自己肯定感とは?「自分はダメ」と思う中高生へ|特徴と高め方を解説
「テストの点数が悪いと、自分自身までダメな気がする」「SNSで頑張っている友達を見ると、自分には何もないように感じる」。そんな経験はないでしょうか。失敗するのが怖くて、挑戦する前に諦めてしまうこともあるはずです。
それは、自己肯定感と関係しているのかもしれません。自己肯定感という言葉は広く使われている一方で、研究者によって定義や捉え方には違いがあるのです。この記事では、「良い面だけでなく、うまくいかない面も含めて自分を受け止める感覚」として解説していきます。
意味や特徴はもちろん、揺れやすい場面や高めるためにできること、さらに保護者の関わり方まで幅広くお伝えします。
編集部
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目次
自己肯定感とは?中高生にもわかりやすく解説

自己肯定感という言葉は日常でもよく耳にしますが、その意味を正確に説明できる人は多くありません。
ここでは、まず簡単な意味を確認したうえで、混同されやすい言葉との違いも整理していきます。
自己肯定感とは、簡単にいうと「自分を受け止める感覚」
自己肯定感は、「良いところだけでなく、うまくいかないところも含めて自分を受け止められる感覚」と考えるとわかりやすいです。
ただし、自己肯定感には心理学上ひとつに統一された定義があるわけではなく、研究者によって捉え方に違いがあります。そのため、「自分を好きでなければいけない」「いつでも前向きでなければいけない」といった意味ではありません。
例えば、数学が苦手な人がいたとします。この場合、「数学が苦手」という事実と、「自分はダメな人間だ」という評価は、本来別のものです。苦手なことがあっても、それだけで自分自身まで否定しない状態だと考えるとわかりやすいでしょう。
自己肯定感は「自信」とは少し違う
自己肯定感は「自信」と同じ意味だと思われがちですが、少し異なる概念です。
例えば、「英語が得意だから、次のテストでも点を取れると思う」という感覚は、特定の能力に対する自信にあたります。一方で、「英語が苦手でも、それだけで自分自身を否定しない」という感覚は、自己肯定感に近い考え方です。
何かができるから自分には価値がある、という条件付きの評価だけではない点がポイントです。したがって、「苦手なことがある=自己肯定感が低い」と単純に結びつけないよう注意が必要です。
自己効力感・自尊心・自己有用感との違い
自己肯定感と似た言葉に、自己効力感・自尊心・自己有用感があります。それぞれの言葉が示すニュアンスを、中高生の場面に置き換えて整理してみます。
以下の表は、自己肯定感と近接する3つの概念について、意味と中高生の具体例をまとめたものです。
| 言葉 | 簡単にいうと | 中高生の例 |
|---|---|---|
| 自己肯定感 | 自分自身を受け止める感覚 | 数学が苦手でも自分全体を否定しない |
| 自己効力感 | 自分ならできそうと思う感覚 | 勉強すれば数学の点数を上げられそうだと思う |
| 自尊心 | 自分を価値ある存在だと捉える感覚 | 自分にも大切にされる価値があると思える |
| 自己有用感 | 誰かの役に立っていると感じる感覚 | クラスで自分の役割があると感じる |
この表からわかるのは、それぞれの言葉が微妙に異なる側面に注目しているという点です。ただし、これらの概念は研究領域によって整理の仕方が異なり、心理学研究で扱われる「自尊感情」などの用語とも完全に同一のものではないため、別々の概念として断定しすぎないことも大切です。
自己肯定感が高い人・低い人の特徴

