勉強時間を増やすだけじゃダメ。勝負の夏から偏差値10アップする頭の使い方
受験勉強モードに入って間もない高3の6~7月頃。勉強時間は増えたのに、成績が思うように伸びず、このやり方で本当に間に合うのかと不安になっていませんか。
成績が伸びない原因は、勉強が"作業"になっていることがほとんどです。決して努力不足ではありません。ここで必要なのは、間違えた問題の原因を仕分けること、解説を閉じて解法を再現すること、眺めるインプットから思い出すアウトプットに変えること。この3つを実践すると偏差値は上がり始めます。
この記事では、学年最下位から京大合格を果たした篠原塾長が、夏休み前に見直したい勉強法を3つ解説。「なぜ解説を読んでも模試で解けないのか」「どうすれば知識が本番で使える状態になるのか」といった疑問にもお答えします。
編集部
塾選ジャーナル編集部
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監修者
篠原 好
個別指導型予備校、篠原塾塾長。受験戦略家。現役受験に失敗し浪人するも、「いつ、どの教科を、どう勉強するか」という独自の受験戦略を徹底した結果、秋の京大模試で全国1位・最高偏差値84.9を獲得し、京都大学に合格。大学在学中から受験戦略家として活動を開始し、個別指導型予備校・篠原塾の塾長として5000人以上の受験相談に対応、指導実績は1000人超。 京都大学・早稲田大学など名門大学への合格者を輩出。YouTubeチャンネル登録者数11.7万人、総再生回数7000万超。NHK・フジテレビなど各種メディアでも紹介実績あり。著書『逆転合格90日プログラム』はAmazonランキング1位。
目次
勉強量は増えたのに成績が伸びない ── 受験モード1か月目に訪れる違和感
部活を引退して、あるいは予備校の夏期講習の募集が始まって、周りが受験モードに突入する高3の6~7月。あなたも「とにかく勉強時間を増やさなければ」と、必死に机に向かっているのではないでしょうか。
朝早く起きて単語帳を開き、自習室に夜遅くまでこもり、スマホを封印してペンを握る。1か月前と比べれば、勉強量は圧倒的に増えているはず。でも、それと同時に「ある違和感」に襲われてはいませんか?
- 時間をかけて勉強しているのに、実力がついている気がしない
- 先週解いたはずの問題を、今日解きなおしたら全然できない
- 模試対策した分野なのに、本番になると手が動かない
勉強量が増えた充実感の裏側で、こうした底知れぬ不安が押し寄せてくる。これが受験勉強が本格化してきた頃、受験生を悩ませる「努力の空回り」という罠です。
僕にもあった勘違い……「勉強しているつもり」になってない?
偉そうに話している私自身も、現役時代はまさにこの「空回り受験生」の典型でした。
「京大に行くんだ!」と意気込み、毎日ノートを真っ黒にし、分厚い参考書を何冊もカバンに詰め込んで満足していました。浪人生のときは深夜2時まで勉強し、帰り道に「今日もこれだけ頑張ったんだから、絶対に成績が上がるはずだ」と根拠のない全能感に浸っていたものです。
しかし、結果はE判定でした。
なぜだと思いますか? 当時の私の勉強は、完全に「勉強しているつもり」の勘違い勉強法だったからです。例えば、
- きれいなノートをまとめることに命をかけていた
- 英単語帳を眺めて、ページをめくる速さに満足していた
- 数学の解説を読んで納得し、そのまま次の問題に進んでいた
という感じです。僕がしていたのは勉強ではなく、参考書のページを前から後ろへ動かす“作業”が中心でした。脳に負荷をかけることなく、目の前の参考書や問題集を“いい感じに消化すること”に満足していたのです。
鉄則: ページを進めるよりも、原因の特定が先!
