「中学受験しない」選択でマレーシアへ。教育移住で娘が変わった理由と誤算
内向的だった娘が移住後、合唱部のソロパートに自ら手を挙げるようになった──。
「中学受験をしない」選択とともにマレーシア・クアラルンプールへ教育移住した丸山さん。渡航から約1年半が経ち、学力以上に娘の“積極性”の変化を実感しているといいます。移住当初は、事前に調べていた情報と実際との違いに戸惑うこともあったのだとか。
今回は、そんな丸山さんに、移住先選びや渡航準備のポイント、英語や生活コストの現実、そして予想していなかった子どもと家族の成長について伺いました。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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目次
【保護者プロフィール】
| お名前 | 丸山 由香里(仮名) |
|---|---|
| 年齢 | 43歳 |
| 移住前の居住地 | 神奈川県横浜市 |
| 家族構成 | 3人家族(父・母・娘) |
【子どものプロフィール】
| 子どもの名前 | 丸山 佳純(仮名) |
|---|---|
| 性別 | 女子 |
| 現在の年齢 | 10歳 |
| 性格 | 内向的、人見知り、消極的、負けず嫌い |
【移住の概要】
| 移住先 | マレーシア・クアラルンプール |
|---|---|
| 移住時期 | 2024年8月 |
| 移住形態 | 母子移住(夫は日本で勤務、定期的にマレーシアへ) |
| 子どもの年齢(移住当時) | 9歳 |
| 学校 | インターナショナルスクール(英国式カリキュラム) |
| 学費 | 約200万円(年) |
| 準備期間 | 約8か月 |
| 見学した学校数 | 5校 |
マレーシア教育移住のきっかけと渡航準備──「中学受験をしない」という決断

―まずは、教育移住を考え始めた経緯から教えてください。
2020年頃、最初に話を持ちかけたのは夫でした。「経済成長が著しい東南アジアで子育てをしたい」という想いが以前からあったようなんです。
ただ、コロナ禍で動けない時期もありましたし、すぐに決断できたわけではありません。検討を始めてから実際に渡航するまで、結果的に約4年かかりました。本格的に準備を進めたのは渡航前の8か月ほどです。
私自身は当初、日本での中学受験も視野に入れていました。娘が通っていたのは、8割ほどが中学受験をするエリアにある公立小学校。周囲の子どもたちの多くが、塾に通い始めていた時期でもありました。 教育移住をすることは、同時に「中学受験をしない」と決めることでもあったんです。
―今回の教育移住は母子移住という形をとられたそうですね。
はい。夫は日本で仕事を続けていて、定期的にマレーシアに来るかたちです。 マレーシアは母子移住のケースも多いと聞いていて、そうした先行事例がある安心感もありました。
―移住先としてマレーシアを選ばれた決め手は何でしたか?
理由はいくつかあります。まず地震や台風といった自然災害が少ないこと。加えて、気候も年間を通じて安定していて、暮らしやすい点も魅力の一つでした。
また、マレーシアは多民族国家なので、外国人に対する偏見が比較的少なく、日本人に対しても友好的な印象があって。物価も当時はまだ他の国に比べて抑えられており、その辺りが決め手になりました。
―お子さんには、どのようなタイミングで、どんなふうに伝えましたか?
現地へ学校見学に行く前後のタイミングで、「ちょっとママと1年ぐらいマレーシア行かない?」と持ちかけました。娘の当初の反応は、一言でいえば「めちゃくちゃ拒否」。「お友だちもいるから絶対に嫌だ」と。「とりあえず一度見に行こう」「嫌だったらすぐ帰ろう」と言いつつ、ゲームを買ってあげるよと条件も出しながら、説得したのを覚えています(笑)。
事前にエージェントや学校に「こういう子です」と共有していたこともあって、見学中に先生がすごく話しかけてくれました。日本人の生徒が英語でコミュニケーションしている姿も見ることができて。その結果、徐々に娘のなかでもポジティブな気持ちが芽生えたようです。見学を終える頃には「1年くらいだったら行ってもいいよ」と、移住に気持ちがシフトした様子でした。
―丸山さんご自身の心境としても、当初は移住への不安がありましたか?
そうですね。娘はもともと犬・猫・ダニ・スギ花粉など、多くのアレルギーに反応してしまう体質で、さらに軽度の喘息もありました。それがいちばんの不安でしたね。マレーシアには秋にインドネシアから汚れた空気が飛んでくる「ヘイズ」という現象があって、ひどい年は窓も開けられないほどだと聞いていたので、健康状態が悪化しないか心配でした。
とはいえ、娘の体調にどう影響するかは、正直行ってみないとわからない面もありました。もし悪化するようなことがあれば、すぐに撤退する。そう決めて移住しましたが、結果的には1年半暮らして悪化したことはなく、むしろスギ花粉がないので娘は「最高」と喜んでいます。
―そうした不安があったなかでも、最後は移住に踏み切れたきっかけはありましたか?
正直なところ、最後はもう"勢い"でした。やっぱり日本は快適ですし、理性で考え続けていたら、おそらく決断できなかったと思います。
とはいえ、「合わなかったらすぐ帰ってこよう」とも考えていました。 学費も基本的にはターム(学期)単位で払えて、年間分を一括で支払う必要はない。だからこそ、「まずは1年」の気持ちで移住へ踏み切れました。

