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志望理由書とは?学校推薦型選抜・総合型選抜の合格につながる例文付き完全ガイド

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大学受験
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「志望理由書ってどう書けばいいの?」「何を書けば評価されるのかわからない」
学校推薦型選抜や総合型選抜(旧AO入試)を考えている方の中には、そのような悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか。

志望理由書は、受験生が「なぜその大学・学部を選んだのか」「大学で何を学び、将来どう生きたいか」を伝える重要な書類です。単なる作文ではなく、自分の考えやビジョンを言語化して伝える力が試されます。

この記事では、志望理由書の目的や役割をわかりやすく解説したうえで、学校推薦型選抜と総合型選抜それぞれで評価されやすいポイントや書き方のコツを具体的に紹介します。ぜひ志望理由書づくりの参考にしてください。

塾選ジャーナル編集部

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目次

大学受験の志望理由書とは?

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大学受験における「志望理由書」とは、受験生がなぜその大学・学部を志望するのかを自分の言葉で伝える重要な書類です。「大学で学ぶ意義」「その大学である理由」「その先の将来像」を、自分自身の言葉で論理的に伝えるために作成します。

特に、学校推薦型選抜や総合型選抜(旧AO入試)では、この志望理由書が合否を大きく左右します。

ここでは、大学受験における志望理由書の役割や特徴について解説します。

志望理由書の役割

志望理由書の役割は、受験生の将来の目標や学びへの意欲、考え方を伝えることです。大学側は、学力や調査書だけでは分からない「その人がどんな人柄か」「大学で何を目指しているのか」を、志望理由書を通して把握しようとします。

たとえ評定平均や活動実績が優れていても、志望理由書が曖昧で熱意が伝わらなければ、高評価にはつながりません。

反対に、成績が目立たなくても、「学びたい内容が大学の特色としっかり結びついている」「将来のビジョンが明確」な志望理由書であれば、合格の可能性は十分にあります。

つまり、志望理由書は「大学で学ぶ意義」「その大学である理由」「その先の将来像」を、自分自身の言葉で論理的に伝えるためのものです。

自己PRや活動報告書との違い

大学受験では、「志望理由書」のほかに「自己PR(自己推薦書)」や「活動報告書」を提出するケースがあります。これらは似ているようで役割や伝える内容が異なります。

自己PR(自己推薦書)の特徴

自己PRとは、自分の強みや人柄をアピールし、「大学にふさわしい人物である」と伝えるための書類です。

単なる自己紹介ではなく、「リーダーシップ」「協調性」「課題解決力」など、大学が重視する評価基準に即して、自分の価値を言語化することが求められます。

活動報告書の特徴

活動報告書とは、これまでの経験や実績を整理して伝える書類です。具体的には、部活動での表彰歴、学外活動で得た成果、取得した資格など、自分が積み重ねてきた努力や取り組みを記載します。

一方で志望理由書は、将来の目標や大学でどのように学びたいかを伝えるためのものです。活動報告書が「これまでの実績=過去」を証明する書類であるのに対し、志望理由書は「これからの目標=未来」を描く書類と位置づけられます。

このように、3つの書類は役割が明確に異なるため、それぞれの特性を理解し、内容が重複しすぎないように注意することが大切です。

なお、大学受験で重要な自己PRについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

志望理由書は入試方式によって評価されるポイントが違う

一口に「志望理由書」といっても、入試方式によって評価されるポイントは大きく異なります。

特に、学校推薦型選抜と総合型選抜(旧AO入試)では重視される視点が異なるため、それぞれに合わせた書き方を意識することが大切です。

以下に、2つの入試方式における志望理由書の評価ポイントの違いをまとめた表を掲載します。

志望理由書の評価ポイントの違い

  学校推薦型選抜 総合型選抜
評価されるポイント

・成績だけじゃない、学びへの姿勢と継続力

・高校での実績と志望学部のつながりがカギ

・探究心や社会的なビジョンの深さ

・入学後の学び方と活動への意欲

どちらの方式でも「なぜこの大学で学びたいのか」という志望動機の軸は共通していますが、推薦型は過去と実績の信頼性を、総合型は将来性と主体性を重視する傾向にあります。

各方式ごとの詳しい評価ポイントと書き方のコツは、後のセクションでくわしく解説しています。

学校推薦型選抜の志望理由書

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学校推薦型選抜では、学力や調査書だけでなく、「なぜこの大学・学部を選んだのか」「どのように学びを深めたいのか」といった本人の意欲や目的意識が問われます。

ここでは、学校推薦型選抜の志望理由書について解説します。

評価されるポイントは?