逆転合格を目指すうえで、この鉄則を強く脳裏に刻んでください。
受験勉強の本質は「なんとなく参考書をこなすこと」「なんとなく時間と体力を費やして頑張ること」ではありません。「“できない”を“できる”に変えること」です。
やみくもに問題を解くよりも先に、原因を特定してきちんと解けるようになる。この「0→ 1」のギャップを埋めた数だけ偏差値は上がります。
1日で問題集が3ページしか進まなくても、その3ページを完璧にできるようにすれば、ぼんやり30ページ問題集をこなすライバルをサッと抜き去ることができます。
【まず確認】あなたの勉強が"作業化"している3つのサイン
なぜ、真面目に頑張る受験生がこの罠にハマってしまうのでしょうか。理由はシンプルです。
勉強時間が長くなればなるほど、脳は無意識のうちに「楽をしよう」とし始めるからです。本来、脳がいちばんエネルギーを消費する「思考」が放棄され、勉強がただの"作業"へと退化してしまうのです。
あなたの勉強が"作業化"していないか、以下の3つで確認してみてください。

「問題集を進めることが目的になっている」「丸つけして終わりになっている」「わかったつもりで次へ進んでいる」
1つでも当てはまるなら、今日から勉強のやり方を変える必要があります。次のパートから、具体的な方法を解説します。
方法① 間違いを原因別に分けて言葉にする
「今日は問題集を10問解いた」「丸つけも終わった」。それで満足して参考書を閉じていませんか? それこそが成績が伸び悩む最大の原因です。偏差値が伸び悩む受験生は、間違えた問題をこう処理します。
- 「あー、間違えた。次は気をつけよう」
深く追究することなく、サラッと認識して次に進んでしまいます。しかし、偏差値が上がる受験生はそうしません。彼らは間違えた理由を言語化して、きちんと意識して、自力で解ける状態まで仕上げてきます。
実は、勉強には「英語ができない」「数学が伸びない」という大雑把な原因は存在しません。あるのは「単語の意味を知らないから読めない」や、「公式の使いどころがわからないから解けない」という具体的な原因だけです。
だからこそ、解けなかった理由を言葉にして、原因をいくつかのタイプに分けて、正しい対応をすることが重要です。
【夏休み前にやる】ミスした問題を4つに分類して対策する
今持っている問題集、あるいは直近で受けた模試を引っ張り出してきてください。ミスした問題を、次の4つの原因に仕分けてください。

原因① 知識不足:対策は、暗記方法の見直しと情報源の一元化
そもそも英単語の意味を知らなかった、古文文法の助動詞を忘れていた、数学の公式自体を覚えていなかった。「知っていれば解けたのに、知らなかったからどうしようもない」というパターンです。
この穴を埋めるために、新しい問題集に手を出す必要はありません。これまで使ってきた単語帳や参考書に情報を一元化(1冊にまとめる)し、暗記の基準を上げてください。
「見たことがある」レベルは、試験本番では「知らない」と同じです。「この単語の意味は?」と聞かれたら、0.5秒以内に意味が口から出てくるレベルまで反復してください。
原因② 理解不足:対策は、教科書・講義型参考書への立ち返り
解説を読んでも、なぜその式変形が起こるのかわからない。単語の意味はすべてわかるのに、なぜその訳になるのか理解できない。
これは、知識はあるけどつながりや意味がわかっていないパターンです。
この状態で問題演習をこなしても、見たことのある問題なら解けますが、初見の問題に対応できません。問題集を解き進めることにこだわらず、教科書や解説付き参考書までレベルを落として勉強をしましょう。
「なぜこの公式が成り立つのか?」という理由や過程を、中学生にも説明できるまで理解し直す必要があります。
原因③ 演習不足:対策は、類題の徹底反復とパターン認識
公式や単語の意味はわかっている。解説を読めば100%納得できる。しかし、試験本番や初見の状態でその知識を引っ張り出すことができないパターンです。
