高校3年生からの受験勉強は遅い?科目別の勉強法や始める際のポイント、スケジュールの立て方など解説
編集部
塾選ジャーナル編集部
「もう高校3年生だけど、いまから受験勉強をスタートしても遅いのかな?」と思っている高校生はいませんか?大学入試が刻々と近づき、周りの生徒が受験モードに入っていると、不安がどんどん大きくなってしまうことでしょう。
今回は高校3年生からの受験勉強は遅いのかどうかについて、科目別の勉強法、勉強を始める際のポイント、長期休暇中のスケジュールの立て方などと一緒に解説します。
高校3年生から受験勉強を始めるのは遅い?
結論を述べると、高校3年生から受験勉強を始めるのは決して遅くありません。ただし、現在の学力がどの程度あるのか、志望校のレベル、国公立大学と私立大学のどちらを目指すのか、苦手科目の有無などによって状況が異なります。
どのケースにも共通していえることは、のんびりできる時間がないということ。たとえば、高校3年生の4月は、大学入試本番までおよそ10カ月しかありません。短い期間の中で学力を入試レベルまで引き上げる必要があり、相当な時間を勉強に費やす必要があるでしょう。また、できるだけ無駄な作業を省き、効率的な勉強方法を用いることも大切です。
いつから受験勉強を始めるのがベスト?
受験勉強を始めるべき時期は、ケースによってさまざまです。たとえば、超難関大学を目指している場合、高校1年生から受験を意識した取り組みが必要でしょう。反対に、大学受験よりも部活動を大切にしたい子どもにとっては、高校3年生の夏休みから勉強を始めるのがベストといえます。
ひとつの目安となるのが、高校2年生の冬休みから勉強を始めている子どもが多いということ。ちょうど入試本番の1年前の時期から、本格的な受験勉強をスタートさせる高校生が少なくありません。
【高校3年生】科目別の勉強法|何から学習したらいい?
高校3年生から受験勉強を始める際、具体的に何から勉強すればよいのでしょうか?以下で科目別の勉強法を紹介します。ただし、子どもの学力や志望校のレベルによって詳細が変わってくるため、ひとつの参考材料としてください。
英語の勉強法
英語を苦手とする高校生は、他の教科よりも優先して取り組みましょう。英語は文系・理系、国公立大学・私立大学を問わず、基本的にすべての大学受験で必須教科です。配点が高く設定されていることも多いため、できるだけ苦手の克服に努めてください。
単語と文法の知識が身についていない場合は、単語帳や文法の参考書を用いて基礎固めに集中します。大学入試では長文読解が大きなウェイトを占めますが、単語と文法がわからなければ文章を読めません。
単語は志望校のレベルに合わせた単語帳を準備して、毎日コツコツと覚えてください。「1日20個を完璧に覚える」という方法ではなく、「1日に100個や200個の単語を、どんどん眺めていき、一通り終わったら、また最初に戻る」といったサイクル法を用いることで、効率的な暗記が可能です。
単語と文法の基礎固めが終わったら、英文解釈に移ります。1文1文の文法構造に従って正確に訳せるようになるために、英文解釈の参考書を1冊仕上げましょう。その後は長文読解や英作文、リスニングなど、志望校の入試傾向に合わせた実践的な問題演習に取り組みます。
詳細は下記の記事でも解説しています。
・単語・文法・長文など英語の勉強法について|成績が伸びない生徒の特徴なども紹介
数学の勉強法
数学の基礎ができていない子ども、授業で習ったときはスムーズに理解できていたけれども、時間が経って忘れてしまった子どもは、基礎事項の復習から始めます。数学は基礎固めができていないと、問題形式が少し変わっただけで解けなくなってしまうもの。そのため、教科書や参考書などを使って基礎事項をインプットした上で、基礎問題→標準問題→応用問題と問題演習のレベルを徐々に上げていきましょう。
わからなかったところや間違えたところがあれば、必ず解説を読んでください。解説を読みながら「なぜ、そのように解いたのか」を考えることが、数学力アップの近道です。
国公立大学の2次試験や私立大学の一般入試で記述式問題が課される場合、記述対策が欠かせません。最も効果的なのが、問題集に掲載されている模範解答を真似てみること。さらに、実際に書いた解答を、学校の先生や塾の講師などにチェックしてもらうのがおすすめです。
下記の記事でも数学の勉強法を解説しています。
・大学受験に向けた数学の勉強法|成績が伸びない原因や学習ポイント、何から始めるべきかなど解説
国語の勉強法
国語の中で得点アップに時間がかかるのは、現代文です。読解力は短期間で身につかないため、できるだけ早い段階から勉強を始めましょう。高校3年生の夏の時点で現代文の成績が良くない場合、毎日1題の問題演習をしてください。
また、文章読解用の参考書を1冊読んでみると、どのように文章を読み、どのように問題を解けばよいのかがわかります。2次試験などで記述式問題が課される子どもは、読んだ文章の内容を100字~200字ほどでまとめる練習が効果的です。
