共通テストの得点調整とは?「実施条件」と「何点上がるか」を分けて解説
「共通テストの得点調整って何?」そう考えている受験生も多いのではないでしょうか。
共通テストにおける得点調整とは、地理歴史・公民・理科の所定の選択科目間で、問題の難易度による大きな得点差が生じた場合に、その差を小さくするための仕組みです。科目選択によって受験生に著しい有利・不利が生じるのを防ぐ目的があります。
この記事では、得点調整の条件や対象科目、公式資料に出てくる「区分点差」「分位点差縮小法」の意味、過去の換算表では実際に何点上がったのかを、受験生向けに分かりやすく解説します。
編集部
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目次
共通テストの得点調整とは?何のための制度か

得点調整の本質は、平均点をそろえることではなく、問題の難易度によって生じた著しい不公平感を小さくすることです。
細かな実施条件や計算方法に入る前に、まずは制度の目的を確認しましょう。
選択科目の不公平感を小さくするための制度
共通テストの得点調整は、大学入試センターが定める地理歴史・公民・理科の対象科目間で行われます。同じ教科内でも、すべての科目が比較対象になるわけではありません。
たとえば理科で「物理」を選んだ人と「生物」を選んだ人の間で、問題の難しさによって大きな得点差が生じ、得点調整の実施条件を満たした場合、素点のままでは科目選択によって著しく不利な受験生が出てしまいます。この不公平感を小さくするために設けられているのが、得点調整という制度です。
ただし、得点調整は科目間の平均点をすべて同じ数値にそろえる制度ではありません。あくまで、問題の難易度によって生じた著しい差を縮める仕組みだという点を押さえておきましょう。
【結論】2026年度は得点調整が実施されなかった
大学入試センターは2026年1月23日、令和8年度大学入学共通テストにおいて得点調整を実施しないことを決定したと発表しました。
2026年度は、対象科目間の最大平均点差が地理歴史1.40点、公民0.62点、理科11.30点でした。いずれも、得点調整の実施条件を検討する前提となる15点以上の平均点差に達していませんでした。
| 確認項目 | 2026年度(令和8年度)の結果 |
|---|---|
| 得点調整の実施有無 | 実施なし |
| 正式発表日 | 2026年1月23日 |
| 受験者数1万人以上の対象科目間の最大平均点差 | 地理歴史1.40点/公民0.62点/理科11.30点 |
| 得点調整用の換算表 | 公表なし |
参考:令和8年度大学入学共通テストの得点調整実施の有無について|大学入試センター
なお、直近の令和6年度・令和7年度も、同様に得点調整は実施されていません。
得点調整が実施されると、得点はどう変わる?
得点調整が実施される年度では、対象科目の素点が公式の換算表に基づいて調整後得点に置き換わり、この調整後得点が成績として扱われます。
流れを整理すると、次のようになります。
実施決定 → 科目別の調整後得点を計算 → 換算表を公表 → 調整後得点を大学へ提供
得点の上昇幅は、元の得点によって異なります。全員に同じ点数が加算されるわけではありません。また、大学によっては共通テストの得点を独自の配点に圧縮するため、調整後得点がそのまま合否上の加点になるとは限りません。
共通テストの得点調整はどう決まる?条件と計算方法をやさしく解説

「平均点差」や「区分点差」は、得点調整を実施するか判断するための基準です。一方、「分位点差縮小法」は、実施が決まった後に調整後得点を算出する方法です。
この2段階を分けて理解することが、公式資料を読み解くうえで欠かせません。
