「学校に行きたくない」は突然に-約8割の保護者が子どもの言葉で初めて気づく【2026年調査】
「学校に行きたくない」と子どもが口にしたとき、多くの保護者は突然の変化に戸惑うのではないでしょうか。
今回、塾選ジャーナルが「子どもの登校しぶり」を経験した中高生の保護者100人に調査したところ、子どもが「学校に行きたくない」と言葉にする前に、その気持ちに気づいていた保護者はわずか16%にとどまりました。つまり、約8割の保護者は、子どもの言葉や欠席などの行動があるまで「学校に行きたくない」という気持ちに気づいていなかったことになります。
一方で、子どもが言葉にする前から、まったく変化がなかったわけではありません。今回の調査では、イライラや朝寝坊が増えるなど、登校しぶりの前に何らかの変化が見られた家庭が大半でした。ただ、そうした変化は思春期の子どもには珍しくないため、当時から“登校しぶりの前兆”として捉えるのは難しかったことがうかがえます。
また、登校しぶりが見られた時期では「夏休み明け」が42%で最多。長期休暇後に登校しぶりが見られた家庭では、休暇中の子どもの様子として「生活リズムが乱れていた」「ゲームやSNSに没頭していた」といった回答も多く挙がっていました。
本記事では、保護者100人へのアンケート調査をもとに、中高生の登校しぶり前に見られた変化や、夏休み明けなど長期休暇明けに登校しぶりが見られた子どもの休暇中の様子、再登校につながった家庭での関わり方を紹介します。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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目次
「学校に行きたくない」は突然に-約8割が子どもの言葉で初めて気づく

今回の調査でまず明らかになったのは、子どもの「学校に行きたくない」という気持ちに、保護者が事前に気づくことの難しさです。
「学校に行きたくない」ことに気づいたタイミングについて、本人が言葉にする前に察知できていたケースはわずか16%にとどまりました。つまり、本人が「行きたくない」と言い出したり、実際に欠席が始まったりといった「登校しぶりの行動」が起きてから初めて気づくケースがほとんどということです。
この背景には、子どもが不調の理由をうまく言語化できない、あるいは親を心配させまいと意図的に隠してしまうといった事情も考えられます。また、保護者側にとっても、日常の些細な変化を「よくある反抗期」や「一時的なわがまま」と捉えてしまい、深刻な異変として認識しにくい側面があるようです。
一方で、子どもが言葉にする前に、まったく変化がなかったわけではありません。次章では、登校しぶりの前に見られた子どもの変化について詳しく見ていきます。
登校しぶり前の変化は「イライラ」が最多-思春期特有の行動と見分けが困難
子どもの変化で多いのは「イライラ」や「生活リズムの乱れ」
今回の調査では子どもが登校をしぶる前に「特に変化は見られなかった」と回答した保護者はわずか8%でした。つまり多くの家庭で、子どもに何らかの変化があったことになります。
見逃されやすい登校しぶり前の“子どもの変化”にはどのようなものがあるのか、具体的な傾向を見ていきます。

※本アンケートは複数回答形式のため、合計が100%を超える場合があります。
登校しぶりの前に見られた変化として最も多かったのは、「イライラしていることが増えた(48%)」でした。続いて「朝寝坊することが増えた(42%)」「夜更かしすることが増えた(36%)」など、生活リズムに関する変化も上位に挙がっています。
こうした変化は、いずれも思春期の子どもにとって珍しいものではありません。そのため、「よくあること」として受け止められやすく、結果として“登校しぶりの前兆”として認識されにくいことが考えられます。
登校しぶりの理由は「友人関係のトラブル」が最多

