公文国際学園中等部に合格! やりたくないことは絶対にやらない息子を動かした母の伴走術|親たちの中学受験体験記Vol.36
「どんな学校に入るか」よりも、「どんな大人に育ってほしいか」。大塚さん(仮名)一家の中学受験は、そんな思いから始まりました。目指したのは、高い進学実績よりも、親元を離れた寮生活を通じて自立心や人間性を育める環境。説明会で出会った公文国際学園の生徒たちの姿に、その理想を重ねたといいます。
一方で、息子さんは「やりたくないことは絶対にやらない」タイプ。勉強も決して好きではなく、小5では「生きている意味がない」と口にするほど追い込まれた時期もあったそうです。それでもお母様は、息子さんの性格を否定することなく、「どうすればこの子が動けるのか」を考え続けました。
勉強嫌いで頑固な子を、どうやって受験へ向かわせたのか。そして、親はどのように伴走し、葛藤と向き合ったのか。中学受験のリアルな体験談をお届けします。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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目次
【保護者プロフィール】
| お名前 | 大塚 千景(仮名) |
|---|---|
| お住まい | 東京都世田谷区 |
| 年齢 | 45歳 |
| 職業 | 経理担当(在宅勤務) |
| 性格 | 几帳面、真面目、気が長い |
| 家族構成 | 4人家族(父、母、長男、次男) |
【中学受験を行った子どものプロフィール】
| 子どもの名前 | 大塚 塁(仮名)※長男 |
|---|---|
| 性別 | 男子 |
| 現在通っている学校名 | 公文国際学園中等部 |
| 現在の学年 | 1年生 |
| 受験当時に通っていた塾 | 臨海セミナー(2~3年生) 啓進塾(4年生以降) |
| 受験時にしていた習い事 | なし |
| 得意科目 | 算数 |
| 苦手科目 | 社会 |
| 性格 | がんこで気難しい。やりたくない事は絶対にやらないタイプ |
| 受験結果 | 公文国際学園中等部:合格(第一志望) 静岡聖光学院中学校:合格(第二志望) 神奈川大学附属中・高等学校:不合格(第三志望) |
誰にでも平等に優しく・たくましく育って欲しい。寮生活を目標に掲げた中学受験の幕開け

―最初に、中学受験を志したきっかけを教えてください。
子どもを授かった頃から、夫と「男の子なら、中学から親元を離れて生活する経験をさせたいね」と話していました。できるだけ早い段階で自立心を育み、たくましく成長してほしいという思いがあったんです。
というのも、私は子どものそばにいると、つい手を差し伸べて失敗を回避させてしまうような世話焼きな性格です。親が手をかけすぎることで、自分で考える力や挑戦する力を奪いたくなくて。
特に長男は幼い頃から頑固で、自分の考えを曲げないタイプでした。だからこそ、寮生活で多くの人と関わりながら、人間関係の築き方を学んでほしい。そして、どんな相手にも分け隔てなく優しく接することのできる大人になってほしいという願いがありました。
もちろん学力も大切ですが、人としての成長や人間性を育むことを重視していましたね。
―それで受験校は、寮のある学校から選ばれたのですね。
はい。寮生活や教育が充実していそうな学校を中心に資料請求をして、説明会にも足を運びました。
学校選びを始めた頃は、私の実家の近くにある静岡聖光学院に進学できたらいいなと思っていたんです。知人のお子さんが実際に通っていて、学校や寮生活の話を聞く機会があり、とても良い学校だと感じていました。
―最終的に第一志望となった公文国際学園は、どのような点が魅力でしたか?
最初に興味を持ったのは、比較的自宅から近い寮がある学校という点ですが、それ以上に惹かれたのは学校の雰囲気でした。学校見学や説明会で何度か訪れたのですが、いつも生徒たちが生き生きとしていて楽しそうだったんです。
特に印象に残っているのが、説明会での校内見学です。少人数のグループごとに分かれ高校生の男女2人が案内役を務めてくれたのですが、見学の途中で参加者のお子さんの一人が体調を崩してしまったんです。案内役の生徒は慌てることなく、即座に「一人が医務室へ付き添い、もう一人が見学を続ける」と判断して滞りなく校内見学を進めていました。
その様子を見て、公文国際学園が掲げる「自由」とは、放任ではなく、自ら考え、判断し、行動する力を育てることなのだと実感しましたね。
―最初にお話しくださった、ご両親が大切にしたいと考えていた教育方針に通じるものがありますね。
そうですね。うちの息子は、「これをやりなさい」と言われるよりも、周りから刺激を受けて「やってみたい」と思ったときに力を発揮する子なので。その点でも、公文国際学園の自由で自主性を重んじる校風は息子に合っていると感じました。型にはめるのではなく、自分で考えながら可能性を広げていける環境が魅力でしたね。
―息子さんから、「こういう学校に行きたい」と希望はありましたか?
何もありませんでした。実際のところ、息子は受験について前向きだったわけではありません。中学受験をすること自体は早い段階から決めていたので、幼稚園に入った頃から「中学になったら家を出て寮で生活するんだよ」と少しずつ話していました。物心ついてから受験すると伝えたら反発するだろうと思っていたので、本人にとって自然なこととして受け入れられるようにしていたんです。
小4くらいの時期だったでしょうか。「どうしても受験して寮に入らないとダメなの?」と聞かれたこともあります。「受験は譲れないけれど、自分の力で上のレベルの学校に合格できるなら、必ずしも寮のある学校でなくてもいいよ」と話しました。寮がない逗子開成や神奈川大学附属中学校の説明会に行ったのは、そのためです。
でも本人の中では、「そこまで勉強して寮以外の学校を目指すよりは…」という気持ちもあったようで、6年生になる頃には自分なりに納得して、寮生活を受け入れるようになりました。
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勉強は大嫌い。興味のあることしかやりたくない。がんこな息子を母がワンオペでサポート