学校推薦型選抜における志望理由書では、以下のような視点が重視されます。単に「行きたいです」と書くだけでなく、大学の教育方針や学びの内容と、自分の経験や関心がしっかりつながっていることが評価されます。

成績だけじゃない、学びへの姿勢と継続力

学校推薦型選抜では、一定の成績基準を満たすことが出願条件になるケースが多くありますが、評価は成績だけで決まるわけではありません。

むしろ、重要なのは「どのように学びに向き合ってきたか」「継続的に努力できる人か」といった学習への姿勢や主体性です。

例えば、以下のようなエピソードがあると評価につながりやすくなります。

  • 苦手な科目にも粘り強く取り組んだ経験
  • 興味を持った分野について独自に調べ、学びを深めたこと
  • 定期的に学習計画を立て、目標を持って行動してきた実績

これらは、大学でも意欲的に学び続けられる資質があると判断される材料になります。志望理由書では「努力の過程」や「取り組みの姿勢」までしっかり言語化することがポイントです。

高校での実績と志望学部のつながりがカギ

学校推薦型選抜では、高校での活動実績と志望学部の内容がどれだけ結びついているかが大きな評価ポイントになります。

例えば、文学部を志望する場合には、国語の授業で扱った作品に深く興味を持った経験や、日常的な読書活動の積み重ね、生徒会で学校新聞や広報物の作成に関わった経験などが、志望動機の根拠になります。

一方、理工学部を目指す場合であれば、科学部での研究活動に打ち込んだことや、数学の探究学習で論理的思考を深めた経験、理科に関するコンテストや発表会に積極的に参加したことなどが、学問への関心と適性を示す材料になります。

このように、「自分の取り組んできたことが、大学での学びにどうつながるのか」を具体的に説明しましょう。

評価される志望理由書の構成と書き方

学校推薦型選抜で高評価を得る志望理由書を書くためには、内容だけでなく、構成のわかりやすさや展開の自然さも重要なポイントです。

いくら良い体験や実績があっても、順序やつながりが曖昧だと、伝わる熱意や説得力が弱くなってしまいます。

ここでは、読み手(大学側)に伝わる志望理由書の構成と書き方のコツを解説します。

興味関心から将来像へつなげるストーリー構成

評価される志望理由書の特徴は、「なぜこの学部に興味を持ったのか」から「大学での学び」「将来の目標」へとスムーズにつながるストーリー性にあります。

単に思いつきを並べるのではなく、自分の経験と志望理由に一貫した流れがあるかどうかが問われます。

例えば、地域の高齢者福祉に関心を持った生徒が、社会福祉学部を志望する場合、

  • ボランティア活動→もっと学びたいという思い→大学の学びとの一致→将来は地域の福祉に貢献したい

というふうに、「過去」から「未来」へと一貫したストーリーがあると、読み手に納得感を与えることができます。

大学の教育理念や学問内容にどう触れるか

志望理由書では、「なぜこの大学でなければならないのか」を明確に伝えることが非常に重要です。

そのためには、大学の教育理念や、学部・学科の学問内容にしっかり目を通し、それらと自分の学びたいことを関連づけて書くことが必要です。

大学側は、「自校のことをきちんと調べたうえで志望しているか」「学問への理解と適性があるか」を見ています。大学の理念やカリキュラムに触れながら、自分の経験や学びたい内容とつなげることが、説得力のある志望理由書につながります。

学校推薦型選抜の志望理由書・例文

ここでは、学校推薦型選抜の志望理由書の例文を解説します。

理系学部

私がやりたいことは、再生可能エネルギーを活用した持続可能な都市インフラの開発である。そのため、○○大学理工学部において環境エネルギー工学を専門的に学びたいと考えている。

きっかけは、中学3年の総合学習で取り組んだ「エネルギーと未来社会」に関する調べ学習である。その経験を通じて、限りある資源に依存する社会の不安定さと、気候変動がもたらす影響の深刻さに危機感を抱いた。

この気づきをもとに、高校では理科や数学に積極的に取り組み、特に熱力学や電力の変換効率に関心を深めた。また、地域の高校生向け科学フォーラムに参加し、太陽光パネルと蓄電池を組み合わせた住宅向け電力設計の提案をまとめて発表した。この活動を通して、技術的な可能性と社会的受容性の両立の難しさと、そのバランスを取る重要性に気づいた。