マレーシアは多民族国家なので、チャイニーズニューイヤーやディパバリ(インドのお祭り)など、
いろいろな民族の文化を体験する機会が多い。
―移住先の検討から渡航までは、どのような流れで進んでいきましたか?
本格的な準備期間は約8か月です。大きな流れとしては、 情報収集→学校選び→現地下見→学校決定→渡航→ビザ申請・住居探し、という順番ですね。

私たちの場合、学校が決まってから渡航への道筋が一気に見えてきました。インターナショナルスクール(以下、インター)の入学許可が下りてから、学校側がマレーシアの教育省に留学承認を申請。承認されたら、子どもは「学生ビザ」を申請し、保護者はそれに紐づく「ガーディアンビザ」を申請する感じです。
ビザの申請や住居探しは入国後に進めるかたちで、私たちの場合は最初の数週間はホテルに滞在しながら、現地で物件を見て住居を決めました。
―物件をはじめ、暮らしに関わる情報はどう集めましたか?
同じ学校に通う保護者からの一次情報ですね。判断材料として最も役立ちました。
エージェント経由で保護者の方を紹介してもらったり、教育移住の検討者や現地在住者など1,500人ほどが参加するLINEのオープンチャットを活用したりしました。いずれも学費や先生の質、日常生活に関するリアルな話を色々と聞くことができ、今もすごく重宝しています。
―現地の学校見学はどのように進められましたか?
まず、数としては計5校を見学しました。見学時に重視したのは、施設の質や学校全体の雰囲気です。なかでも清潔感は、学校によって差が小さくありませんでした。
マレーシアはイスラム教を国教とする国なので、習慣的な事情もあって、ローカルの施設に行くとトイレ全体が常に水でぬれていることがあります。日本人の感覚からすると、どうしても反射的に「汚れているのかな…」と感じてしまうこともある。そうした文化的な背景も含め、学校によって施設の衛生面については大きな差があり、それは学費帯に比例する印象でした。実際に見学して、初めて気づいた点の一つでしたね。
娘自身も、トイレの綺麗さや生徒の様子を見ていたようで、最終的には「この学校がいい」と自分で決めてくれました。「ここだったら楽しく通えそう」と思える場所かどうかを、子どもなりにしっかり見ていたんだと思います。
―8か月の準備期間で、最も苦労されたことは何でしたか?
意外かもしれませんが、 住居探しがいちばん大変だったと感じます。知人に紹介してもらった日本語のできるエージェントにお金を払ってお願いしたのですが、現地での対応が十分ではなく、希望通りに進まない場面がありました。
また、物件の質にもかなりバラつきがあった印象です。今後移住される方は、可能なら実際に現地で内見して確認したほうがいいかもしれません。