※本アンケートは複数回答形式のため、合計が100%を超える場合があります。
さらに、学校に行きたくない理由を聞いたところ、「友人関係のトラブル(35%)」が最多でした。また「クラスの雰囲気が合わない(28%)」や「先生との相性が合わない(15%)」「部活動でのストレス(15%)」など、学校の環境に悩みを抱えているケースが見られました。
塾選ジャーナルが実施した高校生向けのアンケートでは、6割以上の高校生が「対人疲れ」を感じているとの結果も。具体的なトラブルがなくとも、「学校に行きたくない・面倒くさい」と思ってしまうケースが多いことが分かっています。
登校しぶりのタイミングは「夏休み明け」が最多
前章では、登校しぶりの理由として「友人関係のトラブル」や「クラスの雰囲気が合わない」など、学校内の人間関係や環境に関する悩みが多いことを見てきました。
一方で、登校しぶりが見られた時期にも、一定の傾向が見られます。
夏休み明けが中心-長期休暇後は要注意
今回の調査で登校しぶりが起きるタイミングについて聞いてみたところ、「夏休み明け」が42%で最多、次いで「学期の途中」が41%となりました。

※本アンケートは複数回答形式のため、合計が100%を超える場合があります。
学校に行きたくない理由は子どもによってさまざまですが、今回の結果からは、夏休み明けなど長期休暇後が登校しぶりの一つのタイミングになっていることが分かります。
長期休暇後に登校しぶりをする子どもは“休暇中の生活リズム”が乱れる傾向も
長期休暇後に子どもが登校しぶりをしたことがある保護者に、長期休暇中の子どもの様子を聞いたところ、「生活リズムが乱れていた」が53%で過半数でした。

n=74 長期休暇後に登校しぶりが見られた子どもの保護者
※本アンケートは複数回答形式のため、合計が100%を超える場合があります。
もちろん、生活リズムの乱れやゲーム・SNSへの没頭が、登校しぶりの直接的な原因とは限りません。前述の通り、学校に行きたくない理由としては、友人関係やクラスの雰囲気など学校内の悩みも多く挙がっています。
ただ、長期休暇中に起床・就寝時間が後ろ倒しになると、休み明けに朝の登校リズムを取り戻しにくくなることがあります。学校生活への不安や負担がある子どもにとっては、生活リズムの乱れが重なることで、登校へのハードルがさらに高くなる場合もあるでしょう。
夏休み明けから、起床時間が遅くなり、遅刻ギリギリの登校となることが増えていきました。徐々に遅刻して登校することが増え、本人は否定していましたが、何か学校に行きたくない理由があるのだろうなと推測していました。(usaさん / 埼玉県 / 中1男子 / 保護者)
夏休み明けから朝起きるのがつらそうで、何度声をかけても布団から出たがらず、『学校に行きたくない』と言うようになりました。(ポケットマームさん / 北海道 /高1女子 / 保護者)
また、「ゲームやSNSに没頭していた」と回答した保護者も46%にのぼりました。長期休暇中は学校がある時期に比べて自由時間が増えやすく、スマホやゲームの利用時間が長くなる場合も。長期休暇前に、起床時間や就寝時間、スマホ・ゲームの利用時間について親子で話し合っておくことも、休み明けの登校リズムを整える一助となりそうです。
「学校に行きたくない」への対応は「様子を見守る」家庭が約6割
子どもが「学校に行きたくない」と意思表示をしたとき、保護者はどのように向き合ったのでしょうか。調査結果からは、戸惑いながらも我が子に寄り添おうとする保護者の姿勢が見えてきました。
約6割の保護者が「様子を見守る」対応

※本アンケートは複数回答形式のため、合計が100%を超える場合があります。
登校しぶりが見られた際の対応としては、「様子を見守った(57%)」や「子どもと話し合いをした(48%)」「無理に登校させないようにした(43%)」といった、受容的な関わりが上位です。
無理に登校を促すのではなく、まずは子どもの心の安全を第一に考え、家庭を「安心できる場所」として整えることを優先した家庭が多いことが分かります。
登校しぶりの後、約9割は再登校できている

