都立高校入試で落ちたらどうしたらいい?打開策を現役塾講師が解説!


編集部
塾選ジャーナル編集部

ひのき進学教室 三軒茶屋校講師
大山雅司
都立高校の一次募集で志望校に合格できなかったとしても、まだ道は残されています。試験当日に実力を発揮できなかったり、自分の学力と合わない学校を受験してしまったりすることで、不合格になることは珍しくありません。また、中学卒業が迫る中で進学先が決まらず、不安を感じることもあるでしょう。
結論から言うと、都立高校の場合は打開策がありますので安心してください。今回はその打開策である「都立高校第二次・第三次・第四次募集」を中心に解説していきます。
現役受験生はもちろん、これから受験を考えている人にとっても、知っておくことで今後の備えになります。
一次募集で受からなくても、まだ打開策はある!
都立高校を第一志望にしていても、残念ながら全員が合格するわけではありません。2025年の都立高校入試(全日制)では、35,877人が受験し、28,188人が合格しました。つまり、約7,600人が不合格だったのです。
もし不合格になったとしても、落ち込むだけではなく、気持ちを切り替えて「次のステップ」に進むことが重要です。打開策として、以下の2つの選択肢があります。
・都立高校第二次募集を受験する
・私立の二次募集を受験する
都立高校第二次募集を受験する
都立第二次募集とは、第一次募集で入学手続き者数が募集人員に満たない高校が行うものです。二次募集と同時期に分割後期募集を行う学校もあります。分割募集とは、特定の学校が定員募集を2回に分け、 分割前期募集(第一次募集期間)と分割後期募集(第二次募集期間)を行います。
2025年度の全日制普通科の都立第二次募集と分割後期募集では、48校が1,587人募集を募りました。都立第二次募集も分割後期募集も原則として、学力試験は、国語・数学・英語の3教科が基本ですが、学校によっては面接や作文・小論文・実技検査を実施することもあります。
▶2024年度の最終応募状況
2024年度の全日制普通科の第二次募集の最終応募状況は、募集人数1,104人に対して最終応募数は782人、倍率は0.71でした。この数字から、定員が割れている学校を受けると合格の確率は高く、二次募集で進学先を決められる可能性は高くなります。
▶2025年度都立高校第二次募集 日程
参考として、2025年度の出願から合格発表までのスケジュールを紹介します。
2025年度都立高校第二次募集 | 日程 |
---|---|
出願受付 | 2025年3月6日 |
試験日 | 2025年3月11日 |
合格発表 | 2025年3月14日 |
私立高校の第二次募集を受験する
もう一つの選択肢として、私立高校の二次募集を受験する方法があります。
都内の私立高校でも、一次募集で定員に満たない場合、二次募集を実施します。ただし、学校ごとに募集人員や願書締切日が異なるため、事前に東京都のホームページ「都内私立高等学校の状況 第二次募集」などを確認することが重要です。
また、詳細情報は各高校の公式ホームページでもチェックしましょう。
中学卒業時点で進路が決まっていない場合の選択肢
もし二次募集にチャレンジして受からず、中学卒業時点で進学先が決まっていない場合はどうすればいいでしょうか。「進学できないのでは…」と不安になるかもしれませんが、まだ進学できるチャンスはあります。
公教育は、「学ぶ意思がある人が困っていれば、基本的に一人でも多く入学機会を確保しよう」とサポートしてくれるものです。その公教育の強いセーフティーネットを利用して、進学先を決めることができます。ただ、それを知っているか知らないかによって、今後の進路や人生の選択肢に大きな影響が出てくる可能性があるため、情報収集は重要になります。
打開策として、下記2つの選択肢がありますので、このあと詳しく説明します。
・都立高校第三次、第四次募集を受験する
・通信制高校を選ぶ
都立高校第三次、第四次募集を受験する
1つ目の打ち手は、第三次募集、第四次募集を受験すること。都立高校第三次募集とは、第一次・第二次募集の結果、募集人員の枠が埋まらなかった学校を対象に行うものです。第三次募集でも枠が余っている場合は、第四次募集も行います。前にも紹介したように、公教育は基本的に一人でも多く入学機会をつくるよう対応しているため、進学のチャンスはあります。
▶2024年度の最終応募状況
2024年度の全日制普通科では、13校が第三次募集を実施し、合計262人の募集を行いました。最終応募状況は、募集人数262人に対して最終応募数が29人、倍率は0.11でした。この数字を見ると、少なくとも定員が割れているところさえ受ければ、合格の可能性は非常に高くなると考えられます。
▶2024年度都立高校第三次募集 日程
2025年度の第三次募集・第四次募集日程は2025年2月時点では公開されていませんが、参考までに2024年度の第三次募集日程を紹介します。
2024年度都立高校第三次募集 | 日程 |
---|---|
出願受付 | 2024年3月21日午前9時~午後3時 |
試験日 | 2024年3月26日 |
合格発表 | 2024年3月27日 |
※第四次募集については、4月中に受付、選抜日、合格発表が行われます。詳細は各学校のホームページをご確認ください。
第三次、第四次募集ともに学力試験があり、教科は国語、数学及び外国語(英語)の3教科とし、その他の実施内容は、各高校によって異なります。