対象になる教科・科目は?地理歴史・公民・理科のみ
2026年度の得点調整対象として定められているのは、地理歴史・公民・理科の以下の科目群です。英語・国語・数学・情報は対象に含まれていません。
| 教科 | 2026年度の対象科目 |
|---|---|
| 地理歴史 | 「地理総合,地理探究」「歴史総合,日本史探究」「歴史総合,世界史探究」 |
| 公民 | 「公共,倫理」「公共,政治・経済」 |
| 理科 | 「物理」「化学」「生物」「地学」 |
比較は同じ教科のグループ内でのみ行われ、異なる教科間(たとえば地理歴史と理科)で比較されることはありません。また、対象科目であっても受験者数が1万人未満の場合は、原則として得点調整の対象から外れます。
年度ごとに対象範囲や名称が変わり得るため、最新の受験案内・実施要項でも確認しておくと安心です。
実施が決まる基準は「平均点差」と「区分点差」
得点調整の実施は、対象科目間の平均点差と区分点差をもとに判断されます。令和7年度以降は、次のいずれかに該当し、その差が試験問題の難易度によるものと認められた場合に実施されます。
- 平均点差が20点以上生じた場合
- 平均点差が15点以上で、かつ段階表示の区分点差が20点以上生じた場合
公式資料に出てくる用語は、次のように言い換えると分かりやすくなります。
| 公式用語 | 受験生向けの説明 |
|---|---|
| 平均点差 | 各科目を受験した人全体の平均点の差 |
| 段階表示 | 受験生の成績を得点順に9つの段階で示したもの |
| 区分点 | 9つの成績段階が切り替わる8つの境目の得点 |
| 区分点差 | 同程度の順位にいる受験生の得点を科目間で比べた差 |
公式資料では、上位から4%、11%、23%、40%、60%、77%、89%、96%に当たる8つの分位点が区分点とされています。平均点差だけでは、上位層・中間層・下位層それぞれの得点差までは分かりません。
区分点差は、同じ順位帯にいる受験生同士を科目間で比べることで、平均点では見えない得点分布の差を確認するための基準です。
平均点差が基準を超えても、自動的に実施されるわけではない
得点調整は、平均点差を見ただけで自動的に決まる制度ではありません。実施の有無は、大学入試センターの正式発表で確認する必要があります。
平均点差や区分点差が基準を超えていても、その差が試験問題の難易度によるものと認められなければ、得点調整は実施されません。受験者集団の学力差など、難易度以外の要因が考えられる場合もあるためです。また、対象科目には受験者数の条件もあります。
最終的な実施の決定は大学入試センターが行うため、正式発表前の予想では、実施されるかどうかは確定しません。
調整後の得点はどう計算する?「分位点差縮小法」の仕組み
分位点差縮小法とは、各科目で同じくらいの順位にいる受験生の得点を比べ、平均点が低い科目側の得点を引き上げて、科目間の差を小さくする方法です。
区分点差によって、同程度の順位にいる受験生間の差が大きいかを確認します。得点調整の実施が決まった後は、同じく得点分布をもとにした分位点差縮小法で、調整後得点を算出するという流れです。
分位点差縮小法は一律加点ではなく、元の点数を下げず、科目間の平均点順位を保ちながら、得点分布の差を縮小する方法です。令和7年度以降は、8つの区分点のうち最も大きな科目間差が、原則として15点になるように縮小します。ただし、調整によって科目間の平均点順位が逆転する場合は、順位が変わらない範囲で調整されるため、15点以上の差が残ることもあります。
過去の実施例では、0点・100点付近よりも中間得点帯の上昇幅が大きくなったケースがあります。
共通テストの得点調整で何点上がる?