学費・生活費・語学力──マレーシア教育移住で「思っていたのと違った」こと

―英語について、渡航前の娘さんの語学力と準備したことを教えていただきたいです。
娘は3歳から1対1の英会話教室に通っていましたが、渡航時点での語学力はほぼゼロに近い状態でした。
そこでインターへの入学を見据えて、バイリンガル講師によるグループレッスンに切り替えました。内向的で人見知りな性格だったので、最初は1対1の方がいいかなと思っていたのですが、実際にやってみたら集団の方が合っているとわかってよかったです。
―ほかにも、語学面で渡航前にやってよかったと感じる準備はありますか?
「トイレに行きたい」「水が飲みたい」など、学校生活で最低限必要な英語のフレーズを事前に教えたことです。完璧な英語を身につける必要はないけれど、まずは最低限、日常生活に困らない状態にしたい。そうすれば、あとは実際に過ごすなかで自然と身についていくと考えていました。
―語学力の向上を期待して教育移住を検討される方も多いと思います。実際のところはいかがですか?
正直に言うと、娘は思ったよりも向上に時間がかかっています。そもそも、いま通っているインターは英語を教える場所ではなく、英語で授業をする場所です。英語そのものの習得には別途サポートが必要だと、移住して気づかされました。

授業の内容を書き留めたノート。
英語そのものを学びながら、ほかの教科も英語で学んでいる。
―具体的に、どのようなフォローをしていますか?
特にフォローしているのは、日常レベルというよりは、さらに学術的な英語に関してです。宿題に取り組もうにも、まず問題文が読めないといった壁にぶつかってしまって。その壁を乗り越えられるように、今は学校とは別に英語の塾にも通わせています。
インターに入れれば自然に英語ができるようになると思っていたのですが、実際にはそうではありませんでした。日本にいるときと同様、塾に入るなど別途サポートが必要なんだという現実は、移住してから気づいたことの一つです。
―学費についてお聞きします。実際にはどのくらいかかっていますか?
娘が通っているインターの場合、年間約200万円です。マレーシアのインターの学費はピンキリで、小学校低学年であれば年間30万円前後のところから300万円以上まで、かなり幅があるかと思います。教師のネイティブ比率や施設の充実度に影響される印象です。
少し話を広げると、マレーシアのインター選びでよく聞く判断軸は、大きくカリキュラム(英国式・米国式・IBなど)、学費帯、ネイティブ講師比率、施設や立地、日本人比率の5つ。すべてを満たす学校はなかなかないので、学費も含めて、何を優先するかの整理は検討段階で行うようにしました。
―生活費はいかがですか? ネット上では「日本の3分の1」という情報も見かけますが。
実感としては、全然そんなことはないです。
ローカルスーパーで食材を買えば安いですが、子どもに安全なものを食べさせたい、食材の産地にこだわりたいと思うと、日本と同じかそれ以上かかる。たとえば、生食できる卵は10個で400円くらいすることもあります。
住居は母子だけなら安いところでは月5〜6万円程度から、しかもプール・ジム付きなど好条件で探せるので、住居費だけ見れば確かに割安です。ただ、 生活費全体としては「日本と大きくは変わらない」のが正直なところです。

居住者が無料で使用できるジム。
ほかにもプールやバドミントンコートなどもあるのだとか。
―円安の影響もありますか?
あります。それに加えて、マレーシア自体の物価も毎年5%くらい上がっていて、学費も毎年値上がりしているんです。為替と物価上昇のダブルパンチなので、数年前の情報をそのまま信じると、実際の出費との差がかなり大きくなると思います。