自己肯定感は「高い人」「低い人」ときれいに二分できるものではなく、状況や時期によって揺れることもあります。
ここでは、それぞれの傾向を確認しながら、自分自身を振り返るヒントを紹介します。
自己肯定感が高い人の特徴
自己肯定感が高い状態では、次のような傾向がみられることがあります。
失敗しても自分そのものまで否定しないこと、得意・苦手の両方を受け止められること、人と比べすぎないこと、周囲の評価だけで自分を判断しないことなどが挙げられます。
自己肯定感が高い=いつも前向きで自信満々、という意味ではありません。落ち込んだり、自信をなくしたりすることがあっても、その出来事だけで自分という人間の価値まで判断しない、という点に違いがあります。
自己肯定感が低い人の特徴
自己肯定感が低い状態では、次のような考え方や行動がみられることがあります。
テストで悪い点を取ると「自分は頭が悪い」と考えてしまう、苦手な科目があると「自分には何もできない」と感じる、失敗が怖くて挑戦を避ける、周りの人と比べて自分を低く評価する、自分の良いところを認めにくい、といったものです。
承認欲求が「周囲から認められたい」という気持ちに注目するのに対し、本記事で扱う自己肯定感では「自分自身をどう受け止めるか」に焦点を当てます。
「自分は低い?」自己肯定感を確かめてみよう
以下は自己肯定感の高低を診断するものではありません。自分の考え方を振り返るための目安として使ってください。
- 失敗すると、自分自身まで否定してしまう
- 一つ苦手なことがあると「自分には何もできない」と思う
- 他人の成果を見ると、自分に価値がないように感じる
- 自分の良いところを挙げるのが難しい
- 挑戦する前から「どうせ無理」と思う
当てはまる項目があったとしても、それだけで自己肯定感が低いと決まるわけではありません。自己肯定感は状況や時期によって揺れるものであり、ラベルを貼ることが目的ではないと理解しておきましょう。
中高生の自己肯定感が揺れやすいのはどんなとき?

自己肯定感が揺れやすくなる背景には、中高生ならではの場面が関係していることが多くあります。ここでは、背景を単純化せず、具体的な場面ごとに確認していきます。
自己肯定感が揺れやすくなる背景は一つではない
自己肯定感が揺れやすくなる背景は、一つに絞れるものではありません。
家庭環境、学校での経験、友人関係、成功・失敗経験、他者との比較、SNS、本人の考え方など、複数の要因が関わっている可能性があります。
「親の育て方が悪いから自己肯定感が低くなる」と単純にはいえません。自己肯定感は固定された性格ではなく、経験や環境によって揺れることがあるものだと捉えておくとよいでしょう。
テストの点数を「自分の価値」に結びつけてしまう
自己肯定感が揺れやすくなる場面のひとつが、テストの点数です。
例えば、「数学で40点だった」という結果から、「今回は理解できていない部分があった」ではなく、「自分は頭が悪い」「自分はダメだ」と、自分全体の評価まで広げてしまうことがあります。
成績は学習のある一時点の結果であり、人としての価値を示すものではありません。ただし、「点数なんてどうでもいい」というわけでもありません。
結果は振り返る必要がありますが、今回の結果と、自分という人間は切り分けて考えることが大切です。
苦手なことから「自分は何もできない」と考えてしまう
一つの苦手なことが、自分全体の評価に広がってしまうこともあります。
「数学が苦手」から「勉強ができない」、さらに「自分には何も取り柄がない」というように、範囲が広がっていくケースです。
苦手なのはあくまで一部分であり、自分全体の能力とは別のものです。得意・不得意は人によって違い、同じ人の中にも「できること」と「まだ苦手なこと」が同時に存在しています。
失敗を怖がり、挑戦する前に諦めてしまう
自己肯定感が揺れているときには、失敗が自分の価値を否定するものであるかのように感じてしまい、挑戦を避けることがあります。
難しい問題に手をつけない、部活の大会に出たがらない、委員や係に立候補しない、志望校を最初から諦めるといった行動が例として挙げられます。
大切なのは、失敗そのものよりも「失敗した自分をどう評価するか」という点です。この視点を持てるかどうかが、挑戦へのハードルに影響します。
SNSで他人と比べ、自分を低く評価してしまう
SNSで他人の成果や楽しそうな様子を目にすると、周囲と比較して自分を低く評価してしまうことがあります。
勉強アカウントで長時間勉強している人を見る、友達の楽しそうな投稿を見る、部活で結果を出している同級生を見るといった場面が例として挙げられます。
SNSには、その人の生活の一部分や「見せたい場面」が出やすいという特徴があります。他人のハイライトと、自分の日常をそのまま比べないようにすることが大切です。
「自分には無理」と進路の選択肢を狭めてしまう
進路を考える場面でも、自己肯定感が揺れやすくなることがあります。
例えば模試でE判定を取ったとき、「現時点では合格可能性が低い」という情報が、「自分にはその大学を目指す資格がない」「自分にはどうせ無理」という自己評価に変わってしまうことがあります。
「今の成績」「将来の可能性」「自分という人間の価値」を混同しないことが重要です。進路には現実的な判断も必要ですが、それは自分の価値とは別の話だと整理しておきましょう。
自己肯定感を高めるには?中高生ができること