古文と漢文はどちらも、短期間での得点アップが期待できます。古文は単語と文法、漢文は返り点やレ点、置き字、再読文字といったルールを暗記した後、実際に問題演習をくり返せば大丈夫です。
国語の勉強法は、下記の記事でも解説しています。
・【大学受験】現代文の勉強法|解き方のコツや点数が伸びない原因、おすすめ塾など解説
・大学受験に向けた古文の勉強法|覚え方や読解のコツ、成績が伸びない原因、おすすめ塾など解説
・大学受験に向けた漢文の勉強法|覚え方や解き方のコツ、共通テスト対策、おすすめ塾など解説
理科の勉強法
理科は科目によって勉強法が異なります。
化学は暗記と計算が同じくらいの比重です。周期表や炎色反応、モル計算、酸化還元反応といった基礎知識を一通りインプットしたら、問題演習に移りましょう。化学を選択するのは、理系の学生が多いかもしれません。高校3年生の夏までには典型問題を解けるようにしておき、夏以降に応用問題の演習に取り組むのが理想です。
物理は暗記する知識量が少なく、代わりにどれだけ問題演習をこなしたかが得点アップにつながります。自分の学力や志望校のレベルに合った問題集を準備して、何度もくり返し解きましょう。特に力学の分野は頻出なので、率先して取り組みたいところです。
生物と地学は暗記がベースとなる科目。地学では計算も求められるものの、どちらの科目も比較的短期間での得点アップが可能です。教科書を中心に基礎的な用語やメカニズムを、一つずつインプットしていきましょう。その後はレベルに合った問題集で、問題演習に取り組みます。
下記の記事でも解説しているので、ぜひご覧ください。
・大学受験に向けた物理の勉強法|成績が伸びない原因やおすすめの塾・予備校など解説
・大学受験に向けた化学の勉強法|点数が伸びない原因やいつから対策すべきかなど解説
・大学受験に向けた生物の勉強法|対策時のポイントやいつから学習を始めるべきかなど解説
社会の勉強法
社会は科目によって知識量が異なるものの、基本的には暗記が中心です。どの科目もまずは、人名や出来事といった基礎用語をインプットしてください。
日本史と世界史は、時代の流れを理解することも大切です。「時代ごとにどのような出来事が起きたのか」「どのようなきっかけで次の時代へ移ったのか」「それぞれの時代や地域同士が、どのように影響し合っているのか」などを意識しながら、教科書や参考書を読み進めていきましょう。基礎知識が頭の中に入ったら、問題演習で知識をさらに深めていきます。
社会の勉強法は下記の記事でも解説しているので、ぜひチェックしてみてください。
・【大学受験】地理の勉強法|いつから勉強するべきか、苦手な人向けの対策のコツなども解説
・【大学受験】日本史の勉強法|入試対策のコツやいつから学習を始めるべきかなど解説
・大学受験に向けた世界史の勉強法|いつから学習を始めるべきか、入試対策のコツなどを解説
大学受験に向けた高校3年生の平均的な勉強時間
少し古いデータですが、ベネッセ総合教育研究所がおこなった「第1回 大学生の学習・生活実態調査報告書 [2008年]」によると、高校3年生の1日あたりの平均勉強時間は4.5時間となっています。
理想的な勉強時間はケースによって異なるため、一概に時間は述べられません。ひとつの目安が、「平日は3時間~4時間」「休日は6時間~8時間」「長期休暇中は10時間以上」です。
毎日長時間の勉強は大変ですが、高校3年生から受験勉強を始める場合、もっと早くから勉強をスタートさせている他の子どもに大きな差を付けられています。勉強の質も大切ですが、ライバルとの差を少しでも埋めるためには、ある程度まとまった学習時間が必要です。
大学受験に向けて、高3から勉強を始める際のポイント
効果的・効率的に高校3年生からの志望校合格を目指すためには、いくつかのポイントがあります。主なものを全部で5つ見ていきましょう。
勉強習慣を身につける
まずは勉強習慣を身につけることです。特に受験勉強の山場となる夏休み前までに、長時間の勉強に耐えられる勉強習慣を身につけておきたいところ。
できるだけ早いうちから毎日勉強し、前述した勉強時間の目安をクリアできるようにしておきましょう。
勉強時間を確保する
先で述べたように、高校3年生から受験勉強を始める場合、相当の勉強時間を確保しなければいけません。1日のスケジュールをふり返って、どの時間帯にまとまった勉強時間を確保できるのかを考えてみましょう。
通学時のバスや電車の中、学校の休み時間、お風呂に入っている間など、すきま時間を活用するのもおすすめです。
基礎を固めた上で、演習に取り組む
高校3年生になると焦る気持ちから、基礎が身についていないに関わらず、実践的な問題演習をしようとする子どもがいます。しかし、基礎固めができてない状態で問題演習に取り組んでも、問題がスムーズに解けず、時間の無駄です。