マレーシア生活と“日本語維持”──現地の暮らしと文化適応のリアル

―マレーシアの生活文化への適応はいかがでしたか?
私と娘は、比較的スムーズになじめました。先ほども少し触れたとおり、マレーシアは多民族国家で日本人に対する偏見も少なく、暮らしやすい環境だと感じます。
住まいはジムやプール付きのコンドミニアムで、広さも含めて住環境は、日本よりずっとゆとりがありますね。
とはいえ、トラブルもいろいろ起こります。入居1週間でオーナーが電気代を払い忘れていて電気を止められたり、お昼を食べに出ようと玄関を出て、窓を閉めたか気になってドアを開け直そうとしたら、もう開かなくなっちゃって閉め出されたり。日本では考えられないようなことが普通に起きるので、最初は驚きもありました。
加えて、清潔さの基準や時間感覚など、日本との違いに戸惑う場面もあります。そこも含めて「異文化に触れる」体験の一部だと捉えるようにしています。
―現地の日本人コミュニティの存在は助けになっていますか?
すごく助けになっています。食品の調達先や各種手続きの方法、暮らしの細かい部分まで一次情報を交換できるのは本当にありがたいです。ネットの情報だけでは、どうしてもわからないことが多いので。
クアラルンプールには日本人が比較的多く住んでいるエリアがあり、日本食材が手に入るスーパーや日本食レストランもあります。オープンチャットも含め、こうした 日本人コミュニティの存在は、移住初期から今に至るまで、不安を大きく軽減してくれる存在になっています。
現地のスーパーの卵売り場。
日本では当たり前の「生で食べられる卵」は14.9リンギット(約580円)、生食できない卵は7.1リンギット(約280円)。
※2026年2月時点のレート(1リンギット=39円)で計算。
―お子さんの日本語や日本文化に関する維持については、どのように取り組んでいますか?
日本語については、日本の子ども新聞や日本語の教科書の音読、漢字ドリルなどを使って、家庭でフォローするようにしています。娘は学校生活をほとんど英語で過ごすため、やはり意識しないと、日本語の感覚はどうしても薄れていってしまいますね。漢字がどんどん書けなくなっていくのも感じています。
また、たとえば箸の使い方や食事のマナー、年中行事の過ごし方といった文化的な部分も、同じような難しさを感じています。将来日本に戻る可能性を考えると、このあたりをどうフォローするかは悩みの一つです。生活のなかで触れる必然性をどうつくるか。今ある最も大きな課題の一つかもしれません。