都立高校第三次・第四次募集で入学するメリット
① 全日制から通信制への変更のハードルが低い
一般的に、通信制から全日制に転学することは難しく、全日制から通信制への転学する方がハードルが低くなります。入学してからイメージと違うとなったときに動きが取りやすいのは全日制と言えるでしょう。この理由からも、第二次~第四次募集を受験して全日制の高校に進学することをおすすめします。
② 今後の進路を考える時間を持てる
高校に進学することで、その後の行動の選択肢が広がります。実際に入学したあと、学校になじんでそのまま通えればベストですが、なじめなかった場合は通信制の高校に転学することもできます。通信制の高校は入学時期が学校によって異なるため、全日制の高校に通いながら、どの学校がいいかじっくり検討することができます。自分がこれから何をしたいのか今後の進路を考える時間を持てる、という意味でおすすめします。
③ 他の高校に転学や編入できる可能性もある
他の高校に転学、編入できる可能性もあります。これは、高校に在籍していないと選べない選択肢のため、転学・編入を視野に入れて第三次募集を受験、進学するというのも一つの手段になります。転学と編入の制度について、このあと詳しく説明します。
● 浪人する選択肢をあまりおすすめしない理由 今回の打ち手には入れていませんが、「浪人をする」選択肢もあります。ただ、こちらはあまりおすすめしません。進学先が決まらない状況に至った原因は、厳しい言い方をしてしまえば、正しい情報の不足と認識のずれだと考えられます。抑えの高校に合格できなかった、自分の実力以上の学校を受験していた、などが起こってしまったのです。 少し厳しい言い方になってしまいますが、浪人を選択しても、その根本的な解決にはならないため、進学に向けての打ち手にはしないほうがいいでしょう。 |
通信制高校を選ぶ
2つ目の打ち手は、全日制の高校ではなく「通信制の学校を選ぶ」こと。通信制高校とは、通信教育で学習する学校のことです。基本的に毎日通学しない学校が多く、自宅学習がメインになるのが特徴です。全日制の高校と同じく、卒業の要件を満たせば高校卒業資格が得られます。
通信制高校の試験内容は、面接や作文、書類審査がメインで、学力試験がない学校もあって難易度はそれほど高くありません。実際の受験日などは、各都道府県や各学校のホームページを確認してください。
都立高校への転学・編入はどうしたらできる?
第二次・三次・四次募集を活用して高校に進学した後も、「やっぱり他の学校で勉強したい」と考えることがあるかもしれません。都立高校では、入学後に他の高校で勉強したい、将来の目標が変わったので違う学科で学びたい、などの進路希望に対応できるよう、定期的に「補欠募集(転学・編入学)」を行っています。転学と編入では、募集タイミングなどが違いますので、それぞれ説明していきます。
転学について
転学とは、高校に在学中の生徒が他の高校に入学すること。都立高校では、学期ごとに転学の募集を行っています。高校1年生の二学期は在籍している課程・学科とは異なる課程・異なる学科への出願ができます。高校1年生の三学期以降は原則、在籍している課程・学科と同じ課程・同じ学科への出願になります。
編入について
編入学とは、課程・学科など種類の異なる学校からの入学や、一度高校を退学してから別の高校に入学すること。都立高校では3月の学年末のみ実施しています。
転学・編入への流れ
全日制の都立高校から他の全日制の都立高校へ転学・編入学をする場合は、在学中の都立高校の校長と出願先の都立高校の校長の承認が必要になります。
また、転学・編入するための試験があります。入学試験とは違って、学校が募集してる人数分だけ合格するわけではなく、例えば募集人数が3人に対して合格者は2名、という場合もあり得るのです。
ここで大事なのは、「転学試験のほうが入学試験よりもハードルが高く、転学後の勉強についていける学力が最低でも必要になる」と考えた方が良い点です。それをふまえた上で、在学中に今後の進路をじっくり考えるのがいいでしょう。
諦めずに「都立高校第二次・第三次・第四次募集」で所属先の確保から
まず、都立高校の一次募集で不合格だった場合は、二次募集を受験することをおすすめします。 それでも進学先が決まらなかった場合は、都立高校の第三次・第四次募集を活用することで、進学のチャンスをつかむことができます。
高校に進学することで、自分の特性や学力を改めて見直し、今後の進路についてじっくり考える時間を確保できるというメリットがあります。さらに、その先には通信制高校への転学や、他の高校への編入といった選択肢も広がります。
また、学校の先生など教育のプロに進路相談ができることも、進学する大きなメリットの一つです。 相談できる環境を確保しながら、自分に合った進路を見つめ直すためにも、都立高校の第二次・第三次・第四次募集を積極的に活用することが最良の選択肢となるでしょう。
参考動画:2025年度 都立2次募集情報が出たので、対策まで解説します。
執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール

塾講師として中学・高校・大学受験指導を行っている。2020年にYou Tubeチャンネル「ひのき三軒茶屋」を開設し、主に高校受験に関する内容を配信中。2024年8月には都立高校の口コミ・データサイト「都立合格.com(ドットコム)」の運用を開始。“受験を少しでも面白く乗り越える”手助けを行うことを目標に動画制作を行っている。