―塾にはいつ頃から通い始めましたか?
2年生の夏期講習からです。まずは通塾に慣れることを目的に自宅近くの臨海セミナーに通い、4年生から啓進塾に転塾しました。中学受験を本格的に見据えたタイミングです。
啓進塾では、算数を受け持つ担当講師との出会いが大きかったですね。講師が厳しいという声もありましたが、息子は「面白い」と言っていました。振り返ると、算数が得意科目になったのもその方の影響だったのかもしれません。問題を解くこと自体が楽しかったようで、家庭学習でも比較的前向きに取り組めていました。
―お母様から見ても信頼できる講師だったのでしょうか?
少し個性的な講師ではありましたが、親から見ても「この子を絶対に合格させる」という強い信念を感じました。
また、「今はこれを優先してください」と家庭学習の内容を具体的に示してくださったので、親としても迷わずサポートできたのもありがたかったですね。受験の途中で私自身が限界を感じて相談した際も、「家では何もしなくて大丈夫です。塾で何とかします」と言ってくださって。その言葉には、本当に救われました。
―家庭学習のサポートは、お母様が中心に行っていましたか?
はい。夫はほとんどノータッチだったので、学習計画を立てたり、塾のプリントを見ながら何を優先してやるべきか考えたりするのは、基本的に私が担当していました。
ただ、勉強法について特別な情報収集をしていたわけではありません。塾の方針を信頼していたので、家庭では塾の授業内容の復習を中心に進めていましたね。
―学年によってお母様のサポートの仕方に変化はありましたか?
全然違いましたね。臨海セミナーに通っていた低学年の頃は、基本的には息子本人に任せていました。転塾を嫌がるだろうと思っていたので、成績が伸びなければそれを口実に転塾できるなと。案の定、狙い通りになり、本人もしぶしぶ納得して転塾を受け入れてくれました。
4年生からは私も少しずつ関わるようになりました。啓進塾では「毎日の算数」という家庭学習教材があり、毎日1ページずつ取り組みます。また、定期的な漢字テストもあったので、算数の丸付けや解き直し、漢字の確認は欠かさず行っていました。その頃は成績が比較的良かったこともあり、「この調子で大丈夫かな」と思っていたんです。理科や社会はほとんど手をつけていませんでした。
ところが、4年生の夏休み明けから成績が落ち始めました。周りの子たちはしっかり復習を積み重ねていたのに、わが家はほとんど何もしてこなかったので、その差が一気に出たんだと思います。
それから理科や社会の復習も始めたのですが、息子の興味が薄い科目だったため手をつけようとしなくて…。声をかけても途中で止まってしまい、次の単元へ進んでしまう。結局、どれも中途半端なまま積み残されていく状態でした。
理科や社会は、3〜4年生のうちに座学ではなく歌やパズル、動画などを活用して興味が持てるようにしてあげれば良かった、と今になって思っています。
―本格的に受験学年へ近づくと、さらに大変になりそうですね。
そうですね。塾の授業プリントをもとに、親子で暗記テストをしてみたり、自作の問題集を作ったり。手探りでいろいろ試しましたが、なかなか思うようにはいきませんでしたね。
通塾日数も増えましたし、私自身も「そろそろ本気で取り組まなければ」と焦る気持ちもありました。でも、私の熱量だけが上がっていて、息子自身はそれまでと変わりません。ほかの受験生の話を聞くと、家庭学習の時間はかなり少なかったと思います。むしろ息子が学校へ行っている間に、私のほうが問題をまとめたり教材を作ったりして勉強していた気がします。
6年生になると塾の拘束時間が一気に長くなったので、逆に家庭で勉強することはそれほど多くありませんでした。振り返ると、5年生が受験生活の中で一番大変な一年だったと思います。
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「生きている意味がない」小5の大スランプ。ゲーム条件の緩和と映画で引き出したやる気