得点調整で何点上がるかは、平均点の差だけでは分かりません。同じ科目を受験していても、調整前の得点によって上昇幅が変わります。
何点上がるかは「元の得点」によって変わる
得点調整による点数の変化は、一律加点ではありません。同じ科目でも、素点によって上昇幅は異なります。科目全体の平均点の上昇幅と、個人の得点の上昇幅も必ずしも一致しません。
分位点差縮小法は、平均点順位を保ちながら得点分布の差を縮小する方法であるため、得点帯によって上昇幅が異なります。過去の実施例では中間の得点帯で上昇幅が大きくなったケースもありますが、この傾向も年度や科目によって異なるので注意しましょう。
自分の調整後得点を知るには、公式の換算表を確認する必要があります。
自分の点数は公式換算表で確認する
得点調整の実施が決まった場合は、大学入試センターから科目ごとの換算表が公表されます。確認の流れは次の通りです。
受験した科目を確認 → 調整前の素点を探す → 対応する調整後得点を見る → 上昇幅を確認する
換算表には、素点の行と科目の列が並んでおり、自分の素点に対応する調整後得点を一覧で確認できます。平均点の変化だけを見ても、個人の調整後得点までは判断できません。必ず換算表そのもので、自分の素点を置き換えることが必要です。
なお、2026年度は得点調整が実施されなかったため、換算表自体も公開されていません。自己採点の点数をもとに出願を検討する場合も、最終的な成績は大学入試センターの採点結果であることを踏まえておきましょう。
【過去の事例】公式換算表では実際に何点上がった?
大学入試センターが公表した令和5年度の理科②換算表では、たとえば化学の素点50点が調整後57点に、生物の素点60点が調整後72点に換算されています。
| 年度 | 科目 | 調整前 | 調整後 |
|---|---|---|---|
| 令和5年度 | 化学 | 50点 | 57点 |
| 令和5年度 | 生物 | 60点 | 72点 |
このときは、理科②の物理・化学・生物の間で平均点差が20点以上生じたため、得点調整が実施されました。この例からも、同じ年度の得点調整であっても、受験した科目や元の得点によって上昇幅が異なることが分かります。この表は過去年度の実例であり、最新年度に同じ上昇幅が適用されるわけではありません。
得点調整後は、志望大学の配点に換算して確認する
得点調整で得点が上がっても、そのまま合否上の加点になるとは限りません。大学によっては、共通テストの得点を独自の配点に圧縮して合否判定に利用するためです。
たとえば、得点調整で100点満点中4点上がっても、その科目を50点満点に圧縮する大学では、大学の配点上は2点分の上昇になります。
調整後得点は、志望大学が指定する配点比率に換算してから確認する必要があります。詳細な圧縮方法は、志望校の募集要項で確認しましょう。
共通テストの得点調整が行われた過去の事例(令和3年度・令和5年度)

共通テストが始まってから現在まで、得点調整が実施されたのは限られた年度のみです。過去の実施状況を振り返り、どの程度の頻度で行われているのかを確認しましょう。
これまでに得点調整が実施されたのは2回だけ
共通テストは令和3年度(2021年1月実施)から始まりましたが、これまでに得点調整が実施されたのは令和3年度と令和5年度の2回のみです。令和4年度、令和6年度、令和7年度、令和8年度は、いずれも実施されていません。
得点調整の基本的な考え方自体は、共通テスト以前のセンター試験時代から検討・運用されてきたものですが、本記事では共通テスト移行後、公式資料で実施が確認できる年度を中心に解説します。
令和3年度・令和5年度は何が起きたのか
令和3年度は、公民と理科②(当時の名称)において20点以上の平均点差が生じ、得点調整判定委員会の審議を経て、得点調整の実施が決定されました。ただし、公民のうち「倫理,政治・経済」と、理科②のうち受験者数が1万人未満だった「地学」は、対象から除外されています。
令和5年度は、理科②の中で物理・化学・生物の間に20点以上の平均点差が生じ、得点調整が実施されました。このときも地学は受験者数の基準を満たさず、対象外となっています。調整前後の代表的な得点変化は、前の章で紹介した公式換算表の通りです。
得点調整は「毎年あるもの」ではない
得点調整は、科目選択による著しい不公平感が生じた場合に限って行われる例外的な対応です。実施を前提に受験科目や出願先を考える制度ではありません。
平均点が低いだけでは対象にならず、平均点差や区分点差の基準を満たし、その差が問題の難易度によるものと認められる必要があります。得点調整を期待して科目を選ぶのではなく、得意科目や志望大学の指定科目を基準に選択することが基本です。
共通テストの得点調整に関するよくある質問

平均点差が20点以上なら必ず得点調整されますか?