自己肯定感は、何かをすれば必ず高まると単純に考えられるものではありません。ここでは、自分を必要以上に否定しないために、中高生が日常で取り入れやすい考え方や行動を紹介します。
「できない自分」も否定しすぎない
自己肯定感を高めることは、自分の悪いところを全部好きになることではありません。
「苦手だな」「失敗して悔しい」と思うこと自体は、自然な感情です。
大切なのは、「苦手なところがある」ことと「自分はダメ」であることを別に考えることです。無理に前向きにならなくても、自分を必要以上に否定しないことから始めれば十分です。
「自分はダメ」と事実を分けて考える
自己評価を具体的な事実に戻す方法も効果的です。
以下の表は、漠然とした自己評価と、それを具体的な事実に置き換えた例を示したものです。
| 漠然とした自己評価 | 具体的な事実への置き換え |
|---|---|
| 自分は数学ができない | 今回の二次方程式の問題が解けなかった |
| 自分は部活が下手 | 今日の試合ではミスが多かった |
| 自分には何の取り柄もない | 今回のレポートでは構成がうまくまとまらなかった |
この表からわかるように、漠然とした自己否定は、具体的な事実に言い換えることで範囲を絞ることができます。「自分はダメ」という評価を、まず具体的な出来事に戻してみることが第一歩です。
得意なこと・苦手なことを具体的に整理する
「自分には長所がない」と感じる場合は、無理に長所を並べようとせず、整理の仕方を変えてみましょう。
得意なこと、苦手なこと、前よりできるようになったこと、人から頼まれることなど、いくつかの軸に分けて書き出す方法があります。
自分を「できる/できない」の二択で評価しないことがポイントです。軸を増やすことで、単純な優劣では測れない自分の一面が見えてきます。
小さな目標で「できた」を積み重ねる
大きな目標だけを見ていると、達成感を得にくく感じることがあります。
「次の定期テストで90点」という目標ではなく、「今日は英単語を10個覚える」「問題集を2ページ進める」など、自分で行動をコントロールできる小さな目標に分けてみましょう。
小さな達成経験は「自分にもできる」という感覚につながります。ただし、これはどちらかというと自己効力感に近い側面もあります。できたことだけで自分の価値を決めるのではなく、うまくいかなかったときも自分そのものまで否定しすぎないことが大切です。
自分で選び、決める経験を増やす
勉強方法、部活、選択科目、文理選択、志望校など、進路や学校生活の場面では、自分で情報を集め、考え、選ぶ経験も大切です。
必ず正解を選ばなければいけないわけではありません。周りの意見だけに従うのではなく、自分で考えて選び、その結果を振り返る経験を重ねてみましょう。自分が何を大切にしたいのかを知るきっかけにもなります。
つらい気持ちは一人で抱え込まない
自己肯定感は、自分だけで高めようとしなくても構いません。
家族、友達、先生、スクールカウンセラーなど、話せる相手に相談することも一つの選択肢です。
「自分には価値がない」「何をしても意味がない」という思いが強く、学校生活や日常生活がつらい状態が続いている場合は、信頼できる大人や専門家に相談することが大切です。一人で抱え込まず、周囲の力を借りることも自分を大切にする行動のひとつです。
子どもの自己肯定感を支える保護者の関わり方