―ハードな日々の中で、お母様が一番つらかったのはどんなことでしたか?
敢えて言うなら、夫婦間の温度差でしょうか。夫は「そんなに勉強しなくてもいいんじゃない?」というスタンスで、休ませようとすることもあったりして。「もうちょっと私の味方もしてよ!」と思う場面も多々ありました。受験期間中は、夫よりも塾の講師のほうが私の心の支えでした。
―お母様ご自身は、どのようにストレスを発散していたのでしょうか?
受験仲間のママ友の存在が大きかったですね。ちょうど同じように受験を頑張っている友人がいたので、昼間に集まってお茶をしたり、ときには食事もしながら、「うちも全然勉強しないよ」「こうしたらいいんじゃない?」なんて話をしていました。
子どものことだけでなく、家族への愚痴も含めてざっくばらんに話せる仲間がいたのはとても心強かったです。
―5年生の後半には、息子さん本人にスランプもあったそうですね。
勉強に疲れて、「これでは生きている意味がない」と言い出したんです。親としては子どもの将来を考えて一生懸命サポートしているわけですから、正直、腹が立ちましたよ。
でも、そこで感情をぶつけても逆効果だと分かっていたので、ぐっと我慢して話を聞くと、原因はゲームだったんです。もともと、「やることを終えたら1日1時間まで」というルールだったのですが、塾の時間が増えて、その1時間すら確保できなくなっていました。
勉強ばかりで、息抜きの時間もない。それがかなりのストレスになっていたんだと思います。
―息子さんのスランプには、どのように対応されたのでしょうか?
思い切ってゲームの時間制限をなくしました。「やるべきことを終えたら、時間を気にせず遊んでいい」とルールを変えたんです。すると気持ちに余裕ができたようで、少しずつ元気を取り戻してくれました。
その後は、「この社会の暗記を終えたらゲームにしよう」といったように、小さなご褒美を作りながら進める形にしたところ、比較的うまくいきましたね。
―モチベーション維持で、ほかに効果があったことはありますか?
ゲームのほか、映画やドラマなど、その時々で息子が興味を持っているものを活用していました。
一度、社会の100問テストの前に好きなゲームの課金を条件にしたことがあったんです。「目標点を取れたら課金していいよ」と約束したところ、そのときは過去最高に勉強していました。ただ、ゲームの興味は移り変わるので、ずっと使える方法ではありませんでしたけど。
意外と効果があったのは映画やドラマです。『ビリギャル』を観た後は、「自分も頑張りたい」と言って夜遅くまで苦手科目を進んで勉強していました。ほかに中学受験をテーマにしたドラマ『下剋上受験』にも影響され、一時的にやる気が上がっていました。
長続きはしませんでしたが、息子は人が努力する姿を見ると刺激を受けて、やる気につながるタイプだとわかりましたね。
―最後まで受験を続けられた理由は何だったと思いますか?
やはり、小さい頃から「中学生になったら寮に入る」という話を続けていたことが大きかったと思います。
通っていた小学校は、中学受験をするご家庭が決して多くありません。本人は最後まで「みんなは遊んでいるのに…」と不満を口にはしていましたが、それでも受験そのものは当たり前のこととして受け止めていましたから。結果的には、繰り返し伝えていた効果があったのかなと考えています。
\小5のスランプを乗り越えた親のサポート術/