私は、「誰もが安心してエネルギーを使える社会」の実現を目指している。現在の日本では、再生可能エネルギーの導入が進む一方で、天候に左右される供給の不安定さやコスト面での課題が残る。この原因の一つは、発電と蓄電の技術が十分に融合・最適化されていないことにあると考えている。その課題に対し、スマートグリッド技術や制御工学の応用が有効であるという仮説を持っている。将来的には、エネルギーシステム開発に携わる技術者として、その解決策を実社会で実装していきたい。

大学入学後は、1年次に「エネルギー科学概論」などの基礎科目を履修し、2年次には「環境設計プロジェクト」などの実践的なカリキュラムに参加して現場の課題と向き合いたい。3年次からは、○○教授のゼミに所属し、分散型発電システムの制御アルゴリズムの研究に取り組む予定である。4年次には、「都市部における再生可能エネルギー利用最適化モデルの構築」をテーマに卒業論文をまとめたい。

○○大学では、理論と実践の両面からエネルギー課題にアプローチする機会が得られると確信している。技術と社会の架け橋となる学びができる場として、貴学を強く志望する。

文系学部

私がやりたいことは、国際的な文化の違いを理解し、共生を支える仕組みをつくることである。そのため、○○大学国際関係学部において、異文化理解や国際協力の実践的な学びを深めたいと考えている。

きっかけは、高校1年のときに参加した地域の留学生交流プログラムである。
私は英語が得意だったため、通訳役を任され、ベトナムから来た留学生と地域の高齢者との橋渡しをした。その経験を通して、言語を超えた価値観や文化的背景の違いが、理解を深める上で大きな壁になることを実感した。

その気づきをきっかけに、私は「異文化コミュニケーション論」や「多文化共生」に関する文献を自分で読み進めるようになった。また、高校の探究学習では、外国人労働者の受け入れ政策に関する発表を行い、文化的対立や偏見を乗り越えるための教育的アプローチについて考察した。

その活動を通じて、制度や政策だけでなく、現場での対話や相互理解を支える力の必要性に気づいた。

私が目指すのは、「異なる文化や立場にある人々が、相互理解に基づいてともに生活できる社会」である。しかし現状では、日本国内でも外国人居住者との間に文化的ギャップや誤解が生じ、地域社会における孤立が問題となっている。この背景には、教育・福祉・行政といった分野の現場で、十分な異文化対応の仕組みが整っていないことがある。そのため、私は将来的に多文化共生を支える国際協力団体や行政機関の一員として、現場と制度の両面から課題解決に携わりたいと考えている。

大学入学後は、1年次に「異文化理解入門」や「国際協力論」などの基礎科目を履修し、2年次には「フィールドスタディ」や「留学生支援プログラム」に参加して、実践的な活動を通じて理解を深めたい。3年次からは○○教授のゼミに所属し、国内における移民政策と教育制度の関係性について研究を進め、4年次の卒業論文では、「外国人児童の教育支援における地域と行政の連携のあり方」というテーマに取り組む予定である。

○○大学では、現場と学問を結びつけた実践的な国際教育が展開されていると感じている。自分の関心と将来の目標を具体的に育てていける環境があると確信しており、貴学を強く志望する。

評価されるポイントをしっかり意識しながら、自分の経験や思いを丁寧に言葉にしていきましょう。

総合型選抜(旧AO入試)の志望理由書

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ここでは、総合型選抜(旧AO入試)の志望理由書について解説します。

以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

総合型選抜(旧AO入試)の志望理由書の書き方をプロが解説【例文つき】総合型選抜(旧AO入試)の志望理由書の書き方をプロが解説【例文つき】

評価されるポイントは?

総合型選抜における志望理由書では、以下のような視点が重視されます。

探究心や社会的なビジョンの深さ

総合型選抜では、学力や実績だけでなく、学びへの主体的な探究心や、将来に向けた明確なビジョンを持っているかどうかが重視されます。

志望理由書では、大学で学びたい内容が、自分の目指す将来像や社会で果たしたい役割とどうつながっているのかを丁寧に説明することが大切です。

「将来○○になりたい」といった職業だけでなく、「どんな社会課題に向き合いたいか」「社会にどう貢献したいか」といった視点まで含めて書けると、志望理由書としての説得力が高まります。

大学で学びたいことと将来の目標がつながっていれば、入学後の学びの姿勢もイメージしやすくなります。「なぜその将来像を持つようになったのか」「そのために、なぜこの学部で学ぶ必要があるのか」を具体的に伝えることが、高評価につながるポイントです。