これは単に「脳の回路がつながっていないだけ」です。ミスした問題と「同じ問題」、あるいは「数値を入れ替えた類題」を、何も見ずに自力で解けるようになるまで3回以上連続で解き直してください。
脳に「このパターンの問題が来たら、あの引き出しを開ける」という自動回路をつくるには、アウトプット量を増やすことが有効です。
原因④ ケアレスミス:対策は、失点プロセスの言語化とチェックリスト化
問題文の『正しくないものを選べ』を見落としていた。単純な足し算を引き算にしていた。
多くの受験生が軽視してしまうパターンです。ケアレスミスという言葉で片付けているうちは、入試本番でも同じミスをします。「ケアレスミスも実力のうち」という意識を持ちましょう。
今日から「ケアレスミス専用ノート」を1冊作ってください。そこに「自分がどのようにしてそのミスを犯したのか」を言語化して記録します。

新しい問題を解く前や模試直前に、そのノートを必ず読み返してから机に向かうようにしてください。
方法② 「わかった」を「再現できる」に変える
解説を読んで「なるほど、完璧に理解した!」と思うシーンはありませんか。しかし、そこであなたが達成したことは、著者による解法の追体験をしただけに過ぎません。
それはエスカレーターに乗って頂上に到達したようなもので、あなたの脳は汗をかいていません。後日エスカレーターのない同じ山を自力で登ろうとして、果たして山頂にたどり着けるかどうか。
解説に納得しただけでは、次の模試でも間違えます。ここが偏差値50で停滞する受験生と、偏差値70を突破する受験生の最大の分岐点です。解説を読んだら、エスカレーターを自ら降りて、自力で解き直す勉強が不可欠です。
【演習後にやる】解説を閉じて、もう一度自力で解き直す
参考書を閉じて、解法や意味を思い出して書き出してみましょう。試験に近いトレーニングになるので、ただ読み直したりきれいにまとめたりするよりも、長期的な記憶に残りやすいです。
今日からの問題演習で、間違えた問題に対して以下の4ステップを実践してください。

Step1:問題を解いて間違えたら、解説を熟読する
Step2:参考書や問題集の解説を閉じて、視界から消す
Step3:白い紙(またはノート)を用意する
Step4:問題文を見て、最初の式変形から答えに至るまで、何も見ずに書き出す
問題文だけを見て、1行目の式変形から最後の答えに至るまでのプロセスを何も見ずに自分の手で書き出すことができたらOKです。
途中で少しでも手が止まったら、それはまだ「わかったつもり」の段階です。もう一度解説を開いて確認し、また閉じて最初からやり直してください。
「問題集が進まない!」と思うかもしれません。しかしこれが本物の受験勉強です。新しい問題に挑んでほとんど解けない10時間と、間違えた3問を丁寧に解き直して「解ける3問」に変える3時間。そう比較して考えれば、どちらが偏差値に直結しそうかは一目瞭然ですよね。
入試本番、あなたの手元に解説書はありません。頼れるのは、丁寧に記憶した再現の軌跡だけです。
方法③ “覚える勉強”から“思い出す勉強”に変える
次に、暗記効率を高める復習の方法を紹介します。
認知科学の研究では、脳は「インプット(詰め込む)」するときよりも、「アウトプット(実際に問題を解いて間違える)」ときに最も記憶が強固に定着すると言われています。
今日から、勉強スタイルを「インプット型」から「アウトプット型」へとシフトしましょう。

知識は眺めるよりも“引き出す”ことで定着する
人間の脳は、ただ入ってくるだけの情報(教科書を読む、講義を聞く)に対して、覚えようとはしません。
- 「あの単語の意味なんだっけ…? うーん……あ、これだ!……え!間違えた(泣)」
脳は記憶の彼方から必死に情報を引き出そうとして、そのうえで間違えた瞬間、一気に正しい情報を覚えようとします。そして、記憶の回路に情報が強く刻まれます。
勉強が作業化している受験生は一度、頑張って思い出す工程を受験勉強に組み込みましょう。流れ作業でやるよりも効率よく勉強できるはずです。
