楽しみながら受験してね」と伝え続けています。
③「合格しそうな書類」ではなく「熱意がこもった書類」をつくる
古城:FIT入試では、「合格しそうな難しい言葉」を並べた書類よりも、「等身大の自分の言葉」で書かれた書類のほうが受かりやすいと思います。
そのため、一度決めたテーマで準備を進めていても、話していて生徒の気持ちが入っていない様子が見えたら「今このテーマで取り組んでいて楽しい?」と聞いて、一度その子の気持ちを確認するようにしています。 もし「楽しい」という感覚がないようなら、もう一度最初の自己分析に戻って、「本当に自分の興味関心がどこにあるのか?」に立ち返ります。
途中で軌道修正をしてでも、自分が心からやりたいと思えるテーマで書くほうが、どんどん良い「志望理由書」になっていきます。書類の書き方云々というより、その子が本当にやりたいことを見つける手助けをしている感覚のほうが強いですね。
私がメンターとして生徒と向き合うときに常に心に置いているのは、「受験をゴールに置かない」ということです。受験は長い人生の通過点に過ぎないと思うので、FIT入試の準備を通して、自己理解が深まったり、自分が心からやりたいことを見つけたりすることが大切だと思います。
清水GMが語る、慶應義塾大学法学部FIT入試に必要な視点と準備
清水GM:慶應義塾大学法学部というと、私立大学最難関のイメージもあると思いますが、FIT入試において特別なことが求められるわけではありません。自分がこれまでやってきたこと、これからやろうと思っていることを一貫した形で伝えることができて、慶應法学部にフィットしていることが示せれば合格できる入試だと考えています。
1次の書類審査を突破するうえで重要なのは適切な「テーマ」を設定することです。「テーマ」は大学で追求すべきことで、書類に記述する内容の軸になります。慶應法学部の法律学科、あるいは政治学科らしい「テーマ」を設定できるかどうかが1次選考通過の鍵になります。
2026年度入試から志望理由書が2000字から800字になり、志願者調書の4つの質問が2つに集約されました。またA方式の自己推薦書はI、IIと分かれていたものが1つに統合されました。形式は変わりましたが本質は変わっていません。
「テーマ」を中心にそこにつながる自分の過去、そこからつながる自分の未来を伝えて、慶應法学部にフィットしていることをアピールしていきましょう。
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
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洋々は将来に亘って社会で活躍できる人材を育てる、総合型選抜専門塾。総合型選抜の塾の総本山として、特に慶應義塾大学、早稲田大学をはじめ、数多くの名門大学への合格実績を誇る。