登校しぶりのその後の状況については、「時々休みながら通っている」(46%)が最も多い結果でした。完全に元の状態に戻るまでには一定の時間を要する場合もありますが、段階的に回復していく様子がうかがえます。
また、「現在は通常通り通学している」とする回答も41%と、約9割は状況が改善する傾向。「学校を休む日が増えた」「完全に不登校になった」というケースも存在するものの、割合としては限定的です。
登校しぶり脱却の鍵を握る保護者の「3つの関わり方」
登校しぶりが見られた場合、その後の状況について不安を感じる保護者は少なくありません。「このまま通えなくなってしまうのではないか」といった懸念を抱くケースも多いでしょう。
しかし今回の調査では、登校しぶりが見られた後、多くのケースで再び登校できるようになっている実態が確認されました。あわせて、再登校に至る背景についても、一定の傾向が見えます。

※本アンケートは複数回答形式のため、合計が100%を超える場合があります。
再び登校できるようになった背景として多く挙がったのは、「子どもの気持ちに寄り添う」(59%)、「無理に登校させずに休ませる」(41%)「親子で話し合う時間を十分に取る」(38%)といった関わりでした。
いずれも、子どもの状態を尊重しながら対応する姿勢に共通点があります。
具体的にどのような対応をして子どもが変化していったのか、保護者の声を見ていきます。
対応①「子どもの気持ちに寄り添う」
「無理に登校させるのではなく子どもの気持ちに共感したことで子どもは安心したようで、少しずつ「頑張って登校しよう」と前向きな気持ちになったようです。」(minaさん / 北海道 / 中2女子 / 保護者)
「最初は無理に登校させようとせず、子どもの気持ちを受け止めることを優先しました。家で落ち着いて過ごすなかで少しずつ表情が和らぎ、学校の話も自分からできるようになりました。また、担任の先生と連携して登校時間を調整してもらい、「午前中だけ行く」など負担の少ない形から再開しました。その積み重ねにより徐々に自信を取り戻し、再び通えるようになったと感じています。」(おっとっとさん / 愛知県 / 中2女子 / 保護者)
「きっかけは、無理に登校させるのをやめて、まず子どもの気持ちをじっくり聞くようにしたことでした。毎朝『行きなさい』と言うのではなく、『今日はどうしたい?』と本人に選ばせるようにしました。」(けいちゃんさん / 愛知県 / 中2女子 / 保護者)
これらの声からは、保護者の働きかけを最小限に抑え、まずは子どもの気持ちを落ち着かせることを優先する姿勢が見て取れます。
対応②「無理に登校させずに休ませる」
「無理に登校させないことによって、子どもが自分で気持ちを整理できたからだと思います。」(サウナスーツさん / 東京都 / 中3男子 / 保護者)
「登校することを強要しなかったことが良かった。できる限り、本人の意思を尊重して無理をさせなかったことが結果的に良かった。」(渓流人1963さん / 神奈川県 / 中3女子 / 保護者)
「無理に登校させず家庭を安心できる居場所に整えたことで、本人の心のエネルギーが回復して自ら行くと決めて前向きになりました。」(つきさん / 神奈川県 / 高2女子 / 保護者)
無理に登校させないという判断の背景には、短期的な登校よりも、子どもの心身の安定を優先する考え方があります。また、「行けるときに行く」といった柔軟な対応を取ることで、登校へのハードルを下げることにつながります。
逆に無理して登校させてしまったことを後悔する声も見受けられました。
「最初のうちはサボり癖がつくのではないかという焦りから、つい『明日こそは行けるよね?』と追い詰めるような声かけをしてしまったことを深く後悔しています。」(さっちゃんさん / 東京都 / 中2女子 / 保護者)
「最初は学校へ行かないことがダメだと思い込んで無理に行かせようとしてたけど、もう少し早く気づいてあげていれば、もっと早く解決していたのかと思う。」(ブルーネイルさん / 奈良県 / 中2男子 / 保護者)