娘と家族に起きた変化──内向的な性格から「完璧じゃなくてもやってみる」に

―移住して約1年半が経ったとのことですが、お子さんを見ていて、いちばん大きな変化は何ですか?
“積極的”になったことです。学力以上に、その成長がいちばん大きいと感じます。
ただ、最初からうまくいったわけではありません。移住直後は英語がまったくわからない環境に飛び込んだわけですから、学校で戸惑うこともありました。それでも少しずつ環境に慣れていくなかで、変化が見え始めたんです。
以前は周囲を観察してから動くタイプで、良くも悪くも「自分はまだまだ」と思ってしまう子でした。それが今は「とりあえずやってみよう」と自分から手を挙げて、行事にも積極的に参加するようになった。
たとえば、合唱部でソロパートに立候補したり、国際スポーツ大会の選考会をダメ元で受けてみたり、算数大会の選考会にも出たり。日本にいた頃なら、まず完璧に練習してからでないと出ようとしなかったのが、「完璧じゃなくてもまず出てみる」に変わったんです。
―なぜ、そのような変化が起きたと感じていますか?
インターの空気や文化の影響が大きいと感じています。まず、教師の方々が完璧でなくても良いから挑戦することを当たり前として、子どもたちに接してくれる。
それに、いろいろな国籍の子どもたちと触れるなかで感じる価値観の違いが、娘の意識を積極的なものへと変え、視野も広げてくれていると思います。「違っていて当たり前」という空気があること自体、娘にとっては居心地が良いようです。
多国籍のお友だちができたことで行きたい国も増えましたし、関心の幅もかなり広がったように感じます。
―教育移住を通じて、家族関係に変化はありましたか?
はい、家族の結束力が強まったと感じています。スーパーでの買い物一つとっても、最初は言葉も通じず、商品名もわからず大変でした。そういう慣れない環境を家族で協力して乗り越えていくなかで、自然と絆が深まった感覚です。
日本にいた頃は、日常が“当たり前”のように回っていたんですよね。でもマレーシアでは、些細なことでも“一緒に考える”場面が増えるので、家族同士の会話も自然と増えました。
―マレーシアの文化から受けた影響もありますか?
ありますね。こちらでは10歳くらいの子どもでも親と手をつないだり、ハグしたり。愛情表現をきちんと外に出す文化があるんです。それに影響されて、娘も以前より自然とスキンシップを取るようになりました。日本ではもう手をつなぐことはあまりなくなっていたのですが、今は基本的に手をつないでいます。反抗期までの時間が伸びた気がしますね。
―教育移住は、学習面以外の影響も大きいと感じますか?
本当にそう思います。英語ができるようになる、グローバルな視野が身につく。もちろんそれもありますが、それ以上に家族の関係性や子どもの人格形成に大きな影響があると感じます。教育移住は学習面だけの話ではなく、子育てそのものに関わる選択だと実感しました。
―今後、日本の教育カリキュラムに戻すことは考えていますか?
現時点で帰国を強く考える瞬間はほとんどないものの、中学、高校、大学、いずれかに進学するタイミングで戻る可能性はあります。
「いつ帰国するか」「どのタイミングで日本のカリキュラムに戻すか」は、正直ずっと頭のどこかにある問いです。うちの場合はIGCSE(※)が一つの節目になると思うのですが、そのまま海外の大学進学に流れていく可能性もある。
逆に言えば、日本に戻るタイミングを決めないまま進んでいくと、いざというときに動きにくくなることもあると思うので、そこは常に意識しておかないといけないなと感じます。
※IGCSE:International General Certificate of Secondary Educationの略。イギリスの中等教育を基盤にした国際資格で、学力のほか、国際的な視点や多文化理解力が身についていることを証明できる。
―最後に、教育移住を検討されている家庭へアドバイスをお願いします。
いちばん大切なのは、子どもがその学校を気に入るかどうかだと思います。どの国か、どのカリキュラムかも大事ですが、何より毎日通うのは子ども本人。子どもが「ここに行きたい」と思える学校を一緒に探すことが最も重要だと、私も1年半ほど過ごして実感しました。
また、先生や学校の環境が子どもに与える影響が大きいことも、実際に移住して改めて感じています。褒めてくれる先生がいる、挑戦を応援してくれる環境がある。それだけで子どもはこんなに変わるんだと。子どもが積極的になったことで、「きっとどこでも生きていける子になるんじゃないか」と希望が持てたのは、移住を選んで良かったと心から思える点の一つです。
あともう一つ。英語以外の“非言語”の部分で何か得意なことがあるのも、学校生活になじむという意味では大事だと感じました。娘の場合は算数の計算と水泳が得意です。英語が話せなくても、クラスで褒められる機会を実感できる“何か”があったことで、モチベーションを落とさずにスタートできたんです。日本でやってきたことが移住先での充実に結びついて、よかったなと感じています。

取材後記
取材を通じて最も印象に残ったのは、丸山さんの口から移住の成果として最初に挙げられたのが学力向上ではなく、成績では測れない子どもの“成長”だったことです。
褒める文化、「違っていて当たり前」という空気、算数や水泳といった非言語の得意分野が生んだ小さな成功体験。いくつもの要因が重なって、子どもの内側からたしかな成長が生まれていました。教育移住の価値を「英語が話せるようになるかどうか」だけで測ろうとすると、こうした変化の兆しは見落としてしまうかもしれません。
一方で、丸山さんの話には「思っていたのと違った」という率直さも含まれていました。インターに入れれば英語ができると思っていたが、実際にはそうではなかった。マレーシアの生活費は安いと聞いていたが、円安や物価上昇で日本と大差がなかった──。
ポジティブな側面だけでなく、こうした期待とのギャップもまた、これから教育移住を検討する方にとって貴重な判断材料になるはずです。
執筆者プロフィール
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