入学後の学び方と活動への意欲

総合型選抜では、「大学に入ってからどう学びたいか」「どのようにその学びを活かして行動したいか」という入学後の姿勢や意欲も評価の対象になります。

大学の学びは、高校までの授業とは異なり、自分で課題を見つけ、深掘りし、周囲と議論しながら学びを広げていくスタイルが中心です。そのため、志望理由書では「興味のある講義やゼミ」「参加してみたいプログラム」「やってみたい活動」などを具体的に書くと、自発的に学ぶ姿勢が伝わりやすくなります。

志望理由書では、こうした入学後の学びへの意欲や行動計画を、できるだけ具体的に描いていきましょう。

評価される志望理由書の構成と書き方

総合型選抜で高評価を得るためには、志望理由書の構成や書き方を工夫することが大切です。

ここでは、大学の選考担当者にしっかり伝わる志望理由書を作成するための構成と書き方のポイントを解説します。

原体験から社会との接点を描く構成

総合型選抜の志望理由書では、自分の経験や気づきが、どのように社会課題や学問分野とつながっているかを丁寧に描くことが大切です。

評価される構成のポイントは、自分の内側から生まれた関心が、次第に社会と接続していく過程をしっかり伝えることです。

原体験は身近で個人的なもので構いません。重要なのは、その体験からどんなことを考えるようになったのか、そしてそれが「社会で役に立ちたい」「課題を解決したい」といった広い視野につながっていくかどうかです。

このような構成を意識することで、読み手(大学側)は「この学生は、自分の経験を通して物事を深く考え、それを社会に活かしたいという意志を持っている」と感じやすくなります。

大学と自分のビジョンの重なりを伝える

志望理由書では、「自分のやりたいこと」と「大学で学べること」がどれだけ重なっているかを明確に伝えることが、高評価につながる大きなポイントです。

どれほど将来のビジョンが明確でも、それが大学の教育方針やカリキュラムとずれていては説得力が弱くなってしまいます。

大学ごとの教育理念や特色ある学び、ゼミ・プログラムの内容をしっかり調べたうえで、「自分の関心・目標とどうつながるか」を具体的に書くことが大切です。

また、「大学で何を学び、どう社会に還元したいのか」という学びの先まで見据えているかどうかも大切な視点です。

入学後の学びの計画と、自分が思い描く将来像がつながっていると、大学側も入学後の成長を具体的にイメージしやすくなります。

総合型選抜の志望理由書・例文

ここでは、総合型選抜で評価される志望理由書の例文を紹介します。なお、ほかにも例文を見てみたいという方は、以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

志望理由書の例文集|学部×文字数別“自分らしさ”が伝わる書き方【専門家監修】志望理由書の例文集|学部×文字数別“自分らしさ”が伝わる書き方【専門家監修】

理系学部

私がやりたいことは、都市における持続可能な水資源の循環システムを構築することである。そのため、○○大学工学部で水環境工学や都市インフラに関する専門的な知識と技術を学びたいと考えている。

きっかけは、中学生のときに発生した豪雨によって地元の川が氾濫し、住宅街が一時的に浸水した経験である。生活インフラが数日間停止したことを通じて、人の暮らしと自然環境の密接な関係性や、インフラの重要性に関心を持つようになった。

その気づきから、高校では物理や地学に力を入れて学び、特に水理現象や構造物の安定性に興味を抱いた。また、地域の防災シンポジウムに参加し、水害対策に取り組む大学の研究者の講演を聞いたことをきっかけに、より実践的な知識を深めたいという意欲が強まった。

その後、自主研究として、自宅周辺の排水設備の構造や土地の勾配による水の流れを調査し、マップとともに発表資料を作成した。この活動を通じて、自然環境と社会インフラの調和には、科学的視点と地域視点の両立が必要であることに気づいた。

私が目指すのは、都市において人と自然が共存できる水循環の仕組みをつくることである。現在、多くの都市では急速な開発によって水資源の管理が分断されており、局地的な洪水や水不足が発生している。この背景には、都市設計の段階で水環境全体を見渡す視点が欠けていることがあると考えている。
そのため、発電・排水・再利用を統合的に捉える“ブルーインフラ”の発想が必要であり、私はその実現に取り組みたい。