【毎日の復習でやる】アクティブリコールで知識を使える状態にする
思い出す勉強を実践するなら、「アクティブリコール(積極的想起)」がおすすめです。そのやり方を3ステップで紹介します。日々の自習の最後、あるいは翌日朝一番の勉強に取り入れてください。
STEP① 白紙に勉強したことの「全体像」「キーワード」「関係性」を書く
今勉強したことを紙に書き出します。これは暗記系の勉強で効果的です。
例えば、1時間ほど世界史や日本史、生物などの暗記分野を勉強したら、すぐに次の勉強に移らず、ノートと教科書をすべて閉じて1枚の真っ白な紙を用意してください。
その紙に今勉強した「パートの全体像」「重要キーワード」「その関係性」を、記憶を頼りに、思いつく限り殴り書きします。
- 「えーっと、確か3つの原因があって、1つ目は〇〇で…2つ目は何だっけ…」
すべて書き出したら教科書を開き、書けなかった部分(=あなたの脳の穴)を赤ペンで加筆・修正します。この頭を抱えてのたうち回る時間こそ、記憶が爆発的に定着する瞬間です。
STEP② 頭の中で解法の工程を解説する
数学の解法や英語の構文、物理現象などを復習するときは、「目の前に中学生がいる」と想定してください。頭の中で、その中学生に向けて解法や定義を解説してみましょう。

解説の途中で言葉に詰まる場所があれば、そこが理解不足の部分です。教科書や問題集の解説を見直して、あらためて知識の定着を図ってください。
自分の言葉で完璧に説明できるようになれば、入試本番の緊張状態でも正確に引き出すことができます。
STEP③ 単語帳を使って、早押しクイズ・ノック
単語帳を使って単語や意味を覚えるとき、1単語を3秒かけてじーっと見つめるような暗記法はおすすめしません。赤いシートで答えを隠したら、「単語を見て0.5秒以内に答える」早押しクイズ形式の勉強にシフトしましょう。
- 0.5秒で答えが出た単語・語彙はもう見ない
- 答えに詰まった単語・語彙はチェックして復習対象とする
1ページあたり数十秒のペースで、何度も脳に「思い出しノック」を浴びせてください。「ただの知識」を「いつでも・すぐに使える知識」に変えていきましょう。
次回予告:夏休みは「全部」やろうとして落ちる。逆転合格者が夏にやる“3つの優先順位”
ここまで読んでくれたあなたは、「ただ机に向かって時間を稼ぐだけの作業受験生」から脱却できています。
- 間違えた問題は原因別に4つに仕分け、個別に対策する
- 解説を読んだら本を閉じ、解法プロセスを自分の手で再現する
- 眺めるインプットをやめ、思い出すアウトプットに変える
まずは今日、目の前にあるその参考書を閉じ、あなたの手で偏差値10アップの勉強法を整えていきましょう。
頭の使い方が変わったら、次は「夏休み、何をやるか?」の戦略が問われます。大学受験の天王山「夏休み」にも、頑張る受験生ほどハマりやすい大きな罠が待ち受けているからです。
次回の記事では、逆転合格者が夏休みに実践する"3つの優先順位"をテーマに、その罠の正体と対策の極意をお伝えします。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
監修者プロフィール
個別指導型予備校、篠原塾塾長。受験戦略家。現役受験に失敗し浪人するも、「いつ、どの教科を、どう勉強するか」という独自の受験戦略を徹底した結果、秋の京大模試で全国1位・最高偏差値84.9を獲得し、京都大学に合格。大学在学中から受験戦略家として活動を開始し、個別指導型予備校・篠原塾の塾長として5000人以上の受験相談に対応、指導実績は1000人超。 京都大学・早稲田大学など名門大学への合格者を輩出。YouTubeチャンネル登録者数11.7万人、総再生回数7000万超。NHK・フジテレビなど各種メディアでも紹介実績あり。著書『逆転合格90日プログラム』はAmazonランキング1位。
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