必ずではありません。その差が試験問題の難易度によるものと認められる必要があり、受験者数などの条件もあります。
実施の有無は、大学入試センターの正式発表で確定します。
平均点差が20点未満でも得点調整されますか?
現行制度では、20点未満でも実施される場合があります。平均点差15点以上に加え、段階表示の区分点差が20点以上生じた場合も対象となります。
得点調整で点数が下がることはありますか?
素点を下げないことが原則です。得点調整は、平均点の高い科目を減点して平均点をそろえる制度ではなく、平均点が低い科目側の得点を引き上げる形で行われます。
得点調整では全員が同じ点数だけ上がりますか?
同じ点数が加算されるわけではありません。分位点差縮小法により、素点や得点帯によって上昇幅が異なります。
英語や数学も得点調整の対象になりますか?
2026年度の得点調整対象として定められているのは、地理歴史・公民・理科の科目群です。英語・国語・数学・情報は対象に含まれていません。
平均点が低いのに得点調整されないのはなぜですか?
得点調整は、前年度との比較ではなく、同年度の対象科目間で比較して判断されます。平均点差や区分点差の基準を満たすことに加え、その差が難易度によるものかどうかも判断されるためです。
得点調整は、すべての平均点差をなくすのではなく、問題の難易度による著しい不公平感を小さくするための制度です。
受験者数1万人未満の科目(地学など)が対象外なのは不公平では?
得点調整の対象は、原則として受験者数が1万人以上の科目に限られています。地学など受験者数が1万人に満たない科目は、平均点差が20点以上生じていても、得点調整の対象から外れます。
これは、受験者数が少ない科目ほど、その時々の受験者層によって平均点が変動しやすく、平均点差が問題の難易度によるものかどうかを判断しにくくなるためと考えられます。ただし、この基準は制度上のルールとして定められているものであり、大学入試センターが個別に理由を説明しているわけではありません。
該当する科目を受験する場合は、平均点差が大きくても得点調整の対象にならない可能性があることを、あらかじめ理解しておく必要があります。
得点調整が実施されるか自分で計算できますか?
平均点差は中間発表などで確認できますが、実施の有無を個人で確定することはできません。
区分点差や得点分布、難易度による差かどうかの判断が必要なため、大学入試センターの正式発表を待つ必要があります。
いつ頃得点調整が発表されますか?
得点調整の実施有無は、共通テスト本試験の終了後、平均点などの中間集計を経て発表されます。過去の実施例では、本試験からおおむね1週間前後のタイミングで発表されており、国公立大学の出願開始前に間に合うよう公表される点は毎年共通しています。
ただし、具体的な発表日は年度によって異なります。2026年度は2026年1月23日に発表されました。最新年度の正確な発表日は、大学入試センターの公式サイトで確認しましょう。
まとめ 共通テストの得点調整は公式発表と換算表で確認しよう

共通テストの得点調整は、選択科目の難易度差によって生じる著しい不公平感を小さくするための制度です。平均点差だけで自動的に実施されるわけではなく、区分点差や受験者数、問題の難易度などを踏まえて大学入試センターが判断します。
また、得点調整は全員への一律加点ではありません。実施された場合は、元の得点によって上昇幅が異なるため、大学入試センターが公表する科目別の換算表で調整後得点を確認する必要があります。
得点調整について判断する近道は、SNS上の予想や平均点だけを見ることではなく、最新年度の公式発表と換算表を確認することです。調整後得点が分かったら、志望大学の配点に換算したうえで出願判断に役立てましょう。
【得点調整の仕組みはこちら】
執筆者プロフィール
塾選ジャーナル編集部です。『塾選ジャーナル』は、日本最大級の塾検索サイト『塾選(ジュクセン)』が提供する、教育・受験に関する総合メディアです。保護者が知っておきたい受験や進路情報をお届けします。
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