将来は、水資源の保全と都市防災を両立できる都市設計の専門技術者として、持続可能な社会に貢献したいと考えている。

大学入学後は、1年次に「都市環境とインフラ設計」などの基礎科目を履修し、2年次には「フィールド演習」などの実習科目に参加して、実際の都市構造と地域課題を現地で学びたい。
3年次からは○○教授のゼミに所属し、雨水管理と地盤構造の関係性について研究を深め、
4年次の卒業論文では「都市におけるブルーインフラ設計の有効性と適用条件」というテーマに取り組む予定である。

○○大学では、都市環境における課題に対して理工学的にアプローチできる教育体制と研究環境が整っている。
自分の関心と将来の目標を具体的に実現できる場所であると考え、○○大学を志望する。

文系学部

私がやりたいことは、地域経済の活性化に貢献できる仕組みをつくることである。そのため、○○大学経済学部で、経済政策や地方創生、行動経済学などの視点から、地域社会を支える知識と実践力を身につけたいと考えている。

きっかけは、高校2年生のときに行った地元商店街の空き店舗調査とアンケート活動である。まちづくりに関心のある同級生とともにフィールドワークを行った際、「人が来ないから店が減る」「店が減るからさらに人が来なくなる」といった悪循環が起きていることに気づいた。

この体験を通して、経済活動は数字や理論だけでなく、人の行動や心理、地域のつながりとも深く関わっていることを実感した。それ以来、経済学の入門書を読み始め、「行動経済学」や「ナッジ理論」といった、人の意思決定に影響を与える仕組みに強く関心を持つようになった。

さらに、地元の市議会による公開フォーラムに参加し、地域経済の持続には制度設計だけでなく住民参加の視点が必要であることを学んだ。高校の総合探究の時間には、「高校生による地域課題提案コンテスト」に参加し、空き店舗を活用したシェア型商業スペースの企画提案を行った。

私が目指すのは、経済政策と現場の知見をつなぎ、地域に根ざした仕組みを設計できる人材になることである。現在、多くの地方都市で人口減少と経済縮小が課題となっており、国の支援策だけでは持続的な再生が難しい状況にある。その原因の一つとして、経済支援が現場の実情に合っていないことや、住民の行動変容を促す視点が不足していることが挙げられると考えている。
そのため、経済学の理論に加えて、地域の声を取り入れた政策立案の力を養いたい。

将来は、地域に関わる政策や事業に携わる立場として、“人が動きたくなる仕組み”をつくり、地域経済を支える存在になりたい。

大学入学後は、1年次に「ミクロ経済学」「統計基礎」などの基礎科目を履修し、2年次には「地域経済論」や「経済政策ワークショップ」に参加して、実際の地域課題に対する分析力を高めたい。
3年次からは○○教授のゼミに所属し、地域再生と行動経済学をテーマに研究を進め、
4年次には「地域における商業空間再設計の経済効果分析」を卒業論文のテーマとして取り組む予定である。

○○大学では、地域経済と政策に関する実践的なプログラムやゼミが充実しており、自分の関心にぴったり合っていると感じている。学びと社会を結びつけながら、自分のビジョンを現実のものにしたいと考えているため、○○大学を志望する。

総合型選抜では、学力だけでは見えにくいあなた自身の興味関心、探究してきたこと、そして将来への思いを、志望理由書を通して伝えることが求められます。

評価されるポイントを意識しながら、「なぜその学問なのか」「なぜその大学なのか」「自分はその先で何をしたいのか」という問いに、自分の言葉で丁寧に向き合ってみてください。

これだけは必須!志望理由書に必ず盛り込む4つの内容

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志望理由書では、「何を伝えるか」という構成が非常に重要です。どれほど熱意があっても、伝えるべき要素が抜けていると、内容に説得力が欠けてしまいます。

ここでは、どの入試方式にも共通して求められる「志望理由書の基本4要素」を紹介します。これらを意識しながら、自分の経験や考えを丁寧に言葉にしていきましょう。

なぜその学部に興味を持ったのか

まず大切なのは、「なぜこの学部・学科に関心を持ったのか」という興味の原点を明確にすることです。

どんなきっかけでその分野に惹かれたのか、どんな体験や出来事からその関心が生まれたのかを、自分の言葉で具体的に伝えましょう。

例えば、「授業の内容が印象に残った」「本やドキュメンタリーで興味を持った」など、きっかけは日常の中にあるもので構いません。

大切なのは、その関心を持ったあとにどんな行動をしたのか、その関心が現在どうつながっているのかを説明することです。

また、「得意科目だったから」や「将来に役立ちそうだから」といった理由にとどまらず、自分なりの視点やエピソードを交えて書くことが、印象に残る志望理由書につながります。