これらの声からは、登校しぶりが始まった当初、保護者が「学校へ行かせなければ」と焦りを感じやすいことも分かります。登校しぶりの背景は家庭によって異なり、子どもが理由をうまく説明できないことも。そのため、登校しぶりが見られたときは、子どもの体調や表情、生活リズム、学校での様子などを丁寧に確認することが大切です。
必要に応じて、学校やスクールカウンセラーなど第三者に相談しながら、子どもに合った対応を考えていくことが求められます。
対応③「親子で話し合う時間を十分に取る」
「子どもが行きたくない気持ちを早めに察し、無理に登校させるのではなく、選択肢を示しながら話し合う時間を十分に取りました。その結果、子ども自身が気持ちを整理でき、少しずつ自分のペースで学校に行けるようになりました。」(ポケットマームさん / 北海道 / 高1女子 / 保護者)
「とことん話し合いました。息子が行きたくないと言ったタイミングや、帰ってきてから『どうだった?』などの声かけをしたり、お互いに気になるタイミングがあり、雰囲気を察知しながら話し合うようになりました。すると次第に行きたくないとは言わなくなりました。」(木村さん / 長崎県 / 高2男子 / 保護者)
話し合いを重視した保護者の対応では、子どもの気持ちや状況を共有しながら、一方的に結論を出すのではなく、選択肢を一緒に整理していく姿勢が見られます。
このように、再登校に至るまでの過程は一様ではありませんが、保護者の声からは、子どもの状態に合わせて関わり方を調整しながら、安心できる環境を整えていくことの重要性を感じられました。
まとめ:登校しぶりは焦らずに、無理に登校を急がせない関わりを
今回の調査では、中高生の登校しぶりについて、約8割の保護者が本人が「学校に行きたくない」と口にしたり、実際に欠席するまで、日常の変化を“登校しぶりの前兆”だと気づけていなかったことが分かりました。
登校しぶりの前には「イライラしていることが増えた」「朝寝坊することが増えた」「夜更かしすることが増えた」など、日常のなかで見られる変化も挙がっています。こうした様子は思春期には珍しくないため、前兆として気づくのは容易ではありません。ただ、普段と違う様子が見られる場合は、注意して見守りたいポイントといえるでしょう。
また、登校しぶりが見られた時期は「夏休み明け」が最多でした。長期休暇後に登校しぶりが見られた家庭では、休暇中に生活リズムが乱れていた、ゲームやSNSに没頭していたといった回答も多く挙がっています。
子どもから突然「学校に行きたくない」と言われると、保護者としては「このまま不登校になったらどうしよう」「無理にでも行かせたほうがいいのでは」と焦りを感じてしまうものです。欠席が増えることへの心配から、つい登校を急かしたくなる場面もあるでしょう。
しかし、今回の調査からは、子どもが登校しぶりを見せたときは、無理に登校を急がせるのではなく、まずは気持ちを受け止めることが大切ということが分かります。
家庭だけで解決ができないと感じる場合は、学校やスクールカウンセラーなどにも相談しながら、焦らずに子どもが安心して次の一歩を考えられる環境を整えていきましょう。
アンケート調査概要
調査対象:子どもの「登校しぶり(行き渋り)」を経験したことがある、中学生・高校生の保護者(有効回答数100名)
調査時期:2026年4月
調査機関:自社調査
調査方法:インターネットを使用した任意回答
調査レポート名:「中高生の登校しぶり」に関する実態調査
※本調査レポートの内容(グラフ・データ・本文など)の無断転載・改変を禁じます。掲載しているグラフや内容を引用する場合は、出典「塾選ジャーナル調べ:『中高生の登校しぶり』に関する実態調査」と明記し、『塾選ジャーナル』の記事(https://bestjuku.com/shingaku/s-article/55775/)へのリンク設置をお願いします。
執筆者プロフィール
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