ここからは、子どもの自己肯定感が気になる保護者に向けた内容です。「褒める」「比較しない」だけでなく、子どもが失敗や苦手を抱えていても自分自身まで否定しなくて済む環境をどうつくるかを中心に紹介します。
失敗しても安心できる関係をつくる
子どもがテストで失敗したり、部活で結果が出なかったりしたときに、結果によって親子関係や子どもへの評価が大きく変わらないという安心感が大切です。
「失敗しないように守る」のではなく、失敗しても話せる、戻ってこられる関係を目指すことがポイントです。この安心感は、子ども自身が挑戦しやすくなる土台の一つになり得ます。
「できる・できない」で子ども自身を評価しない
「あなたは頭がいい」「あなたは運動が苦手」のように、結果や能力をそのまま子ども自身のラベルにしないようにしましょう。
「今回はよくできたね」「この部分は苦手そうだね」など、本人全体ではなく具体的な行動や状況に言葉を向けることが大切です。ラベルではなく、その時々の出来事として伝えることで、子どもも受け止めやすくなります。
苦手な部分まで無理にポジティブに変えない
子どもが「数学が苦手」「部活がうまくいかない」と言ったときに、「そんなことないよ」「あなたなら絶対できる」とすぐに否定すると、本人の感じていることが受け止められていないと感じる場合があります。
「苦手だと思っているんだね」と一度認めたうえで、苦手なことがあるのと本人の価値が低いことは別だと伝えることが重要です。否定でも過剰な励ましでもなく、まず気持ちを受け止める姿勢が求められます。
子どもが自分で選ぶ機会を奪わない
勉強方法や進路について、親がすべて正解を決めてしまわないことも大切です。
「この塾に行きなさい」「この高校を受けなさい」と決めるだけでなく、「どんな学校がいいと思う?」「何を重視したい?」と、本人が考える余地を残しましょう。
自分で考え、選び、その結果を振り返る経験そのものを尊重する姿勢が、教育的にも意味を持ちます。すべてを親が決めるのではなく、一緒に考えるプロセスを大切にしてみてください。
「自己肯定感を高めなければ」と焦りすぎない
子どもが落ち込んでいるだけで、「自己肯定感が低い」「もっと褒めなければ」と決めつけないようにしましょう。
思春期には、自分を否定的に感じたり、人と比べたりする時期もあります。
自己肯定感を数値のように「上げる」ことを目的にするのではなく、子どもが失敗や弱さを見せても安心できる関係をつくることを大切にしてください。焦って何かを変えようとするより、日々の関わり方を少しずつ見直すことが、結果として子どもの支えになります。
自己肯定感についてよくある質問

自己肯定感が低いのは悪いこと?
「低い=悪い人・問題のある人」というわけではありません。人によって、また時期や状況によって自己評価が揺れることは自然なことです。大切なのは「低いかどうか」というラベルよりも、自分を否定することで生活がつらくなっていないかという点です。
自己肯定感が高すぎることはある?
「自己肯定感が高いこと」自体を、単純に問題だと考える必要はありません。自分の失敗を認められない、他人を見下す、自分の評価と現実が大きくずれているといった状態は、自己肯定感の高さとは分けて考える必要があります。
自己肯定感が高いことと、「自分は何をしても正しい」と考えることは同じではありません。
自己肯定感は生まれつき決まる?
生まれつきだけで決まるものとは言い切れないと考えられています。家庭、学校、友人関係、経験、周囲からの反応など、さまざまな要素が関係し得ます。
一方で、特定の経験だけですべてが決まるとも言えず、複数の要因が積み重なっていくものと捉えておくとよいでしょう。
自己肯定感が低いか診断できる?
そもそも「自己肯定感が低い」こと自体は医学的な診断名ではありません。インターネット上の簡易チェックだけで、「自分は自己肯定感が低い」と断定する必要はありません。
心理学研究では、自尊感情などを測る専門的な尺度が用いられることもありますが、これらは自己肯定感という言葉と完全に同一の概念というわけではなく、日常的な振り返りとも目的が異なります。
自己肯定感は年齢によって変わる?
年齢だけで一律に高くなったり低くなったりするとはいえません。自分自身の捉え方は、成長だけでなく、環境や人間関係、成功・失敗経験などによって変化することがあります。
今低いと感じていても、ずっとそのまま変わらないというわけではありません。
まとめ うまくいかない自分まで否定しなくていい

自己肯定感には研究者によって異なる定義がありますが、本記事では「良い面だけでなく、うまくいかない面も含めて自分を受け止める感覚」として説明してきました。
テストで悪い点を取ること、部活で失敗すること、SNSで人と比べて落ち込むこと、模試で悪い判定が出ることは、誰にでも起こり得るものです。しかし、その結果だけで自分という人間の価値まで決めてしまう必要はありません。
無理に自分を好きになろうとしなくても構いません。まずは「うまくいかなかったこと」と「自分そのもの」を分けて考えるところから始めてみてください。小さな行動の積み重ねが、少しずつ自分への信頼につながっていきます。
保護者の方にとっても、子どもの自己肯定感を無理に高めることを目標にする必要はありません。失敗や苦手なことがあっても、安心して話せる関係をつくることこそが、子どもにとって何よりの支えになります。
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
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