卒業後に描いている進路や将来像

志望理由書では、「大学で学んだあとに自分がどうなりたいのか」という将来像や進路のイメージを言葉にすることも重要です。

その学部で学ぶ内容が、自分の夢や目標にどう結びついているかを説明できれば、大学側も入学後の姿を具体的に想像しやすくなります。

「○○になりたい」「○○の分野で働きたい」といった職業に加え、「どんな課題を解決したいのか」「社会の中でどんな役割を果たしたいのか」といった社会への貢献や問題意識の視点を持てると、より深みのある志望理由になります。

また、「卒業後すぐに働く」「大学院に進学する」「海外で活動する」など、進路の方向性が見えている場合は、その理由や背景も含めて説明しましょう。

「大学で何を学び、どう生かすか」という学びの目的が明確になり、学部とのマッチ度の高さを伝えることができます。

大学で具体的に学びたい内容

志望理由書では、「○○に興味があります」といった抽象的な表現だけでなく、どのような授業や研究テーマに関心があるのか、それを通じて何を学びたいのかまで具体的に書くことが大切です。

例えば、大学のシラバスで開講科目を調べたり、オープンキャンパスで教員や在学生の話を聞いたりしたうえで、「1年次の○○という授業で基礎的な知識を学び、2年次からのゼミでは○○をテーマに研究を深めたい」など、年次ごとの学びのイメージを含めて記述できると、志望度の高さがしっかり伝わります。

また、教授の研究内容や学部の教育理念などに触れることで、「なぜこの大学・この学部でなければならないのか」という動機の根拠も強化されます。

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調べたことや大学選びの根拠

志望理由書では、「なぜこの大学・この学部を選んだのか」という問いに対して、自分でどのように調べ、どう納得したのかを示すことも重要です。

特に総合型選抜では、主体的な学びへの姿勢や、情報を自分なりに咀嚼する力が評価されます。

関心のある分野について自分で本を読んだり、ニュースや論文を調べたりした経験があれば、どのようなことを知り、どんな考えを持ったのかを自分の言葉でまとめて書くようにしましょう。

単に「調べました」と書くのではなく、「何を知り、どう感じたのか」まで含めて書くことで、大学側に主体性や将来への意志が伝わります。

志望理由書を書くときに使える!自己分析と具体化のステップ

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志望理由書を説得力のあるものに仕上げるためには、「何を書けばいいか」だけでなく、「自分はなぜそう思うのか」を掘り下げて言語化することが重要です。

そのためには、自己分析を通して自分の関心や考えを整理し、段階的に具体化していくステップを踏むのが効果的です。

ここでは、志望理由書を書く前の準備として活用できる、自己分析と具体化の進め方について紹介します。

なぜその学校・学部を選んだのかを書き出す

まず最初に取り組みたいのが、自分がなぜその学校・その学部を選んだのかをできるだけ具体的に書き出してみることです。

これは志望理由の「軸」をつくる作業であり、自分でも気づいていなかった関心や価値観を見つけるヒントになります。

はじめは箇条書きでも構いません。例えば次のような視点から考えてみましょう。

  • どんなきっかけで興味を持ったか(授業、体験、本、ニュースなど)
  • 高校生活の中で特に関心をもって取り組んだこと
  • 他の大学ではなく、この大学・この学部を選んだ理由
  • 将来の目標とどうつながっているか

書き出した内容を見返すことで、「自分はこういう価値観を大事にしている」「こういう学びのスタイルが合っている」など、言語化できていなかった思考の傾向が見えてきます。

将来どうなりたいのかを言語化

自己分析を進めるうえで大切なのが、自分が将来どうなりたいのかを言語化することです。

明確な目標があればそれを書いても構いません。まだ職業が決まっていない場合でも、「どんな社会にしたいか」「どんな立場で人や地域と関わりたいか」といった方向性を示すことが大切です。

はじめから完璧に書ける必要はありません。まずは以下のような問いを使って、自分の中にある将来のイメージを掘り起こしてみましょう。

  • 将来、どんな分野で誰の役に立ちたいと思うか
  • 高校生活で「これをしているとき楽しかった」「もっと深く知りたい」と感じたことは何か
  • 課題だと感じている社会の問題に、どう関わっていきたいか
  • 「こういう人になりたい」と思うロールモデルはいるか