直前まで成績を伸ばし、本命校合格。自発的に机に向かう息子の姿に実感した受験の成果

―受験本番はどのようなスケジュールだったのでしょうか?
まず1月に、静岡聖光学院中学校を受験しました。2月の本命校だけでは不安もあったので、受験の雰囲気に慣れる意味も込めて受けたんです。
その後、2月1日に公文国際学園を受験。翌日に結果発表があり、無事合格をいただくことができたので、予定していた同校の2月3日の入試は受けずに受験生活を終えることができました。

―受験当日のお子さんの様子はいかがでしたか?
最初に受けた静岡聖光学院では、かなり緊張していましたね。
会場に着くまでは余裕そうだったのですが、試験が終わって出てきたときは顔面蒼白で、「落ちたかもしれない」と言っていました。結果的には合格していたのですが、後から塾で得点を確認すると本当にギリギリだったようで、担当の講師にかなり叱られたそうです。
でも、その経験が良かったのかもしれません。2回目以降は落ち着いて受験できるようになりました。
―本命の公文国際学園を迎える頃には、気持ちにも余裕がありましたか?
そうですね。1月に受験した学校で合格をいただいたこともあり、「もし公文国際学園がだめでも進学先はある」という安心感が本人の中に生まれていました。精神的にはかなり良い状態で本番を迎えられたと思います。
―お母様ご自身はいかがでしたか?
もちろん緊張はしていましたが、公文国際学園に特化した過去問演習を重ねる中で手応えも感じていました。
特に1月後半になって国語の成績が伸びてきたんです。公文国際学園に進学した塾のOBが応援に来てくれる機会があり、そこで国語の要約問題の解き方のコツを教えてもらったそうです。そのアドバイスのおかげだと思います。
算数は比較的安定していたので、国語が伸びたことで「もしかしたらいけるかもしれない」という気持ちが生まれていました。
―お母様の期待通り、第一志望の公文国際学園に見事合格。中学受験を終えた今、受験して良かったと思うのはどんなときですか?
現在、中学1年生になった息子は、学校も寮も楽しく、友だちにも恵まれています。当初、親が思い描いていた以上に、充実した生活を送っている姿を見ると嬉しいですね。
そして何より驚いているのが、自分から勉強するようになったことです。
英語が得意な友だちに刺激を受けて、自分で英語学習アプリを入れ、毎日コツコツ取り組んでいます。夏休みの課題も、自分で計画を立てて進めていて、私が声をかけることは何もありません。自分で必要だと思ったことに自主的に取り組めるようになった姿に、大きな成長を感じています。
中学受験を決めたときから、人として成長してほしい、自立心を身につけてほしいと願っていました。実際に親元を離れ、日々、自分で考え行動する姿を見ていると、その思いが少しずつ形になっているように感じます。
これからは親が導くのではなく、彼自身の歩幅で進んでいくんだと思います。どのような選択を重ね、どんな大人になっていくのかを、楽しみに見守っていきたいですね。
\中学受験で得られた息子の成長/

取材後記
今回の取材で特に印象的だったのは、受験の意識づけから本番を終えるまで息子さんの個性を尊重しながら向き合い続けたお母様の姿でした。
息子さんは、自分で納得しなければ動けないタイプ。勉強が嫌いで、興味のないことにはなかなか取り組めません。「なぜ勉強しないのか」と責めるのではなく、「どうすればこの子が納得して動けるのか」を先回りして考え、導いていきました。
そして受験を終えた今、自ら学び、行動する姿を見せるようになったという息子さんの変化。その成長は、寮生活という環境だけでなく、ご家族が子どもの主体性を大事にしてきたからこそだと思います。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
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