どの教科・科目においても、基礎固めは問題を解く上での大前提。教科書や参考書に載っている基礎事項を理解した上で、問題演習に取り組むのが鉄則です。
学習スケジュールを立てる
高校3年生は大学入試本番までの時間が限られています。限られた時間を有効に使うためには、学習スケジュールを立てることが欠かせません。
いまの学力と志望校との差、苦手科目の状況などを鑑みながら、「夏休み中に単語帳1冊と英文法の問題集を1冊終わらせる」「9月中に英文解釈の参考書を終わらせる」など、細かくスケジュールを作っていきましょう。
志望校を決めて、過去問を解く
できれば高校3年生の夏休みに入るまでに、志望校を決めておくのが理想です。志望校が決まれば具体的な入試科目や目指すべきレベルが定まり、長時間勉強できる夏休みを有効に過ごせるようになります。
また、志望校の過去問にもチャレンジしておきましょう。実力がついていない状態では、ほとんどの問題が解けないかもしれません。しかし、現在の実力差と入試問題の傾向がわかり、学習計画の作成に役立ちます。
【高校3年生】長期休みの学習スケジュールの立て方
受験が近づく高校3年生にとって、春休み・夏休み・冬休みといった長期休暇は学力をアップさせる絶好のチャンスです。貴重な時間を無駄にしないためにも、以下で紹介するポイントに沿って学習スケジュールを立てていきましょう。
休みが終わる頃の目標を設定する
まずは、休みが終わる頃の目標を設定してください。具体的なゴールを設定しないまま勉強を始めると、何に向かっているのかがわからなくなり、モチベーション低下にもつながります。
「日本史の年表をすべて暗記する」「数学の標準問題集を1冊仕上げる」など、具体的な目標を作りましょう。
優先順位をつける
長期休暇は学習時間を豊富に確保できるものの、それでも時間が限られています。限られた時間を有効活用するためには、やるべきことに優先順位をつけることが欠かせません。
たとえば、英語と数学が同じ配点で入試科目に設定されており、数学の成績が英語よりも悪い場合、当然のことながら数学の優先順位が高いことがわかります。
スケジュールは1日単位で決める
具体的な学習スケジュールは、1日単位で決めていきます。「1日あたり、どのくらい勉強するのか」「何時から何時まで勉強するのか」などのほか、「〇月〇日は、英文法の問題集を10ページ終わらせる」「〇月〇日は、現代文の参考書を1冊通読する」などです。
やるべき内容を細かく決めておくことで、あれこれと迷わずに勉強に集中できます。春休みと夏休み、冬休みそれぞれの過ごし方については、下記の記事で解説しています。ぜひご覧ください。
・【高校生】春休みの勉強計画の立て方|やる気をアップさせるコツも紹介
・【大学受験】夏休みのスケジュールの立て方|勉強計画表を作るメリットなど紹介
・高校受験を控えた冬休みの過ごし方!勉強時間の目安・スケジュールの立て方も解説
塾の季節講習で勉強する方法もある
「1人では学習スケジュールをうまく立てられない」「苦手科目を効率的に克服したい」などの悩みを持っている高校生は、塾の季節講習へ通う方法があります。さまざまな塾・予備校で春期講習・夏期講習・冬期講習を開催しており、具体的なカリキュラムや指導スタイルは異なります。
自分のニーズに合った季節講習へ参加すれば、効率的・効果的な成績アップが望めるでしょう。以下の記事で、おすすめの季節講習情報を紹介しています。
・【高校生】春期講習の料金・費用相場|おすすめ予備校の春期講習情報も紹介
・【大学受験】高校生向けのおすすめ夏期講習11選|塾・予備校の選び方など紹介
・【大学受験】おすすめ冬期講習7選!費用相場や参加メリットも紹介
まとめ
高校3年生から大学受験対策を始めるのは遅くはないものの、残された時間が少ないことも事実です。相当の学習量を確保できるように、毎日の生活の中で少しでも勉強できる時間を見つけていきましょう。また、焦って応用問題や入試問題に取り組まず、まずは基礎固めに専念することも大切です。
今回紹介した科目別の勉強法や勉強のポイントを参考にしながら、限られた時間の中で志望校合格を目指してください。
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・大学受験の全体スケジュール|入試までの年間計画や受験日程の組み方などを解説!
・【高校生】効率の良い勉強法|やっておくべきことや平均的な学習時間、受験に向けたおすすめ塾を紹介
・単語・文法・長文など英語の勉強法について|成績が伸びない生徒の特徴なども紹介
・大学受験直前期の勉強法や学習時間|入試前日や当日の過ごし方、やるべきことなど解説
・早慶上智合格!おすすめの塾・予備校12選|選ぶポイントも合わせて紹介
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