こうした問いを通して出てきたキーワードや思いは、学びたい内容や大学の志望動機とつながる大切な材料になります。

志望理由書では、「将来は○○として働きたい」だけでなく、「そのために今、なぜこの学びが必要なのか」をセットで語れると、より説得力のある内容になります。

自分史やモチベーショングラフを書き出す

志望理由書の内容を深めるためには、自分自身のこれまでの経験や感情の変化を可視化する作業が非常に有効です。

その手法としておすすめなのが、「自分史」と「モチベーショングラフ」です。

自分史

自分史とは、小学校〜高校までの期間を振り返り、どのような活動に取り組み、どんな出来事があったのかを年表形式でまとめる作業です。

表にすることで、自分が何に熱中してきたのか、どの時期にどんな価値観が形成されたのかが一目でわかるようになります。

年・学年 出来事・活動 自分が感じたこと・得たこと
中1 科学部に入部 身近な自然に興味を持ち始めた
高1 探究活動で発表 調べて考えることが楽しいと感じた

このように記録しておくと、志望理由書のエピソード選びにも役立ちます。

モチベーショングラフ

モチベーショングラフとは、自分の過去を振り返りながら、やる気や気持ちが高まった時・落ち込んだ時をグラフにして表す方法です。

縦軸にモチベーションの高さ、横軸に時期(学年や年齢)を置き、グラフ化することで、自分がどんな状況で力を発揮できるのか、逆に何が苦手なのかが見えてきます。

マインドマップを書き出す

自己分析を進めるうえで、もう一つ効果的な方法が「マインドマップ」です。マインドマップは、頭の中にある考えやキーワードを図として可視化することで、自分の思考を整理し、客観的に捉えるための手法です。

やり方はシンプルで、まず紙の中心に「興味があること」「将来どうなりたいか」といったテーマを書き、そこから連想するキーワードや出来事を枝のように広げていきます。

例えば「国際協力」と書いたら、そこから「外国」「語学」「異文化」「留学生支援」「高校での体験」など、思いつく言葉をどんどん書き足していきます。

ポイントは、「うまくまとめよう」とせずに、自由に思いつくまま書き出すことです。

書いているうちに、自分の中でつながっていなかった関心や行動の関係性に気づくこともあります。

マインドマップを使うと、自分の興味関心がどの方向に向いているか、どこに強く反応しているかが視覚的にわかるため、志望理由書で語るべきテーマの軸を見つけやすくなります。

志望理由書の書き方は?

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学校推薦型選抜や総合型選抜に共通して求められる志望理由書の書き方には、いくつか押さえておきたい基本の流れがあります。

順序立てて書くことで、読み手にとって分かりやすく、納得感のある文章に仕上げることができます。

  1. 興味を持ったきっかけを明確にする
  2. テーマについて自分なりに調べたこと・気づいた課題を記述
  3. 描いている将来像とその背景を記述
  4. その実現に向けて大学でどう学びたいかを記述
  5. 書いた後に見直しをするのを忘れずに

論理の流れが自然につながっているか、自分の中で矛盾が生じていないかを意識しながら書き進めることが大切です。

特に「きっかけ→学びたいこと→将来像」の流れを意識すると、説得力が高まります。

加えて、文章として読みやすく仕上げるために、次のポイントにも注意しましょう。

  • 最初から完璧な文章を目指すのはNG
  • イメージは「多く書いて後から削る」
  • 志望理由書は「だ・である調」で書く
  • 文章表現のマナーはマスト
  • エピソードは具体的に書く
  • 1文は長くしすぎない

志望理由書の書き方について、より詳しく知りたい方は以下の記事でも解説しています。

具体例や添削ポイントもあわせて確認してみてください。

志望理由書の書き方|ゼロからでも書ける3ステップ【専門家監修】志望理由書の書き方|ゼロからでも書ける3ステップ【専門家監修】

志望理由書の例文は?

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志望理由書の完成度を高めるには、実際の例文を参考にしながら構成や言葉の使い方を学ぶことが効果的です。

ただし、例文をそのまま丸写ししてしまうのではなく、自分自身の体験や考えに照らし合わせて、伝え方のヒントとして活用することが大切です。

以下の記事では、志望理由書に関する著書も持つ専門家・福井先生の監修のもと、大学受験における志望理由書の例文を学部別・文字数別に紹介しています。

「自分らしさ」をどう出せばいいかに悩んでいる方にも役立つ、書き方のポイントやNG表現の解説も掲載しています。志望理由書づくりの第一歩として、ぜひご活用ください。

志望理由書の例文集|学部×文字数別“自分らしさ”が伝わる書き方【専門家監修】志望理由書の例文集|学部×文字数別“自分らしさ”が伝わる書き方【専門家監修】

志望理由書についてよくある質問(FAQ)

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志望理由書を書くうえで、多くの受験生がつまずきやすいポイントがあります。

ここでは、よくある疑問について丁寧に解説します。

志望理由書はどう書き出せばよいですか?

志望理由書の書き出しは、第一印象を決める非常に重要なパートです。読み手の関心を引きつけつつ、自分の意志や目的を明確に伝える構成がポイントになります。

例文としては、以下のような内容です。

私が目指すのは、「すべての人が直感的に使える、やさしいテクノロジーをつくること」だ。
そのために、貴学の情報工学科でアルゴリズム設計を学びながら、社会課題の解決につながるソフトウェア開発の力を身につけたいと考えている。

このように、「○○をしたい」という目標と「だからこの大学で○○を学びたい」という流れを、簡潔かつ明瞭に示すことがポイントです。

志望理由書の書き方にルールはありますか?

明確な「正解」があるわけではありませんが、志望理由書を書く際には押さえておくべき表現上のルールやマナーがあります。

読みやすく、伝わりやすい文章にするためにも、次のような点を意識しましょう。

  • 最初から完璧な文章を目指すのはNG
  • イメージは「多く書いて後から削る」
  • 志望理由書は「だ・である調」で書く
  • 文章表現のマナーはマスト
  • エピソードは具体的に書く
  • 1文は長くしすぎない

こうしたポイントを押さえることで、内容だけでなく文章としての完成度も高い志望理由書が書けるようになります。

書いたあとは、必ず見直し読み返しを行い、可能であれば先生や家族など第三者にも読んでもらいましょう。

なお、それぞれのポイントについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

志望理由書でNGワードはありますか?

志望理由書を書く際には、避けたほうがよいNGワードや表現があります。

例えば「さまざまな」「多様な」「いろいろな」といった抽象的な言葉は、具体性に欠け、志望動機の説得力を弱めてしまいます。

また自己評価を下げる表現や、他大学と比較して志望校を持ち上げるような書き方も避けましょう。これらは「やる気がない」「消去法で選んだ」といった誤った印象を与える可能性があります。

NGワードを避けるだけでなく、自分の体験・関心・考えを具体的な言葉で語ることが大切です。主観的な思いと客観的な行動がつながった文章は、読み手に真剣な意欲を伝える力を持ちます。

志望理由書対策で塾に通う必要はありますか?

志望理由書の対策に不安がある場合、塾や予備校などの外部サポートを活用するのは有効な選択肢です。

高校によっては、先生が添削や面接指導をしてくれる場合もありますが、多くは高校3年生の秋以降など時期が限られており、十分なサポートを受けにくいケースも少なくありません。

また、志望理由書は自分の思いや将来像を言語化する必要があるため、独学で完成度を高めるのは意外と難しいという声もよく聞かれます。

「書いてください」と言われても、「どこから手をつければいいのか」「何を書けば良いのか」などで迷ってしまうことも多いでしょう。

塾に通うことで、自分の経験や興味を言語化するサポートが受けられるほか、添削指導や大学ごとの出題傾向をふまえた対策もしてもらえます。

面接や小論文とあわせたトータル対策ができるのも、塾ならではのメリットです。

おすすめの塾については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

総合型選抜(旧AO入試)塾に行くべき?知らないと損する選び方を完全ガイド総合型選抜(旧AO入試)塾に行くべき?知らないと損する選び方を完全ガイド

まとめ 志望理由書は自分の言葉で熱意を伝えることがカギ!

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志望理由書は、これまでの経験や考えをもとに、「自分がなぜその大学を志望するのか」を言葉で伝える大切な書類です。形式や評価ポイントは受験方式によって異なりますが、共通して大切なのは、自分の言葉で「学びたい理由」や「将来への思い」を真摯に伝えることです。

高校での取り組みや、きっかけとなった体験、そこから得た気づきや目標をしっかり整理することで、自分らしい志望理由が見えてきます。抽象的な表現ではなく、具体的なエピソードや調べた内容、自分なりの課題意識を盛り込むことを心がけましょう。

志望理由書に必要なのは、立派な実績よりも、自分の言葉で伝える「熱意」と「目的意識」です。自分自身の経験や思いを丁寧に振り返り、「だからこの学びを選んだ」というストーリーを、自信を持って書いていきましょう。

執筆者プロフィール

塾選ジャーナル編集部
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塾選ジャーナル編集部

塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。

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